JP2017203182A - 精製銅の製造方法及び電線の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的に、銅電線の導体材料として、電解めっき法で精製した銅板(電気銅)が用いられている。従来、銅板の電解精製は、硫酸酸性の硫酸銅(CuSO4)溶液を満たした電解浴漕中で、アノード側に配置した粗銅からカソード側に配置した金属板に直流通電させることによって、アノード側で溶解した銅イオンをカソード側の金属板表面上に析出させることで行なわれてきた。
一般的に、電線等に用いられる銅線の殆どが連続鋳造圧延法を利用した方法により生産される。
[2]前記銅化合物は、シアン化銅である前記[1]に記載の精製銅の製造方法。
[3]前記めっき浴中の銅化合物は、前記銅化合物のみである前記[1]又は前記[2]に記載の精製銅の製造方法。
[4]前記精製銅は、最表面から80nmの深さまでに含まれる硫黄濃度が620 mass ppm以下である前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[5]前記精製銅は、最表面から60nmの深さまでに含まれる塩素濃度が700 mass ppm以下である前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[6]前記精製銅は、最表面から2.5μmの深さまでに含まれる硫黄濃度が300 mass ppm以下である前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[7]前記精製銅は、最表面から2.5μmの深さまでに含まれる塩素濃度が61 mass ppm以下である前記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[8]前記精製銅は、全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下である前記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[9]前記精製銅は、全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下である前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[10]前記精製銅は、表面の粒子径が0.5μm以上5μm以下である前記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[11]前記カソードとして銅からなる種板を使用し、前記精製銅は、前記種板を内包し、前記種板も含めた全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下である前記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[12]前記カソードとして銅からなる種板を使用し、前記精製銅は、前記種板を内包し、前記種板も含めた全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下である前記[1]〜[11]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[13]前記カソードとしてステンレス、遷移金属、又は遷移金属元素を少なくとも1種以上含む合金からなる導電性金属板を使用し、前記精製銅は、前記導電性金属板から剥離して得られる前記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[14]前記カソードとしてメッシュ形態又は平板形態の金属とカーボンナノチューブとで構成した複合材からなる導電性板を使用し、前記精製銅は、前記導電性板から剥離して得られる前記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法。
[15]最表面から80nmの深さまでに含まれる硫黄濃度が620 mass ppm以下である精製銅。
[16]最表面から60nmの深さまでに含まれる塩素濃度が700 mass ppm以下である精製銅。
[17]最表面から2.5μmの深さまでに含まれる硫黄濃度が300 mass ppm以下である精製銅。
[18]最表面から2.5μmの深さまでに含まれる塩素濃度が61 mass ppm以下である精製銅。
[19]全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下である精製銅。
[20]全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下である精製銅。
[21]最表面から80nmの深さまでに含まれる硫黄濃度が620 mass ppm以下、最表面から60nmの深さまでに含まれる塩素濃度が700 mass ppm以下、最表面から2.5μmの深さまでに含まれる硫黄濃度が300 mass ppm以下、最表面から2.5μmの深さまでに含まれる塩素濃度が61 mass ppm以下、全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下、及び全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下である精製銅。
[22]表面の粒子径が0.5μm以上5μm以下である精製銅。
