JP2017210443A - トリテルペノイドの抽出方法、および、トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法 - Google Patents

トリテルペノイドの抽出方法、および、トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】できるだけ有機溶剤の使用量を抑制できるトリテルペノイドの抽出方法、および、簡便にトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法を提供する。【解決手段】トリテルペノイドを含む植物由来原料に対して、少なくとも水、および、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有する抽出液を添加する工程を含む、トリテルペノイドの抽出方法、および、トリテルペノイドおよびカロテノイドを含む植物由来原料に対して、含水アルコール、および、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有する抽出液を添加する工程を有することにより、トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、トリテルペノイドおよびカロテノイドを含む植物由来原料に対して、トリテルペノイドを抽出する方法、および、トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法に関する。
一般にトリテルペノイドとは、5個の炭素からなるイソプレン単位が6個結合して30個の炭素原子からなる脂質性の化合物群のことをいう。トリテルペノイドは、例えばカキ果皮等多くの植物に含まれており、多くの生理活性が報告されていることから、トリテルペノイドの利用は人々の健康増進等に繋がることが期待される。生理活性として、特に五環性トリテルペノイドには、抗エイズウイルス作用や抗腫瘍効果などの種々の生理活性があることで注目されている。
特許文献1には、種々の五環性トリテルペノイドを検討したところ、特定の五環性トリテルペノイドが脂肪細胞の脂肪蓄積及びGPDHの活性を抑制することについて記載してある。
特開2015−189691号公報
特許文献1では、五環性トリテルペノイドとして、ポモル酸等が記載してある。当該ポモル酸の抽出は、以下のようにして行うことが記載してある。即ち、凍結乾燥したカキ果皮をミルサーで粉砕後、アセトンを添加して得られた抽出液をロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで展開した後、ポモル酸を含む画分を得ている。この画分をロータリーエバポレーターで濃縮乾固した後、エタノールに溶解し、分取用液体クロマトグラフィを用いてポモル酸を精製することが記載してある。
このように、ポモル酸等のトリテルペノイドを利用するには、カキ果皮などからの抽出工程が必要となる。通常、トリテルペノイドは脂溶性であることから、有機溶媒の大量使用が必要であると考えられている。当該トリテルペノイドを、例えば医薬品の形態で使用したり、飲食品の態様で使用したりする場合、安全性やコスト面から、アセトンやエタノールといった有機溶剤の使用量をできるだけ抑制することが望まれる。
一方、β−カロテンなどのカロテノイドは、植物などに含まれる天然色素である。当該カロテノイドは、黄色ないし赤色の色素(カロテノイド色素)で、多数の共役二重結合を含む脂肪族または脂環式のポリエン類を総称するものである。
カキ果皮などのように、トリテルペノイドおよびカロテノイドを共に含有する植物由来原料の場合、上述した有機溶剤を使用した抽出ではトリテルペノイドおよびカロテノイドの分離が難しく、トリテルペノイドにカロテノイドが混入した状態で抽出されてしまうという問題点があった。
用途によってトリテルペノイドのみを抽出したい場合は、トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する必要がある。このとき、不要なカロテノイドを、特殊な吸着剤等を使用してこれらを分離する分離工程が必要となるため煩雑であり、コストも嵩むこととなる。
従って、本発明の目的は、できるだけ有機溶剤の使用量を抑制できるトリテルペノイドの抽出方法、および、簡便にトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るトリテルペノイドの抽出方法の第一特徴構成は、トリテルペノイドを含む植物由来原料に対して、少なくとも水、および、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有する抽出液を添加する工程を含む点にある。
本構成によれば、抽出液にはエタノール等のアルコールが含まれない場合は(有機溶剤0%)、有機溶剤を使用しないトリテルペノイドの抽出方法とすることができる。そのため、抽出したトリテルペノイドを、例えば医薬品の形態で使用したり、飲食品の態様で使用したりする場合、特に安全性やコスト面で優れた態様で使用することができる。
本発明に係るトリテルペノイドの抽出方法の第二特徴構成は、前記水酸化物を、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの少なくとも何れか一方とした点にある。
本構成によれば、水酸化物のうち、水酸化ナトリウム(NaOH)および水酸化カリウム(KOH)を使用するのが、入手の容易さやコスト的にも優れている。
