JP2017215377A - 静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電安定性及び定着性に優れる静電潜像現像用トナーを提供する。【解決手段】静電潜像現像用トナーは、トナー粒子を複数含む。トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを少なくとも含有する。トナー粒子の質量に対する結晶性ポリエステル樹脂の含有率W1と、トナー粒子の質量に対するトナー粒子のエタノール可溶分に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の含有率W2とが、式(1)「0.0010≦100×W2/W1≦0.1000」を満たす。トナー粒子の質量に対するニグロシンの含有率C1と、トナー粒子の質量に対するトナー粒子のエタノール可溶分に含まれるニグロシンの含有率C2とが、式(2)「0.1000≦100×C2/C1≦10.0000」を満たす。含有率W1、W2、C1及びC2が、式(3)「1.00≦(C2/C1)/(W2/W1)≦1000.00」を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、静電潜像現像用トナー(以下、トナーと記載することがある)及びトナーの製造方法に関する。
トナーは、トナー粒子を複数含む。トナー粒子には、例えば結着樹脂が含有される。例えば、特許文献1に記載のトナーは、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂とを含有する。
特開2006−078707号
しかし、結晶性ポリエステル樹脂は、電荷が抜け易い傾向がある。そのため、結晶性ポリエステル樹脂を含有する特許文献1に記載のトナーでは、帯電安定性を向上させることが難しい。また、結晶性ポリエステルは比較的融点が低い。そのため、結晶性ポリエステル樹脂を含有する特許文献1に記載のトナーでは、定着性(特に、耐ホットオフセット性)及び耐ブロッキング性も不十分である。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、帯電安定性及び定着性に優れるトナーを提供することである。また、本発明の目的は、このようなトナーを製造することができるトナーの製造方法を提供することである。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、トナー粒子を複数含む。前記トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを少なくとも含有する。前記トナー粒子の質量に対する前記結晶性ポリエステル樹脂の含有率W1と、前記トナー粒子の質量に対する前記トナー粒子のエタノール可溶分に含まれる前記結晶性ポリエステル樹脂の含有率W2とが、下記式(1)を満たす。前記エタノール可溶分は0.35gの前記トナー粒子と4.00gのエタノールとを25℃の環境下でボールミルを用いて100rpmの回転速度で3分間混合することにより得られる。前記トナー粒子の質量に対する前記ニグロシンの含有率C1と、前記トナー粒子の質量に対する前記トナー粒子の前記エタノール可溶分に含まれる前記ニグロシンの含有率C2とが、下記式(2)を満たす。前記含有率W1、W2、C1及びC2が、下記式(3)を満たす。
0.0010≦100×W2/W1≦0.1000 ・・・(1)
0.1000≦100×C2/C1≦10.0000 ・・・(2)
1.00≦(C2/C1)/(W2/W1)≦1000.00 ・・・(3)
本発明に係る静電潜像現像用トナーの製造方法は、前記結晶性ポリエステル樹脂と前記ニグロシンとを混練する混練工程を含む。前記混練工程において、前記結晶性ポリエステル樹脂の一部と前記ニグロシンの一部とを互いに溶解させて、上述の静電潜像現像用トナーを得る。
本発明のトナーによれば、トナーの帯電安定性及び定着性を向上させることができる。また、本発明のトナーの製造方法によれば、帯電安定性及び定着性に優れるトナーを製造することができる。
本発明の実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子を観察した電子顕微鏡写真図である。 比較用のトナーに含まれるトナー粒子を観察した電子顕微鏡写真図である。 比較用のトナーに含まれるトナー粒子を観察した電子顕微鏡写真図である。 比較用のトナーに含まれるトナー粒子を観察した電子顕微鏡写真図である。 本発明の実施形態に係るトナーにおいて、トナー粒子の断面を示す走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、平均値は、何ら規定していなければ、数平均値を意味する。また、粉体(例えば後述する、トナー、トナー粒子、トナー母粒子及び外添剤)に関する評価値(形状又は物性などを示す値)も、何ら規定していなければ、数平均値を意味する。数平均値は、相当数の測定対象について測定した値の和を、測定した個数で除算した値である。更に、粉体の粒子径は、何ら規定していなければ、電子顕微鏡により測定された一次粒子の面積円相当径である。面積円相当径は、粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径である。体積中位径D50は、コールターカウンター法を用いて、体積基準で算出されたメディアン径である。
本実施形態は、トナーに関する。本実施形態のトナーは、トナー粒子を複数含む。トナーは、複数のトナー粒子の集合体(粉体)である。トナー粒子の表面には、必要に応じて、外添剤が付着していてもよい。外添剤が付着する前のトナー粒子を、トナー母粒子と記載することがある。
本実施形態のトナーは、下記式(1)、(2)及び(3)を満たす。
0.0010≦100×W2/W1≦0.1000 ・・・(1)
0.1000≦100×C2/C1≦10.0000 ・・・(2)
1.00≦(C2/C1)/(W2/W1)≦1000.00 ・・・(3)
式(1)及び(3)中、W1は、トナー粒子の質量に対する、結晶性ポリエステル樹脂の含有率(質量比率)を示す。式(1)及び(3)中、W2は、トナー粒子の質量に対する、トナー粒子のエタノール可溶分に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の含有率(質量比率)を示す。式(2)及び(3)中、C1は、トナー粒子の質量に対する、ニグロシンの含有率(質量比率)を示す。式(2)及び(3)中、C2は、トナー粒子の質量に対する、トナー粒子のエタノール可溶分に含まれるニグロシンの含有率(質量比率)を示す。エタノール可溶分は、0.35gのトナー粒子と4.00gのエタノールとを25℃の環境下でボールミルを用いて100rpmの回転速度で3分間混合することにより得られる。式(1)〜(3)の詳細については後述する。
本実施形態のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを含有するトナー粒子を複数含む。本発明者は、鋭意検討し、トナーを製造する際の混練条件(例えば、混練速度及び混練温度)を制御することにより、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとが互いに溶解(相溶)すること、及びニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解の程度と結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解の程度とを制御できることを見出した。そして、ニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解の程度と、結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解の程度を、式(1)、(2)及び(3)の範囲に制御することにより、帯電安定性及び定着性に優れるトナーが得られることを見出した。以下、図1〜図4を参照して、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとの溶解について説明する。なお、図1〜図4は何れも、走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子株式会社製「JSM−7401F」)を用いて観察された電子顕微鏡写真図である。
図1は、本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子を観察した電子顕微鏡写真図である。図1で示す写真図は、観察倍率95000倍で観察することにより得られる。図1で示されるトナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂として、アルコールと、150以上300以下の分子量を有し2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンとの重合体を含む。図1で示されるトナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを含有し、式(1)〜(3)を満たす。図1中のスケールバーは100nmを示す。図1中、結晶性ポリエステル樹脂の領域は白色で示される。図1から、本実施形態のトナーにおいては、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとが互いに溶解(相溶)していることが確認される。
図2は、比較用のトナーに含まれるトナー粒子を観察した電子顕微鏡写真図である。図2で示す写真図は、観察倍率10000倍で観察することにより得られる。図2で示されるトナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂(図1で示すトナー粒子に含有される結晶性ポリエステル樹脂)を含有しているがニグロシンを含有していない。図2中のスケールバーは1μmを示す。図2中、結晶性ポリエステル樹脂は白色で示される。図2で示されるトナー粒子においては、ニグロシンが含有されていないため結晶性ポリエステル樹脂が溶解していないことが確認される。結晶性ポリエステルが溶解していないため、図2で示される結晶性ポリエステル樹脂の領域(白色の領域)は、図1で示される結晶性ポリエステル樹脂の領域(白色の領域)よりも大きい。
