JP7331310B2 - 免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物 - Google Patents

免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物 Download PDF

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本発明は、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物に関するものである。
乳酸菌の中には、免疫賦活活性を有する乳酸菌が存在することが知られている(特許文献1~4)。
特開2016-086711号公報 特開2012-213352号公報 特開2010-6801号公報 特開2009-149523号公報
本発明者らは、免疫賦活活性を有する乳酸菌を酸性溶液中で室温又は高温下で長期間保存しておくと、その免疫活性(例えば、免疫細胞におけるIL-12産生誘導能等)が低下してしまうという問題点を見出した。
本発明の目的は、(1)酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物、(2)酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制する方法、及び(3)酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下が抑制されている組成物から選択される1つ以上を提供することである。
本発明者らは、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上が、酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制することを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1](1)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする組成物であって、(2)免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有する酸性液体組成物における、保存時間経過による前記免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物。
[2]免疫賦活活性を有する乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
[3]ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上が、(i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれかであることを特徴とする、前記[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]乳酸菌又はその処理物が、死菌体であることを特徴とする、前記[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]酸性液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、前記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]酸性液体組成物において、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物とビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上とを混合する工程を含有することを特徴とする、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制する方法。
[7]免疫賦活活性を有する乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする前記[6]に記載の方法。
[8]ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上が、(i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれかであることを特徴とする、前記[6]又は[7]に記載の方法。
[9]乳酸菌又はその処理物が、死菌体であることを特徴とする、前記[6]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]酸性液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、前記[6]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11](i)ビタミンD、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれか、並びに免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有することを特徴とする、酸性液体組成物。
[12](i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれか、並びに免疫賦活活性を有する乳酸菌の死菌体を含有することを特徴とする、酸性液体組成物。
[13]免疫賦活活性を有する乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする前記[11]又は[12]に記載の組成物。
[14]液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、前記[11]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]組成物全体に対するビタミンD及び/又はビタミンEの含有割合が、それぞれ0.0000015~0.0000050%、0.0015~0.0050%(w/v)であることを特徴とする、前記[11]~[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]組成物全体に対するカルシウム又はその塩の含有割合が、カルシウムとして0.015~0.075%(w/v)であることを特徴とする、前記[11]~[15]のいずれかに記載の組成物。
