JP5662228B2 - ベローズ製造方法及びベローズ製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属パイプから液圧バルジ法によりベローズを製造する方法及び装置に関し、更に詳細には金属パイプに液圧を印加しながら単純な操作で効率的に多段のベローズ山を形成するベローズ製造方法及びベローズ製造装置に関する。
金属パイプを金型内に挿入し、前記金属パイプの内部に液体を充填して加圧により液体に内圧を発生させながらパイプの両端を軸方向に圧縮し、前記内圧により前記金属パイプを金型に当接するまで膨張させて、金属パイプに多数のベローズ山を形成するベローズ製造方法がバルジ成形法として知られている。
バルジ成形法として特許第3723858号(特許文献1)が知られている。このバルジ成形法は、中間金型を割型状に対向させて構成し、多数の中間金型をガイド軸に取り付けた後、前記金属パイプの中間領域の外周に配置させる手法である。従って、中間金型の管軸方向への移動はガイド軸によって行われるため、中間金型の配置に手間取り、ベローズを効率的に成形することが困難であった。
特許第2774960号(特許文献2)の図10及び図13に従来のバルジ成形法が簡潔に説明されている。多数の中間金型を金属パイプの外周に等間隔に配置する場合に、中間金型と中間金型の間にスペーサを挿入する必要がある。中間金型の個数だけ大量のスペーサが必要になり、これらのスペーサを全て装着するのに時間がかかるため、ベローズ成形の効率性が悪かった。
特許第3723858号公報 特許第2774960号公報
図14は従来のバルジ成形法を簡潔に述べた工程説明図である。図14では、スペーサユニットの替わりに、一個一個のスペーサブロックを用いている点で、特許文献2と異なっている。(14A)は組立工程図である。下金型108の中央に金属パイプ106を直立配置する。下金型108の上面周囲に4個のスペーサブロック130を等間隔に立設し、これらのスペーサブロック上に第1の中間金型120を配置する。中間金型120は2個の半割型を金属パイプ106の外周に対向させて連結構成される。この第1の中間金型120の上に4個のスペーサブロック130を等間隔立設して、その上に第2の中間金型120を配置する。同様の手順で必要数の中間金型120を積層し、最後に上金型110を金属パイプ106の上面に接触配置する。全てのスペーサブロック130の高さは同一であるから、下金型108と複数の中間金型120と上金型110からなる金型群の金型間の離間距離は同一に調整される。
(14B)は初期段階のバルジ加圧図である。前記金属パイプ106の中に注入口(図示せず)から液体を充填し、液体に内圧を発生させながら、ベローズ製造装置により上金型110と下金型108間に圧縮力を印加すると、液体の内圧により金属パイプ106は金型間の間隙から少し膨出する。この段階で、金属パイプ106内の液体の内圧を解除し、全てのスペーサブロック130を取り去る。しかし、全ての中間金型120はパイプ膨出部間の谷間に嵌り込んでいるため、中間金型120は全く不動状態にあり、その位置は固定されている。
(14C)は最終段階のバルジ加圧図である。(14B)において、スペーサブロック130を取り去った後、再び液体を金属パイプ106内に加圧注入し、プレスを開始する。前記液体を滴量だけ排出しながら前記液体を徐々に抜き、圧縮力により金属パイプ106は一層に短縮し、最終的には、中間金型120が上下に接触するまで短縮化される。この最終段階が(14C)である。金属パイプ106はベローズ124へと成形されている。前述した膨出部もより先鋭なベローズ山124aへと変化している。(14D)はベローズの外観斜視図である。(14C)において、上金型110と下金型108と中間金型120を取り外すと、ベローズ124が出現する。中間金型120の個数より一つ多い数のベローズ山124aが形成されたベローズ124が成形される。
