以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態による図1の経路探索システム100は、各自動運転車両APCに搭載されたナビゲーション装置10と、自動運転車両APCの外部の施設に設置されたセンタ処理装置70等によって構成されている。ナビゲーション装置10及びセンタ処理装置70は、移動体通信網の通信ネットワークNWを介した通信により、互いに情報を送受信可能である。ナビゲーション装置10は、自動運転ECU50及び車両制御ECU60等の電子制御装置と共に車両110に搭載されている。ナビゲーション装置10、自動運転ECU50、及び車両制御ECU60の協働により、車両110の自動運転機能が実現される。自動運転機能の作動により、車両110は、自動運転車両APCとなる。
自動運転ECU(Electronic Control Unit)50は、CPU51、RAM52、及びROM53を有するコンピュータを主体に構成されている。自動運転ECU50は、ナビゲーション装置10によって設定された走行経路に従って、車両110の周囲の状況に対応した走行計画を策定する。自動運転ECU50は、走行計画に基づいて車両制御ECU60を制御することにより、運転者の運転操作を支援又は代行可能である。自動運転ECU50には、自動運転開始ボタン56が接続されている。自動運転ECU50は、搭乗者による自動運転開始ボタン56への入力に基づき、自動運転機能のオン状態(以下、「自動運転モード」)とオフ状態(以下、「手動運転モード」)とを切り替えることができる。
車両制御ECU60は、CPU61、RAM62、及びROM63を有するコンピュータを主体に構成されている。車両制御ECU60は、車両110のパワーユニット、ブレーキシステム、及び操舵装置等と電気的に接続されている。加えて車両制御ECU60は、例えば車速センサ66等の多数の車載センサから計測信号を取得する。車両制御ECU60は、取得した計測信号等に基づき、車両110の加減速制御及び操舵制御等を行う。自動運転ECU50が自動運転モードに設定されている場合、車両制御ECU60は、自動運転ECU50の制御に従って、車両110の挙動を制御する。一方、自動運転ECU50が手動運転モードに設定されている場合、車両制御ECU60は、運転者の運転操作に従って、車両110の挙動を制御する。
ナビゲーション装置10には、車酔い検出装置41、室内カメラ42、荷重計測器43、及びロケータ47等がさらに接続されている。
車酔い検出装置41は、車両110の搭乗者に発生した車酔いを検出する装置である。車酔い検出装置41は、車酔いの発生を通知する検出情報を、ナビゲーション装置10に提供する。車酔い検出装置41は、例えば、車酔いが発生した場合に、搭乗者による自己申告にて操作されるボタンを有している。車酔い検出装置41は、運転者又は各搭乗者によるボタンの押し下げ操作の入力に基づき、車両110の搭乗者に車酔いが発生したことを検出できる。
車酔い検出装置41は、車酔いの発生を自動で検出可能な構成であってもよい。例えば車酔い検出装置41は、各搭乗者の顔画像の解析に基づき、表情認識の技術を用いて、各搭乗者の車酔いを検出できる。また車酔い検出装置41は、各搭乗者の装着しているウェアラブルデバイスから、例えば脳波、心拍数、及び体温等の生体信号を取得し、生体信号に基づいて各搭乗者の車酔いを検出できる。
室内カメラ42は、搭乗者の着座位置及び荷物の配置等を写すように、車両110の車室内を撮影する。室内カメラ42は、車室内を撮影した撮像データをナビゲーション装置10に提供する。
荷重計測器43は、車両110の揺れに影響するような搭乗者及び積載物の情報を取得する。例えば荷重計測器43は、各座席のシートセンサを用いて、車両110に搭乗している搭乗者の位置と重さを計測する。また荷重計測器43は、懸架装置に取り付けられた車載荷重計を用いて、各車輪に加わっている車体の荷重を計測する。荷重計測器43は、取得した荷重の計測情報をナビゲーション装置10に提供する。
ロケータ47は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部48、慣性センサ、及び電子コンパス等を有している。GNSS受信部48は、複数の測位衛星から送信された測位信号を受信し、慣性センサの計測結果と組み合わせることにより、車両110の現在位置を測位する。加えてロケータ47は、測位信号と電子コンパスの計測結果を組み合わせることにより、車両110の進行方向を測定する。ロケータ47は、進行方向の情報を含む位置情報を、ナビゲーション装置10及び自動運転ECU50に提供する。
ナビゲーション装置10は、運転者によって入力された操作情報の取得と、運転者への情報提示とを統合的に制御する電子制御装置である。ナビゲーション装置10は、車両110の車室内にて、センタコンソール又はセンタクラスタに設置されている。ナビゲーション装置10は、例えば運転者によって入力された目的地までの走行経路を設定する。ナビゲーション装置10は、操作部11、液晶ディスプレイ12、スピーカ13、通信部16、データ記憶部17、及びナビゲーション制御部20等によって構成されている。
操作部11は、運転者による操作が入力される構成である。操作部11は、例えば液晶ディスプレイ12の表示面に設けられたタッチパネルであってもよく、リモコン又はジョイスティック及びタッチパッド等のポインティングデバイスであってもよい。操作部11は、取得した操作情報を、ナビゲーション制御部20に逐次提供する。
液晶ディスプレイ12及びスピーカ13は、運転者又は他の搭乗者へ向けた情報の提示を行う構成である。液晶ディスプレイ12は、ナビゲーション制御部20の表示制御に基づき、車両110の周囲の地図画像等を表示面に表示する。スピーカ13は、ナビゲーション制御部20の音声制御に基づき、例えば目的地までの走行経路を案内する音声メッセージ等を車室内に再生する。