本発明に係るトリテルペノイドの抽出方法の第三特徴構成は、前記水酸化ナトリウムの濃度を0.2〜5%とした点にある。
本構成によれば、後述の実施例1で示すように、水酸化ナトリウム濃度を0.2〜5%であれば、トリテルペノイドを効率よく抽出することができる。
本発明に係るトリテルペノイドの抽出方法の第四特徴構成は、前記抽出液に、含水アルコールを含む点にある。
本構成によれば、抽出液に、水に他の溶媒として含水アルコールを混入させた場合、抽出液として、含水アルコールおよび水酸化ナトリウムを使用することとなる。後述の実施例で示すように、含水アルコール(含水エタノール)の濃度は低く抑制できるため、有機溶剤の使用量を抑制できるトリテルペノイドの抽出方法とすることができる。そのため、抽出したトリテルペノイドを、例えば医薬品の形態で使用したり、飲食品の態様で使用したりする場合、安全性やコスト面で優れた態様で使用することができる。
また、抽出液に、エタノール等の含水アルコールを含む場合、入手の容易な含水アルコールを使用することができる。
本発明に係るトリテルペノイドの抽出方法の第五特徴構成は、前記含水アルコールのアルコール量を30%以下とした点にある。
本構成によれば、後述の実施例2,3で示すように、抽出液に含まれる含水アルコールの濃度は30%以下であるため、有機溶剤の使用量を抑制できるトリテルペノイドの抽出方法とすることができる。そのため、抽出したトリテルペノイドを、例えば医薬品の形態で使用したり、飲食品の態様で使用したりする場合、安全性やコスト面で優れた態様で使用することができる。
本発明に係るトリテルペノイドの抽出方法の第六特徴構成は、前記植物由来原料を、カキ、リンゴ、ナシ、ブドウからなる群から選択される少なくとも1つの果物の果皮とした点にある。
本構成によれば、植物由来原料を、カキ、リンゴ、ナシ、ブドウといった果物の果皮とすることができる。これら果物は、一般に果実のみを利用することが多い。この場合、果実のみを利用した後、利用されなかった果皮は殆どが破棄されている。しかし、これら果物の果皮を本発明に係るトリテルペノイドの抽出方法の植物由来原料とすることで、これら果物の果皮を有効利用することができる。
本発明に係るトリテルペノイドの抽出方法の第七特徴構成は、前記トリテルペノイドが、ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸およびベツリン酸からなる群から選択される少なくとも1つとした点にある。
本構成によれば、主要なトリテルペノイドを抽出することができる有用なトリテルペノイドの抽出方法とすることができる。
本発明に係るトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法の第一特徴構成は、トリテルペノイドおよびカロテノイドを含む植物由来原料に対して、含水アルコール、および、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有する抽出液を添加する工程を有する点にある。
本構成によれば、トリテルペノイドおよびカロテノイドを含む植物由来原料に対して、抽出液として、含水アルコールおよび第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を使用することで、従来必要とされていたトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する特殊な分離工程を行うことなく、トリテルペノイドおよびカロテノイドを簡便に分離することができる。
本発明に係るトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法の第二特徴構成は、前記水酸化物を、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの少なくとも何れか一方とした点にある。
本構成によれば、水酸化物のうち、水酸化ナトリウム(NaOH)および水酸化カリウム(KOH)を使用するのが、入手の容易さやコスト的にも優れている。
本発明に係るトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法の第三特徴構成は、前記水酸化ナトリウム濃度を0.5〜1.0%とし、前記含水アルコールを30〜60%とした点にある。
本構成によれば、後述の実施例5で示すように、水酸化ナトリウム濃度が0.5〜1.0%であり、含水アルコールが30〜60%であれば、トリテルペノイドおよびカロテノイドを効率よく分離することができる。
本発明に係るトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法の第四特徴構成は、前記植物由来原料を、カキ、リンゴ、ナシ、ブドウからなる群から選択される少なくとも1つの果物の果皮とした点にある。
本構成によれば、植物由来原料を、カキ、リンゴ、ナシ、ブドウといった果物の果皮とすることができる。これら果物は、一般に果実のみを利用することが多い。この場合、果実のみを利用した後、利用されなかった果皮は殆どが破棄されている。しかし、これら果物の果皮を本発明に係るトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法の植物由来原料とすることで、これら果物の果皮を有効利用することができる。
