以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、給紙部2、画像形成部3および画像読取部4を備える装置本体1Mと、装置本体1M上に配置された自動原稿搬送部(ADF)5とを備えたデジタル複合機である。画像読取部4およびADF5は、画像読取装置6を構成している。
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す正面断面図である。
給紙部2は、それぞれカットシート状の原稿を積層状態で収納可能な複数段の給紙カセット21A,21B,21Cを有している。各給紙カセット21A,21B,21Cには、例えば複数のシートサイズから予め選択されたシートサイズの原稿(例えば白紙)が、縦又は横の給紙方向に向けて収容されるようになっている。
給紙部2は、給紙カセット21A,21B,21Cに収納された転写紙をそれぞれの最上層側から順次ピックアップして分離給紙する給紙装置22A,22B,22Cを有している。給紙部2には、さらに、各種ローラ23等が設けられており、これらによって、各給紙装置22A,22B,22Cから給紙された転写紙を画像形成部3の所定の画像形成位置まで搬送する給紙経路24が形成されている。
画像形成部3は、露光装置31と、感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cと、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のトナーが充填された現像装置33K,33Y,33M,33Cとを備えている。また、画像形成部3は、一次転写部34と、二次転写部35と、定着部36とを備えている。
露光装置31は、例えば、画像読取装置6で読み取った画像に基づいて各色の露光用のレーザ光Lを生成するようになっている。また、露光装置31は、レーザ光を各色の感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cを露光して、各感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cの表層部に読取画像に対応した各色の静電潜像を形成するようになっている。
現像装置33K,33Y,33M,33Cは、それぞれ対応する感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cに薄層状のトナーを近接させるように供給して、静電潜像をトナーにより顕像化する現像を行うようになっている。
画像形成部3は、感光体ドラム32K,32Y,32M,32C上に現像されたトナー像を一次転写部34に一次転写し、一次転写部34に近接する二次転写部35でそのトナー像を転写紙に二次転写するようになっている。また、画像形成部3は、原稿に二次転写したトナー像を定着部36により加熱・加圧して溶融させ、転写紙にカラー画像を定着させて記録するようになっている。
画像形成部3は、給紙部2から給紙経路24を経て搬入された転写紙を二次転写部35側に搬送する搬送経路39Aを有している。この搬送経路39Aにおいては、まず、レジストローラ対37において、転写紙の搬送タイミングおよび搬送速度が調整されるようになっている。そして、転写紙は、一次転写部34および二次転写部35でのベルト速度に同期した状態で二次転写部35および定着部36を通過した後、排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
画像形成部3は、手差トレイ25上に載置される転写紙をレジストローラ対37よりも上流側で搬送経路39Aに給紙する手差給紙経路39Bを併有している。
二次転写部35および定着部36の下方には、それぞれ複数の搬送ローラおよび搬送ガイド等からなるスイッチバック搬送路39Cおよび反転搬送路39Dが配設されている。
スイッチバック搬送路39Cは、転写紙の両面に画像を形成する場合に、任意の一面に画像定着が済んだ原稿を一端から進入させた後に、後退(進入時とは逆方向に移動)させるスイッチバック搬送を行うようになっている。
反転搬送路39Dは、スイッチバック搬送路39Cによりスイッチバック搬送された転写紙の表裏を反転させて、レジストローラ対37に再度給紙するようになっている。
これらスイッチバック搬送路39Cおよび反転搬送路39Dにより、一面に対する画像定着処理を終えた転写紙は、その進行方向を逆向きに切り替えられた後に表裏反転されて、再び二次転写ニップに進入する。そして、転写紙は、他面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
画像形成部3は、例えば露光ユニットと、複数の感光体ドラムと、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーを用いる現像装置と、転写ベルト、二次転写部および定着部等とを備えている。この画像形成部3は、画像読取装置6で読み取った読取画像又はPC等外部装置から送信される印刷データに基づき、例えば露光ユニットにより各色の感光体ドラムを露光して各感光体ドラム上に静電潜像を形成し、現像装置の各色の現像ユニットで各感光体ドラムの潜像上にトナーを供給して現像する。また、画像形成部3は、各色の感光体ドラム上のトナー像を転写ベルトに一次転写し、二次転写部で記録紙上に重ねて二次転写した後、定着部により記録紙上のトナー像を加熱および加圧して定着させ、カラー画像を形成することができるようになっている。
画像読取装置6は、自動搬送中に原稿の画像を読み取るDFスキャナモード(搬送原稿読取りモード)と、平坦なコンタクトガラス上に載置された原稿の画像を読み取るフラットベッドスキャナモード(載置原稿読取りモード)とに切替え可能に構成されている。
