JP7276745B2 - リンゴ由来トリテルペノイド含有組成物製造方法、ウルソール酸製造方法、およびオレアノール酸製造方法 - Google Patents
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Description
<A1> 品種「千雪」、 <A2> 品種「かおり」、 <A3> 野生種「マルス・コロナリア」
<T> ウルソール酸、オレアノール酸
〔2〕 前記リンゴが、収穫適期3ヶ月前から収穫直前までの未熟果、収穫果、または収穫後1ヶ月までの冷蔵果のいずれかであることを特徴とする、〔1〕に記載のリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物製造方法。
〔3〕 前記リンゴが有袋栽培の果実であることを特徴とする、〔1〕、{2〕のいずれかに記載のリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物製造方法。
<A1> 品種「千雪」、 <A2> 品種「かおり」
〔5〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕のいずれかに記載の製造方法によって得られるリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物を、分離精製過程に供し、オレアノール酸を得ることを特徴とする、オレアノール酸製造方法。
本発明のリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物製造方法は、下記<A1>、<A2>、<A3>のいずれかのリンゴ果実の果皮を用い、これを、該果皮の脂質を抽出する脂質抽出過程に供することによりリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物を得る方法であって、該トリテルペノイドとして下記<T>記載の少なくともいずれかを含有する組成物を得ることを、主たる構成とする。
<A1> 品種「千雪」、 <A2> 品種「かおり」、 <A3> 野生種「マルス・コロナリア」
<T> ウルソール酸、オレアノール酸
つまり、千雪、かおり、またはマルス・コロナリアのいずれか一つ以上を原料とし、ウルソール酸またはオレアノール酸の一方または双方を含有する組成物を得る製造方法である。
<1> 美容・健康向け形質の品種間差の検討
美容・健康向け形質として果皮におけるウルソール酸およびオレアノール酸含量に着目し、複数年次に亘って品種間差を検討した。
<1-1> 平成27年収穫果における品種間差
(1)試験用果実サンプル
平成27年に地方独立行政法人青森県産業技術センターりんご研究所において収穫され、冷蔵保存された果実19品種について、各3果を用いた。試験した品種は下記の通りである。
つがる、さんさ、金星、シナノスィート、星の金貨、シナノゴールド、東光、デリシャス、あおり24、紅玉、あおり25、ジョナゴールド、千雪(あおり27)、王林、印度、春明21(あおり21)、かおり、グラニースミス、国光
No.6のコルクボーラー(半径6mm)で1果から20枚(5枚/1方向×4方向)サンプリング(総面積:0.6×0.6×3.14×20=22.6cm2)して、チャック付袋に入れて-80℃で保存した。
(3)果皮脂質抽出
抽出液として100%エタノールを使用した。抽出方法は次の通りである。
60ml抽出液に果皮ディスク20枚を浸漬し、室温で一晩静置した。ガラスろ過器を用いてろ液を回収し、エバポレーターで溶媒除去し、最終的にメタノール10mlに溶解した。
サンプル1ml分を14,000rpm×10分間遠心分離し、上清300μlにメタノール600μlを加えて、HPLC分析に供した。装置および条件は下記の通りである。
高速液体クロマトグラフィー:Waters, ACQUITY UPLC H-Class System
カラム:BEH130C18, 2.1x100mm,1.7μm
検出器:PDA 210nm(ウルソール酸、オレアノール酸)
移動相:MeOH(95):Water(5),分析時間5min
流速:0.12ml/min
カラム温度:35℃