本発明に係るトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法の第五特徴構成は、前記トリテルペノイドを、ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸およびベツリン酸からなる群から選択される少なくとも1つとした点にある。
本構成によれば、主要なトリテルペノイドを抽出することができる有用なトリテルペノイドからカロテノイドを分離することができる。
乾燥カキ果皮に対して、抽出液(含水エタノール25%、水酸化ナトリウム0.1〜5%)によって抽出されたトリテルペノイド(ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸)濃度をHPLCで測定した結果を示すグラフである。 乾燥カキ果皮に対して、抽出液(含水エタノール0〜25%、水酸化ナトリウム1%)によって抽出された3種類のトリテルペノイドの抽出率を調べた結果を示したグラフである。 乾燥カキ果皮に対して、水酸化ナトリウム添加の有無によって、含水エタノール濃度を種々変化(20〜90%)させた場合における3種類のトリテルペノイドの抽出率の変化について調べた結果を示したグラフである。 水酸化ナトリウム添加の有無、および、含水エタノール濃度を種々変化(10〜90%)させた場合におけるカロテノイド(β−カロテン)抽出率の変化について調べた結果を示したグラフである。 β−カロテン濃度をHPLCで測定した結果を示した図である。 水酸化ナトリウム1%とし、含水エタノール濃度を20〜90%まで変化させた場合におけるトリテルペノイドの抽出率の変化(実施例3:図3)と、含水エタノール濃度を20〜90%まで変化させた場合におけるβ−カロテンの抽出率の変化(実施例4:図4)を組み合わせたグラフを示したグラフである。 ナシ果皮からトリテルペノイドの抽出率を調べた結果を示したグラフである。 ブドウ果皮からトリテルペノイドの抽出率を調べた結果を示したグラフである。 リンゴ果皮からトリテルペノイドの抽出率を調べた結果を示したグラフである。 β−カロテン濃度をHPLCで測定した結果を示した図である(ナシ果皮)。 β−カロテン濃度をHPLCで測定した結果を示した図である(ブドウ果皮)。 β−カロテン濃度をHPLCで測定した結果を示した図である(リンゴ果皮)。 乾燥カキ果皮に対して、抽出液(含水エタノール25%、水酸化カリウム0.1〜5%)によって抽出されたトリテルペノイド(ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸)濃度をHPLCで測定した結果を示すグラフである。 乾燥カキ果皮に対して、抽出液(含水エタノール30〜60%、水酸化カリウム1%)によって抽出された3種類のトリテルペノイドの抽出率を調べた結果を示したグラフである。 β−カロテン濃度をHPLCで測定した結果を示した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、トリテルペノイドを含む植物由来原料に対して、少なくとも水、および、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有する抽出液を添加する工程を含む、トリテルペノイドを抽出する方法である。
本発明で抽出するトリテルペノイドは、ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸およびベツリン酸からなる群から選択される少なくとも1つである。ポモル酸は下記の式(I)、オレアノール酸は下記の式(II)、ウルソール酸は下記の式(III)およびベツリン酸(下記の式(IV))で示される。トリテルペノイドは、これらに限らず、コロソリン酸、ヘデラゲニン、マスリン酸、エキノシスト酸、ボスウェリン酸などなど、他のトリテルペノイドであってもい。
Figure 2017210443
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トリテルペノイドを含む植物由来原料とは、例えばカキ、リンゴ、ナシ、ブドウ等の果物の果皮が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、トリテルペノイドを含むことが知られている他の果実の果皮であれば使用できる。カキ、リンゴ、ナシ、ブドウの品種は特に限定されるものではない。
カキは、例えば甘柿である富有、次郎、西村早生等が挙げられ、渋柿である平核無柿(ひらたねなしがき)、刀根早生等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
リンゴは、津軽、ふじ、ジョナゴールド、王林、世界一、北斗、シナノレッド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ナシは、幸水、豊水、二十世紀、ゴールド二十世紀、新高梨、新興梨、愛宕梨等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ブドウは、巨峰、ロザリオビアンコ、ピオーネ、ナガノパープル、ベリーA、デラウェア、甲斐路、マスカットアレキサンドリア、シャインマスカット、レッドグローブ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のトリテルペノイドを抽出する方法で使用する抽出液は、少なくとも水、および、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有する。