フラットベッドスキャナモードにおいて、画像読取部4は、フラットベッドコンタクトガラス41上の原稿(例えば原稿、厚紙、本等)の画像面に光を照射して、その画像面からの反射光を画像信号に変換することにより原稿の画像を読み取ることができる。
また、DFスキャナモードにおいて、ADF5は、シート載置台である原稿トレイ51上に積載された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して、原稿トレイ51の一端に設けられた第1給紙口55aから原稿を搬入し、第1搬送経路56に沿って搬送する。そして、その搬送中、原稿が、その搬送方向の上流側部分から順次部分的に画像読取部4の上面側のDFコンタクトガラス42に対面するようになっている。すなわち、画像読取装置6は、ADF5により搬送される原稿の画像を画像読取部4のDFコンタクトガラス42上で順次読取りすることにより、DFスキャナの機能を発揮できるようになっている。
図3に示すように、ADF5は、装置本体1Mの上面側の後部(背面側の部分)にヒンジ等の開閉機構を介して取り付けられている。そして、ADF5は、装置本体1Mに対してフラットベッドコンタクトガラス41上を開放する開位置と、フラットベッドコンタクトガラス41上の原稿を押付け可能な閉位置とを採り得るようになっている。
画像読取部4は、画像形成装置1の装置本体1Mの上部に位置している。画像読取部4は、原稿シートSの搬送経路に位置するDFコンタクトガラス42と、原稿シートSが載置可能なフラットベッドコンタクトガラス41と、原稿シートSの一辺の突当ておよび位置決めが可能な突当部材43aとを有している。また、装置本体1Mは、上部前面側に操作部150を設置している。
操作部150は、スタートボタン151およびタッチパネル152等を有しており、スタートボタン151が押下されると、画像形成装置1に対して印刷またはデータ送信の開始を要求するようになっている。
ADF(自動原稿搬送部)5は、画像形成装置1の装置本体1Mの上部にヒンジ機構1hを介して開閉動作可能に連結され、下面に原稿押え43bが装着されている。ADF5は、画像読取部4におけるDFコンタクトガラス42およびフラットベッドコンタクトガラス41を露出させる開放位置と、DFコンタクトガラス42およびフラットベッドコンタクトガラス41を覆う閉止位置との間で回動操作されるようになっている。
図4に示すように、原稿トレイ51は、ADF5にセットされた原稿Sをその給紙方向と直交するシート幅方向で位置決めする左右一対の可動のサイドガイド板54が装着されている。これらサイドガイド板54は、原稿トレイ51と原稿Sの幅方向の中心を一致させるように相対的に接近・離間可能である。ただし、サイドガイド板54は、原稿トレイ51の一方の縁部側に原稿Sの一方の縁部を当接させて他方の縁部側のみを移動可能に配置したものでもよい。
原稿トレイ51の先端寄りの底面付近には、原稿トレイ51に原稿シートSが載置されたか否かを検知する原稿セットセンサ82が設けられている。原稿セットセンサ82は、原稿セット検知手段を構成している。
ADF5は、少なくともその上方を開閉可能としたカバー55によって覆われている。カバー55は、原稿Sの搬送方向先端がそのカバー55内に入るように原稿トレイ51の給紙側の端部付近の上方に給紙口55aを形成している。また、カバー55は、給紙口55aよりも内部に原稿トレイ51の先端部分が収納されるように、原稿トレイ51の搬送方向先端部分の上方を覆っている。また、ADF5は、給紙口55aから排出口55bまでの第1搬送経路56を形成する主要なガイド部分を、カバー55等に形成されたリブ等によって形成している。
次に、図5を参照して、画像読取部4の構成を説明する。画像読取部4は、ADF5とともに画像読取装置6を構成している。
フラットベッドコンタクトガラス41は、画像読取装置6がフラットベッドスキャナとして機能する場合であって読取対象の原稿が載置されるとき、その原稿の画像面に対面するようになっている。また、DFコンタクトガラス42は、画像読取装置6がDFスキャナとして機能する場合に、第1搬送経路56の所定読取り位置を通過する原稿の画像面に対面するようになっている。さらに、DFコンタクトガラス42は、図5(A)に示すように、フラットベッドコンタクトガラス41に対して予め設定された傾斜角θをなすよう傾斜している。
画像読取部4の内部には、第1読取ユニット45と、左右方向に延びるガイドロッド46とが設けられている。第1読取ユニット45は、一体型光学走査ユニット47と、一体型光学走査ユニット47を保持するブラケット48と、一体型光学走査ユニット47およびブラケット48の間に圧縮状態で組み込まれた複数の圧縮コイルばね49(弾性部材)とで構成されている。
一体型光学走査ユニット47は、例えばモールドフレームに、等倍結像素子ルーフミラーレンズアレイ、光路分離ミラー、等倍イメージセンサ、照明光源等を保持させた密着イメージセンサとして構成されている。この一体型光学走査ユニット47は、画像を主走査方向に高解像でライン走査することができ、ブック原稿等の画像読取りにも対応可能な大きな焦点深度を有するように構成されている。なお、一体型光学走査ユニット47は、DFスキャナとフラットベットスキャナに対応できる構成であれば、特定の方式に限定されるものではない。主走査方向は、フラットベッドコンタクトガラス41の上面およびDFコンタクトガラス42の上面の双方に対して平行な方向である。