しかしながら、上述した従来バルジ成形法では、以下のような弱点がある。第一に、一個一個のスペーサブロック130を金型上に立設してゆく手間が必要である。(14A)では、合計20個のスペーサブロック130が必要であるが、より多数のベローズ山124aを成形するには、より多数の手間を必要とする。(14B)では、膨出成形した後、液体の内圧を一端解除し、全てのスペーサブロック130を取り外す手間が必要となる。しかも再度液体を加圧注入して圧縮処理をしなければならない。従って、従来ベローズ成形法では、成形するのに手間と時間がかかり、ベローズの量産が困難であるばかりでなく、ベローズの低価格化を阻害する原因となっていた。
従って、本発明は上記欠点を改善するために為されたものであり、スペーサブロックを使用せず、液体の再加圧を必要としないベローズ成形法を提案するものである。このことによって、ベローズ成形の効率化を図り、ベローズの量産性能を上げて、結果的にベローズの低価格化を実現することに成功したものである。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、本発明の第1の形態は、金属パイプの上方開口部と下方開口部を上金型と下金型で夫々密閉して前記金属パイプを直立状に狭持し、前記上金型の外周面に接合部により固定された複数本のワイヤを吊下させ、前記金属パイプの直立方向に所定間隔を有して一個以上の中間金型を配置し、前記中間金型は前記金属パイプの外周面に周方向全周に亘ってリング状に周接しており、前記中間金型の外面に前記複数本のワイヤを接合部により固定して前記中間金型を前記ワイヤにより吊持し、前記金属パイプの内部に液体を液密状に注入し、前記上金型と前記下金型の間に圧縮力を印加して前記金属パイプを短縮化させると同時に前記液体に内圧を発生させ、前記上金型と前記下金型と前記中間金型からなる金型群の金型相互の間隙に前記金属パイプの外周面を前記内圧により径方向外方に膨張させてパイプ膨出部を形成し、前記パイプ膨出部の形成と共に前記ワイヤは変曲し、前記内圧を保持しつつ前記液体を排出しながら前記上金型と前記下金型の間隔が目的間隔まで短縮化した段階で前記圧縮力の印加を解除し、前記パイプ膨出部がベローズ山にまで突出して前記金属パイプがベローズに成形されることを特徴とするベローズ製造方法である。
本発明の第2の形態は、圧縮力の印加を解除した後、液体を排出し、上金型と下金型を相互に離間させ、中間金型を成形されたベローズから引き離して、ベローズを取り出すベローズ製造方法である。
本発明の第3の形態は、金型を吊持するワイヤが金属線、金属紐、又は金属チェーンであるベローズ製造方法である。
本発明の第4の形態は、ワイヤを金型に固定する接合部が溶接部、ロウ付け部又は接着部であるベローズ製造方法である。
本発明の第5の形態は、中間金型は、半割金型である左中間金型と右中間金型を金属パイプの外周面に当接させ、前記左中間金型と前記右中間金型を連結することによって構成されるベローズ製造方法である。
本発明の第6の形態は、前記目的間隔とは、前記上金型と前記下金型と前記中間金型からなる金型群が上下方向に接触するまで前記金属パイプが短縮化されたときの、前記上金型と前記下金型の間隔であるベローズ製造方法である。
本発明の第7の形態は、金属パイプの上方開口部と下方開口部を上金型と下金型で夫々密閉して前記金属パイプを直立状に狭持する上下金型装置と、前記上金型の外周面に接合部により固定して吊下された複数本のワイヤと、前記金属パイプの直立方向に所定間隔を有して配置され、且つ前記金属パイプの外周面に周方向全周に亘ってリング状に周接した一個以上の中間金型と、前記中間金型を前記ワイヤにより吊持するために前記中間金型の外面に前記複数本のワイヤを固定する接合部と、前記金属パイプの内部に液体を液密状に加圧注入及び調圧する液体制御装置と、前記上金型と前記下金型の間に圧縮力を印加して前記金属パイプを短縮化させる圧縮制御装置を有するベローズ製造装置である。
本発明の第8の形態は、金型を吊持するワイヤが金属線、金属紐、又は金属チェーンであるベローズ製造装置である。