「少なくとも水」とは、水以外の溶媒や溶質を含まないもの、および、水に他の溶媒や溶質を混入させたものをいう。
本明細書で使用する水は、適当な公知のフィルターで濾過した水であってもよいし、不純物を含まないか殆ど含まない純度の高い純水、逆浸透膜を通過させたRO水、イオン交換膜等によってイオンを除去した脱イオン水、蒸留器で蒸留した蒸留水などが利用できるが、これらに限定されるものではない。
水に他の溶媒を混入させる場合、他の溶媒はエタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコールとするのがよい。当該アルコールは水にアルコールを特定の比率で混合させた含水アルコールとするのがよい。この場合、抽出液は「少なくとも水」として含水アルコールを含むこととなる。本実施形態では他の溶媒のみを混入させた場合について説明し、当該溶媒としては、アルコールとしてエタノールを使用する場合について説明する。
また、本発明のトリテルペノイドを抽出する方法で使用する抽出液は、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有するように構成すればよい。
第1族元素の水酸化物は、周期表において第1族に属する水素以外の元素であるリチウムLi、ナトリウムNa、カリウムK、ルビジウムRb、セシウムCs、フランシウムFrが挙げられる。これらのうち、ナトリウムの水酸化物(水酸化ナトリウム:NaOH)およびカリウムの水酸化物(水酸化カリウム:KOH)が好ましい。
第2族元素の水酸化物は、周期表において第2族に属する例えばマグネシウムMg,カルシウムCa,ストロンチウムSr,バリウムBa,ラジウムRaが挙げられる。これらのうち、マグネシウム或いはカルシウムの水酸化物が好ましい。
例えば工業的には、上記水酸化物のうち、水酸化ナトリウム(NaOH)および水酸化カリウム(KOH)を使用するのが、入手の容易さやコスト的にも優れている。本実施形態では、水酸化ナトリウム(NaOH)を使用する場合について説明する。
抽出液に、水および水酸化ナトリウムを使用する場合、後述の実施例で示すように、水酸化ナトリウム濃度は0.2〜5%とするのがよく、好ましくは0.5〜5%とするのがよい。
この場合、抽出液にはエタノール等のアルコールは含まれない(有機溶剤0%)ため、有機溶剤を使用しないトリテルペノイドの抽出方法とすることができる。そのため、抽出したトリテルペノイドを、例えば医薬品の形態で使用したり、飲食品の態様で使用したりする場合、特に安全性やコスト面で優れた態様で使用することができる。
抽出液に水酸化ナトリウムを使用することで、トリテルペノイドが有するカルボキシ基の親水性が上昇する。また、トリテルペノイドが有する水酸基の水素が離脱して水溶性が向上する。そのため、本発明のトリテルペノイドを抽出する方法で使用する抽出液を使用することで、トリテルペノイドの抽出率が向上すると考えられる。
また、抽出液に、水に他の溶媒として含水アルコールを混入させた場合、抽出液として、含水エタノールおよび水酸化ナトリウムを使用することとなる。後述の実施例で示すように、含水アルコール(含水エタノール)の濃度は30%以下とするのがよい。
この場合、抽出液に含まれる含水アルコールの濃度は30%以下であるため、有機溶剤の使用量を抑制できるトリテルペノイドの抽出方法とすることができる。そのため、抽出したトリテルペノイドを、例えば医薬品の形態で使用したり、飲食品の態様で使用したりする場合、安全性やコスト面で優れた態様で使用することができる。
尚、後述の実施例で示すように、抽出液に含まれる含水アルコールの濃度は30%以上(例えば40〜100%)であってもトリテルペノイドは抽出できる。しかし、本発明では、できるだけ有機溶剤の使用量を抑制できるトリテルペノイドの抽出方法を実現するため、本発明者らは、抽出液の条件を鋭意検討し、含水アルコールの濃度を30%以下としたものである。
本発明のトリテルペノイドを抽出する方法では、トリテルペノイドを含む植物由来原料に対して上述した抽出液を添加し、室温付近の温度で数時間振盪して抽出液を得る。当該抽出液には、上述したトリテルペノイドが含有されているため、所望のトリテルペノイドを得るには、公知の手法で精製する精製工程を行えばよい。
上述したように、トリテルペノイドを含む植物由来原料として、例えばカキ、リンゴ、ナシ、ブドウ等の果物の果皮を例示した。これらの果皮には、β−カロテンなどのカロテノイド(黄色ないし赤色のカロテノイド色素)が含まれることが知られている。
カキ果皮などのように、トリテルペノイドおよびカロテノイドを共に含有する植物由来原料の場合、上述した有機溶剤ではトリテルペノイドおよびカロテノイドの分離が難しい。そのため、従来、不要なカロテノイドを、吸着剤等を使用してトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する特殊な分離工程を行っていた。
本発明のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法では、トリテルペノイドおよびカロテノイドを含む植物由来原料に対して、含水アルコール、および、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有する抽出液を添加する工程を有する。
含水アルコールは、水にエタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコールを混合したものである。本実施形態ではエタノールを使用する場合について説明する。