ブラケット48は、ガイドロッド46に支持された下側スライダ部48aと、一体型光学走査ユニット47を保持する一対の保持腕部48bと、これら下側スライダ部48aおよび一対の保持腕部48bを一体に装着したブラケット本体部48dとを有している。ここで、下側スライダ部48aは、ブラケット本体部48dの長手方向中央の下部に固定された筒状体からなり、一対の保持腕部48bは、ブラケット本体部48dの両端側で図中上方側に突出する一対の板状体によって構成されている。これら一対の保持腕部48bは、一体型光学走査ユニット47の両端面から垂直に突出する両端突出部47aを長手方向軸線回りに姿勢変化可能におよび上下方向に変位可能に保持するよう、垂直方向の長穴(小判穴)48cを有している。
複数の圧縮コイルばね49は、一体型光学走査ユニット47の下面部分を主走査方向の複数箇所で上方側(フラットベッドコンタクトガラス41側、DFコンタクトガラス42側)に押し付けるようになっている。
また、一体型光学走査ユニット47の上部には、フラットベッドコンタクトガラス41およびDFコンタクトガラス42のうち少なくとも一方の下面に当接しつつ副走査方向に円滑に滑り動く矩形環状の上部スライダ部47bが装着されている。なお、この上部スライダ部47bは、一体型光学走査ユニット47の長手方向または短手方向に延在するとともに、その延在方向と直交する方向で互いに離間する突起状のものであってもよい。また、上部スライダ部47bは、複数の半球状の突起等で構成されてもよい。いずれの場合も、上部スライダ部47bは、フラットベッドコンタクトガラス41およびDFコンタクトガラス42の下面かそれに代わるガイド面に対し、低摩擦係数で摺動性・滑動性が良く、無潤滑にできる素材で形成されるのがよい。
一体型光学走査ユニット47は、また、図5(A)、(B)、(C)に示すとおり、ブラケット48の下方側に配置されたガイドロッド46によって副走査方向に移動自在に案内されている。そして、その副走査方向の位置に応じて、一体型光学走査ユニット47は、その上部でフラットベッドコンタクトガラス41およびDFコンタクトガラス42のうちいずれか片方または両方にスライド可能に当接する。これにより、第1読取ユニット45は、ガイドロッド46に沿って移動自在であるものの、ガイドロッド46の軸回りの傾きを規制される。
この第1読取ユニット45は、フラットベッドコンタクトガラス41上の原稿の画像面を主走査方向にライン走査するとともに副走査方向に移動することで、原稿の画像を読み取ることができる。また、第1読取ユニット45は、DFコンタクトガラス42上を通過する搬送原稿の画像を主走査方向にライン走査することで、原稿の画像を読み取ることができる。
なお、画像読取部4の内部には、無端のループ状でその周方向の一箇所に第1読取ユニット45のブラケット48が固定されたタイミングベルトが設けられている。また、画像読取部4の内部には、タイミングベルトが弛みなく掛け渡された複数のタイミングプーリと、いずれか1つのタイミングプーリを回転駆動するモータ等が設けられている。
フラットベットスキャナモードの読取動作を行う場合、第1読取ユニット45は、ホームポジションから副走査方向一方側に移動しながら、例えば図2に実線で示す停止位置付近のホームポジションから同図中の右側に移動する。そして、その微小移動距離毎に一体型光学走査ユニット47によるライン走査を実行して、フラットベッドコンタクトガラス41上の載置原稿の表面(下面)の画像を読み取る。また、その読取動作が終了すると、第1読取ユニット45は、再度ホームポジションに戻る。
DFスキャナモードの読取動作を行う場合、第1読取ユニット45は、図2に実線で示すように、ホームポジションからDFコンタクトガラス42の下方に移動する。すなわち、第1読取ユニット45は、ホームポジションから予め設定された距離だけ副走査方向他方側に移動してDFコンタクトガラス42の下方で停止し、DFコンタクトガラス42上を通過する搬送原稿の表面の画像を読み取る。
第1読取ユニット45は、このように、フラットベッドコンタクトガラス41の下方側とDFコンタクトガラス42の下方側とに位置し得るよう副走査方向に移動可能である。そして、一体型光学走査ユニット47は、その副走査方向位置に応じて、図5(A)に示すようなフラットベッドコンタクトガラス41を通して画像読取り可能な水平の第1読取姿勢と、図5(C)に示すようなDFコンタクトガラス42を通して画像読取り可能な傾斜した第2読取姿勢とに姿勢変化する。
次に、図6および図7を参照して、ADF(自動原稿搬送手段)5の構成を説明する。図6は、ADF5がUターン搬送パス(第1搬送経路)によって原稿トレイ51から原稿を搬送する機構を説明する図であり、図7は、ADF5がストレート搬送パス(第2搬送経路)によってカード供給トレイ(手差しトレイ)73の第2給紙口72から原稿を搬送する機構を説明する図である。
図6に示すように、ADF5は、定型のシートを載置可能な原稿載置台としての原稿トレイ51と、原稿を画像読取り可能に搬送する原稿搬送部52と、画像読取り後の原稿をスタックする排紙トレイ53とを備えている。原稿トレイ51と排紙トレイ53とは、小型化を目的として、少なくともそれらの一部が離間する状態で上下に重ねて配置されている。
原稿搬送部52は、原稿トレイ51に載置されたシート束から最上位の原稿Sを1枚ずつ分離して原稿搬送部52に搬入する分離ユニット52aを有している。また、原稿搬送部52は、分離・搬入された原稿Sを折り返すように反転させるための複数の搬送ローラ52b、52c、52dを有しており、原稿Sを折り返した後に、原稿SをDFコンタクトガラス42に沿ってその上面の所定の読取動作位置Pd1(特定作業位置)を通過させる。そして、原稿搬送部52は、そのさらに下流側に排紙ローラ対52e、52fを有している。第1搬送経路56は、かかる原稿搬送部52の機構により原稿Sが搬送される経路をいう。これら搬送および排紙用のローラ群の配置数や配置場所は、の経路設定条件や、原稿Sの最小サイズの原稿搬送方向の長さ等に応じて任意に設定可能である。
