JP2017223196A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関本体の過給を行う電動過給機を有する車両の制御装置において、加速要求時のアクセル開度が予め設定された閾値以上の場合に過給圧偏差によらない電動過給機アシストを実行する電動過給機アシスト実行部30aと、車両の減速走行後に車両の再加速走行を実行するときの加速度である再加速時加速度と車速との関係を定めた加速特性を記憶し、減速走行以前の加速走行時における走行データと加速特性とに基づいて、現在車速に対応する再加速時加速度を算出する再加速時加速度算出部40cとを有し、再加速時加速度が大きいほど、過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行されるときにおける電動過給機の回転速度を大きくする。
【選択図】図2
Description
特許文献1に記載された過給アシスト制御システムでは、アクセル開度変化率が第1所定値以上のときに、所定時間が経過するまでの間、過給圧偏差(実過給圧と目標過給圧との偏差)によらない過給アシストが実行され、所定時間経過後には、過給圧偏差による過給アシストが実行される。
特許文献1に記載された過給アシスト制御システムでは、過給圧偏差によらない過給アシストの実行時に運転者の運転嗜好が反映されない。詳細には、過給圧偏差によらない過給アシストの実行時に、運転者の運転嗜好が考慮されることなく、アシストモータの回転速度(目標回転速度)が設定される。
そのため、特許文献1に記載された過給アシスト制御システムでは、運転者の運転嗜好を反映させた加速を実現することができない。
例えば、運転者の運転嗜好が反映されていない加速が実現される場合には、ドライバビリティが悪化してしまう。また、運転者の要求以上の加速を実現するアシストモータの回転速度が設定される場合には、燃費が悪化してしまう。
前記内燃機関本体の過給を行う電動過給機と、
アクセル開度センサとを具備する車両の制御装置において、
加速要求時のアクセル開度が予め設定された閾値以上の場合に過給圧偏差によらない電動過給機アシストを実行する電動過給機アシスト実行部と、
前記車両の減速走行後に前記車両の再加速走行を実行するときの加速度である再加速時加速度と車速との関係を定めた加速特性を記憶し、前記減速走行以前の加速走行時における走行データと前記加速特性とに基づいて、現在車速に対応する再加速時加速度を算出する再加速時加速度算出部とを具備し、
前記再加速時加速度算出部によって算出される再加速時加速度が大きいほど、過給圧偏差によらない電動過給機アシストが前記電動過給機アシスト実行部によって実行されるときにおける前記電動過給機の回転速度を大きくすることを特徴とする車両の制御装置が提供される。
すなわち、本発明の車両の制御装置では、加速要求時のアクセル開度が予め設定された閾値以上のときに、加速レスポンスが悪い過給圧偏差に基づく電動過給機アシストが実行されるのではなく、過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行される。そのため、過給圧偏差に基づく電動過給機アシストが実行される場合よりも、加速レスポンスを向上させることができる。
さらに、本発明の車両の制御装置では、過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行されるときに設定される電動過給機の回転速度が、車両の減速走行以前の車両の加速走行時における走行データ、つまり、運転者の運転嗜好が反映された過去の走行データに基づいている。
その結果、本発明の車両の制御装置では、運転者の運転嗜好を反映させた加速を実現することができる。
詳細には、本発明の車両の制御装置では、運転者の運転嗜好が反映されていない加速が実現される場合よりも、ドライバビリティを向上させることができる。また、運転者の要求以上の加速を実現する電動過給機の回転速度が設定される場合よりも、燃費を向上させることができる。
第1の実施形態の車両の制御装置が適用された車両Veの図1に示す例では、内燃機関本体1が設けられている。内燃機関本体1には、吸気通路2と排気通路3とが接続されている。吸気通路2には、ターボチャージャ4aのコンプレッサ4a1が配置されている。排気通路3には、ターボチャージャ4aのタービン4a2が配置されている。コンプレッサ4a1のコンプレッサインペラ(図示せず)とタービン4a2のタービンインペラ(図示せず)とが、回転軸4a3を介して連結されている。回転軸4a3には、モータ4bが接続されている。ターボチャージャ4aとモータ4bとによって、内燃機関本体1の過給を行う電動過給機4が構成されている。モータ4bを作動することによって、電動過給機アシストを実行することができ、モータ4bが作動されない場合よりも吸気の過給圧を増加させることができる。
吸気通路2のうちのコンプレッサ4a1よりも上流側の部分には、エアクリーナーが配置されている。吸気通路2のうちのコンプレッサ4a1よりも下流側の部分には、インタークーラ5と、スロットルバルブ6とが配置されている。排気通路3のうちのタービン4a2よりも下流側の部分には、触媒が配置されている。
