JP2017205050A - 防草材及びそれの使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】膨張性を付与することで収縮を抑え、隙間の発生を抑え、ひび割れ抵抗性を付与し、草刈の労力を軽減できる防草材及びその使用方法を提供する。【解決手段】(1)セメント、膨張材および土壌を含有してなる防草材、(2)さらに、流動化剤およびセメント混和用ポリマーのいずれか1種または2種を含有してなる(1)の防草材、(3)(1)または(2)の防草材を地面に敷き詰めてその上に散水して被覆する防草材の使用方法、(4)(1)または(2)の防草材を水で練混ぜて地面に敷き詰めて被覆する防草材の使用方法、である。【選択図】なし

Description

本発明は、河川の土手、田畑の畦畔、あるいは、鉄道、道路等の盛土ののり面などの雑草の生育を抑制する防草材及びその使用方法に関する。
河川の土手、鉄道、道路等の盛土ののり面や田畑の畦畔等では雑草が繁茂し、頻繁な草刈りや除草剤散布が必要であった。草の刈取りには多大の労力を必要とするため、一般的には除草剤を散布する方法が行われている。
しかしながら、除草剤の散布は、草を枯らすだけで、頻繁に散布する必要があり、抜本的な対策とはならない。また、セメントを含有する防草材を振り撒いて散水して地面を被覆する方法も提案されているが、セメントを含有するものは収縮し、施工箇所のきわの部分に隙間が生じ、この隙間から雑草が生えてしまう課題がある。さらにブリーディングにより防草材の表面が沈下し、表面が荒れるなどの課題があった。さらに収縮ひび割れが生じ、ひび割れ部位から雑草が生えてしまう課題があった。
さらに、セメントを含まない酸化マグネシウム系固化材を散布、又は土壌に混合し、散水して固化させて抑草する抑草材とその方法が提案されている。(特許文献1、2、3)
特許文献1は、酸化マグネシウムと高炉スラグを主成分する雑草繁殖防止材を地表面の土壌と混合して転圧して押し固めて、その上に散水するため、施工に労力を必要とし、強度発現性が低いため、繁殖期の雑草を抑草する効果が低下し易い。
特許文献2と3も特許文献1と同様の酸化マグネシウム系固化材であるため、強度発現性が低く、繁殖期の雑草を抑草する効果が低下し易い。さらに、これら酸化マグネシウム系抑草材全般に関する課題は、強度発現性が低いため、貫通力の高いスギナ、ヨシ、笹、チガヤといった植物は貫通して繁茂しやすいことがあげられ、さらに、施工箇所のきわの部分に隙間が生じ、この隙間から雑草が生えてしまう課題がある。
特許文献4は、焼却灰、スラグ、及び石炭灰の骨材を敷き詰め、その上にクロロプレン系ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、及びアクリル系エマルジョン固化材を散布して固着することを特徴とする防草工法であり、セメントや塩基性物質を使わないため環境にやさしい防草材である。 しかしながら、人力や重機で3〜20cmの厚さに敷き詰め、その上に均一にラテックスやエマルジョンを散布する必要があり、多大な労力がかかった。さらに、施工箇所のきわの部分に隙間が生じ、この隙間から雑草が生えてしまう課題がある。
特開2003−47388号公報 特開2007−330114号公報 特開2014−51849号公報 特開2014−234655号公報
本発明は、膨張性を付与することで収縮を抑え、隙間の発生を抑え、ひび割れ抵抗性を付与し、草刈の労力を軽減できる防草材及びその使用方法を提供する。
即ち、本発明は、(1)セメント、膨張材および土壌を含有してなる防草材、(2)さらに、流動化剤およびセメント混和用ポリマーのいずれか1種または2種を含有してなる(1)の防草材、(3)(1)または(2)の防草材を地面に敷き詰めてその上に散水して被覆する防草材の使用方法、(4)(1)または(2)の防草材を水で練混ぜて地面に敷き詰めて被覆する防草材の使用方法、である。
本発明の防草材は、膨張性を付与することで収縮を抑え、隙間の発生を抑え、ひび割れ抵抗性を付与し、十分な防草効果を有し、その防草材を使用することで、草刈の労力を軽減でき、防草効果が確保できるなどの効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用するセメントとは、特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強、低熱および中庸熱等の各種セメント、アルミナセメント、これらのセメントに、高炉スラグやフライアッシュやシリカフュームなどを混合した各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)、市販されている微粒子セメントなどが挙げられ、各種セメントや各種混合セメントを微粉末化して使用することも可能である。また、通常セメントに使用されている成分(例えば石膏等)量を増減して調整されたものも使用可能である。
