JP2017214748A - ダンパー構造及びダンパーの製造方法 - Google Patents

ダンパー構造及びダンパーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定したエネルギー吸収性能を確保しながら低廉な製造コストで製造することのできるダンパー構造を提供する。【解決手段】本発明を適用したダンパー構造1は、引張荷重Pt又は圧縮荷重Pcが作用する軸力部材2に設けられるものであり、軸力部材2の軸方向Zの一部に設けられるエネルギー吸収部3を備える。エネルギー吸収部3は、断面略円形状に形成された側板31に、周方向Xの複数箇所で切り欠かれた複数の切欠部4と、複数の切欠部4の間で面外方向Yに突出させた折曲部5とが形成されて、引張荷重Pt又は圧縮荷重Pcが軸力部材2に作用したときに、折曲部5で軸方向Zに伸縮変形するものとなる。【選択図】図7

Description

本発明は、引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材に設けられるダンパー構造、及び、引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材に設けられるダンパーの製造方法に関する。
従来から、対向する方向に相対変位を生ずる構造部材間で効果的にエネルギー吸収して、また、構造部材間の偏心に伴う機能低下を解決等するものとして、例えば、特許文献1〜3に開示される鋼材ダンパー等が提案されている。
特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、互いに切り離されて対向する方向に相対変位を生ずる構造部材間に跨設されて、構造部材間の相対変位時に軸方向力を受けて曲げ降伏するものである。特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、各構造部材に接続されて同一軸線上で距離をおいて対向する軸部と、両軸部間にその軸線を迂回して跨ってその両端が各軸部に接合されて曲げモーメントを負担する曲げ材とからなる。
特許文献2に開示された三重管制震ブレースは、軸力管の内側及び外側の各々に、該軸力管の座屈を阻止する補剛管が同心状に配設されてなる。特許文献2に開示された三重管制震ブレースは、該軸力管の三重管構造部に軸方向に延びる複数の長孔又は凹状窪み溝を形成して、軸力管の断面を意図的に小さくする形状としたことを特徴とする。
特許文献3に開示されたフードストッパ構造は、自動車のボンネットフード等のフードを閉じた位置でフードが当接するようにストッパ部材を配設したものである。特許文献3に開示されたフードストッパ構造は、ストッパ部材となるケース部材の周壁部にスリットが設けられて、所定値以上の荷重が負荷された時に上下方向に塑性変形するケース部材内にエネルギー吸収部材を備えていることを特徴とする。
特開平5−263549号公報 特開2006−299576号公報 特開2003−285717号公報
ここで、特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、特に、軸力部材となる構造部材間に跨設されて、各々の構造部材の互いに対向する端面に、鋼材ダンパーの両軸部を接続することで設けられる。このとき、特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、構造部材に接続するための軸部と曲げモーメントを負担する曲げ材とが別部材で構成されるため、各々の部材の製作コストや、軸部と曲げ材とを接合するための加工コストが増大する。
また、特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、両軸部間の軸線を迂回させてコ字型の曲げ材が形成されて、コ字型の曲げ材の曲げ部のみがせん断変形することで曲げ降伏するため、曲げ材の曲げ部と連結部との連続箇所がヒンジ状に変形しないものとなる。さらに、特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、コ字型の曲げ材が軸直交方向にも変形し易く、曲げ材に厚い鋼板を用いて軸直交方向の変形を抑制することが必要であるため、曲げ材の製作に必要となる鋼材量が多くなることで、曲げ材の材料コストが増大する。
また、特許文献2に開示された三重管制震ブレースは、軸力管の内側及び外側の各々に、該軸力管の座屈を阻止する補剛管が同心状に配設されるため、鋼材量が多くなることで材料コストが増大するとともに、軸力管を三重管構造とするための加工コストが増大する。さらに、特許文献2に開示された三重管制震ブレースは、軸力管の軸降伏を誘発させてエネルギー吸収させるものとして、軸力管の断面を意図的に小さくするものである。
そして、特許文献3に開示されたフードストッパ構造は、自動車のボンネットフードでの衝突荷重に対するエネルギー吸収を目的とするものであって、建築物等の軸力部材での地震力により生じる繰返し荷重に対するエネルギー吸収を目的とするものではない。また、特許文献3に開示されたフードストッパ構造は、ケース部材内のエネルギー吸収部材を塑性変形させてエネルギー吸収させるものであって、交互に作用する引張荷重及び圧縮荷重に対して繰返しエネルギー吸収させるものではない。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とするところは、安定したエネルギー吸収性能を確保しながら低廉な製造コストで製造することのできるダンパー構造及びダンパーの製造方法を提供することにある。
