図1は、本明細書に開示する原理に従って使用可能である1つの例示的なマシンビジョン検査システム10のブロック図である。マシンビジョン検査システム10は画像測定機12を含み、これは、制御コンピュータシステム14と、更に、モニタ又はディスプレイ16、プリンタ18、ジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26と、データ及び制御信号を交換するように動作可能に接続されている。モニタ又はディスプレイ16は、マシンビジョン検査システム10の制御及び/又はプログラミングに適したユーザインタフェースを表示することができる。様々な実施では、タッチスクリーンタブレット等によって、コンピュータシステム14、ディスプレイ16、ジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26のいずれか又は全ての機能の代用となること及び/又はこれらの機能を冗長的に与えることが可能である。
より一般的には、制御コンピュータシステム14は、いかなるコンピューティングシステム又はデバイス、及び/又は分散型コンピューティング環境等も含むことができるか又はそれらから構成可能である。それらはいずれも、本明細書に記載する機能を実現するためにソフトウェアを実行する1つ以上のプロセッサを含み得る。プロセッサには、プログラマブル汎用又は特殊用途マイクロプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)等、又はそのようなデバイスの組み合わせが含まれる。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ等のメモリ、又はそのような構成要素の組み合わせに記憶することができる。また、ソフトウェアは、光学ベースのディスク、フラッシュメモリデバイス、又はデータを記憶するための他のいずれかのタイプの不揮発性記憶媒体のような1つ以上の記憶デバイスに記憶することができる。ソフトウェアは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む1つ以上のプログラムモジュールを含み得る。分散型コンピューティング環境では、有線又は無線のいずれかの構成において、プログラムモジュールの機能性は、多数のコンピューティングシステム又はデバイスにまたがるように組み合わせるか又は分散させ、サービスコールを介してアクセスすることができる。
画像測定機12は、可動ワークピースステージ32と、ズームレンズ又は交換可能レンズを含み得る光学撮像システム34と、を含む。ズームレンズ又は交換可能レンズは一般に、光学撮像システム34によって得られる画像に様々な倍率を与える(例えば0.5倍から100倍まで)。同様のマシンビジョン検査システムが、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,324,682号、第7,454,053号、第8,111,905号、及び8,111,938号にも記載されている。これらの各々は、援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。
図2は、図1のマシンビジョン検査システムと同様の、本明細書に記載する特徴を含むマシンビジョン検査システム100の制御システム部120及びビジョン構成要素部200のブロック図である。以下で詳述するように、制御システム部120を用いてビジョン構成要素部200を制御する。ビジョン構成要素部200は、光学アセンブリ部205と、光源220、230、及び240と、中央の透明部212を有するワークピースステージ210と、を含む。ワークピースステージ210は、ワークピース20を位置決めすることができるステージの表面に対して概ね平行な面内にあるx軸及びy軸に沿って制御可能に移動させることができる。
光学アセンブリ部205は、光学検出器260(例えばカメラ、共焦点光学検出器等)、可変焦点距離(VFL)レンズ270を含み、更に、交換可能対物レンズ250、レンズ286と288を有するターレットレンズアセンブリ280も含む場合がある。ターレットレンズアセンブリの代わりに、固定もしくは手作業で交換可能な倍率可変レンズ(magnification−altering lens)、又はズームレンズ構成等を含んでもよい。様々な実施において、これら様々なレンズは、光学アセンブリ部205の可変倍率レンズ部の一部として含まれ得る。様々な実施において、交換可能対物レンズ250は、固定倍率対物レンズのセットから選択することができる(例えば0.5倍から100倍までの範囲のセット等)。
様々な実施において、光学アセンブリ部205は、制御可能モータ294を用いることで、x軸及びy軸に概ね直交したz軸に沿って制御可能に移動させることができる。制御可能モータ294はアクチュエータを駆動して、ワークピース20の画像の焦点を変えるために光学アセンブリ部205をz軸に沿って動かす。制御可能モータ294は信号ライン296を介して入出力インタフェース130に接続されている。以下で更に詳しく説明するように、VFLレンズ270も、焦点位置を周期的に変更するように動作させることができる。マシンビジョン検査システム100を用いて撮像されるワークピース20、又は複数のワークピース20を保持しているトレイもしくは固定具は、ワークピースステージ210上に配置されている。様々な実施において、ワークピースステージ210は、光学アセンブリ部205に対して(例えばx軸及びy軸方向に)移動するように制御され、撮像されるエリア(例えば交換可能対物レンズ250によって撮像される)が、ワークピース20上の複数の位置間で及び/又は複数のワークピース20間で移動できるようになっている。
透過照明光源220、落射照明光源230、及び斜め照明光源240(例えばリング光)の1つ以上が、それぞれ光源光222、232、及び/又は242を発して、ワークピース又は複数のワークピース20を照明することができる。落射照明光源230は、ミラー290を含む経路に沿うように光源光232を発することができる。光源光はワークピース光255として反射又は透過され、ワークピース光(例えば撮像のために用いられる)は、交換可能対物レンズ250、ターレットレンズアセンブリ280、及びVFLレンズ270を通過し、光学検出器260(例えばカメラ、共焦点光学検出器等)によって集光される。様々な実施において、光学検出器260はワークピース光を入力し、信号データ(例えばワークピース(複数のワークピース)20の1以上の画像、共焦点輝度信号等)を制御システム部120への信号ライン262上に出力する。光源220、230、及び240は、それぞれ信号ライン又はバス221、231、及び241を介して制御システム部120に接続され得る。制御システム部120は、画像の倍率を変更するため、ターレットレンズアセンブリ280を軸284に沿って回転させることで、信号ライン又はバス281を介してターレットレンズを1つ選択することができる。
図2に示すように、種々の例示的な実施において制御システム部120は、制御部125、入出力インタフェース130、メモリ140、ワークピースプログラム発生器及び実行器170、及び電源部190を含む。これらの構成要素及び以下で説明する追加の構成要素の各々は、1つ以上のデータ/制御バス及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェースによって、又は様々な要素間の直接接続によって、相互接続することができる。入出力インタフェース130は、撮像制御インタフェース131、移動制御インタフェース132、及び照明制御インタフェース133を含む。移動制御インタフェース132は、位置制御要素132a、及び速度/加速度制御要素132bを含み得るが、これらの要素はマージされる及び/又は区別できない場合もある。照明制御インタフェース133は、照明制御要素133a、133n、及び133flを含むことができ、これらは、マシンビジョン検査システム100の様々な対応する光源について、例えば選択、パワー、オン/オフ切り換え、及びストロボパルスタイミングを適用可能な場合に制御する。
本明細書に開示される原理に従って、入出力インタフェース130は更に、レンズ制御部/インタフェース271、焦点信号処理部277、及び位相オフセット補償/Z高さ変動補正部278を含み得る。これらについては図3から図7を参照して以下で更に詳しく記載する。簡潔に述べると、1つの実施において、レンズ制御部/インタフェース271は、レンズ焦点動作回路及び/又はルーチン等を含むレンズ制御部を含み得る。レンズ制御部/インタフェース271は、ユーザ及び/又は動作プログラムによって構成又は制御することができ、信号ライン271’を用いてVFLレンズ270を制御して光学パワーを(例えば正弦波状に)周期的に変更させることで、Z高さ方向に沿った複数の焦点位置にわたって撮像システムの焦点位置を、所定の動作周波数で周期的に変更することができる。様々な実施において、焦点信号処理部277は、(例えばワークピース20の)撮像表面領域が焦点位置にあることが光学検出器260(例えばカメラシステム、共焦点光学検出器等)からの信号データによって示された時に対応する未処理の位相タイミング信号値を決定するように構成できる。以下で更に詳しく記載するように、位相オフセット補償部278は、撮像表面領域に対応する未処理の位相タイミング信号値を入力し、それら撮像表面領域のZ高さ測定値を与える位相オフセット補償プロセスを実行するように構成することができる。ここで、位相オフセット成分に関連したZ高さエラー又はZ高さ変動の少なくとも一方は少なくとも部分的に除かれる。
様々な実施において、撮像制御インタフェース131及び/又はレンズ制御部/インタフェース271は拡大被写界深度モードを更に含み得る。これについては、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許公報第2015/0145980号に更に詳しく記載されている。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。拡大被写界深度モードは、ユーザによって選択されると、単一の焦点位置で合焦する場合にビジョン構成要素部200が与え得るよりも大きい被写界深度でワークピースの少なくとも1枚の画像(例えば複合画像)を提供することができる。様々な実施において、撮像制御インタフェース131及び/又はレンズ制御部/インタフェース271は倍率変更調整モードを更に含み得る。このモードは選択することができ、又は倍率変更が実行もしくは検出された場合に自動的に実施することができる。これについては、2015年7月9日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Adaptable Operating Frequency of a Variable Focal Length Lens in an Adjustable Magnification Optical System」と題する米国特許出願第14/795,409号に詳述されている。この出願は援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。VFLレンズを含む他のシステム及び方法については、2015年8月31日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Multi−Level Image Focus Using a Tunable Lens in a Machine Vision Inspection System」と題する米国特許出願第14/841,051号、及び、2015年9月15日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Chromatic Aberration Correction in Imaging System Including Variable Focal Length Lens」と題する米国特許出願第14/854,624号に記載されている。これらの出願の各々は援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。
メモリ140は、画像ファイルメモリ部141、エッジ検出メモリ部140ed、1つ以上のパートプログラム等を含み得るワークピースプログラムメモリ部142、及びビデオツール部143を含むことができる。ビデオツール部143は、対応する各ビデオツールのためのGUIや画像処理動作等を確定するビデオツール部143a及び他のビデオツール部(例えば143n)、並びに関心領域(ROI:region of interest)発生器143roiを含む。関心領域発生器143roiは、ビデオツール部143内に含まれる様々なビデオツールにおいて動作可能である様々なROIを規定する自動、半自動、及び/又は手動の動作をサポートする。ビデオツール部は、焦点高測定動作のためのGUIや画像処理動作等を確定する自動合焦ビデオツール143afも含む。自動合焦ビデオツール143afは更に、高速で焦点高さを測定するために利用できる高速焦点高さツールも含むことができる。これについては、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国特許公報第2014/0368726号に詳述されている。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。様々な実施において、位相オフセット補償/Z高さ変動補正部278及び関連する他の要素は、ビデオツールの1つ以上(例えば自動合焦ビデオツール143af、別個のビデオツール等)と組み合わせて使用するか、又は他の方法でそれに含めることができる。
