JP2017204684A - 読取装置および画像形成装置 - Google Patents

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洋平 小山内
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雅俊 石田
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Abstract

【課題】第1の透明部材と、傾斜した第2の透明部材との間で読取素子を衝撃および摩耗が少ない状態で移動させつつ円滑に傾斜させることができ、安価でかつ故障の少ない読取装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】フラットベッドコンタクトガラス41と、傾斜した状態に設けられるDFコンタクトガラス42を保持する保持部材43は、フラットベッドコンタクトガラス41の一体型光学走査ユニット47側の面よりも一体型光学走査ユニット47側に張り出していて、フラットベッドコンタクトガラス41寄りの部分が平面部43cに対し滑らかに連接されている枠状面部43dを有し、一体型光学走査ユニット47は、フラットベッドコンタクトガラス41に密着して移動し、保持部材43に密着しかつDFコンタクトガラス42に対してギャップを有して移動する。
【選択図】図11

Description

本発明は、第1の透明部材と、傾斜した第2の透明部材間で読取素子を移動させて原稿の画像を読み取る読取装置、およびこれを備えたマルチファンクションプリンタなどの画像形成装置に関する。
マルチファンクションプリンタ(MFP; Multifunction Printer)などの画像形成装置では、ユーザのニーズの多様化により、自動原稿搬送装置(ADF; Auto Document Feeder)で対応可能な原稿の種類の多様化が進み、画像読取部(スキャナ;SCN; scanner)における画像読取機構の多様化にも波及している。
こうした背景から、従来の画像形成装置の中には、フラットベッド(FB)コンタクトガラス上に原稿を載置し読取素子を移動させながら原稿を読み取る原稿固定方式の読取機能に加えて、原稿を搬送し、該原稿がDFコンタクトガラス上を通過する際に読取素子により当該原稿を読み取るシートスルー方式の読取機能を有するものもあった。
原稿固定方式およびシートスルー方式の読取機能を採用した従来の画像形成装置として、手置き原稿用ガラスと自動読取用ガラスとの間に下方に向かって山形状に突出する摺動面を有する架橋部を設けたものが既に知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載のものは、スキャナーユニット62が手置き原稿用ガラス25bと自動読取用ガラス25aの下方を往復移動する際に、摺動部材67が架橋部64eの摺動面に接触しながら摺動することにより、手置き原稿用ガラス25b、樹脂部材61および自動読取用ガラス25aの各部材間での段差にスキャナーユニット62や摺動部材67が接触するのを抑制でき、スキャナーユニット62の損傷、樹脂部材61の摩耗を抑制することができる(段落0017、0059、図5)。
しかしながら、特許文献1に記載されたものは、同一平面上にある自動読取用ガラスおよび手置き原稿用ガラス(第1および第2の透明部材)間を架橋部で連結する技術を採用したものであり、第1の透明部材と、傾斜状態に設けられる第2の透明部材とを有する読取装置には適用できなかった。
第1の透明部材と、傾斜して設けられる第2の透明部材とを有する読取装置では、密着型の読取素子(Contact Image Sensor)を用いるのが一般的である。このため、従来の読取装置は、第1および第2の透明部材間に曲面ガラスを用いる方法も考えられる。しかしながら、曲面ガラスは高価であり、結局のところ、従来の読取装置は、第1および第2の透明部材が平面で、両者の間を平面のガラス保持部で保持する構成が一般的であった。
上記構成を有する従来の読取装置は、第1の透明部材とガラス保持部との境目、およびガラス保持部と第2の透明部材の境目の2箇所で読取素子の角度が急激に変化し、異音や衝撃により故障が発生し易いという問題点があった。また、従来の読取装置は、移動中の読取素子の摺動部が上記2箇所の境目の段差やエッジに当接して摩耗し易く、これを避けるために曲面ガラスを採用するとコスト増を招来するという問題点があった。
本発明は、上述した点に鑑み案出されたものであり、第1の透明部材と、傾斜した第2の透明部材との間で読取素子を衝撃および摩耗が少ない状態で移動させつつ円滑に傾斜させることができ、安価でかつ故障の少ない読取装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係る読取装置は、上記目的を達成するため、原稿を載置可能な第1の透明部材と、前記第1の透明部材に対し副走査方向の一側に所要寸法離間しかつ所要角度傾斜した状態に設けられる第2の透明部材と、前記第1の透明部材と前記第2の透明部材とを保持する保持部材と、前記第1の透明部材と第2の透明部材に沿って副走査方向に移動する読取素子と、を備え、前記保持部材は、前記第1の透明部材と前記第2の透明部材との間のギャップを閉塞し、前記第1の透明部材の前記読取素子が密着する面と同一平面となって前記第1の透明部材に連接される平面部と、前記第2の透明部材の四方の側辺部を保持しかつ前記第1の透明部材の前記読取素子側の面よりも前記読取素子側に張り出していて、前記第1の透明部材寄りの部分が前記平面部に対し滑らかに連接されている枠状面部と、を有し、前記読取素子は、前記第1の透明部材に密着して移動し、前記保持部材に密着しかつ前記第2の透明部材に対してギャップを有して移動する構成である。
本発明では、第1の透明部材と、傾斜した第2の透明部材との間で読取素子を衝撃および摩耗が少ない状態で移動させつつ円滑に傾斜させることができ、安価でかつ故障の少ない読取装置および画像形成装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す正面断面図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置における装置本体と自動原稿搬送装置とのヒンジ結合の構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置における原稿トレイの上面図である。 本発明の実施の形態に係る画像読取装置におけるUターン搬送パスの説明図である。 本発明の実施の形態に係る画像読取装置におけるストレート搬送パスの説明図である。 本発明の実施の形態に係る画像読取装置におけるハードシート供給の説明図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置における自動原稿搬装置の動作の説明図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置における第2読取ユニットのブロック図である。 本発明の実施の形態に係る画像形成装置における画像読取部の要部の構成を示す概略縦断正面図である。 光路中にガラス等を介挿した場合の光路長変化量の算出方法を説明するため概略光路図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、給紙部2、画像形成部3および画像読取部4を備える装置本体1Mと、装置本体1M上に配置されたADF5とを備えたデジタル複合機である。