検量線:調製した混合液(UA(ウルソール酸):50-400 OA(オレアノール酸):25-200(ng/μl))
図1は、リンゴ品種ごとの果皮ウルソール酸量測定結果を示すグラフである。また、図2は、リンゴ品種ごとの果皮オレアノール酸量測定結果を示すグラフである。各図に示すように、果皮におけるウルソール酸およびオレアノール酸含有量は、品種によって相違することが明らかとなった。この中で、千雪、かおりはともに、ウルソール酸およびオレアノール酸の含有量が高い結果であった。
品種数を増やし、また果皮脂質抽出方法を変えて試験した。
(1)試験用果実サンプル
平成28年収穫果36品種、および2野生種について、各3果を用いた。試験した品種および野生種は下記の通りである。
品種:つがる、さんさ、花祝、あかね、ウースターペアメン、夏緑、恋空(あおり16)、北の幸、夏の紅、シナノレッド、あおり26、トキ、彩香(あおり9)、紅将軍(早生ふじ)、星の金貨、シナノゴールド、東光、デリシャス、ニュージョナゴールド、あおり24、ジョナゴレッド、紅玉、あおり25、ジョナゴールド、ゴールデンデリシャス、千雪(あおり27)、王林、メロー、ふじ、印度、春明21(あおり21)、かおり、グラニースミス、国光、マヘ7、ゴールドファーム
野生種:マルス・コロナリア、マルス・プラテカルパ
なお、千雪(あおり27)は収穫時期の異なる果実も使用した。また、収穫後に軟性やけ防止処理(10℃の短期保管後、冷蔵)したものも加えた。
上記<1-1>と同様に行った。
(3)果皮脂質抽出
抽出液として、下記各試薬により、CM混合溶媒(クロロホルム2:メタノール1(v/v))を使用した。
メタノール(Wako 137-01823, JIS K8891)
クロロホルム(ナカライ, 08402-13)
抽出方法は次の通りである。
2mlのグリチルリチン酸(0.5mg/ml)を内部標準として添加した40ml抽出液に、果皮ディスク20枚を浸漬し、50回振り混ぜた後、100rpmで10分間旋回振とうし、室温で一晩静置した。ガラスろ過器を用いてろ液を回収(CM抽出液で容器壁等の洗浄した分も加えて、トータル60ml相当)し、エバポレーターで溶媒除去し、最終的にメタノールに溶解して20mlに定容した。
サンプル1ml分を15,000rpm×10分遠心分離し、上清800~900μlを液クロバイアルに回収して解析した。UA量が検量線の範囲を超えたサンプルについては1/2希釈して再分析した。装置および条件は下記の通りである。
高速液体クロマトグラフィー:Waters, ACQUITY UPLC H-Class System
カラム:BEH130C18,2.1x100mm,1.7μm
検出器:PDA 210nm(ウルソール酸、オレアノール酸),250nm(グリチルリチン酸)
移動相:MeOH(95):Water(5),分析時間5min
流速:0.12ml/min
カラム温度:35℃
検量線:調製した混合液(UA:50-400 OA:25-200, GA:12.5-100(ng/μl))
図3は、リンゴ品種・野生種ごとの果皮ウルソール酸量測定結果を示すグラフである(使用果実数は3果)。また、図4は、リンゴ品種・野生種ごとの果皮オレアノール酸量測定結果を示すグラフである(使用果実数は3果)。各図に示すように本試験でも、果皮におけるウルソール酸およびオレアノール酸含有量は、品種によって相違した。そして、千雪、かおりはともに、ウルソール酸およびオレアノール酸の含有量が高い結果であった。このように、2ヶ年に亘る試験において、同様の結果が得られた。
上述の平成28年収穫の千雪について、収穫時期および貯蔵管理による果皮ウルソール酸含量変化の有無について調べた。
図6は、収穫時期および貯蔵管理による千雪の果皮ウルソール酸含量を示すグラフである。なお図では、品種ふじ、および品種さんさの各ウルソール酸含量を参考に併記する。図示するように、千雪の収穫時期10月26日(10/26)の収穫果に対し、未熟果である8月1日(8/1)、10月6日(10/6)、10月17日(10/17)の各収穫果、および、収穫後の軟性やけ防止処理果、ならびに冷蔵1ヶ月の貯蔵果のいずれも、ウルソール酸含量に大きな差は認められなかった。
平成29年収穫果を用いて、栽培における袋かけの有無がウルソール酸含量およびオレアノール酸含量に影響するか否かについて試験した。
