JP6447227B2 - ダンパー構造 - Google Patents

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本発明は、建築物に設けられて引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材のダンパー構造に関する。
従来から、対向する方向に相対変位を生ずる構造部材間で効果的にエネルギーを吸収させるものとして、例えば、特許文献1、2に開示される鋼材ダンパー等が提案されている。
特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、互いに切り離された構造部材間の対向する方向の相対変位時に、軸方向力を受けることで曲げモーメントを負担して曲げ降伏するものであり、各々の構造部材に接続されて、同一軸線上で距離をおいて対向する一対の軸部と、一対の軸部の間にその軸線を迂回して跨って接合される曲げ材とからなることを特徴とする。
特許文献2に開示された振動低減用の変形部付きフレーム構造は、フレーム構造の対向角部を結ぶ対角線に対して互い違いの突出角度で行き違うように突出させた一対の斜材と、一対の斜材に架設させて接合された複数のブリッジとを備えて、フレーム構造の揺れに応じて複数のブリッジと一対の斜材とが変形して、複数のブリッジが屈曲することを特徴とする。
特開平5−263549号公報 特開2010−285850号公報
しかし、特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、軸部と曲げ材とが別途の部材により構成されることから、各々の部材の製作コストや、軸部と曲げ材とを接合するための加工コストが増大するという問題点があった。また、特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、軸部の軸線を迂回して曲げ材がコの字型に形成されるため、コの字型の曲げ材が軸方向に変形し易いものとなり、軸方向の剛性を確保し難いものとなるという問題点があった。さらに、特許文献1に開示された鋼材ダンパーは、コの字型の曲げ材が軸直交方向にも変形し易いものとなるため、曲げ材に厚い鋼板を用いて軸直交方向の変形を抑制することが必要となって、曲げ材の製作に必要となる鋼材量が多くなることで、曲げ材の材料コストが増大するという問題点があった。
特許文献2に開示された振動低減用の変形部付きフレーム構造は、複数のブリッジと一対の斜材とが別途の部材により構成されることから、各々の部材の製作コストや、複数のブリッジと一対の斜材とを接合するための加工コストが増大するという問題点があった。特許文献2に開示された振動低減用の変形部付きフレーム構造は、一対の斜材が互い違いの突出角度で行き違うように突出するため、一対の斜材が一直線上に配置されずに偏心して配置されていることから、複数のブリッジに偏心による負荷曲げが加わり、エネルギー吸収性能が低下するという問題点があった。
特許文献1に開示された鋼材ダンパー及び特許文献2に開示された振動低減用の変形部付きフレーム構造の何れにおいても、曲げ材やブリッジに別途の補剛部材が設けられていないため、軸部からの軸方向力による曲げモーメントを曲げ材が負担するときや、フレーム構造の揺れに応じて複数のブリッジが屈曲するときに、曲げ材やブリッジの局所的な変形に起因して軸部や斜材を含む構造が全体的に座屈するものとなり、軸部や斜材に作用する圧縮力に対するエネルギー吸収性能が低下するという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、軸力部材の側板に設けた折曲面をエネルギー吸収部として変形させることで、低廉な製造コストで安定したエネルギー吸収性能を確保することのできるダンパー構造を提供することにある。
第1発明に係るダンパー構造は、建築物に設けられて引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材のダンパー構造であって、軸力部材の側板の軸方向の一部に設けられるエネルギー吸収部を備え、前記エネルギー吸収部は、軸力部材の側面より面外方向に突出する折曲面が前記側板に形成されて、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記折曲面が形成された軸方向の一部を伸縮させるものとなり、前記エネルギー吸収部は、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板の境界となる隅部を有して、前記側板に折り目が形成されるとともに、前記隅部に切れ目が形成されて、面外方向で略三角形状に突出する前記折曲面が形成されることを特徴とする。
第2発明に係るダンパー構造は、建築物に設けられて引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材のダンパー構造であって、軸力部材の側板の軸方向の一部に設けられるエネルギー吸収部を備え、前記エネルギー吸収部は、軸力部材の側面より面外方向に突出する折曲面が前記側板に形成されて、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記折曲面が形成された軸方向の一部を伸縮させるものとなり、軸力部材の側面に沿って前記側板に近接させて設けられる補剛部をさらに備え、前記エネルギー吸収部は、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記補剛部により所定の剛性を確保しながら、前記折曲面が形成された軸方向の一部を伸縮させるものとなり、前記エネルギー吸収部は、軸力部材の側面より面外方向の内側に向けて突出する前記折曲面が前記側板に形成されて、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板の外側に、前記補剛部が設けられることを特徴とする。