画像読取部4およびADF5は、画像読取装置6を構成し、ADF5は自動原稿搬送装置を構成している。本実施の形態において、ADF5は、原稿トレイ51に載置された原稿(以下、原稿シートSという)を1枚ずつ所定の原稿読取位置まで搬送した後に原稿トレイ51の下側に配置された排紙トレイ53に排紙するようになっている。
給紙部2は、図2に示すように、それぞれカットシート状の転写紙P(記録用紙:例えば白紙)を積層状態で収納可能な複数段の給紙カセット21A,21B,21Cを有している。各給紙カセット21A,21B,21Cには、例えば複数のシートサイズから予め選択されたシートサイズの転写紙Pが、縦又は横の給紙方向に向けて収容されるようになっている。
給紙部2は、給紙カセット21A,21B,21Cに収納された転写紙Pをそれぞれの最上層側から順次ピックアップして分離給紙する給紙装置22A,22B,22Cを有している。給紙部2には、さらに、各種ローラ23等が設けられており、これらによって、各給紙装置22A,22B,22Cから給紙された転写紙Pを画像形成部3の所定の画像形成位置まで搬送する給紙経路24が形成されている。
画像形成部3は、露光装置(露光ユニット)31と、感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cと、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のトナーが充填された現像装置33K,33Y,33M,33Cとを備えている。また、画像形成部3は、一次転写部34と、二次転写部35と、定着部36とを備えている。
露光装置31は、例えば、画像読取装置6で読み取った画像に基づいて各色の露光用のレーザ光Lを生成するようになっている。また、露光装置31は、レーザ光を各色の感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cを露光して、各感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cの表層部に読取画像に対応した各色の静電潜像を形成するようになっている。
現像装置33K,33Y,33M,33Cは、それぞれ対応する感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cに薄層状のトナーを近接させるように供給して、静電潜像をトナーにより顕像化する現像を行うようになっている。
画像形成部3は、感光体ドラム32K,32Y,32M,32C上に現像されたトナー像を一次転写部34に一次転写し、一次転写部34に近接する二次転写部35でそのトナー像を転写紙Pに二次転写するようになっている。また、画像形成部3は、転写紙Pに二次転写したトナー像を定着部36により加熱・加圧して溶融させ、転写紙Pにカラー画像を定着させて記録するようになっている。
画像形成部3は、給紙部2から給紙経路24を経て搬入された転写紙Pを二次転写部35側に搬送する搬送経路39Aを有している。この搬送経路39Aにおいては、まず、レジストローラ対37において、転写紙Pの搬送タイミングおよび搬送速度が調整されるようになっている。そして、転写紙Pは、一次転写部34および二次転写部35でのベルト速度に同期した状態で二次転写部35および定着部36を通過した後、排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
画像形成部3は、手差トレイ25上に載置される転写紙Pをレジストローラ対37よりも上流側で搬送経路39Aに給紙する手差給紙経路39Bを併有している。
二次転写部35および定着部36の下方には、それぞれ複数の搬送ローラおよび搬送ガイド等からなるスイッチバック搬送路39Cおよび反転搬送路39Dが配設されている。
スイッチバック搬送路39Cは、転写紙Pの両面に画像を形成する場合に、任意の一面に画像定着が済んだ転写紙Pを一端から進入させた後に、後退(進入時とは逆方向に移動)させるスイッチバック搬送を行うようになっている。
反転搬送路39Dは、スイッチバック搬送路39Cによりスイッチバック搬送された転写紙Pの表裏を反転させて、レジストローラ対37に再度給紙するようになっている。
これらスイッチバック搬送路39Cおよび反転搬送路39Dにより、一面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pは、その進行方向を逆向きに切り替えられた後に表裏反転されて、再び二次転写ニップに進入する。そして、転写紙Pは、他面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
上記構成を有する画像形成部3は、画像読取装置6で読み取った読取画像又はPC(パーソナル・コンピュータ)等外部装置から送信される印刷データに基づき、例えば露光装置31により各色の感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cを露光して各感光体ドラム32K,32Y,32M,32C上に静電潜像を形成し、各色の現像装置33K,33Y,33M,33Cで各感光体ドラムの潜像上にトナーを供給して現像する。また、画像形成部3は、各色の感光体ドラム32K,32Y,32M,32C上のトナー像を一次転写部34で転写ベルトに一次転写し、二次転写部35で転写紙P上に重ねて二次転写した後、定着部36により転写紙P上のトナー像を加熱および加圧して定着させ、カラー画像を形成することができるようになっている。
画像読取装置6は、自動搬送中に原稿シートS(葉書サイズ等、小サイズ原稿も含まれる。)の画像を読み取るDFスキャナモード(搬送原稿読取りモード)と、平坦なコンタクトガラス(後述するフラットベッドコンタクトガラス41)上に載置された原稿シートSの画像を読み取るフラットベッドスキャナモード(載置原稿読取りモード)とに切替え可能に構成されている。
フラットベッドスキャナモードにおいて、画像読取部4は、フラットベッドコンタクトガラス41上の原稿シートS(例えば原稿、厚紙、本等)の画像面に光を照射して、その画像面からの反射光を画像信号に変換することにより原稿シートSの画像を読み取ることができる。
また、DFスキャナモードにおいて、ADF5は、シート載置台である原稿トレイ51上に積載された原稿シートSの束から原稿シートSを1枚ずつ分離して、原稿トレイ51の一端に設けられた給紙口(第1給紙口)55aから原稿シートSを搬入し、後述する原稿搬送部52の機構により構成されるUターン搬送パス(第1搬送経路)56に沿って搬送する。そして、その搬送中、原稿シートSが、搬送方向の上流側部分から順次部分的に画像読取部4の所定の原稿読取位置である上面側のDFコンタクトガラス42に対面するようになっている。すなわち、画像読取装置6は、ADF5により搬送される原稿シートSの画像を画像読取部4のDFコンタクトガラス42上で順次読取りすることにより、DFスキャナの機能を発揮できるようになっている。