また、第1の実施形態の車両の制御装置が適用された車両Veの図1に示す例では、タービン4a2をバイパスするウェイストゲート通路7が設けられている。ウェイストゲート通路7には、ウェイストゲートバルブ8が配置されている。さらに、内燃機関本体1の駆動力を駆動輪側へ伝達するトランスミッション10が設けられている。
再加速時加速度算出部40cによって算出される再加速時加速度は、車両Veの減速走行後に車両Veの再加速走行を実行するときの加速度(詳細には、目標加速度)である。
第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図2に示す例では、出力回転速度センサ24の出力信号に基づき加速度算出部40aによって車両Veの加速度が算出されるが、第1の実施形態の車両の制御装置が適用された他の例では、代わりに、車速センサ23の出力信号に基づき例えば加速度算出部40aによって車両Veの加速度を算出することもできる。
図3に示す処理が開始されると、まず、ステップS1において、車両Veの加速走行が終了したか否かが判定される。例えば、車速センサ23あるいは前後加速度センサ(図示せず)の出力信号に基づいて、車両Veの加速走行が終了したか否かを判定することができる。
例えば、車両Veの加速走行が実行されていると図示しないステップにおいて判定された後、車両Veの加速度がゼロになったとき、あるいは、車両Veの減速走行(つまり、加速度がゼロ未満)に移行したときには、ステップS1においてYESと判定される。
例えば、車両Veの加速走行が実行されていると図示しないステップにおいて判定された後、ブレーキセンサ22(図1参照)によって運転者の制動操作が検出されたときにも、ステップS1においてYESと判定される。
例えば、車両Veの加速走行が実行されているときには、ステップS1においてNOと判定される。また、例えば、図3に示す処理が開始された後に車両Veの加速走行が実行されていないときにも、ステップS1においてNOと判定される。具体的には、図3に示す処理が開始された後に車両Ve加速走行が実行されることなく車両Veの減速走行が実行されているとき、あるいは、図3に示す処理が開始された後に車両Ve加速走行が実行されることなく車両Veの定常走行が実行されているときには、ステップS1においてNOと判定される。
ステップS1においてYESと判定されたときにはステップS2に進み、NOと判定されたときにはステップS3に進む。
具体的には、図3に示す例では、ステップS2が実行される前に、例えば、図示しないステップにおいて、車両Veの加速走行が終了する前における走行データ(例えば、加速開始時の車速、加速走行中の最大加速度等)、つまり、車両Veの加速走行時における走行データが、例えばエンジンECU40(図2参照)によって記憶される。
例えば、車両Veの加速走行が終了した後に車両Veの減速走行が実行される例では、車両Veの減速走行中に、ステップS1においてYESと判定され、ステップS2が実行される。ステップS2が実行される時点においては、車両Veの減速走行以前の加速走行時における走行データが、例えばエンジンECU40によって記憶されている。
ステップS2では、例えばエンジンECU40によって記憶されている車両Veの加速走行時における走行データが、例えば期待車速算出部40bによって読み込まれる。さらに、読み込まれた走行データに基づき、例えば期待車速算出部40bによって、期待車速および勾配係数Kが算出されて更新される。
運転者が車両Veを運転操作する際には、運転者は常に所定の車速を狙いながら運転していると仮定できる。エンジンECU40による制御では、運転者が目標とする車速、あるいは運転者が所望すると推定される車速を「期待車速」と定義している。一般に、同一の走行環境の下では、運転者の運転嗜好が、通常よりも動力性能や運動性能を重視する走行嗜好(スポーツ走行嗜好)になれば、期待車速は高くなる。反対に、運転者の運転嗜好が、通常よりも燃費や効率を重視する走行嗜好(燃費走行嗜好)になれば、期待車速は低くなる。期待車速は、例えば、車速、前後加速度、横加速度、操舵角、路面勾配、車両姿勢などの走行データを記録した車両Veの走行履歴を基に求めることができる。勾配係数Kは、図4および図6に示すように、期待車速を求める際に用いる相関線の傾きを表している。
例えば、車両Veの加速走行中にステップS3が実行される場合には、前回の車両Veの加速走行が終了したときにステップS2において更新された期待車速および勾配係数Kが、ステップS3において、前回値として保持される。
例えば、イグニションスイッチ(図示せず)がONにされて図3に示す処理が開始された後に車両Veの加速走行が実行されていない場合には、図3に示す処理が最初に開始されたときに例えば期待車速算出部40bによって記憶されている期待車速および勾配係数K(つまり、初期値)が、ステップS3が最初に実行されるときに、前回値として保持される。