通信部16は、通信ネットワークNWを構成する基地局等との間において、移動体通信を行うアンテナを有している。通信部16は、ナビゲーション制御部20の制御に基づき、通信ネットワークNWを介して、センタ処理装置70と通信可能である。通信部16は、例えば最新の交通情報及び気象情報等を受信可能である。また通信部16は、ナビゲーション装置10による走行経路の探索要求をセンタ処理装置70に送信すると共に、探索要求に基づいて生成された走行経路をセンタ処理装置70から受信する。
データ記憶部17は、例えばフラッシュメモリ又はハードディスクドライブ等の非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)によって構成されている。データ記憶部17に記憶された情報は、ナビゲーション制御部20によって読み取り及び書き換え可能である。データ記憶部17は、ナビゲーション制御部20に内蔵された形態であってもよく、又はナビゲーション制御部20から取り外し可能なメモリカード等の形態であってもよい。データ記憶部17には、地図データベース(以下、「地図DB」)18a、車両情報格納領域18b、搭乗者プロフィール格納領域18c等、複数の記憶領域が確保されている。
地図DB18aには、ナビゲーション制御部20による通常の走行経路の探索、及び目的地までの経路案内に用いられる多数の地図情報が格納されている。地図情報には、道路の種別情報、地図表示データ、交差点データ、ノードデータ、リンクデータ、及び施設データ等が含まれている。加えて地図DB18aには、自動運転機能によって走行した車両110の走行履歴が一時的に保存される。
車両情報格納領域18bには、車両110に関連する情報として、車両110の車種を示す車種識別情報(以下、「自車車種情報」)を等が格納されている。自車車種情報は、具体的には、車両110の種別に対応した型式番号又は車名である。自車車種情報には、車両110の年式及びグレードを示す情報が含まれていてもよい。自車車種情報に基づくことで、車両110の仕様、具体的には、重量、ホイールベース及びトレッド、車高、サスペンションの固さ、及び加減速性能が、概ね一意に特定可能となる。
搭乗者プロフィール格納領域18cには、車両110に搭乗する搭乗者のプロファイルが格納されている。搭乗者のプロファイルは、搭乗者による操作部11の操作によって入力された情報である。搭乗者のプロファイルには、車両110を使用する個々人の年齢、体重、及び車酔いのし易さ等が記録されている。搭乗者のプロファイルは、例えば各搭乗者の顔画像等、個人の識別に必要な情報と関連付けられた状態で、搭乗者プロフィール格納領域18cに登録されている。
ナビゲーション制御部20は、CPU21、RAM22、及びROM23を有するコンピュータを主体に構成されている。ROM23は、CPU21による情報の読み取りが可能な非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)である。CPU21は、ROM23又はデータ記憶部17に記憶された種々のプログラムを実行可能である。ナビゲーション制御部20は、各種のプログラムに基づくCPU21の処理により、後述する情報送信処理(図3参照)及び経路設定処理(図6参照)を実行する処理部として機能する。
次に、センタ処理装置70の詳細を説明する。センタ処理装置70は、プローブセンタ又は道路交通情報センタ等の施設に設置された演算装置である。センタ処理装置70は、多数の車両110から提供される情報の蓄積と、各車両110からの要求に基づく情報の提供とを行うサーバとして機能する。センタ処理装置70は、通信部76、データ記憶部77、及びセンタ制御部70a等によって構成されている。
通信部76は、通信ネットワークNWと接続される有線通信インターフェースを有している。通信部76は、センタ制御部70aの制御に基づき、通信ネットワークNWを介して、自動運転中の各自動運転車両APCの各ナビゲーション装置10と通信可能である。通信部16は、複数のナビゲーション装置10と同時並行で通信を行うことができる。
データ記憶部77は、例えばハードディスクドライブ等の非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)によって構成されている。データ記憶部77に記憶された情報は、センタ制御部70aによって読み取り及び書き換え可能である。データ記憶部77は、センタ処理装置70から取り外し可能な形態であってもよい。データ記憶部77には、車酔い地点データベース(以下、「車酔い地点DB」)78等が構築されている。
車酔い地点DB78は、複数の自動運転車両APCにて搭乗者に車酔いが発生した地点又は区間(以下、「車酔いエリア」)を示す車酔いエリア情報と、搭乗者に車酔いが発生しなかった走行経路を示す未発生経路情報とを蓄積したデータベースである。車酔いエリア情報及び未発生経路情報のそれぞれには、その情報を提供した自動運転車両APCについて、個々の車種を識別する車種識別情報が関連付けられている。車種識別情報は、上述した自車車種情報と同様に、個々の自動運転車両APCの種別に対応した型式番号又は車名等を示す情報である。
加えて車酔いエリア情報及び未発生経路情報の少なくとも一部には、情報を提供した自動運転車両APCについての搭乗者情報及び荷物情報が関連付けられている。搭乗者情報には、自動運転車両APCに搭乗している搭乗者の人数を示す情報、各搭乗者の着座位置を示す情報、及び搭乗者のプロファイルが含まれている。荷物情報には、自動運転車両APCに積載された荷物の重さ及び位置を示す情報が含まれている。
センタ制御部70aは、CPU71、RAM72、及びROM73を有するコンピュータを主体に構成されている。ROM73は、CPU71による情報の読み取りが可能な非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)である。CPU71は、ROM73又はデータ記憶部77に記憶された種々のプログラムを実行可能である。センタ制御部70aは、各種のプログラムに基づくCPU71の処理により、後述するデータベース更新処理(図4参照)及び経路探索処理(図7参照)を実行する処理部として機能する。