第1族元素については、上述したように、リチウムLi、ナトリウムNa、カリウムK、ルビジウムRb、セシウムCs、フランシウムFrが挙げられる。これらのうち、ナトリウムの水酸化物(水酸化ナトリウム:NaOH)およびカリウムの水酸化物(水酸化カリウム:KOH)が好ましい。
第2族元素の水酸化物については、上述したように、例えばマグネシウムMg,カルシウムCa,ストロンチウムSr,バリウムBa,ラジウムRaが挙げられる。これらのうち、マグネシウム或いはカルシウムの水酸化物が好ましい。
本実施形態では、上記水酸化物については、水酸化ナトリウムを使用する場合について説明する。
本発明のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法では、抽出液として、含水アルコール(含水エタノール)および水酸化ナトリウムを使用することとなる。後述の実施例で示すように、水酸化ナトリウム濃度は0.5〜1.0%とするのがよく、含水アルコール(含水エタノール)の濃度は30〜60%、好ましくは30〜50%とするのがよい。
トリテルペノイドおよびカロテノイドを含む植物由来原料は、カキ、リンゴ、ナシ、ブドウからなる群から選択される少なくとも1つの果物の果皮である。
本発明のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法では、抽出液として、含水アルコールおよび水酸化ナトリウムを使用することで、従来必要とされていたトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する特殊な分離工程を行うことなく、トリテルペノイドおよびカロテノイドを簡便に分離することができる。
尚、トリテルペノイドおよびカロテノイドの分離は、カロテノイドを完全に含まないように分離するのが望ましいが、工業的にはカロテノイドを1%程度まで含む場合であっても実用的には許容される場合がある。
〔実施例1〕
平核無柿の凍結乾燥カキ果皮1gに対して抽出液10mLを加えて25℃、3時間振とう抽出し、抽出液中の3種類のトリテルペノイド(ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸)濃度をHPLCで測定した。当該抽出液は、含水エタノール25%、および、水酸化ナトリウム0.1〜5%(w/v)まで種々変更したものを使用した(pH約13)。
尚、HPLCの条件は、濾過した抽出液を1mL採取して塩酸で中和後、水とジエチルエーテルを加えて、分液操作により、トリテルペノイドとカロテノイドをエーテル層に溶解し全量回収した。乾固後、抽出物をエタノール1mLに溶解して濾過した後、HPLC試料とした。分析条件はカラム:C30カラム(YMC、150mm×4.6mm、粒径3μm)、カラム温度:37℃、移動相:水:アセトニトリル=1:4(0.1%酢酸添加)、検出波長:200nmとした。
結果を図1に示した。縦軸の濃度比(%)は、無水エタノールで抽出した場合のトリテルペノイドの抽出液中濃度を100%とした場合に対する、各トリテルペノイドの濃度比を示した。この結果、3種類の各トリテルペノイドは、水酸化ナトリウム0.2%で抽出され、0.5%程度で3種類の各トリテルペノイドの濃度は最大となると認められた。水酸化ナトリウム0.5%から5%までは、略同じ抽出量であると認められた。
具体的には、ポモル酸は、水酸化ナトリウム0.2%で濃度比約20%、水酸化ナトリウム0.5%で濃度比約87%であった。オレアノール酸は、水酸化ナトリウム0.2%で濃度比約10%、水酸化ナトリウム0.5%で濃度比約75%であった。ウルソール酸は、水酸化ナトリウム0.2%で濃度比約5%、水酸化ナトリウム0.5%で濃度比約73%であった。
従って、水酸化ナトリウム濃度は、0.2〜5%とするのがよく、好ましくは0.5〜5%とするのがよいことが判明した。
〔実施例2〕
実施例1で使用した乾燥カキ果皮に対して、抽出液10mLを加えて25℃、3時間振とう抽出し、抽出液中の3種類のトリテルペノイド(ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸)濃度をHPLCで測定した。当該抽出液は、含水エタノール0〜25%まで種々変更したものを使用し、水酸化ナトリウムは1%とした。HPLCの条件は実施例1に準じて行った。比較例として100%エタノールで抽出した場合の結果も示した。
結果を図2に示した。縦軸の抽出率(%)は、100%エタノール(水酸化ナトリウムは未添加)で抽出した場合のトリテルペノイドの抽出率を100%とした場合に対する、各トリテルペノイドの抽出率を示した。この結果、含水エタノール0〜25%までの低濃度エタノールの場合であっても、3種類の各トリテルペノイドは抽出できると認められた。
具体的には、含水エタノール0%(アルコール0%)の場合は、ポモル酸の抽出率は32%、オレアノール酸は21%、ウルソール酸は20%であった。従って、本発明のトリテルペノイドを抽出する方法では、抽出液に水酸化ナトリウムを添加し、エタノール等のアルコールを含まない(アルコール0%)場合であっても、トリテルペノイドを抽出することができる方法であると認められた。