図3に示すように、ADF5は、装置本体1Mの上面側の後部(背面側の部分)にヒンジ等の開閉機構を介して取り付けられている。そして、ADF5は、装置本体1Mに対してフラットベッドコンタクトガラス41上を開放する開位置と、フラットベッドコンタクトガラス41上の原稿シートSを押付け可能な閉位置とを採り得るようになっている。
画像読取部4は、画像形成装置1の装置本体1Mの上部に位置している。画像読取部4は、原稿シートSの搬送経路に位置するDFコンタクトガラス42と、原稿シートSが載置可能なフラットベッドコンタクトガラス41と、原稿シートSの一辺の突当ておよび位置決めが可能な突当部材43aとを有している。また、装置本体1Mは、上部前面側に操作部150を設置している。
操作部150は、スタートボタン151およびタッチパネル152等を有しており、スタートボタン151が押下されると、画像形成装置1に対して印刷またはデータ送信の開始を要求するようになっている。
ADF5は、画像形成装置1の装置本体1Mの上部にヒンジ機構1hを介して開閉動作可能に連結され、下面に原稿押え43bが装着されている。ADF5は、画像読取部4におけるDFコンタクトガラス42およびフラットベッドコンタクトガラス41を露出させる開放位置と、DFコンタクトガラス42およびフラットベッドコンタクトガラス41を覆う閉止位置との間で回動操作されるようになっている。
図4に示すように、原稿トレイ51は、ADF5にセットされた原稿シートSをその給紙方向と直交するシート幅方向で位置決めする左右一対の可動のサイドガイド板54が装着されている。これらサイドガイド板54は、原稿トレイ51と原稿シートSの幅方向の中心を一致させるように相対的に接近・離間可能である。ただし、サイドガイド板54は、原稿トレイ51の一方の縁部側に原稿シートSの一方の縁部を当接させて他方の縁部側のみを移動可能に配置したものでもよい。
原稿トレイ51の先端寄りの底面付近には、原稿トレイ51に原稿シートSが載置されたか否かを検知する原稿セットセンサ82が設けられている。
ADF5は、少なくともその上方を開閉可能としたカバー55によって覆われている。カバー55は、原稿シートSの搬送方向先端がそのカバー55内に入るように原稿トレイ51の給紙側の端部付近の上方に給紙口55aを形成している。また、カバー55は、給紙口55aよりも内部に原稿トレイ51の先端部分が収納されるように、原稿トレイ51の搬送方向先端部分の上方を覆っている。また、ADF5は、給紙口55aから排出口55bまでの原稿搬送部52を形成する主要なガイド部分を、カバー55等に形成されたリブ等によって形成している。
次に、図5および図6を参照して、ADF5の構成を説明する。図5は、ADF5がUターン搬送パス56によって原稿トレイ51から原稿シートSを搬送する機構を説明する図である。
図5に示すように、ADF5は、定型の原稿シートSを載置可能な原稿載置台としての原稿トレイ51と、原稿シートSを画像読取り可能に搬送する原稿搬送部52と、画像読取り後の原稿シートSをスタックする排紙トレイ53とを備えている。原稿トレイ51と排紙トレイ53とは、小型化を目的として、少なくともそれらの一部が離間する状態でかつ上下に重ねて配置されている。
原稿搬送部52は、原稿トレイ51に載置された原稿シートSの束から最上位の原稿シートSを1枚ずつ分離して原稿搬送部52に搬入する分離ユニット52aを有している。また、原稿搬送部52は、分離・搬入された原稿シートSを折り返すように反転させるための複数の搬送ローラ52b,52c,52dを有しており、原稿シートSを折り返した後に、原稿シートSをDFコンタクトガラス42に沿ってその上面の所定の読取動作位置Pd1を通過させる。そして、原稿搬送部52は、そのさらに下流側に排出ローラ対52e,52fを有している。Uターン搬送パス56は、かかる原稿搬送部52の機構により原稿シートSが搬送される経路をいう。これら搬送および排紙用のローラ群の配置数や配置場所は、原稿搬送部52の経路設定条件や、原稿シートSの最小サイズの原稿搬送方向の長さ等に応じて任意に設定可能である。
第1読取ユニット45は、それを構成する一体型光学走査ユニット47が図5において47(Pb)で示される位置、すなわち図2の実線位置に位置するとき、搬送中の原稿シートSの画像を一体型光学走査ユニット47により読取動作位置Pd1で繰り返しライン走査して、原稿画像を読み取ることができる。そして、その画像読取り後の原稿シートSは、排出ローラ対52e,52fにより排紙トレイ53に排出される。
原稿搬送部52は、上述した分離ユニット52a、搬送ローラ52b,52c,52d、排出ローラ対52e,52fに加え、これら配置された複数のセンサやそれらの検知情報を基に搬送制御を実行するコントローラを有している。複数のセンサとは、例えば公知の給紙適正位置センサ92、突当センサ93、原稿幅センサ94、読取入口センサ95、レジストセンサ96、排紙センサ97、テーブル上昇センサ98等(図9参照)であり、それらのセンサが原稿シートSの搬送方向上流側から下流側に順に配置される。勿論、通常の原稿シートSは、PPCその他の屈曲の容易なシートで、画像記録面を形成し得るものである。
また、原稿搬送部52は、DFコンタクトガラス42の上流側の搬送ローラ52c,52dのニップ位置から排出口55bに至る下流側の所定搬送区間においてDFコンタクトガラス42に沿って傾斜しつつ延在するストレート搬送パス(第2搬送経路)56aを形成している。
図6は、ADF5がストレート搬送パス56aによって後述する図7に示されるカード供給トレイ(手差しトレイ)73の給紙口(第2給紙口)72から原稿シートSを搬送する機構を説明する図である。
図6に示すように、ストレート搬送パス56aは、通常の原稿シートSより高曲げ剛性となるハードシート、特に小サイズのハードシートHが、カード供給トレイ(手差しトレイ)73の給紙口72から搬入され、DFコンタクトガラス42の上面と平行をなすように傾斜した平面に沿って搬送される搬送経路である。また、ストレート搬送パス56a内を搬送されるとき、ハードシートHは、DFコンタクトガラス42上において、所定の読取動作位置Pd1を通過するようになっている。
ここにいう小サイズのハードシートHは、樹脂等(厚紙でもよい)で形成された標準定型サイズのカード類、例えば免許証、IDカード(身分証明書カード)、交通系カード等であり、図5に示すように搬送ローラ52b,52c,52dによって折り返すように反転させることができない種類の原稿である。
すなわち、ハードシートHは、図5に示すような原稿シートSを折り返すように反転させるUターン搬送パス56には適さず、図6に示すストレート搬送パス56aに適している。ここでの小サイズとは、例えば身分証明書カードの形状を定めた国際規格であるISO/IEC 7810のID−1、ID−2またはID−3のいずれか、またはそれと同程度のカードサイズである。ただし、そのカードサイズの短手方向の幅は、原稿トレイ51上にセットされる標準のカットシートサイズのうち最小サイズのカットシートの短手方向の幅よりも小さくなるように設定される。
