JP2017209090A - 異味マスキング剤、乳酸菌含有飲料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1) 乳酸菌含有飲料における乳酸菌由来の異味のマスキング剤であって、カルシウムおよび/またはマグネシウムを有効成分とする異味マスキング剤。
(2) 前記乳酸菌含有飲料における硬度が2〜200mg/Lとなるように用いられる、(1)に記載の異味マスキング剤。
(3) 実質的に乳由来成分および大豆由来成分を含有しない乳酸菌含有飲料に用いられる、(1)または(2)に記載の異味マスキング剤。
(4) 前記乳酸菌がエンテロコッカス・フェカリスである、(1)〜(3)のいずれかに記載の異味マスキング剤。
(5) 前記乳酸菌の含有量が1.0×108〜1.0×1011個/100gである乳酸菌含有飲料に用いられる、(1)〜(4)のいずれかに記載の異味マスキング剤。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の異味マスキング剤を含有する乳酸菌含有飲料。
(7) さらに0.001〜0.075質量%の酸味料を含有する(6)に記載の乳酸菌含有飲料。
(8) 前記酸味料がクエン酸および/または乳酸である(7)に記載の乳酸菌含有飲料。
(9) pHが2.0〜6.0である(6)〜(8)のいずれかに記載の乳酸菌含有飲料。
(10) さらにナトリウムを含有し、ナトリウム含有量(mg/100g)を硬度(mg/L)で除した値(ナトリウム含有量/硬度)が0.001〜1である(6)〜(9)のいずれかに記載の乳酸菌含有飲料。
(11) 乳酸菌含有飲料の製造方法であって、(1)〜(5)のいずれかに記載の異味マスキング剤を含有させる、乳酸菌含有飲料の製造方法。
(12) 乳酸菌含有飲料における乳酸菌由来の異味のマスキング方法であって、(1)〜(5)のいずれかに記載の異味マスキング剤を含有させる、異味マスキング方法。
1.異味マスキング剤
本発明の一実施形態に係る異味マスキング剤は、乳酸菌含有飲料における乳酸菌由来の異味のマスキング剤であり、カルシウムおよび/またはマグネシウムを有効成分とするものである。
本実施形態において異味マスキングの対象となる乳酸菌は、一般的に食品に用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ビフィドバクテリウム(Biffidobacterium)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属に属する乳酸菌を例示することができ、複数の乳酸菌を組み合わせて使用しても良い。
本実施形態に係る異味マスキング剤は、乳酸菌含有飲料における硬度が所定の範囲になるように用いることが好ましい。ここで、硬度とはカルシウムおよびマグネシウムの含有量を炭酸カルシウムに換算した値であり、具体的には下記式により算出される。
硬度(mg/L)=カルシウム含有量(mg/L)×2.497+マグネシウム含有量(mg/L)×4.118
なお、本明細書における乳酸菌含有飲料の硬度は、後述するカルシウム含有量(mg/100g)およびマグネシウム含有量(mg/100g)を測定し、飲料の比重を1.0としてそれぞれの含有量をmg/Lに換算して算出する。
本実施形態に係る異味マスキング剤は、実質的に乳由来成分および大豆由来成分を含有しない乳酸菌含有飲料に用いることが好ましい。
本実施形態に係る乳酸菌含有飲料は、前述した異味マスキング剤を含有するものである。異味マスキング剤の有効成分であるカルシウムおよび/またはマグネシウムの作用により、乳酸菌に由来する異味が効果的にマスキングされ、呈味の良好な乳酸菌含有飲料となる。
本実施形態に係る乳酸菌含有飲料は、さらに酸味料を含有することが好ましい。酸味料の含有量は、0.001〜0.075質量%であることが好ましく、0.005〜0.06質量%であることがさらに好ましく、0.01〜0.05質量%であることが特に好ましい。
本実施形態に係る乳酸菌含有飲料は、ナトリウムを含有することが好ましい。ナトリウムの含有量は、0.002〜20mg/100gであることが好ましく、0.02〜10mg/100gであることがさらに好ましく、0.5〜4mg/100gであることが特に好ましい。
また、本実施形態に係る乳酸菌含有飲料がさらにナトリウムを含有する場合、ナトリウム含有量(mg/100g)を上記硬度(mg/L)で除した値(ナトリウム含有量/硬度)は、0.001〜1であることが好ましく、0.002〜0.5であることがさらに好ましく、0.01〜0.1であることが特に好ましい。