第1発明に係るダンパー構造は、引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材に設けられるダンパー構造であって、軸力部材の軸方向の一部に設けられるエネルギー吸収部を備え、前記エネルギー吸収部は、断面略円形状に形成された側板に、周方向の複数箇所で切り欠かれた複数の切欠部と、複数の前記切欠部の間で面外方向に突出させた折曲部とが形成されて、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記折曲部で軸方向に伸縮変形するものとなることを特徴とする。
第2発明に係るダンパー構造は、第1発明において、前記エネルギー吸収部は、前記折曲部の軸方向の少なくとも両端部まで連続する芯材が、前記側板に取り囲まれた内空部に挿通されて、又は、前記側板の外側の外面部に設置されることを特徴とする。
第3発明に係るダンパー構造は、第1発明又は第2発明において、前記エネルギー吸収部は、前記折曲部の面外方向に折り曲げられた折り目を略ヒンジ状に塑性変形させることで、前記折曲部で軸方向に伸縮変形するものとなることを特徴とする。
第4発明に係るダンパー構造は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記切欠部は、軸方向の両端部が湾曲させて切り欠かれて、軸方向の中間部よりも両端部を軸方向の両側に突出させることを特徴とする。
第5発明に係るダンパー構造は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記折曲部は、軸方向の両端部となる2箇所、及び、軸方向の中間部となる1箇所で、面外方向に折り曲げられた折り目が3箇所に形成されることを特徴とする。
第6発明に係るダンパー構造は、第1発明〜第5発明の何れかにおいて、前記折曲部は、軸方向の中間部での周方向の幅寸法よりも、軸方向の両端部での周方向の幅寸法が大きくなることを特徴とする。
第7発明に係るダンパーの製造方法は、引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材に設けられるダンパーの製造方法であって、軸力部材の軸方向の一部に設けられるエネルギー吸収部に切欠部を形成する切欠工程と、前記エネルギー吸収部に折曲部を形成する圧縮工程とを備え、前記切欠工程では、前記エネルギー吸収部の断面略円形状に形成された側板を、周方向の複数箇所で切り欠くことで、複数の前記切欠部を前記側板に形成して、前記圧縮工程では、前記エネルギー吸収部の前記側板を軸方向に圧縮することで、複数の前記切欠部の間の前記側板に、面外方向に突出させた前記折曲部を形成することを特徴とする。
第8発明に係るダンパーの製造方法は、第7発明において、前記切欠工程では、前記切欠部の軸方向の両端部が、所定の曲率半径で略円弧状に湾曲させて切り欠かれて、前記切欠部の軸方向の中間部での周方向の幅寸法が、前記切欠部の軸方向の両端部での曲率半径の2倍以上の大きさとなることを特徴とする。
第1発明〜第8発明によれば、軸力部材に引張荷重及び圧縮荷重が交互に作用したときに、軸力部材の軸方向でエネルギー吸収部が伸縮変形することで、地震又は風等の繰返し外力に対して、安定したエネルギー吸収性能を確保することが可能となる。
第1発明〜第8発明によれば、エネルギー吸収部の側板によって十分な引張耐力又は圧縮耐力が確保されて、また、折曲部の長さ寸法、突出高さ、鋼材の種類又は板厚等を適宜設定することができるため、設計自由度の高いエネルギー吸収部を提供することが可能となる。
特に、第2発明によれば、折曲部の両端部まで軸方向に連続させて、エネルギー吸収部の内空部に芯材が挿通されて、又は、外面部に芯材が設置されることで、折曲部の両端部まで芯材を連続させた状態のままでエネルギー吸収部を伸縮変形させて、折曲部の両端部が軸直交方向に相対変位することが抑制されるため、ダンパー構造の全体座屈を抑制することが可能となる。
特に、第3発明によれば、引張荷重又は圧縮荷重が作用したときに、折曲部の面外方向に折り曲げられた折り目を略ヒンジ状に塑性変形させることで、安定したエネルギー吸収性能を発揮するため、エネルギー吸収部として厚い鋼板等を用いることなく、十分な引張耐力又は圧縮耐力を確保して、エネルギー吸収部の材料コスト及び加工コストを抑制することが可能となる。
特に、第4発明によれば、折曲部の両端部の折り目を略ヒンジ状に変形等させるときに、切欠部の両端部に応力集中が生じるものの、切欠部の両端部を略円弧状等に湾曲させることで、切欠部の両端部での応力集中が分散されるため、切欠部の両端部の側板に亀裂が発生することを防止することが可能となる。
特に、第5発明によれば、折曲部の折り目が3箇所に形成されることで、略三角形状に形成された折曲部の剛性が高められるため、エネルギー吸収性能の安定性を向上させることが可能となる。