図3は、比較用のトナーに含まれるトナー粒子を観察した電子顕微鏡写真図である。図3で示す写真図は、観察倍率5000倍で観察することにより得られる。図3で示されるトナー粒子に含まれる結晶性ポリエステル樹脂は、カルボン酸として、芳香族ジカルボン酸を含み、150以上300以下の分子量を有し2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンを含まない。図3で示されるトナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを含有するが、式(1)及び(3)を満たしていない。詳しくは、図3で示されるトナー粒子は、値「100×W2/W1」が0.0008であり、値「100×C2/C1」が0.85であり、値「(C2/C1)/(W2/W1)」が1062である。図3中、結晶性ポリエステル樹脂は白色で示される。図3で示されるトナー粒子においては、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとが互いに溶解していないことが確認される。結晶性ポリエステルが溶解していないため、図3で示される結晶性ポリエステル樹脂の領域(白色の領域)は、図1で示される結晶性ポリエステル樹脂の領域(白色の領域)よりも大きい。
図4は、比較用のトナーに含まれるトナー粒子を観察した電子顕微鏡写真図である。図4で示す写真図は、観察倍率20000倍で観察することにより得られる。図4で示されるトナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂(図3で示すトナー粒子に含有される結晶性ポリエステル樹脂)を含有するがニグロシンを含有していない。図4中、結晶性ポリエステル樹脂は白色で示される。図4で示されるトナー粒子においては、結晶性ポリエステル樹脂が溶解していないことが確認される。結晶性ポリエステルが溶解していないため、図4で示される結晶性ポリエステル樹脂の領域(白色の領域)は、図1で示される結晶性ポリエステル樹脂の領域(白色の領域)よりも大きい。
図1〜図4から、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとが互いに溶解(相溶)すること、及びニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解の程度と結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解の程度を制御することにより式(1)、(2)及び(3)を満たすトナーが得られることが確認される。次に、式(1)〜(3)について詳細に説明する。
<式(1)>
下記式(1)の値「100×W2/W1」は、ニグロシンによって結晶性ポリエステル樹脂がどの程度溶解するかを示す指標である。
0.0010≦100×W2/W1≦0.1000 ・・・(1)
式(1)中、W1は、トナー粒子の質量に対する、結晶性ポリエステル樹脂の含有率(単位:質量%)を示す。W2は、トナー粒子の質量に対する、トナー粒子のエタノール可溶分に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の含有率(単位:質量%)を示す。エタノール可溶分は、次に示すエタノール可溶分の抽出条件によって得られる。エタノール可溶分の抽出条件は、0.35gのトナー粒子と4.00gのエタノールとを25℃の環境下でボールミルを用いて100rpmの回転速度で3分間混合する条件である。このようなエタノール可溶分の抽出条件によれば、トナー粒子の表面に含まれる成分を抽出することができる。そのため、エタノール可溶分を分析することにより、トナー粒子の表面に含まれる成分を確認することができる。
値「100×W2/W1」が0.0010未満であると、トナー粒子の表面に存在する結晶性ポリエステル樹脂の量が少なくなる。この場合、トナー粒子の表面の結晶性ポリエステル樹脂が、ニグロシンによって溶解され過ぎていると考えられる。結晶性ポリエステル樹脂は非結晶性ポリエステル樹脂と比較して融点が低いため、トナー粒子の表面に結晶性ポリエステル樹脂が存在することで、トナーの低温定着性が向上する傾向がある。しかし、値「100×W2/W1」が0.0010未満であると、トナー粒子の表面に存在する結晶性ポリエステル樹脂の量が少ないため、トナーの低温定着性が低下する。更に、値「100×W2/W1」が0.0010未満であると、トナーの帯電安定性及び耐フィルミング性も低下する傾向がある。
値「100×W2/W1」が0.1000を超えると、トナー粒子の表面に存在する結晶性ポリエステル樹脂の量が多くなる。この場合、トナー粒子の表面の結晶性ポリエステル樹脂が、ニグロシンによって溶解され難いと考えられる。結晶性ポリエステル樹脂は、電荷を放出し易い傾向がある。そのため、トナー粒子の表面に存在する結晶性ポリエステル樹脂の量が多くなると、トナーに電荷が蓄積され難くなり、トナーの帯電安定性が低下する。トナーの帯電安定性が低下すると、形成される画像において画像濃度の低下及びカブリの発生が引き起こされることがある。また、結晶性ポリエステル樹脂の融点は非結晶性ポリエステル樹脂の融点と比較して低い。そのため、トナー粒子の表面に存在する融点の低い結晶性ポリエステル樹脂の量が多くなると、トナーの耐フィルミング性及び耐ブロッキング性も低下する傾向がある。
値「100×W2/W1」は、トナーを製造する際の混練工程において、例えば、混練速度(例えば、混練機のスクリューの回転速度)及び混練時間の一方又は両方を変更することにより調整される。混練速度及び混練時間の一方又は両方を変更することで、ニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解の程度を調整し、値「100×W2/W1」を所望の値に調整することができる。なお、混練工程は後述する。
含有率W1は、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置(PY−GC−MS)を用いてトナーを測定することにより得られる。含有率W2は、例えば、PY−GC−MSを用いてエタノール可溶分を測定することにより得られる。含有率W1及びW2の具体的な測定方法は、実施例に記載の方法又はその代替法である。
なお、トナー粒子の表面に外添剤が付着している場合には、含有率W1は、トナー母粒子の質量に対する、結晶性ポリエステル樹脂の含有率(単位:質量%)を示す。含有率W1は、PY−GC−MSを用いてトナー母粒子を測定することにより得られる。含有率W2は、トナー母粒子の質量に対する、トナー母粒子のエタノール可溶分に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の含有率(単位:質量%)を示す。エタノール可溶分は、0.35gのトナー粒子の代わりに0.35gのトナー母粒子を使用することにより得られる。含有率W1及びW2の測定には、トナー粒子から外添剤を除去した試料を使用することができる。
<式(2)>
下記式(2)の値「100×C2/C1」は、結晶性ポリエステル樹脂によってニグロシンがどの程度溶解するかを示す指標である。
0.1000≦100×C2/C1≦10.0000 ・・・(2)
式(2)中、C1は、トナー粒子の質量に対する、ニグロシンの含有率(単位:質量%)を示す。C2は、トナー粒子の質量に対する、トナー粒子のエタノール可溶分に含まれるニグロシンの含有率(単位:質量%)を示す。含有率C2を算出するために用いられるエタノール可溶分の抽出方法は、含有率W2を算出するために用いられるエタノール可溶分の抽出方法と同じである。
値「100×C2/C1」が0.1000未満であると、トナー粒子の表面に存在するニグロシンの量が少なくなる。この場合、トナー粒子の表面のニグロシンが、結晶性ポリエステル樹脂によって溶解され過ぎていると考えられる。ニグロシンは電荷制御剤であるため、トナー粒子の表面に存在するニグロシンの量が少なくなると、トナーの帯電安定性が低下する。
値「100×C2/C1」が10.0000を超えると、トナー粒子の表面に存在するニグロシンの量が多くなる。この場合、トナー粒子の表面のニグロシンが、結晶性ポリエステル樹脂によって溶解され難いと考えられる。ニグロシンの融点は比較的高い。そのため、トナー粒子の表面に存在する融点が高いニグロシンの量が多くなると、トナーの低温定着性が低下する。
値「100×C2/C1」は、1.5000以上10.0000以下であることが好ましい。値「100×C2/C1」が1.5000以上であると、トナーの定着性をより向上させることができる。
値「100×C2/C1」は、トナーを製造する際の混練工程において、例えば、混練速度(例えば、混練機のスクリューの回転速度)及び混練時間の一方又は両方を変更することにより調整される。混練速度及び混練時間の一方又は両方を変更することで、結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解の程度を調整し、値「100×C2/C1」を所望の値に調整することができる。なお、混練工程は後述する。
含有率C1は、例えば、トナーを製造する際のトナー粒子の質量に対するニグロシンの添加量から算出される。含有率C2は、例えば、分光光度計を用いて、エタノール可溶分を測定することにより得られる。ニグロシンが特徴的に吸収する波長を有する紫外線を、エタノール可溶分に照射することにより、吸光度が測定される。含有率C1の具体的な算出方法及び含有率C2の具体的な測定方法は、実施例に記載の方法又はその代替法である。