本実施形態の乳酸菌含有飲料は、本実施形態の効果を損なわない範囲で香料を配合することができる。本実施形態においては、上記要件を満たすことにより、香料による香り立ちが良好なものとなり、香料を配合することで風味の好ましい乳酸菌含有飲料を得ることができる。
甘味付与剤は、乳酸菌含有飲料に甘味を付与する成分であり、本実施形態の効果を損なわない範囲で使用することができる。本実施形態において使用し得る甘味付与剤としては、具体的には、糖類、甘味料等が挙げられ、糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等が挙げられる。甘味料としては、例えば、砂糖、グラニュー糖、異性化糖、キシリトール、パラチノース、エリスリトール等のほか、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料が挙げられる。また、ソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよいし、シュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよい。これらの甘味付与剤は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態にあっては、前述した原料の他、本実施形態の効果を損なわない範囲において、ビタミン類、ミネラル分、糊料、機能性成分、酸化防止剤等を含有してもよい。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK及びビタミンB群等が挙げられる。
ミネラル分としては、例えば、カリウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン、亜鉛等が挙げられる。これらは、無機塩として配合されてもよく、他の原料(例えば、前述した植物汁や植物抽出液等の水素接触原料)の含有成分として配合されてもよい。
糊料としては、例えば、ペクチン、セルロース、ゼラチン、コラーゲン、寒天、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類、ガラクトマンナン類、アラビアガム、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム等が挙げられる。
機能性成分としては、例えば、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、ヒアルロン酸、プラセンタ、牡蠣エキス、キトサン、プロポリス、ローヤルゼリー、トコフェロール、ポリフェノール、梅エキス、アロエ、霊芝、アガリクス等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩等が挙げられるが、このうちアスコルビン酸又はその塩等が特に好ましい。
これらの添加物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態に係る乳酸菌含有飲料は、pHが2.0〜6.0であることが好ましく、2.5〜5.5であることがさらに好ましく、3.0〜4.5であることが特に好ましい。乳酸菌含有飲料のpHがこの範囲にあると、乳酸菌含有飲料の刺激的酸味が抑制されつつも、清涼感がより優れたものとなる。本実施形態に係る乳酸菌含有飲料のpHは、乳酸菌の含有量や使用する水によっても影響されるが、主として酸味料の含有量に影響される。本実施形態においては、酸味料の含有量が前述した範囲にあるため、pHを上記範囲に設定することが容易である。なお、乳酸菌含有飲料のpHは、常法に従ってpHメーターにて測定することができる。
本実施形態に係る乳酸菌含有飲料は、容器に充填された形で提供されること、すなわち容器詰飲料であることが好ましい。この場合において、使用される容器は特に限定されず、金属缶、PETボトル、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常用いられる飲料用容器であればよい。なお、本実施形態に係る乳酸菌含有飲料は、乳酸菌による白濁や沈殿等が生じ難く外観が良好であるため、透明の飲料用容器(例えば、PETボトル等)を用いてもよい。なお、本実施形態に係る乳酸菌含有飲料が容器に充填された容器詰飲料として提供される場合、通常は希釈せずにそのまま飲用できるものであるが、これに限定されるものではない。
さらに、乳酸菌の種類や含有量、硬度、酸味料の種類およびその含有量、ナトリウム含有量等を調整することにより、濃度感、清涼感、ボディ感等に優れ、また、カルシウムおよび/またはマグネシウムによる苦味が抑制され、さらには酸味料による刺激的酸味が抑制された、呈味の大変好ましい乳酸菌含有飲料とすることもできる。