本開示のコンテキストにおいて、当業者に既知であるように、「ビデオツール」という言葉は概ね、マシンビジョンユーザが、ビデオツールに含まれる動作の段階的シーケンスを生成することなく、また汎用のテキストベースのプログラミング言語等に頼ることもなく、比較的シンプルなユーザインタフェース(例えばグラフィカルユーザインタフェース、編集可能パラメータウィンドウ、メニュー等)を用いて実施可能である比較的複雑な自動又はプログラミングされた動作セットのことである。例えばビデオツールは、予めプログラミングされた複雑な画像処理動作及び計算セットを含み、これらの動作及び計算を規定する少数の変数及びパラメータを調整することによって特定のインスタンスでこれらを適用及びカスタム化することができる。ビデオツールは、基礎にある動作及び計算の他に、ビデオツールの特定のインスタンス向けにそれらのパラメータをユーザが調整することを可能とするユーザインタフェースも備えている。例えば多くのマシンビジョンビデオツールによってユーザは、マウスを用いたシンプルな「ハンドルドラッグ」動作を行ってグラフィックの関心領域(ROI)インジケータを構成して、ビデオツールの特定のインスタンスの画像処理動作による解析対象となる画像サブセットの位置パラメータを定義することができる。場合によっては、目に見えるユーザインタフェース機能がビデオツールと称され、基礎にある動作は暗黙的に含まれることに留意すべきである。
透過照明光源220、落射照明光源230、及び斜め照明光源240のそれぞれの信号ライン又はバス221、231、及び241は全て、入出力インタフェース130に接続されている。光学検出器260からの信号ライン262、VFLレンズ270からの信号ライン271’、及び制御可能モータ294からの信号ライン296も、入出力インタフェース130に接続されている。信号ライン262は、画像データの伝達に加えて、特定のプロセス(例えば画像の取得、共焦点輝度の測定等)を開始する制御部125からの信号も伝達することができる。
1つ以上のディスプレイデバイス136(例えば図1のディスプレイ16)及び1つ以上の入力デバイス138(例えば図1のジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26)も、入出力インタフェース130に接続することができる。ディスプレイデバイス136及び入力デバイス138を用いて、様々なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)機能を含み得るユーザインタフェースを表示することができる。それらの機能を用いて、検査動作の実行、及び/又はパートプログラムの生成及び/又は修正、光学検出器260によってキャプチャされた画像の閲覧、及び/又はビジョンシステム構成要素部200の直接制御を行うことができる。ディスプレイデバイス136は、(例えば、レンズ制御部/インタフェース271、焦点信号処理部277、位相オフセット補償/Z高さ変動補正部278等に関連付けて)ユーザインタフェース機能を表示することができる。
種々の例示的な実施において、ユーザがマシンビジョン検査システム100を用いてワークピース20のためのパートプログラムを生成する場合、ユーザはマシンビジョン検査システム100を学習モードで動作させて所望の画像取得訓練シーケンスを提供することによってパートプログラム命令を発生させる。例えば訓練シーケンスは、代表的ワークピースの特定のワークピース要素を視野(FOV)内に位置決めし、光レベルを設定し、合焦又は自動合焦を行い、画像を取得し、(例えばそのワークピース要素上でビデオツールの1つ以上のインスタンスを用いて)画像に適用される検査訓練シーケンスを提供することを含み得る。学習モードの動作では、このシーケンス(複数のシーケンス)がキャプチャ又は記録されて、対応するパートプログラム命令に変換されるようになっている。パートプログラムが実行された場合、これらの命令はマシンビジョン検査システムに訓練した画像取得を再現させると共に、検査動作を行って、パートプログラムの生成時に用いた代表的ワークピースに類似した、現在のワークピース(例えば実行モードのワークピース)又は複数のワークピース上の特定のワークピース要素(すなわち対応位置の対応する要素)を自動的に検査させる。
図3は、マシンビジョン検査システムに適合させることができ、本明細書に開示する原理に従って動作することができるVFLレンズシステム300の概略図である。以下で別段の記載がない限り、図3の3XXと付番されたいくつかの構成要素は、図2の2XXと同様に付番された構成要素に対応し得る及び/又は同様の動作を有し得ることは認められよう。図3に示すように、VFLレンズシステム300は、光源330、対物レンズ350、チューブレンズ351、リレーレンズ352、VFLレンズ370、リレーレンズ386、レンズ制御部371、焦点決定部375、及び位相オフセット補償部378を含む。様々な実施において、レンズ制御部371、焦点決定部375、及び/又は位相オフセット補償部378、並びに追加の構成要素の各々は、1つ以上のデータ/制御バス(例えばシステム信号及び制御バス395)及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェースによって、又は様々な要素間の直接接続によって、相互接続することができる。
様々な実施において、光源330は、VFLレンズシステム300の視野内でワークピース320を(例えばストロボ照明又は連続波照明によって)照明するように構成可能である。様々な実施において、光源330は、照明システムの一部として第1、第2、第3等の照明源を含み得る。例えば光源330は、対応する照明源(例えば光源330の一部である照明源)を動作させることによって、ストロボ照明のインスタンスを与えるように動作することができる。様々な実施において、適正な照明バランスを達成するため、光源330は、ストロボ照明の全てのインスタンス(例えば各々が光源330内の異なる照明源に対応する)の強度を別個に調整可能とするように制御すると共に、画像の全体的な輝度を制御するように同時に調整することができる。
動作において、図3に示す実施では、光源330は「同軸(coaxial)」光源であり、部分ミラー390を含む経路に沿って対物レンズ350を介してワークピース320の表面へと光源光332を発するように構成されている。対物レンズ350は、ワークピース320に隣接した焦点位置FPで集束するワークピース光355を受光し、ワークピース光355をチューブレンズ351に出力する。他の実施では、同様の光源によって視野を非同軸に照明することができる。例えば、リング光源が視野を照明することができる。様々な実施において、対物レンズ350は交換可能対物レンズとすることができ、チューブレンズ351はターレットレンズアセンブリの一部として含めることができる(例えば図2の交換可能対物レンズ250及びターレットレンズアセンブリ280と同様)。様々な実施において、対物レンズ350、チューブレンズ351、又は本明細書で言及する他のレンズの任意のものは、個別のレンズ、複合レンズ等から形成するか、又はこれらのレンズと連携して動作することができる。チューブレンズ351はワークピース光355を受光し、これをリレーレンズ352に出力する。
リレーレンズ352はワークピース光355を受光し、これをVFLレンズ370に出力する。VFLレンズ370はワークピース光355を受光し、これをリレーレンズ386に出力する。リレーレンズ386はワークピース光355を受光し、これを焦点決定部375の光学検出器360(例えばカメラ、共焦点光学検出器等)に出力する。様々な実施において、光学検出器360は画像露光期間中にワークピース320の画像をキャプチャすることができ、この画像を制御システム部に提供することができる(例えば、図2において画像を制御システム部120に与えるための光学検出器260の動作と同様)。
様々な実施において、VFLレンズシステム300は追加的に又は代替的に、任意選択的なビームスプリッタ361’、任意選択的なチューブレンズ386’、及び任意選択的な焦点決定部375’を含み得る。任意選択的な焦点決定部375’は、任意選択的な光学検出器360’及び任意選択的な焦点信号処理部377’を含み得る。動作において、ビームスプリッタ361’は、ワークピース光355を分割し、ワークピース光355’をチューブレンズ386’に出力するように構成することができる。チューブレンズ386’は、ワークピース光355’を光学検出器360’に出力するように構成することができる。1つの実施では、当業者により理解されるように、光学検出器360’は、共焦点原理に従って動作するように構成できる共焦点光学検出器を含み得る。
以下で詳述するように、様々な実施において、光学検出器360(又は360’)は、VFLレンズ370を含む撮像システムからの光を入力するように構成することができ、焦点信号処理部377(又は377’)は、(例えばワークピース320の)撮像表面領域が焦点位置にあることが光学検出器からの信号データによって示された時に対応する未処理の位相タイミング信号値を決定するように構成することができる。例えば光学検出器360がカメラである実施では、信号データは、このカメラが取得した1以上の画像(例えば画像スタック)に対応する。この場合、ポイントフロムフォーカス動作又は他の解析のようなコントラスト決定を実行して、ワークピース320の撮像表面領域が焦点位置にある時を決定できる。画像スタック及び焦点曲線の決定及び解析、並びにポイントフロムフォーカス動作のための例示的な技法は、米国特許第6,542,180号及び第9,060,117号に教示されている。これらの各特許は援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。別の例として、光学検出器360’が共焦点構成の一部として含まれる共焦点光学検出器である実施では、信号データは、検知された共焦点輝度レベルに相当し得る。そのような実施では、VFLレンズ370の光学パワーを周期的に変更させる間に共焦点光学検出器360’を用いて、最大共焦点輝度が生じる時を決定することができる。これは、焦点位置に対応し、これに相当するワークピース320の撮像表面領域のZ高さを示す。
VFLレンズシステム300が、焦点信号処理部377’及び光学検出器360’(例えば共焦点光学検出器)を有する焦点決定部375’を含む実施では、光学検出器360(例えばカメラ)を焦点位置決定に使用する必要がない場合がある。より具体的には、そのような実施では、光学検出器360’を焦点決定機能のため使用すると共に、カメラ360を撮像のため使用することができる(例えば、場合によっては焦点信号処理部377を含める必要がないことがある)。これとは逆に、VFLレンズシステム300が焦点決定部375’を含まず、焦点決定部375のみを含む場合、カメラ360は合焦機能のために使用され得る。別の代替案として、様々な実施においてVFLレンズシステム300は、共焦点光学検出器360’を有する焦点決定部375’のみを含み、カメラ360を有する焦点決定部375を含まない場合もある(例えば、VFLレンズシステム300がスタンドアロンの共焦点器具の一部として含まれる場合等)。
VFLレンズ370は、(例えば1回以上の画像露光中、共焦点輝度決定中等に)撮像システムの焦点位置FPを変えるように電子的に制御可能である。焦点位置FPは、焦点位置FP1と焦点位置FP2によって画定される範囲R内で動かすことができる。様々な実施において、範囲Rはユーザによって選択可能であるか、又は設計パラメータから与えられ得るか、又は他の方法で自動的に決定され得ることは認められよう。一般に図3の例に関して、図示した寸法のいくつかは一定の縮尺通りに描かれていない場合があることは認められよう。例えば、VFLレンズ370は図示するものと異なる比例的寸法を有し得る(例えば、所望の量の屈折力(lensing power)等を与えるため、いくつかの用途では幅がより狭く長さが50mm以上であり得る)。
様々な実施において、マシンビジョン検査システムは、VFLレンズシステム300の焦点位置を周期的に変更するために、レンズ制御部371と連携して動作するか又は他の方法でVFLレンズ370を制御するように構成可能な制御システム(例えば図2の制御システム120)を備えることができる。いくつかの実施では、VFLレンズ370は極めて迅速に焦点位置を調整又は変更することができる(例えば、少なくとも300Hz、又は3kHz、又は70kHz、又はそれ以上のレートで周期的に)。1つの例示的な実施では、(1倍の対物レンズ350では)範囲Rは約10mmとすることができる。様々な実施において、VFLレンズ370は、焦点位置FPを変えるために撮像システムにおける巨視的な機械的調整及び/又は対物レンズ350とワークピース320との間の距離の調整を必要としないように有利に選択される。このような場合、上述の通り本願に含まれる980号公報に記載されているように、拡大被写界深度画像を取得することができる。更に、(例えば数マイクロメータ、又は数十マイクロメータ、又はそれ以下のオーダーの精度の)精密測定等に用いられ得る固定焦点検査画像を取得するため同一の撮像システムを用いる場合に精度を低下させる巨視的な調整要素も、これに関連した位置決めの非再現性(non−repeatability)も存在しない。上述のように本願に含まれる726号公報に記載されている通り、焦点位置FPの変化を利用して、ワークピース320に隣接したZ高さ方向に沿った複数の位置における複数の画像を含む画像スタックを迅速に取得することができる。