なお、トナー粒子の表面に外添剤が付着している場合には、含有率C1は、トナーを製造する際のトナー母粒子の質量に対するニグロシンの添加量から算出される。含有率C2は、トナー母粒子の質量に対する、トナー母粒子のエタノール可溶分に含まれるニグロシンの含有率(単位:質量%)を示す。エタノール可溶分は、0.35gのトナー粒子の代わりに0.35gのトナー母粒子を使用することにより得られる。含有率C1及びC2の測定には、トナー粒子から外添剤を除去した試料を使用することもできる。
<式(3)>
下記式(3)の値「(C2/C1)/(W2/W1)」は、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとがどの程度混練されているかを示す指標である。
式(3)中のW1及びW2は、式(1)中のW1及びW2と同義である。式(3)中のC1及びC2は、式(2)中のC1及びC2と同義である。
1.00≦(C2/C1)/(W2/W1)≦1000.00 ・・・(3)
値「(C2/C1)/(W2/W1)」が1.00未満であると、トナー粒子の表面におけるニグロシンの量が少なく結晶性ポリエステル樹脂の量が多くなる。ニグロシンは電荷制御剤であるため、トナー粒子の表面に存在するニグロシンの量が少なくなると、トナーの帯電安定性が低下する。また、結晶性ポリエステル樹脂は電荷を放出し易いため、トナー粒子の表面に存在する結晶性ポリエステル樹脂の量が多くなると、トナーの帯電安定性が低下する。更に、結晶性ポリエステル樹脂の融点は非結晶性ポリエステル樹脂の融点と比較して低い。そのため、トナー粒子の表面に存在する融点の低い結晶性ポリエステル樹脂の量が多くなると、トナーの耐ブロッキング性も低下する傾向がある。
値「(C2/C1)/(W2/W1)」が1000.00を超えると、トナー粒子の表面におけるニグロシンの量が多く結晶性ポリエステル樹脂の量が少なくなる。ニグロシンの融点は比較的高い。そのため、トナー粒子の表面に存在する融点が高いニグロシンの量が多くなると、トナーの低温定着性が低下する。
値「(C2/C1)/(W2/W1)」は50.00以上1000.00以下であることが好ましく、100.00以上1000.00以下であることがより好ましい。値「(C2/C1)/(W2/W1)」は50.00以上であると、トナーの耐ブロッキング性をより向上させることができる。
値「(C2/C1)/(W2/W1)」は、トナーを製造する際の混練工程において、例えば、混練速度(例えば、混練機のスクリューの回転速度)及び混練時間の一方又は両方を変更することにより調整される。混練速度及び混練時間の一方又は両方を変更することで、ニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解の程度と、結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解の程度とを調整し、値「(C2/C1)/(W2/W1)」を所望の値に調整することができる。なお、混練工程は後述する。
<式(4)>
本実施形態のトナーは、式(1)、(2)及び(3)に加えて、下記式(4)を満たすことが好ましい。トナーを製造する際の混練工程において、トナー粒子中に結晶性ポリエステル樹脂の領域を分散させることができる。式(4)中、Rは、結晶性ポリエステル樹脂の領域の個数基準の分散径分布において、分散径の小さい方から100個数%目の結晶性ポリエステル樹脂の領域の分散径を示す。
0.40μm≦R≦0.90μm ・・・(4)
ニグロシンによって結晶性ポリエステル樹脂が溶解され、結晶性ポリエステル樹脂によってニグロシンが溶解されると、トナー粒子における結晶性ポリエステルの領域の分散径R(結晶性ポリエステルの領域の最長径)は小さくなる。ニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解、及び結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解が進行する程、分散径Rは小さくなる。ニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解、及び結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解が進行しない程、分散径Rは大きくなる。分散径Rが0.40μm以上であると、トナーの帯電安定性が向上する。電荷制御剤であるニグロシンの量が多くなるからである。また、分散径Rが0.40μm以上であると、トナーの耐ブロッキング性も向上する傾向がある。分散径Rが0.90μm以下であると、トナーの定着性及び耐フィルミング性が向上する。
分散径Rは0.45μm以上0.90μm以下であることが好ましく、0.50μm以上0.90μm以下であることがより好ましい。分散径Rが0.45μm以上であると、トナーの定着性をより向上させることができる。分散径Rが0.50μm以上であると、トナーの耐ブロッキング性をより向上させることができる。
分散径Rは、トナーを製造する際の混練工程において、例えば、混練速度(例えば、混練機のスクリューの回転速度)及び混練時間の一方又は両方を変更することにより調整される。混練温度が高くなる程、分散径Rは小さくなる傾向がある。混練速度が大きくなる程、分散径Rは小さくなる傾向がある。また、結晶性ポリエステル樹脂の質量に対するニグロシンの含有量が多くなる程、分散径Rは小さくなる傾向がある。
分散径Rは、例えば以下の方法で測定される。SPMを用いて、トナー粒子の断面のSPM画像を得る。画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、トナー粒子の断面のSPM画像を二値化処理する。二値化処理後のトナー粒子の断面のSPM画像の例を、図5に示す。図5は、本実施形態のトナーにおいて、トナー粒子の断面を示すSPM写真図である。図5中、結晶性ポリエステル樹脂の領域は、白色で示される。図5中、結晶性ポリエステル樹脂以外のトナー成分は、黒色で示される。二値化処理後のトナー粒子の断面のSPM画像から、結晶性ポリエステル樹脂の領域(図5において白色で示される領域)の分散径(最長径)を測定する。相当数の結晶性ポリエステル樹脂の領域に対して、分散径の測定を行う。測定された分散径から、結晶性ポリエステル樹脂の領域の個数基準の分散径分布を得る。得られた分散径分布から、分散径の小さい方から100個数%目の結晶性ポリエステル樹脂の領域の分散径Rを求める。個数基準の分散径分布において、分散径の小さい方から100個数%目の集団は、最大の分散径を有する結晶性ポリエステル樹脂の領域が属する集団である。例えば、1000個の結晶性ポリエステル樹脂の領域の分散径が測定される場合には、小さい方から991番目以上1000番目以下の分散径を有する結晶性ポリエステル樹脂の領域が、分散径の小さい方から100個数%目の集団に含まれる。この場合に、小さい方から991番目以上1000番目以下の分散径を有する結晶性ポリエステル樹脂の領域の個数平均分散径が、分散径の小さい方から100個数%目の結晶性ポリエステル樹脂の領域の分散径Rである。なお、トナー粒子の表面に外添剤が付着している場合には、外添剤を除去した後にトナー母粒子の断面をSPMによって観察してもよい。
次に、トナー母粒子に含有される成分について説明する。トナー母粒子は、例えば、結着樹脂としての結晶性ポリエステル樹脂と、電荷制御剤としてのニグロシンとを少なくとも含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、結着樹脂としての非結晶性ポリエステル樹脂、磁性粉及び離型剤の少なくとも1つを更に含有してもよい。トナー母粒子は、必要に応じて、着色剤、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂以外の結着樹脂(以下、その他の結着樹脂と記載することがある)及びニグロシン以外の電荷制御剤(以下、その他の電荷制御剤と記載することがある)を更に含有してもよい。ただし、トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、非結晶性ポリエステル樹脂、磁性粉、離型剤、着色剤、その他の結着樹脂又はその他の電荷制御剤)を割愛してもよい。
なお、トナー母粒子は、カプセル化されていてもよい。カプセル化されたトナー母粒子は、例えば、以下に述べるトナー母粒子と同様の構造及び成分を有するトナーコアと、トナーコアの表面に形成されたシェル層(カプセル層)とを有する。
トナー母粒子の体積中位径D50は5μm以上10μm以下であることが好ましい。
<結着樹脂>
トナー母粒子は、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有する。トナー母粒子は、結着樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂を更に含有してもよい。トナー母粒子は、必要に応じて、その他の結着樹脂を更に含有してもよい。
(結晶性ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂が結晶性であるか非結晶性であるかは、示差走査熱量測定(DSC)を用いて確認することができる。本明細書において、結晶性ポリエステル樹脂とは、DSCにより得られるスペクトルが、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂を意味する。具体的には、本明細書において、昇温速度10℃/分で測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以下であるポリエステル樹脂が結晶性である。本明細書において、吸熱ピークの半値幅が15℃を超えるポリエステル樹脂、又は明確な吸熱ピークが認められないポリエステル樹脂が非結晶性(非晶質)である。ポリエステル樹脂の吸熱ピークの半値幅の測定方法は、実施例に記載の方法又はその代替法である。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えばアルコールとカルボン酸とを重合させることにより得られる。結晶性ポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との重合体である。
結晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられるアルコールの好適な例としては、ジオール類、ビスフェノール類又は3価以上のアルコール類が挙げられる。
ジオール類の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を合成する際に用いられるカルボン酸の例としては、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸が挙げられる。
2価カルボン酸の例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アルカンジカルボン酸、アルケニルコハク酸(例えば、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸又はイソドデセニルコハク酸)が挙げられる。アルカンジカルボン酸の例としては、2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンが挙げられる。2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンは、炭素原子数1以上18以下のアルカンに、2個のカルボキシル基が結合している。2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンの例は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、オクタン二酸、ノナン二酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナンデカン二酸、イコサン二酸又はアルキルコハク酸(例えば、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸又はイソドデシルコハク酸)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸又はエンポール三量体酸が挙げられる。
ニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解及び結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解が引き起こされ易いことから、カルボン酸としては、アルカンジカルボン酸が好ましく、2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンがより好ましい。同様の理由から、カルボン酸としては、150以上300以下の分子量を有するカルボン酸が好ましく、150以上300以下の分子量を有し2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンがより好ましい。150以上300以下の分子量を有し2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンとしては、アゼライン酸、オクタン二酸、ノナン二酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸又はイソドデシルコハク酸が好ましく、ドデカン二酸がより好ましい。ニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解及び結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解が引き起こされ易いことから、結晶性ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸は、150以上300以下の分子量を有するカルボン酸のみであることが好ましく、150以上300以下の分子量を有し2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンのみであることがより好ましく、ドデカン二酸のみであることが特に好ましい。
ニグロシンによる結晶性ポリエステル樹脂の溶解及び結晶性ポリエステル樹脂によるニグロシンの溶解が引き起こされ易いことから、結晶性ポリエステル樹脂は、アルコールと、150以上300以下の分子量を有するカルボン酸との重合体であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーが150以上300以下の分子量を有するカルボン酸を含むことは、例えば熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置(PY−GC−MS)を用いてトナーを測定することにより確認することができる。詳しくは、トナーをPY−GC−MSを用いて測定することにより、トナーに含まれる成分のマススペクトルを得る。そして、マススペクトルにおいてm/z値が150以上300以下である範囲にピークが現れるか否かを確認する。m/z値は、m(原子質量単位uで表されるイオンの質量)をz(イオンの電荷数)で除算した値である。PY−GC−MSで用いられるイオン化法では、イオンの電荷数は通常1である。そのため、m/z値はイオンの質量とみなすことができる。電子の質量は分子の質量と比べると非常に小さいため、イオンの質量は分子量とみなすことができる。従って、マススペクトルにおいてm/z値が150以上300以下である範囲にピークが現れた場合に、結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーが150以上300以下の分子量を有するカルボン酸を含むことを確認することができる。
アルコール及びカルボン酸は、各々1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。更に、カルボン酸を、エステル形成性の誘導体に誘導体化して使用してもよい。エステル形成性の誘導体の例としては、酸ハライド、酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。ここで、低級アルキルとは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂全体の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。トナーの帯電安定性及び定着性を向上させるためには、結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂全体の質量(結晶性ポリエステル樹脂の質量と非結晶性ポリエステル樹脂の質量との合計)に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
(非結晶性ポリエステル樹脂)
非結晶性ポリエステル樹脂は、例えばアルコールとカルボン酸とを重合させることにより得られる。非結晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられるアルコールの例は、結晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられるアルコールの例と同じである。非結晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられるカルボン酸の例は、結晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられるカルボン酸の例と同じである。非結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、アルカンジカルボン酸以外のカルボン酸を使用することが好ましく、2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカン以外のカルボン酸を使用することがより好ましい。非結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、カルボン酸が150以上300以下の分子量を有するカルボン酸ではないことが好ましく、150以上300以下の分子量を有し2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンではないことがより好ましい。
(その他の樹脂)
その他の結着樹脂の例は、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレンアクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル化合物系樹脂又はスチレンブタジエン樹脂である。その他の結着樹脂の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、その他の樹脂に、架橋剤又は熱硬化性樹脂を添加してもよい。
<電荷制御剤>
トナー母粒子は、電荷制御剤として、ニグロシンを含有する。ニグロシンは、トナーにおいて正帯電性の電荷制御剤として機能する。そのため、本実施形態のトナーを用いて画像を形成する場合には、トナーを正帯電させて(正帯電性トナーとして)現像することが好ましい。トナー母粒子は、必要に応じて、その他の電荷制御剤を含有してもよい。
(ニグロシン)
ニグロシンは、アニリン又はアニリン塩酸塩とニトロベンゼンとを、塩酸及び触媒(例えば銅又は鉄)の存在下で酸化還元縮合させることにより得られる。ニグロシンは、このような方法で得られるアジン骨格(=C=N−N=C=)を有する化合物又はその混合物である。ニグロシンは黒色染料である。ニグロシンの例としては、C.I.ソルベントブラック5、C.I.ソルベントブラック7、C.I.アシッドブラック2又はその他のアジン骨格を有する化合物が挙げられる。
C.I.ソルベントブラック5の例としては、オリヱント化学工業株式会社製のSPIRIT BLACK ABL、NUBIAN(登録商標)BLACK NH−805又はNUBIAN(登録商標)BLACK NH−815が挙げられる。