第1読取ユニット45は、一体型光学走査ユニット47が図6において47(Pb)で示される位置、すなわち図2の実線位置に位置するとき、搬送中の原稿Sの画像を一体型光学走査ユニット47により読取動作位置Pd1で繰り返しライン走査して、原稿画像を読み取ることができる。そして、その画像読取り後の原稿Sは、排紙ローラ対52e、52fにより排紙トレイ53に排出される。
原稿搬送部52は、上述分離ユニット52a、搬送ローラ52b、52c、52d、排紙ローラ対52e、52fに加え、これら配置された複数のセンサやそれらの検知情報を基に搬送制御を実行するコントローラを有している。複数のセンサとは、例えば公知の給紙適正位置センサ、突当センサ、原稿幅センサ、読取入口センサ、レジストセンサ、排出センサ等であり、それらのセンサが原稿Sの搬送方向上流側から下流側に順に配置される。勿論、通常の原稿Sは、PPCその他の屈曲の容易なシートで、画像記録面を形成し得るものである。
また、原稿搬送部52は、DFコンタクトガラス42の上流側の搬送ローラ52c、52dのニップ位置から排紙口55bに至る下流側の所定搬送区間においてDFコンタクトガラス42に沿って傾斜しつつ延在するストレート搬送経路56aを形成しており、該ストレート搬送経路56aは、ストレート搬送パス(第2搬送経路)61の主要部を構成している。
図7は、ADF5がストレート搬送パス(第2搬送経路)61によって後述する図8に示されるカード供給トレイ(手差しトレイ)73の第2給紙口72から原稿を搬送する機構を説明する図である。
図7に示すように、ストレート搬送パス(第2搬送経路)61は、通常の原稿Sより高曲げ剛性となるハードシート、特に小サイズのハードシートHが、カード供給トレイ(手差しトレイ)73の第2給紙口72から搬入され、DFコンタクトガラス42の上面と平行をなすように傾斜した平面に沿って搬送される搬送経路である。また、ストレート搬送パス(第2搬送経路)61内を搬送されるとき、ハードシートHは、DFコンタクトガラス42上において、所定の読取動作位置Pd1を通過するようになっている。
ここにいう小サイズのハードシートHは、樹脂等(厚紙でもよい)で形成された標準定型サイズのカード類、例えば免許証、IDカード(身分証明書カード)、交通系カード等であり、図6に示すように搬送ローラ52b、52c、52dによって折り返すように反転させることができない種類の原稿である。すなわち、ハードシートHは図6に示すような原稿を折り返すように反転させるUターン搬送パス(第1搬送経路)56には適さず、図7に示すストレート搬送パス(第2搬送経路)61に適している。ここでの小サイズとは、例えば身分証明書カードの形状を定めた国際規格であるISO/IEC 7810のID−1、ID−2またはID−3のいずれか、またはそれと同程度のカードサイズである。ただし、そのカードサイズの短手方向の幅は、原稿トレイ51上にセットされる標準のカットシートサイズのうち最小サイズのカットシートの短手方向の幅よりも小さくなるように設定される。
ストレート搬送経路(第2搬送経路)61を形成する複数の搬送ローラ52c、52dおよび排紙ローラ対52e、52fは、ストレート搬送経路61上に配置された複数のセンサおよびそれらの検知情報を基に搬送制御を実行するコントローラと共に、第2原稿搬送部60を構成している。よって、この第2原稿搬送部60は、ストレート搬送経路61の一端側、すなわち第2給紙口72から小サイズのハードシートHを搬入し、ストレート搬送経路61に沿って搬送したハードシートHを排紙領域側となるストレート搬送経路61の他端側すなわち排紙口55bから排紙する。
図8に示すように、カード供給部71は、ADF5の側面に設けられた給紙口(第2給紙口)72と、カード供給トレイ73から構成されている。カード供給部71は、さらに後述するカードピックアップローラ74と、カード搬送経路75とを備える。
カード供給トレイ73の底面付近には、カード供給トレイ73に原稿が載置されたか否かを検知する原稿セットセンサ82が設けられている。原稿セットセンサ82は、原稿セット検知手段を構成している。
カード供給トレイ73は、常時は閉じていてカバー55の側面の一部を構成し、図6および図7に示すように、第2給紙口72を開放するように回動可能となっている。このカード供給トレイ73は、閉状態にある場合には通常原稿である原稿Sの搬送ガイドの一部となる。
カードピックアップローラ74は、カード供給トレイ73にセットされたカードCを取り出して、第2給紙口72を経由してカード搬送経路75にカードを供給する。カード搬送経路75は、第2給紙口72から下向き傾斜したDFコンタクトガラス42に至る経路であり、DFコンタクトガラス42の上流側で第1搬送経路56に合流する。
この際、カード搬送経路75は、DFコンタクトガラス42の下向き傾斜に伴い、給紙口72からDFコンタクトガラス42に至る範囲を、DFコンタクトガラス42の傾斜角度に沿って同一平面上に位置している。これにより、カード搬送経路75とストレート搬送経路56aとは、給紙口72から排出口55bに至る範囲の全般でDFコンタクトガラス42の傾斜角度に沿って同一平面上に位置している。すなわち、手差しトレイから搬入されたカードは、カード搬送経路75とストレート搬送経路56aとによって構成される第2搬送経路61に沿って搬送される。
原稿搬送部52は、原稿Sの原稿搬送方向を基準として給紙口55a側の上流端であって先端側原稿トレイ51aの先端上部に、原稿Sの載置により回動するセットフィラー57を有している。原稿搬送部52は、給紙口55aよりも内側の近傍に配置されたピックアップローラ58と、第1搬送経路56を挟んで対向するように配置された給紙ローラ59および分離板60と、を有している。