また、ポモル酸は含水エタノール5〜25%において抽出率は55〜90%であった。オレアノール酸は含水エタノール5〜25%において抽出率は41〜78%であった。さらに、ウルソール酸は含水エタノール5〜25%において抽出率は38〜75%であった。従って、本発明のトリテルペノイドを抽出する方法では、水酸化ナトリウムを添加し、低濃度エタノール(含水エタノール5〜25%)の場合であっても、トリテルペノイドは抽出できるため、有機溶剤の使用量を抑制できるトリテルペノイドの抽出方法であると認められた。
〔実施例3〕
水酸化ナトリウム添加の有無によって、含水エタノール濃度を種々変化させた場合におけるトリテルペノイドの抽出率の変化について調べた。水酸化ナトリウムは1%とした。含水エタノール濃度は20〜90%まで変化させ、100%エタノールで抽出した場合と比較した。
実施例1で使用した乾燥カキ果皮に対して、抽出液10mLを加えて25℃、3時間振とう抽出し、抽出液中の3種類のトリテルペノイド(ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸)濃度をHPLCで測定した。HPLCの条件は実施例1に準じて行った。
結果を図3に示した。縦軸の抽出率(%)は、100%エタノールで抽出した場合のトリテルペノイドの抽出率を100%とした場合に対する、各トリテルペノイドの抽出率を示した。
この結果、水酸化ナトリウムを添加しない場合は、含水エタノール濃度20〜30%のときには各トリテルペノイドは抽出されないと認められた。このとき、含水エタノール濃度は40%以上とすれば各トリテルペノイドは抽出されると認められた(例えば含水エタノール濃度40%では、ポモル酸1.6%、オレアノール酸2.2%、ウルソール酸0.4%)。
一方、水酸化ナトリウムを添加した場合は、含水エタノール濃度20〜30%のときには、ポモル酸の抽出率は85.7〜92.0%であり、オレアノール酸の抽出率は57.3〜80.5%であり、ウルソール酸の抽出率は55.3〜79.8%であった。従って、従って、本発明のトリテルペノイドを抽出する方法では、水酸化ナトリウムを添加し、低濃度エタノール(含水エタノール濃度20〜30%)の場合であっても、トリテルペノイドは抽出できるため、実施例2の結果(含水エタノール5〜25%)と合せれば、有機溶剤の使用量を30%程度まで抑制できるトリテルペノイドの抽出方法であると認められた。
尚、水酸化ナトリウムを添加した場合、含水エタノール濃度が40〜90%まで高くなった場合であっても各トリテルペノイドは90%以上抽出されると認められた。
上述した実施例ではカキ果皮に対して行った結果を示したが、当該カキ果皮以外に、ナシ果皮、ブドウ果皮、リンゴ果皮を使用した場合であっても同様の結果が得られた(結果は示さない)。
〔実施例4〕
トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離するため、以下の実験を行った。
水酸化ナトリウム添加の有無、および、含水エタノール濃度を種々変化させた場合におけるカロテノイド(β−カロテン)抽出率の変化について調べた。水酸化ナトリウムは1%とした。含水エタノール濃度は10〜90%まで変化させ、100%エタノールで抽出した場合と比較した。実施例1で使用した乾燥カキ果皮に対して、抽出液10mLを加えて25℃、3時間振とう抽出し、抽出液中のβ−カロテン濃度をHPLCで測定した。HPLC試料は実施例1と同じ方法で調製した。HPLC分析条件は以下のようにして行った。
カラム:C30カラム(YMC、250mm×4.6mm、粒径5μm)、カラム温度:35℃、移動相A:メタノール:t−メチルブチルエーテル:水=81:15:4(1%酢酸アンモニウム添加)、移動相B:メタノール:t−ブチルメチルエーテル=1:9(1%酢酸アンモニウム添加)、グラジエント条件:0分(B:0%)→45分(B:75%)→45.5分(B:100%)→55分に分析終了、あるいは、0分(B:0%)→10分(B:0%)→40分(B:50%)→50分(B:100%)→60分に分析終了、検出波長:450nm。
結果を図4,5に示した。図4の縦軸の抽出率(%)は、100%エタノールで抽出した場合のβ−カロテンの抽出率を100%とした場合に対する、β−カロテンの抽出率を示した。図5はHPLCの結果を示した(矢印がβ−カロテンのピークを示す:矢印部分には保持時間/ピーク面積値が記載してある)。その結果、水酸化ナトリウムを添加した場合、含水エタノール濃度30〜50%において、β−カロテンは全く検出されないと認められた。
尚、工業的或いは用途によっては、カロテノイドを1%程度まで含む場合であっても実用的には許容される場合がある。この場合、図4の結果から、含水エタノールの濃度を60%(β−カロテンの抽出率0.10%)、即ち含水エタノールの濃度を30〜60%とすることができる。
一方、含水エタノール濃度20%および70%では、β−カロテンの抽出率は何れも1%以上となっており、β−カロテンの許容範囲外であると認められた。
実施例3の図3で示したように、水酸化ナトリウムは1%とし、含水エタノール濃度を20〜90%まで変化させた場合におけるトリテルペノイドの抽出率の変化と、本実施例4の含水エタノール濃度を20〜90%まで変化させた場合におけるβ−カロテンの抽出率の変化を組み合わせたグラフを図6に示した。
これより、本発明のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法では、抽出液として、含水アルコール(30〜60%)および水酸化ナトリウムを使用することで、従来必要とされていたトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する特殊な分離工程を行うことなく、トリテルペノイドおよびカロテノイドを簡便に分離することができると認められた。