C.I.ソルベントブラック7の例としては、オリヱント化学工業株式会社製のNIGROSINE BASE SAPL、NIGROSINE BASE EX、NIGROSINE BASE EX−BP、SPECIAL BLACK EB、NUBIAN(登録商標)BLACK TN−870、NUBIAN(登録商標)BLACK TN−877又はNUBIAN(登録商標)BLACK TH−807が挙げられる。
その他のアジン骨格を有する化合物としては、例えばオリヱント化学工業株式会社製のBONTRON(登録商標)N−71、BONTRON(登録商標)N−75、BONTRON(登録商標)N−77又はBONTRON(登録商標)N−79が挙げられる。
ニグロシンの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。トナーの帯電安定性及び定着性を向上させるためには、ニグロシンの含有量は、結着樹脂の質量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、3質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。トナーの帯電安定性及び定着性を向上させるためには、ニグロシンの含有量は、結晶性ポリエステル樹脂の質量に対して、10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
(その他の電荷制御剤)
その他の電荷制御剤の例は、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩からなる酸性染料、ナフテン酸の金属塩類、高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン又はアルキルアミドである。その他の電荷制御剤の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<磁性粉>
磁性粉は、トナーに使用できる限り特に限定されない。磁性粉の例は、強磁性金属、複数種の強磁性金属の合金、強磁性金属を主成分とした磁性粉、コバルト又はニッケルを酸化鉄にドーピングした磁性粉、強磁性金属元素を含まないが熱処理により強磁性を示すようになる合金又は二酸化クロムである。強磁性金属の例は、鉄、コバルト又はニッケルである。鉄は、酸化鉄(例えば、マグネタイト又はフェライト)の形態で使用されてもよい。これらの磁性粉の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。トナー粒子の帯電量を調整し易いことから、磁性粉としては、マグネタイトが好ましい。
磁性粉の数平均一次粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。このような範囲の数平均一次粒子径を有する磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させ易い。磁性粉の含有量は、100質量部の結着樹脂に対して、1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、50質量部以上70質量部以下であることがより好ましい。
<離型剤>
離型剤は、例えばトナーの定着性及び耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性及び耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、100質量部の結着樹脂に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、1質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
離型剤の例は、脂肪族炭化水素ワックス、脂肪族炭化水素ワックスの酸化物、植物由来のワックス、動物由来のワックス、鉱物由来のワックス、脂肪酸エステルを主成分とするワックス又は脂肪酸エステルの一部もしくは全部が脱酸化されたワックスである。脂肪族炭化水素ワックスの例は、エステルワックス、ポリエチレワックス(例えば、低分子量ポリエチレン)、ポリプロピレンワックス(例えば、低分子量ポリプロピレン)、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス又はフィッシャートロプシュワックスである。脂肪族炭化水素ワックスの酸化物の例は、酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンのブロック共重合体である。植物由来のワックスの例は、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう又はライスワックスである。動物由来のワックスの例は、みつろう、ラノリン又は鯨ろうである。鉱物由来のワックスの例は、オゾケライト、セレシン又はペトロラタムである。脂肪酸エステルを主成分とするワックスの例は、モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスである。脂肪酸エステルの一部もしくは全部が脱酸化されたワックスの例は、脱酸カルナバワックスである。これらの離型剤の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<着色剤>
着色剤としては、トナーの色に合わせて、公知の顔料又は染料が用いられる。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。なお、トナー母粒子が磁性粉を含有する場合には、磁性粉が黒色であるため、トナー母粒子に着色剤を添加しなくてもよい。
トナーがブラックトナーである場合、ブラック着色剤が使用される。ブラック着色剤の例は、カーボンブラックである。後述するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用いて黒色に調色されたブラック着色剤を使用してもよい。
トナーがイエロートナーである場合、イエロー着色剤が使用される。イエロー着色剤の例は、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物又はアリールアミド化合物である。より具体的には、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG又はC.I.バットイエローが挙げられる。
トナーがマゼンタトナーである場合、マゼンタ着色剤が使用される。マゼンタ着色剤の例は、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物又はペリレン化合物である。より具体的には、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221又は254)が挙げられる。
トナーがシアントナーである場合、シアン着色剤が使用される。シアン着色剤の例は、銅フタロシアニン、銅フタロシアニンの誘導体、アントラキノン化合物又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。より具体的には、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー又はC.I.アシッドブルーである。
<外添剤>
トナー母粒子の表面には、外添外が付着していてもよい。外添剤の例は、シリカ又は金属酸化物である。金属酸化物の例は、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム又はチタン酸バリウムである。外添剤の表面は疎水化処理されていてもよい。外添剤の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
外添剤の数平均粒子径は、1nm以上1μm以下であることが好ましく、1nm以上50nm以下であることがより好ましい。外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
<二成分現像剤>
トナーは一成分現像剤として使用されてもよい。或いは、所望のキャリアと混合されて、トナーが二成分現像剤において使用されてもよい。二成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。キャリアとして、樹脂により被覆されたキャリアコアを使用してもよい。また、キャリアとして、樹脂中にキャリアコアを分散させた樹脂キャリアを用いてもよい。
キャリアコアの例は、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル又はコバルトの粒子;これらの材料と金属(例えば、マンガン、マグネシウム、亜鉛又はアルミニウム)との合金の粒子;鉄−ニッケル合金の粒子;鉄−コバルト合金の粒子;セラミックスの粒子;或いは高誘電率物質の粒子である。セラミックスの例は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛又はニオブ酸リチウムである。高誘電率物質の例は、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム又はロッシェル塩である。これらのキャリアコアの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
キャリアコアを被覆する樹脂の例は、アクリル酸系重合体、スチレン系重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、オレフィン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂又はアミノ樹脂である。オレフィン重合体の例は、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン又はポリプロピレンである。フッ素樹脂の例は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン又はポリフッ化ビニリデンである。これらの樹脂の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