以上の経路探索システム100では、多数の自動運転車両APCのナビゲーション装置10により、車酔い地点DB78に蓄積される車酔いエリア情報及び未発生経路情報が収集される。そして、車酔い地点DB78に蓄積された情報に基づき、車酔いの発生し易い車酔いエリアとなる道路区間を避けるように探索された回避走行経路がセンタ処理装置70によって生成され、各ナビゲーション装置10に提供される。以下、経路探索システム100の機能のうちで、車酔いエリア情報等の収集、及び車酔い地点DB78の更新に関連する内容を、図1及び図2に基づいて説明する。
ナビゲーション制御部20は、ROM23又はデータ記憶部17等に記憶された情報送信プログラムをCPU21によって実行させる。これによりナビゲーション制御部20には、車両情報取得部31、搭乗者情報取得部32、検出情報取得部33、エリア情報取得部34、及び送信制御部35等が情報送信に関連する機能ブロックとして構築される。
車両情報取得部31は、車両情報格納領域18bから自車車種情報を取得する。加えて車両情報取得部31は、室内カメラ42による車室内の撮像データを解析結果と、荷重計測器43による荷重の計測情報とを統合することにより、車両110に搭載されている荷物の重さ及び位置を示した荷物情報を取得する。
搭乗者情報取得部32は、自動運転車両APCにおいて、車室内に存在する搭乗者の搭乗者情報を取得する。具体的に、搭乗者情報取得部32は、室内カメラ42によって提供された車室内の撮像データを画像解析することにより、車室内に居る搭乗者の人数及び着座位置等を取得する。
加えて搭乗者情報取得部32は、室内カメラ42の撮像データから各搭乗者の顔画像を切り出し、搭乗者プロフィール格納領域18cに登録された顔画像を用いて、搭乗者の顔認証を行う。こうした顔認証により、搭乗中の搭乗者が具体的に特定される。以上の結果、搭乗者情報取得部32は、車室内に居る各搭乗者のプロファイルを取得できる。尚、搭乗者情報取得部32は、室内カメラ42の画像解析により、搭乗者の覚醒状態、視線方向、及び着座姿勢等を検出してもよい。
検出情報取得部33は、車酔い検出装置41によって搭乗者の車酔いが検出された場合に、車酔い検出装置41によって通知された検出情報を取得する。検出情報取得部33は、車酔い検出装置41から車酔いの検出情報を取得した場合に、エリア情報取得部34に車酔いエリア情報の取得を指示する。
エリア情報取得部34は、車両110の現在位置を示す情報として、ロケータ47から現在の経度及び緯度を示す情報を取得する。加えてエリア情報取得部34は、地図DB18aに記憶された走行履歴を参照可能である。エリア情報取得部34は、車酔い検出装置41によって搭乗者の車酔いが検出されると、現在の経度及び緯度を示す地点情報を、車酔いエリア情報として取得する。
ここで、車酔いエリア情報の形式は、適宜変更されてよい。例えば車酔いエリア情報は、地図DB18aの地図情報において、現在の経度及び緯度に最も近いノードの番号を示す地点情報であってもよく、又は現在走行中の道路に対応したリンクの番号を示す区間情報であってもよい。さらに、走行履歴に基づいて、現在位置から所定の距離又は時間だけ遡った地点情報又は区間情報が、車酔いエリア情報として取得されてもよい。
送信制御部35は、センタ処理装置70へ向けた情報の送信を制御する。送信制御部35、車両情報取得部31にて取得された自車車種情報及び荷物情報、並びに搭乗者情報取得部32にて取得された搭乗者情報を、センタ処理装置70へ向けて適宜送信する。加えて送信制御部35は、エリア情報取得部34にて取得された車酔いエリア情報、及び地図DB18aに保管された走行履歴を、センタ処理装置70へ向けて適宜送信する。
以上のナビゲーション制御部20によって実施される情報送信処理の詳細を、図3に基づき、図1及び図2を参照しつつ説明する。情報送信処理は、例えば車両110のパワーユニットがオン状態とされたことに基づき開始され、パワーユニットがオフ状態とされるまで継続的に実施される。
S101では、自動運転モードが開始されたか否かを判定し、自動運転モードが開始さたと判定した場合に、S102に進む。車両制御ECU60が手動運転モードである場合には、S101を繰り返すことで、自動運転モードへの切り替えを待機する。S102では、自動運転モードの開始時に送信する第一情報として、自車車種情報、搭乗者情報、及び荷物情報を取得する。そして、取得した第一情報をセンタ処理装置70へ向けて送信し、S103に進む。
S103では、車酔い検出装置41によって提供される検出情報に基づき、車酔いした搭乗者の有無を判定し、S104に進む。車酔いした搭乗者の検出がない場合、S104から、S106に進む。一方、車酔いした搭乗者が検出された場合には、S104から、S105に進む。S105では、車酔いの発生時に送信する第二情報として、車酔いエリア情報、並びに車酔いした搭乗者の着座位置及びプロファイルを取得する。そして、取得した第二情報をセンタ処理装置70へ向けて送信し、S106に進む。
S106では、目的地への到着又は自動運転区間の終了等によって自動運転モードが終了したか否かを判定する。S106にて、自動運転モードが継続していると判定した場合、S103に戻り、車酔いした搭乗者の検出を継続する。一方、S106にて、自動運転モードが終了したと判定した場合、S107に進む。S107では、搭乗者の車酔いが発生しなかった区間を示した走行履歴を取得する。そして、取得した走行履歴をセンタ処理装置70へ向けて送信し、S101に戻る。
図2に示すセンタ制御部70aは、ROM73(図1参照)又はデータ記憶部77等に記憶されたDB管理プログラムをCPU71(図1参照)によって実行させる。これによりセンタ制御部70aには、蓄積情報収集部81及びデータベース更新部(以下、「DB更新部」)83等がデータベースの管理に関連する機能ブロックとして構築される。
蓄積情報収集部81は、センタ処理装置70へ向けて各ナビゲーション装置10からアップロードされた情報を受信する。蓄積情報収集部81は、各ナビゲーション装置10から送信される第一情報を取得することにより、自動運転機能によって現在走行している自動運転車両APCを把握する。各自動運転車両APCから提供される自車車種情報は、センタ制御部70aでは、各自動運転車両APCの車種識別情報として扱われる。