本発明の第9の形態は、ワイヤを金型に固定する接合部が溶接部、ロウ付け部又は接着部であるベローズ製造装置である。
本発明の第1の形態によれば、上金型の外周面に接合部により固定された複数本のワイヤを吊下させ、中間金型の外面に前記複数本のワイヤを接合部により固定して前記中間金型を前記ワイヤにより吊持するから、一個以上の中間金型をワイヤに簡単に吊り下げることができ、中間金型を例えば等間隔に吊持することも簡単に行える。また、圧縮力の印加により金属パイプが膨出して短縮化しても、ワイヤは変曲性により中間金型間で自在に曲がるから、圧縮力の連続印加が可能になる。圧縮力の印加を解除するまでワイヤは変曲するだけであり、従来のように圧縮途中におけるスペーサブロックの脱離操作は全く不要になる。従って、圧縮開始から圧縮終了まで一気にバルジ成形が可能であり、金属パイプからのベローズ成形が一気に効率的に行うことができ、ベローズの量産が可能になると同時に、ベローズの低価格化を実現できる。また、圧縮工程を任意の途中段階で終了することによって、緩慢な山状から急峻な山状にまで任意形状のベローズ山を成形することができる。
本発明の第2の形態によれば、圧縮力の印加を終了した後、液体を排出し、上金型と下金型を相互に離間させ、中間金型をベローズから引き離すだけで、ベローズを簡単に取り出すことが可能である。このとき、中間金型を吊持するワイヤは、中間金型の自重により直線状に伸びて元の長さに復帰しており、新しい金属パイプを装填するだけで出発状態に復帰し、再度のベローズ成形も、繰り返し行うことができる。その点で、ベローズの量産が一層容易になる。
本発明の第3の形態によれば、金型を吊持するワイヤが金属線、金属紐、又は金属チェーンであるから、中間金型の吊り下げが安価に且つ簡単に行えるベローズ成形法を提供することができる。金属線は前記圧縮過程で簡単に曲がって変曲し、しかもベローズを取り出した時に元の直線状態に簡単に復帰し、何回も使用することができる。金属紐や金属チェーンは、圧縮過程で簡単に折れ曲がることができ、変曲性に優れ、しかも元の直線状態に簡単に復帰する。従って、繰り返しベローズの大量生産に使用することができ、どこにでもあるワイヤで安価にベローズの量産を可能にすることができる。
本発明の第4の形態によれば、ワイヤを金型に固定する接合部が溶接部、ロウ付け部又は接着部であるベローズ製造方法を提供できる。ワイヤを金型に接合する手段として、第1に溶接法が使用される。溶接法には、電気抵抗溶接、アーク放電溶接、ガス溶接、プラズマ溶接、電子ビーム溶接、レーザービーム溶接などが利用できる。最も簡単にはアーク溶接とスポット溶接が使用できる。第2にロウ付け方法も使用できる。接合する材料(母材)よりも融点が低いロウ材を溶かしてワイヤを金型に接合する。例えば、銀ロウ付け、銅ロウ付け、黄銅ロウ付け、リン銅付け、アルミロウ付け等各種のロウ付け法から自由に選択することができる。圧縮過程で熱の発生は殆ど無いから、樹脂接着剤による接着により、ワイヤを金型に接合することも可能である。特に、瞬間接着剤を用いると、ワイヤの金型への接合を素早く簡単に行うことが可能である。ワイヤを金型から外す場合にも、接着方式は高能率である。
本発明の第5の形態によれば、中間金型は、半割金型である左中間金型と右中間金型を金属パイプの外周面に周接させ、前記左中間金型と前記右中間金型を連結することによって構成されるベローズ製造方法を提供できる。ワイヤで吊下される中間金型が半割型であるから、金属パイプの外周に取り付けるのが容易であるだけでなく、ワイヤを接合したまま半割型を相互に分離するだけで、ワイヤで吊下された半割型を左右に離開させて、成形されたベローズを取り出すことが可能になる。この点がワイヤ吊持法の長所である。即ち、ワイヤで半割型を吊持したまま、新しい金属パイプを下金型上に直立させれば、再度のベローズ成形が繰り返し極めて容易に行える利点を有している。