発明に係るダンパー構造は、第1発明において、軸力部材の側面に沿って前記側板に近接させて設けられる補剛部をさらに備え、前記エネルギー吸収部は、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記補剛部により所定の剛性を確保しながら、前記折曲面が形成された軸方向の一部を伸縮させるものとなることを特徴とする。
発明に係るダンパー構造は、第発明において、前記エネルギー吸収部は、軸力部材の側面より面外方向の外側に向けて突出する前記折曲面が前記側板に形成されて、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板の内側に、前記補剛部が設けられることを特徴とする。
第5発明に係るダンパー構造は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記エネルギー吸収部は、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板により、開断面形状、又は、閉断面形状に形成されることを特徴とする。
第6発明に係るダンパー構造は、第明において、前記エネルギー吸収部は、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板の境界となる隅部を有して、前記側板に折り目が形成されるとともに、前記隅部に切れ目が形成されて、面外方向で略三角形状に突出する前記折曲面が形成されることを特徴とする。
第7発明に係るダンパー構造は、第1発明〜第6発明の何れかにおいて、前記エネルギー吸収部は、前記側板に形成された折り目で折り曲げられた前記折曲面の傾斜角度が、軸力部材の側面に直交する軸直交方向に対して15°以上、30°以下となることを特徴とする。
第8発明に係るダンパー構造は、第1発明〜第7発明の何れかにおいて、前記側板に形成された折り目が湾曲して折り曲げられることで、面外方向に突出する前記折曲面が形成されることを特徴とする。
第1発明〜第8発明によれば、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、エネルギー吸収部となる側板に形成された折曲面を弾性域及び塑性域で変形させて、軸力部材を軸方向に伸縮させることで、地震又は風等の繰返し外力に対して、安定したエネルギー吸収性能を確保することが可能となる。
第1発明〜第8発明によれば、温度依存性の高い粘弾性ダンパー等を用いることなく、軸力部材の側板を面外に変形させることで、折り目を弾性域及び塑性域で折曲変形させることにより、地震等のエネルギーを確実に吸収することのできるエネルギー吸収機構を実現して、安定したエネルギー吸収性能を確保した制震ダンパーとして機能させることが可能となる。
特に、第2発明及び第3発明によれば、軸力部材の側面に沿って側板に近接させて補剛部が設けられるため、軸力部材の側板及び補剛部が、軸方向で略同一直線上に連続させて配置されたものとなり、軸力部材の軸方向以外の方向に対するエネルギー吸収部の変位を抑制することで、軸力部材の全体座屈やエネルギー吸収部の軸方向以外へのズレによる破壊を防ぐことが可能となる。
特に、第2発明及び第3発明によれば、軸方向で折曲面が形成された短い範囲の近傍のみを補剛部で補剛するものとしても、エネルギー吸収部の軸方向の鉛直変位に補剛部が十分に追随して、軸力部材の全体座屈やエネルギー吸収部の軸方向以外へのズレによる破壊を確実に防止しながら、安定したエネルギー吸収性能を確保することが可能となる。
特に、第発明によれば、エネルギー吸収部の内側に補剛部が設けられることで、補剛部で補剛されたエネルギー吸収部を目視しやすい形態で構成して、エネルギー吸収部の保守管理を容易にすることが可能となる。
特に、第発明によれば、軸力部材の側面より面外方向の内側に向けて突出する折曲面がエネルギー吸収部に形成されることで、エネルギー吸収部の外形寸法の増大を抑制して、エネルギー吸収部のコンパクト化を図ることが可能となる。
特に、第5発明によれば、エネルギー吸収部が開断面形状で構成されることで、エネルギー吸収部及び補剛部の加工組立を容易にすることが可能となる。特に、第5発明によれば、エネルギー吸収部が閉断面形状で構成されることで、エネルギー吸収部の断面形状における異方性を抑制して、より安定したエネルギー吸収性能を確保することが可能となる。
特に、第1発明及び発明によれば、面外方向で略三角形状に突出する折曲面が形成されて、折曲面にトラス構造の機能を持たせることで、弾性域及び塑性域で変形させてエネルギー吸収する折り目、並びに、折り目近傍を除く部位における折曲面及び側板の変形の発生を抑制して、ダンパー構造の軸方向に対する剛性を確保することが可能となる。
特に、第1発明及び発明によれば、軸力部材の周方向に隣り合う複数の側板の境界となる隅部に切れ目を形成することで、エネルギー吸収部となる折曲面を設けるための折り目を形成するための加工作業を容易なものとし、エネルギー吸収部の製作コストを低減させることが可能となる。