蓄積情報収集部81は、車酔いが発生した自動運転車両APCから第二情報を取得すると、第二情報を第一情報と共にDB更新部83に提供する。また蓄積情報収集部81は、自動運転モードの終了した車両110から車酔いの未発生経路を示した走行履歴を取得すると、走行履歴を第一情報と共にDB更新部83に提供する。
DB更新部83は、車酔い地点DB78の更新を行う。DB更新部83は、蓄積情報収集部81に第二情報が取得されると、車酔いエリア情報を、第一情報にある車種識別情報と関連付けて、車酔い地点DB78を更新する。第一情報又は第二情報として、搭乗者情報及び荷物情報等が取得されていた場合、DB更新部83は、これらの情報も車酔いエリア情報と関連付けて、車酔い地点DB78を更新する。
DB更新部83は、走行履歴が蓄積情報収集部81に取得されると、自動運転モードの解除地点から走行履歴に沿って遡った区間を示す情報を、未発生経路情報として取得する。未発生経路情報は、車酔いエリア情報と同様に、経度及び緯度を示す地点情報であってもよく、地図情報のノード番号又はリンク番号を示す情報であってよい。DB更新部83は、未発生経路情報を、第一情報にある車種識別情報と関連付けて、車酔い地点DB78を更新する。搭乗者情報及び荷物情報等が取得されていた場合、DB更新部83は、これらの情報も未発生経路情報と関連付けて、車酔い地点DB78を更新する。
以上のセンタ制御部70aによって実施されるDB管理処理の詳細を、図4に基づき、図1及び図2を参照しつつ説明する。DB管理処理は、例えばセンタ処理装置70の電源がオン状態とされたことに基づき開始され、センタ処理装置70がオフ状態とされるまで継続的に実施される。即ち、DB管理処理は、プローブセンタ又は道路交通情報センタ等の施設にて、半永久的に実行され続ける。
S111では、第一情報を取得した各自動運転車両APCから、蓄積の対象となる車酔いエリア情報及び走行履歴のいずれか一方を取得したか否かを判定する。S111にて、車酔いエリア情報及び走行履歴のいずれも受信していないと判定した場合、S111を繰り返す。一方、S111にて、車酔いエリア情報又は走行履歴を自動運転車両APCから受信した場合には、S112に進む。
S112では、S111にて受信した内容で、車酔い地点DB78を更新する。例えば、車酔いエリア情報を取得していた場合、車種識別情報等と関連付けて、車酔い地点DB78を更新する。一方、走行履歴を取得していた場合、走行履歴に基づき生成した未発生経路情報を、車種識別情報等と関連づけて、車酔い地点DB78を更新する。このようにして、各自動運転車両APCから提供される情報により、車酔い地点DB78が継続的に更新される。
次に、経路探索システム100の機能のうちで、走行経路の生成及び提供に関連する内容を、図1及び図5に基づいて説明する。
ナビゲーション制御部20は、ROM23又はデータ記憶部17等に記憶された経路設定プログラムをCPU21によって実行させる。これによりナビゲーション制御部20には、探索要求部36及び経路設定部39が、経路設定に関連する機能ブロックとして構築される。
探索要求部36は、車酔いエリアの通行を回避するような走行経路(以下、「回避走行経路」)の探索が必要とされた場合に、センタ処理装置70へ向けて探索要求を送信することで、回避走行経路の生成をセンタ処理装置70に要求する。探索要求部36は、搭乗者情報取得部32(図2参照)にて特定された搭乗者の中に、車酔いし易いとして予めプロファイルに登録された搭乗者がいるか否かを判定する。車酔いし易い搭乗者が車両110に搭乗している場合、探索要求部36は、回避走行経路の探索が必要であると決定し、探索要求を送信する。探索要求を送信した自動運転車両APCは、センタ処理装置70にて、「探索要求車両SRC」として扱われる。
探索要求部36は、探索要求を送信すると共に、車両110の現在位置を示す位置情報と、搭乗者によって入力された目的地を示す情報とを、センタ処理装置70へ向けて送信する。尚、センタ処理装置70にて、探索要求と第一情報とが紐付けされない場合、探索要求部36は、探索要求の送信と共に、自車車種情報、搭乗者情報、及び荷物情報等を、センタ処理装置70へ向けて送信する。
ここで、回避走行経路の探索が不要であると判定された場合、走行経路は、ナビゲーション制御部20によって生成されてよい。また、回避走行経路の探索要求は、自動運転モードへの切り替えに伴って常に送信されるよう、予め設定されていてもよい。
経路設定部39は、センタ処理装置70によって生成及び提供された回避走行経路等を取得し、自動運転車両APCを目的地まで走行させる走行経路として設定する。加えて経路設定部39は、後述する挙動指令を取得した場合には、この挙動指令も走行経路と共に自動運転の制御情報として設定する。
以上のナビゲーション制御部20によって実施される経路設定処理の詳細を、図6に基づき、図1及び図5を参照しつつ説明する。経路設定処理は、例えば自動運転モードに切り替えられたことに基づいて開始される。
S131では、回避走行経路の探索をセンタ処理装置70に要求する条件か成立しているか否かを判定する。車酔いし易い搭乗者が乗車している場合に、S131にて、探索要求の実施条件が成立していると判定し、S132に進む。S132では、探索要求車両SRCの現在位置と、自動運転によって向かう目的地とを取得し、S133に進む。
S133では、回避走行経路の探索要求と、S132にて取得した現在位置及び目的地とを、センタ処理装置70へ向けて送信し、S134に進む。尚、経路設定処理にて第一情報のセンタ処理装置70への送信が必要な形態では、S132及びS133により、第一情報の取得と送信を実施する。
S134では、センタ処理装置70にて生成された走行経路を受信したか否かを判定する。S134にて、走行経路の受信が完了していないと判定した場合、S134の繰り返しによって走行経路の受信完了を待機する。そして、S134にて、走行経路の受信が完了したと判定すると、S135に進む。
S135では、S134にて受信した走行経路を設定する。センタ処理装置70から回避走行経路が提供された場合、S135では、回避走行経路を自動運転の制御情報として設定し、経路設定処理を終了する。一方、センタ処理装置70から通過走行経路と挙動指令が提供された場合、S135では、通過走行経路と挙動指定とを自動運転の制御情報として設定し、経路設定処理を終了する。