[17]組成物中の乳酸菌とカルシウムの質量比が1:1~20であることを特徴とする、前記[11]~[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]組成物中の乳酸菌とビタミンDの質量比が1:0.0001~0.001であることを特徴とする、前記[11]~[17]のいずれかに記載の組成物。
[19]組成物中の乳酸菌とビタミンEの質量比が1:0.1~1であることを特徴とする、前記[11]~[18]のいずれかに記載の組成物。
本開示において、好ましくは、(1)酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物、(2)酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制する方法、及び(3)酸性液体組成物における免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下が抑制されている組成物から選択される1つ以上を提供することができる。
本開示は、(1)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする組成物であって、(2)免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有する酸性液体組成物における、保存時間経過による前記免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物(以下、本発明の組成物Aともいう)を包含する。
本発明の組成物Aは、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有する酸性液体組成物を含有していなくてもよい。
〔ビタミンD〕
ビタミンDとしては、例えば、ビタミンD2、D3、D4、D5、D6及びD7の6種類から選択される1種又は2種以上が挙げられる。ビタミンDは、例えば、魚類、卵類、又はきのこ類に含まれるため、これらからビタミンDを含有する分画を抽出してそれを組成物の原料として用いてもよい。また、ビタミンD単独又はその他の成分を含む市販品そのもの又はそこから抽出したビタミンDを組成物の原料として用いてもよい。
〔ビタミンE〕
ビタミンEとしては、天然型ビタミンEであるd体のα-、β-、γ-およびσ-トコフェロールとα-、β-、γ-およびσ-トコトリエノール、その合成体であるdl体のα-、β-、γ-およびσ-トコフェロールとα-、β-、γ-およびσ-トコトリエノール、およびこれらのエステルであるコハク酸d-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム、酢酸d-α-トコフェロールおよび酢酸dl-α-トコフェロール等の1種または2種以上が挙げられる。
ビタミンEは、例えば、アーモンド若しくは落花生等のナッツ類、サフラワー油、コーン油若しくはオリーブオイル等の植物油等に含まれるため、これらからビタミンEを含有する分画を抽出してそれを組成物の原料として用いてもよい。また、ビタミンE単独又はその他の成分を含む市販品そのもの又はそこから抽出したビタミンEを組成物の原料として用いてもよい。
〔カルシウム又はその塩〕
カルシウム又はその塩は、例えば、魚類、貝類、エビ及びカニ類、ひじき、昆布、わかめ、いも類、大根等に含まれるため、これらからカルシウム又はその塩を含有する分画を抽出してそれを組成物の原料として用いてもよい。但し、カルシウム又はその塩は、乳成分由来でないことが好ましい。また、カルシウム又はその塩単独又はその他の成分を含む市販品そのもの又はそこから抽出したカルシウム又はその塩を組成物の原料として用いてもよい。
カルシウムの塩としては、カルシウムの薬理学的に許容される塩であることが好ましく、例えば、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、焼成カルシウム、アルギン酸カルシウム、L-アスコルビン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、L-グルタミン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸一水素カルシウム、パントテン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、5´-リボヌクレオチドカルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアロイル乳酸カルシウム、硫酸カルシウム又はケイ酸カルシウム等であることが好ましい。
〔その他の成分〕
組成物には、本発明の効果を失しない限り、例えば、医薬、薬学又は食品等の分野で知られる任意のビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上以外の成分が含有されていてもよい。その他の成分として、例えば、ビタミンA等を含有していることが好ましい。この場合、組成物全体に対するビタミンAの含有割合は、例えば、0.0004~0.0006%(w/v)であることが好ましい。
〔組成物の各成分の配合量〕
ビタミンDの組成物への配合量は、組成物が経口的に摂取される又は皮膚に塗布する場合、成人(体重60kg)1人当りの1日量が2.5μg~50μg、好ましくは20μg~50μg、さらに好ましくは30μg~50μg摂取されるよう設定するのが望ましい。また、注射剤又は輸液剤の場合は成人1人1日当りの投与量が1.25μg~25μg、好ましくは10μg~25μg、更に好ましくは15μgから25μg投与されるよう設定するのが望ましい。
ビタミンEの組成物への配合量は、組成物が経口的に摂取される場合又は皮膚に塗布する場合、成人(体重60kg)1人当りの1日量がα-トコフェロールとして0.5mg~500mg、好ましくは2.5mg~250mg、さらに好ましくは10mg~100mg摂取されるよう設定するのが望ましい。また、注射剤又は輸液剤の場合は成人1人1日当りの投与量がα-トコフェロールとして0.25mg~250mg、好ましくは1.25mg~125mg、更に好ましくは5mg~50mg投与されるよう設定するのが望ましい。