キャリアの粒子径は、20μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。キャリアの粒子径は、例えば電子顕微鏡を用いて測定される。
トナーを二成分現像剤において用いる場合、トナーの含有量は、二成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
<トナーの製造方法>
トナーは、例えば、以下の方法で製造される。なお、トナーの製造方法は、要求されるトナーの構成又は特性に応じて任意に変更されてもよい。また、必要のない操作を割愛してもよい。例えば、トナー母粒子に外添剤を付着させない場合には、後述する外添工程を割愛してもよい。外添工程が割愛される場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。
(トナー母粒子の製造工程)
トナー母粒子の製造方法の例は、凝集法又は粉砕法である。粉砕法は、凝集法よりも容易にトナー母粒子を製造できることが多い。以下、粉砕法を例に挙げて、トナー母粒子の製造工程を説明する。
トナー母粒子の製造工程は、混練工程を含む。トナー母粒子の製造工程は、必要に応じて、粉砕工程及び分級工程の一方又は両方を更に含んでもよい。
混練工程では、結晶性ポリエステル樹脂、ニグロシン及び必要に応じて含有される成分(例えば、非結晶性ポリエステル樹脂、磁性粉、離型剤、着色剤、その他の結着樹脂及びその他の電荷制御剤)を混練する。
混練工程において、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを混練することにより、結晶性ポリエステル樹脂の一部とニグロシンの一部とを互いに溶解させる。結晶性ポリエステル樹脂は、ニグロシンによって溶解する傾向がある。また、ニグロシンは、結晶性ポリエステル樹脂によって溶解する傾向がある。結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとの相互作用によって、結晶性ポリエステル樹脂の一部とニグロシンの一部とが互いに溶解することにより、トナー母粒子全体の結晶性ポリエステル樹脂の存在比率及びニグロシンの存在比率、並びにトナー母粒子の表面の結晶性ポリエステル樹脂の存在比率及びニグロシンの存在比率を調整することができる。その結果、式(1)、(2)及び(3)を満たすトナー母粒子を製造することができる。更に、式(4)も満たすトナー母粒子が得られる傾向がある。
混練工程において、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンと必要に応じて添加する成分とを混練することにより、トナー母粒子中に結晶性ポリエステル樹脂の領域が分散する。結晶性ポリエステル樹脂の領域の個数基準の分散径分布において、分散径の小さい方から100個数%目の結晶性ポリエステル樹脂の領域の分散径Rが0.40μm以上0.90μm以下になるまで、結晶性ポリエステル樹脂の一部とニグロシンの一部とを互いに溶解させることが好ましい。
混練に使用される混練機の例は、一軸押出機、二軸押出機、ロールミル又はオープンロール型混練機である。混練速度(例えば、混練機のスクリューの回転速度)は150rpm以上180rpm以下であることが好ましい。混練速度がこのような範囲内であると、式(1)〜(4)を満たすトナー母粒子が得られる傾向がある。また、混練温度は120℃以上170℃以下であることが好ましい。混練温度がこのような範囲内であると、式(1)〜(4)を満たすトナー母粒子が得られる傾向がある。
粉砕工程では、混練工程で得られた混練物を粉砕して粉砕物を得る。分級工程では、粉砕工程で得られた粉砕物を分級して、トナー母粒子(例えば、所望の体積中位径D50を有するトナー母粒子)を得る。
(外添工程)
トナー母粒子の製造工程の後、必要に応じて、外添工程が行われてもよい。外添工程では、トナー母粒子と外添剤とを、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて混合する。混合条件は、外添剤がトナー母粒子に完全に埋没しない条件に設定されることが好ましい。混合により、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。その結果、複数のトナー粒子を含むトナーが得られる。
本発明の実施例について説明する。しかし、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
<トナーの製造>
以下の方法で、トナーA−1〜A−5及びB−1〜B−7を製造した。
(トナーA−1の製造)
結着樹脂としての非結晶性ポリエステル樹脂AM(吸熱ピークの半値幅:25℃)45質量部、結着樹脂としての結晶性ポリエステル樹脂CR(ドデカン二酸とアルコールとの重合体、溶融開始温度:68℃、融点Tm:73℃、質量平均分子量Mw:5500、分子量分布(数平均分子量に対する質量平均分子量の比率)Mw/Mn:6.0、酸価:6.0mgKOH/g、水酸基価:29.0mgKOH/g及び吸熱ピークの半値幅:15℃)10質量部、電荷制御剤としてのニグロシン(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)N−71」)5質量部、離型剤としてのカルナバワックス(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」)5質量部及び磁性粉(戸田工業株式会社製、体積中位径D50:60nm、保持力:8.5kA/m、飽和磁化:83Am2/kg、残留磁化:4.9Am2/kg、なお飽和磁化及び残留磁化は振動試料型磁力計(東英工業株式会社製「VSM−P7」)を用いて外部磁場796kA/mで測定した値である)35質量部を、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、回転速度2400rpmの条件で、180秒間混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて混練した。混練条件は、材料供給速度5kg/時、混練速度(二軸押出機のスクリューの回転速度、即ち軸回転数)150rpm及び混練温度(シリンダー温度)150℃であった。得られた混練物を冷却した後、粉砕機(旧東亜機械製作所製「ロートプレックス16/8型」)を用いて混練物を粗粉砕した。粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」、衝突板式粉砕機)を用いて更に粉砕した。得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、トナー母粒子が得られた。得られたトナー母粒子の体積中位径D50は8.0μmであった。トナー母粒子の体積中位径D50は、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチサイザー3」)を用いて測定した。
得られたトナー母粒子100.0質量部及び外添剤としてのシリカ(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、表面処理により正帯電性が付与された乾式シリカ粒子、個数平均一次粒子径:20nm)0.5質量部を、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」、容量:10L)を用いて、回転速度2000rpmの条件で、5分間混合した。これにより、外添剤をトナー母粒子の表面に付着させた。外添剤を付着させたトナー母粒子を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、複数のトナー粒子の集合体であるトナーA−1が得られた。
(トナーA−2〜A−4及びB−1〜B−7の製造)
以下の点を変更した以外は、トナーA−1の製造と同様の方法で、トナーA−2〜A−4及びB−1〜B−7を製造した。混練温度を、トナーA−1の製造における150℃から、表1に示す温度に変更した。混練速度を、トナーA−1の製造における150rpmから、表1に示す混練速度に変更した。
(トナーA−5の製造)
以下の点を変更した以外は、トナーA−1の製造と同様の方法で、トナーA−5を製造した。非結晶性ポリエステル樹脂AMの添加量を、トナーA−1の製造における80質量部から、77質量部に変更した。結晶性ポリエステル樹脂CRの添加量を、トナーA−1の製造における10質量部から、15質量部に変更した。ニグロシンの添加量を、トナーA−1の製造における5質量部から、3質量部に変更した。
(半値幅の測定)
非結晶性ポリエステル樹脂AM及び結晶性ポリエステル樹脂CRの吸熱ピークの半値幅の測定方法は、次のとおりである。示差走査熱量計(DSC、セイコーインスツル株式会社製「DSC6220」)を用いて、測定試料(非結晶性ポリエステル樹脂AM又は結晶性ポリエステル樹脂CR)の吸熱ピークを測定した。まず、測定試料10mgをアルミパン中に入れた。リファレンスとして空のアルミパンを使用した。測定温度範囲は25℃以上200℃以下であった。昇温速度は10℃/分であった。このような条件で、測定試料の吸熱ピークを得た。得られた吸熱ピークから、測定試料の半値幅(単位:℃)を求めた。
<測定方法及び測定結果>
トナーA−1〜A−5及びB−1〜B−7の各々について、トナー母粒子の質量に対する結晶性ポリエステル樹脂の含有率W1、トナー母粒子の質量に対するトナー母粒子のエタノール可溶分に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の含有率W2、トナー母粒子の質量に対するトナー母粒子のエタノール可溶分に含まれるニグロシンの含有率C2及び結晶性ポリエステル樹脂の個数基準の分散径分布において分散径の小さい方から100個数%目の領域の分散径Rを、各々、以下の方法を用いて測定した。