特に、第7発明によれば、引張荷重又は圧縮荷重が作用する前の状態で、軸力部材の側板に形成された折り目で折り曲げられた折曲面の傾斜角度が、軸力部材の側面に直交する軸直交方向に対して15°以上、30°以下となることで、引張荷重に対してダンパー構造の耐力上昇を抑制すると同時に、圧縮荷重に対してダンパー構造の所定の変形性能を確保することが可能となる。
特に、第8発明によれば、軸力部材の側板に形成された折り目が湾曲して折り曲げられることで、折曲面が変形するときの塑性化領域を大きくするとともに、折り目を折曲加工するときと折曲面を変形させたときとを併せた累積ひずみを小さくすることができるため、加工硬化による耐力上昇の抑制や、低サイクル疲労に対する抵抗特性の強化を図ることが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造が導入される枠材を示す斜視図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造が導入される枠材が変位する前の状態を示す正面図であり、(b)は、枠材が変位した後の状態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で開断面形状の軸力部材を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で閉断面形状の軸力部材を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 本発明を適用したダンパー構造で補剛部が内装されるエネルギー吸収部を示す斜視図である。 本発明を適用したダンパー構造で補剛部が外装されるエネルギー吸収部を示す斜視図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で補剛部が内装されたエネルギー吸収部を示す平面図であり、(b)は、補剛部が外装されたエネルギー吸収部を示す平面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で溝形鋼が用いられたエネルギー吸収部を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造でリップ付溝形鋼が用いられたエネルギー吸収部を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で略矩形状の角形鋼管が用いられたエネルギー吸収部を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で略八角形状の角形鋼管が用いられたエネルギー吸収部を示す平面図であり、(b)は、その正面図である。 本発明を適用したダンパー構造で面外方向の外側に向けて突出する折曲面を示す拡大側面図である。 本発明を適用したダンパー構造で面外方向の内側に向けて突出する折曲面を示す拡大側面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で略台形状に突出する折曲面を示す拡大側面図であり、(b)は、略円弧状に突出する折曲面を示す拡大側面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で屈曲した折り目を示す拡大側面図であり、(b)は、湾曲した折り目を示す拡大側面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で枠材まで延びる軸力部材に補剛部を内装させた状態を示す正面図であり、(b)は、枠材から延びる補剛部を軸力部材に内装させた状態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したダンパー構造で枠材まで延びる軸力部材に補剛部を外装させた状態を示す正面図であり、(b)は、枠材から延びる補剛部を軸力部材に外装させた状態を示す正面図である。 本発明を適用したダンパー構造でエネルギー吸収部が軸方向に伸縮する状態を示す拡大側面図である。 本発明を適用したダンパー構造でエネルギー吸収部のFEM解析モデルを示す斜視図である。 本発明を適用したダンパー構造でエネルギー吸収部のFEM解析結果を示すグラフである。 本発明を適用したダンパー構造でエネルギー吸収部のFEM解析モデルの変形及びミーゼス応力を表示した図である。
以下、本発明を適用したダンパー構造1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用したダンパー構造1は、図1に示すように、主に、住宅、学校、事務所、病院施設等の建築物の耐力壁を構成する枠材8に取り付けられたブレース等の軸力部材7に導入されるものである。また、本発明を適用したダンパー構造1は、プラント構造物、鉄塔等を含んだ建築物の軸力部材7にも導入される。枠材8は、例えば、一対の縦枠81及び横枠82で四方を取り囲んで、枠内空間80を形成するものとなる。
枠材8は、例えば、図2(a)に示すように、ブレース等の軸力部材7が、枠内空間80の上部80aにおいて、左下隅から右上隅に向けて傾斜して延びて設けられて、また、枠内空間80の下部80bにおいて、左上隅から右下隅に向けて傾斜して延びて設けられる。
枠材8は、図2(b)に示すように、地震又は風等により水平力Hが作用することで、一対の縦枠81が幅方向に傾倒するように変位する。このとき、枠材8は、例えば、枠内空間80の上部80aの軸力部材7に引張荷重Tが作用するものとなるとともに、枠内空間80の下部80bの軸力部材7に圧縮荷重Pが作用するものとなる。