具体的には、例えば、イグニションスイッチがOFFにされるときに、例えば期待車速算出部40bによって記憶されている期待車速および勾配係数Kがクリアされる例では、イグニションスイッチがONにされて図3に示す処理が開始されるときに、図示しないステップにおいて、予め設定された期待車速および勾配係数Kの初期値が、例えば期待車速算出部40bによって読み込まれて記憶される。次いで、ステップS3が最初に実行されるときに、例えば期待車速算出部40bによって記憶されている期待車速および勾配係数Kが、前回値として保持される。
一方、例えば、イグニションスイッチがOFFにされた後に例えば期待車速算出部40bによって期待車速および勾配係数Kが記憶され続ける例では、イグニションスイッチがONにされて図3に示す処理が開始され、ステップS3が最初に実行されるときに、イグニションスイッチがOFFにされた後に例えば期待車速算出部40bによって記憶され続けた期待車速および勾配係数Kが、前回値として保持される。
車両Veの減速走行後に車両Veが停止しない場合には、車両Veの減速走行後に車両Veの再加速走行が実行される。具体的には、例えば、車両Veがコーナーを旋回する場合、一般に、車両Veは、コーナーの手前側で減速し、コーナーに進入する。コーナーにおいては、車両Veは、減速しながら、あるいは一定速度で、旋回する。次いで、車両Veは、コーナーを脱出するときに、再加速走行を実行する。車両Veが減速走行後に再加速走行を実行する場合、運転者は、期待車速に向けて車両Veを加速させると仮定できる。したがって、期待車速と現在車速との差が大きい場合には、その差を縮めるために、運転者が大きい加速度を要求し、車両Veの再加速走行を実行すると推測できる。
第1の実施形態の車両の制御装置が適用された他の例では、代わりに、車両Veに搭載された加速度センサ(図示せず)によって加速度を検出することもできる。加速度センサによって加速度が検出される場合には、車両Veの姿勢や路面勾配の影響を受けることにより、加速度センサによって検出される加速度にノイズが含まれるおそれがある。
そのため、第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図2に示す例では、出力回転速度センサ24の出力信号に基づき、加速度算出部40aによって対地加速度が算出される。
さらに、再加速時加速度算出部40cでは、図3のステップS4において、予め記憶されている加速特性(例えば、図4中の相関線f1、f2、f3など)と、例えば上述した車両Veの減速走行以前の加速走行時における走行データ(例えば、図4中の相関線f1、f2、f3のうちのどれを選択するかの判断材料)とに基づき、例えば図4に矢印で示すように、現在車速に対応する再加速時加速度が算出される。
また、例えば期待車速算出部40b(図2参照)では、図3のステップS2において、走行データ(例えば、図4中の相関線f1、f2、f3のうちのどれを選択するかの判断材料)に基づき、例えば図4に矢印で示すように、期待車速が算出されると共に、勾配係数Kが算出される。
加速特性を更新するときに必要な走行データは、上述した車速、前後加速度、横加速度、操舵角、路面勾配、車両姿勢などのうちの、加速開始時の車速および加速走行中の最大加速度である。
第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図1〜図3に示す例では、上述した加速特性が、例えば図4に示すような相関線f1、f2、f3として、あるいは、例えば図5に「y=ax+b」で示すような近似された加速特性線(相関線)として記憶されている。
第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図1〜図3に示す例では、例えば図6に示すような再加速時加速度(図6の縦軸)と車速(図6の横軸)との相関関係を用い、図6に相関線f、fm、fsで示す加速特性を例えば制御マップとして再加速時加速度算出部40cに予め記憶することもできる。
例えば、運転者がスポーツ走行嗜好を有すると、過去の車両Veの加速走行時における走行データに基づき、例えばエンジンECU40(図2参照)によって判断される場合には、図3のステップS4において再加速時加速度算出部40c(図2参照)によって用いられる加速特性として、相関線fs(図6参照)が選択される。
例えば、運転者が燃費走行嗜好を有すると、過去の車両Veの加速走行時における走行データに基づき、例えばエンジンECU40によって判断される場合には、図3のステップS4において再加速時加速度算出部40cによって用いられる加速特性として、相関線fm(図6参照)が選択される。
例えば、運転者がスポーツ走行嗜好も燃費走行嗜好も有していないと、過去の車両Veの加速走行時における走行データに基づき、例えばエンジンECU40によって判断される場合には、図3のステップS4において再加速時加速度算出部40cによって用いられる加速特性として、相関線f(図6参照)が選択される。