<含有率W1及びW2
(エタノール可溶分の調製)
まず、トナー母粒子のエタノール可溶分を調整した。容器に、0.35gのトナー母粒子(外添工程前のトナー)及び4.00gのエタノールを添加した。容器の内容物を、25℃の環境下でボールミルを用いて100rpmの回転速度で3分間混合した。続いて、容器を3分間静置し、容器の内容物から上澄み液を取り出した。遠心分離器を用いて、上澄み液に含まれる固体成分を沈殿させ、上澄み液からエタノール溶液を取り出した。これにより、トナーのエタノール可溶分を含むエタノール溶液を得た。
(PY−GC−MSによる測定)
含有率W1の測定には、測定試料として、60μgのトナーを使用した。含有率W2の測定には、測定試料として、2μLのエタノール溶液(エタノール可溶分を含むエタノール溶液)を使用した。測定装置としては、ガスクロトマトグラフ質量分析装置(島津製作所株式会社製「GCMS−QP2010Ultra」)と、熱分解装置(パイロライザー、FLONTERLAB社製「EGA/PY−3030D」)とを一体化させた熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置(PY−GC−MS)を用いた。
熱分解装置に測定試料(トナー60μg)をセットした。下記の条件で測定試料を揮発させ、揮発成分をガスクロマトグラフに導入した。
パイロライザー温度:600℃
インターフェイス温度:320℃
揮発成分とキャリアガスとをガスクロマトグラフの注入口から導入した。下記の条件で、揮発成分をカラムで分離した。
カラム:DB−5MS(長さ30.0m、膜厚0.25μm、内径0.25mm)
キャリアガス:ヘリウム(He)
流量:1mL/分
気化室の温度:320℃
カラムオーブンの温度条件:40℃以上320℃以下、昇温速度28℃/分
ガスクロマトグラフで分離した成分を、下記の条件でイオン化して質量分析計で検出した。これにより、質量スペクトルが得られた。質量スペクトルに現れる結晶性ポリエステル樹脂に特徴的なピーク(m/z値が150以上300以下である範囲に現れるピーク)のピーク面積から、検量線を用いて、測定試料に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の質量を算出した。算出された結晶性ポリエステル樹脂の質量から、トナー母粒子の質量に対する結晶性ポリエステル樹脂の含有率W1(単位:質量%)を算出した。
インターフェイス温度:320℃
イオン源温度:200℃
検出モード:Scan
スキャン質量範囲:m/z値が45以上500以下である範囲
含有率W2(単位:質量%)は、以下の点を変更した以外は、含有率W1の測定と同様の方法で測定した。測定試料を、含有率W1の測定における60μgのトナーから、2μLのエタノール溶液(エタノール可溶分を含むエタノール溶液)に変更した。
得られた含有率W1及びW2から、値「100×W2/W1」を算出した。算出した値「100×W2/W1」を、表1に示す。
<含有率C2
(分光光度計による測定)
分光光度計による測定には、上述のエタノール可溶分の調製で得られたエタノール可溶分を含むエタノール溶液を用いた。エタノール可溶分を含むエタノール溶液の吸光度を、分光光度計(日立株式会社製「U−3900」)を用いて測定した。吸光度は、波長300nm以上800nm以下の紫外線をエタノール溶液に照射することにより測定した。ニグロシンは、波長516nmの紫外線を特徴的に吸収する。測定された吸光度から、検量線を用いて、エタノール溶液(トナーのエタノール可溶分を含むエタノール溶液)に含まれるニグロシンの質量を算出した。算出されたニグロシンの質量から、トナー母粒子の質量に対する、トナー母粒子のエタノール可溶分に含まれるニグロシンの含有率C2(単位:質量%)を算出した。
なお、含有率C1は、トナー母粒子の質量(非結晶性ポリエステル樹脂AMの45質量部、結晶性ポリエステル樹脂CRの10質量部、ニグロシン5質量部、カルナバワックス5質量部及び磁性粉35質量部の和である100質量部)と、ニグロシンの添加量5質量部とから、5質量%と算出された。
含有率C1及びC2から、値「100×C2/C1」を算出した。算出した値「100×C2/C1」を、表1に示す。
<分散径R>
トナーと常温硬化性エポキシ樹脂とを混合して、トナーが樹脂中に十分に分散した混合物を得た。得られた混合物を、温度40℃の環境下で2日間放置し、硬化させた。これによりトナーが分散した固化物を得た。ミクロトーム(ライカ株式会社製「EMUC6」)を用いて、硬化物からトナーを含む薄片を切り出した。SPM(株式会社日立ハイテクサイエンス製「SPI3800N(プローブステーション)」及び「SPA400(多機能型ユニット)」)を用いて、以下の条件で、切り出した薄片を観察し、トナーの断面のSPM画像を得た。
測定モード :マイクロ粘弾性モード(VE−AFM)
スキャナー :FS−100N(面内100μm、垂直15μm)
マイクロカンチレバー:窒化ケイ素製SN−AF01(バネ定数0.08N/m)
測定環境 :室温(25℃±5℃)、大気下
加振周波数 :3kHz以上5kHz以下
加振振幅 :4nm以上6nm以下
振幅A、Asinδ、Acosδの4画面を各20μm×20μmの測定エリアで測定した。得られた位相像からトナー中に分散された結晶性樹脂の領域を示す画像を得た。画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、結晶性樹脂の領域を示す画像を二値化処理した。二値化処理した画像から、結晶性樹脂の領域の分散径(最長径)を測定した。このような分散径の測定を、100個の結晶性樹脂の領域に対して行った。測定された100個の結晶性樹脂の領域の分散径から、個数基準の分散径分布を得た。そして、分散径分布において、分散径の小さい方から100個数%目の領域の分散径Rを得た。100個数%目の結晶性ポリエステル樹脂の領域の分散径R(単位:μm)を、表1に示す。
<評価>
トナーA−1〜A−5及びB−1〜B−7の各々に対して、以下の方法で、トナーの帯電安定性、定着性、耐フィルミング性及び耐ブロッキング性を評価した。
(帯電安定性)
帯電安定性の評価環境は、温度25℃且つ相対湿度50%RHであった。評価機としてプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−1370DN」、磁性1成分現像システムを備えるプリンター)を用いた。トナー(トナーA−1〜A−5及びB−1〜B−7の何れか)を評価機の現像装置に投入した。更に、トナー(トナーA−1〜A−5及びB−1〜B−7の何れか)を評価機のトナーコンテナに投入した。評価機を用いて、画像I(印字率4%の画像)を1000枚の用紙に連続して印刷した。続いて、画像II(印字率100%のソリッド画像部と印字率0%の白紙画像部とを含む画像)を1枚の用紙に印刷した。この1000枚の画像Iの印刷及び1枚の画像IIの印刷を、連続して5回繰り返した。1000枚、2000枚、3000枚、4000枚及び5000枚の画像Iの印刷後に印刷された画像IIの各々を、評価用画像とした。各評価用画像におけるソリッド画像部の画像濃度を、反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社販売「SpectroEye(登録商標)LT」)を用いて測定した。各評価用画像における白紙画像部の画像濃度を、反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社販売「SpectroEye(登録商標)LT」)を用いて測定した。得られた白紙画像部の画像濃度からベースペーパーの画像濃度を引いた値を、カブリ濃度とした。測定された画像濃度及びカブリ濃度から、下記の基準に従ってトナーの帯電安定性を評価した。1000枚、2000枚、3000枚、4000枚及び5000枚の画像Iの印刷後に印刷された画像IIの各々の画像濃度及びカブリ濃度を、表2に示す。また、トナーの帯電安定性の評価結果を、表2に示す。
(帯電安定性の評価基準)
◎(非常に良い):5000枚印刷後に印刷された評価用画像が、1.20以上の画像濃度及び0.010未満のカブリ濃度の両方を満たした。
○(良い):5000枚印刷後に印刷された評価用画像が、1.20以上の画像濃度及び0.010未満のカブリ濃度の一方又は両方を満たさなかった。4000枚印刷後に印刷された評価用画像が、1.20以上の画像濃度及び0.010未満のカブリ濃度の両方を満たした。
×(悪い):5000枚印刷後に印刷された評価用画像が、1.20以上の画像濃度及び0.010未満のカブリ濃度の一方又は両方を満たさなかった。4000枚印刷後に印刷された評価用画像が、1.20以上の画像濃度及び0.010未満のカブリ濃度の一方又は両方を満たさなかった。
(定着性)
トナーの定着性の評価には、評価機としてプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−1370DN」、磁性1成分現像システムを備えるプリンター)を用いた。トナー(トナーA−1〜A−5及びB−1〜B−7の何れか)を評価機の現像装置に投入した。更に、トナー(トナーA−1〜A−5及びB−1〜B−7の何れか)を評価機のトナーコンテナに投入した。評価機の条件を、線速200mm/秒、ニップ通過時間40ミリ秒、ニップ幅8mm及びトナー載り量1.0mg/cm2に設定した。評価機を用いて、90g/m2の紙(A4サイズの紙)に、未定着のソリッド画像(大きさ25mm×25mm、印字率100%)を形成した。続けて、未定着のソリッド画像が形成された紙を定着装置に通し、ソリッド画像を紙に定着させた。定着装置の定着温度は100℃以上260℃以下に設定した。詳しくは、定着装置の定着温度を100℃から5℃ずつに上昇させて、各定着温度でソリッド画像を紙に定着させた。