枠材8は、例えば、枠材8の高さ寸法hを3000mm、枠材8の幅寸法wを1000mmとして、水平力Hを20kN、層間変形角を1/50とした場合に、各々の軸力部材7の耐力を36kN以上、各々の軸力部材7の変形性能を17mm以上確保することが要求される。
軸力部材7は、図3に示すように、軸直交方向Xの両側に配置されて軸方向Zに延びる一対のフランジ部71(側板20)と、一対のフランジ部71に連設されるウェブ部72(側板20)とを有して、断面略C形状の開断面形状に形成された溝形鋼、リップ付溝形鋼等が用いられる。
軸力部材7は、これに限らず、図4に示すように、断面略矩形状の閉断面形状に形成された角形鋼管が用いられてもよい。このとき、軸力部材7は、断面略矩形状に形成された角形鋼管のほか、略六角形状、略八角形状等の断面略多角形状の閉断面形状に形成された角形鋼管等を用いることもできる。
軸力部材7は、図3、図4に示すように、フランジ部71又はウェブ部72等により軸方向Zに延びる側面70が形成されて、軸方向Zの引張荷重T又は圧縮荷重Pが軸力部材7の側面70に作用するものとなる。軸力部材7は、例えば、形鋼等の板厚tbを1.0mm〜5.0mm程度、軸直交方向Xの外径D1を60mm〜180mm程度、軸直交方向Yの外径D2を30mm〜90mmとする。なお、外径D1と外径D2の寸法を同等とし、軸力部材7の断面形状を略正方形としてもよい。
本発明を適用したダンパー構造1は、図5、図6に示すように、ブレース等の軸力部材7の側面70で、軸力部材7の側板20の軸方向Zの一部に設けられるエネルギー吸収部2を備える。本発明を適用したダンパー構造1は、必要に応じて、軸力部材7の側面70に沿って側板20に近接させて設けられる補剛部5をさらに備える。
エネルギー吸収部2は、図3、図4に示すように、軸力部材7の側面70より面外方向に突出する軸方向Zの高さ寸法Eの折曲面3により構成される。ここで、折曲面3の高さ寸法Eは、ダンパー構造の寸法仕様や素材に応じて適宜設定することができる。
エネルギー吸収部2は、図3、図4に示すように、断面略C形状の開断面形状に形成された溝形鋼、リップ付溝形鋼等、又は、断面略多角形状の閉断面形状に形成された角形鋼管等の独立した鋼材4が、軸力部材7の軸方向Zの一部に溶接S等により連結されて、軸力部材7と略同一断面形状、又は、軸力部材7と異なる断面形状で、軸力部材7の側板20の軸方向Zの一部にエネルギー吸収部2が設けられてもよい。
エネルギー吸収部2は、軸力部材7の側板20の軸方向Zの一部に設けられて、軸力部材7の側面70と略同一平面上に配置される。エネルギー吸収部2は、軸方向Zの引張荷重T又は圧縮荷重Pが軸力部材7に作用したときに、側板20の一部を軸方向Zに伸縮させるものとなる。
エネルギー吸収部2は、例えば、図5、図6に示すように、溝形鋼等の外側部材25の内側に、リップ付溝形鋼等の内側部材26が挿通されて、外側部材25と内側部材26との二重構造を構成してもよい。エネルギー吸収部2は、図5に示すように、外側部材25と内側部材26との二重構造の内側に、補剛部5が挿通され補剛される。また、エネルギー吸収部2は、図6に示すように、外側部材25と内側部材26との二重構造の外側に、補剛部5が外挿され補剛される。
ここで、図示は省略するが、エネルギー吸収部2は、一重でもよく、三重以上の複数層でもよい。部材の層数に関わらず、補剛部5は、エネルギー吸収部2の最内縁の部材に挿通され、又は、エネルギー吸収部2の最外縁の部材に外挿され、エネルギー吸収部2を補剛することとなる。
補剛部5は、エネルギー吸収部2を跨いで設けられ、軸方向Zおいてエネルギー吸収部2で隔てられた片側において、軸力部材7の構成要素(外側部材25、内側部材26、鋼材4)の側板20に接合部6(6a)で接合される。なお、補剛部5が外挿又は挿通されていない部位において、複数層の部材(外側部材25、内側部材26)を相互に接合部6(6b)で接合することで、軸力部材7としての一体性を向上させることができる。
エネルギー吸収部2は、図7(a)に示すように、外側部材25と内側部材26との内側に補剛部5が挿通されるとき、軸力部材7の側面70より面外方向の外側に向けて突出する折曲面3が側板20に形成されて、軸力部材7の周方向Wに隣り合う複数の側板20の内側に、補剛部5が内装されて設けられるものとなる。
エネルギー吸収部2は、図7(b)に示すように、補剛部5の内側に外側部材25と内側部材26とが挿通されるとき、軸力部材7の側面70より面外方向の内側に向けて突出する折曲面3が互いに干渉することのないように各々の側板20に形成されて、軸力部材7の周方向Wに隣り合う複数の側板20の外側に、補剛部5が外装されて設けられるものとなる。
エネルギー吸収部2は、図8(a)に示すように、軸力部材7の周方向Wに隣り合う複数の側板20の境界となる複数の隅部21を有して、例えば、軸力部材7の側板20の板厚teを1.0mm〜5.0mm程度として、図8(b)に示すように、各々の側板20が軸方向Zに延びて略平板状に形成されるものとなる。
エネルギー吸収部2における折曲面3は、複数の側板20の各々に折り目30が形成されるとともに、複数の隅部21の各々に切れ目31が形成される。折曲面3は、各々の側板20で、各々の折り目30が周方向Wで略直線状に延びて形成されるとともに、各々の隅部21で、各々の切れ目31が軸方向Zで略直線状に延びて形成される。