ストレート搬送パス56aを形成する複数の搬送ローラ52c,52dおよび排出ローラ対52e,52fは、ストレート搬送パス56a上に配置された複数のセンサおよびそれらの検知情報を基に搬送制御を実行するコントローラと共に、第2原稿搬送部61を構成している。よって、この第2原稿搬送部61は、ストレート搬送パス56aの一端側、すなわち給紙口72から小サイズのハードシートHを搬入し、ストレート搬送パス56aに沿って搬送したハードシートHを、排紙領域側となるストレート搬送パス56aの他端側すなわち排出口55bから排紙する。
図7に示すように、カード供給部71は、ADF5の側面に設けられた給紙口72と、カード供給トレイ73から構成されている。カード供給部71は、さらに後述するカードピックアップローラ74と、カード搬送経路75とを備える(図8参照)。
カード供給トレイ73の底面付近には、カード供給トレイ73に原稿、すなわち、ハードシートHが載置されたか否かを検知する原稿セットセンサ82が設けられている。
カード供給トレイ73は、常時は閉じていてカバー55の側面の一部を構成し、図7および図8に示すように、給紙口72を開放するように回動可能となっている。このカード供給トレイ73は、閉状態にある場合には通常原稿である原稿シートSの搬送ガイドの一部となる。
カードピックアップローラ74は、カード供給トレイ73にセットされたハードシートHを取り出して、給紙口72を経由してカード搬送経路75にカードを供給する。カード搬送経路75は、給紙口72から下向き傾斜したDFコンタクトガラス42に至る経路であり、DFコンタクトガラス42の上流側でUターン搬送パス56に合流する。
この際、カード搬送経路75は、DFコンタクトガラス42の下向き傾斜に伴い、給紙口72からDFコンタクトガラス42に至る範囲を、DFコンタクトガラス42の傾斜角度に沿って同一平面上に位置している。これにより、カード搬送経路75とストレート搬送パス56aとは、給紙口72から排出口55bに至る範囲の全般でDFコンタクトガラス42の傾斜角度に沿って同一平面上に位置している。すなわち、カード供給トレイ73から搬入されたハードシートHは、カード搬送経路75とストレート搬送パス56aに沿って搬送される。
原稿搬送部52は、図8に詳しく開示しているように、原稿シートSの原稿搬送方向を基準として給紙口55a側の上流端であって原稿トレイ51の先端上部に、原稿シートSの載置により回動するセットフィラー57を有している。原稿搬送部52は、給紙口55aよりも内側の近傍に配置されたピックアップローラ58と、Uターン搬送パス56を挟んで対向するように配置された給紙ローラ59および分離板60からなる分離ユニット52aと、を有している。
ピックアップローラ58は、接触位置において原稿トレイ51に積載された原稿シートSのうち、最上位側から数枚(理想的には1枚)の原稿シートSをピックアップする。
給紙ローラ59は原稿給送方向に回転可能となっている。分離板60は、複数枚の原稿シートSが重送されようとした場合に、給紙ローラ59の回動移動方向に対して最上位以外の原稿シートSの抵抗となることにより、原稿シートSの重送を抑制する。なお、給紙ローラ59はベルト方式のものでもよいし、分離板60は給紙ローラ(給紙ベルト)とは逆方向に回転するローラ方式のものでもよい。
なお、給紙ローラ59の下流側に隣接して配置した搬送ローラ52b,52c,52dは、ピックアップローラ58の駆動タイミングに応じて、給紙した原稿シートSの先端を突き当ててスキュー搬送を補正し、補正後の原稿シートSを引き出し搬送する先端整合機能を備えるようになっている。
原稿搬送部52は、DFコンタクトガラス42の上方に対向するように配置して原稿シートSの画像を読み取らせる第1読取ローラ66と、排出口55bよりも上流側直前に配置して原稿シートSを排出口55bから排紙トレイ53に向けて排出する排出ローラ対52e,52fとを有する。
第1読取ローラ66は、コイルスプリング等の付勢部材を用いてDFコンタクトガラス42に向けて付勢されており、原稿シートSを搬送しつつ、その原稿シートSをDFコンタクトガラス42に密着させるようになっている。
原稿搬送部52は、第1読取ローラ66よりも下流側で搬送ローラ52b,52c,52dと排出ローラ対52e,52fとの間の比較的直線的に原稿シートSを搬送する経路上に第2読取ユニット68を配置している。
第2読取ユニット68は、原稿シートSおよびハードシートHの裏面画像を読み取る読取手段としての裏面走査ユニット69と、ストレート搬送パス56aを挟んで裏面走査ユニット69に対向するよう配置された第2読取ローラ70と、を有している。
裏面走査ユニット69は、原稿シートSおよびハードシートHの表面画像を画像読取部4の一体型光学走査ユニット47で読み取った後の原稿シートSおよびハードシートHの裏面画像を読み取るように密着型のイメージセンサ等を用いている。
第2読取ローラ70は、裏面走査ユニット69における原稿シートSおよびハードシートHの浮きを抑えると同時に、裏面走査ユニット69におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねている。なお、原稿シートSおよびハードシートHの裏面画像の読み取りを行わない場合には、原稿シートSおよびハードシートHは裏面走査ユニット69を素通りするようになっている。
第2読取ローラ70は、ギャップ調整機構により、裏面走査ユニット69と原稿シートSまたはハードシートHとの距離(搬送ギャップ)に関して、画像品質を損なわない焦点深度に合わせた適切な距離を保つようになっている。
次に、図5〜図8を参照してADF5の原稿読取動作について説明する。上記の構成において、原稿シートSの画像を読み取る場合には、図5に示すように、原稿トレイ51に原稿シートSをセットし、スタートボタン151を押下することで最上位の原稿シートSから順に、給紙口55aを経由してUターン搬送パス56へと繰り出される。
そして、図8(A)に示すように、原稿トレイ51にセットされた原稿シートSは、給紙口55aを経由してUターン搬送パス56へと繰り出された後、図中の円で示されるUターン搬送経路56gで折り返されるようにUターン搬送される。この後、原稿シートSは、DFコンタクトガラス42の上面を通過する際に、第1読取ローラ66の加圧でDFコンタクトガラス42に密着されつつイメージセンサとしての一体型光学走査ユニット47により一面(例えば、表面)の画像が読み取られる。
さらに、原稿シートSの他面(例えば、裏面)の画像を読み取る場合には、原稿シートSが裏面走査ユニット69を通過する際に、第2読取ローラ70の加圧で裏面走査ユニット69に密着されつつ裏面走査ユニット69により他面(例えば、裏面)の画像が読み取られる。そして、他面の画像を読み取った後の原稿シートSは、排出ローラ対52e,52fにより排出口55bから排紙トレイ53に向けて排出される。
一方、原稿トレイ51で設定されている最小サイズ原稿シートS(例えば、葉書サイズ)よりも小さい原稿、特に、銀行等のキャッシュカードや各種クレジットカード等のような厚手の樹脂カード類などのハードシートHの画像を読み取る場合には、まず、図7に示すように、カード供給トレイ73により給紙口72を開放する。
この状態で、カード供給トレイ73にハードシートHをセットし、スタートボタン151を押下することで最上位のハードシートHから順に、給紙口72を経由してカード搬送経路75へと繰り出される。カード搬送経路75は、その全般が同一平面上にあるとともに、2つのローラから構成されるカードピックアップローラ74、第1読取ローラ66、排出ローラ対52e,52fのそれぞれの隣接間隔がハードシートHの縦サイズ(又は横サイズ)以下で配置されている。