カルシウム又はその塩の組成物への配合量は、組成物が経口的に摂取される場合又は皮膚に塗布する場合、成人(体重60kg)1人当りの1日量が200mg~2300mg、好ましくは1000mg~2300mg、さらに好ましくは2000mg~2300mg摂取されるよう設定するのが望ましい。また、注射剤又は輸液剤の場合は成人1人1日当りの投与量が100mg~1150mg、好ましくは500mg~1150mg、さらに好ましくは1000mg~1150mg投与されるよう設定するのが望ましい。
組成物全体に対するビタミンDの含有割合は、例えば、0.0000015~0.0000050%(w/v)であることが好ましい。
組成物全体に対するビタミンEの含有割合は、例えば、0.0015~0.0050%(w/v)であることが好ましい。
組成物全体に対するカルシウムの含有割合は、例えば、カルシウムとして0.015~0.075%(w/v)であることが好ましい。
〔好ましい組み合わせ〕
ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上は、(i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれかであることが、より優れた本発明の効果が得られる点で、好ましい。
ビタミンD及びビタミンEの質量比(ビタミンD:ビタミンE)は、例えば、1:(700~1500)であることが好ましく、1:(1000~1200)であることがより好ましい。
ビタミンD及びカルシウム又はその塩の質量比(ビタミンD:カルシウム又はその塩)は、例えば、1:(3000~50000)であることが好ましく、1:(3000~47000)であることがより好ましい。但し、この場合において、カルシウム又はその塩については、カルシウムとして換算する。
ビタミンE及びカルシウム又はその塩の質量比(ビタミンE:カルシウム又はその塩)は、例えば、1:(1~100)であることが好ましく、1:(1~50)であることがより好ましい。但し、この場合において、カルシウム又はその塩については、カルシウムとして換算する。
ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩の質量比(ビタミンD:ビタミンE:カルシウム又はその塩)は、例えば、1:(700~1500):(3000~50000)であることが好ましく、1:(1000~1200):(3000~47000)であることがより好ましい。但し、この場合において、カルシウム又はその塩については、カルシウムとして換算する。
〔免疫賦活活性を有する乳酸菌〕
免疫賦活活性を有する乳酸菌は、例えば、ラクトバチルス属、ストレプトコックス属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、又はビフィズス属等に属する乳酸菌であって免疫賦活活性を有する乳酸菌を用いることができる。さらに詳しくは、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、エンテロコッカス・フェーカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)又はビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、又はビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)であって免疫賦活活性を有する乳酸菌が挙げられる。これら各種乳酸菌のうち、より優れた本発明の効果が奏されることから、ラクトバチルス属の乳酸菌が好ましく、中でも、ラクトバチルス・プランタラムが特に好ましい。
前記ラクトバチルス・プランタラムに属する菌の本発明における好ましい代表例としては、ラクトバチルス・プランタラムL-137、ラクトバチルス・プランタラムJCM 1149基準株又はラクトバチルス・プランタラムL-051(微工研菌寄第11912号)等が挙げられ、特に好ましくは、ラクトバチルス・プランタラムL-137が挙げられる。
ラクトバチルス・プランタラムL-137は独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(現:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター;住所:郵便番号292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に、受託番号FERM BP-08607号(平成7年11月30日に寄託されたFERM P-15317号より移管)として寄託されている。なお、ラクトバチルス・プランタラムL-137の変異株であっても、ラクトバチルス・プランタラムL-137の特徴を備えるものはラクトバチルス・プランタラムL-137の範疇である。
免疫賦活活性を有する乳酸菌としては、天然培地、合成培地及び半合成培地等の培地で培養したものいずれであってもよい。本発明において、乳酸菌の培養は、公知方法、自体公知の方法又はそれらに準じる方法に従って行われてよい。
前記培地としては、特に限定されず、例えば、窒素源及び/又は炭素源を含有するものが好ましく用いられる。前記窒素源としては、特に限定されず、例えば、肉エキス、ペプトン、グルテン、カゼイン、酵母エキス、又はアミノ酸等が挙げられる。前記炭素源としては、特に限定されず、例えば、グルコース、キシロース、フラクトース、イノシトール、マルトース、水アメ、麹汁、澱粉、バガス、フスマ、糖蜜、又はグリセリン等が挙げられる。これらは1種で又は2種以上を組合せて用いてもよい。
前記培地は、前記窒素源及び/又は炭素源に加えて、さらに、無機質を添加してもよい。前記無機質としては、特に限定されず、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、食塩、鉄、マンガン、モリブデン又は各種ビタミン類等が挙げられ、これらを1種で又は2種以上を組合せて用いてもよい。