様々な実施において、VFLレンズ370は可変音響式屈折率分布型(「TAG」)レンズとすることができる。可変音響式屈折率分布型レンズは、流体媒質中で音波を用いて焦点位置を変更し、焦点距離範囲を数百kHzの周波数で周期的にスイープすることができる高速VFLレンズである。このようなレンズは、論文「High−speed varifocal imaging with a tunable acoustic gradient index of refraction lens」(Optics Letters、Vol.33、No.18、2008年9月15日)の教示によって理解することができる。これは援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。可変音響式屈折率分布型レンズ及びこれに関連した制御可能信号発生器は、例えばTAG Optics, Inc.(ニュージャージー州プリンストン)から入手可能である。例えば、モデルTL2.B.xxxシリーズのレンズは最大で約600kHzの変更が可能である。
様々な実施において、上述のように本願に含まれる726号公報に詳述されている通り、光学検出器360は、グローバルシャッターを有するセンサ、すなわち各画素を同時に露光するセンサを備えることができる。このような実施形態は、ワークピースもVFLレンズシステム300のどの部分も動かすことなく画像スタックを測定する機能を与えるという点で有利である。種々の代替的な実施では、光学検出器360は、電子ローリングシャッター(ERS)システムを有するセンサを備えることができる。例えばカメラシステムは、電子ローリングシャッター(ERS)システムと組み合わせたSXGA解像度を用いる白黒CMOSセンサを備えることができる(例えばカリフォルニア州サンホゼのAptina ImagingのモデルMT9M001)。
VFLレンズ370は、VFLレンズ370を動作させる信号を発生することができるレンズ制御部371によって駆動され得る。一実施形態において、レンズ制御部371は市販の制御可能信号発生器とすればよい。いくつかの実施では、レンズ制御部371は、(例えば図2を参照して先に概説したようにレンズ制御部/インタフェース271を介して)ユーザ及び/又は動作プログラムによって構成又は制御され得る。いくつかの実施では、レンズ制御部371は、VFLレンズ370を制御してその光学パワーを(例えば正弦波状に)周期的に変更させることで、Z高さ方向に沿った複数の焦点位置にわたって撮像システムの焦点位置を高動作周波数で周期的に変更することができる。例えばいくつかの例示的な実施では、可変音響式屈折率分布型レンズは400kHzという高さの焦点走査速度向けに構成可能であるが、様々な実施及び/又は用途ではより低速の焦点位置調整及び/又は変更周波数が望ましい場合があることは認められよう。例えば様々な実施では、300Hz、又は3kHz、又は70kHz、又は250kHz等の周期的な変更を使用可能である。低速の焦点位置調整を用いる実施では、VFLレンズ370は制御可能液体レンズ(fluid lens)等を含み得る。様々な実施において、周期的に変更されるVFLレンズの光学パワーは第1の周期変更位相を規定することができる。
様々な実施において、レンズ制御部371は、駆動信号発生部372及びZ高さ対位相較正部373を含み得る。駆動信号発生部372は、周期信号を与えるように(例えばタイミングクロック372’と連携して)動作することができる。様々な実施において、レンズ制御部371により、駆動信号発生部372の周期信号と同期をとった位相タイミング信号を与えることができる。様々な実施において、周期信号は、周期的に変更されるVFLレンズ光学パワーと同じ動作周波数を有し、周期的に変更されるVFLレンズの光学パワーの第1の周期変更位相に対して位相オフセットを有する第2の周期変更位相を有し得る。様々な実施において、Z高さ対位相較正部373は、各Z高さを各位相タイミング信号値に関連付ける第1のZ高さ対位相特徴付けを与えることができる。
様々な実施において、光学検出器360(又は360’)は、VFLレンズ370を含む撮像システムからの光を入力するように構成することができ、焦点信号処理部377(377’)は、(例えばワークピース320の)撮像表面領域が焦点位置にあることが光学検出器からの信号データによって示された時に対応する未処理の位相タイミング信号値を決定するように構成することができる。図5に関して以下で詳述するように、未処理の位相タイミング信号値は、第1及び第2の周期変更位相間の位相オフセットに関連付けられるような位相オフセット成分を含み得る。これも以下で詳述するが、位相オフセット補償部378は、撮像表面領域に対応する未処理の位相タイミング信号値を入力し、それら撮像表面領域のZ高さ測定値を与える位相オフセット補償プロセスを実行するように構成することができる。ここで、位相オフセット成分に関連したZ高さエラー及びZ高さ変動の少なくとも一方は少なくとも部分的に除かれる。様々な実施において、位相オフセット補償部378の位相オフセット推定部379は、位相オフセット補償プロセスの一部として使用され得る位相オフセットの推定値を決定することができる。
図3の例では、リレーレンズ352及び386並びにVFLレンズ370は4f光学構成に含まれるものとして示され、リレーレンズ352及びチューブレンズ351はケプラー式望遠鏡構成に含まれるものとして示され、チューブレンズ351及び対物レンズ350は顕微鏡構成に含まれるものとして示されている。ここに示す構成は全て例示に過ぎないので、本開示に対する限定でないことは理解されよう。ケプラー式望遠鏡構成の一部として、チューブレンズ351の焦点距離FTUBEは、リレーレンズ352の焦点距離fと同様、レンズ351と352との中点とほぼ等距離にあるものとして示されている。代替的な実施では、チューブレンズ351の焦点距離FTUBEを、リレーレンズ352の焦点距離f(これは4f光学構成の4fの1つに対応する)とは異なるものにしてもよい。チューブレンズ351がターレットレンズアセンブリの一部として含まれ得る様々な実施では、ターレットレンズアセンブリの他のチューブレンズが動作位置まで回転した場合、同じ位置に焦点を有する(すなわちリレーレンズ352の焦点と合致する)ことが望ましい場合がある。
上述のように本願に含まれる409号出願に詳述されている通り、焦点距離fに対する焦点距離FTUBEの比を用いて、チューブレンズ351に入力するワークピース光355のコリメートビームに対してリレーレンズ352から出るワークピース光355のコリメートビームの直径を変えることができる。チューブレンズ351に入力するワークピース光355のコリメートビーム及びリレーレンズ352から出力するワークピース光355のコリメートビームに関して、様々な実施では、そのようなコリメートビームがより長い経路長に拡張され得ること、及び/又は(例えば異なるカメラシステム等へ向けられた)追加の光路を与えるためにそのようなコリメートビームに対してビームスプリッタが使用され得ることは認められよう。
様々な実施において、図示する4f光学構成は、VFLレンズ370(例えば可変音響式屈折率分布型レンズ等の開口数(NA)が小さいデバイスであり得る)を、対物レンズ350のフーリエ面に配置することを可能とする。この構成は、ワークピース320におけるテレセントリシティ(telecentricity)を維持すると共に、尺度変化及び画像歪みを最小限に抑えることができる(例えば、ワークピース320の各Z高さ及び/又は焦点位置FPで一定の倍率を与えることを含む)。ケプラー式望遠鏡構成(例えばチューブレンズ351及びリレーレンズ352を含む)は、顕微鏡構成と4f光学構成との間に含めることができ、上記のように、VFLレンズの位置で対物レンズ有効径(clear aperture)の望ましいサイズの投射を与えて画像収差等を最小限に抑えるように構成可能である。
様々な実施において、いくつかのタイプの寸法測定では回折限界に近いか又は回折限界の撮像が必要であり得ることは認められよう。図3に示す構成は、結像される対物レンズ350の瞳の軸外範囲をVFLレンズ370内に限定することによって収差を低減する。この構成では、半径方向の範囲は、その最低共振周波数fR,MINでのVFLレンズ370(例えば可変音響式屈折率分布型)の定在波の屈折率プロファイルにおいて一次ベッセルリング(1st Bessel ring)の半径方向の範囲よりも小さく維持することができる。これについては、上述のように本願に含まれる409号出願に詳述されている。このように、顕微鏡構成(すなわち対物レンズ350及びチューブレンズ351を含む)からの光はVFLレンズ370の最大有効径CAVFL,MAXを超えない。この光が最大有効径を超える実施では、光は、望ましくない屈折率を有し得るVFLレンズ370の定在波の領域と相互作用して収差を増大させ、寸法測定の精度を低減させる恐れがある。VFLレンズシステム300のいくつかの例示的な動作について、図4及び図5を参照して以下で詳述する。
図4は、図3のVFLレンズ370の周期的に変更される制御信号410及び光学応答420の位相タイミングを示すタイミング図400である。図4の例には、制御信号410及び光学応答420が同様の位相タイミングを有し、従って同一の信号として表される理想的な事例が示されている(例えば図5の例で信号が位相オフセットだけ分離しているのとは対照的である。これについては以下で詳述する)。様々な実施において、制御信号410は、図3の駆動信号発生部372により生成される駆動信号に関連付けることができ、光学応答420は、先に概説したようにVFLレンズ370の光学パワーを周期的に変更させることによって制御される撮像システムの周期的に変更される焦点位置を表すことができる。
様々な実施において、曲線410及び420の正弦波形状は、一連のレンズ(例えば図2に示すような対物レンズ350、VFLレンズ370等)に依存することがあり、VFLレンズ370の光学パワーは図4に示すようなサイクルをとり、1/fに等しい(ここでf=焦点距離である)。以下で詳述するように、各Z高さを各位相タイミング信号値に関連付けるZ高さ対位相特徴付けは、既知の原理に従った較正によって確立することができる(例えば数学的モデルに従って、及び/又は、既知のZ高さまで表面を繰り返し進ませ、次いでこの既知のZ高さで画像を最良に合焦する位相タイミングを手作業で又は計算によって求め、その関係をルックアップテーブル等に記憶する)。
タイミング図400は、各Z高さ(例えばzφ0、zφ90、zφ180、zφ270等)に対応して、制御信号410の各位相タイミング信号値(例えばt0、t90、t180、t270等)に等しい位相タイミング(例えばφ0、φ90、φ180、φ270等)を示している。様々な実施において、位相タイミング信号値(例えばt0、t90、t180、t270等)は、(例えばクロックによって、又は周期変更に対するタイミングを確立するための他の技法等によって与えられるような)位相タイミング信号に従って決定することができる。タイミング図400に示す位相タイミング信号値は、限定でなく例示のみを意図していることは理解されよう。より一般的には、任意の位相タイミング信号値には、図示する焦点位置範囲内の焦点位置Z高さが関連付けられている(例えば、図示する例における範囲は最大Z高さzφ90及び最小Z高さzφ270を有する)。
上述のように、様々な技法(例えばポイントフロムフォーカス、最大共焦点輝度決定等の使用)を用いて、ある撮像表面領域に焦点が合っている時を決定できる。これは、この撮像表面領域のZ高さ測定値に対応付けることができる。例えば、ある撮像表面領域に焦点が合っている時に従って、この撮像表面領域がZ高さzφsurfにあることが決定され得る。すなわち、図示する例において、位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)に等しい位相タイミングφsurf_ind(−)では、焦点位置はZ高さzφsurfにあり、このZ高さzφsurfに位置するワークピース表面領域に焦点が合っている。同様に、位相タイミング信号値Tsurf_ind(+)に等しい位相タイミングφsurf_ind(+)では、焦点位置はZ高さzφsurfにあり、このZ高さzφsurfに位置するワークピース表面領域に焦点が合っている。そのような値を、各Z高さを各位相タイミング信号値に関連付けるZ高さ対位相特徴付けに含ませることで、ある撮像表面領域に焦点が合っていると決定された場合、対応する位相タイミング信号値(例えばTsurf_ind(−))を使用してその撮像表面領域の対応する測定Z高さ(例えばZ高さzφsurf)を検索できることは認められよう。
図示する例では、位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)及びTsurf_ind(+)は、反対方向への焦点位置の移動に対応する。より具体的には、位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)は、第1の方向(例えば下方向)への焦点位置の移動に対応し、位相タイミング信号値Tsurf_ind(+)は、第1の方向とは反対の第2の方向(例えば上方向)への焦点位置の移動に対応する。図4の例では制御信号410及び光学応答420が同様の位相タイミングを有するので、制御信号410の位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)及びTsurf_ind(+)は、同一のZ高さzφsurfに対応するように示されている。これに対し、図5に関して詳述するように、光学応答420が制御信号410に対して位相オフセットを有する場合、そのような位相タイミング信号値に対応するものとして異なるZ高さが示され得る。この場合、本明細書に開示される原理に従った位相オフセット補償プロセスを使用することができる。