前述した実施形態に係る乳酸菌含有飲料は、乳酸菌と、異味マスキング剤の有効成分であるカルシウムおよび/またはマグネシウムとを含有させる以外、従来公知の方法により製造することができる。
飲料における含有量が表1に示す値となるように、フェカリス菌乾燥粉末(4×1012個/g)、ビフィズス菌乾燥粉末(1×1011個/g)またはケフィア乾燥粉末(5×109個/g)をイオン交換水に添加して溶解ないし懸濁させ、乳酸菌含有飲料を得た(試料1〜5)。得られた乳酸菌含有飲料について、pHメーターを用いてpHを測定した。結果を表1に示す。
試料1〜5の各乳酸菌含有飲料(サンプル)を25℃にて1日間保管した後、乳酸菌飲料の上清と沈澱とが分離しているか否かを、5人のパネラーにより、次に示す基準で、目視にて評価した。結果を表1に示す。
○:沈殿および白濁を生じていない
△:白濁してはいないが沈殿を生じている
×:白濁しており、飲料として不適である
試料1〜5の各乳酸菌含有飲料(サンプル)について、官能評価試験を行った。かかる官能評価試験は、飲料の開発を担当する訓練された5人のパネラーにより、5℃に冷却保管されたサンプル20mLを試飲することにより行った。次に示す基準で、乳酸菌由来の異味、ボディ感、先味の苦味、清涼感および刺激的酸味の5項目に関し、5段階にて評価した。最も多かった評価を表1に示す。
5:感じられない
4:弱く感じる
3:感じるが許容範囲である
2:やや強い
1:強く感じ、不快である
5:大変強く、好ましい
4:やや強い
3:やや弱い
2:弱い
1:感じられない
5:感じられない
4:弱く感じる
3:感じるが許容範囲である
2:やや強い
1:強く感じ、不快である
5:大変強く、好ましい
4:やや強い
3:やや弱い
2:弱い
1:感じられない
5:感じられない
4:弱く感じる
3:感じるが許容範囲である
2:やや強い
1:強く感じ、不快である
乳酸菌による異味をマスキングするため、以下はエンテロコッカス・フェカリスを中心として異味のマスキング効果を検討した。また、ボディ感および清涼感の改善効果についても検討した。
5:大変強く、好ましい
4:やや強い
3:やや弱い
2:弱い
1:感じられない
Claims (12)
- 乳酸菌含有飲料における乳酸菌由来の異味のマスキング剤であって、カルシウムおよび/またはマグネシウムを有効成分とする異味マスキング剤。
- 前記乳酸菌含有飲料における硬度が2〜200mg/Lとなるように用いられる、請求項1に記載の異味マスキング剤。
- 実質的に乳由来成分および大豆由来成分を含有しない乳酸菌含有飲料に用いられる、請求項1または2に記載の異味マスキング剤。
- 前記乳酸菌がエンテロコッカス・フェカリスである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の異味マスキング剤。
- 前記乳酸菌の含有量が1.0×108〜1.0×1011個/100gである乳酸菌含有飲料に用いられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の異味マスキング剤。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の異味マスキング剤を含有する乳酸菌含有飲料。
- さらに0.001〜0.075質量%の酸味料を含有する請求項6記載の乳酸菌含有飲料。
- 前記酸味料がクエン酸および/または乳酸である請求項7に記載の乳酸菌含有飲料。
- pHが2.0〜6.0である請求項6〜8のいずれか一項に記載の乳酸菌含有飲料。
- さらにナトリウムを含有し、ナトリウム含有量(mg/100g)を硬度(mg/L)で除した値(ナトリウム含有量/硬度)が0.001〜1である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の乳酸菌含有飲料。
- 乳酸菌含有飲料の製造方法であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の異味マスキング剤を含有させる、乳酸菌含有飲料の製造方法。
- 乳酸菌含有飲料における乳酸菌由来の異味のマスキング方法であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の異味マスキング剤を含有させる、異味マスキング方法。
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