免疫賦活活性を有する乳酸菌の培養温度及び培養時間は、培養が効率的に実施できれば特に限定されないが、本発明のひとつの態様において、培養温度は、例えば、通常約25~40℃、好ましくは約27~35℃としてもよい、培養時間は、例えば約12~48時間としてもよい。また、本発明のひとつの態様において、乳酸菌の培養は、通気振盪により実施してもよい。また、培地のpHは、特に限定されないが、本発明のひとつの態様において、通常約pH3~6、好ましくは約pH4~6としてもよい。
〔免疫賦活活性を有する乳酸菌の処理物〕
免疫賦活活性を有する乳酸菌の「処理物」とは、好ましくは、当該乳酸菌を加工したもの又は当該乳酸菌の培養物であるが、これらに限定されない。また、菌は、生菌でもよく、死菌体でもよいが、安定性及び取扱いの容易性等の観点から、死菌体を用いることが好ましい。
本発明においては、このような処理物を、そのまま用いてもよく、凍結乾燥、低温乾燥、噴霧乾燥、又はL-乾燥等やこれらを組み合わせて粉末状にして用いてもよい。また、これらの処理物(培養物)は、適切な溶媒(水、アルコール、有機溶剤等)で希釈して用いてもよいし、適切な添加剤を加えて、ゲルや固形剤にして、用いてもよい。
免疫賦活活性を有する乳酸菌の死菌体を調製する方法について、具体的に説明する。
本発明において、前記死菌体の調製方法は、本発明の効果を失しない限り、特に限定されないが、例えば、(I)培養終了後に乳酸菌の生菌体を培養液から分離した後に、前記生菌体を殺菌処理して死菌体の状態とする方法、(II)培養液中で乳酸菌の生菌体を殺菌処理して死菌体の状態とし、その後に前記死菌体を培養液から分離する方法等のいずれの方法によって調製してもよい。
培養液から菌体を分離する方法としては、この分野で通常用いられる種々の方法を採用してもよく、特に限定されない。本発明のひとつの態様において、具体的には、例えば、培養液に蒸留水を加えた後に遠心分離等の手段によって上清を除くことによって、培養液と菌体とを分離する方法等を採用してもよい。なお、この態様においては、培養液に蒸留水を加えて遠心分離を行った後に上清を除去した後、所望により、上清を除去した残留物にさらに蒸留水を加えて遠心分離を行う操作を何度か繰り返してもよい。本発明のひとつの態様において、分離操作として濾過工程を含んでいてもよい。
続いて、乳酸菌の生菌体の殺菌処理方法について具体的に説明する。前記殺菌処理方法としては、特に限定されず、例えば、加熱、紫外線照射、ホルマリン処理等が挙げられる。なお、前記殺菌処理は、採取された生菌体に対して行ってもよく、生菌体を含んだ培養液に対して行ってもよい。
前記加熱処理を行う場合、加熱温度は特に限定されないが、例えば、通常約60℃~100℃、好ましくは約70~90℃としてもよい。加熱手段としては、公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば、ヒーター等の手段であってもよい。加熱時間は、殺菌処理が十分に完了できれば特に限定されないが、例えば、加熱時間は所望の温度に達した後、通常約5~40分、好ましくは約10~30分としてもよい。
上記の様にして得られた前記死菌体は、さらに摩砕、破砕又は凍結乾燥処理等を行い、死菌体処理物としてもよい。本発明においては、前記死菌体処理物も死菌体として好適に用いることができる。
また、本発明には、乳酸菌の菌体に替えて又は菌体と共に、乳酸菌菌体の抽出物を用いてもよい。前記抽出物の抽出方法は特に限定されず、公知方法、自体公知方法又はそれらに準ずる方法に従って行ってもよい。具体的には、例えば、乳酸菌の生菌体又は死菌体を、(i)常圧又は加圧下で、室温又は加温した抽出溶媒中に加えて浸漬や撹拌しながら抽出する方法、(ii)抽出溶媒中で還流しながら抽出する方法等が挙げられる。抽出温度、抽出時間は、使用する抽出溶媒の種類は抽出条件によって適宜選択してよい。
前記抽出溶媒としては、特に限定されず、例えば、水、有機溶媒又はこれらの任意の割合での混合溶媒を用いてもよい。前記有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール及びn-ブタノール等)、多価アルコール(例えば、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)等の室温で液体であるアルコール類;エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、プロピルエーテル等);エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等);ケトン類(例えば、アセトン、エチルメチルケトン等);炭化水素類(例えば、ヘキサン、キシレン、トルエン等);クロロホルム等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いてもよい。上記有機溶媒の中でも、操作性や環境に対する影響等の観点から、室温で液体であるアルコール類、例えば、炭素原子数1~4の低級アルコールを用いるのが好ましく、残留溶媒による安全性の観点からはエタノールを用いるのがより好ましい。
本発明においては、前記抽出操作により得た抽出液及び残渣を含む混合物を所望により濾過又は遠心分離等に供し、残渣である固形成分を除去して得た抽出液をそのまま本発明の前記担体の調製に用いてもよいし、前記抽出液を濃縮、凍結乾燥又はスプレードライ等の方法により、乾燥、粉末化して使用してもよい。
組成物中の免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の含有量は、本発明の効果を失しない限り、特に限定されないが、組成物100質量%中、例えば、約0.001質量%~99質量%の範囲であってもよく、1~50質量%の範囲であってもよい。
〔酸性液体組成物〕
本開示において、酸性とは、pHが6.0以下、5.5以下、5.0以下、4.9以下、4.8以下、4.7以下、4.6以下、4.5以下、4.4以下、4.3以下、4.2以下、4.1以下、4.0以下、3.9以下、3.8以下又は3.7以下等が例示される。
本開示において、液体とは、固体でも気体でもない状態のことを示す。液体の粘度は、特に限定されないが、B型粘度計を用いて25℃の条件下測定した場合に、0超50以下cps、0超30以下cps、又は0超20以下cpsであってもよい。本開示において、液体とは、ゾルであってもよく、ゾルでなくてもよいが、ゾルでないことが好ましい。