図5は、図3のVFLレンズシステムの周期的に変更される制御信号410’と光学応答420’との間に位相オフセットを示すタイミング図500である。図5に示すように、位相オフセット成分はデルタ位相タイミングΔΦに相当し、これはデルタ位相タイミング信号値Δtに相当する。この位相オフセット成分の結果、撮像表面領域が実際にはZ高さzφsurf_actにある場合、光学応答420’に対する対応した位相タイミング信号値は、制御信号410’に対する他のZ高さを示し得る。
すなわち、図示する例において、位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)に等しい位相タイミングφsurf_ind(−)では、光学応答420’は、Z高さzφsurf_actにある焦点位置に対応するが、制御信号410’は、焦点位置がZ高さzφsurf_ind(−)にあると誤って示している。Z高さzφsurf_actとZ高さzφsurf_ind(−)との差は、Z高さエラーZerr(−)と示されている。同様に、位相タイミング信号値Tsurf_ind(+)に等しい位相タイミングφsurf_ind(+)では、光学応答420’は、Z高さzφsurf_actにある焦点位置に対応するが、制御信号410’は、焦点位置がZ高さzφsurf_ind(+)にあると誤って示している。Z高さzφsurf_actとZ高さzφsurf_ind(+)との差は、Z高さエラーZerr(+)として示されている。
上述のように、位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)は、第1の方向(例えば下方向)への焦点位置の移動に対応し、位相タイミング信号値Tsurf_ind(+)は、第1の方向とは反対の第2の方向(例えば上方向)への焦点位置の移動に対応する。図示のように、これに応じて、対応するZ高さエラーZerr(−)及びZerr(+)は、(例えばZ高さzφsurf_actに対して)相互に反対であり得る。様々な実施において、Z高さエラーZerr(−)及びZerr(+)のこの反対の特性を、位相オフセット補償プロセスの一部として利用することができる。本明細書に開示される原理に従って、異なる位相オフセット補償プロセスを様々な実施において利用できる。これについて以下で詳述する。
例えば1つの構成において、位相オフセット補償プロセスは、対応する未処理の位相タイミング信号値セットに基づいて撮像表面領域のZ高さ測定値を決定することを含み得る。このセットは、それぞれ反対方向への撮像システムの焦点位置の移動に対応する少なくとも第1及び第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットを含む。図5の例に関して、第1の未処理の位相タイミング信号値サブセットは、少なくとも位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)を含み、更に、以降のVFLレンズサイクル中に決定される同様の位相タイミング信号値も含み得る(例えば、次のVFLレンズサイクル内で、下方向への焦点位置の移動中に撮像表面領域に再び焦点が合った場合、別の位相タイミング信号値が再び決定され得る等)。同様に、第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットは、少なくとも位相タイミング信号値Tsurf_ind(+)を含み、更に、以降のVFLレンズサイクル中に決定される同様の位相タイミング信号値も含み得る(例えば、次のVFLレンズサイクル内で、上方向への焦点位置の移動中に撮像表面領域に再び焦点が合った場合、別の位相タイミング信号値が再び決定され得る等)。
1つの実施において、そのような位相オフセット補償プロセスは、より具体的には、第1の未処理の位相タイミング信号値サブセット内の少なくとも1つの値(例えば未処理の位相タイミング信号値Tsurf_ind(−))と第1のZ高さ対位相特徴付けとに基づいて、第1の予備Z高さ測定値サブセット(例えば少なくともZ高さzφsurf_ind(−)を含む)を決定することから開始し得る。また、このプロセスは、第2の未処理の位相タイミング信号値サブセット内の少なくとも1つの値(例えば未処理の位相タイミング信号値Tsurf_ind(+))と第1のZ高さ対位相特徴付けとに基づいて、第2の予備Z高さ測定値サブセット(例えば少なくともZ高さzφsurf_ind(+)を含む)を決定することも含み得る。このプロセスは更に、第1の予備Z高さ測定値サブセット内の少なくとも1つの値(例えばZ高さzφsurf_ind(−))と第2の予備Z高さ測定値サブセット内の少なくとも1つの値(例えばZ高さzφsurf_ind(+))との中間にあるZ高さ測定値(例えばZ高さzφsurf_act)を決定することと、この決定したZ高さ測定値(例えばZ高さzφsurf_act)を撮像表面領域のZ高さ測定値として使用することと、を含み得る。様々な実施において、Z高さ測定値(例えばZ高さzφsurf_act)は、第1の予備Z高さ測定値サブセット内の少なくとも1つの値(例えばZ高さzφsurf_ind(−))及び第2の予備Z高さ測定値サブセット内の少なくとも1つの値(例えばZ高さzφsurf_ind(+))の平均値として決定することができる。様々な実施において、VFLレンズシステムの制御部は、撮像システムの動作範囲を最大動作範囲の2/3未満に制限し、制御部における周期信号のピーク又は谷を含まないようにする(例えば、正弦曲線410’及び/又は420’のピーク及び谷で生じる非線形部分でなく、比較的線形の部分で上述の位相オフセット補償プロセスを使用するようにする)ことができる。
別の例として、異なる構成において、位相オフセット補償プロセスは、位相オフセットの推定値を決定するように構成することができ、少なくとも1つの対応する未処理の位相タイミング信号値及び位相オフセットの推定値に基づいて撮像表面領域のZ高さ測定値を決定するためのZ高さ決定プロセスを含み得る。そのような構成では、Z高さ決定プロセスは、位相オフセットの推定値によって少なくとも1つの未処理の位相タイミング信号値を処理して位相オフセット成分を低減させることにより、補償された位相タイミング信号値を決定することを含み、更に、この補償された位相タイミング信号値及び第1のZ高さ対位相特徴付けに基づいてZ高さ測定値を決定することを含み得る。1つの実施において、位相オフセット補償部は、ある基準を満たすように位相オフセットの推定値を調整する調整プロセスを実行するように動作可能である位相オフセット推定部を含み得る。1つの実施において、この基準は、Z高さ決定プロセスが、位相オフセットの調整された推定値に基づき、固定表面領域を撮像する際に撮像システムの焦点位置の反対方向への移動にそれぞれ対応する少なくとも第1及び第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットに対応して繰り返される場合、得られる反対方向のZ高さ測定値の間の分散又は差の少なくとも一方がほぼ最小となるようなものである。図5の例に関して、第1の未処理の位相タイミング信号値サブセットは少なくとも位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)を含むことができ、結果としてZ高さzφsurf_ind(−)のZ高さ測定値が得られ、第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットは少なくとも位相タイミング信号値Tsurf_ind(+)を含むことができ、結果としてZ高さzφsurf_ind(+)のZ高さ測定値が得られる。この事例で得られる反対方向のZ高さ測定値間の分散及び/又は差は、Z高さエラーZerr(−)及びZerr(+)の和に等しくなり得る。図7を参照して以下で詳述するように、1つの実施では、位相オフセットの推定値を(例えば段階的な増分で)調整することで、結果として反対方向のZ高さ測定値間の分散又は差が最小となる位相オフセットの推定値を決定することができる(例えば、制御信号410’の位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)及びTsurf_ind(+)を同一のZ高さzφsurf_actに対応するよう更に近付けて、図4の例にいっそう類似した構成を達成するようにする)。
別の例として、位相オフセットの推定値が決定され調整される別の構成において、位相オフセット補償プロセスは、固定表面領域を撮像することと、撮像システムの焦点位置の反対方向への移動にそれぞれ対応する少なくとも第1及び第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットを含む対応する未処理の位相タイミング信号値セットを決定することと、を含み得る。そのような構成では、第1及び第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットは、第1の周期変更位相の約90度位相又は270度位相に名目上対称的に離間し、位相オフセットの推定値は、これら第1及び第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットに基づいて調整することができる。図5の例に関して、第1の未処理の位相タイミング信号値サブセットは、少なくとも位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)を含み、更に、以降のVFLレンズサイクル中に決定される同様の位相タイミング信号値も含むことができ、第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットは、少なくとも位相タイミング信号値Tsurf_ind(+)を含み、更に、以降のVFLレンズサイクル中に決定される同様の位相タイミング信号値も含むことができる。そのような第1及び第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットは、図5に未処理の位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)及びTsurf_ind(+)の離間について示すように、光学応答420’の第1の周期変更位相の約270度位相に名目上対称的に離間している。
1つの実施において、第1及び第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットに基づいて位相オフセット推定値を調整する動作は、第1の周期変更位相の90度位相又は270度位相の第1のピーク位相タイミング信号値を、第1及び第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットの平均値(例えば270度位相の未処理の位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)及びTsurf_ind(+)の平均値)として近似することから開始し得る。また、この動作は、第2の周期変更位相の対応する90度位相又は270度位相の第2のピーク位相タイミング信号値を、第2の周期変更位相を有する制御部における周期信号と同期をとった位相タイミング信号に基づいて確立することを含み得る(例えば位相タイミング信号値t270)。この動作は更に、位相オフセット推定値を、第1及び第2のピーク位相タイミング信号値間の差に対応する値に調整することを含み得る(例えば、制御信号410’の位相タイミング信号値Tsurf_ind(−)及びTsurf_ind(+)を同一のZ高さzφsurf_actに対応するよう更に近付けて、図4の例にいっそう類似した構成を達成するようにする)。
様々な実施において、制御信号410’は、VFLレンズシステムにより生成及び/又は決定される様々な他の信号に関連付けてもよい。例えば、VFLレンズシステムの特定の電子回路又はルーチンによって同期パルスを生成することができ、この同期パルスは、光学応答及び/又は駆動信号(例えば図3の駆動信号発生部372により生成される)に沿った指定の位相位置で発生するように同期をとることができる。場合によっては、提供される同期パルスが出力曲線上の指定位置(例えば光学応答420’)で発生することになっていると指示するVFLレンズシステム及び/又はシステムに関する文書を与えることができる。しかしながら実際には、指定された同期パルス位置と実際の同期パルス位置との間に遅延(例えば位相遅延)が存在し得ることが確認されている。更に、この遅延は、条件(例えば温度等)に応じて変動する傾向があることが確認されている。様々な実施において、制御信号410’は、そのような同期パルスのタイミングを表すか又は他の方法でそのタイミングと同期をとった合成信号とすることができ、Z高さ対位相特徴付けの値に対応し得る。1つの実施において、同期パルスは、図3の駆動信号発生部372により生成される駆動信号と同期をとることができ、駆動信号に沿った指定の位相位置で発生し得る。例えば様々な実施において、光学応答420’は駆動信号に対して位相オフセットを有し、制御信号410’(例えば同期パルスのタイミングを表す)は、駆動信号と同期をとっているが、駆動信号に対して位相オフセットを有し得る。1つの実施において、位相タイミング信号(例えばクロック等によって与えられる)は、制御信号410’及び/又は対応する同期パルスと同期をとることができる。