図5に示すセンタ制御部70aは、ROM73又はデータ記憶部77等に記憶された経路探索プログラムをCPU71によって実行させる。これによりセンタ制御部70aには、要求取得部85、データベース読出部86、経路生成部88a、指令生成部88b、及び情報提供部89等が経路探索に関連する機能ブロックとして構築される。
要求取得部85は、探索要求車両SRCのナビゲーション装置10によって送信された探索要求、現在位置、及び目的地を取得する。
データベース読出部86は、探索要求車両SRCからの探索要求を受信すると、探索要求車両SRCからセンタ処理装置70に送信された第一情報を、蓄積情報収集部81(図2参照)から取得する。データベース読出部86は、自車車種情報を含む第一情報に基づき、探索要求車両SRCの車種に対応した車酔いエリア情報及び未発生経路情報を、車酔い地点DB78から読み出す。加えてデータベース読出部86は、搭乗者情報及び荷物情報が探索要求車両SRCから既に提供されていた場合、車種識別情報だけでなく、これら搭乗者情報又は荷物情報にも対応した車酔いエリア情報及び未発生経路情報を車酔い地点DB78から取得する。
尚、データベース読出部86は、車種識別情報、搭乗者情報、及び荷物情報が厳密に一致する車酔いエリア情報及び未発生経路情報だけでなく、これらの情報に類似性のある車酔いエリア情報及び未発生経路情報も、車酔い地点DB78から読み出し可能である。
経路生成部88aは、走行経路の生成を行う。経路生成部88aは、データベース読出部86の取得した車酔いエリア情報の示す車酔いエリアを回避する回避走行経路を探索する。加えて経路生成部88aは、車酔いエリアを迂回せずに、車酔いエリアを通過する通過走行経路の探索も実施する。走行経路の探索にあったては、経路生成部88aは、未発生経路情報の示す車酔いの未発生経路を優先的に通過するように走行経路を探索する。
経路生成部88aは、回避走行経路と通過走行経路の両方が生成可能である場合、これらの経路で走行した場合の目的地までの各走行時間を比較する。経路生成部88aは、回避走行経路にて目的地まで走行する場合の迂回走行時間と、走行速度及び加減速度等を通常よりも制限した制限走行態様で車酔いエリアを通行しつつ、通過回避経路にて目的地まで走行する場合の通過走行時間と、を算出する。通過走行時間の算出に用いられる制限走行態様は、後述する挙動指令により、自動運転車両APC(探索要求車両SRC)に適用される。経路生成部88aは、迂回走行時間と通過走行時間とを比較し、通過走行時間が迂回走行時間よりも短い場合に、通過走行経路を生成する。一方で、通過走行時間が迂回走行時間よりも長い場合には、経路生成部88aは、回避走行経路を生成する。
尚、現在位置と目的地との間に車酔いエリアが存在しない場合、経路生成部88aは、車酔いエリアを通過しない走行経路のみを生成する。また、例えば現在位置から目的地へ向かう走行経路が一つしかなく、走行経路から車酔いエリアを除外不可能な場合、経路生成部88aは、車酔いエリアを通過する通過走行経路のみを生成する。
指令生成部88bは、車酔いエリアを通過する通過走行経路を生成した場合に、挙動指令を生成する。挙動指令は、自動運転によって車酔いエリアを通行する際の走行速度及び加減速度の少なくとも一方を、車酔いエリア以外を走行する際よりも、低い値に設定させる制御指令である。挙動指令にて指定される走行速度及び加減速度の具体的な値は、通過回避経路の算出時に用いられた値と実質的に同一である。挙動指令に基づくことにより、自動運転車両APC(探索要求車両SRC)は、挙動指令が無い場合の通常の自動運転時よりも、搭乗者に作用する加速度が低減された走行態様で車酔いエリアを通行するようになる。
情報提供部89は、経路生成部88aによって生成された回避走行経路又は通過走行経路を探索要求車両SRCに提供する。指令生成部88bにて挙動指令が生成されていた場合には、情報提供部89は、通過走行経路と共に挙動指令も探索要求車両SRCに提供する。
以上のセンタ制御部70aによって実施される経路探索処理の詳細を、図7に基づき、図1及び図5を参照しつつ説明する。経路探索処理は、DB更新処理(図4参照)と同様に、センタ処理装置70の電源がオン状態とされたことに基づき開始され、センタ処理装置70がオフ状態とされるまで、半永久的に実行され続ける。
S141では、探索要求車両SRCによる探索要求を取得したか否かを判定する。S141にて、探索要求を取得していないと判定した場合、S141の判定を繰り返すことで、探索要求の取得を待機する。そして、S141にて、探索要求を取得したと判定すると、S142に進む。
S142では、探索要求車両SRCから現在位置及び目的地をさらに取得し、S143に進む。S143では、蓄積情報収集部81(図2参照)に収集済みの第一情報をさらに取得し、S144に進む。S144では、S142にて取得した現在位置及び目的地の間の領域において、S143にて取得した車種識別情報及び搭乗者情報等に対応した車酔いエリア情報及び未発生経路情報を、車酔い地点DB78から読み出す。これにより、目的地までの走行経路に影響する可能性のある車酔いエリア及び車酔いの未発生経路を取得し、S145に進む。
S145では、S144にて取得した車酔いエリアを避けつつ、未発生経路を優先的に通行するように、S142にて取得した現在位置から目的地までの走行経路について、探索を行い、S146に進む。
S146では、S145にて探索した走行経路について、回避走行経路と通過走行経路との両方が生成可能か否かを判定する。S146にて、通過走行経路のみが生成可能と判定した場合、S149に進む。またS146にて、回避走行経路のみが生成可能と判定した場合、S152に進む。一方、S146にて、回避走行経路及び通過走行経路の両方が生成可能と判定した場合、S147に進む。