当該酸性液体組成物は、乳由来成分を含有しないことが好ましい。言い換えると、当該酸性液体組成物は、例えばヨーグルト等のはっ酵乳でないことが好ましい。
酸性液体組成物には、本発明の効果を失しない限り、例えば、医薬、薬学又は食品等の分野で知られる任意の、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物以外の成分が含有されていてもよい。その他の成分として、例えば、ビタミンA等を含有していることが好ましい。この場合、組成物全体に対するビタミンAの含有割合は、例えば、0.0004~0.0006%(w/v)であることが好ましい。
製造方法
本開示は、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上と、その他の成分とを混合する工程を含有することを特徴とする、本発明の組成物Aの製造方法を包含する。
混合する工程では、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上と、その他の成分とが、組成物全体において均一となるように、公知の方法又は自体公知の方法により混合又は撹拌することが好ましい。混合又は撹拌の方法は、当該分野において十分に確立されているので、その方法に従ってよい。
使用方法
〔免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下抑制効果の確認〕
保存時間は、飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品の保存期間として適切な時間であることが好ましく、例えば4~12週間、4~8週間又は4~6週間であってもよい。
保存温度は、飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品の保存温度として適切な温度であることが好ましい。また、保存温度は、室温(例えば1~30℃)、常温(例えば15~25℃)又は高温(例えば30℃超45℃以下)であることが好ましい。
例えば、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上及び免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有する組成物と、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上のいずれも含有しない免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有する組成物とを一定時間保存し、保存後の前者の免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性が、保存後の後者のそれと比較して、優れていることを確認することができる。免疫賦活活性の確認方法は、ELISA等、当該分野において十分に確立されているので、その方法に従ってよい。
免疫賦活活性として、例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ・ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞等の細胞のIL-12等のインターロイキン、又はIFN-β若しくはIFN-γ等のインターフェロン等のサイトカインの産生促進活性等が挙げられる。
免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下抑制効果の確認方法の一例として、後述の実施例を参照することができる。
〔飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品〕
本発明の組成物Aは、例えば、液体の飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品等であってよく、好ましくは、液体の飲食品等である。
飲食品は、一般的に飲食品に用いられる食品添加剤、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色料、漂白料、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等が添加されてもよい。なお、飲食品には、機能性表示飲食品、特定保健用飲食品、健康飲食品、病者用飲食品が含まれる。
従来知られている乳酸菌の用途の全てに用いられ得る。具体的には、例えば、食品添加物又はいわゆる栄養補助食品(サプリメント)としてのドリンク剤等を挙げることができる。これ以外には、例えば茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品、ソース、たれ等の調味料、カレー、シチュー等のレトルトパウチ食品等を挙げることができる。
飼料としては、例えば、ウシ、ウマ、ブタ等の家畜用飼料、ニワトリ等の家禽用飼料、魚類等の養殖用飼料、イヌ、ネコ等のペット用飼料などが挙げられる。本発明の飼料は、飼料中に本発明の組成物を添加する以外、一般的な飼料の製造方法を用いて加工製造することができる。
医薬品は公知の医薬品添加剤等を配合して製造され得る。
化粧品としては、例えば、ボディ洗浄料、ハンド洗浄料、洗顔料等の洗浄料類や化粧水、乳液、クリーム等の基礎化粧料、アンダーメークアップ等の化粧料剤形等が挙げられる。
本発明の組成物Aを飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品の形態に調製した場合、当該飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品若しくは化粧品、その添付説明書又はその包装箱等には、本発明の組成物の作用に鑑みて、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制することができる旨を表示することができる。
本開示は、酸性液体組成物において、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物とビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上とを混合する工程を含有することを特徴とする、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制する方法を包含する。