図6は、表面領域の表面Z高さ測定値を決定するためのルーチン600の1つの例示的な実施を示すフロー図である。ブロック610では、VFLレンズを制御してその光学パワーを周期的に変更させ、これにより、Z高さ方向に沿った複数の焦点位置にわたって光学システムの焦点位置を第1の動作周波数で周期的に変更させる。周期的に変更させたVFLレンズ光学パワーは、第1の周期変更位相を規定する。ブロック620では、位相タイミング信号を与える。位相タイミング信号は、第1の動作周波数を有すると共に第1の周期変更位相に対して位相オフセットを有する第2の周期変更位相を有する周期信号と同期をとっている。
ブロック630では、各Z高さを各位相タイミング信号値に関連付ける第1のZ高さ対位相特徴付けを与える。ブロック640では、表面領域が焦点位置にあることが光学検出器からの信号データによって示された時に対応する未処理の位相タイミング信号値を決定する。未処理の位相タイミング信号値は、第1及び第2の周期変更位相間の位相オフセットに関連付けられる位相オフセット成分を含む。ブロック650では、表面領域のZ高さ測定値を与える位相オフセット補償プロセスを実行する。与えられたZ高さ測定値において、位相オフセット成分に関連したZ高さエラー及びZ高さ変動の少なくとも一方は少なくとも部分的に除かれている。
図7は、位相オフセットの推定値を決定するためのルーチン700の1つの例示的な実施を示すフロー図である。本明細書で概説したように用いるため、ルーチン700を較正手順で用いてZ高さ対位相特徴付けを生成又は調整する場合、ルーチン700は、VFLレンズシステムの焦点の実際のZ走査範囲に対応する倍率も決定することができる。
ブロック710では、VFLレンズシステムの変更サイクルの周期Tを決定する。様々な実施において、周期変更サイクルの周期T決定するため様々な技法を用いることができる。例として、(例えばVFLレンズシステムの特定の電子回路又はルーチン等によって)同期パルスを発生させる構成では、周期Tは、2つの同期パルス間の平均周期として計算され得る。高いサンプリング周波数を利用する実施(例えば1周期変更サイクル当たり数千の測定Z高さサンプル)では、周期変更サイクルの周期Tを決定するため、いくつかの例では2つの同期パルス間のサンプルの中央値が使用され得る。ブロック720では、VFLレンズシステムの近似Z走査範囲を決定する。様々な実施において、近似Z走査範囲はVFLレンズシステムの光学モデルに基づくことができる。
ブロック730では、位相オフセットの初期試行推定値、及び、各Z高さを各位相タイミング信号値に関連付けるZ高さ対位相特徴付けを決定する。様々な実施において、Z高さ対位相特徴付けは、位相オフセットの初期試行推定値と同様に、周期T及び近似Z走査範囲に基づいて決定することができる。様々な実施において、Z高さ対位相特徴付けは、数学的モデル又は他のモデルに基づく(例えば、指定されたZ範囲、周期T、及び位相オフセットの初期試行推定値等を用いた正弦波又は余弦波に対応する値を含む)か、又は、実験的に測定されたシステムのZ高さ−位相特徴に基づく(例えば、線形近似、スプライン補間、正弦波の当てはめ(fitting)等の様々な方法を用いて補間されたルックアップテーブル)ことができる。様々な実施において、Z高さ対位相特徴付けにおける値の数を、2つの同期パルス間で発生するサンプル(例えば測定されるZ高さ)の数とほぼ等しくすることが望ましい場合がある。場合によっては、このサンプル数はVFLレンズシステムのサンプリングレートに依存し得る。様々な実施において、システムの所望の精度に応じて異なるサンプリングレート(例えば1サイクル当たり数千サンプル等)を使用することができる。
ブロック740では、VFLレンズシステムのZ走査範囲内に、表面領域(例えば較正手順の場合はミラー)を位置決めする。様々な実施において、表面領域をZ走査範囲のほぼ中央に配置することが望ましい場合がある。VFLレンズシステムの一部として他の走査機能(例えば横方向走査等)が含まれる実施では、測定される表面位置のZ変動性に対する他の光学エラーの影響を低減するため、そのような他のタイプの走査をオフにするか又は他の方法で使用不可にすることが望ましい場合がある。より具体的に述べると、いくつかの実施では、VFLレンズシステムのZ高さ走査機能を用いて、静止較正表面の画像表面領域上の全く同じスポットを繰り返し測定することが望ましい。
ブロック750では、静止撮像表面領域が焦点位置にある時に対応した双方向位相タイミング信号値及び対応するZ高さ測定値を決定する。図5を参照して上述したように、様々な実施において、そのような動作は、位相オフセットの試行推定値に基づいてZ高さ決定プロセスを実行することと、固定表面領域を撮像する際の撮像システムの焦点位置の反対方向への移動にそれぞれ対応する少なくとも第1及び第2の未処理の位相タイミング信号値サブセットに対応して動作を繰り返すことと、を含み得る。様々な実施において、現在のZ高さ対位相特徴付けを用いた多数のZ走査から、多くのZ高さ測定値を決定することができる。様々な実施において、例えばVFLレンズ370が1秒当たり多数(例えば数千等)のサイクルで連続的に走査するよう動作している場合、各Z走査で迅速にZ高さ測定値を決定することができる(例えば図4及び図5を参照して上述したように、上方向及び下方向の双方で)。このように、撮像表面領域上の固定表面スポットを測定している場合、多数(例えば数千等)のZ高さを、(例えば共焦点又は他のシステム等を利用して)迅速に蓄積することができる。
決定ブロック760では、試行分散又は差の少なくとも一方が少なくともほぼ最小となっているか否かを判定する。例えば、全体的な試行分散又は差を求めるため、決定されたZ高さ測定値に標準偏差の計算を適用する(例えばそれらのσを計算する)ことができる。全体的な試行分散又は差が充分に最小化されていない場合、ルーチンはブロック770に進み、ここで位相オフセットの試行推定値を調整する。例えば、位相オフセットの試行推定値を、段階的な増分(例えば0.1度の位相ステップ等)で又は他の技法によって調整し、位相オフセットの新しい試行推定値を与えることができる。しかしながら、推定位相オフセットを調整するこの実施は例示に過ぎず、限定ではない。例えば1つの代替的な調整方法では、推定範囲又は所定範囲にわたって複数の位相オフセットについて各差又は分散を決定し、これがデータポイントの対応する曲線を規定できる。曲線の最小値(最小の分散又は差)を、既知の方法(曲線の当てはめ及び山又は谷の検出等)によって見出すことができ、対応する位相オフセット値を、推定位相オフセットのために用いることができる。この結果、曲線を確定するため用いられる初期値間の補間位相オフセット値に対し、「理想的」で精密な調整を行うことができる。ブロック770の動作を実行するためのこれら及び他の代替的な方法は、本明細書に含まれる様々な教示に基づいて当業者に明らかとなり得る。
試行分散又は差が少なくともほぼ最小となっている場合、ルーチンはブロック780に進む。様々な実施において、一度、試行分散又は差が最小になっていると判定されたら(例えば、ブロック760の要件(複数の要件)を満たすため必要に応じてブロック750から770の動作を実行した後)、位相オフセットの対応する試行推定値を、VFLレンズシステムの以降のZ高さ測定値動作のための位相オフセット推定値として使用できる。様々な実施において、位相オフセット推定値は、測定Z高さを個々に又はまとめて決定するための1つ以上のプロセスの一部として使用可能であり、又は、位相オフセットのドリフト又は変化を考慮に入れるように以前決定したZ高さ対位相特徴付けを調整するため使用可能である。換言すると、以前決定したZ高さ対位相特徴付けに対応するか又はその基礎にある「当初の(original)」位相オフセットが変化した場合、これと新しい位相オフセット推定値との差を用いて、新しい位相オフセット推定値を考慮した適正なものとなるようにZ高さ対位相特徴付けをシフト又は調整することができる。
ブロック780では、ルーチン700が較正プロセスにおいてZ高さ対位相特徴付けを生成又は調整するため用いられている場合、(例えば各Z高さ値のスケーリングのため等の)倍率を決定する。様々な実施において、倍率の決定は既知のZステップ高さで較正オブジェクトを使用することを含むか、又は単一の表面を既知の量だけZに変位させる場合がある。倍率を決定するため、既知のZステップ高さの較正オブジェクト又は既知の量だけZに変位させた表面を測定して、対応する第1及び第2のZ高さ測定値を決定する(例えば、決定した第1及び第2の対応する未処理の位相タイミング信号値及び位相オフセット推定値等に少なくとも部分的に基づくZ高さ決定プロセスを利用する)。第1及び第2のZ高さ測定値間の差に対応する測定Z高さ差を決定する。次いで、この測定Z高さ差を乗算するか又は他の方法で適用した場合に既知のZ高さ差に等しい値となる倍率を決定する。事実上、この倍率を用いて、VFLレンズシステムのZ高さ焦点変動の範囲又は振幅を精密に較正できることが理解できる。必要に応じて又は所望のように、そのような倍率を用いて、Z高さ対位相特徴付けで用いるZ高さ値を確定するか、又は調整済みZ高さ対位相特徴付けで用いるZ高さ値を調整することができる。
図8から図14を参照して以下に開示する問題の解決策及び関連する原理は、図1から図7を参照して上述したものとは多少異なっている。図1から図7の前述の記載は、高速で周期的に変更される可変焦点距離(VFL)レンズを含む撮像システムを用いて、より高精度のZ高さ測定値を与えるように動作可能であるシステムの様々な実施において使用され得る要素、原理、及び動作の様々な組み合わせを開示する。特に、光学焦点検出器及び焦点信号処理部は、撮像表面領域が焦点位置にある時を極めて低いレイテンシで示す。これに関連する信号及びタイミング情報によって、位相オフセット補償プロセスは、表面領域の画像に関連したZ高さ測定値を与える精度の向上を図ることができる。特に、電子的及び電気機械的なレイテンシに起因する位相オフセットエラーのために従来技術のシステムに存在するZ高さエラー及びZ高さ測定変動の少なくとも一方を、少なくとも部分的に除くことができる。しかしながら、前述の記載では、高速で周期的に変更される(例えば70kHz)可変焦点距離(VFL)レンズを用いる場合に、確定された画像焦点位置に対応するZ高さ測定値の精度向上を可能とするが、これは、ある特定のワークピース表面に一致するように画像焦点位置を自動的に調整し(すなわち自動合焦)、その特定の表面を撮像する及び/又はその特定のZ高さを確定するための完全なシステムを開示しない。一般的に言えば、これを実行する既知の方法は望ましい速度よりも低速であり、高速で周期的に変更されるVFLレンズ(例えばTAGレンズ)の特徴を利用するのに完璧に適しているわけではない。
様々な用途において、高いスループットを得るため、固定検査システム又はノンストップ移動検査システムのいずれかで高速測定を実行することが望ましい。充分に合焦された検査画像及びZ高さ測定に関して(これは一般に「最良の焦点」の高さ決定に基づく)、検査画像取得レート及びZ高さ測定を実行できるレートは、Z高さ焦点位置調整レート又は移動速度によって制限され得る。しかしながら、革新的な可変焦点レンズ(例えばTAGレンズ)は、極めて高いレート(例えば70kHz)で周期的に焦点を変化させることができる。それらの画像焦点位置を極めて高い精度で、かつ焦点変動レートに応じたレートで自動的に決定及び調整することには、問題があることが知られている。高速精密検査動作に用いられる様々な高速可変焦点レンズのために、画像焦点位置を自動的に決定及び調整する改良されたシステム及び方法が必要とされている。
図8から図14の以下の説明は、高速で周期的に変更されるVFLレンズ(例えばTAGレンズ)を含む撮像システムを用いて自動合焦された画像を提供するように動作可能であるシステムの様々な実施において使用され得る要素、原理、及び動作の様々な組み合わせを開示する。そのような撮像システムのいくつかの一般的な動作原理を簡単に見直すと、そのような撮像システムが、各変更周期内の特定のタイミング又は位相タイミングにおいて特定の焦点位置(又は焦点Z高さ)を有することは認められよう。従って、所望の対応する焦点位置で露光増分を得るため、ストロボ要素(例えばストロボ照明源又は高速電子カメラシャッタ)を制御して、特定の位相タイミングで短時間、露光を使用可能にすることができる。画像のピンぼけなしに露光を増大させるため、画像露光中に生じる(例えばカメラ画像積分時間を通して生じる)複数の周期変更期間における特定の位相タイミングでストロボ要素を繰り返しストロボ発光させることができる。これらの原理は、前述のように本願に含まれる引用文献、並びに、援用により全体が本願にも含まれる米国特許第8,194,307号、9,143,674号、並びに、それぞれ援用により全体が本願にも含まれる、2015年8月31日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Multi−Level Image Focus Using a Tunable Lens in a Machine Vision Inspection System」と題する米国特許出願第14/841,051号、及び2016年11月23日に出願され、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された「Machine Vision Inspection System And Method For Obtaining An Image With An Extended Depth Of Field」と題する米国特許出願第15/360,671号を参照して、更に詳しく理解することができる。