本発明の第6の形態によれば、前記目的間隔とは、前記上金型と前記下金型と前記中間金型からなる金型群が上下方向に接触するまで前記金属パイプが短縮化されたときの、前記上金型と前記下金型の間隔であるベローズ製造方法を提供できる。上金型と下金型と中間金型が相互接触するまで圧縮して完了すると、この過程を繰り返すことにより、正確な同一ピッチ・同一山高・同一山幅のベローズ山を有したベローズの量産が可能になる。ベローズ山のピッチ・山高・山幅を変更するには、異なった形状の中間金型に変更するだけで良い。
本発明の第7の形態によれば、金属パイプの上方開口部と下方開口部を上金型と下金型で夫々密閉して前記金属パイプを直立状に狭持する上下金型装置と、前記上金型の外周面に接合部により固定して吊下された複数本のワイヤと、前記金属パイプの直立方向に所定間隔を有して配置され、且つ前記金属パイプの外周面に周方向全周に亘ってリング状に周接した一個以上の中間金型と、前記中間金型を前記ワイヤにより吊持するために前記中間金型の外面に前記複数本のワイヤを固定する接合部と、前記金属パイプの内部に液体を液密状に加圧注入及び調圧する液体制御装置と、前記上金型と前記下金型の間に圧縮力を印加して前記金属パイプを短縮化させる圧縮制御装置を有するベローズ製造装置を提供できる。
本発明装置を用いれば、上金型の外周面に接合部により固定された複数本のワイヤを吊下させ、中間金型の外面に前記複数本のワイヤを接合部により固定して前記中間金型を前記ワイヤにより吊持するから、複数の中間金型をワイヤに簡単に吊り下げることができ、中間金型を例えば等間隔に吊持することも簡単に行える。また、圧縮力の印加により金属パイプが膨出して短縮化しても、ワイヤは変曲性により中間金型間で自在に曲がるから、圧縮力の連続印加が可能になる。圧縮力の印加を解除するまでワイヤは変曲するだけであり、従来のように圧縮途中におけるスペーサブロックの脱離操作は全く不要になる。従って、圧縮開始から圧縮終了まで一気にバルジ成形が可能であり、金属パイプからのベローズ成形が一気に効率的に行うことができ、ベローズの量産が可能になると同時に、ベローズの低価格化を実現できるベローズ製造装置を提供できる。また、圧縮工程を任意の途中段階で終了することによって、緩慢な山状から急峻な山状にまで任意形状のベローズ山を成形することができるベローズ製造装置を提供できる。
本発明の第8の形態によれば、金型を吊持するワイヤが金属線、金属紐、又は金属チェーンであるベローズ製造装置が提供できる。本装置を使用すれば、圧縮力の印加を終了した後、液体を排出し、上金型と下金型を相互に離間させ、中間金型をベローズから引き離すだけで、ベローズを簡単に取り出すことが可能である。このとき、中間金型を吊持するワイヤは、中間金型の自重により直線状に伸びて元の長さに復帰しており、新しい金属パイプを装填するだけで出発状態に復帰し、再度のベローズ成形も、繰り返し行うことができる。その点で、ベローズの量産が一層容易になる装置である。
本発明の第9の形態によれば、ワイヤを金型に固定する接合部が溶接部、ロウ付け部又は接着部であるベローズ製造装置を提供できる。本発明装置を用いれば、金型を吊持するワイヤが金属線、金属紐、又は金属チェーンであるから、中間金型の吊り下げが安価に且つ簡単に行えるベローズ製造装置を提供することができる。金属線は前記圧縮過程で簡単に曲がって変曲し、しかもベローズを取り出した時に元の直線状態に簡単に復帰し、何回も使用することができる。金属紐や金属チェーンは、圧縮過程で簡単に折れ曲がることができ、変曲性に優れ、しかも元の直線状態に簡単に復帰する。従って、繰り返しベローズの大量生産に使用することができ、どこにでもあるワイヤで安価にベローズの量産を可能にすることができる。