上記酸性液体組成物は、酸性の液体の組成物であれば特に限定されない。
(1)酸性液体組成物、(2)免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物、(3)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上、(4)混合する工程、及び(5)免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下の抑制について、上記説明及び下記実施例を参照することができる。
本開示は、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上、並びに免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有することを特徴とする、酸性液体組成物(以下、本発明の組成物Bともいう)を包含する。
本発明の組成物Bは、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物(死菌体を含む)の保存時間経過による免疫賦活活性の低下が抑制されていることが好ましい。
本発明の組成物Bは、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有している。
本発明の組成物Bとして、(i)ビタミンD、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれか、並びに免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物を含有することを特徴とする、酸性液体組成物、又は、(i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれか、並びに免疫賦活活性を有する乳酸菌の死菌体を含有することを特徴とする、酸性液体組成物等が、好ましい。
(a)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上、(b)(i)ビタミンD、(ii)カルシウム又はその塩、(iii)ビタミンD及びビタミンE、(iv)ビタミンD及びカルシウム又はその塩、(v)ビタミンE及びカルシウム又はその塩及び(vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩のいずれか、(c)免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物、(d)免疫賦活活性を有する乳酸菌の死菌体、(e)酸性液体組成物、(f)使用方法について、上記説明及び下記実施例を参照することができる。
組成物全体に対するビタミンDの含有割合は、例えば、0.0000015~0.0000050%(w/v)であることが好ましい。
組成物全体に対するビタミンEの含有割合は、例えば、0.0015~0.0050%(w/v)であることが好ましい。
組成物全体に対するカルシウム又はその塩の含有割合は、例えば、カルシウムとして0.015~0.075%(w/v)であることが好ましい。
免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物及びビタミンDの質量比(免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物:ビタミンD)は、例えば、1:(0.0001~0.001)であることが好ましく、1:(0.0001~0.0005)であることがより好ましい。
免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物及びビタミンEの質量比(免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物:ビタミンE)は、例えば、1:(0.1~1)であることが好ましく、1:(0.1~0.5)であることがより好ましい。
免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物及びカルシウム又はその塩の質量比(免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物:カルシウム又はその塩)の質量比は、例えば、1:(1~20)であることが好ましく、1:(1~15)であることがより好ましく、1:(1~12)であることがさらに好ましい。但し、この場合において、カルシウム又はその塩については、カルシウムとして換算する。
本発明の組成物Bには、本発明の効果を失しない限り、例えば、医薬、薬学又は食品等の分野で知られる任意の、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上並びに免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物以外の成分が含有されていてもよい。その他の成分として、例えば、ビタミンA等を含有していることが好ましい。この場合、組成物全体に対するビタミンAの含有割合は、例えば、0.0004~0.0006%(w/v)であることが好ましい。
製造方法
本開示は、酸性液体組成物において、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物とビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上とを混合する工程を含有することを特徴とする、酸性液体組成物の製造方法を包含する。
混合する工程では、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物とビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上とが、酸性液体組成物全体において均一となるように、公知の方法又は自体公知の方法により混合又は撹拌することが好ましい。混合又は撹拌の方法は、当該分野において十分に確立されているので、その方法に従ってよい。