そして、図8(B)に示すように、給紙口72を経由してカード搬送経路75へと繰り出されたハードシートHは、DFコンタクトガラス42の上面を通過する際に、第1読取ローラ66の加圧でDFコンタクトガラス42に密着されつつ一体型光学走査ユニット47により一面(例えば、表面)の画像が読み取られる。
さらに、ハードシートHの他面(例えば、裏面)の画像を読み取る場合には、ハードシートHが裏面走査ユニット69を通過する際に、第2読取ローラ70の加圧で裏面走査ユニット69に密着されつつ裏面走査ユニット69により他面の画像が読み取られる。そして、他面(例えば、裏面)の画像を読み取った後のハードシートHは、排出ローラ対52e,52fにより排出口55bから排紙トレイ53に向けて排出される。
このように、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、画像の読み取り対象となる原稿シートSを積載する原稿トレイ51と、原稿トレイ51に積載された原稿シートSを取り出す給紙口55aと、給紙口55aで取り出した原稿シートSをUターン搬送パス56により搬送する原稿搬送部52と、原稿搬送部52に配置され搬送中の原稿シートSの一面側の画像を読み取る一体型光学走査ユニット47と、原稿搬送部52に配置され搬送中の原稿シートSの他面側の画像を読み取る裏面走査ユニット69と、給紙口55aとは別に設けられハードシートHを原稿搬送部52に向けて供給する給紙口72と、Uターン搬送パス56の一部を構成し、給紙口72から裏面走査ユニット69を経由して排出口55bに至る搬送経路が同一平面上に位置するストレート搬送パス56aと、を備えることにより、ADF5の小型化や読み取り時間の短縮化に貢献しつつ、小サイズで厚手の樹脂カード類への読み取りを可能とし、原稿シートSおよびハードシートHなどの読み取りの多様化に対応することができる。
次に、図9を用いて画像形成装置1の動作の制御構成を説明する。図9に示すように、画像形成装置1は、自動原稿搬送制御用のコントローラ部100と、装置本体制御用の本体制御部111と、本体制御部111に付帯する操作部150とを備えている。
コントローラ部100は、原稿セットセンサ82、給紙適正位置センサ92、突当センサ93、原稿幅センサ94、読取入口センサ95、レジストセンサ96、排紙センサ97およびテーブル上昇センサ98の検知信号を取り込むようになっている。
コントローラ部100は、ピックアップローラ58を駆動するピックアップモータ101と、給紙ローラ59および搬送ローラ52b,52c,52dを駆動する給紙モータ102と、一体型光学走査ユニット47を保持する後述のブラケット48(図11参照)を移動させるタイミングプーリを駆動する読取モータ103と、排出ローラ対52e,52fを駆動する排紙モータ104と、および原稿トレイ51の可動原稿テーブル51a(図4参照)を昇降させる底板上昇モータ105を作動させるようになっている。
コントローラ部100は、一体型光学走査ユニット47に対して、原稿シートSまたはハードシートHの先端が該一体型光学走査ユニット47の読取位置に到達するタイミング(それ以降の画像データが有効データとして扱われる)を通知するタイミング信号等を出力するとともに、第2読取ユニット68に対して、原稿シートSまたはハードシートHの先端が裏面走査ユニット69の読取位置に到達するタイミング(それ以降の画像データが有効データとして扱われる)を通知するタイミング信号等を出力するようになっている。
コントローラ部100と本体制御部111とは、インターフェース回路107を介して接続されている。本体制御部111は、操作部150のスタートボタン151が押下されると、インターフェース回路107を介してコントローラ部100に原稿給紙信号や読取開始信号を送信するようになっている。
次に、図10を用いて画像読取装置6と画像形成装置1との間の信号経路について説明する。
図10に示すように、第2読取ユニット68は、LEDアレイ、蛍光灯、または冷陰極管等からなる光源部200を有している。光源部200は、コントローラ部100からの点灯信号に基づいて、原稿シートSに光を照射するようになっている。また、第2読取ユニット68は、コントローラ部100から原稿シートSの先端が裏面走査ユニット69の読取位置に到達するタイミングを通知するタイミング信号や光源部200の電源を得るようになっている。
第2読取ユニット68は、主走査方向に並ぶ複数のセンサチップ201と、それぞれのセンサチップ201に個別に接続された複数のOPアンプ回路202と、それぞれのOPアンプ回路202に個別に接続された複数のA/Dコンバータ203とを有している。さらに、第2読取ユニット68は、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206およびインターフェース回路207(図中ではI/F回路と記す)等を併有している。
センサチップ201は、等倍密着イメージセンサと称される光電変換素子と集光レンズとを具備するものである。原稿シートSの表面で反射した反射光は、複数のセンサチップ201の集光レンズにより光電変換素子に集光され、画像情報として読み取られるようになっている。
それぞれのセンサチップ201で読み取られた画像情報は、OPアンプ回路202によって増幅された後、A/Dコンバータ203によってデジタル画像情報に変換されるようになっている。
これらデジタル画像情報は、画像処理部204に入力されてシェーディング補正などが施された後、フレームメモリ205に一時記憶されるようになっている。さらに、デジタル画像情報は、出力制御回路206によって本体制御部111に受入可能なデータ形式に変換された後、インターフェース回路207を経由して本体制御部111に出力されるようになっている。
次に、図11を参照して、画像読取部4の構成を説明する。画像読取部4は、ADF5とともに画像読取装置6を構成している。図11は画像読取部4の要部、すなわち、第1の透明部材であるフラットベッドコンタクトガラス41と、傾斜して設けられた第2の透明部材であるDFコンタクトガラス42近傍の構成を示し、図11(A)はフラットベッドスキャナモードのときの概略縦断正面図であり、図11(B)はモード切替時のときの一体型光学走査ユニットの移動途中を示す概略縦断正面図であり、図11(C)はDFスキャナモードのときの概略縦断正面図である。
フラットベッドコンタクトガラス41は、画像読取装置6がフラットベッドスキャナとして機能する場合であって読取対象の原稿シートSが原稿載置面41aに載置されるとき、その原稿シートSの画像面に対面するようになっている。また、DFコンタクトガラス42は、画像読取装置6がDFスキャナとして機能する場合に、原稿通過側の面42aが、Uターン搬送パス56の所定読取り位置を通過する原稿シートSの画像面に対面するようになっている。さらに、DFコンタクトガラス42は、図11(A)に示すように、フラットベッドコンタクトガラス41に対して予め設定された傾斜角θをなすよう傾斜している。