特に、第6発明によれば、折曲部の中間部での幅寸法よりも両端部での幅寸法が大きくなることで、折曲部の中間部の略中央等で確実に折り目が形成されるため、精度の高いエネルギー吸収部を提供することが可能となる。
特に、第7発明によれば、温度依存性の高い粘弾性ダンパー等を用いることなく、円形鋼管等から切欠工程及び圧縮工程を経て容易に折曲部を形成することができるため、低廉な製造コストでダンパー構造を製造することが可能となる。
特に、第8発明によれば、切欠部の中間部での幅寸法が、切欠部の両端部での曲率半径の2倍以上の大きさとなることで、折曲部の中間部よりも両端部となる位置で側板の断面欠損が小さくなるため、圧縮工程でエネルギー吸収部の側板を圧縮するときに、側板に想定外の座屈が発生することを防止して、折曲部の両端部及び中間部の所定の位置に折り目を形成することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造が導入される耐力壁を示す斜視図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造が導入される耐力壁に水平力が作用する前の状態を示す正面図であり、(b)は、水平力が作用した後の状態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造が導入される耐力壁で軸力部材に引張荷重が作用した状態を示す正面図であり、(b)は、圧縮荷重が作用した状態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で縦枠又は横枠に直接取り付けられる軸力部材を示す正面図であり、(b)は、接合金物で取り付けられる軸力部材を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造のエネルギー吸収部を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造でエネルギー吸収部の切欠部を示す正面図であり、(b)は、その折曲部を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で略三角形状の折曲部を示す正面図であり、(b)は、その伸長した状態を示す正面図であり、(c)は、その縮長した状態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で略円弧状の折曲部を示す正面図であり、(b)は、その伸長した状態を示す正面図であり、(c)は、その縮長した状態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で略矩形状の折曲部を示す正面図であり、(b)は、その伸長した状態を示す正面図であり、(c)は、その縮長した状態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造でエネルギー吸収部の内空部に挿通された芯材を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造でエネルギー吸収部の外面部に設置された芯材を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、従来の鋼材ダンパーでコ字型の曲げ材を示す正面図であり、(b)は、曲げ材の曲げ部のみがせん断変形する状態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で軸力部材となる円形鋼管に溶接接合されるエネルギー吸収部を示す正面図であり、(b)は、その円形鋼管にボルト接合されるエネルギー吸収部を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で軸力部材となるH形鋼等に溶接接合されるエネルギー吸収部を示す正面図であり、(b)は、そのH形鋼等にボルト接合されるエネルギー吸収部を示す正面図である。 本発明を適用したダンパーの製造方法を示す正面図である。 本発明を適用したダンパーの製造方法の切欠工程で側板が略直線状に切り欠かれた切欠部を示す正面図である。 本発明を適用したダンパーの製造方法の切欠工程で側板が略円形状に切り欠かれた切欠部を示す正面図である。 本発明を適用したダンパー構造のFEM解析結果で引張荷重載荷時及び圧縮荷重載荷時の折曲部の伸縮変形量を示すグラフである。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で芯材が挿通されたエネルギー吸収部を示す正面図であり、(b)は、その折曲部の伸長した状態を示す正面図であり、(c)は、その折曲部の縮長した状態を示す正面図である。
以下、本発明を適用したダンパー構造1及びダンパーの製造方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用したダンパー構造1は、図1に示すように、例えば、住宅、学校、事務所、病院施設等の建築物の軸力部材2に設けられる。また、本発明を適用したダンパー構造1は、プラント構造物、鉄塔等の建造物の軸力部材2に設けられてもよい。
本発明を適用したダンパー構造1は、特に、引張荷重Pt又は圧縮荷重Pcが作用する軸力部材2に設けられる。本発明を適用したダンパー構造1は、柱材、梁材又はブレース材20等の軸力部材2に設けられて、建築物の耐力壁7等として用いられる。