図6に矢印で示すように、期待車速と現在車速との差が大きいほど、再加速時加速度算出部40cによって算出される再加速時加速度が大きくなる。
例えば、図6に「現在車速」で示す値が車速センサ23(図2参照)によって検出されたとき、図3のステップS2において期待車速算出部40b(図2参照)によって算出される期待車速、および、図3のステップS4において再加速時加速度算出部40cによって算出される再加速時加速度は、相関線fsが選択される場合に最も大きい値になり、相関線fが選択される場合に2番目に大きい値になり、相関線fmが選択される場合に最も小さい値になる。
図7に示す処理が開始されると、まず、ステップS100において、再加速時加速度算出部40c(図2参照)によって算出された再加速時加速度が予め設定された第1の閾値以上であるか否かが、例えば電動過給機ECU30(図2参照)の電動過給機アシスト実行部30aによって判定される。YESのときにはステップS101に進み、NOのときには図7に示す処理を終了する。
ステップS101では、エンジン回転速度センサ21(図2参照)によって検出されたエンジン回転速度が予め設定された第2の閾値以下であるか否かが、例えば電動過給機アシスト実行部30aによって判定される。YESのときには、現在の内燃機関本体1(図1参照)の運転状態が電動過給機作動領域内にあり、加速レスポンスが良い過給圧偏差によらない電動過給機アシストを実行可能であると判断し、ステップS102に進む。一方、NOのときには、現在の内燃機関本体1の運転状態が、加速レスポンスが良い過給圧偏差によらない電動過給機アシストを実行する電動過給機作動領域内にないと判断し、図7に示す処理を終了する。
ステップS102では、現在の内燃機関本体1の運転状態が電動過給機作動領域内にあり、加速レスポンスが良い過給圧偏差によらない電動過給機アシストを実行可能であることを示すクイックスタートフラグが、例えば電動過給機ECU30によってONにされる。
図8に示す処理が開始されると、まず、ステップS200において、クイックスタートフラグがONになっているか否かが、例えば電動過給機ECU30(図2参照)の電動過給機アシスト実行部30aによって判定される。YESのときにはステップS201に進み、NOのときには図8に示す処理を終了する。
ステップS201では、アクセル開度センサ20(図2参照)によって検出されたアクセル開度が予め設定された第3の閾値以上であるか否かが、例えばエンジンECU40(図2参照)によって判定される。YESのときには、運転者による加速要求があり、過給圧偏差によらない電動過給機アシストを実行しなければ運転者が要求している加速レスポンスを満足することができないと判断し、ステップS202に進む。一方、NOのときには、例えば過給圧偏差による電動過給機アシストを実行することによっても、運転者が要求している加速レスポンスを満足することができると判断し、図8に示す処理を終了する。
第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図9に示す例では、再加速時加速度が大きいほど、第3の閾値が小さくなり、ステップS201においてYESと判定されやすくなる。また、エンジン回転速度が小さいほど、第3の閾値が小さくなり、ステップS201においてYESと判定されやすくなる。
詳細には、ステップS202では、要求過給圧(目標過給圧)に対する実過給圧の収束性を向上させるための過給圧偏差による電動過給機アシスト(つまり、例えばモータ4bのフィードバック制御)が実行されるのではなく、加速レスポンスを向上させるための過給圧偏差によらない電動過給機アシスト(つまり、図10中の電動過給機目標回転速度を目標値とする、例えばモータ4bのフィードフォワード制御)が、電動過給機アシスト実行部30aによって実行される。
ステップS202において過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行されるときには、電動過給機4の目標回転速度(詳細には、モータ4bによってアシストされる電動過給機4のターボチャージャ4a(図1参照)の回転軸4a3(図1参照)の目標回転速度)が図10に示す関係に基づいて設定され、その電動過給機4の目標回転速度を達成するためのモータ4bの目標回転速度が設定される。
第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図10に示す例では、再加速時加速度が大きいほど、図8のステップS202において過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行されるときに設定される電動過給機4の目標回転速度が大きくなる。その結果、再加速時加速度が大きいほど、ステップS202において過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行されることにより実現される電動過給機4の実回転速度も大きくなる。