ピックアップローラ58は、接触位置において原稿トレイ51に積載された原稿Sのうち、最上位側から数枚(理想的には1枚)の原稿Sをピックアップする。
給紙ローラ59は原稿給送方向に回転可能となっている。分離板60は、複数枚の原稿Sが重送されようとした場合に、給紙ローラ59の回動移動方向に対して最上位以外の原稿Sの抵抗となることにより、原稿Sの重送を抑制する。なお、給紙ローラ59はベルト方式のものでもよいし、分離板60は給紙ローラ(給紙ベルト)とは逆方向に回転するローラ方式のものでもよい。給紙ローラ59と分離版60は、分離ユニット52aを構成する。
なお、給紙ローラ59の下流側に隣接して配置した搬送ローラ52b、52c、52dは、ピックアップローラ58の駆動タイミングに応じて、給紙した原稿Sの先端を突き当ててスキュー搬送を補正し、補正後の原稿Sを引き出し搬送する先端整合機能を備えるようになっている。
原稿搬送部52は、DFコンタクトガラス42の上方に対向するように配置して原稿Sの画像を読み取らせる第1読取ローラ66と、排出口55bよりも上流側直前に配置して原稿Sを排出口55bから排紙トレイ53に向けて排出する排出ローラ対52e、52fとを有する。
第1読取ローラ66は、コイルスプリング等の付勢部材を用いてDFコンタクトガラス42に向けて付勢されており、原稿Sを搬送しつつ、その原稿SをDFコンタクトガラス42に密着させるようになっている。
原稿搬送部52は、第1読取ローラ66よりも下流側で搬送ローラ52b、52c、52dと排紙ローラ対52e、52fとの間の比較的直線的に原稿Sを搬送する経路上に第2読取ユニット68を配置している。
第2読取ユニット68は、原稿SおよびカードCの裏面画像を読み取る読取手段としての裏面走査ユニット69と、第1搬送経路56のストレート搬送経路56aを挟んで裏面走査ユニット69に対向するよう配置された第2読取ローラ70と、を有している。
裏面走査ユニット69は、原稿SおよびカードCの表面画像を画像読取部4の撮像部44で読み取った後の原稿SおよびカードCの裏面画像を読み取るように密着型のイメージセンサ等を用いている。
第2読取ローラ70は、裏面走査ユニット69における原稿SおよびカードCの浮きを抑えると同時に、裏面走査ユニット69におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねている。なお、原稿SおよびカードCの裏面画像の読み取りを行わない場合には、原稿SおよびカードCは裏面走査ユニット69を素通りするようになっている。
第2読取ローラ70は、ギャップ調整機構により、裏面走査ユニット69と原稿SまたはカードCとの距離(以下、「搬送ギャップ」と称する)に関して、画像品質を損なわない焦点深度に合わせた適切な距離を保つようになっている。
上記の構成において、原稿Sの画像を読み取る場合には、図6に示すように、原稿トレイ51に原稿Sをセットし、スタートボタン151を押下することで最上位の原稿Sから順に、給紙口55aを経由して第1搬送経路56へと繰り出される。
そして、図9(A)に示すように、原稿トレイ51にセットされた原稿Sは、給紙口55aを経由して第1搬送経路56へと繰り出された後、図中の円で示されるUターン搬送経路56bで折り返されるようにUターン搬送される。この後、原稿Sは、DFコンタクトガラス42の上面を通過する際に、第1読取ローラ66の加圧でDFコンタクトガラス42に密着されつつイメージセンサとしての一体型光学走査ユニット47により一面(例えば、表面)の画像が読み取られる。
さらに、原稿Sの他面(例えば、裏面)の画像を読み取る場合には、原稿Sが裏面走査ユニット69を通過する際に、第2読取ローラ70の加圧で裏面走査ユニット69に密着されつつ裏面走査ユニット69により他面(例えば、裏面)の画像が読み取られる。そして、他面の画像を読み取った後の原稿Sは、排出ローラ対52e、52fにより排出口55bから排紙トレイ53に向けて排出される。
一方、原稿トレイ51で設定されている最小サイズ原稿(例えば、葉書サイズ)よりも小さい原稿、特に、銀行等のキャッシュカードや各種クレジットカード等のような厚手の樹脂カード類などのカードCの画像を読み取る場合には、まず、図8に示すように、カード供給トレイ73により給紙口72を開放する。この状態で、カード供給トレイ73にカードCをセットし、スタートボタン151を押下することで最上位のカードCから順に、給紙口72を経由してカード搬送経路75へと繰り出される。カード搬送経路75は、その全般が同一平面上にあるとともに、2つのローラから構成されるカードピックアップローラ74、第1読取ローラ66、排出ローラ対52e、52fのそれぞれの隣接間隔がカードCの縦サイズ(又は横サイズ)以下で配置されている。
そして、図9(B)に示すように、給紙口72を経由してカード搬送経路75へと繰り出されたカードCは、DFコンタクトガラス42の上面を通過する際に、第1読取ローラ66の加圧でDFコンタクトガラス42に密着されつつ一体型光学走査ユニット47により一面(例えば、表面)の画像が読み取られる。
さらに、カードCの他面(例えば、裏面)の画像を読み取る場合には、カードCが裏面走査ユニット69を通過する際に、第2読取ローラ70の加圧で裏面走査ユニット69に密着されつつ裏面走査ユニット69により他面の画像が読み取られる。そして、他面(例えば、裏面)の画像を読み取った後のカードCは、排出ローラ対52e,52fにより排出口55bから排紙トレイ53に向けて排出される。