耐力壁7は、例えば、スチールハウス、鉄骨プレハブ又は木造住宅等の建築物の壁体として設けられる。耐力壁7は、一対の縦枠71と一対の横枠72とで四方が取り囲まれて、所定の枠内空間70が形成される。耐力壁7は、例えば、図2に示すように、高さ寸法Hを2300mm程度、幅寸法Wを910mm程度とする。
耐力壁7は、図2(a)に示すように、ブレース材20となる軸力部材2が、枠内空間70の上部70a及び下部70bの各々に傾斜して設けられる。このとき、枠内空間70の上部70aでは、一方の縦枠71の上側から他方の縦枠71までブレース材20が傾斜して設けられて、また、枠内空間70の下部70bでは、他方の縦枠71から一方の縦枠71の下側までブレース材20が傾斜して設けられる。
耐力壁7は、図2(b)に示すように、地震又は風等によって水平力Fが作用することで、各々の縦枠71が横方向に傾倒するように変位する。このとき、耐力壁7は、例えば、枠内空間70の上部70aでは、ブレース材20に引張荷重Ptが作用するとともに、枠内空間70の下部70bでは、ブレース材20に圧縮荷重Pcが作用する。
耐力壁7は、図3に示すように、ブレース材20となる軸力部材2が、枠内空間70の上部70aから下部70bまで跨って設けられてもよい。このとき、枠内空間70の上部70aでは、一方の縦枠71の上側にブレース材20の一方の端部20aが傾斜して取り付けられて、また、枠内空間70の下部70bでは、他方の縦枠71の下側にブレース材20の他方の端部20aが傾斜して取り付けられる。
耐力壁7は、地震又は風等によって水平力Fが作用することで、図3(a)に示すように、例えば、各々の縦枠71が右方向に傾倒するように変位して、ブレース材20に引張荷重Ptが作用する。そして、耐力壁7は、図3(b)に示すように、各々の縦枠71が左方向に傾倒するように変位したときには、ブレース材20に圧縮荷重Pcが作用する。
ここで、耐力壁7は、例えば、図2(b)に示す水平力Fを30kNとするとともに、層間変形角を1/50とした場合に、各々のブレース材20の耐力を43kN以上、各々のブレース材20の変形性能を17mm以上確保する必要がある。このため、耐力壁7は、各々のブレース材20で所定の耐力及び変形性能を確保するためにエネルギー吸収部3が設けられる。
耐力壁7は、図4に示すように、ブレース材20の端部20aが縦枠71又は横枠72に取り付けられる。このとき、耐力壁7は、図4(a)に示すように、ブレース材20の端部20aが直接溶接等で取り付けられてもよい。また、耐力壁7は、図4(b)に示すように、ブレース材20の端部20aに溶接等で取り付けられた接合金物6が、縦枠71及び横枠72にボルト接合等で取り付けられてもよい。
本発明を適用したダンパー構造1は、図5に示すように、軸力部材2の軸方向Zの一部に設けられるエネルギー吸収部3を備える。軸力部材2は、断面略円形状の閉断面形状に形成された円形鋼管等が用いられて、例えば、円形鋼管等の板厚tを1.0mm〜6.0mm程度、周方向Xの外径Dを20mm〜200mm程度とする。
エネルギー吸収部3は、図5(a)に示すように、断面略円形状に形成された側板31を有する。このとき、エネルギー吸収部3は、軸力部材2の軸方向Zに対する側板31の断面形状が、略真円形状又は略楕円形状等に形成されて、側板31に取り囲まれた内側に略中空状の内空部30が形成される。また、エネルギー吸収部3は、内空部30とは反対側となる側板31の外側が外面部32となる。
エネルギー吸収部3は、図5(b)に示すように、周方向Xに連続して側板31が形成されて、軸方向Zと略直交する方向が、側板31の面外方向Yとなる。エネルギー吸収部3は、周方向Xの複数箇所で切り欠かれた複数の切欠部4と、複数の切欠部4の間で面外方向Yに突出させた複数の折曲部5とが、側板31に形成される。
切欠部4は、図6(a)に示すように、側板31が板厚方向に切り欠かれた状態となることで、所定の切欠形状で形成される。切欠部4は、軸方向Zの両端部4aが略円弧状等に湾曲させて切り欠かれて、軸方向Zの中間部4bよりも両端部4aを軸方向Zの両側に突出させる。
折曲部5は、図6(b)に示すように、側板31が面外方向Yに折り曲げられた状態となることで、軸方向Zに延びた折曲形状で形成される。折曲部5は、軸方向Zの両端部5aで面外方向Yの外側に向けて折り曲げられた折り目51が形成されるとともに、軸方向Zの中間部5bで面外方向Yの内側に向けて折り曲げられた折り目51が形成される。
折曲部5は、軸方向Zの両端部5a及び中間部5bに形成された折り目51で、周方向Xに所定の幅寸法となる。このとき、折曲部5は、軸方向Zの中間部5bでの周方向Xの幅寸法wbよりも、軸方向Zの両端部5aでの周方向Xの幅寸法waが大きくなる。また、折曲部5は、必要に応じて、軸方向Zの中間部5bでの幅寸法wbと軸方向Zの両端部5aでの幅寸法waとが、互いに略同一の大きさとなってもよい。
折曲部5は、図7に示すように、例えば、軸方向Zの長さ寸法bを10mm〜50mm程度、面外方向Yの突出高さhを10mm〜50mm程度、板厚tを1.0mm〜6.0mm程度として、折り目51で湾曲又は屈曲等させた状態で折り曲げられる。折曲部5は、折り目51で湾曲させて折り曲げられる場合には、例えば、折り目51の内周側の曲率半径r1を、折曲部5の板厚tと同一以上の大きさとするとともに、折り目51の外周側の曲率半径r2を、折曲部5の板厚tの2倍以上の大きさとする。