S147では、通過走行時間と迂回走行時間とを比較し、S148に進む。S148にて通過走行時間が迂回走行時間よりも短いと判定した場合、S149に進む。S149では、通過走行経路を生成し、150に進む。S150では、S149にて生成した通過走行経路の車酔いエリアについて、制限走行態様での走行を自動運転車両APCに指令する挙動指令をさらに生成し、S151に進む。S151では、S149にて生成の通過走行経路と、S150にて生成の挙動指令とを、ナビゲーション装置10へ向けて送信し、経路探索処理を終了する。S151により、通過走行経路及び挙動指令が、通信ネットワークNWを通じて探索要求車両SRCに提供される。
また、S148にて、通過走行時間が迂回走行時間よりも長いと判定した場合、S152に進む。S152では、回避走行経路を生成し、S153に進む。S153では、S153にて生成の回避走行経路をナビゲーション装置10へ向けて送信し、経路探索処理を終了する。S153により、回避走行経路が探索要求車両SRCに提供される。
ここまで説明した第一実施形態のような自動運転車両APCは、同一の車両種別であれば、車体の重量、長さ(ホイールベース及びトレッド等)、高さ、サスペンションの固さ、走行性能、加減速時の車両挙動等がほぼ同じとなる。その結果、同じ経路を走行する場合の車体の振動、ふらつき、作用する加速度の具合が概ね同一となり、車酔いし易さも概ね同程度なる。
こうしたことへの着目により、経路探索システム100では、車酔いエリア情報が車種識別情報と関連付けられて、車酔い地点DB78に蓄積されている。そして、特定の自動運転車両APCである探索要求車両SRCから走行経路の探索要求を受けると、センタ制御部70aは、車酔い地点DB78に蓄積された車酔いエリア情報のうちで、探索要求車両SRCの車種に対応した車酔いエリア情報を取得できる。その結果、センタ制御部70aは、探索要求車両SRCに特有の車酔いエリアを回避した回避走行経路を生成できる。以上のように、車種識別情報に基づき、個々の自動運転車両APCの仕様が何ら鑑みられることによれば、自動運転機能によって走行する自動運転車両APCでの搭乗者の車酔いは、精度良く回避可能となる。
また第一実施形態の経路探索システム100では、多数の自動運転車両APCから蓄積すべき車酔いエリア情報及び未発生経路情報が自動的に送信され、センタ処理装置70は、受信した各情報で車酔い地点DB78を更新してく。こうした構成であれば、実際の道路情報、例えば路面状況、道路形状、勾配、道路種別等を詳細に調査しなくても、車酔い地点DB78に蓄積された情報は、最新の状態に維持され得る。したがって、車酔い地点DB78についての情報収集及び維持管理に関連するコストは、低く維持可能となる。
加えて第一実施形態では、車酔いエリアを通行する走行経路が選択された場合でも、探索要求車両SRCに特有の車酔いエリアを通行する際には、搭乗者に作用する加速度を低減するような走行態様が指令される。以上によれば、車酔いエリアの通行が回避出来ない場合でも、自動運転機能によって走行する自動運転車両APCでの搭乗者の車酔いは、精度良く回避可能となる。
また第一実施形態では、回避走行経路と通過走行経路の両方が生成可能な場合に、回避走行経路を選択した場合の迂回走行時間と、通過走行経路を選択した場合の通過走行時間とが比較され、短時間で目的地に到着可能な走行経路が選択される。以上によれば、搭乗者の車酔いを精度良く回避したうえで、目的地への早急な到着が可能となる。
さらに第一実施形態の車酔い地点DB78では、車酔いエリア情報に、車種識別情報だけでなく、搭乗者情報が関連付けられている。故に、車種に特有の車酔いエリアだけでなく、搭乗者の関連した特有の車酔いし易いエリアの走行が回避される。したがって、自動運転車両APCにおける搭乗者の車酔いは、さらに精度良く防がれる。
加えて第一実施形態では、車酔いが発生しなかった場合の走行履歴に基づくことで、車酔いの未発生経路情報が収集される。こうした未発生経路情報を車種識別情報に関連付けて車酔い地点DB78を更新すれば、車種特有の車酔いし易いエリアの情報だけでなく、車種特有の車酔いし難い経路の情報も蓄積されていく。こうして蓄積された未発生経路を優先的に通行する走行経路を生成することで、自動運転車両APCにおける搭乗者の車酔いは、さらに精度良く防止される。
また第一実施形態では、走行履歴に基づいて現在位置から遡った地点又は区間が、車酔いの発生場所として特定される。こうした発生場所の特定方法によれば、車酔い地点DB78は、搭乗者の車酔いを誘発させた地点又は区間を正確に蓄積することが可能となる。
さらに第一実施形態では、車酔いし易い搭乗者が車両110に搭乗していた場合に、回避走行経路の探索が要求される。一方で、車酔いし難い搭乗者しか搭乗していない場合では、回避走行経路の探索要求が実施されず、自動運転車両APCは、目的地まで短い時間で到着可能な走行経路で走行できる。このように、搭乗者の車酔いのし易さに基づいて、車酔いエリアを通常通り通過するか回避するかを切り替えれば、車酔いの防止と効率的な自動運転走行との両立が可能となる。
尚、第一実施形態では、車両情報格納領域18bが「車両情報格納部」に相当し、送信制御部35が「送信部」に相当し、センタ制御部70aが「処理部」に相当し、CPU71が「プロセッサ」に相当し、車酔い地点DB78が「データベース」に相当する。
(第二実施形態)
図8〜図11に示す本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態による経路探索システム200でも、多数のナビゲーション装置210により、車酔いエリア情報及び未発生経路情報が収集され、センタ処理装置270の車酔い地点DB78に蓄積される。一方で、経路探索システム200では、走行経路及び挙動指令の生成が、センタ処理装置270から車酔いエリア情報等を提供されたナビゲーション装置210によって生成される。以下、経路探索システム200の機能のうちで、車酔いエリア等の情報提供及び走行経路の生成に関連する内容を、図8に基づいて説明する。
ナビゲーション装置210のナビゲーション制御部220は、第一実施形態と同様の情報送信処理(図3参照)を実施可能である。ナビゲーション制御部220は、検出情報取得部33にて搭乗者の車酔いを検出した場合に、走行履歴に基づいて現在位置から遡った地点又は区間を示す車酔いエリア情報等を、送信制御部35からセンタ処理装置270へ向けて送信する(図2参照)。