このように、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、画像の読み取り対象となる原稿Sを積載する原稿トレイ51と、原稿トレイ51に積載された原稿Sを取り出す給紙口55aと、給紙口55aで取り出した原稿Sを搬送する原稿搬送部52と、原稿搬送部52に配置され搬送中の原稿Sの一面側の画像を読み取る一体型光学走査ユニット47と、原稿搬送部52に配置され搬送中の原稿Sの他面側の画像を読み取る裏面走査ユニット69と、給紙口55aとは別に設けられカードCを原稿搬送部52に向けて供給する給紙口72と、給紙口72から裏面走査ユニット69を経由して排出口55bに至る搬送経路が同一平面上に位置するストレート搬送経路56aと、を備えることにより、ADF5の小型化や読み取り時間の短縮化に貢献しつつ、小サイズで厚手の樹脂カード類への読み取りを可能とし、原稿の読み取りの多様化に対応することができる。
図10に別のADFとして、図9において2つのローラから構成されているカードピックアップローラ74を1ローラ化し、該カードピックアップローラ74をUターン搬送経路56bに当接させた場合の断面図を示す。図10のADF5においては、Uターン搬送において原稿Sが搬送される機構は図9と変更はないが、ストレート搬送動作においてカードCを搬送する場合は、カードCを図9と比較して奥まで(搬送ローラ52bとカードピックアップローラ74のニップまで)挿入する必要がある。
次に図11を用いて画像形成装置1の動作の制御構成を説明する。図11に示すように、画像形成装置1は、自動原稿搬送制御用のコントローラ部100と、装置本体制御用の本体制御部111と、本体制御部111に付帯する操作部150とを備えている。
コントローラ部100は、原稿セットセンサ82、適正位置センサ92、テーブル上昇センサ98、突当センサ93、原稿幅センサ94、読取入口センサ95、レジストセンサ96および排紙センサ97の検知信号を取り込むようになっている。
コントローラ部100は、ピックアップローラ58を駆動するピックアップモータ101、給紙ローラ59および搬送ローラ52b、52c、52dを駆動する給紙モータ102を作動させるようになっている。また、コントローラ部100は、排紙ローラ対52e、52fを駆動する排紙モータ104および可動原稿テーブル51Aを昇降させる底板上昇モータ105を作動させるようになっている。
コントローラ部100は、第2読取ユニット68に対して、シートSの先端が裏面走査ユニット69の読取位置に到達するタイミング(それ以降の画像データが有効データとして扱われる)を通知するタイミング信号等を出力するようになっている。
コントローラ部100と本体制御部111とは、インターフェース回路207を介して接続されている。本体制御部111は、操作部150のスタートキー151が押下されると、インターフェース回路207を介してコントローラ部100に原稿給紙信号や読取開始信号を送信するようになっている。
次に図12を用いて自動原稿搬送手段5と画像形成装置1との間の信号経路について説明する。
図12に示すように、第2読取ユニット68は、LEDアレイ、蛍光灯、または冷陰極管等からなる光源部200を有している。光源部200は、コントローラ部100からの点灯信号に基づいて、シートSに光を照射するようになっている。また、第2読取ユニット68は、コントローラ部100からシートSの先端が裏面走査ユニット69の読取位置に到達するタイミングを通知するタイミング信号や光源部200の電源を得るようになっている。
第2読取ユニット68は、主走査方向に並ぶ複数のセンサチップ201と、それぞれのセンサチップ201に個別に接続された複数のOPアンプ回路202と、それぞれのOPアンプ回路202に個別に接続された複数のA/Dコンバータ203とを有している。さらに、第2読取ユニット68は、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206およびインターフェース回路207(図中ではI/F回路と記す)等を併有している。
センサチップ201は、等倍密着イメージセンサと称される光電変換素子と集光レンズとを具備するものである。シートSの表面で反射した反射光は、複数のセンサチップ201の集光レンズにより光電変換素子に集光され、画像情報として読み取られるようになっている。
それぞれのセンサチップ201で読み取られた画像情報は、OPアンプ回路202によって増幅された後、A/Dコンバータ203によってデジタル画像情報に変換されるようになっている。
これらデジタル画像情報は、画像処理部204に入力されてシェーディング補正などが施された後、フレームメモリ205に一時記憶されるようになっている。さらに、デジタル画像情報は、出力制御回路206によって本体制御部111に受入可能なデータ形式に変換された後、インターフェース回路207を経由して本体制御部111に出力されるようになっている。
ここで、画像処理部204は画像処理手段を構成し、また、フレームメモリ205は画像保存手段を構成する。
次に、図13〜図15を参照して本実施の形態における制御フローを示すフローチャートである。図13〜図15のフローチャートの処理は、例えば、本体制御部111などで実行されてよい。
図13のフローチャートからわかるように、本実施の形態に係る画像形成装置1の動作は大きく分けて通常印刷動作と自動印刷動作の2つモードがある。そして、画像形成装置1では、ユーザがどちらのモードで使用するかが選択できるようになっている。
ステップS1では、ユーザが選択したモードをチェックする。通常印刷モードの場合は、ステップS2に進み図14に示されるフローチャートによる通常印刷動作が実行される。自動印刷モードの場合はステップS3に進み図15に示されるフローチャートによる自動印刷動作が実行される。
図14は通常印刷動作のフローチャートである。通常印刷動作の制御の概要は、「原稿セット⇒スタートボタンを押す⇒印刷もしくはスキャンデータ送信⇒終了」である。