〔実施例5〕
本発明のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法において、水酸化ナトリウムおよび含水アルコールの濃度を種々変更した場合におけるβ−カロテンの抽出率について調べた。水酸化ナトリウム濃度は0〜1%まで、含水アルコール濃度は20〜90%まで変更した。結果を表1に示した。抽出率(%)は、100%エタノールで抽出した場合のβ−カロテンの抽出液中濃度を100とした場合に対する、β−カロテンの抽出率を示した。
Figure 2017210443



この結果、水酸化ナトリウム濃度が0.5〜1.0%であり、含水アルコールが、30〜60%、好ましくは30〜50%である場合に、β−カロテンの抽出率が0〜1%程度であり、この抽出液の条件であれば工業的(実用的)には許容されるものを認められた。
〔実施例6〕
上述した実施例では、植物由来原料として、平核無柿の乾燥カキ果皮を使用した場合について説明した。本実施例では、当該カキ果皮以外に、ナシ果皮(幸水ナシ)、ブドウ果皮(巨峰)、リンゴ果皮(サン津軽リンゴ)を使用し、これらに対して本発明のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法が有効であるかどうかを調べた。
抽出液として、水酸化ナトリウム1%および50%エタノールとしたものを使用した。凍結乾燥した上記3種類の各果皮1gに対して当該抽出液10mLを加えて25℃、3時間振とう抽出し、抽出液中の4種類のトリテルペノイド(ポモル酸、ベツリン酸、オレアノール酸、ウルソール酸)濃度をHPLCで測定した。HPLCの条件は実施例1に準じて行った。
4種類のトリテルペノイドの抽出結果を図7〜9(図7:ナシ果皮、図8:ブドウ果皮、図9:リンゴ果皮)に示した。縦軸の濃度比(%)は、100%エタノールで抽出した場合のトリテルペノイドの抽出率を100%とした場合に対する、各トリテルペノイドの濃度率を示した。
この結果、図7のナシ果皮の結果では、ポモル酸、ベツリン酸、オレアノール酸、ウルソール酸の4種類のトリテルペノイドが80%以上抽出できたと認められた。また、図8のブドウ果皮の結果ではオレアノール酸の1種類のトリテルペノイドが95%以上抽出できたと認められた(ブドウ果皮はトリテルペノイドとしてオレアノール酸しか含有していないと考えられた)。さらに、図9のリンゴ果皮の結果では、ポモル酸、ベツリン酸、オレアノール酸、ウルソール酸の3種類のトリテルペノイドが70%以上抽出できたと認められた。
また、図10〜12には、β−カロテン濃度をHPLCで測定した結果を示した図である(図10:ナシ果皮、図11:ブドウ果皮、図12:リンゴ果皮)。HPLCの条件は実施例1に準じて行った。図10〜12の各上段のデータは、100%エタノールで抽出した場合のβ−カロテンの抽出結果を示した(矢印がβ−カロテンのピークを示す:矢印部分には保持時間/ピーク面積値が記載してある)。図10〜12の各下段のデータは、抽出液として、水酸化ナトリウム1%および50%エタノールとしたものを使用したときのβ−カロテンの抽出結果を示した。
この結果、100%エタノールで抽出した場合は全てβ−カロテンが抽出されたと認められたが(図10〜12の各上段のデータ)、抽出液として、水酸化ナトリウム1%および50%エタノールとしたものを使用したときには、β−カロテンは抽出されないものと認められた(図10〜12の各下段のデータ)。
従って、植物由来原料として、カキ果皮以外の果物の果皮においても、トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法について有効であると認められた。
〔実施例7〕
上述した実施例では、抽出液は、含水エタノール25%、および、水酸化ナトリウム0.1〜5%まで種々変更したものを使用した。本実施例では、水酸化ナトリウムに替えて、水酸化カリウムを使用した場合の結果について説明する。
平核無柿の凍結乾燥カキ果皮1gに対して抽出液10mLを加えて25℃、3時間振とう抽出し、抽出液中の3種類のトリテルペノイド(ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸)濃度をHPLCで測定した。当該抽出液は、含水エタノール25%、および、水酸化カリウム0.1〜5%(w/v)まで種々変更したものを使用した。HPLCの条件は、実施例1に記載の方法に準じて行った。
結果を図13に示した。縦軸の濃度比(%)は、無水エタノールで抽出した場合のトリテルペノイドの抽出液中濃度を100%とした場合に対する、各トリテルペノイドの濃度比を示した。この結果、3種類の各トリテルペノイドは、水酸化カリウム0.5%で抽出され、0.9%程度で3種類の各トリテルペノイドの濃度は最大となると認められた。
具体的には、ポモル酸は、水酸化カリウム0.5%で濃度比約58%、水酸化カリウム0.9%で濃度比約95%、水酸化カリウム5%で濃度比約85%であった。
オレアノール酸は、水酸化カリウム0.5%で濃度比約40%、水酸化カリウム0.9%で濃度比約85%、水酸化カリウム5%で濃度比約78%であった。
ウルソール酸は、水酸化カリウム0.5%で濃度比約23%、水酸化カリウム0.9%で濃度比約82%、水酸化カリウム5%で濃度比約75%であった。
従って、水酸化カリウム濃度は、0.5〜5%とするのがよく、好ましくは0.5〜0.9%とするのがよいことが判明した。