本発明において、金属板2から金属パイプ4を成形する金属パイプ成形工程図である。 本発明において、上金型10と下金型8の間に金属パイプ6を上下方向に狭持した狭持状態図である。 本発明において、ワイヤ14のワイヤ端部14bを上金型10に接合部16により固定したワイヤ吊下図である。 本発明において、中間金型20の半割型構成図である。 本発明において、ワイヤ14に固定部16により中間金型20を順次吊下した中間金型吊下図である。 本発明において、ワイヤ14に固定部16により全ての中間金型20を吊下した中間金型完全吊下図である。 本発明において、全ての中間金型20を吊下した吊下全体斜視図である。 本発明において、金属パイプ6内に液体22を注入し上下金型10、8に圧縮力Fを印加したバルジ成形出発図である。 本発明において、圧縮力Fと内圧Pによりパイプ膨出部6aとワイヤ変曲部14aが形成されつつあるバルジ成形の第1中間状態図である。 本発明において、圧縮力Fと内圧Pによりパイプ膨出部6aとワイヤ変曲部14aが更に突出したバルジ成形の第2中間状態図である。 本発明において、金属パイプ6からバルジ成形によりベローズ24を完成したバルジ成形の完成図である。 本発明において、ワイヤ14を接合した左中間金型18と右中間金型19を取り外してベローズ24を取り出すベローズ取出図である。 本発明において、バルジ成形後に取り出されたベローズ24の縦断面図と外観斜視図である。 従来のバルジ成形法を簡潔に述べた従来工程説明図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明において、金属板2から金属パイプ4を成形する金属パイプ成形工程図である。(1A)では、パイプ成形前の金属板2が配置されている。(1B)では、前記金属板2をロール成形して金属ロール4が形成される。この金属ロール4では、端縁4aと端縁4bが対向状に突き合わされて溶接される。その結果、(1C)に示されるように、突合溶接線6bを有した金属パイプ6が形成される。金属パイプ6の直径は所望に応じて設計され、後述するベローズ(蛇腹管又は伸縮管とも呼ばれる)の断面直径を与える。図1では、金属板2から金属パイプ6を成形する手順を説明したが、シームレスパイプを用いても良いことは言うまでもない。
図2は、本発明において、上金型10と下金型8の間に金属パイプ6を上下方向に狭持した狭持状態図である。図1で形成された金属パイプ6をベローズに成形する段階に入る。金属パイプ6の下方開口部6dを密閉するように、金属パイプ6を下金型8の上に載置して直立させる。金属パイプ6の上方開口部6cを密閉するように、上金型10により金属パイプ6の上端を狭持する。後述するように、下金型8と上金型10は圧縮制御装置50に接続され、金属パイプ6は圧縮加工される。上金型10には注入口12が接続され、金属パイプ6内にバルジ加工用の液体(例えば水)を注入する。また、圧縮により金属パイプ6が短縮化されるに従って、金属パイプ6から液体を滴量だけ排出しながら、金属パイプ6の内面に内圧(液圧とも云う)を印加して、金属パイプ6の必要領域を外方に膨出させる。
図3は、本発明において、ワイヤ14のワイヤ端部14bを上金型10に接合部16により固定したワイヤ吊下図である。上金型10の外周面10bにワイヤ14のワイヤ端部14bを接合部16により固定し、ワイヤ14を吊り下げる。ワイヤの本数は任意で良いが、後述するように、中間金型を安定して吊り下げることができる本数であればよい。本実施形態では上金型10の外周面10bに等間隔に4本のワイヤ14を吊下している。ワイヤ14は金属線でも良いし、金属紐や金属チェーンでも良い。その共通する性質は、吊下性と変曲性を有することである。変曲性とは、撓む性質(可撓性)だけでなく、折れ曲がる性質(折曲性)や布のように折り畳まれる性質(折畳性)でも良い。ピンと伸びたワイヤ14の両端に圧縮力を加えると、短縮した分だけ金属線は曲がり、その曲がりを変曲性と呼ぶ。その曲がりが弾性変形であれば圧縮力を解除した段階で元のようにピンと伸びるが、塑性変形であれば曲がったままで元には戻らない。そのどちらでも良い。金属紐の場合には布のように折畳性を有し、また金属チェーンは鎖であるから、折曲性や折畳性を有する。