エネルギー吸収部2は、各々の隅部21に切れ目31が形成されることにより、軸力部材7の周方向Wに隣り合う各々の側板20で、折り目30の両端の各々に切れ目31が配置されて、又は、折り目30の一方の片端に縁部22が配置されるとともに他方の片端に切れ目31が配置されて、折り目30の間に設けられた折曲面3の両端が拘束されないものとなる。
エネルギー吸収部2は、図8に示すように、断面略C形状の開断面形状に形成された溝形鋼が用いられることで、軸力部材7の周方向Wに隣り合う複数の側板20により、開断面形状に形成される。また、エネルギー吸収部2は、図9に示すように、断面略C形状の開断面形状に形成されるとともにリップ部73が設けられたリップ付溝形鋼が用いられることで、開断面形状に形成されてもよい。
また、エネルギー吸収部2は、図10に示すように、断面略矩形状の閉断面形状に形成された角形鋼管が用いられることで、軸力部材7の周方向Wに隣り合う複数の側板20により、閉断面形状に形成される。また、エネルギー吸収部2は、図11に示すように、断面略八角形状等の閉断面形状に形成された多角形断面の鋼管が用いられることで、閉断面形状に形成されてもよい。
エネルギー吸収部2は、図5に示すように、補剛部5を内装させるとき、例えば、図12に示すように、各々の側板20で3本の折り目30が互いに略平行に形成されて、上側及び下側の折り目30で側板20が谷折りに折り曲げられるとともに、中間の折り目30で側板20が山折りに折り曲げられることで、軸力部材7の側面70より面外方向の外側に向けて略三角形状に突出する折曲面3が側板20に形成される。
エネルギー吸収部2は、図6に示すように、補剛部5を外装させるとき、例えば、図13に示すように、各々の側板20で3本の折り目30が互いに略平行に形成されて、上側及び下側の折り目30で側板20が山折りに折り曲げられるとともに、中間の折り目30で側板20が谷折りに折り曲げられることで、軸力部材7の側面70より面外方向の内側に向けて略三角形状に突出する折曲面3が側板20に形成される。
エネルギー吸収部2は、これに限らず、図14(a)に示すように、各々の側板20で4本の折り目30が形成されて、上側及び下側の2本の折り目30で側板20が谷折り又は山折りに折り曲げられるとともに、中間の2本の折り目30で側板20が山折り又は谷折りに折り曲げられることで、面外方向で略台形状等に突出する折曲面3が側板20に形成されてもよい。
また、エネルギー吸収部2は、図14(b)に示すように、各々の側板20で2本の折り目30が形成されて、2本の折り目30で側板20が谷折り又は山折りに折り曲げられるとともに、2本の折り目30の間で側板20を湾曲させたものとすることで、面外方向で略円弧状等に突出する折曲面3が側板20に形成されてもよい。
エネルギー吸収部2は、特に、図12、図13に示すように、面外方向で略三角形状に突出する折曲面3が形成されるとき、上側の折り目30の位置から中間の折り目30の位置まで、上側折曲面3aで側板20が略直線状に傾斜するとともに、中間の折り目30の位置から下側の折り目30の位置まで、下側折曲面3bで側板20が略直線状に傾斜する。
エネルギー吸収部2は、上側折曲面3a及び下側折曲面3bが略直線状に傾斜して、例えば、折り目30で面外方向に折り曲げられた折曲面3の傾斜角度θ(上側傾斜角度θa、下側傾斜角度θb)が、軸力部材7の側面70に直交する軸直交方向Xに対して15°以上、30°以下となる。エネルギー吸収部2は、上側折曲面3aと下側折曲面3bとが、互いに同一又は異なる傾斜角度θ(上側傾斜角度θa、下側傾斜角度θb)で傾斜するものとなる。
エネルギー吸収部2は、図15(a)に示すように、折り目30が屈曲して折り曲げられるものとなる。エネルギー吸収部2は、これに限らず、図15(b)に示すように、折り目30が湾曲して折り曲げられてもよい。エネルギー吸収部2は、折り目30が湾曲するものとなることで、折り曲げられた折り目30の内側及び外側の各々に湾曲面32が形成される。
エネルギー吸収部2は、折り目30を湾曲して折り曲げるとき、例えば、折り目30の内側での湾曲面32の曲率半径r1を、側板20の板厚teと同一以上のものとして、折り目30の外側での湾曲面32の曲率半径r2を、側板20の板厚teの2倍以上とする。
エネルギー吸収部2は、図12に示すように、面外方向の外側に向けて折曲面3が突出するとき、補剛部5が側板20に内側から近接させて設けられる。また、エネルギー吸収部2は、図13に示すように、面外方向の内側に向けて折曲面3が突出するとき、補剛部5が側板20に外側から近接させて設けられる。
エネルギー吸収部2は、軸方向Zで側板20に折曲面3が形成された範囲を包摂して、軸力部材7の側面70に沿って補剛部5が取り付けられる。なお、エネルギー吸収部2は、図3、図4に示すように、軸力部材7の軸方向Zの片端又は両端に設けられるものであるが、これに限らず、軸力部材7の軸方向Zの略中央に設けられてもよい。
補剛部5は、断面略C形状に形成された溝形鋼、リップ付溝形鋼等、又は、略矩形状等の断面略多角形状に形成された角形鋼管等が用いられる。補剛部5は、例えば、形鋼等の板厚tsを1.0mm〜5.0mm程度とするものであり、軸力部材7の側板20に当接させて、又は、軸力部材7の側板20から離間させて設けられる。
補剛部5は、軸方向Zで側板20に折曲面3が形成された範囲を包摂して、図16に示すように、軸力部材7の複数の側板20の内側に内装されて、又は、図17に示すように、軸力部材7の複数の側板20の外側に外装される。