加えてナビゲーション制御部220は、ROM23(図1参照)又はデータ記憶部17等に記憶された経路設定プログラムをCPU21(図1参照)によって実行させる。これによりナビゲーション制御部220には、搭乗者判定部237、蓄積情報取得部236、経路生成部238a、指令生成部238b、及び経路設定部239が、経路設定に関連する機能ブロックとして構築される。
搭乗者判定部237は、車酔いし易いとして予めプロファイルに登録された搭乗者を検出する。具体的に、搭乗者判定部237は、搭乗者情報取得部32(図2参照)にて特定された車室内の搭乗者の中に、予めプロファイルに登録された車酔い搭乗者がいるか否かを判定する。
蓄積情報取得部236は、自動運転車両APCにて回避走行経路の設定が必要とされた場合に、センタ処理装置270へ向けて情報提供要求を送信する。情報提供要求は、現在位置から目的地までの間にある車酔いエリア及び未発生経路についての情報提供を、センタ処理装置270に要求する信号である。蓄積情報取得部236は、例えば搭乗者判定部237にて、車酔いし易い搭乗者が車両110に搭乗していると判定された場合に、情報提供要求をセンタ処理装置270へ向けて送信する。
蓄積情報取得部236は、情報提供要求に基づいてセンタ処理装置270から送信された車酔いエリア情報及び未発生経路情報を取得する。蓄積情報取得部236によって取得された情報は、提供情報格納領域218dに一時的に保存される。ここで、情報提供要求を送信した自動運転車両APCは、センタ処理装置270にて、「情報要求車両IRC」として扱われる。
経路生成部238aは、第一実施形態の経路生成部88a(図5参照)と実質同一の機能を発揮する機能ブロックであり、走行経路の生成を行う。経路生成部238aは、蓄積情報取得部236にて取得された車酔いエリア情報及び未発生経路情報等に基づき、回避走行経路及び通過走行経路の探索を実施する。加えて経路生成部238aは、回避走行経路及び通過走行経路の両方が生成可能である場合に、迂回走行時間と通過走行時間とを比較することで、短時間で目的地に到着できる走行経路を選択する。
指令生成部238bは、第一実施形態の指令生成部88bと実質同一の機能を発揮する機能ブロックである。指令生成部238bは、経路生成部238aにて通過走行経路が生成された場合に、挙動指令を生成する。
経路設定部239は、経路生成部238aにて回避走行経路が生成された場合に、この回避走行経路を目的地まで自動運転車両APC走行させる走行経路として設定する。加えて経路設定部239は、指令生成部238bにて挙動指令が生成された場合には、この挙動指令も走行経路と共に自動運転の制御情報として設定する。
センタ処理装置270のセンタ制御部270aは、ROM73(図1参照)又はデータ記憶部77等に記憶された情報提供プログラムをCPU71(図1参照)によって実行させる。これによりセンタ制御部270aには、要求取得部285、データベース読出部286、及び情報提供部289等が経路探索に関連する機能ブロックとして構築される。
要求取得部285は、情報要求車両IRCのナビゲーション装置210によって送信された情報提供要求、現在位置、及び目的地を取得する。
データベース読出部286は、第一実施形態のデータベース読出部86(図5参照)と実質同一である。データベース読出部286は、情報要求車両IRCからの情報提供要求を受信すると、蓄積情報収集部81(図2参照)の取得した第一情報に基づき、情報要求車両IRCの車種に対応した車酔いエリア情報及び未発生経路情報を車酔い地点DB78から読み出す。加えてデータベース読出部286は、搭乗者情報及び荷物情報が情報要求車両IRCから提供されていた場合、車種識別情報だけでなく、これら搭乗者情報又は荷物情報にも対応した車酔いエリア情報及び未発生経路情報を、車酔い地点DB78から取得する。
情報提供部289は、データベース読出部286によって読み出された車酔いエリア情報及び未発生経路情報等を情報要求車両IRCに提供する。
以上のナビゲーション制御部220によって実施される経路設定処理、及びセンタ制御部270aによって実施される情報提供処理の詳細を、図1及び図8を参照しつつ説明する。図9及び図10に示す経路設定処理は、第一実施形態と同様に、自動運転モードに切り替えられたことに基づいて開始される。
S231では、搭乗者のプロファイルを搭乗者プロフィール格納領域18cから取得し、S232に進む。S232では、S231にて取得したプロファイルに基づき、車酔いし易い搭乗者が乗車中か否かを判定する。S232にて、車酔いし易い搭乗者がいないと判定した場合、S233に進む。S233では、現在位置及び目的地を取得し、地図DB18aに格納された地図情報を用いて、車酔いエリア等の情報を参照することなく、目的地までの走行経路を生成し、S234に進む。S234では、S233にて生成した走行経路を設定し、経路設定処理を終了する。
一方、S232にて、車酔いし易い搭乗者がいると判定した場合、S235に進み、現在位置及び目的地を取得する。そして、S236にて、S235にて取得した現在位置及び目的地と車酔いエリア等の情報提供要求とを、センタ処理装置270へ向けて送信し、S237に進む。
S237では、センタ処理装置270より提供された車酔いエリア情報等を受信したか否かを判定する。S237にて、車酔いエリア情報等の受信が完了していないと判定した場合、S237の繰り返しによって受信完了を待機する。そして、S237にて、受信が完了したと判定すると、S238に進む。
S238〜S243及びS245では、第一実施形態のS145〜S150及びS152(図7参照)と実質同一の処理を実施する。そして、S244では、S242にて生成の通過走行経路と、S243にて生成の挙動指令とを、自動運転の制御情報として設定し、経路設定処理を終了する。また、S246では、S245にて生成の回避走行経路を自動運転の制御情報として設定し、経路設定処理を終了する。
図11に示す情報提供処理は、第一実施形態の経路探索処理と同様に、センタ処理装置270の電源がオン状態とされたことに基づき開始され、センタ処理装置270がオフ状態とされるまで、半永久的に実行され続ける。