また、接合部16は、ワイヤ14を吊下でき、しかも重量を有する中間金型を安定して吊持できる手段であれば何でもよい。接合部16は、例えば溶接部、ロウ付け部又は接着部(接着剤固定)であれば良い。溶接部とは溶接による接合部であり、ロウ付け部とはロウ材による接合部であり、接着部とは接着剤による接合部である。本実施形態ではスポット溶接により接合部14を形成している。
図4は、本発明において、中間金型20の半割型構成図である。まず、(4A)は左中間金型18と右中間金型19を対向連結したリング状の中間金型20の斜視図である。(4B)は(4A)のI−I腺断面斜視図である。図から分かるように、中間金型20は半割型である左中間金型18と右中間金型19を対向してボルト19dで連結して構成される。更に詳説すると、左中間金型18は、左半円部18aと左半円突出部18bとそれらの端面にある左連結片18cから構成される。同様に、右中間金型19は、右半円部19aと右半円突出部19bとそれらの端面にある右連結片19cから構成される。次の図5に示されるように、左中間金型18と右中間金型19を金属パイプ6の外周面上に周回状に対向させ、左連結片18cと右連結片19cを面接合し、ボルト19d、19dにより螺合すると、中間金型20が形成される。従って、左半円部18aと右半円部19aが一体化して大リング部20aが形成される。また、左半円突出部18bと右半円突出部19bが一体化してリング突出部20bが形成される。大リング部20aの大リング部厚Tはベローズ山のピッチpを決める。突出部高さHはベローズ山の山高hを与え、突出部厚Wはベローズ山の山幅wをw=T−Wとして決める。
図5は、本発明において、ワイヤ14に固定部16により中間金型20を順次吊下した中間金型吊下図である。中間金型20は、上金型10より上金型所定間隔d1だけ離間した下方位置に金属パイプ6の外周面にリング突出部20bが当接するように固定される。しかも、中間金型20は4本のワイヤ14に接合部16により固定されて吊下される。より詳細に述べると、2本のワイヤ14に左中間金型18が接合部16により吊下され、同様に残り2本のワイヤ14に右中間金型19が接合部16により吊下される。
図6は、本発明において、ワイヤ14に固定部16により全ての中間金型20を吊下した中間金型完全吊下図である。図5と同様の手順で、4個の中間金型20を金属パイプ6の外周面に順次に吊下する。各中間金型20は接合部16によりワイヤ14に固定され、ワイヤ14に吊持される。中間金型20と中間金型20の間の離間距離は中間金型所定間隔d2であり、中間金型20と下金型8との離間距離は下金型所定間隔d3である。このようにして、全ての中間金型20が金属パイプ6の周囲に吊下配置される。
図7は、本発明において、全ての中間金型20を吊下した吊下全体斜視図である。図6が断面図であるのに対し、図7は斜視図である点で相違するだけである。全体の斜視図に、上金型所定間隔d1、中間金型所定間隔d2及び下金型所定間隔d3が付記されている。また、4本のワイヤ14の吊下状態が明示されている。上金型10には注入口12が省略されている。
図8は、本発明において、金属パイプ6内に液体22を注入し上下金型10、8に圧縮力Fを印加したバルジ成形出発図である。金属パイプ6内には液体制御装置40により矢印a方向に液体22が注入され、金属パイプ6は液体22で液密状態(満杯状態)に充填される。上下金型装置30を構成する上金型10と下金型8には圧縮力Fが印加される。前記圧縮力Fは圧縮制御装置50により制御され、金属パイプ6内には液圧である内圧Pが金属パイプ6を径方向外方に膨張させるように作用する。特に、上金型10と中間金型20の間、中間金型20と中間金型20の間、更に中間金型20と下金型8の間に前記内圧Pが作用する。金属パイプ6の外周面でも、中間金型20が当接する位置は、中間金型20により金属パイプの膨張が規制されているから、図8においては、金型間の上記5か所が内圧Pにより径方向外方に膨張する。