折曲部5は、面外方向Yに折り曲げられて形成された折り目51が、軸方向Zの両端部5a及び中間部5bで2箇所以上の複数箇所に配置される。折曲部5は、例えば、軸方向Zの両端部5aとなる2箇所、及び、軸方向Zの中間部5bとなる1箇所で、面外方向Yに折り曲げられた折り目51が3箇所に形成されることで、略三角形状に形成される。
折曲部5は、略三角形状に形成される場合に、軸方向Zの両端部5aの折り目51から中間部5bの折り目51まで、側板31が略直線状に傾斜して延びることで、軸直交方向に対して15°以上、43°以下程度の傾斜角度θで傾斜した側板31が形成される。
折曲部5は、必要に応じて、図8に示すように、軸方向Zの両端部5aとなる2箇所にのみ折り目51が形成されてもよい。このとき、折曲部5は、軸方向Zの中間部5bには折り目51が形成されないものとして、軸方向Zの両端部5aとなる折り目51と折り目51との間で、略円弧状又は略楕円弧状等に湾曲した側板31が形成される。
折曲部5は、図9に示すように、軸方向Zの両端部5aとなる2箇所、及び、軸方向Zの中間部5bとなる2箇所で、折り目51が4箇所に形成されることで、略矩形状に形成されてもよい。折曲部5は、折り目51が4箇所に形成されて、略台形状又は略逆台形状に形成されてもよく、この場合も、略三角形状に形成される場合と同様に、軸直交方向に対して15°以上、43°以下の傾斜角度θで傾斜した側板31が形成されてもよい。
エネルギー吸収部3は、図5に示すように、側板31に取り囲まれて形成された内空部30が略中空状の状態で用いられてもよいが、必要に応じて、図10に示すように、側板31に取り囲まれた内空部30に、円形鋼管等の芯材60が挿通されてもよい。このとき、エネルギー吸収部3は、折曲部5の軸方向Zの少なくとも両端部5aまで連続させて、所定の剛性を有する芯材60が内空部30に設けられるものとなる。
また、エネルギー吸収部3は、図11に示すように、折曲部5の両端部5aで面外方向Yの内側に向けて折り曲げられた折り目51が形成されてもよい。このとき、エネルギー吸収部3は、折曲部5の軸方向Zの少なくとも両端部5aまで連続させて、円形鋼管等の芯材60が、側板31の外側の外面部32に設置されるものとなる。
エネルギー吸収部3は、図7〜図9に示すように、特に、軸方向Zの引張荷重Pt又は圧縮荷重Pcが軸力部材2に作用したときに、折曲部5で軸方向Zに伸縮変形するものとなる。なお、エネルギー吸収部3は、折曲部5で伸縮変形する前の状態から、図9(b)、図9(c)に示すように、略台形状又は略逆台形状に折曲部5が形成されてもよい。
エネルギー吸収部3は、図7(b)、図8(b)、図9(b)に示すように、引張荷重Ptが軸力部材2に作用したときに、折曲部5の軸方向Zの両端部5aが軸方向Zで互いに離間する方向に変位する。このとき、折曲部5は、軸直交方向に対する折り目51での傾斜角度θtが大きくなって、軸方向Zに伸長する変形をするものとなる。
エネルギー吸収部3は、図7(c)、図8(c)、図9(c)に示すように、圧縮荷重Pcが軸力部材2に作用したときに、折曲部5の軸方向Zの両端部5aが軸方向Zで互いに接近する方向に変位する。このとき、折曲部5は、軸直交方向に対する折り目51での傾斜角度θcが小さくなって、軸方向Zに縮長する変形をするものとなる。
エネルギー吸収部3は、引張荷重Pt又は圧縮荷重Pcが軸力部材2に作用したときに、折曲部5の面外方向Yに折り曲げられた折り目51を略ヒンジ状に塑性変形させることで、折曲部5で軸方向Zに伸縮変形する。このとき、エネルギー吸収部3は、側板31がせん断変形又は曲げ変形するか否かにかかわらず、折曲部5の両端部5a及び中間部5bの折り目51での略ヒンジ状の塑性変形により安定したエネルギー吸収性能を発揮する。
これに対して、従来の鋼材ダンパー9は、図12に示すように、コ字型の曲げ材91の上部及び下部の曲げ部91aのみをせん断変形させて、曲げ部91aのせん断変形のみによりエネルギー吸収性能を発揮する。このとき、従来の鋼材ダンパー9は、曲げ部91aのみがせん断変形して曲げ降伏することから、曲げ部91aと連結部91bとの連続箇所91cがヒンジ状に変形しないものとなる。
エネルギー吸収部3は、図5に示すように、円形鋼管等の軸力部材2自体の軸方向Zの一部をエネルギー吸収部3の側板31として、軸力部材2自体に切欠部4及び折曲部5が形成されることで、軸力部材2と一体として軸力部材2の軸方向Zの一部に設けられる。
エネルギー吸収部3は、これに限らず、図13、図14に示すように、軸力部材2とは独立して製作された側板31が、軸力部材2の端部2aに取り付けられて、軸力部材2とは独立した部材として軸力部材2の軸方向Zの一部に設けられてもよい。
このとき、エネルギー吸収部3は、軸力部材2を軸方向Zに分断させるとともに、軸力部材2を分断させた一対の端部2aに架設される。エネルギー吸収部3は、図13(a)に示すように、軸力部材2となる円形鋼管の端部2aに溶接接合されてもよく、また、図13(b)に示すように、円形鋼管の端部2aにボルト接合されるほか、ねじ接合、くぎ接合又はピン接合等で取り付けられてもよい。