S251では、情報要求車両IRCよる情報提供要求を取得したか否かを判定する。S251にて、情報提供要求を取得していないと判定した場合、S251の判定を繰り返すことで、情報提供要求の取得を待機する。そして、S251にて、情報提供要求を取得したと判定すると、S252に進む。
S252〜S254では、第一実施形態のS142〜S144(図7参照)と実質同一の処理を実施する。そして、S255では、S254にて取得した車酔いエリア情報等をナビゲーション装置210へ向けて送信し、情報提供処理を終了する。S255により、車酔いエリア情報等が情報要求車両IRCに提供される。
ここまで説明した第二実施形態のように、ナビゲーション装置210によって回路走行経路の探索が実施される形態では、車種識別情報と関連付けられた車酔いエリア情報等が情報提供要求に基づいてナビゲーション装置210に提供される。こうした処理によれば、ナビゲーション制御部220は、情報要求車両IRCに特有の車酔いエリアを回避した走行経路を生成できる。その結果、第一実施形態と同様の効果を奏し、自動運転機能によって走行する自動運転車両APCでの搭乗者の車酔いは、精度良く回避可能となる。
加えて第二実施形態では、車酔いし易い搭乗者が車両110に搭乗していた場合に、ナビゲーション装置210からセンタ処理装置270への情報提供要求が送信され、回避走行経路が生成される。そのため、車酔いし難い搭乗者しか自動運転車両APCに搭乗していない場合には、を回避走行経路の生成が不必要に行われないため、自動運転車両APCは、効率的な経路を走行して短時間で目的地に到着可能となる。尚、第二実施形態では、センタ処理装置270が「経路探索装置」に相当する。
(第三実施形態)
図12に示す本開示の第三実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。第三実施形態によるセンタ処理装置370は、複数の自動運転車両APC(図1参照)から車酔いエリア情報及び未発生経路情報を取得すると(S311)、各情報のグルーピングを実施する(S312)。センタ処理装置370は、車酔いエリアの特性、具体的には、カーブの連続する山間部の道路、又は渋滞している道路といった情報に基づき、車酔いエリア情報を分類する。同様に、センタ処理装置370は、未発生経路の特性に基づき、未発生経路情報を分類する。
以上のように、センタ処理装置370は、予め設定された複数のグループのうちの一つに車酔いエリア情報及び未発生経路情報をグルーピングする。そして、センタ処理装置370は車種識別情報と関連付けて、車酔い地点DB378に蓄積された情報のうちで、分類されたグループに該当する情報を、車酔いエリア情報及び未発生経路情報によって更新する(S313)。
ここまで説明した第三実施形態のセンタ処理装置370は、探索要求車両SRC(図5参照)から探索要求を取得すると、車酔いエリア及び未発生経路の類似性を利用して、車酔いが発生し易いと推定されるエリアを回避した回避走行経路を探索できる。以上のように、グルーピングを利用した車酔い地点DB378の構築を行うことによれば、収集された車酔いエリア情報及び未発生経路情報の情報量が少ない場合でも、搭乗者の車酔いを精度良く回避することが可能となる。尚、第三実施形態では、車酔い地点DB378が「データベース」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記第二実施形態の変形例1において、蓄積情報取得部は、車両に搭載された自動運転機能の作動が開始されたことに基づいて、自車車種情報に対応した車酔いエリア情報及び未発生経路情報の送信をセンタ処理装置の車酔い地点DBに要求する。このように、ナビゲーション装置にて走行経路が生成される形態では、車酔いエリア情報等の提供を要求するタイミングは、第二実施形態のように車酔いし易い搭乗者が検出されたタイミングであってもよく、又は自動運転が開始されたタイミングであってもよい。さらに、ナビゲーション装置は、車酔いエリア情報等の一覧をセンタ処理装置から定期的に受信して、提供情報格納領域に格納していてもよい。こうした形態であれば、ナビゲーション制御部は、車酔い回避経路の探索時にセンタ処理装置からの車酔いエリア情報の提供を待つことなく、短時間で回避走行経路を生成できる。
上記実施形態では、通過走行時間と迂回走行時間との比較に基づいて、車酔いエリアを通過するか回避するかが決定されていた。しかし、予想到着時刻以外のパラメータを用いて、車酔いエリアの通行を回避するか否かが決定されてもよい。さらに、回避走行経路と通過走行経路との選択は、運転者によって実施されてもよい。また、車酔いエリアを通行する走行経路しか生成できない場合において、挙動指令の生成は、実施されなくてもよい。
上記実施形態では、車酔いエリア情報に搭乗者情報及び荷物情報等が関連付けられていた。しかし、車酔いエリア情報に関連付けられる情報は、車種識別情報だけであってもよい。同様に、未発生経路情報に関連付けられる情報は、車種識別情報だけであってもよい。さらに、自動運転車両の周囲の温度及び湿度や、車室内の温度や湿度、日差しの強さといった気象情報等が、車酔いエリア情報及び未発生経路情報に関連付けられていてもよい。
上記実施形態のようなナビゲーション装置を搭載する全ての自動運転車両が車酔いエリア情報等を収集する処理を実施してもよい。又は、センタ処理装置への車酔いエリア等の情報提供は、運転者の操作によって任意で実施されないように設定されてもよい。さらに、ナビゲーション装置は、車酔いエリア情報等を送信する機能と、経路探索を要求する機能とのうちで、一方のみを搭載する構成であってもよい。
上記第一,第三実施形態では、センタ制御部によって走行経路の生成等が実施されていた。一方で、上記第二実施形態では、ナビゲーション制御部によって走行経路の生成等が実施されていた。このように、本開示の経路探索方法を実施する機能部は、上述の構成とは異なるハードウェア及びソフトウェア、或いはこれらの組み合わせによっても提供可能である。例えば、センタ制御部によって生成された通過走行経路に基づいて、ナビゲーション制御部が挙動指令を生成してもよい。