JP2009227153A - 中空構造体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中空な筒状部材であって、その軸方向に沿って、間隔を空けて複数の膨径部2Aが形成されており、複数の膨径部2A間には、筒状の連結部3Aを有しており、膨径部2Aは、その内径が連結部3Aの内径よりも大きく、その外径が連結部3Aの外径よりも大きくなるように形成されている。圧縮力の加わる方向によらず、所定の圧縮力まではある程度の強度を維持しつつ変形させることができ、所定の圧縮力を超えるとエネルギ吸収機能を発揮させることができる。しかも、中空構造体1Aは、その軸方向に沿って引っ張る力に対する引張り強度が大きなるから、引張りや曲げ変形に対する強度も高くすることができる。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2の技術も、パイプが蛇腹状であって軸方向に伸びやすくまた曲がりやすい構造を有しているので、引張りや曲げ変形に対する強度はほとんど有していない。
第2発明の中空構造体は、第1発明において、前記棒状部が、中空な筒状体であることを特徴とする。
第3発明の中空構造体は、第1または第2発明において、前記球状部は、その表面と前記棒状部の表面とのなす角が、該棒状部との接続部分において鈍角となるように形成されていることを特徴とする。
第4発明の中空構造体は、第1、第2または第3発明において、中空な筒状部材の一部を膨らませて、前記複数の球状部を形成したものであることを特徴とする。
第5発明の中空構造体は、中空な筒状部材であって、その軸方向に沿って、間隔を空けて複数の膨径部が形成されており、該複数の膨径部間には、筒状の連結部を有しており、前記膨径部は、その内径が前記連結部の内径よりも大きく、その外径が前記連結部の外径よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする。
第6発明の中空構造体は、第5発明において、前記複数の膨径部は、その表面と前記連結部の表面とのなす角が、該連結部との接続部分において鈍角となるように形成されていることを特徴とする。
第7発明の中空構造体は、第5または第6発明において、前記複数の膨径部が、略球状に形成されていることを特徴とする。
第8発明の中空構造体は、第5、第6または第7発明において、中空な筒状部材の一部を膨らませて、前記複数の膨径部を形成したものであることを特徴とする。
第9発明の中空構造体は、第5、第6、第7または第8発明において、 前記複数の膨径部は、その肉厚が、前記連結部の肉厚よりも薄くなるように形成されていることを特徴とする。
第10発明の中空構造体の製造方法は、軸方向に沿って複数の膨径部を有する中空な筒状部材からなる中空構造体の製造方法であって、前記筒状部材をバルジ加工によって膨らませて前記膨径部を形成するときに、前記筒状部材をその軸方向から加圧することを特徴とする。
第11発明の中空構造体の製造方法は、第10発明において、前記膨径部を形成するときに、前記筒状部材において該膨径部が形成される部分を加熱することを特徴とする。
第2発明によれば、半径方向から圧縮力が加わった場合において、球状部と共に棒状部も変形するため、エネルギの吸収量を大きくすることができる。
第3発明によれば、軸方向から圧縮力が加わったときに、球状部が変形できる量が大きくなるので、軸方向圧縮時におけるエネルギの吸収量を大きくすることができる。
第4発明によれば、棒状部と球状部とを一体で形成できるから、棒状部と球状部との接続部分の引張り強度をより一層大きくすることができる。
第5発明によれば、膨径部に半径方向から圧縮力が加わると、膨径部は、圧縮力が所定の大きさになるまでは圧縮力に応じて変形抵抗が増加するように変形し、圧縮力が所定の大きさを超えると圧縮力にかかわらず変形抵抗をほぼ一定に保った状態で変形する。また、筒状部材の軸方向から圧縮力が加わったときにも、膨径部は同様の傾向を示しながら変形する。そして、筒状部材を軸方向に沿って引っ張る力が加わったときにはその力は連結部によって支持され、筒状部材に曲げを発生させる力が加わったときにはその力は連結部によって支持されかつ膨径部が曲げの抵抗となる。よって、圧縮力の加わる方向によらず、所定の圧縮力までは圧縮変形に対する強度を高く保ちつつ所定の圧縮力を超えるとエネルギ吸収機能を発揮させることができる。しかも、中空構造体は、その軸方向における引張り強度が大きくなるから、引張りや曲げ変形に対する強度も高くすることができる。そして、半径方向から圧縮力が加わった場合には、膨径部と共に連結部も変形するため、エネルギの吸収量を大きくすることができる。