エネルギー吸収部3は、図14に示すように、断面略H形状に形成されたH形鋼、又は、断面略C形状に形成された溝形鋼等の軸力部材2の一部に設けられてもよい。このとき、エネルギー吸収部3は、図14(a)に示すように、軸力部材2となるH形鋼等の端部2aが内空部30に内挿されて溶接接合等されてもよく、また、図14(b)に示すように、略平坦に潰した側板31をH形鋼等の端部2aにボルト接合されるほか、ねじ接合、くぎ接合又はピン接合等で取り付けられてもよい。
本発明を適用したダンパー構造1は、図15に示すように、本発明を適用したダンパーの製造方法が用いられて製造される。本発明を適用したダンパーの製造方法は、軸力部材2の軸方向Zの一部に設けられるエネルギー吸収部3に、切欠部4を形成する切欠工程と、折曲部5を形成する圧縮工程とを備える。
切欠工程では、図15(a)に示すように、エネルギー吸収部3の断面略円形状に形成された側板31を、周方向Xの複数箇所で切り欠くことで、複数の切欠部4を側板31に形成する。このとき、切欠工程では、側板31が板厚方向に切り欠かれた状態となることで、切欠部4の軸方向Zの両端部4aが略円弧状等に湾曲させて切り欠かれる。
切欠工程では、図16、図17に示すように、特に、切欠部4の軸方向Zの両端部4aが、所定の曲率半径rで略円弧状に湾曲させて切り欠かれる。そして、切欠部4の軸方向Zの中間部4bでの周方向Xの幅寸法dbは、切欠部4の軸方向Zの両端部4aでの曲率半径rの2倍以上の大きさとなることが望ましい。
切欠工程では、図16に示すように、切欠部4の軸方向Zの両端部4aから略中央まで、側板31を略直線状に切り欠くことで、軸方向Zの中間部4bが略直線状となる切欠部4が形成される。このとき、切欠部4は、図16(a)に示すように、軸方向Zの中間部4bでの幅寸法dbが、軸方向Zの両端部4aでの幅寸法daと略同一となる。
切欠工程では、図16(b)に示すように、切欠部4の軸方向Zの中間部4bで略中央のみを湾曲等させて切り欠いて、又は、図16(c)に示すように、切欠部4の軸方向Zの両端部4aから略中央まで傾斜して切り欠いてもよい。このとき、切欠部4は、軸方向Zの中間部4bでの幅寸法dbが、両端部4aでの幅寸法daよりも大きくなる。
切欠工程では、軸方向Zの中間部4bが略直線状となる切欠部4が形成されるほか、図17に示すように、側板31を略円形状に切り欠いた切欠部4が形成されてもよい。このとき、切欠部4は、軸方向Zの中間部4bでの幅寸法dbが、両端部4aでの幅寸法daよりも大きくなって、図17(a)に示すように、略楕円形状の切欠部4が形成されて、又は、図17(b)に示すように、略真円形状の切欠部4が形成される。
圧縮工程では、図15(b)に示すように、エネルギー吸収部3の側板31を軸方向Zに圧縮することで、エネルギー吸収部3の側板31が次第に折り曲がりながら面外方向Yに突出する。そして、圧縮工程では、エネルギー吸収部3の側板31を所定の圧縮量だけ圧縮させることで、図15(c)に示すように、複数の切欠部4の間の側板31に、面外方向Yに突出させた折曲部5が形成されるものとなる。
圧縮工程では、図5に示すように、軸力部材2自体の一部をエネルギー吸収部3の側板31とした場合には、軸力部材2自体を軸方向Zに圧縮することで、エネルギー吸収部3の側板31が軸方向Zに圧縮される。また、軸力部材2とは独立してエネルギー吸収部3が製作される場合には、図13、図14に示すように、エネルギー吸収部3の側板31を圧縮してから、軸力部材2の端部2aにエネルギー吸収部3が取り付けられてもよい。
ここで、本発明を適用したダンパー構造1は、図7〜図9に示すように、地震又は風等の繰返し外力に起因して、軸力部材2に引張荷重Pt及び圧縮荷重Pcが交互に作用したときに、エネルギー吸収部3が折曲部5で伸縮変形する。本発明を適用したダンパー構造1は、軸力部材2の軸方向Zでエネルギー吸収部3が伸縮変形することで、地震又は風等の繰返し外力に対して、安定したエネルギー吸収性能を確保することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1のエネルギー吸収性能を検証するために、シェル要素モデルのFEM解析を実施した。ここでは、図7に示す折曲部5の長さ寸法bを30mm、突出高さhを26mm、鋼材をSTK400(JIS G 3444)として、板厚tを4.5mm又は6mmで均一とした。また、切欠部4は、側板31の周方向Xの6箇所に形成されるものとしたうえ、図16(a)に示す軸方向Zの両端部4aでの幅寸法daを6mm又は30mmとして、図5に示す軸力部材2の外径Dを114.3mmとした。
図18では、軸力部材2に引張荷重Pt又は圧縮荷重Pcが作用する前の状態を基準とした折曲部5での軸方向Zの伸縮変形量のFEM解析の結果を図示している。ここでは、軸力部材2の軸方向Zに作用する引張荷重Pt(縦軸の正方向)及び圧縮荷重Pc(縦軸の負方向)と、折曲部5での軸方向Zの伸長変形量(横軸の正方向)及び縮長変形量(横軸の負方向)との関係を図示している。また、ここでは、一般住宅での軸力部材2の軸方向Zの目標耐力Ppを43kNとして図示している。