本発明の組成物Bを飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品の形態に調製した場合、当該飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品若しくは化粧品、その添付説明書又はその包装箱等には、本発明の組成物の作用に鑑みて、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下が抑制される又は抑制されている旨を表示することができる。
以下に実施例及び試験例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.原料
使用した原料は下記の通りである。
・ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体
MRS(de Man, Rogosa, Sharpe)改変液体培地にラクトバチルス・プランタラムL-137(受託番号FERM BP-08607号)株を播種し、32℃で18時間培養した。培養後80℃で加熱死菌化し、培養液を除去して菌体を集めた。得られた菌体を水によく分散し、当該菌体20質量%及びデキストリン80質量%を混合し、噴霧乾燥することにより、乾燥死菌体を得た。
2.製造例
下記の表1~3の配合処方通りに酸性飲料を調製した。
Figure 0007331310000001
Figure 0007331310000002
Figure 0007331310000003
上記各飲料を、加熱殺菌後、150mLの透明なガラス瓶に充填した。各飲料を作製直後から40℃恒温槽内で4週、6週又は8週間静置保存し加速試験した。当該飲料を加速試験飲料と呼称する。
また、各飲料を作製直後から4℃で保存した。当該飲料をイニシャル飲料と呼称する。
3.試験例1
一定量サンプリングした上記各飲料を20℃で14,000×g、10分間遠心処理し、上清を除去後に、10%FBS含有RPMI1640培地を加えてラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体を懸濁した。懸濁液をラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体が10μg/mLとなるように10%FBS含有RPMI1640培地で希釈し、検液とした。マクロファージ様細胞株であるJ774.1細胞(細胞番号JCRB9108;国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンク)は、それぞれ1.0×10細胞/mLとなるように10%FBS含有RPMI1640培地に懸濁し、細胞株懸濁液とした。検液と細胞株懸濁液を100μLずつ、96ウェル培養プレートに添加し(菌体終濃度:5μg/mL、細胞終濃度:5.0×10/mL)、5%COインキュベーター内で37℃、24時間培養した。培養終了後の上清中のIL-12p40濃度は、プレートごと-20℃で凍結した後、後日融解して、ELISA法にて測定し、イニシャル飲料に対する加速試験飲料のIL-12p40産生比率を求めた。なお、プレートは、Nuncプレート(標準品、Biolegend Cat No.577009)を使用した。
4.試験結果1
実施例1、1-2と比較例1の結果を下記に示した。
下記の表4-1の実施例1と比較例1の比較から明らかなように、カルシウムを添加することで、40℃4週の保存によって生じるラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下が抑制され、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の安定性が向上した。特に、カルシウムを加えた実施例1の酸性飲料では、カルシウムを含まない比較例1の酸性飲料と比べ、免疫賦活活性の低下が2倍以上抑制された。カルシウム添加量をさらに増やし、実施例1の約5倍のカルシウム量を含む実施例1-2の酸性飲料では、さらに免疫賦活活性の低下が抑制された。
さらに、実施例2、3と比較例1の結果を下記に示した。
下記の表4-2から明らかなように、実施例2の酸性飲料において、ビタミンDおよびEを添加することで、40℃4週の保存によって生じるラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下が抑制された。さらには、実施例3の酸性飲料において、実施例1の約3倍量の乳酸カルシウムと、実施例2と等量のビタミンDおよびEとを添加することで、40℃4週の保存によって生じるラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下が顕著に抑制され、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の安定性がさらに向上した。特に、カルシウムと、ビタミンDおよびEとを加えた実施例3の酸性飲料では、カルシウムもビタミンDおよびEのいずれも含まない比較例1の酸性飲料と比べ、免疫賦活活性の低下が約2倍抑制された。
5.試験例2
一定量サンプリングした上記各飲料を室温で14,000×g、10分間遠心処理し、上清を除去後に、10%FBS含有RPMI1640培地を加えてラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体を懸濁した。懸濁液をラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体が10、20μg/mLになるように10%FBS含有RPMI1640培地で希釈し、検液とした。マクロファージ様細胞株であるJ774.1細胞(細胞番号JCRB9108;国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンク)は、それぞれ1.0×10細胞/mLとなるように10%FBS含有RPMI1640培地に懸濁し、細胞株懸濁液とした。検液と細胞株懸濁液を100μLずつ、96ウェル培養プレートに添加し(菌体終濃度:5、10μg/mL、細胞終濃度:5.0×10/mL)、5%COインキュベーター内で37℃、24時間から48時間培養した。培養終了後の上清中のIL-12p40濃度は、ELISA法にて測定し、イニシャル飲料に対する加速試験飲料のIL-12p40産生比率を求めた。