補剛部5は、図16、図17に示すように、軸方向Zの何れか一方の端部5aが、軸力部材7の側板20に、ビス、鋲、ボルト、カシメ、スポット溶接、アーク溶接などにより接合部6(6a)で接合される。補剛部5は、軸力部材7の側板20に折曲面3が形成された範囲を包摂する軸方向Zの一部のみで、軸力部材7の軸方向Zの全長に亘ることなく設けられる。
補剛部5は、図16(a)、図17(a)に示すように、軸方向Zにおける両方の端部5aが軸力部材7に設けたエネルギー吸収部2を跨ぐように配置される。補剛部5は、これに限らず、図16(b)、図17(b)に示すように、軸方向Zにおける一方の端部5aが軸力部材7に設けたエネルギー吸収部2の片側(枠材8の反対側)に設けられ、軸方向Zの他方の端部5aが枠材8まで延びて設けられてもよい。
本発明を適用したダンパー構造1は、図5、図6に示すように、軸力部材7の側板20に折曲面3が形成されることで、引張荷重T又は圧縮荷重Pが軸力部材7に作用したときに、補剛部5により軸力部材7の側板20で所定の剛性を確保しながら、軸力部材7における折曲面3が形成された軸方向Zの一部を伸縮させるものとなる。
本発明を適用したダンパー構造1は、図18(a)に示すように、引張荷重T又は圧縮荷重Pが作用する前の状態で、軸直交方向X(又は軸直交方向Y)に対して所定の傾斜角度θで、軸力部材7の側板20に折曲面3が形成される。
このとき、本発明を適用したダンパー構造1は、図18(b)に示すように、引張荷重Tが作用することで、上側の折り目30と下側の折り目30とが軸方向Zで互いに離間するように移動して、軸直交方向X(又は軸直交方向Y)に対する折曲面3の傾斜角度θ1を、引張荷重Tが作用する前の折曲面3の傾斜角度θより増大させたものとなる。
また、本発明を適用したダンパー構造1は、図18(c)に示すように、圧縮荷重Pが作用することで、上側の折り目30と下側の折り目30とが軸方向Zで互いに接近するように移動して、軸直交方向X(又は軸直交方向Y)に対する折曲面3の傾斜角度θ2を、圧縮荷重Pが作用する前の折曲面3の傾斜角度θより減少させたものとなる。
本発明を適用したダンパー構造1は、特に、15°以上の傾斜角度θで折曲面3が形成されることにより、圧縮荷重Pが作用した場合において、折曲面3の最小の傾斜角度θ2が0°以上を保ちやすくなり、圧縮荷重Pに対して所定の変形性能を確保することが可能となる。
また、本発明を適用したダンパー構造1は、特に、30°以下の傾斜角度θで折曲面3が形成されることにより、引張荷重Tが作用した場合において、折曲面3が軸方向Zに伸びきりにくいものとなり、折曲面3に発生する張力を抑制することで、引張荷重Tに対する側板20の耐力上昇を抑制することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、図19に示すように、軸力部材7として板厚tb(te)を2.2mm、フランジ部71の幅寸法を90mm、ウェブ部72の幅寸法を45mm、リップ部73の幅寸法を12mmとしたリップ付溝形鋼を対象に、折曲面3の軸方向Zの高さ寸法Eを30mmとしたエネルギー吸収部2を設け、折曲面3の上方及び下方の各々における側板20の高さ寸法を100mmとして、折曲面3の傾斜角度θを15°、30°、45°、60°に変化させて、FEM解析を実施した結果が、図20に示される。なお、FEM解析は、モデルをシェル要素で構成し、降伏強度が約300Mpaの鋼材の応力ひずみ関係を想定して、弾塑性大変形解析の条件で実施した。ここで、FEM解析は、引張方向及び圧縮方向ともに、伸縮変形10mmまで実施している。
図20では、軸力部材7に引張荷重T又は圧縮荷重Pが作用する前の状態を基準として、引張荷重T(縦軸の正方向)及び圧縮荷重P(縦軸の負方向)と引張荷重Tに対する軸方向Zの伸び変形(横軸の正方向)及び圧縮荷重Pに対する軸方向Zの縮み変形(横軸の負方向)の関係を図示している。
図21には、折曲面3の傾斜角度θを30°(上側傾斜角度θa及び下側傾斜角度θbともに30°)としたモデルを対象に、荷重負荷前の状況(図21(a))、引張荷重Tに対する伸び変形の状況(図21(b))、圧縮荷重Pに対する縮み変形の状況(図21(c))を、ミーゼス応力を標記して図示している。エネルギー吸収部2及びその近傍が塑性化して降伏領域が拡がり、引張荷重Tと圧縮荷重Pに対してエネルギー吸収性能を発揮していることが分かる。
本発明を適用したダンパー構造1は、特に、引張荷重T又は圧縮荷重Pが作用する前の状態で、エネルギー吸収部2の折り目30で折り曲げられた折曲面3の傾斜角度θが、軸直交方向X(軸直交方向Y)に対して15°以上、30°以下となることで、引張荷重Tに対して側板20の耐力上昇を抑制すると同時に、圧縮荷重Pに対して所定の変形性能を確保することができる。
軸力部材7の変形性能は、単一のエネルギー吸収部2によらず、多段に設けたエネルギー吸収部2で発揮すればよい。例えば、軸力部材7に要求される変形性能が17mmの場合、図20に示す10mmの変形性能を有するエネルギー吸収部2を二段設ければ、要求性能を超える20mmの変形性能を確保することができる。また、耐力についても同様に、軸力部材7に設けるエネルギー吸収部2を複数層で構成することで、要求耐力を確保することができる。