(1)試験用果実サンプル
平成29年収穫果、具体的には下記の4品種を用いた。
千雪、ふじ、陸奥、王林
袋かけ日:6月19-20日
袋剥ぎ(除袋)と未熟果のサンプリング:10月4日
収穫適期果のサンプリング:
千雪、陸奥:10月24日(除袋を第0日とした時の、除袋からの期間:21日間)
ふじ、王林:10月31日(同上期間:28日間)
<1> 10月4日の無袋果
<2> 10月4日の有袋果(ここで除袋したもの いわゆる「有袋」)
<3> 収穫適期の無袋果(成熟果)
<4> 収穫適期の除袋果(10月4日に除袋したもの いわゆる「有袋」)
<5> 収穫適期の有袋果(最後まで有袋のもの 暗所果)
なお、「収穫適期」は2日以上の期間に亘るものであり、またその年の気象によりずれが生じるが、本試験を行った平成29年は、千雪と陸奥は10月24日頃、ふじと王林は11月1日頃であり、上述の通り前者2品種は10月24日に、後者2品種は10月31日に収穫した。
上記<1-1>と同様に行った。
(3)果皮脂質抽出
上記<1-2>と同様に行った。
(4)HPLC分析)
上記<1-2>と同様に行った。
図7は、袋かけの有無による各品種の果皮ウルソール酸含量を示すグラフである。また図8は、袋かけの有無による各品種の果皮オレアノール酸含量を示すグラフである。各図中の略語等の意味は次の通りである。
10/4のsun:無袋果(未熟果)
10/4のdrk:有袋果(未熟果)
10/24(または31)の途中除袋:10/4に除袋したものの収穫適期果(成熟果)
10/24(または31)のsun:無袋果(成熟果)
10/24(または31)のdrk:除袋せず収穫適期まで袋のかかった状態の袋付き果(成熟果)
本研究により、下記の成果が得られた。
(1)リンゴ果皮におけるウルソール酸およびオレアノール酸含有量は、品種によって異なること。
(2)ウルソール酸含有量は約170~400μg/cm2であり、最も少ない品種と最も多い品種の差が2倍以上であること。
(3)青森県育成品種の中で、特に千雪とかおりにおいてウルソール酸およびオレアノール酸含量が高いこと。
(4)千雪など赤色の品種の果皮ウルソール酸含量は、無袋より有袋果で多いこと。
(5)野生種リンゴ(マルス・コロナリア)において、通常栽培されている各リンゴとは異なりオレアノール酸を極めて多く含むこと。
Claims (5)
- 下記<A1>、<A2>、<A3>のいずれかのリンゴ果実の果皮を用い、これを、
該果皮の脂質を抽出する脂質抽出過程に供することによりリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物を得る方法であって、
該トリテルペノイドとして下記<T>記載の少なくともいずれかを含有する組成物を得ることを特徴とする、リンゴ由来トリテルペノイド含有組成物製造方法。
<A1> 品種「千雪」、 <A2> 品種「かおり」、 <A3> 野生種「マルス・コロナリア」
<T> ウルソール酸、オレアノール酸 - 前記リンゴが、収穫適期3ヶ月前から収穫直前までの未熟果、収穫果、または収穫後1ヶ月までの冷蔵果のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物製造方法。
- 前記リンゴが有袋栽培の果実であることを特徴とする、請求項1、2のいずれかに記載のリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物製造方法。
- 原料としては下記<A1>または<A2>を用いる請求項1、2、3のいずれかに記載の製造方法によって得られるリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物を、分離精製過程に供し、ウルソール酸を得ることを特徴とする、ウルソール酸製造方法。
<A1> 品種「千雪」、 <A2> 品種「かおり」 - 請求項1、2、3のいずれかに記載の製造方法によって得られるリンゴ由来トリテルペノイド含有組成物を、分離精製過程に供し、オレアノール酸を得ることを特徴とする、オレアノール酸製造方法。
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