本発明を適用したダンパー構造1は、図18に示すように、軸力部材2に引張荷重Pt又は圧縮荷重Pcの何れが作用した場合でも、軸力部材2で目標耐力Pp以上の引張耐力又は圧縮耐力を確保できることがわかる。そして、本発明を適用したダンパー構造1は、引張荷重Pt又は圧縮荷重Pcが目標耐力Ppを上回った以降、折曲部5での伸縮変形量の増大にかかわらず、顕著な耐力上昇や座屈による耐力低下等は見られず、引張載荷時及び圧縮載荷時で安定した挙動を示す。
したがって、本発明を適用したダンパー構造1は、軸力部材2に要求される所定の引張耐力、圧縮耐力及び変形性能を確保しながら、引張耐力又は圧縮耐力の必要以上の増大を抑制できることがわかる。また、本発明を適用したダンパー構造1は、横軸の正方向及び負方向で引張荷重Pt及び圧縮荷重Pcの漸増傾向が類似するため、引張荷重Pt載荷時と圧縮荷重Pc載荷時とで伸縮変形の挙動差も小さいことがわかる。以上より、本発明を適用したダンパー構造1は、エネルギー吸収部3が軸方向Zに伸縮変形することで、安定したエネルギー吸収性能を発揮することがFEM解析の結果からも検証された。
また、本発明を適用したダンパー構造1は、切欠部4の両端部4aでの幅寸法daを6mm又は30mmの何れの大きさとした場合でも、軸力部材2で目標耐力Pp以上の引張耐力又は圧縮耐力を確保できることがわかる。このため、本発明を適用したダンパー構造1は、エネルギー吸収部3の側板31が切り欠かれた切欠部4の周方向Xの大きさにかかわらず、十分な引張耐力又は圧縮耐力を確保することが可能となる。
また、本発明を適用したダンパー構造1は、折曲部5の長さ寸法b、突出高さh、鋼材の種類、板厚t又は周方向Xに形成される数量等を適宜設定することができるため、設計自由度の高いエネルギー吸収部3を提供することが可能となる。なお、本発明を適用したダンパー構造1は、軸力部材2の周方向Xで複数の折曲部5が略均等に配置されることで、折曲部5が伸縮変形するときの軸方向Zに対する偏心を抑制することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、図10、図11に示すように、折曲部5の少なくとも両端部5aまで軸方向Zに連続させて、エネルギー吸収部3の内空部30に芯材60が挿通されて、又は、外面部32に芯材60が設置されてもよい。このとき、本発明を適用したダンパー構造1は、図19に示すように、折曲部5の両端部5aまで芯材60を連続させた状態を維持したまま、折曲部5の両端部5aが軸方向Zにスライド移動して互いに離間又は接近する方向に変位する。これにより、本発明を適用したダンパー構造1は、芯材60が内空部30に挿通されて、又は、芯材60が外面部32に設置された状態でエネルギー吸収部3が伸縮変形して、折曲部5の両端部5aが軸直交方向に相対変位することが抑制されるため、ダンパー構造1の全体座屈を抑制することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、図7〜図9に示すように、折曲部5の折り目51を湾曲させることで、折り目51で略ヒンジ状に変形するときの塑性化領域が大きくなる。このとき、本発明を適用したダンパー構造1は、エネルギー吸収部3が圧縮されるときの歪みと伸縮変形するときの歪みとを併せた折り目51での累積歪みが小さくなり、加工硬化による耐力上昇が抑制されるとともに、低サイクル疲労に対する抵抗特性が向上する。また、本発明を適用したダンパー構造1は、図7に示すように、折曲部5の折り目51が3箇所に形成されることで、略三角形状に形成された折曲部5の剛性が高められるため、エネルギー吸収性能の安定性を向上させることが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、引張荷重Pt又は圧縮荷重Pcが作用したときに、折曲部5の面外方向Yに折り曲げられた折り目51を略ヒンジ状に塑性変形させることで、安定したエネルギー吸収性能を発揮する。このため、本発明を適用したダンパー構造1は、図12に示す従来の鋼材ダンパー9のように、曲げ部91aのみがせん断変形してエネルギー吸収性能を発揮するものでないため、エネルギー吸収部3として厚い鋼板等を用いることが要求されない。これにより、本発明を適用したダンパー構造1は、厚い鋼板等を用いることなく、十分な引張耐力又は圧縮耐力を確保できるため、エネルギー吸収部3の材料コスト及び加工コストを抑制することが可能となる。
本発明を適用したダンパーの製造方法は、図15〜図17に示すように、温度依存性の高い粘弾性ダンパー等を用いることなく、切欠工程及び圧縮工程を経て製造された鋼管等が用いられる。このとき、本発明を適用したダンパーの製造方法は、円形鋼管等から切欠工程及び圧縮工程を経て容易に折曲部5を形成することができるため、低廉な製造コストでダンパー構造1を製造することが可能となる。
本発明を適用したダンパーの製造方法は、圧縮工程でエネルギー吸収部3の側板31を圧縮して、エネルギー吸収部3の側板31を次第に折り曲げるときに、切欠部4の両端部4aに応力集中が生じる。また、本発明を適用したダンパー構造1は、折曲部5の両端部5aの折り目51を略ヒンジ状に変形させるときにも、切欠部4の両端部4aに応力集中が生じる。このとき、本発明を適用したダンパー構造1は、特に、切欠部4の両端部4aを略円弧状等に湾曲させることで、切欠部4の両端部4aでの応力集中が分散されるため、切欠部4の両端部4aの側板31に亀裂や割れが発生することを防止することが可能となる。