第6発明によれば、軸方向から圧縮力が加わったときに、膨径部が変形できる量が大きくなるので、軸方向圧縮時におけるエネルギの吸収量を大きくすることができる。
第7発明によれば、膨径部の圧縮力に対する剛性を高くすることができ、しかも、所定の圧縮力を超えてからの変形によるエネルギ吸収性能も高くすることができる。
第8発明によれば、連結部と膨径部とを一体で形成できるから、連結部と膨径部との接続部分の剛性をより一層高くすることができる。
第9発明によれば、膨径部の肉厚が連結部よりも薄いので、引張りや曲げ変形に対する強度も高く維持しつつエネルギ吸収機能をより向上させることができ、軽量化することができる。
第10発明によれば、筒状部材をその軸方向から加圧しておくことにより、小径の筒状部材をバルジ加工によって膨らませるときに破断や割れが発生する可能性を低くできる。つまり、加工限界が向上し、加工できる筒状部材の径を小さくでき、かつ、形成できる膨径部の径を大きくできるので、製造する中空構造体の自由度を高くすることができる。
第11発明によれば、筒状部材において、膨径部を形成する部分を軟化させることができるので、成形を容易にすることができる。しかも、変形後に、中空構造体内に残留する応力を小さくすることができるから、中空構造体の剛性を高くすることができる。
図1(A)は本実施形態の中空構造体1Aの概略説明図であり、(B)は本実施形態の中空構造体1Aの概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の中空構造体1Aは、中空な筒状の部材であって、複数の膨径部2Aと複数の連結部3Aとを備えた部材である。
中空構造体1Aにおいて、複数の膨径部2Aは中空構造体1Aの軸方向に沿って間隔を空けて設けられており、隣接する膨径部2A間には複数の連結部3Aがそれぞれ配設されている。つまり、中空構造体1Aは、その軸方向に沿って複数の膨径部2Aと複数の連結部3Aとが交互に設けられているのである。
なお、中空構造体1Aは、金属やプラスチック、ビニール等を素材として形成されているが、塑性変形する材料であれば、特に限定されない。
この連結部3Aは、その外面の法線方向が中空構造体1Aの中心軸1aと直交するように形成されている。つまり、中空構造体1Aにおける中心軸1aを含む断面において、隣接する膨径部2A間が中心軸1aと平行な直線によって連結されるように、連結部3Aの外面は形成されているのである。
同様に、連結部3Aの厚さも、中空構造体1Aの用途に応じて、適切な曲げ強度となる厚さを採用することができる。
そして、膨径部2Aは、その外面の半径R1が連結部3Aの外径D1の半分の長さよりも長く、また、その内面の半径R2も連結部3Aの内径D2の半分の長さよりも長くなるように形成されている。
また、膨径部2Aは、中空構造体1Aの軸方向から圧縮力が加わったときにも、中空構造体1Aの半径方向から圧縮力が加わった場合と同様の傾向を示しながら変形する。
つまり、膨径部2Aは、中空構造体1Aに加わる圧縮力に対して、圧縮力が所定の大きさ以上となると、エネルギ吸収材として機能するのである。
つまり、連結部3Aは、中空構造体1Aをその軸方向に沿って引っ張る力および曲げを発生させる力に対しては強度部材として機能し、膨径部2Aは、曲げを発生させる力に対しては強度部材として機能するのである。
また、図1には、膨径部2Aの半径が全て同じ例を示しているが、膨径部2Aの半径は必ずしも全て同じである必要はない。例えば、中空構造体1Aの強度やエネルギ吸収能をその軸方向における位置によって変化させたい場合には、膨径部2Aの半径を膨径部2Aが設けられる位置によって変化させてもよい。この場合、半径を大きい膨径部2Aを設けた部分では、半径方向からの圧縮に対するエネルギ吸収能を他の部分よりも高くすることができる。