これらセメントは単独あるいは2種以上併用して使用することも可能である。これらの中では高炉セメントが、六価クロム含有量が低く好ましい。
本発明に使用する膨張材は、特に限定されるものではなく、膨張性水和物を生成させ、防草材を膨張させ、ブリーディングを抑制するものであれば、いかなるものでも使用可能である。
膨張材として遊離石灰、遊離マグネシア、カルシウムフェライト、エトリンガイト系、石灰系、エトリンガイト-石灰複合系を含むものが知られ特に限定されるものではないが、長期安定性の観点から、遊離石灰を含むものが好ましい。遊離石灰を含むものとしては、例えば、遊離石灰−無水セッコウ系、遊離石灰−水硬性化合物系、ならびに、遊離石灰−水硬性化合物−無水セッコウ系などが挙げられる。
本発明では、膨張性能が良好なことから、遊離石灰−水硬性化合物−無水セッコウ系を用いることが好ましく、特に遊離石灰含有量が40%を超えるものが好ましい。
ここで、水硬性化合物としては、例えば、アウイン、カルシウムフェライト、カルシウムアルミノフェライト、カルシウムシリケート、カルシウムアルミネートなどの1種または2種以上が挙げられる。本発明では、膨張材としては、市販の膨張材や静的破砕材が利用できる。
膨張材や静的破砕材は各社より市販されており、その代表例としては、例えば、デンカ社製「デンカCSA♯20」、「デンカパワーCSA」、太平洋マテリアル社製「エクスパン」、「ハイパーエクスパン」「N−EX」、「ブライスター」やこれらの粉砕品などが挙げられる。
本発明の膨張材の粒度は、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値で2000〜15000cm/gの範囲にあり、2200〜8000cm/g程度のものがより好ましい。2000cm/g未満ではブリーディングが生じる場合があり、15000cm/gを超えるようなものは膨張性が十分に得られない場合がある。
本発明の膨張材の使用量は、セメント100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましい。0.5部未満では、ひび割れ抑制効果が十分に得られない場合があり、20質量部を超えると強度が低くなる場合がある。
本発明で使用する土壌は、砂利、砂、礫、粘土のいずれか1種又は2種以上を含むものでは特に限定されるものではない。山砂、川砂、海砂等のサンド質土壌やシルト質土壌、クレイ質土壌、工事から発生する残土、軽量骨材や重量骨材や再生骨材や防草処理を行う箇所の土をそのまま用いることなどいずれも使用できる。一般には、天然土である真砂土や赤玉土や鹿沼土や乾燥砂は品質が安定しており、より好ましい。
本発明の防草材において、土壌の使用量は、特に限定されるものではないが、セメント100質量部に対して、通常、100〜1000質量部が好ましく、200〜700質量部がより好ましい。土壌が100質量部より低いと強度発現性は高いが経済的に好ましくない。1000質量部より高いと強度が低く、凹んでしまう可能性がある。
本発明で使用する流動化剤は隙間なく充填できる作業性を向上させるものである。流動化剤は本発明の防草材を流動化するものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ポリカルボン酸系,ナフタリン系,アミノスルホン酸系およびメラミン系減水剤又はその塩などがあり、それらを1種又は2種以上、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
流動化剤の使用量は、セメント100質量部に対して、0.05〜5.0質量部が好ましく、0.08〜2.0質量部がより好ましい。0.05質量部未満では作業性が向上させる効果が発揮されない場合があり、5.0質量部を超えると強度が低い場合がある。
本発明では、接着性を上げ、ひび割れを低減させる目的でセメント混和用ポリマーを使用できる。
本発明のセメント混和用ポリマーは、例えば、JIS A 6203で規定されているセメント混和用のポリマーであり、水の中にポリマーの微粒子が分散しているポリマーディルパージョンや、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンに安定剤などを加えたものを乾燥して得られる再乳化形粉末樹脂などを称するものである。