また、本発明を適用したダンパーの製造方法は、切欠部4の中間部4bでの幅寸法dbが、切欠部4の両端部4aでの曲率半径rの2倍以上の大きさとなることで、折曲部5の中間部5bよりも両端部5aとなる位置で、側板31の断面欠損が小さくなる。このため、本発明を適用したダンパーの製造方法は、圧縮工程でエネルギー吸収部3の側板31を圧縮するときに、側板31に想定外の座屈が発生することを防止して、折曲部5の両端部5a及び中間部5bの所定の位置に折り目51を形成することが可能となる。
本発明を適用したダンパーの製造方法は、特に、図16(b)、図16(c)、図17に示すように、切欠部4の中間部4bでの幅寸法dbを両端部4aでの幅寸法daよりも大きくすることができる。このとき、本発明を適用したダンパー構造1は、切欠工程から圧縮工程を経た状態で、図6(b)に示すように、折曲部5の中間部5bでの幅寸法wbよりも両端部5aでの幅寸法waが確実に大きくなる。本発明を適用したダンパー構造1は、折曲部5の中間部5bでの幅寸法wbよりも両端部5aでの幅寸法waが大きくなることで、折曲部5の中間部5bの略中央等で確実に折り目51が形成されるため、精度の高いエネルギー吸収部3を提供することが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。
1 :ダンパー構造
2 :軸力部材
2a :軸力部材の端部
20 :ブレース材
20a :ブレース材の端部
3 :エネルギー吸収部
30 :内空部
31 :側板
32 :外面部
4 :切欠部
4a :切欠部の両端部
4b :切欠部の中間部
5 :折曲部
5a :折曲部の両端部
5b :折曲部の中間部
51 :折り目
6 :接合金物
60 :芯材
7 :耐力壁
70 :枠内空間
70a :上部
70b :下部
71 :縦枠
72 :横枠
Pc :圧縮荷重
Pt :引張荷重
X :周方向
Y :面外方向
Z :軸方向

Claims (8)

  1. 引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材に設けられるダンパー構造であって、
    軸力部材の軸方向の一部に設けられるエネルギー吸収部を備え、
    前記エネルギー吸収部は、断面略円形状に形成された側板に、周方向の複数箇所で切り欠かれた複数の切欠部と、複数の前記切欠部の間で面外方向に突出させた折曲部とが形成されて、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記折曲部で軸方向に伸縮変形するものとなること
    を特徴とするダンパー構造。
  2. 前記エネルギー吸収部は、前記折曲部の軸方向の少なくとも両端部まで連続する芯材が、前記側板に取り囲まれた内空部に挿通されて、又は、前記側板の外側の外面部に設置されること
    を特徴とする請求項1記載のダンパー構造。
  3. 前記エネルギー吸収部は、前記折曲部の面外方向に折り曲げられた折り目を略ヒンジ状に塑性変形させることで、前記折曲部で軸方向に伸縮変形するものとなること
    を特徴とする請求項1又は2記載のダンパー構造。
  4. 前記切欠部は、軸方向の両端部が湾曲させて切り欠かれて、軸方向の中間部よりも両端部を軸方向の両側に突出させること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のダンパー構造。
  5. 前記折曲部は、軸方向の両端部となる2箇所、及び、軸方向の中間部となる1箇所で、面外方向に折り曲げられた折り目が3箇所に形成されること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載のダンパー構造。
  6. 前記折曲部は、軸方向の中間部での周方向の幅寸法よりも、軸方向の両端部での周方向の幅寸法が大きくなること
    を特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載のダンパー構造。
  7. 引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材に設けられるダンパーの製造方法であって、
    軸力部材の軸方向の一部に設けられるエネルギー吸収部に切欠部を形成する切欠工程と、前記エネルギー吸収部に折曲部を形成する圧縮工程とを備え、
    前記切欠工程では、前記エネルギー吸収部の断面略円形状に形成された側板を、周方向の複数箇所で切り欠くことで、複数の前記切欠部を前記側板に形成して、
    前記圧縮工程では、前記エネルギー吸収部の前記側板を軸方向に圧縮することで、複数の前記切欠部の間の前記側板に、面外方向に突出させた前記折曲部を形成すること
    を特徴とするダンパーの製造方法。
  8. 前記切欠工程では、前記切欠部の軸方向の両端部が、所定の曲率半径で略円弧状に湾曲させて切り欠かれて、前記切欠部の軸方向の中間部での周方向の幅寸法が、前記切欠部の軸方向の両端部での曲率半径の2倍以上の大きさとなること
    を特徴とする請求項7記載のダンパーの製造方法。
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