直前に概説した原理に従って、高速で周期的に変更されるVFLレンズ(例えばTAGレンズ)を含む撮像システムを特定の表面で自動的に合焦させるため、特定の位相タイミングがその特定の表面での合焦に対応する時を自動的に検知し、次いでその検知した特定の位相タイミングで短時間露光を使用可能とするように露光ストロボ時間制御部を動作させるためのシステムが必要となる。そのようなシステムの様々な実施について以下で説明する。
図8は、高速で周期的に変更される可変焦点距離(VFL)レンズ370を含む撮像システムを用いて自動合焦された画像を提供するように動作可能であるシステム800の第1の実施の概略図である。図8のシステム800は図3のシステム300といくつかの特徴を共有し、大部分は前述の記載に基づく類推により理解され得ることは認められよう。以下で別段の記載がない限り、図8のいくつかの付番された構成要素は、図3の同様に付番された構成要素に対応し得る及び/又は同様の動作を有し得る。従って、そのような同様の構成要素及び共有される特徴については詳しく説明しない。以下の記載では、本明細書において前述した様々なシステム実施と比べて新規であるか又は追加的であるシステム800の動作のいくつかの要素及び態様を強調している。特に、自動合焦された画像を提供するため露光タイミングを自動的に調整することに関する要素及び動作を強調している。
システム800は、撮像システム810、VFLレンズ制御部371、VFL投射光源840、焦点決定部880、露光タイミング調整回路890、及び露光ストロボ時間制御部895を備えている。様々な実施において、撮像システム810は、少なくとも対物レンズ350(ワークピース表面から発する画像光を入力するように構成されている)、VFLレンズ370(対物レンズが透過させた画像光を受けるように構成されている)、及びカメラ360(VFLレンズ370が透過させた光を受けるように構成されている)を含む。図8に示す特定の構成において、撮像システム810は、図3を参照して前述した「4f」構成のレンズ351、352、及び386も含む。
VFLレンズ制御部371は、VFLレンズ370を制御してその光学パワーを周期的に変更させ、これにより、Z高さ方向に沿った複数の撮像システム焦点Z高さにわたって(例えば図8の座標fZで概略的に示すように)撮像システム810の焦点位置を周期的に変更させるように構成されている。VFLレンズ制御部371の様々な態様については、すでに本明細書で詳細に記載しており、本願に含まれる引用文献にも記載されている。
VFL投射光源840は、VFL投射光843を、焦点監視光路844に沿ってVFLレンズ370の裏側370Bへ、更にはVFLレンズ370及び対物レンズ350を介してワークピース表面320’へと与えるように構成された光源を備えている。図8に示す特定の実施において、VFL投射光源840は、光発生器841(例えば1つ以上のLED又はレーザダイオード)及びコリメートレンズ842を備えている。様々な実施では、VFL投射光843をコリメートして焦点監視光路844に沿ってVFLレンズ370の裏側370Bへ投射することができる。そのような実施において、VFL投射光843は撮像システム810と同じZ高さで合焦される。これは、以下に概説する動作及び方法で使用するためには有利である場合があるが、それらの焦点Z高さのわずかな差は既知の方法に従って電子機器又はソフトウェアで補償され得るので、厳しく要求されるわけではない。様々な実施において、光発生器841は、光学検出器885による検知範囲内であれば1つ以上の可視波長又は非可視波長を出力することができる。
焦点決定部880は光学検出器885を備え、これは、ワークピース320’の領域から反射されて対物レンズ350及びVFLレンズ370を介し、更には焦点監視光路844に沿って戻ってきた反射VFL投射光845を入力するように構成されている。むろん、反射VFL投射光845は、任意の特定の実施形態において、この光路に沿って配置された他の任意の光学構成要素も通過する。例えば図8に示す特定の実施形態では、反射VFL投射光845は反射されて、対物レンズ350、ビームスプリッタ339、レンズ351、レンズ352、VFLレンズ370を介し、ビームスプリッタ889で反射されて焦点監視光路844に沿って進み、ビームスプリッタ888を介して光学検出器885に至る。
反射VFL投射光845の受光に応答して、光学検出器885は、VFL投射光の焦点Zとこれを反射したワークピース表面320’の領域のZ高さとの差に応じた少なくとも1つの光学検出器信号を出力する。図8に示す上述した構成によると、VFL投射光焦点Z高さが撮像システム焦点Z高さを示すことは認められよう。光学検出器885として使用可能な何らかの例示的な光学検出器の動作については、以下で更に詳しく記載する。いくつかの実施において、焦点決定部880及び/又は光学検出器885は、既知の原理に従って設計された様々な信号及び調節及び/又は処理回路(図示せず)を含んでおり、光学検出器885から1つ以上の未処理の光学検出器信号を入力し、この光学検出器信号に基づいて増幅及び/又は信号処理を行って、システム800の他の要素が使用するのにいっそう適した形態の1つ以上の焦点逸脱信号を出力することは理解されよう。
露光タイミング調整回路890は、(例えば、いくつかの実施では信号ライン887上で)焦点決定部880からの焦点逸脱信号を入力し、この焦点逸脱信号に基づいて、撮像システム焦点Z高さがワークピース表面領域Z高さにほぼ一致する時に関連した露光タイミング調整信号を決定する。焦点逸脱信号に基づく露光タイミング調整信号の決定のために使用できる様々な例示的な実施については、以下で更に詳しく記載する。様々な実施形態において、露光タイミング調整回路890は、焦点決定時間期間中に(例えば制御ライン897を用いて)VFL投射光843のタイミングを制御するように構成された焦点決定光制御回路を好都合に含むことができる。いくつかの実施において、焦点決定時間期間中、VFL投射光843は連続的に与えられ、他の実施ではストロボ発光させることができる。いくつかの実施において、VFL投射光843は、以下で更に説明するように、焦点逸脱信号及び/又は露光タイミング調整信号に基づいて調整された時にストロボ発光させることができる。
様々な実施において、露光ストロボ時間制御部895は、(例えば周期的に変更される焦点位置の位相時間に対して)撮像システム810の画像露光時間を制御する。露光ストロボ時間制御部895は、露光タイミング調整回路890からの露光タイミング調整信号を入力し、この露光タイミング調整信号に基づいて調整済み画像露光時間を与えるように構成されている。この調整済み画像露光時間において、撮像システム焦点Z高さ(例えばfZ)は、ワークピース表面領域Z高さ(例えばSurfZ)にほぼ一致する。調整済み画像露光時間において撮像システム焦点Z高さがワークピース表面領域Z高さにほぼ一致するように、露光タイミング調整信号に基づいて画像露光時間を調整するために使用できる種々の例示的な実施について、以下で更に詳しく記載する。
前述したように、露光ストロボ時間制御部895は、様々な実施において、ストロボ照明源又は高速電子カメラシャッタを制御することによって画像露光時間を制御することができる。全画像積分期間内で時間調節したサブ露光増分を生成できる電子「シャッタストロボ」機能を有するデジタルカメラが、ますます利用されるようになっている。そのようなカメラは、いくつかの実施において、連続照明又は周囲照明を用いて上述の制御されたタイミングを与えることができる。しかしながら現時点では、照明源ストロボ動作を用いる方が実用的である。図8に示す実施において、撮像光源330は、画像取得中に露光ストロボ制御部895によって調整済み画像露光時間に動作されて撮像光832を出力することができる。焦点決定部880によって用いられるVFL投射光とは異なり、撮像光源330からの照明は対物レンズ350を通って合焦されるがVFLレンズ370を通らないので、調整済み画像露光時間に必ずしもワークピース表面320’で合焦するわけではないことは認められよう。この構成はいくつかの用途には充分であるが、画像照明の焦点の程度が潜在的に未知であるため、得られる画像強度は、多種多様なワークピースサービス及び/又は用途でこの構成を一般的に用いるには充分にロバストでないか又は充分に予測可能ではない恐れがある。画像照明が調整済み画像露光時間にワークピース表面320’上で予測可能に合焦される構成については、図12及び図13を参照して以下で記載する。
図8にはZ高さ較正部873も示されている。一度、調整済み画像露光時間に画像表面領域が取得されたら、Z高さ較正部873に含まれるデータを用いて、その画像に関連付けられる精密なZ高さを決定し、これを画像における表面領域のZ高さと見なすことができる。露光ストロボ時間制御部において調整済み画像露光時間が用いられ、従ってそれに関連付けられた位相タイミングを知るか又は決定することが可能となることは認められよう。様々な実施において、Z高さ較正部873は、各Z高さを周期焦点変更の各位相(位相タイミング)に関連付けるデータを含む前述のZ高さ較正部373と実質的に同様とすればよい。様々な実施において、Z高さ較正部873における較正位相タイミングは、レンズ制御部371で利用可能な周期焦点変更駆動信号を参照するか、又は焦点決定部880で検知され信号として利用可能な周期焦点変更を参照するか、又はシステム800において周期焦点変更の位相を表す安定した他の任意の信号を参照することができる。
様々な実施において、システム信号及び制御バス395に接続されているものとして図8に示す様々な要素は、既知の方法に従ってバス395上で本明細書に概説する信号を交換し得ること、及び/又は既知の方法に従って専用の相互接続(図示せず)上で本明細書に概説する信号を交換し得ることは認められよう。更に、図8を参照して記載する様々な要素は、既知の方法に従って及び/又は本明細書の前述の記載に基づく類推により、図2に示すシステム100の種々の適切な部分で実施してもよいことは認められよう。
図9A及び図9Bは、図8のVFLレンズシステムの光学検出器885の様々な実施において使用可能な、第1及び第2の例示的な「方向性(directional)」タイプの光学検出器885’及び885’’をそれぞれ示す。
図9Aは、既知のタイプの波面曲率検出器を備えた光学検出器885’を示す。一般に波面センサという言葉は、本明細書で用いる場合、入力光ビームの波面に沿った対応する領域で少なくとも1つのローカル光線角度をサンプリングして、このサンプリングしたローカル光線角度に応じた少なくとも1つの対応する検出信号を与えるものとして記述できる。一般に、入力光ビームの波面に沿って分離した2つの対応する領域で少なくとも2つのローカル光線角度をサンプリングして、これらのサンプリングしたローカル光線角度に応じた少なくとも2つの検出信号を与えることが望ましい。少なくとも2つの検出信号を含む関係は、入力焦点検出光ビームの波面曲率の程度に対応する。(波面曲率に対して)波面傾斜の効果は、少なくとも2つの検出器信号の各々に存在する共通モードエラーとして検出され除去され得る。
図示する光学検出器885’はシャックハルトマンセンサとして特徴付けることができ、レンズL1及びL2を含み、信号及び制御ライン(複数のライン)965を有する光検出器962を含む。一実施形態において、レンズL1及びL2はマイクロレンズとすればよい。レンズL1及びL2はそれぞれ、入力光(例えば図8を参照して上述した反射VFL投射光)を合焦させる。
図9Aに示す「合焦させた」例では、入力光845(例えば反射VFL投射光845)は、波面WFによって概略的に表される波面を有する。波面WFについて、レンズL1及びL2は、それぞれ検出スポットDS1及びDS2として現れる画像を光検出器962上に生成する。一実施形態において、光検出器962は1対のラテラル効果フォトダイオード(lateral effect photodiode)(各検出スポットに1つずつ)を含み得る。別の実施形態では、光検出器962はカメラチップ等の光検出器アレイを含み得る。いずれの場合であっても、検出スポットDS1及びDS2は、光検出器962の表面に沿って基準位置RPからそれぞれ距離SN1及びSN2だけ離れている。距離SN1とSN2との差は距離FDSとして示され、これは焦点逸脱信号FDSを表すと見なすことができる。距離SN1及びSN2を測定する基準位置RPは任意に選択すればよい。光検出器962がアレイ検出器である場合、検出スポットDS1及びDS2の各々はいくつかの画素を含むことがあり、この場合、サブ画素位置補間を与え得る重心計算を実行して各検出スポットの位置を決定することができる。
当技術分野では既知のように、「平坦な」波面WFは「焦点の合った(in focus)」入力光に対応し、この場合、反射VFL投射光の焦点高さfZがワークピース表面320’のZ高さSurfZ(図8を参照のこと)に一致することを意味する。すなわち、システムがワークピース表面上に適正に合焦される(すなわち、反射VFL投射光焦点高さがワークピース表面高さに合致する)場合、波面WFは平坦であり、検出スポットDS1及びDS2は、対応する個々のレンズの光軸に位置合わせした名目上の「null」位置に現れ、焦点逸脱信号FDSは名目値又は「null」値を有する。