例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、及び天然ゴムなどのゴムラテックス、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、酢酸ビニルビニルバーサテート系共重合体、及びスチレン・アクリル酸エステル共重合体やアクリロニトリル・アクリル酸エステルに代表されるアクリル酸エステル系共重合体、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂に代表される液状ポリマーなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用できる。これらは液状のものでも粉状のものでも使用でき、使用方法は、水をかける前の防草材に事前に練り混ぜてもよく、地面に敷き詰めた防草材に散水する水と混ぜたものを散水してもよく、その使用方法は、特に限定されるものではない。
セメント混和用ポリマーの使用量は、セメント100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましい。0.5部未満では、接着性が低い場合がある。20部を超えると強度が得られない場合がある。
水の使用量は、本発明の防草材の合計100質量部に対して5〜100質量部が好ましい。5質量部未満では混合が困難となる場合があり、100質量部を超えると強度が得られない場合がある。
本発明では、凝結調整剤を本発明の差し支えない範囲で使用することが可能である。凝結調整剤はセメントの凝結を促進、遅延するものであれば特に限定されるものではない。具体的には、水酸化アルカリ、アルカリ金属塩化物塩、アルカリ金属炭酸塩、オキシカルボン酸又はその塩、リン酸又はその塩、デキストリン、ショ糖、ポリアクリル酸又はその塩、減水剤、高性能減水剤などを1種又は2種以上、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
本発明では、酸化マグネシウムなどの低pHの固化材、ウッドチップ、もみ殻などの嵩をあげる増量材、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、石灰石微粉末、フライアッシュ、カオリン、シラス、珪藻土およびシリカフュームなどの混和材料、ガス発泡物質、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、ポリマー、ベントナイトなどの粘土鉱物、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体、着色剤などを1種又は2種以上、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
本発明において、各材料の混合方法は、特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良く、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えないが、事前に混合し、現場で水を混合するほうが、品質面で好ましい。事前に混合する場合、土壌は乾燥状態であることが好ましい。また土壌は、防草処理を行う箇所の土壌をそのまま用いることも可能である。
混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、およびナウタミキサなどの使用が可能である。
本発明では、地面の雑草を草刈機等で1cm以下程度に草刈し、刈り取った雑草を取り除いた上に防草材を敷き詰めて散水して被覆する方法。また、練混ぜた防草材を吹き付けて被覆する方法があり、草刈してその後に除草剤を散布してから被覆するとより好ましい。
防草材を草刈した地面に敷き詰めて、その上に散水して表面を固化させて被覆する場合は、地面に防草材を敷き詰めてならし、その上にジョウロ等で散水する方法が好ましい。敷き詰める厚さは特に限定されるものではなく、地面の凸部で1〜3cmの厚さが好ましい。1cm以下であると全体に被覆することができにくくなるため、防草効果が低くなる場合があり、3cm以上では防草効果は高いが材料費が高くなり、多大な労力がかかるため好ましくない。
本発明の防草材または本発明の防草材の土壌を除いたものを草刈した地面に敷設し、地面の土と混合攪拌させて被覆する場合は、バックホウやスタビライザーなどを用いて混合攪拌させることが可能である。さらに転圧をすることで硬い地盤とすることも可能である。