各トリテルペノイドの濃度が最大となるまでは、水酸化カリウムの濃度(モル濃度)に依存していると考えられた。尚、水酸化カリウムの場合、0.1%=0.0178Mであり、水酸化ナトリウムの場合、0.1%=0.025Mである。
〔実施例8〕
実施例7で使用した乾燥カキ果皮に対して、トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離するため、以下の実験を行った。抽出液10mLを加えて25℃、3時間振とう抽出し、抽出液中の3種類のトリテルペノイド(ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸)濃度をHPLCで測定した。当該抽出液は、含水エタノール30〜60%まで種々変更したものを使用し、水酸化カリウムは1%とした。HPLCの条件は実施例1に準じて行った。
結果を図14に示した。縦軸の抽出率(%)は、100%エタノール(水酸化カリウムは未添加)で抽出した場合のトリテルペノイドの抽出率を100%とした場合に対する、各トリテルペノイドの抽出率を示した。この結果、含水エタノール30〜60%までのエタノールの場合、3種類の各トリテルペノイドは約80〜100(78.5〜104.3)%抽出できると認められた。
抽出液中のβ−カロテン濃度をHPLCで測定した。HPLCの条件は実施例4に準じて行った。図15にHPLCの結果を示した(矢印がβ−カロテンのピークを示す)。その結果、水酸化カリウムを添加した場合、含水エタノール濃度40〜50%において、β−カロテンは全く検出されないと認められた。
尚、上述したように、工業的にはカロテノイドを1%程度まで含む場合であっても実用的には許容される場合がある。図15の結果における含水エタノール濃度30および60%において、β−カロテン抽出率はそれぞれ0.04%、0.12%となった。
そのため、水酸化カリウムを添加した場合、含水エタノールの濃度を30〜60%とすることができる。
尚、水酸化カリウムは0.7〜5%(0.125〜0.89M)、好ましくは0.7〜1%の範囲であれば、同様の結果が得られた(結果は示さない)。
本発明は、トリテルペノイドおよびカロテノイドを含む植物由来原料に対して、トリテルペノイドを抽出する方法、および、トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法に利用できる。

Claims (12)

  1. トリテルペノイドを含む植物由来原料に対して、少なくとも水、および、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有する抽出液を添加する工程を含む、トリテルペノイドの抽出方法。
  2. 前記水酸化物が、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの少なくとも何れか一方である請求項1に記載のトリテルペノイドの抽出方法。
  3. 前記水酸化ナトリウムの濃度が0.2〜5%である請求項2に記載のトリテルペノイドの抽出方法。
  4. 前記抽出液に、含水アルコールを含む請求項1〜3の何れか一項に記載のトリテルペノイドの抽出方法。
  5. 前記含水アルコールのアルコール量を30%以下とした請求項4に記載のトリテルペノイドの抽出方法。
  6. 前記植物由来原料が、カキ、リンゴ、ナシ、ブドウからなる群から選択される少なくとも1つの果物の果皮である請求項1〜5の何れか一項に記載のトリテルペノイドの抽出方法。
  7. 前記トリテルペノイドが、ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸およびベツリン酸からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1〜6の何れか一項に記載のトリテルペノイドの抽出方法。
  8. トリテルペノイドおよびカロテノイドを含む植物由来原料に対して、
    含水アルコール、および、第1族元素或いは第2族元素の水酸化物の何れか一方を含有する抽出液を添加する工程を有することにより、トリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法。
  9. 前記水酸化物が、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの少なくとも何れか一方である請求項8に記載のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法。
  10. 前記水酸化ナトリウム濃度が0.5〜1.0%であり、前記含水アルコールが、30〜60%である請求項9に記載のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法。
  11. 前記植物由来原料が、カキ、リンゴ、ナシ、ブドウからなる群から選択される少なくとも1つの果物の果皮である請求項8〜10の何れか一項に記載のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法。
  12. 前記トリテルペノイドが、ポモル酸、オレアノール酸、ウルソール酸およびベツリン酸からなる群から選択される少なくとも1つである請求項8〜11の何れか一項に記載のトリテルペノイドおよびカロテノイドを分離する方法。
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