ユーザは、ステップS1において原稿のセットおよび必要に応じて設定を行う。ステップS1で原稿がセットされるとステップS2に進む。
ステップS2では、原稿セットセンサ82を用いて、カード給紙トレイ(手差しトレイ)73に原稿がセットされているか否かをチェックする。セットされている場合は(ステップS2=Yes)、ステップS6に進む。セットされていない場合は(ステップS2=No)、ステップS3に進む。
ステップS3では、原稿セットセンサ82を用いて、原稿トレイ51に原稿がセットされているか否かをチェックする。セットされている場合は(ステップS3=Yes)、ステップS4に進む。セットされていない場合は(ステップS3=No)、ステップS2に戻る。
このように、カード給紙トレイ73と原稿トレイ51の両方に原稿がセットされているときは、カード給紙トレイ73の方が優先される。なお、原稿がセットされるまでステップS2とステップS3が繰り返し実行されることになる。
原稿がセットされた結果ステップS4またはステップS6に進むと、ここで、ユーザはスタートボタン151を押下する。
ステップS4またはステップS6においてスタートボタン151が押下されると、ステップS5におけるUターン搬送動作またはステップS7におけるストレート搬送動作が行われ、以下引き続きステップS8〜S12の処理により、原稿の印刷又はデータ送信が行われる。
通常印刷動作の処理は、以上のとおり、原稿の印刷又はデータ送信に至るまでの一連の動作が1回行われることによって終了する。
通常印刷動作はUターン搬送やストレート搬送で1枚、もしくは少数枚の原稿を読取る場合に適している。しかしながら、カードやお客様の書類など特にジャムさせたくない原稿を複数枚読取る場合、つまりUターン搬送に比べて原稿がジャムするリスクが低いストレート搬送で複数枚の原稿を読取る時は原稿セット後にユーザは、ステップS4またはS6において原稿1枚ごとに毎回スタートボタン151を押さなければならない。かかる操作はユーザにとって煩わしく、面倒に感じてしまい満足度が下がるという問題がある。
上記の問題を改善したのが図15に示した自動印刷動作の制御フローである。
自動原稿印刷動作の概要は、「原稿セット⇒原稿セット検知をトリガーとして原稿スキャン開始⇒印刷もしくはスキャンデータ送信⇒原稿セット⇒セット検知をトリガーとして原稿スキャン開始・・・」で表すことができ、原稿セット検知をトリガーとして原稿スキャンから印刷やスキャンデータ送付までの一連の動作(「ジョブ」ともいう)が自動的に行われる。そして、ジョブ作終了後にユーザは原稿をセットするだけでスタートボタン151を押さなくても次のジョブが自動的に行われる。このジョブには、画像形成装置1と連動できるアプリケーションでできるものであれば、印刷やスキャンに限定されない。
ユーザは、ステップS1において原稿のセットを行う。次にステップS2とS3において、必要に応じてデフォルトの設定を変更し、処理がステップS4に移る。上記は一例に過ぎず、ステップS1はステップS2もしくはステップS3の後でも構わない。
ステップS4では、原稿セットセンサ82を用いて、カード給紙トレイ73に原稿がセットされているか否かをチェックする。セットされている場合は(ステップS4=Yes)、ステップS8に進む。セットされていない場合は(ステップS4=No)、ステップS5に進む。
ステップS5では、原稿セットセンサ82を用いて、原稿トレイ51に原稿がセットされているか否かをチェックする。セットされている場合は(ステップS5=Yes)、ステップS7に進む。セットされていない場合は(ステップS5=No)、ステップS6に戻る。ステップS6において、所定の時間内に原稿がセットされないと(ステップS6=Yes)自動印刷動作は終了し、所定の時間内に原稿がセットされると(ステップS6=No)、ステップS4に戻る。
このように、カード給紙トレイ73と原稿トレイ51の両方に原稿がセットされているときは、カード給紙トレイ73の方が優先される。
ステップS4またはステップS5で原稿がセットされていることが検知されると、以下ステップS7またはステップS8において原稿が搬送され、引き続きステップS9〜S12の処理により、原稿の印刷又はデータ送信に至るまでの一連の動作が自動的に行われる。
かかる一連の動作完了後に処理は再度ステップS2に戻り再度ステップS2〜S12の処理が行われ、原稿がなくなるまで(ステップS6=Yes)、ステップS2〜S12の処理が繰り返し行われる。
従って、ユーザが原稿をセットするだけで、ユーザがスタートボタン151を押すことなく、印刷またはデータ送信までの一連の動作が自動的に行われる。そして、複数枚の原稿をセットした場合には、かかる自動的な処理(ステップS2〜S12)は、原稿がなくなるまで(ステップS6=Yes)、自動的に繰り返される。
かかる自動原稿搬送動作は、図10のように原稿が分離ユニット52aを経由しないカード給紙トレイ73の第2給紙口72から複数枚原稿を給紙する場合に有効である。なぜなら、ユーザはジョブを開始するためにいちいちスタートボタン151を押す手間が省けるからである。
さらに、自動印刷動作では印刷条件(部数、カラー/モノクロ等)やスキャン条件(ファイル形式PDF/TIFF、メール送信/サーバーに保存等)を毎回変更するか、1ジョブ前の条件でと同一の条件で行うのかを選択することができる(この印刷条件やスキャン条件は図15のユーザ設定2にあたる)。まず、毎回設定値を変更する操作の例について説明する。例えば、複数枚のカード原稿があり、カードごとにスキャンデータ送付先を変更したいときである。この場合は、「スキャン条件設定⇒原稿セット⇒スキャン⇒スキャン条件設定⇒原稿セット・・・」と複数のカードをスキャンし任意の送付先にスキャンデータを送付する。次に1ジョブ前の条件と同一の条件で行う操作の例について説明する。例えば、お客様から預かった書類をコピーする場合である。この場合は「スキャン条件設定⇒原稿セット⇒コピー⇒原稿セット⇒コピー⇒原稿セット・・・」と同一条件で複数枚原稿のコピーを行う。