本発明を適用したダンパー構造1は、図5、図6に示すように、引張荷重T又は圧縮荷重Pが軸力部材7に作用したときに、軸力部材7の側板20に形成されたエネルギー吸収部2となる折曲面3を弾性域及び塑性域で変形させて、軸力部材7を軸方向Zに伸縮させることで、地震又は風等の繰返し外力に対して、安定したエネルギー吸収性能を確保することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、軸力部材7の側面70に沿って側板20に近接させて補剛部5が設けられるため、軸力部材7の側板20、及び、補剛部5が軸方向Zで略同一直線上に連続させて配置されたものとなる。これにより、本発明を適用したダンパー構造1は、軸力部材7の軸方向Z以外の方向に対するエネルギー吸収部2の変位を抑制することで、軸力部材7の全体座屈やエネルギー吸収部2の軸方向Z以外へのズレによる破壊を防ぐことが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、リップ付溝形鋼、角形鋼管等の補剛部5が内装又は外装されて、軸力部材7の側板20に補剛部5を接合部6(6a)で接合することで、エネルギー吸収部2の軸方向Zの鉛直変位に補剛部5が十分に追随して、軸力部材7の全体座屈やエネルギー吸収部2の軸方向Z以外へのズレによる破壊を確実に防止しながら、安定したエネルギー吸収性能を確保することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、図5に示すように、エネルギー吸収部2の内側に補剛部5が設けられることで、補剛部5で補剛されたエネルギー吸収部2を目視しやすい形態で構成して、エネルギー吸収部2の保守管理を容易にすることが可能となる。本発明を適用したダンパー構造1は、図6に示すように、軸力部材7の側面70より面外方向の内側に向けて突出する折曲面3がエネルギー吸収部2に形成されることで、エネルギー吸収部2の外形寸法の増大を抑制して、エネルギー吸収部2のコンパクト化を図ることが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、図12、図13に示すように、軸力部材7の側板20に面外方向で略三角形状に突出する折曲面3が形成されて、折曲面3にトラス構造の機能を持たせることで、弾性域及び塑性域で変形させてエネルギー吸収する折り目30、並びに、折り目30の近傍を除く部位における折曲面3及び側板20の変形の発生を抑制して、ダンパー構造1の軸方向Zに対する剛性を確保することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、温度依存性の高い粘弾性ダンパー等を用いることなく、折曲面3の傾斜角度θを増減させて、軸力部材7の側板20を面外に変形させることで、折り目30を弾性域及び塑性域で折曲変形させることによって、地震等のエネルギーを確実に吸収することのできるエネルギー吸収機構を実現して、安定したエネルギー吸収性能を確保した制震ダンパーとして機能させることが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、軸方向Zで折曲面3が形成された短い範囲の近傍のみを補剛部5で補剛するものとしても、エネルギー吸収部2の軸方向Zの鉛直変位に補剛部5が十分に追随して、軸力部材7の全体座屈やエネルギー吸収部2の軸方向Z以外へのズレによる破壊を確実に防止しながら、安定したエネルギー吸収性能を確保することが可能となる。
なお、本発明を適用したダンパー構造1は、図8〜図11では、軸力部材7の側面70における複数の側板20のうち、全部の側板20にエネルギー吸収部2となる折曲面3を形成させるものとしているが、これに限らず、一部の側板20のみに折曲面3を形成して、残りの側板20には折曲面3を形成せずに軸方向Zへの伸縮変形に追随する仕様(例えば、高さ寸法Eの部位又はその一部で側板20を切り取るなど)としてもよい。これにより、本発明を適用したダンパー構造1は、全部の側板20にエネルギー吸収部2となる折曲面3を形成した場合は十分なエネルギー吸収性能を確保することが可能となり、また、一部の側板20のみに折曲面3を形成することで、エネルギー吸収性能を調整することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、軸力部材7の周方向Wに隣り合う複数の側板20の境界となる隅部21に切れ目31を形成することで、エネルギー吸収部2となる折曲面3を設けるための折り目30を形成するための加工作業を容易なものとし、エネルギー吸収部2の製作コストを低減させることが可能となる。
一方、折曲面3は、特定の断面形状を有する軸力部材7の側板20に形成されるだけでなく、軸力部材7の断面形状を造形する前の平板等に先に形成されてもよい。この場合、平板等に先に折り目30と切れ目31を設け、切れ目31を境界として、切れ目31が隅部21になるように折曲面3を折り曲げることで、後から軸力部材7の断面形状を造形することもできる。
本発明を適用したダンパー構造1は、図8、図9に示すように、エネルギー吸収部2が開断面形状で構成されることで、エネルギー吸収部2及び補剛部5の加工組立を容易にすることが可能となる。本発明を適用したダンパー構造1は、図10、図11に示すように、エネルギー吸収部2が閉断面形状で構成されることで、エネルギー吸収部2の断面形状における異方性を抑制して、より安定したエネルギー吸収性能を確保することが可能となる。