一般に、反射VFL投射光焦点高さがワークピース表面320’のZ高さから逸脱している場合、波面WFは平坦でない。図9Aに示す「焦点の合っていない(out of focus)」例では、入力光845は、湾曲した波面WF’によって概略的に表される波面を有する。波面WF’について、レンズL1及びL2は、それぞれ検出スポットDS1’及びDS2’として現れる画像を光検出器962上に生成する。当技術分野では既知のように、湾曲した波面WF’は「焦点の合っていない」入力光に対応し、この場合、反射VFL投射光の焦点高さfZがワークピース表面のZ高さSurfZ(図8を参照のこと)に一致しないことを意味する。この結果、図示する波面曲率の極性では(反射VFL投射光の焦点高さが図8のワークピース表面320’よりも上であることに相当する)、検出スポットDS1’及びDS2’は、null位置DS1及びDS2よりも離れた位置に現れ、焦点逸脱信号FDS’は、その名目値又は「null」値よりも大きい。これとは逆に、逆の極性の曲率を有する波面(WF’’)では(反射VFL投射光の焦点高さが図8のワークピース表面320’よりも下であることに相当する)、検出スポット(DS1’’及びDS2’’)は、null位置DS1及びDS2よりも近付いた位置に現れ、焦点逸脱信号(FDS’’)は、その名目値又は「null」値よりも小さい。光学検出器885’は、ワークピース表面320’に対する焦点はずれ(defocus)の方向が焦点逸脱信号の極性から決定できるので、「方向性」タイプの光学検出器である。
図9Bは、レンズ910、ビームスプリッタ912、第1のピンホール開口920A及び検出器925A、第2のピンホール開口920B及び検出器925Bを含み得る方向性タイプのセンサである既知のタイプの軸方向焦点位置センサを備えた光学検出器885’’を示す。動作において、レンズ910は、入力光845(例えば反射VFL投射光845)を入力し、これを合焦光ビーム915としてビームスプリッタ912の方へ伝送する。ビームスプリッタ912は、このビームを第1及び第2の測定ビーム915A及び915Bに分割する。図9Bに示すように、第1の開口920Aは、レンズ910までの光路長がレンズ910の名目上の焦点距離よりもわずかに短い位置に配置され、第2の開口920Bは、それよりもわずかに長い光路長を有するように配置され得る。このため、図9Bに示すように、第2の測定ビーム915Bがほぼ第2の開口920Bで合焦する場合、第2の光検出器925Bは第2の測定ビーム915B内の全エネルギを受け、最大値を有する第2の検出器信号を信号ライン926Bに出力する。同時に、第1の測定ビーム915Aの焦点は、第1の開口920Aまでの光路長を越えた所にある。従って、第1の開口920Aは第1の測定ビーム915Aの一部を遮り、第1の光検出器925Aは、信号ライン926B上の第2の検出器信号よりも小さい値を有する第1の検出器信号を信号ライン926A上に出力する。一般に、これら2つの検出器信号間の差は入力光845の軸方向の焦点位置に応じて変動し、この軸方向の焦点位置は、その波面曲率に関連するその光線の名目上の収束又は発散に依存する。従って光学検出器885’’は、光学検出器885’と同様に、反射VFL投射光845がワークピース320’に合焦される場合これに応答する。光学検出器885’’は「方向性」タイプの光検出器と考えられる。その理由は、ワークピース320’に対する焦点はずれの方向が、その2つの検出器信号間の差として決定される焦点逸脱信号の極性に基づいて、又は、その2つの検出器信号の比として決定される焦点逸脱信号が1より大きいか又は1未満であるか等に基づいて決定できるからである。
別の解釈によれば、第1及び第2のピンホール開口920A及び920Bを、わずかに異なる焦点Z高さに関連付けられた共焦点開口と見なすことができる。上述したような「方向性タイプ」の焦点逸脱信号を与えるのは、それらの検出信号の組み合わせである。もしも光学検出器が1つのみ共焦点開口を含むならば、ワークピース320’におけるVFL投射光843の焦点はずれの程度に関連した可変信号が得られることは認められよう。そのような光学検出器は、得られる信号が焦点はずれの程度を示すが、その方向は示さないという点で、「大きさ(magnitude)」タイプの光学検出器として特徴付けることができる。しかしながら、いくつかの実施では、焦点はずれの大きさだけでなく方向も決定するため、大きさタイプの光学検出器からの連続信号値を、システム800に含まれる他のタイミング情報に関連付けて(例えば、レンズ制御部371の駆動信号発生部372において既知である位相タイミングに関連付けて)処理することも可能である。
図10は、第1及び第2の焦点逸脱信号FDS及びFDS’を示す図1000である。図10に示すように、焦点逸脱信号は、VFL投射光の焦点Z高さとワークピース表面320’のZ高さとの差に対してグラフ化されている。この差がゼロである位置は「FD=0」と表されている。この位置では、第1及び第2の焦点逸脱信号FDS及びFDS’はnull又は基準値を有すると示されている。この値は、様々な実施において、VFL投射光の焦点Z高さがワークピース表面320’のZ高さに合致する時はいつも得られる安定した較正済み又は既知の値である。一例において、焦点逸脱信号FDSは、前述のように、図9A又は図9Bに示すもののうち1つのような方向性タイプの光学検出器を含む方向性タイプの焦点決定部によって与えられると考えることができる。いくつかの実施では、図9A又は図9Bを参照して記載した未処理のセンサ信号を信号処理することにより、ワークピース表面320’の反射特性とは無関係に、ラインFDSが示す焦点逸脱応答曲線を比較的安定させることができる。他の実施では、信号処理は、焦点逸脱信号FDSの「スケーリング」又は利得がワークピース表面320’の反射率に応じて変動するようにしてもよい。例えば、ラインFDS’が示す焦点逸脱応答曲線を、比較的低い反射率を有するワークピース表面320’に関連付けることができる。しかしながらいずれの場合でも、焦点逸脱信号FDS及びFDS’は双方とも、VFL投射光の焦点Z高さとワークピース表面領域のZ高さとの差に応じた光学検出器信号に基づく。VFL投射光の焦点Z高さは撮像システム焦点Z高さを示し、従って、双方の焦点逸脱信号は、撮像システム焦点Z高さとワークピース表面領域のZ高さとの差を示す。
図11Aから図11Cは、焦点逸脱信号に基づいて、撮像システム焦点Z高さがワークピース表面領域Z高さにほぼ一致する時に関連した露光タイミング調整信号を決定する様々な態様を説明するための、相互に関連付けられたタイミング図を示す。図11B及び図11Cに示す焦点逸脱信号は、予想される焦点逸脱信号挙動の概略的又は定性的な表現である。これらの信号のいくつかの部分のスケーリングは、説明の目的のために他の部分に対して誇張している場合がある。
図11Aは、図8を参照して前述したような、周期的に変更されるVFLレンズ370の動作に対応する、焦点Z高さの周期変更中の焦点Z高さ1110とワークピース表面Z高さSurfZとの関係を示すタイミング図1100Aを示す。レンズ制御部371によって駆動されるVFLレンズ370の変更周期に相当する焦点変更周期Pfmが示されている。図11Aに示す例では、焦点Z高さは焦点変更Pfm内で2度、すなわち時点t1及びt3において、ワークピース表面Z高さSurfZと一致する。このパターンは、周期焦点変更の各サイクルで、例えば時点t1’及びt3’において繰り返される。時点t2において、焦点Z高さは第1の「極性」で表面Z高さsurfZと最大の差となり、時点t4において、焦点Z高さは逆の極性で表面Z高さsurfZと最大の差となる。
図11Bは、図11Aに示す条件に対応した代表的な焦点逸脱信号FDSを例示するタイミング図1100Bを示す。焦点逸脱信号FDSは、図8に示す焦点決定部880を参照して前述したように動作する、「大きさ」タイプの焦点決定部(例えば図9Bに関連した考察の際に前述したような、単一の共焦点光学検出器を含む焦点決定部)から得られる。1つの実施において、図示する連続焦点逸脱信号FDSは、少なくとも焦点決定時間期間中に、VFL投射光源840からの連続照明と連携して動作する低レイテンシ光学検出器885によって与えられる。これについては以下で更に詳しく記載する。図11Bに示す例では、焦点Z高さが時点t1及びt3(図11Aを参照のこと)で表面Z高さsurfZと一致する時、焦点逸脱信号FDS最大値又はピーク値を有する。このパターンは、周期焦点変更の各サイクルで、例えば時点t1’及びt3’において繰り返される。時点t2において、焦点Z高さは第1の「極性」で表面Z高さsurfZと最大の差となり、時点t4において、焦点Z高さは逆の極性で表面Z高さsurfZと最大の差となり(図11Aを参照のこと)、この結果、時点t2及びt4において焦点逸脱信号FDSの各谷又は「負のピーク」の最小値が示される。
図8を参照して前述したように、図11Bに示す焦点逸脱信号FDSは、焦点決定部880から露光タイミング調整回路890に出力することができる。露光タイミング調整回路890は、焦点逸脱信号FDSを入力し、この焦点逸脱信号FDSに基づいて、撮像システム焦点Z高さがワークピース表面領域Z高さにほぼ一致する時に関連した露光タイミング調整信号を決定する。1つの実施において、露光タイミング調整回路890は、時点t1もしくはt3又はそれら双方で焦点逸脱信号FDSのピークを検出することによってパルス又はトリガ信号を出力又は開始するように構成された低レイテンシピーク検出回路を備え得る。この例では、そのようなパルス又はトリガ信号を露光タイミング調整信号と見なすことができる。既知の原理に従って、様々なタイプの適切な低レイテンシピーク検出器回路を構成できる。例えば、いくつかの実施は、市販のピーク検出ICの使用を含み得る。このピーク検出ICは、製造業者から入手可能な使用説明書に従って構成して、ピーク検出に応答した前述のようなトリガ信号の出力、及び/又は所定の時間期間後もしくは入力信号の変化後のリセットのような種々の機能を提供することができる。
図8を参照して前述したように、露光ストロボ時間制御部895は、露光タイミング調整回路890からの露光タイミング調整信号を入力し、この露光タイミング調整信号に基づいて調整済み画像露光時間を与えるように構成されている。この調整済み画像露光時間において、撮像システムの焦点Z高さはワークピース表面領域Z高さにほぼ一致する。上記の記載と一致する種々の例示的な実施において、露光ストロボ時間制御部895は、上述の露光タイミング調整信号又はトリガ信号のタイミングによってトリガされるように、短時間ストロボ要素を使用可能にするか又は活性化して、トリガ信号に応じた特定の位相タイミングで短時間の画像露光を効果的に制御することができる。画像のピンぼけなしに露光を増大させるため、複数の焦点変更期間にまたがるカメラ画像積分期間を含む画像取得時間期間中、露光ストロボ時間制御部895は、各焦点変更期間中に上述のような短時間の画像露光を繰り返して、全体的な画像露光を所望のレベルで得るように構成することができる。1つのそのような実施において、露光ストロボ時間制御部895は、上述の露光時間調整信号によって繰り返しトリガされるように構成され得る。別のそのような実施では、露光ストロボ時間制御部895は、周期焦点変更と同期をとった(例えば、レンズ制御部371の駆動信号発生部372において既知である周期駆動信号に関連付けた)タイミングクロックを含み得る。そのような場合、露光ストロボ時間制御部895は、上述した露光時間調整信号「トリガ信号」の位相タイミング(例えばt1もしくはt3又はこれら双方の位相タイミング)を記録し、そのタイミングクロック及び記録した位相タイミングに基づいて、全画像取得時間期間を通して各焦点変更期間中に同じ位相タイミング(複数の位相タイミング)で短時間の画像露光を繰り返すように構成することができる。
前述のように、いくつかの実施形態では、露光ストロボ時間制御部895によって制御されるストロボ要素は高速電子カメラシャッタであり得る。他の実施形態では、露光ストロボ時間制御部895によって制御されるストロボ要素は、ストロボ撮像光源(例えば図8に示す撮像光源330)であり得る。制御可能光源ドライバ(電源)を、露光ストロボ時間制御部895又は光源に含ませてもよく、更に、露光時間調整信号「トリガ信号」によって制御するか又はこの信号に基づくようにしてもよい。
図11Cは、図11Aに示す条件に対応した代表的な焦点逸脱信号FDSを例示するタイミング図1100Cを示す。焦点逸脱信号FDSは、「方向性」タイプの焦点決定部(例えば図9A及び図9Bに示した光学検出器885’又は885’’の1つを含む焦点検出部であり、図10を参照して記載した焦点逸脱応答曲線を与えるように動作する)から得られる。1つの実施において、図11Cに示す連続焦点逸脱信号FDSは、少なくとも焦点決定時間期間中に、VFL投射光源840からの連続照明又は変動位相タイミングストロボ照明と連携して動作する低レイテンシ光学検出器885(例えば低レイテンシ光検出器を用いた光学検出器885’’)によって与えられる。図11Cに示す例では、焦点Z高さが時点t1及びt3(図11Aを参照のこと)で表面Z高さsurfZと一致する時、焦点逸脱信号FDSはnullレベル出力値を有する(図10を参照して前述したように)。このパターンは、周期焦点変更の各サイクルで、例えば時点t1’及びt3’において繰り返される。時点t2において、焦点Z高さは第1の「極性」で表面Z高さsurfZと最大の差となり、時点t4において、焦点Z高さは逆の極性で表面Z高さsurfZと最大の差となり(図11Aを参照のこと)、この結果、時点t2及びt4において焦点逸脱信号FDSの正及び負の各信号ピークが示される。