自動印刷動作のトリガーには第1給紙口55aと第2給紙口72のそれぞれのセット検知(原稿セットセンサ82)を活用する。第1給紙口55aと第2給紙口72のどちらを優先するかは、機器の構成により最適な方を優先する。例えば、図10の構成の場合は第2給紙口72に原稿がセットされた状態で第1給紙口からのUターン搬送動作を行うと第2給紙口72の原稿も搬送されジャムが発生する確率が高い。そこで図15のフローチャートのステップS4およびS5などのように、第2給紙口72を優先し、クラッチなどの機構を用いて第一給紙口55aからの搬送を遮断する方が好ましい。
自動原稿印刷動作の終了は一定時間原稿がセットされない状態が続くことを以って終了する。かかる自動原稿印刷動作の終了までの時間はユーザによって変更することができる。
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、給紙口55aにセットされた原稿を搬送経路56を介して排紙口55bに搬送する自動原稿搬送手段5と、自動原稿搬送手段5により搬送される原稿を読み取る読取手段4と、給紙口55aに設けられ、給紙口55aに原稿がセットされたことを検知する原稿セット検知手段82と、読取手段4により読み取られた原稿の画像データを保存する画像保存手段205とを有し、原稿セット検知手段82により原稿がセットされたことが検知されたことをトリガーとして、読取手段4による原稿の読み取りおよび画像保存手段205による画像データの保存を含む一連の動作を実行する制御手段100,111をさらに備えることを特徴とする画像読取装置6を搭載している。
この構成により、スタートボタン151を押さなくても、原稿セットをトリガーとして、原稿の読み取り、読み取った画像データの保存、印刷やスキャンデータ送信という一連の動作が自動的に開始される。これにより、ユーザの操作性を向上することができる画像読取装置を提供することができる。
また、例えば本発明に係る画像読取装置を印刷機能付きのファクシミリに適用した場合、スタートボタンを押さなくても、原稿セットをトリガーとして、原稿の読み取り、読み取った画像データの保存、印刷やFAX送信という一連の動作が自動的に開始される。さらに、当該ファクシミリがLANあるいはインターネットに接続されている場合には、印刷、FAX送信のみならず、読み取った画像データのTIFF形式またはPDF形式などの各種形式のファイルを当該LANに接続されたファイルサーバーやパソコンなどに送信し、あるいはインターネット経由でファイルを送信するところまでの一連の動作が原稿をセットするだけで自動的に開始される。
また、画像読取装置6は、読取手段4により読み取られた画像データを元に画像処理を行う画像処理手段204をさらに有してもよい。この構成により、原稿の読み取り、読み取った画像データの保存、印刷やスキャンデータ送信の他に、例えばシェーディング補正などのような画像処理も含めた一連の動作が自動的に行われる。
また、給紙口は、第1給紙口55aおよび第1給紙口55aとは異なる第2給紙口72を有し、第1給紙口55aから搬入された原稿は第1搬送経路56(第1搬送経路)を経て排紙口55bに向かって搬送され、かつ、第2給紙口72から搬入された原稿はストレート搬送パス(第2搬送経路)61を経て排紙口55bに向かって搬送されてもよい。この構成により、原稿の種類に応じて複数の搬送経路を持つことができる。
また、第2搬送経路61は、一直線に形成されていてもよい。この構成により、搬送経路が一直線のため、原稿対応力が向上し、カードなどのハード原稿や極薄紙などが通紙になり、かつ原稿ジャム率も大幅に下げることができる。
また、第2搬送経路61を形成する搬送方向最上流のカードピックアップローラ74は、第1搬送経路56を形成する複数の搬送ローラの一つである搬送ローラ52dとしても用いられてもよい。この構成により、画像形成装置1はローラの数が少なくて済むため、低コストで複数の搬送経路を備えることができる。またカード給紙トレイ73の第2給紙口72から搬入される原稿は分離ユニット52aによる分離を経ないため原稿ダメージや原稿ジャム率低減の効果がある。
また、画像形成装置1は、一連の動作の終了後に、原稿セット検知手段82により第1給紙口55aまたは第2給紙口72のいずれかにおいて原稿がセットされたことが検知された場合、かかる検知されたことをトリガーとしてスタートボタン151を押さなくても一連の動作を再度行うようにしてもよい。この構成により、複数の原稿をユーザにおけるストレスなく印刷・データ送信ができる。特に原稿束から原稿を1枚ずつ分離する分離ユニット52aを経由しないカード給紙トレイ73の第2給紙口72から複数枚原稿を給紙する場合にストレスなく行えるという効果がある。
また、画像形成装置1は、一連の動作を繰り返し行う時に、その都度設定を行わなくても、1つ前の一連の動作の設定を引き継ぐようにしてもよい。この構成により、同じ設定で複数枚の原稿をストレスなくコピー/スキャンできるという効果がある。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
本発明はプリンタ・複写機・ファクシミリなどの画像読取装置および画像形成装置の分野において有用な発明である。
以上説明したとおり、本発明によれば、原稿セット検知をトリガーとして行う動作を増やすことで、ユーザの操作性を向上させることができる画像読取装置および画像形成装置を提供することができる。