また、第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図10に示す例では、アクセル開度が大きいほど、電動過給機4の目標回転速度が大きくなる。さらに、エンジン回転速度が小さいときの関係を示す図10(A)と、エンジン回転速度が大きいときの関係を示す図10(B)とで比較して示すように、エンジン回転速度が大きいほど、電動過給機4の目標回転速度が大きくなる。
詳細には、第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図8に示す例では、アクセル開度が第3の閾値以上に増加した第1の時点から、アクセル開度に基づいて要求トルクを算出するための第1の時間遅れを経た後の第2の時点に、要求トルクが増加する。次いで、第2の時点から、要求トルクに基づいて要求空気量を算出し、その要求空気量を達成するためのスロットル開度を算出するための第2の時間遅れを経た後の第3の時点に、スロットル開度が増加して空気量が増加し、エンジン回転速度が増加する。次いで、第3の時点から、例えば要求トルクとエンジン回転速度とに基づいて要求過給圧を算出するための第3の時間遅れを経た後の第4の時点に、要求過給圧が増加する。
第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図8に示す例では、第4の時点に増加した要求過給圧(目標過給圧)に対する実過給圧の収束性を向上させるために、過給圧偏差による電動過給機アシストが実行される。過給圧偏差による電動過給機アシストでは、第4の時点に増加した要求過給圧に基づいて、電動過給機4(図1参照)の目標回転速度が設定される。
つまり、第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図8に示す例では、アクセル開度が第3の閾値以上に増加した第1の時点から、第1の時間遅れ、第2の時間遅れおよび第3の時間遅れを経た後の第4の時点以降に、過給圧偏差による電動過給機アシストを実行可能な状態になり、過給圧偏差によらない電動過給機アシストから過給圧偏差による電動過給機アシストへの切り替えが実行される。
すなわち、第1の実施形態の車両の制御装置では、加速要求時のアクセル開度が予め設定された第3の閾値以上のときに、加速レスポンスが悪い過給圧偏差に基づく電動過給機アシストが実行されるのではなく、ステップS202において過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行される。そのため、過給圧偏差に基づく電動過給機アシストが実行される場合よりも、加速レスポンスを向上させることができる。
さらに、第1の実施形態の車両の制御装置では、過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行されるときに設定される電動過給機4の回転速度(詳細には、目標回転速度)が、車両Veの減速走行以前の車両Veの加速走行時における走行データ、つまり、運転者の運転嗜好が反映された過去の走行データに基づいている。
その結果、第1の実施形態の車両の制御装置では、運転者の運転嗜好を反映させた加速を実現することができる。詳細には、運転者の運転嗜好が反映されていない加速が実現される場合よりも、ドライバビリティを向上させることができる。また、運転者の要求以上の加速を実現する電動過給機4の目標回転速度が設定される場合よりも、燃費を向上させることができる。
第2の実施形態の車両の制御装置が適用された車両Veは、後述する点を除き、図1および図2に示す第1の実施形態の車両の制御装置が適用された車両Veとほぼ同様に構成されている。従って、第2の実施形態の車両の制御装置によれば、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の車両の制御装置とほぼ同様の効果を奏することができる。
図11に示す処理が開始されると、まず、ステップS300において、アクセル開度センサ20(図2参照)によって検出されたアクセル開度が、例えばエンジンECU40(図2参照)によって取得される。
次いで、ステップS200では、図8のステップS200と同様の処理が実行される。YESのときにはステップS201に進み、NOのときにはステップS301に進む。
ステップS201では、図8のステップS201とほぼ同様の処理が実行される。YESのときには、運転者による加速要求があり、過給圧偏差によらない電動過給機アシストを実行しなければ運転者が要求している加速レスポンスを満足することができないと判断し、ステップS202に進む。一方、NOのときには、過給圧偏差による電動過給機アシストを実行することによっても、運転者が要求している加速レスポンスを満足することができると判断し、過給圧偏差による電動過給機アシストを実行するためにステップS301に進む。
第2の実施形態の車両の制御装置が適用された図12に示す例では、再加速時加速度が大きいほど、第3の閾値が小さくなり、ステップS201においてYESと判定されやすくなる。また、エンジン回転速度、過給圧および空気量のいずれかが小さいほど、第3の閾値が小さくなり、ステップS201においてYESと判定されやすくなる。