図8を参照して前述したように、図11Cに示す焦点逸脱信号FDSは、焦点決定部880から露光タイミング調整回路890に出力することができる。露光タイミング調整回路890は、焦点逸脱信号FDSを入力し、この焦点逸脱信号FDSに基づいて、撮像システム焦点Z高さがワークピース表面領域Z高さにほぼ一致する時に関連した露光タイミング調整信号を決定する。1つの実施において、露光タイミング調整回路890は、「null」信号レベルを基準レベルとして用い、焦点逸脱信号FDSがこの基準レベルに合致する時に(例えば時点t1もしくはt3又はそれら双方)パルス又はトリガ信号を出力又は開始するように構成された低レイテンシピーク比較器回路を備え得る。この例では、そのようなパルス又はトリガ信号を露光タイミング調整信号と見なすことができる。
そのようなパルス又はトリガ信号を露光ストロボ時間制御部(例えば露光ストロボ時間制御部895)で使用することについては、図11Bを参照してすでに説明しており、この実施では同様の原理に従うことができる。
図12及び図13は、高速で周期的に変更されるVFLレンズを含む撮像システムを用いて自動合焦された画像を提供するように動作可能であるシステムの第2及び第3の実施の概略図である。図12及び図13のシステムは図8に示すシステム800といくつかの特徴を共有し、大部分は前述の記載に基づく類推により理解され得ることは認められよう。以下で別段の記載がない限り、図12及び図13のいくつかの付番された構成要素は、図8の同様に付番された構成要素に対応し得る及び/又は同様の動作を有し得る。従って、そのような同様の構成要素及び共有される特徴については詳しく説明しない。以下の記載では、図8を参照して前述したシステム実施(複数のシステム実施)と比べて新規であるか又は追加的である動作のいくつかの要素及び態様を強調している。特に、焦点決定に用いられるVFL投射光843の提供及び制御に関連した、画像取得に用いられる光を提供及び制御するための様々な実施に関連した要素及び動作を強調している。
図12は、高速で周期的に変更される可変焦点距離(VFL)レンズ370を含む撮像システムを用いて自動合焦された画像を提供するように動作可能であるシステム800’の第2の実施の概略図である。システム800’は、撮像システム810、VFLレンズ制御部371、光源840’、焦点決定部880、露光タイミング調整回路890、及び露光ストロボ時間制御部895を備えている。これらは、以下で別段の記載がない限り、前述の原理に従って構成及び動作させることができる。
図8を参照して記載した、単独でVFL投射光843を与えるVFL投射光源である光源840とは異なり、図12には組み合わせ光源840’が示されている。組み合わせ光源840’は、それぞれ光発生器841及び830から発するVFL投射光843及び撮像光832’の双方を提供するように構成されている。様々な実施において、VFL投射光843の波長(複数の波長)が光学検出器885による検知範囲内であり、かつ、撮像光832’の波長(複数の波長)がカメラ360の検知範囲内であるならば、光発生器841及び830は、異なる可視波長又は非可視波長を出力することができる。
図8に示す構成とは異なり、ここに記載する実施では、画像取得に用いられる撮像光832’は、常に調整済み画像露光時間においてワークピース表面320’で合焦されるVFL投射光である。これは多くの用途において望ましい。
組み合わせ光源840’の光発生器830は、前述の原理に従って画像取得時間期間中の調整済み画像露光時間に画像を露光するように、露光時間制御部895によって制御することができる。様々な実施形態において、組み合わせ光源840’の光発生器841は、焦点決定時間期間中にVFL投射光843のタイミングを制御するように構成された焦点決定光制御回路(例えば露光タイミング調整回路890に含まれる)によって別個に制御することができる(例えば制御ライン897を用いて)。いくつかの実施において、焦点決定時間期間中、VFL投射光843は連続的に与えられ、他の実施ではストロボ発光させることができる。いくつかの実施において、VFL投射光843は、焦点逸脱信号及び/又は露光タイミング調整信号に基づいて調整された時にストロボ発光させることができる(例えば図14を参照して以下で詳述するように)。いくつかの実施において、画像取得時間期間は焦点決定時間期間と重複し得る。そのような実施では、撮像光路に沿ってビームスプリッタ889とカメラ360との間に適切な狭帯域波長フィルタ889’を含めて、反射VFL投射光845の波長が取得画像に影響を及ぼすことを防止すればよい。むろん、画像取得時間期間が焦点決定時間期間と重複しない場合には波長フィルタ889’は必要ない。
図13は、高速で周期的に変更される可変焦点距離(VFL)レンズ370を含む撮像システムを用いて自動合焦された画像を提供するように動作可能であるシステム800’’の第3の実施の概略図である。システム800’’は、撮像システム810、VFLレンズ制御部371、光源840’’、焦点決定部880、露光タイミング調整回路890、及び露光ストロボ時間制御部895を備えている。これらは、以下で別段の記載がない限り、前述の原理に従って構成及び動作させることができる。
図12を参照して記載した光源840’とは異なり、図13には単一発生器の光源840’’が示されている。システム800は、単一発生器の光源840’’を用いて、同一の発生器830’’から発するVFL投射光843及び撮像光832の双方を提供するように構成されている。様々な実施において、単一発生器の光源840’’の光発生器830’’は、光学検出器885及びカメラ360による検知範囲内である可視波長又は非可視波長(複数の波長)を出力することができる。図12に示す構成と同様、ここに記載する実施では、画像取得に用いられる撮像光832は、常に調整済み画像露光時間においてワークピース表面320’で合焦されるVFL投射光であることは理解されよう。
この実施において、露光タイミング調整回路890及び露光時間制御部895はマージされる場合があり、及び/又は単一の発生器830’’の共有制御と区別できない場合がある(例えば信号ライン897を用いる)。光発生器830’’は、画像取得時間期間中の調整済み画像露光時間に画像を露光するように制御され、焦点決定時間期間中に露光タイミング調整回路890の焦点決定光制御回路によって制御され得る。
いくつかの実施において、これらの動作は、前述の原理に従って別々の焦点決定時間期間及び画像取得時間期間中に実行できる。しかしながら他の実施では、撮像光832、VFL投射光843、及び反射VFL投射光845が全て同一の光源840’’により与えられる「同一の光」であるので、焦点決定時間期間及び画像取得時間期間は少なくともいくつかの動作期間で重複し得る。例えば、前述の原理に従った「焦点の合った」画像取得中に、焦点決定部880及び露光タイミング調整回路890は、撮像に用いられるストロボ発光VFL投射光の一部(すなわち、ビームスプリッタ889に戻され、焦点監視光路844に沿って反射された「分割」部分)を入力することで上述のような動作を継続できることは認められよう。前述の合焦原理は、焦点決定部880における連続光又はストロボ光のいずれかの使用と両立でき、及び/又は関連する回路及び/又はルーチンは、本明細書に開示する原理に基づいて当業者により容易にストロボ光の使用に適合させることができる。このため、一度前述の原理に従って撮像システム焦点位置がワークピース表面320’と一致するように配置されたら、システム800’’は、撮像システム810の視野全体で可変高さワークピース表面320’を走査しながらこれを連続的に合焦して撮像することができる「追跡自動合焦(tracking autofocus)」システムとして動作可能となることは認められよう。更に、焦点決定部880が与える焦点逸脱脱信号によってワークピース表面320’に焦点が合っていないことが示される場合、画像取得動作を中断してもよいことは認められよう。撮像システム810が再びワークピース表面320’で合焦するまで、本明細書に前述した原理に従った自動合焦動作をサポートするように光源840’’を連続モード又はストロボモードで動作させることができる。
図14は、比較的低速の光学検出器と組み合わせて、「大きさ」タイプの焦点決定部の1つの実施を用いて露光タイミング調整信号を決定するいくつかの態様を例示するタイミング図1400を示す。いくつかの実施では、本明細書に前述したような低レイテンシ光学検出器及び/又は低レイテンシ回路(例えばマイクロ秒のオーダー、又は1マイクロ秒、又はそれ以下のレイテンシ)の使用は、実用的でない場合がある。しかしながら、焦点決定部880にストロボ照明が入力されるならば、焦点決定中は低速の検出器及び回路が許容され得る。例えばタイミング図1400は、積分焦点逸脱信号1401を露光タイミング調整信号として使用及び/又は決定できることを示す。
図14に示す例では、「開始」時間期間中に、反射VFL投射光(例えば前述の光845)を、複数の周期焦点変更期間全体にわたって一致した位相タイミングでストロボ発光させ、焦点決定部880の信号積分器が積分焦点逸脱信号を蓄積する。
いくつかの実施において、信号積分器は単に、様々なストロボパルスの光子を蓄積する光学検出器885内の「低速」光検出器を備え得る。例えばVFLレンズ370が70kHzの周波数で周期的に変更される場合、変更周期は約14μsである。低速光検出器は150μs(又はそれ以上)のオーダーの応答時間を有し得る。この間に、特定の位相タイミングで少なくとも10のストロボパルスを、そのような光検出器によって蓄積し「積分」することができる。いずれの場合も、図14に示す「調整サイクル」時間期間の長さは、所望の動作特性を与えるように、信号積分器の応答時間に基づいて当業者によって選択すればよい。
図11Cに示す例示的な焦点逸脱信号を参照すると、「開始」時間期間の終了時の積分焦点逸脱信号の正の終了値EV0に基づいて、「開始」時間期間全体を通してストロボパルスの特定の位相タイミングがt1とt3との間の範囲内のどこかにあると言うことができる。様々な実施において露光タイミング調整回路890は、「位相タイミング検索」を実行して、積分焦点逸脱信号のnull出力を生成する位相タイミングを識別するように構成できる。null出力は、前述の原理に従ったワークピース表面320’上での合焦に相当する。
例えば1つの実施において、露光タイミング調整回路890は、第1の調整サイクル時間期間AdjC1中に、予め設定された量である60度だけ位相タイミングを進ませることで簡単に位相タイミングを調整し、次の調整量を決定するため、終了値EV1とnull出力レベル及び/又は以前の終了値EV0との差を評価することができる。図14に示す例では、終了値EV1は(EV0とは異なり)null出力レベルより小さく、EV0よりもnull出力レベルに近いので、露光タイミング調整回路890は、60度よりも小さい量、例えば30度だけ位相タイミングを遅らせることで位相タイミングを調整すればよい。動作は同様に継続して、更に調整を行った後、終了値EV2及びEV3を決定できる。終了値がnull出力レベルに充分に近い場合(例えばEV4)、最後の調整サイクル時間期間中(例えばAdjC3中)に用いた対応する特定の位相タイミングを、合焦条件に対応する位相タイミングとして使用することができる。この位相タイミング値を、焦点逸脱信号から得られた露光タイミング調整信号と見なし、露光ストロボ時間制御部895に出力すればよい。露光ストロボ時間制御部895は、前述の原理に従って、この位相タイミングを調整済み画像露光時間として直接用いることができる。
一度、前述の原理に従って画像システム焦点位置がワークピース表面320’と一致するように配置されたら、図14を参照して上述した原理を用いて「追跡自動合焦」システムを提供できることは認められよう。例えばいくつかの実施において、画像取得は周期的に(例えば14ミリ秒ごとに、又は周期変更の1000期間ごとに、又はそれ以下で)一時停止され得る。走査される表面上で連続的に合焦するために最小限の焦点調整しか必要としないので、様々な実施形態において比較的低速の光検出器及び/又は回路を用いるにもかかわらず、図14に概説したプロセスが要する時間は10ミリ秒以下のオーダーであり得る。
本開示の好適な実施について図示及び記載したが、本開示に基づいて、図示及び記載した特徴の構成及び動作のシーケンスにおける多数の変形が当業者には明らかであろう。開示した要素及び/又は動作の種々の代替的な形態及び組み合わせを用いて本明細書に開示した原理を実施してもよい。更に、上述の様々な実施を組み合わせて別の実施を提供することも可能である。本明細書において言及した米国特許及び米国特許出願は全て援用によりその全体が本願にも含まれるものとする。これらの様々な特許及び出願の概念を用いて更に別の実施を提供するために必要な場合は、上述の実施の態様は変更可能である。
前述の記載に照らして、実施に対してこれら及び他の変更を行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、用いる用語は本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施に特許請求の範囲を限定するものとして解釈されず、そのような特許請求の範囲の権利が与えられる均等物の全範囲に加えて全ての可能な実施を包含するものとして解釈される。