以下、本発明の実験例に基づいて説明する。
「実験例1」
セメント100質量部に対して、表1に示す割合で膨張材、土壌を500質量部加えて防草材を調製した。この防草材を型枠に敷設後、防草材(セメント+膨張材+土壌)100質量部に対して、水を20質量部散水して試験体を作製した。膨張収縮試験、隙間の発生確認の測定を行った。また、比較として、膨張材を混和しないものも実施した。結果を表1に併記した。
<使用材料>
セメント:高炉B種セメント、ブレーン比表面積値3750cm/g
膨張材A:デンカ社製「デンカパワーCSAタイプS」、エトリンガイト−石灰複合型
膨張材B:太平洋マテリアル社製「ハイパーエクスパン」、石灰型
膨張材C:デンカ社製「デンカCSA#20」の粉砕品、アウイン系、比表面積6110cm/g
土壌:愛知県産真砂土、5mm篩下、長野県産川砂乾燥品、1.2mm篩下を当量混合
水:水道水
<測定方法>
一軸拘束膨張率:20℃・相対湿度60%の環境でJISA6202に準拠して供試体を採取。材齢1日後に脱型し、水中養生しその後、材齢7日で長さ変化を測定した。
隙間の発生確認:コンクリート製品で覆われた土に生い茂った雑草を予め長さ0.5cm以下に草刈機で草刈して、耕運機で田畑を耕し、その上に、芝生の種であるトールフェスク、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラスの混合品を40g/m撒き、足で踏みならし転圧した。その上に、各防草材を基礎面上に均一に厚み3cm、1m敷設した後、各防草材の合計100質量部に対して水を20質量部散水し360日後にコンクリートと防草材の隙間があるか、1mあたり4点、1m全周を隙間ゲージで確認し、さらに隙間ゲージで隙間の厚みを測定しその平均値を求めた。さらに隙間から生えた芝の本数を測定した。
ひび割れの発生確認:隙間の発生確認で防草材表面に生じたひび割れやヘアクラックの本数を防草材表面に水をかけ、目視で測定した。
Figure 2017205050
表1から、本発明の防草材は、隙間の発生が無く、芝が少なく、ひび割れが少なく、防草効果に優れることが分かる。
「実験例2」
表2に示すように、セメント100質量部に対し、流動化剤とセメント混和用ポリマーの割合を変え、さらに、セメント100質量部に対し、土壌の割合を変えたこと以外は実験例1と同様な試験を実施した。結果を表2に併記した。
<使用材料>
流動化剤A:ナフタレンスルホン酸系減水剤、粉末、市販品
流動化剤B:ポリカルボン酸系減水剤、粉末、市販品
セメント混和用ポリマーA:アクリル−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル系共重合体、粉末、市販品
セメント混和用ポリマーB: SBR系エマルジョン、固形分濃度20質量%、市販品
セメント混和用ポリマーC:EVA系エマルジョン、固形分濃度20質量%、市販品
Figure 2017205050
表2から、本発明の防草材は、隙間の発生が無く、芝が少なく、ひび割れが少なく、防草効果に優れることが分かる。
「実験例3」
実験例1、2の実験No.1-1,2-1,2-2,2-3の各防草材(セメント+膨張材+土壌)100質量部に対して水20質量部を散水ではなく、オムニミキサに加え、練り混ぜたものを型枠または基礎面上に敷設したこと以外は実験例2と同様に実施した(実験No.3-1,3-2,3-3,3-4)。結果を表3に併記した。
Figure 2017205050
表3から、本発明の防草材は、練り混ぜたものを敷設しても隙間の発生が無く、芝が少なくひび割れが少なく、防草効果に優れることが分かる。
本発明の防草材及びその使用方法により、草刈の労力を軽減でき、防草の持続性が確保できるなどの効果を奏するので、河川の土手、田畑の畦畔、あるいは、鉄道、道路等の盛土ののり面などの雑草の生育を抑制することができるので、土木分野などで広範に使用される。

Claims (4)

  1. セメント、膨張材および土壌を含有してなる防草材。
  2. さらに、流動化剤およびセメント混和用ポリマーのいずれか1種または2種を含有してなる請求項1記載の防草材。
  3. 請求項1または2記載の防草材を地面に敷き詰めてその上に散水して被覆することを特徴とする防草材の使用方法。
  4. 請求項1または2記載の防草材を水で練混ぜて地面に敷き詰めて被覆することを特徴とする防草材の使用方法。
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