つまり、第1の実施形態の車両の制御装置が適用された図9に示す例では、過給圧または空気量が小さくても、第3の閾値が小さくならず、図8のステップS201においてYESと判定されやすくならないが、第2の実施形態の車両の制御装置が適用された図12に示す例では、過給圧または空気量が小さければ、第3の閾値が小さくなり、図11のステップS201においてYESと判定されやすくなる。
図11のステップS202において過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行されるときには、電動過給機4(図1参照)の目標回転速度(詳細には、モータ4b(図1参照)によってアシストされる電動過給機4のターボチャージャ4a(図1参照)の回転軸4a3(図1参照)の目標回転速度)が図13および図14に示す関係に基づいて設定され、その電動過給機4の目標回転速度を達成するためのモータ4bの目標回転速度が設定される。
第2の実施形態の車両の制御装置が適用された図13および図14に示す例では、再加速時加速度が大きいほど、図11のステップS202において過給圧偏差によらない電動過給機アシストが実行されるときに設定される電動過給機4の目標回転速度が大きくなる。
また、第2の実施形態の車両の制御装置が適用された図13および図14に示す例では、アクセル開度と第3の閾値との差が大きいほど、電動過給機4の目標回転速度が大きくなる。さらに、図13および図14に示すように、仮にエンジン回転速度、過給圧および空気量のいずれかが小さいとき(図13参照)と、エンジン回転速度、過給圧および空気量のいずれかが大きいとき(図14参照)とでアクセル開度の大きさ(>第3の閾値)が等しい場合には、エンジン回転速度、過給圧および空気量のいずれかが小さいとき(図13参照)の方が、エンジン回転速度、過給圧および空気量のいずれかが大きいとき(図14参照)よりも、そのアクセル開度と第3の閾値との差が大きくなるため、電動過給機4の目標回転速度が大きくなる。
次いで、ステップS302では、ステップS301において算出された要求トルクに基づき、例えばエンジンECU40によって要求空気量が算出され、その要求空気量を達成するためのスロットル開度が例えばエンジンECU40によって算出される。また、図示しないステップにおいて、スロットルバルブ6(図1参照)がエンジンECU40によって制御され、スロットル開度が増加せしめられる。その結果、内燃機関本体1(図1参照)に吸入される空気量が増加し、エンジン回転速度が増加する。
次いで、ステップS303では、例えば要求トルクとエンジン回転速度とに基づき、例えばエンジンECU40によって要求過給圧が算出される。
次いで、ステップS304では、過給圧偏差による電動過給機アシストを実行するために、例えばステップS303において算出された要求過給圧に基づき、例えば電動過給機ECU30(図2参照)によって、電動過給機4(図1参照)の目標回転速度が算出される。
次いで、ステップS305では、要求過給圧(目標過給圧)に対する実過給圧の収束性を向上させるために、電動過給機ECU30によって、過給圧偏差による電動過給機アシストが実行される。すなわち、過給圧偏差によらない電動過給機アシストから過給圧偏差による電動過給機アシストへの切り替えが実行される。
2 吸気通路
3 排気通路
4 電動過給機
4a ターボチャージャ
4a1 コンプレッサ
4a2 タービン
4a3 回転軸
4b モータ
5 インタークーラ
6 スロットルバルブ
7 ウェイストゲート通路
8 ウェイストゲートバルブ
10 トランスミッション
20 アクセル開度センサ
21 エンジン回転速度センサ
22 ブレーキセンサ
23 車速センサ
24 出力回転速度センサ
30 電動過給機ECU
30a 電動過給機アシスト実行部
30a1 目標回転速度算出部
40 エンジンECU
40a 加速度算出部
40b 期待車速算出部
40c 再加速時加速度算出部
Ve 車両
Claims (1)
- 内燃機関本体と、
前記内燃機関本体の過給を行う電動過給機と、
アクセル開度センサとを具備する車両の制御装置において、
加速要求時のアクセル開度が予め設定された閾値以上の場合に過給圧偏差によらない電動過給機アシストを実行する電動過給機アシスト実行部と、
前記車両の減速走行後に前記車両の再加速走行を実行するときの加速度である再加速時加速度と車速との関係を定めた加速特性を記憶し、前記減速走行以前の加速走行時における走行データと前記加速特性とに基づいて、現在車速に対応する再加速時加速度を算出する再加速時加速度算出部とを具備し、
前記再加速時加速度算出部によって算出される再加速時加速度が大きいほど、過給圧偏差によらない電動過給機アシストが前記電動過給機アシスト実行部によって実行されるときにおける前記電動過給機の回転速度を大きくすることを特徴とする車両の制御装置。
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