図9は、本発明において、圧縮力Fと内圧Pによりパイプ膨出部6aとワイヤ変曲部14aが形成されつつあるバルジ成形の第1中間状態図である。圧縮力Fの印加で金属パイプ6は短縮化を開始し、短縮した長さだけ、金属パイプ6は径方向外方に膨張し、5箇所でパイプ膨出部6aが形成されつつある。金属パイプ6の内容積が減少した分量だけ液体22は矢印b方向に排出され、圧縮期間中、圧縮制御装置50により内圧Pは制御される。同時に、金属パイプ6の短縮に応じて、ワイヤ14も上下方向に短縮し、その短縮量だけワイヤ6は外方に変曲し、ワイヤ変曲部14aが形成される。
図10は、本発明において、圧縮力Fと内圧Pによりパイプ膨出部6aとワイヤ変曲部14aが更に突出したバルジ成形の第2中間状態図である。圧縮力Fの更なる印加により、金属パイプ6は更に短縮し、パイプ膨出部6aは内圧Pにより一層に径方向外方に膨出する。同時に、ワイヤ14のワイヤ変曲部14aも一層に変曲する。
図11は、本発明において、金属パイプ6からバルジ成形によりベローズ24を完成したバルジ成形の完成図である。圧縮力Fの持続的印加と液体22の矢印b方向への排出により、上金型10と中間金型20と下金型8が相互に密着するまで金属パイプ6を短縮させる。従って、上金型10と下金型8の離間距離は4個の中間金型の厚さ、即ち目的間隔d0になる。この目的間隔d0は大リング厚Tとの関係でいうと、d0=4×Tと考えてよい。中間金型がn個使用される場合には、d0=n×Tとなる。その結果、金属パイプ6はベローズ24に成形され、パイプ膨出部6aはベローズ山24aにまで変形される。この段階で、ベローズ24は完成される。ワイヤ変曲部14aも最大状態に変曲している。
図12は、本発明において、ワイヤ14を接合した左中間金型18と右中間金型19を取り外してベローズ24を取り出すベローズ取出図である。図11において、液体22を完全に排出し、圧縮力Fを解除する。次にワイヤ14と上金型10との接合部16を解離すると、4個の中間金型20はワイヤ14と一体に上金型10から分離される。下金型8又は上金型10を上下に開くと、ベローズ24を取り出すことが可能になる。
図13は、本発明において、バルジ成形後に取り出されたベローズ24の縦断面図と外観斜視図である。(13A)はベローズ24の縦断面図であり、(13B)はベローズ24の外観斜視図である。図から分かるように、ベローズ24には多数のベローズ山24aが形成されている。ベローズ山24aのピッチp、山高h、山幅wは図示の通りである。
以上詳述したように、本発明は画期的なベローズ製造方法及びベローズ製造装置を提供することに成功したものであり、各地のベローズ製造工場において直ちに利用でき、しかもベローズの低価格化と大量生産を行うことを可能にした。具体的には、上金型の外周面に接合部により固定された複数本のワイヤを吊下させ、中間金型の外面に前記複数本のワイヤを接合部により固定して前記中間金型を前記ワイヤにより吊持するから、一個以上の中間金型をワイヤに簡単に吊り下げることができ、中間金型を例えば等間隔に吊持することも簡単に行える。また、圧縮力の印加により金属パイプが膨出して短縮化しても、ワイヤは変曲性により中間金型間で自在に曲がるから、圧縮力の連続印加が可能になる。圧縮力の印加を解除するまでワイヤは変曲するだけであり、従来のように圧縮途中におけるスペーサブロックの脱離操作は全く不要になる。従って、圧縮開始から圧縮終了まで一気にバルジ成形が可能であり、金属パイプからのベローズ成形が一気に効率的に行うことができ、ベローズの量産が可能になると同時に、ベローズの低価格化を実現できる。また、圧縮工程を任意の途中段階で終了することによって、緩慢な山状から急峻な山状にまで任意形状のベローズ山を成形することができる。
2 金属板
4 金属ロール
4a 端縁
4b 端縁
6 金属パイプ
6a パイプ膨出部
6b 突合溶接線
6c 上方開口部
6d 下方開口部
8 下金型
10 上金型
10b 外周面
12 注出口
14 ワイヤ
14a ワイヤ変曲部