画像読取装置6は、本実施の形態に係る読取装置を構成する。画像読取装置6において、画像読取部4は、フラットベッドコンタクトガラス41と、傾斜した状態に設けられるDFコンタクトガラス42を保持する保持部材43の構成に特徴がある。画像読取部4について、保持部材43の構成を主体に詳しく説明する。
図11に示すように、画像読取部4において、DFコンタクトガラス42は、フラットベッドコンタクトガラス41に対し副走査方向の一側に所要寸法離間しかつ所要角度θ傾斜した状態に設けられる。一体型光学走査ユニット47は、フラットベッドコンタクトガラス41とDFコンタクトガラス42に沿って副走査方向に移動し、上述したUターン搬送パス56を搬送される原稿シートSの画像、あるいはストレート搬送パス56aを搬送されるハードシートHの画像を読み取る読取素子として機能する。
画像読取部4において、フラットベッドコンタクトガラス41とDFコンタクトガラス42とを保持する保持部材43は、フラットベッドコンタクトガラス41とDFコンタクトガラス42との間の離間距離(以下、ギャップという)g1を閉塞するように設けられる。保持部材43は、平面部43cと枠状面部43dとが設けられ、樹脂または板金により一体的に成形されたものである。
具体的に、保持部材43は、フラットベッドコンタクトガラス41の一体型光学走査ユニット47が密着する面、すなわち原稿シートSを載置する原稿載置面41aとは反対側の面と同一平面となってフラットベッドコンタクトガラス41に連接される平面部43cを有する。
また、保持部材43は、平面部43cのフラットベッドコンタクトガラス41とは逆位置の側において、DFコンタクトガラス42の四方の側辺部42d,42e,42f,42g(図3参照)を保持している。保持部材43は、側辺部42d,42e,42f,42gを保持しかつDFコンタクトガラス42の一体型光学走査ユニット47側の面よりも一体型光学走査ユニット47側に張り出していて、フラットベッドコンタクトガラス41寄りの部分が平面部43cに対し滑らかに連接されている枠状面部43dを有している。枠状面部43dのフラットベッドコンタクトガラス41寄りの部分には、R形状を有するR形状部R1が形成されている。
図11に示す画像読取部4の構成において、DFコンタクトガラス42は、フラットベッドコンタクトガラス41に比べて厚さ寸法が小さい(薄い)ものが用いられる。一方、保持部材43は、枠状面部43dを有する部分がDFコンタクトガラス42よりも厚さ寸法が大きいものである。
また、保持部材43は、DFコンタクトガラス42の原稿通過側の面42aが当該保持部材43の上面と同一平面となるようにDFコンタクトガラス42を保持している。これにより、保持部材43は、DFコンタクトガラス42の下面の下方部分から枠状面部43dの下面まで開口された開口部43eを有している。つまり、保持部材43は、DFコンタクトガラス42を、その下面が保持部材43の枠状面部43dの下面からギャップg2を隔てた位置となるようにDFコンタクトガラス42の四方の側辺部42d,42e,42f,42g(図3参照)を保持している。
ここで、ギャップg2は、図11に示す画像読取部4の構成において、フラットベッドコンタクトガラス41の原稿載置面41aから一体型光学走査ユニット47までの光学的距離D1と、DFコンタクトガラス42の原稿通過側の面42aから一体型光学走査ユニット47までの光学的距離D2と、が同一寸法となるように設けられたものである。ギャップg2の設定条件については、図12を参照して以下に詳述する。
一体型光学走査ユニット47は、保持部材43の開口部43eの主走査方向の長さよりも大きい距離離間した上部スライダ部47bを有する。本実施の形態では、図11に示すように、一体型光学走査ユニット47の上面部には、例えば、主走査方向(図11における紙面に直交する方向)の両端側にそれぞれ副走査方向に2個ずつ配列された計4個の上部スライダ部47bが形成されている。
この構成により、一体型光学走査ユニット47は、上述した主走査方向両端側の各上部スライダ部47bが、保持部材43の枠状面部43dにおける開口部43eを挟んでフラットベッドコンタクトガラス41の下面に密着して移動し、続いて保持部材43の下面に密着して平面部43c、R形状部R1を経て移動し、さらにR形状部R1を過ぎた後に枠状面部43dの下面の平坦な部分に密着してDFコンタクトガラス42の下面に対してギャップg2を有して移動することとなる。
また、図11に示す画像読取部4の構成において、保持部材43のフラットベッドコンタクトガラス41の原稿載置面41a側の端面、すなわち突当部材43aが原稿セット基準面(原稿設置基準位置)となっている。画像読取部4は、フラットベッドコンタクトガラス41の原稿載置面41a側の突当部材43aに原稿シートSの四辺のうちの任意の1辺が当接するように原稿シートSを載置することで、一体型光学走査ユニット47が上記原稿設置基準位置を起点として当該原稿シートSの読取走査を行うことができる。
なお、フラットベッドコンタクトガラス41やDFコンタクトガラス42等のガラスは、薄く(厚さ寸法を小さく)すると、厚み公差のレンジすなわち許容差が小さくなることが知られている(JIS R3202参照)。例えば、厚さt=1.9のガラスでは厚み公差±0.2、厚さt=2.8のガラスでは厚み公差±0.3となる。すなわち、ガラスは、薄い方が厚み公差が小さくなり、焦点位置のバラツキも小さくなる特性を有する。
また、光学的な距離を示す公式については、例えば、図12に示すように、光路中にコンタクトガラス、CCDカバーなどの透明部材が介入すると、下式(1)に示すように、介入した透明部材の屈折率が大きくなることで光路長が大きくなることが知られている。
Δl=〔(n−1)/n〕×t ・・・・ (1)
ここで、Δlは光路長変化量、nは屈折率、tは屈折率nを有するもの(透明部材)の厚みである。図12においては、透明部材はフラットベッドコンタクトガラス41およびDFコンタクトガラス42と同種別のガラスであり、その屈折率nはn=1.5であることを想定している。
また、図11に示す画像読取部4の構成では、ガラスの厚みおよび厚み公差について、フラットベッドコンタクトガラス41についてはt=2.8±0.3、DFコンタクトガラス42についてはt=1.9±0.2という値を想定している。
このように、DFコンタクトガラス42がフラットベッドコンタクトガラス41より薄い構成によれば、フラットベッドコンタクトガラス41との間で光路長に差が生じることになる。この点の対策として、本実施の形態では、保持部材43を、DFコンタクトガラス42の下面と枠状面部43dの下面との間にギャップg2が形成された構成とし、上述した光学的距離D1とD2が同一寸法となるようにしている。
図11に示す構成において、画像読取部4の内部には、第1読取ユニット45と、左右方向に延びるガイドロッド46とが設けられている。第1読取ユニット45は、一体型光学走査ユニット47と、一体型光学走査ユニット47を保持するブラケット48と、一体型光学走査ユニット47およびブラケット48の間に圧縮状態で組み込まれた複数の圧縮コイルばね49とで構成されている。
一体型光学走査ユニット47は、例えばモールドフレームに、等倍結像素子ルーフミラーレンズアレイ、光路分離ミラー、等倍イメージセンサ、照明光源等を保持させた密着イメージセンサとして構成されている。この一体型光学走査ユニット47は、画像を主走査方向に高解像でライン走査することができ、ブック原稿等の画像読取りにも対応可能な大きな焦点深度を有するように構成されている。