同様に、連結部3Aも、その外径を場所によって変化させてもよく、その外径が大きい部分では、曲げ等の力に対する強度を他の部分よりも高くすることができる。
この場合、連結部3Aと膨径部2Aとの接続部分において、応力集中が生じることを防ぐことができるので、曲げに対する接続部分の剛性、つまり、中空構造体1A自体の曲げに対する剛性を高くすることができる。よって、中空構造体1Aの引張りや曲げ変形に対する強度をさらに高くすることができる。
しかも、膨径部2Aに対して軸方向から圧縮力が加わったときにおいて、膨径部2Aが変形できる量が大きくなるので、軸方向圧縮時におけるエネルギ吸収量を大きくすることができる。
さらに、複数の連結部3Aは、必ずしも断面円形かつ中空な筒状体でなくてもよく、その断面形状が多角形や楕円形でもよい。
図2は中空構造体1Aを製造する設備の概略説明図である。図3は中空構造体1Aを製造する設備に加工する筒状部材Pが配設された状態の概略説明図である。図2および図3において、符号MA、MBは、筒状部材Pをバルジ加工して中空構造体1Aを製造するときに使用される金型を示している。この金型MA、MBは、両者が接近した状態において、両者の間に筒状部材Pを配置する空間hが形成される構造を有している。この空間hは筒状部材Pと同一断面形状を有する筒状の空間であり、その軸方向における適所に球形の空間であるキャビティC1,C2が形成されている。このキャビティC1,C2は、空間hの中心軸上に中心を有し、その半径R3が膨径部2Aの外径R1と同じ長さとなるように形成されている。そして隣接するキャビティC1,C2の中心間の距離L3が、中空構造体1Aにおける隣接する膨径部2Aの中心間の距離L1と同じ長さとなるように形成されている。また、キャビティC1,C2を連結する部分の長さL4が、中空構造体1Aにおける連結部2Bの長さL2と同じ長さとなるように形成されている。
図3に示すように、金型MA、MBの間に筒状部材Pを配置し、金型MA、MBを接近させて筒状部材Pを空間h内に収容する。
ついで、筒状部材P内にゴム部材Rを挿入し、その後、筒状部材Pの両端からシールS、各パンチSP、PPの順で筒状部材P内に挿入する。このとき、ゴム部材Rは、その両端がキャビティC1の外方に位置するように配設し、シールSを介してゴム部材Rの両端に各パンチSP、PPの先端が接触した状態とする(図3)。この状態ではゴム部材Rに対して加圧力は加わっていない。
金型MA、MBが十分に離間すると、両パンチSP、PPおよびゴム部材Rの移動を固定した状態で、筒状部材Pだけを軸方向に沿って左方向に所定の距離だけ移動させる。つまり、筒状部材Pが膨径部2Aの中心がキャビティC2の中心と一致するまで移動させる(図4(B)、(C))。
しかも、押し込み量を調整すれば、膨径部2Aの肉厚T1と連結部3Aの肉厚T2の差を少なくすることもできるし、膨径部2Aの肉厚T1を所望の肉厚とすることができる。
しかも、変形後に、中空構造体1A内に残留する応力を小さくすることができるから、中空構造体1Aの剛性を高くすることができる。
筒状部材Pの加熱には、高周波加熱、放射加熱装置などを使い、筒状部材Pにおいて膨径部2Aとなる部分を主に加熱する方法を利用することができる。例えば、高周波加熱を行うのであれば、金型MA、MBをキャスタで形成し、キャビティCの周囲に銅のコイル等を埋め込んでおけば、銅のコイル等に電流を流すことによって、筒状部材Pにおいて膨径部2Aとなる部分を加熱しながら成形することができる。
また、図6(B)のごとき平行な空間を有する金型MA、MBによって筒状部材Pを加工する場合であれば、平行な空間内に放射加熱装置HDを配置しておけば、筒状部材Pにおいて膨径部2Aとなる部分を加熱することができる。
例えば、図5(A)の状態に保持された筒状部材Pに対して、その両端開口から高圧の液体Lqや気体を供給する(図5(B))。すると、高圧の液体Lqや気体の圧力によって筒状部材PにおけるキャビティC1内に位置する部分が外方に膨らむので、膨径部2Aを形成することができる。