本発明を適用したダンパー構造1は、特に、図15(b)に示すように、エネルギー吸収部2となる折曲面3を形成する折り目30を湾曲して折り曲げることで、折曲面3が変形するときの塑性化領域を大きくするとともに、折り目30を折曲加工するときのひずみと折曲面3を変形させたときのひずみを併せた累積ひずみを小さくすることができるため、加工硬化による耐力上昇の抑制や、低サイクル疲労に対する抵抗特性の強化を図ることが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1 :ダンパー構造
2 :エネルギー吸収部
20 :側板
21 :隅部
22 :縁部
25 :外側部材
26 :内側部材
3 :折曲面
3a :上側折曲面
3b :下側折曲面
30 :折り目
31 :切れ目
32 :湾曲面
4 :鋼材
5 :補剛部
5a :端部
6 :接合部
6a :接合部(補剛部と部材)
6b :接合部(部材と部材)
7 :軸力部材
70 :側面
71 :フランジ部
72 :ウェブ部
73 :リップ部
8 :枠材
80 :枠内空間
80a :上部
80b :下部
81 :縦枠
82 :横枠
W :周方向
X :軸直交方向
Y :軸方向

Claims (8)

  1. 建築物に設けられて引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材のダンパー構造であって、
    軸力部材の側板の軸方向の一部に設けられるエネルギー吸収部を備え、
    前記エネルギー吸収部は、軸力部材の側面より面外方向に突出する折曲面が前記側板に形成されて、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記折曲面が形成された軸方向の一部を伸縮させるものとなり、
    前記エネルギー吸収部は、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板の境界となる隅部を有して、前記側板に折り目が形成されるとともに、前記隅部に切れ目が形成されて、面外方向で略三角形状に突出する前記折曲面が形成されること
    を特徴とするダンパー構造。
  2. 建築物に設けられて引張荷重又は圧縮荷重が作用する軸力部材のダンパー構造であって、
    軸力部材の側板の軸方向の一部に設けられるエネルギー吸収部を備え、
    前記エネルギー吸収部は、軸力部材の側面より面外方向に突出する折曲面が前記側板に形成されて、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記折曲面が形成された軸方向の一部を伸縮させるものとなり、
    軸力部材の側面に沿って前記側板に近接させて設けられる補剛部をさらに備え、
    前記エネルギー吸収部は、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記補剛部により所定の剛性を確保しながら、前記折曲面が形成された軸方向の一部を伸縮させるものとなり、
    前記エネルギー吸収部は、軸力部材の側面より面外方向の内側に向けて突出する前記折曲面が前記側板に形成されて、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板の外側に、前記補剛部が設けられること
    を特徴とするダンパー構造。
  3. 軸力部材の側面に沿って前記側板に近接させて設けられる補剛部をさらに備え、
    前記エネルギー吸収部は、引張荷重又は圧縮荷重が軸力部材に作用したときに、前記補剛部により所定の剛性を確保しながら、前記折曲面が形成された軸方向の一部を伸縮させるものとなること
    を特徴とする請求項1記載のダンパー構造。
  4. 前記エネルギー吸収部は、軸力部材の側面より面外方向の外側に向けて突出する前記折曲面が前記側板に形成されて、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板の内側に、前記補剛部が設けられること
    を特徴とする請求項記載のダンパー構造。
  5. 前記エネルギー吸収部は、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板により、開断面形状、又は、閉断面形状に形成されること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載のダンパー構造。
  6. 前記エネルギー吸収部は、軸力部材の周方向に隣り合う複数の前記側板の境界となる隅部を有して、前記側板に折り目が形成されるとともに、前記隅部に切れ目が形成されて、面外方向で略三角形状に突出する前記折曲面が形成されること
    を特徴とする請求項記載のダンパー構造。
  7. 前記エネルギー吸収部は、前記側板に形成された折り目で折り曲げられた前記折曲面の傾斜角度が、軸力部材の側面に直交する軸直交方向に対して15°以上、30°以下となること
    を特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載のダンパー構造。
  8. 前記エネルギー吸収部は、前記側板に形成された折り目が湾曲して折り曲げられることで、面外方向に突出する前記折曲面が形成されること
    を特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載のダンパー構造。
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