14b ワイヤ端部
16 接合部
18 左中間金型
18a 左半円部
18b 左半円突出部
18c 左連結片
19 右中間金型
19a 右半円部
19b 右半円突出部
19c 右連結片
19d ボルト
20 中間金型
20a 大リング部
20b リング突出部
22 液体
24 ベローズ
24a ベローズ山
30 上下金型装置
40 液体制御装置
50 圧縮制御装置
106 金属パイプ
108 下金型
110 上金型
120 中間金型
130 スペーサブロック
124 ベローズ
124a ベローズ山
T 大リング厚
H 突出部高さ
W 突出部厚
d0 目的間隔
d1 上金型所定間隔
d2 中間金型所定間隔
d3 下金型所定間隔
P 内圧
F 圧縮力
p ピッチ
w 山幅
h 山高

Claims (9)

  1. 金属パイプの上方開口部と下方開口部を上金型と下金型で夫々密閉して前記金属パイプを直立状に狭持し、前記上金型の外周面に接合部により固定された複数本のワイヤを吊下させ、前記金属パイプの直立方向に所定間隔を有して一個以上の中間金型を配置し、前記中間金型は前記金属パイプの外周面に周方向全周に亘ってリング状に周接しており、前記中間金型の外面に前記複数本のワイヤを接合部により固定して前記中間金型を前記ワイヤにより吊持し、前記金属パイプの内部に液体を液密状に注入し、前記上金型と前記下金型の間に圧縮力を印加して前記金属パイプを短縮化させると同時に前記液体に内圧を発生させ、前記上金型と前記下金型と前記中間金型からなる金型群の金型相互の間隙に前記金属パイプの外周面を前記内圧により径方向外方に膨張させてパイプ膨出部を形成し、前記パイプ膨出部の形成と共に前記ワイヤは変曲し、前記内圧を保持しつつ前記液体を排出しながら前記上金型と前記下金型の間隔が目的間隔まで短縮化した段階で前記圧縮力の印加を解除し、前記パイプ膨出部がベローズ山にまで突出して前記金属パイプがベローズに成形されることを特徴とするベローズ製造方法。
  2. 前記圧縮力の印加を解除した後、前記液体を排出し、前記上金型と前記下金型を相互に離間させ、前記中間金型を成形されたベローズから引き離して、ベローズを取り出す請求項1に記載のベローズ製造方法。
  3. 前記ワイヤは金属線、金属紐、又は金属チェーンである請求項1又は2に記載のベローズ製造方法。
  4. 前記接合部は溶接部、ロウ付け部又は接着部である請求項1、2又は3に記載のベローズ製造方法。
  5. 前記中間金型は、半割金型である左中間金型と右中間金型を前記金属パイプの外周面に当接させ、前記左中間金型と前記右中間金型を連結することによって構成される請求項1〜4のいずれかに記載のベローズ製造方法。
  6. 前記目的間隔とは、前記上金型と前記下金型と前記中間金型からなる金型群が上下方向に接触するまで前記金属パイプが短縮化されたときの、前記上金型と前記下金型の間隔である請求項1〜5のいずれかに記載のベローズ製造方法。
  7. 金属パイプの上方開口部と下方開口部を上金型と下金型で夫々密閉して前記金属パイプを直立状に狭持する上下金型装置と、前記上金型の外周面に接合部により固定して吊下された複数本のワイヤと、前記金属パイプの直立方向に所定間隔を有して配置され、且つ前記金属パイプの外周面に周方向全周に亘ってリング状に周接した一個以上の中間金型と、前記中間金型を前記ワイヤにより吊持するために前記中間金型の外面に前記複数本のワイヤを固定する接合部と、前記金属パイプの内部に液体を液密状に加圧注入する液体制御装置と、前記上金型と前記下金型の間に圧縮力を印加して前記金属パイプを短縮化させる圧縮制御装置を有することを特徴とするベローズ製造装置。
  8. 前記ワイヤは金属線、金属紐、又は金属チェーンである請求項7に記載のベローズ製造装置。
  9. 前記接合部は溶接部、ロウ付け部又は接着部である請求項7又は8に記載のベローズ製造装置。
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