なお、図7に示す中空構造体1Bの基本的な構成は上述した中空構造体1Aと実質的に同一であり、かかる実質的に同一である構成およびその効果等については、以下では適宜説明を割愛している。
図7に示すように、複数の球状部2Bは中空に形成された球状体であり、その中心が中空構造体1Bの中心軸1a上またはその近傍に位置するように棒状部3Bによって連結されている。
一方、複数の棒状部3Bは断面が円形である中空な筒状の部材であり、その軸方向の端面が、複数の球状部2Bの表面に連結されている。この複数の棒状部3Bは、その中心軸が中空構造体1Bの中心軸1aとほぼ同軸となるように配設されている。
そして、棒状部3Bは、その外径D1の半分の長さが球状部2Bの外径R1よりも短く、また、その内径D2の半分の長さが球状部2Bの内径R2よりも短くなるように形成されている。
また、棒状部3Bは、中空構造体1Bをその軸方向に沿って引っ張る力および曲げを発生させる力に対しては強度部材として機能し、球状部2Bは、曲げを発生させる力に対しては抵抗となる。
よって、中空構造体1Bも、自動車のフレームやバンパー、ピラー、フード、建築物の梁、柱等のように、軸方向および半径方向から加わる圧縮力に対するエネルギ吸収機能に加えて、軸方向からの引張りや曲げ変形に対する強度保持機能も必要とされる部材に適用することができる。
さらに、中空構造体1Bにおいて、複数の棒状部3Bは、必ずしも断面円形かつ中空な筒状体でなくてもよく、その断面形状が多角形や楕円形でもよい。
さらに、中空構造体1Bを構成する球状部2Bおよび棒状部3Bは、金属やプラスチック、ビニール等を素材として形成されているが、塑性変形する材料であれば、特に限定されない。
2A 膨径部
3A 連結部
1B 中空構造体
2B 球状部
3B 棒状部
P 筒状部材
Claims (11)
- 中空な複数の球状部と、
該複数の球状部同士の間に配設された棒状部とを備えており、
該棒状部は、
その外径が前記球状部の外径よりも小さくなるように形成されている
ことを特徴とする中空構造体。 - 前記棒状部は、
内径が、前記球状部の内径よりも小さい中空な筒状体である
ことを特徴とする請求項1記載の中空構造体。 - 前記球状部は、
その表面と前記棒状部の表面とのなす角が、該棒状部との接続部分において鈍角となるように形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の中空構造体。 - 中空な筒状部材の一部を膨らませて、前記複数の球状部を形成したものである
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の中空構造体。 - 中空な筒状部材であって、
その軸方向に沿って、間隔を空けて複数の膨径部が形成されており、
該複数の膨径部間には、筒状の連結部を有しており、
前記膨径部は、
その内径が前記連結部の内径よりも大きく、
その外径が前記連結部の外径よりも大きくなるように形成されている
ことを特徴とする中空構造体。 - 前記複数の膨径部は、
その表面と前記連結部の表面とのなす角が、該連結部との接続部分において鈍角となるように形成されている
ことを特徴とする請求項5記載の中空構造体。 - 前記複数の膨径部が、略球状に形成されている
ことを特徴とする請求項5または6記載の中空構造体。 - 中空な筒状部材の一部を膨らませて、前記複数の膨径部を形成したものである
ことを特徴とする請求項5、6または7記載の中空構造体。 - 前記複数の膨径部は、
その肉厚が、前記連結部の肉厚よりも薄くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項5、6、7または8記載の中空構造体。 - 軸方向に沿って複数の膨径部を有する中空な筒状部材からなる中空構造体の製造方法であって、
前記筒状部材をバルジ加工によって膨らませて前記膨径部を形成するときに、前記筒状部材をその軸方向から加圧する
ことを特徴とする中空構造体の製造方法。 - 前記膨径部を形成するときに、前記筒状部材において該膨径部が形成される部分を加熱する
ことを特徴とする請求項10記載の中空構造体の製造方法。
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