6.試験結果2
実施例2と実施例3の結果を下記に示した。下記の表5から明らかなように、乳酸カルシウムを添加することで40℃4週、6週又は8週の保存で、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下が抑制され、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の安定性が向上した。
Figure 0007331310000006
実施例4及び5の結果を下記に示した。下記の表6~7から明らかなように、実施例4及び5において、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下が抑制され、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の安定性が向上した。特に、実施例4に対してビタミンD及びEを増量した実施例5は、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の免疫賦活活性、すなわちIL-12誘導活性の低下がさらに抑制され、ラクトバチルス・プランタラムL-137乾燥死菌体の安定性がさらに向上した。このことから、ビタミンD及びEのHKL-137安定性向上への寄与が示された。
なお、下記の表6~7中において、実施例4の「DE1/3」は実施例2~3におけるビタミンD、Eの3分の1の量が含まれることを示し、実施例5の「DE4/5」は、実施例2~3におけるビタミンD、Eの5分の4の量が含まれることを示す。
Figure 0007331310000007
Figure 0007331310000008
ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上が、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制することができるため、ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩からなる群より選択される1種又は2種以上と、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物とを混合して得られる飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品又は化粧品等として有用である。

Claims (13)

  1. (1)下記の(iii)、(ii)及び(vi)からなる群より選択されるいずれか種を含有することを特徴とする組成物であって、
    (2)免疫賦活活性を有する乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム又はその処理物を含有する酸性液体組成物における、保存時間経過による前記免疫賦活活性の低下を抑制するための組成物。
    (iii)ビタミンD及びビタミンE
    (ii)カルシウム又はその塩
    (vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩
  2. 免疫賦活活性を有する乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムが、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム又はその処理物が、死菌体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 酸性液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の組成物。
  5. 酸性液体組成物において、免疫賦活活性を有する乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム又はその処理物と、
    下記の(iii)、(ii)及び(vi)からなる群より選択されるいずれか種と、
    を混合する工程を含有することを特徴とする、免疫賦活活性を有する乳酸菌又はその処理物の保存時間経過による免疫賦活活性の低下を抑制する方法。
    (iii)ビタミンD及びビタミンE
    (ii)カルシウム又はその塩
    (vi)ビタミンD、ビタミンE及びカルシウム又はその塩
  6. 免疫賦活活性を有する乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムが、ラクトバチルス・プランタラムL-137であることを特徴とする請求項に記載の方法。
  7. 乳酸菌ラクトバチルス・プランタラム又はその処理物が、死菌体であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 酸性液体組成物が、乳由来成分を含有しないことを特徴とする、請求項のいずれかに記載の方法。
  9. 組成物全体に対するビタミンD及びビタミンEの含有割合が、それぞれ0.0000015~0.0000050%、0.0015~0.0050%(w/v)であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
  10. 組成物全体に対するカルシウム又はその塩の含有割合が、カルシウムとして0.015~0.075%(w/v)であることを特徴とする、請求項1~4又は9のいずれかに記載の組成物。
  11. 組成物中の乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムとカルシウムの質量比が1:1~20であることを特徴とする、請求項1~4又は910のいずれかに記載の組成物。
  12. 組成物中の乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムとビタミンDの質量比が1:0.0001~0.001であることを特徴とする、請求項1~4又は911のいずれかに記載の組成物。
  13. 組成物中の乳酸菌ラクトバチルス・プランタラムとビタミンEの質量比が1:0.1~1であることを特徴とする、請求項1~4又は912のいずれかに記載の組成物。
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