いわゆるコールドオフセットが発生したか否かは、以下に示す摩擦試験で確認した。詳しくは、定着装置に通した紙を、画像を形成した面が内側になるように半分に折り曲げた。折り曲げた紙を、布帛で被覆した1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm以上であるとき、コールドオフセットが発生したと判断した。剥がれ長が1mm未満となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着可能温度とした。
いわゆるホットオフセットが発生したか否かは、定着装置のヒートローラーの2周目において、紙にトナーが転移したか否かで判断した。ヒートローラーの2周目においてトナーが紙に転移したとき、ホットオフセットが発生したと判断した。ヒートローラーの2周目においてトナーが紙に転移しない温度のうち、最も高い温度を最高定着可能温度とした。
測定された最低定着可能温度から、下記の基準に従ってトナーの低温定着性を評価した。測定された最高定着可能温度から、下記の基準に従ってトナーの耐ホットオフセット性を評価した。これらの評価から、下記基準に従ってトナーの定着性を総合評価した。トナーの最低定着可能温度、低温定着性の評価結果、最高定着可能温度、耐ホットオフセット性の評価結果及び定着性の総合評価結果を、表3に示す。
(低温定着性の評価基準)
A評価:最低定着可能温度が125℃以下であった。
B評価:最低定着可能温度が125℃超130℃以下であった。
C評価:最低定着可能温度が130℃超であった。
(耐ホットオフセット性の評価基準)
A評価:最高定着可能温度が220℃以上であった。
B評価:最高定着可能温度が210℃以上220℃未満であった。
C評価:最高定着可能温度が210℃未満であった。
(定着性の総合評価基準)
◎(非常に良い):低温定着性の評価及び耐ホットオフセット性の評価の両方が、A評価であった。
○(良い):低温定着性の評価及び耐ホットオフセット性の評価に、少なくとも1つB評価があった。低温定着性の評価及び耐ホットオフセット性の評価の何れにもC評価がなかった。
×(悪い):低温定着性の評価及び耐ホットオフセット性の評価に、少なくとも1つC評価があった。
(耐フィルミング性)
トナーの耐フィルミング性の評価環境は、温度25℃及び相対湿度50%RHであった。評価機としてカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa500ci」、タッチダウン現像方式を採用したプリンター)を用いた。評価用現像剤を評価機の現像装置に投入した。トナー(トナーA−1〜A−5及びB−1〜B−7の何れか)を評価機のトナーコンテナに投入した。評価機における、現像スリーブとマグネットロールとの間の電圧を250Vに設定し、マグネットロールに印加する交流電圧(Vpp)を2.0kVに設定した。評価機を用いて、5000枚の紙に画像I(印字率4%の画像)を連続して印刷した。5000枚印刷した後、1枚の画像III(A4紙と同じ大きさの印字率100%のソリッド画像)及び1枚の画像IV(A4紙と同じ大きさの印字率50%のハーフトーン画像)を印刷した。得られたソリッド画像及びハーフトーン画像を目視で観察し、色点及び画像抜けの有無を確認した。また、ソリッド画像及びハーフトーン画像を形成した後、評価機の感光体の表面を目視で観察し、感光体の表面におけるトナー成分の付着の有無を確認した。これらの観察結果から、下記の基準に従ってトナーの耐フィルミング性を評価した。トナーの耐フィルミング性の評価結果を、表4に示す。
(耐フィルミング性の評価基準)
○(良い):ソリッド画像及びハーフトーン画像中に色点及び画像抜けがなかった。感光体の表面にトナー成分が付着していなかった。
×(悪い):ソリッド画像及びハーフトーン画像中に色点及び画像抜けの一方又は両方があった。或いは、感光体の表面にトナー成分が付着物していた。
(耐ブロッキング性)
トナー3gをポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置した。これにより、耐熱保存性評価用のトナーが得られた。その後、200メッシュの篩をセットしたパウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製「TYPE PT−E 84810」)を用いて、レオスタッド目盛り5の条件で、耐熱保存性評価用のトナーを30秒間篩別した。篩別後に、篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量と、篩別後に篩上に残留したトナーの質量とから、下記式に従って、トナーがメッシュを通過する割合(通過率、単位:質量%)を算出した。算出された通過度から、下記基準に従って耐熱保存性を評価した。トナーのメッシュ通過率及びトナーの耐ブロッキング性の評価結果を、表4に示す。
通過率(質量%)=100×(篩別前のトナーの質量−篩別後に篩上に残留したトナーの質量)/篩別前のトナーの質量
(耐ブロッキング性の評価基準)
◎(非常に良い):通過率が95質量%以上であった。
○(良い):通過率が90質量%以上95質量%未満であった。
△(普通):通過率が80質量%以上90質量%未満であった。
×(悪い):通過率が80質量%未満であった。
トナーA−1〜A−5においては、トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを少なくとも含有していた。また、トナーA−1〜A−5は、上述の式(1)、(2)及び(3)を満たしていた。そのため、表2から明らかなように、トナーA−1〜A−5の帯電安定性の評価は◎(非常に良い)であった。また、表3から明らかなように、トナーA−1〜A−5の定着性の総合評価は◎(非常に良い)及び○(良い)であった。以上のことから、本発明のトナーは帯電安定性及び定着性に優れることが示された。
また、表4から明らかなように、トナーA−1〜A−5の耐フィルミング性の評価は○(良い)であった。また、表4から明らかなように、トナーA−1〜A−5の耐ブロッキング性の評価は◎(非常に良い)及び○(良い)であった。以上のことから、本発明のトナーは帯電安定性及び定着性に加えて、耐フィルミング性及び耐ブロッキング性にも優れることが示された。
本発明に係るトナー及び本発明に係る製造方法によって製造されたトナーは、例えば電子写真方式の画像形成装置で画像を形成するために用いることができる。

Claims (8)

  1. トナー粒子を複数含む、静電潜像現像用トナーであって、
    前記トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとを少なくとも含有し、
    前記トナー粒子の質量に対する前記結晶性ポリエステル樹脂の含有率W1と、前記トナー粒子の質量に対する前記トナー粒子のエタノール可溶分に含まれる前記結晶性ポリエステル樹脂の含有率W2とが、下記式(1)を満たし、前記エタノール可溶分は0.35gの前記トナー粒子と4.00gのエタノールとを25℃の環境下でボールミルを用いて100rpmの回転速度で3分間混合することにより得られ、
    前記トナー粒子の質量に対する前記ニグロシンの含有率C1と、前記トナー粒子の質量に対する前記トナー粒子の前記エタノール可溶分に含まれる前記ニグロシンの含有率C2とが、下記式(2)を満たし、
    前記含有率W1、W2、C1及びC2が、下記式(3)を満たす、静電潜像現像用トナー。
    0.0010≦100×W2/W1≦0.1000 ・・・(1)
    0.1000≦100×C2/C1≦10.0000 ・・・(2)
    1.00≦(C2/C1)/(W2/W1)≦1000.00 ・・・(3)
  2. 前記トナー粒子中に前記結晶性ポリエステル樹脂の領域が分散しており、
    前記領域の個数基準の分散径分布において、分散径の小さい方から100個数%目の前記領域の分散径Rが、下記式(4)を満たす、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
    0.40μm≦R≦0.90μm ・・・(4)
  3. 前記結晶性ポリエステル樹脂は、アルコールと、150以上300以下の分子量を有するカルボン酸との重合体である、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記150以上300以下の分子量を有するカルボン酸は、150以上300以下の分子量を有し2個のカルボキシル基を有する炭素原子数1以上18以下のアルカンである、請求項3に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 前記トナー粒子は、非結晶性ポリエステル樹脂、磁性粉及び離型剤の少なくとも1つを更に含有する、請求項1〜4の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
  6. 前記結晶性ポリエステル樹脂と前記ニグロシンとを混練する混練工程を含み、
    前記混練工程において、前記結晶性ポリエステル樹脂の一部と前記ニグロシンの一部とを互いに溶解させて、請求項1〜5の何れか一項に記載の静電潜像現像用トナーを得る、静電潜像現像用トナーの製造方法。
  7. 前記混練工程において、前記トナー粒子中に前記結晶性ポリエステル樹脂の領域を分散させながら、前記領域の個数基準の分散径分布における分散径の小さい方から100個数%目の前記領域の分散径が0.40μm以上0.90μm以下になるまで、前記結晶性ポリエステル樹脂の一部と前記ニグロシンの一部とを互いに溶解させる、請求項6に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
  8. 前記混練工程において、混練速度は150rpm以上180rpm以下であり、混練温度は120℃以上170℃以下である、請求項6又は7に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
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