なお、一体型光学走査ユニット47は、DFスキャナとフラットベッドスキャナに対応できる構成であれば、特定の方式に限定されるものではない。主走査方向は、フラットベッドコンタクトガラス41の上面およびDFコンタクトガラス42の上面の双方に対して平行な方向である。
ブラケット48は、ガイドロッド46に支持された下側スライダ部48aと、一体型光学走査ユニット47を保持する保持腕部48bと、これら下側スライダ部48aおよび保持腕部48bを一体に装着したブラケット本体部48dとを有している。
ここで、下側スライダ部48aは、ブラケット本体部48dの長手方向中央の下部に固定された筒状体からなり、保持腕部48bは、ブラケット本体部48dの中央部で図中上方側に突出する板状体によって構成されている。保持腕部48bは、一体型光学走査ユニット47の両端面から垂直に突出する両端突出部47aを長手方向軸線回りに姿勢変化可能におよび上下方向に変位可能に保持するよう、垂直方向の長穴(小判穴)48cを有している。
複数の圧縮コイルばね49は、一体型光学走査ユニット47の下面部分を主走査方向の複数箇所で上方側(フラットベッドコンタクトガラス41側、DFコンタクトガラス42側)に押し付けるようになっている。
また、一体型光学走査ユニット47の上部には、フラットベッドコンタクトガラス41およびDFコンタクトガラス42のうち少なくとも一方の下面に当接しつつ副走査方向に円滑に滑り動く矩形環状の上部スライダ部47bが装着されている。
なお、この上部スライダ部47bは、一体型光学走査ユニット47の長手方向または短手方向に延在するとともに、その延在方向と直交する方向で互いに離間する突起状のものであってもよい。また、上部スライダ部47bは、複数の半球状の突起等で構成されてもよい。いずれの場合も、上部スライダ部47bは、フラットベッドコンタクトガラス41およびDFコンタクトガラス42の下面かそれに代わるガイド面に対し、低摩擦係数で摺動性・滑動性が良く、無潤滑にできる素材で形成されるのがよい。
一体型光学走査ユニット47は、また、図11(A)、(B)、(C)に示すとおり、ブラケット48の下方側に配置されたガイドロッド46によって副走査方向に移動自在に案内されている。そして、その副走査方向の位置に応じて、一体型光学走査ユニット47は、その上部でフラットベッドコンタクトガラス41およびDFコンタクトガラス42のうちいずれか片方または両方にスライド可能に当接する。これにより、第1読取ユニット45は、ガイドロッド46に沿って移動自在であるものの、ガイドロッド46の軸回りの傾きを規制される。
この第1読取ユニット45は、フラットベッドコンタクトガラス41上の原稿シートSの画像面を主走査方向にライン走査するとともに副走査方向に移動することで、原稿シートSの画像を読み取ることができる。また、第1読取ユニット45は、DFコンタクトガラス42上を通過する搬送原稿の画像を主走査方向にライン走査することで、原稿シートSの画像を読み取ることができる。
なお、画像読取部4の内部には、無端のループ状でその周方向の一箇所に第1読取ユニット45のブラケット48が固定されたタイミングベルトが設けられている。また、画像読取部4の内部には、タイミングベルトが弛みなく掛け渡された複数のタイミングプーリと、いずれか1つのタイミングプーリを回転駆動するモータ等が設けられている。
フラットベッドスキャナモードの読取動作を行う場合、第1読取ユニット45は、ホームポジションから副走査方向一方側に移動しながら、例えば図2に点線で示す停止位置付近のホームポジションから同図中の右側に移動する。そして、その微小移動距離毎に一体型光学走査ユニット47によるライン走査を実行して、フラットベッドコンタクトガラス41上の載置原稿シートSの表面(下面)の画像を読み取る。また、その読取動作が終了すると、第1読取ユニット45は、再度ホームポジションに戻る。
DFスキャナモードの読取動作を行う場合、第1読取ユニット45は、図2に実線で示すように、ホームポジションからDFコンタクトガラス42の下方に移動する。すなわち、第1読取ユニット45は、ホームポジションから予め設定された距離だけ副走査方向他方側に移動してDFコンタクトガラス42の下方で停止し、DFコンタクトガラス42上を通過する搬送原稿シートSの表面の画像を読み取る。
このように、第1読取ユニット45は、フラットベッドコンタクトガラス41の下方側とDFコンタクトガラス42の下方側とに位置し得るよう副走査方向に移動可能である。そして、一体型光学走査ユニット47は、その副走査方向位置に応じて、図11(A)に示すようなフラットベッドコンタクトガラス41を通して画像読取り可能な水平の第1読取姿勢と、図11(C)に示すようなDFコンタクトガラス42を通して画像読取り可能な傾斜した第2読取姿勢とに姿勢変化する。
上記姿勢変化に際し、一体型光学走査ユニット47は、上部スライダ部47bが保持部材43の下方に密着しかつ摺動しながらフラットベッドコンタクトガラス41とDFコンタクトガラス42間を移動する。
本実施の形態において、画像読取部4は、図11に示すように、保持部材43が、フラットベッドコンタクトガラス41とDFコンタクトガラス42との間のギャップg1を閉塞し、フラットベッドコンタクトガラス41の一体型光学走査ユニット47が密着する面と同一平面となってフラットベッドコンタクトガラス41に連接される平面部43cと、DFコンタクトガラス42の四方の側辺部42d,42e,42f,42gを保持しかつフラットベッドコンタクトガラス41の一体型光学走査ユニット47の面よりも一体型光学走査ユニット47側に張り出していて、フラットベッドコンタクトガラス41寄りの部分が平面部43cに対し滑らかに連接されている枠状面部43dと、を有する構成である。
この構成により、一体型光学走査ユニット47は、フラットベッドコンタクトガラス41に上部スライダ部47bが密着して水平に移動し、引き続き上部スライダ部47bが保持部材43に密着して水平の移動を続ける。さらに一体型光学走査ユニット47は、保持部材43の枠状面部43dに密着しR形状部R1を経由して滑らかに傾斜しつつDFコンタクトガラス42側に達し、枠状面部43dの下面の平坦な部分に密着しDFコンタクトガラス42とギャップg2を維持して移動する。一体型光学走査ユニット47は、上述した動きとは逆の動きをたどって逆方向にも移動可能である。
ここで、本実施の形態に係るフラットベッドコンタクトガラス41およびDFコンタクトガラス42の保持構造と従来の保持構造との作用効果の違いについて説明する。
従来の保持構造は、フラットベットコンタクトガラスとDFコンタクトガラスの厚みが同じで、読取素子の摺動部が摺動する範囲はすべて平面とされるように両者をガラス保持部で保持する構成が一般的であった。このため、フラットベットコンタクトガラスとガラス保持部の境目やガラス保持部とDFコンタクトガラスの境目などで一体型光学走査ユニット47の角度が急激に変化し、異音や衝撃による故障の原因となることがあった。また、フラットベットコンタクトガラスからガラス保持部材、ガラス保持部材からDFコンタクトガラスへと移動するときに段差やエッジに読取素子の摺動部が当接し摩耗の原因となっていた。
これに対し、本実施の形態では、図11に示すように、フラットベットコンタクトガラス41とDFコンタクトガラス42の厚みを変え、保持部材43に、一体型光学走査ユニット47が密着する面と同一平面となるようにフラットベットコンタクトガラス41に連接される平面部43cを形成する一方で、DFコンタクトガラス42寄りの部分にR形状部R1を有する枠状面部43dを設けることで、DFコンタクトガラス42下での上部スライダ部47bの摺動面がDFコンタクトガラス42ではなく保持部材43の枠状面部43dで構成されることを可能にしている
この構成により、本実施の形態では、摺動面を構成する部品のつなぎ目で発生するバリやエッジが2箇所であった従来の保持構造に比べて、当該バリやエッジの発生部分を平面部43cの一カ所に減らし、一体型光学走査ユニット47に対する衝撃、上部スライダ部47bの摩耗を低減することができる。これにより、異音も低減でき、かつ故障し難いものとすることができる。また、保持部材43は、樹脂や板金を用いて構成することで枠状面部43dのR形状部R1も容易に形成でき、R形状を有するガラス製のものとする場合に比べてコスト削減が見込める。
また、本実施の形態では、DFコンタクトガラス42がフラットベッドコンタクトガラス41よりも厚さ寸法が小さい構成である。この構成とする理由は、DFコンタクトガラス42はフラットベットコンタクトガラス41と比べると副走査方向の長さが短いため、DFコンタクトガラス42の厚さ寸法を小さくした方がその下方に一体型光学走査ユニット47の上部スライダ部47bの摺動面を構成する枠状面部43dを挿入し易いからである。
このように、本実施の形態では、DFコンタクトガラス42、すなわち、副走査方向の長さが短い方の透明部材の厚さ寸法を小さくすることで、透明部材でない摺動面を構成する部材(枠状面部43d)を小さくすることができ、構成を簡略化することができる。また、薄いDFコンタクトガラス42と一体型光学走査ユニット47との間に保持部材43の一部すなわち枠状面部43dを介挿したため、一体型光学走査ユニット47の摺動面は、保持部材43と厚いフラットベットコンタクトガラス41の2部品となり、部品間のつなぎ目が一カ所となり、異音の発生や摺動面の摩耗が低減される。また、DFコンタクトガラス42の下方に枠状面部43dを設けることで、該枠状面部43dにガラス面では実現できないR形状部R1を設けることができる。保持部材43の枠状面部43dがR形状部R1を有する構成によれば、一体型光学走査ユニット47を滑らかに傾斜させることで異音や衝撃を低減でき、故障も低減できる。
また、本実施の形態では、保持部材43のフラットベットコンタクトガラス41の原稿載置面41a側の端面である突当部材43aがフラットベットスキャナモード時の原稿設置基準80を構成している。この構成によれば、保持部材43に一体型光学走査ユニット47の摺動面、ガラス保持、原稿設置基準という複数の機能を持たせることができ、部品点数およびコストを削減することができる。
よって、本実施形態に係る、フラットベッドコンタクトガラス41と、傾斜した状態に設けられるDFコンタクトガラス42を異なる厚さとし、両者を、平面部43cと、R形状部R1が形成された枠状面部43dとを有する保持部材43で保持する構成によれば、フラットベッドコンタクトガラス41と、傾斜した状態に設けられるDFコンタクトガラス42との間で一体型光学走査ユニット47を衝撃および摩耗が少ない状態で移動させつつ円滑に傾斜させることができ、安価でかつ故障の少ない画像読取装置6および画像形成装置1を提供することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、図11に示す構成によれば、DFコンタクトガラス42をフラットベットコンタクトガラス41よりも薄くした構成を挙げているが、フラットベットコンタクトガラス41をDFコンタクトガラス42よりも薄くする構成としてもよい。この場合も、一体型光学走査ユニット47の焦点距離の関係から、フラットベットコンタクトガラス41の下面と保持部材43の下面との間に、上記光学的距離D1とD2を一致させるためのギャップを設ける必要がある。
本発明はプリンタ・複写機・ファクシミリなどに用いる読取装置およびそれを備えた画像形成装置の分野において有用な発明である。
以上説明したとおり、本発明によれば、第1の透明部材と、傾斜した第2の透明部材との間で読取素子を衝撃および摩耗が少ない状態で移動させつつ円滑に傾斜させることができ、安価でかつ故障の少ない読取装置および画像形成装置を提供することができる。
1 画像形成装置
4 画像読取部
5 自動原稿搬送装置(ADF)
6 画像読取装置(読取装置)
41 フラットベッドコンタクトガラス(第1の透明部材)
41a 原稿載置面
42 DFコンタクトガラス(第2の透明部材)
42a 原稿通過側の面
42d,42e,42f,42g 側辺部
43 保持部材
43a 突当部材(第1の透明部材の原稿載置面側の端面)
43c 平面部
43d 枠状面部
47 一体型光学走査ユニット(読取素子)
D1 第1の透明部材の原稿載置面から読取素子までの光学的距離
D2 第2の透明部材の原稿通過側の面から読取素子までの光学的距離
g1,g2 ギャップ(離間距離)
S 原稿シート(原稿)
H ハードシート(原稿)
特開2014−3396号公報

Claims (4)

  1. 原稿を載置可能な第1の透明部材と、
    前記第1の透明部材に対し副走査方向の一側に所要寸法離間しかつ所要角度傾斜した状態に設けられる第2の透明部材と、
    前記第1の透明部材と前記第2の透明部材とを保持する保持部材と、
    前記第1の透明部材と第2の透明部材に沿って副走査方向に移動する読取素子と、を備え、
    前記保持部材は、
    前記第1の透明部材と前記第2の透明部材との間のギャップを閉塞し、前記第1の透明部材の前記読取素子が密着する面と同一平面となって前記第1の透明部材に連接される平面部と、
    前記第2の透明部材の四方の側辺部を保持しかつ前記第1の透明部材の前記読取素子側の面よりも前記読取素子側に張り出していて、前記第1の透明部材寄りの部分が前記平面部に対し滑らかに連接されている枠状面部と、を有し、
    前記読取素子は、
    前記第1の透明部材に密着して移動し、前記保持部材に密着しかつ前記第2の透明部材に対してギャップを有して移動するようになっていることを特徴とする読取装置。
  2. 前記第2の透明部材が前記第1の透明部材よりも厚さ寸法が小さく、前記第1の透明部材の原稿載置面から前記読取素子までの光学的距離と、前記第2の透明部材の原稿通過側の面から前記読取素子までの光学的距離と、が同一寸法であることを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
  3. 前記保持部材の前記第1の透明部材の原稿載置面側の端面が原稿セット基準面となっていることを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つの読取装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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