[23]前記[1]〜[14]のいずれか1つに記載の精製銅の製造方法で製造された精製銅又は前記[15]〜[22]のいずれか1つに記載の精製銅を用いて電線用導体を作製する工程を有する電線の製造方法。
[24]前記電線用導体は、硫黄濃度が3.1 mass ppm以下であり、導電率が102.5%IACS以上であり、半軟化温度が125℃以上133℃以下である前記[23]に記載の電線の製造方法。
[25]硫黄濃度が3.1 mass ppm以下であり、塩素濃度が1.1 mass ppm以下であり、チタンを添加元素として含まず、導電率が102.5%IACS以上であり、半軟化温度が125℃以上133℃以下である導体を備えた電線。
本発明の実施の形態に係る精製銅の製造方法は、電解めっき法又は無電解めっき法によって、硫黄、塩素及び酸素のいずれの元素も含まない銅化合物の溶液を用いたアルカリ性のめっき浴内でカソードに精製銅を析出させる工程を有する。なお、本発明における精製銅とは、電線の導体(銅線)を製造する原料としての使用用途を少なくとも有する電解精製又は無電解精製して得られる銅又は銅合金(種板から剥離しない場合は種板を含む)をいう。したがって、電線の導体(銅線)を製造する原料としての使用用途を有さない銅箔(例えば厚み100μm以下)は、本発明における精製銅には含まれない。本発明において製造される精製銅のサイズ・形状は、特に限定されるものではないが、例えば、縦0.5m以上、横0.5m以上、厚み3mm以上の銅板である。電線の導体(銅線)を製造する原料として用いる場合は、好ましくは、縦0.7m以上1.5m以下、横0.7m以上1.5m以下、厚み4mm以上10mm以下の銅板である。以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
以下に、本発明の実施の形態で使用するめっき浴の作製例を説明する。
本発明の実施の形態で使用するシアン化銅めっき浴は、下記表1に示す材料を用いて作製する。予備漕にめっき浴全体総量の60%程度の硫黄や塩素等の不純物成分を除去した純水を入れる。次に、シアン化ナトリウム又はシアン化カリウムを純水に投入して溶解させる。更に、純水を用いて、のり状にしたシアン化第一銅を撹拌しながら、事前に作製しておいたシアン化アルカリ水溶液に添加して溶解させる。また、シアン分解を抑制することを目的として、めっき浴のpH(例えばpH=9〜13)や導電率を調整するために、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを追加する。実際のめっき浴液温に近い40〜70℃に加熱しながら活性炭等を加えて充分に撹拌後に静置して、不純物を吸着させた活性炭を沈降させる。その後、ろ過装置に通して不純物を取り込んだ活性炭等を除去した上で、めっき漕に移した後に純水を加えて液量を調整し、めっき浴とする。このめっき浴を分析し、めっき性能の向上と安定化を図るために、必要に応じて添加材料を追加する。具体的には炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを適量加えることによって、pH緩衝剤(pH調整剤)として使用する。また、アノードに用いる銅の溶解を円滑にすることにより効率良く銅イオンを供給するために、必要に応じて酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩)を添加する。最後に、カソードにステンレス板、アノードに圧延銅板を吊るして、弱い電流密度(0.2〜0.5A/dm2)によって弱電解を行う。
次に、本発明の実施の形態に係る精製銅の製造例を説明する。
図11は、本発明の実施の形態に係る精製銅の製造方法で使用する、アノードの概念図(a)、めっき成膜前のカソードの概念図(b)、めっき成膜後のカソードの概念図(c)、及び電解めっき装置の概念図(d)である。
本発明の実施の形態に係る精製銅は、本発明の実施の形態に係る上記の精製銅の製造方法により得ることができ、以下のいずれか1以上の特徴を有する。すなわち、本実施の形態に係る精製銅は、精製銅中の不可避不純物元素である硫黄濃度及び/又は塩素濃度が適正な範囲に制御された精製銅(例えば銅濃度が99.9%以上の純銅)である。
精製銅の最表面から60nmの深さまでに含まれる塩素濃度が700 mass ppm以下であり、好ましい実施形態においては653 mass ppm以下である。
精製銅の最表面から2.5μmの深さまでに含まれる硫黄濃度が300 mass ppm以下であり、好ましい実施形態においては296 mass ppm以下である。
精製銅の最表面から2.5μmの深さまでに含まれる塩素濃度が61mass ppm以下であり、好ましい実施形態においては60 mass ppm以下である。
精製銅の全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下であり、好ましい実施形態においては3.0 mass ppm以下である。カソードとして銅からなる種板を使用した場合、精製銅は、当該種板を内包し、種板も含めた全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下であり、好ましい実施形態においては3.0 mass ppm以下である。
精製銅の全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下であり、好ましい実施形態においては1.0 mass ppm以下である。カソードとして銅からなる種板を使用した場合、精製銅は、当該種板を内包し、種板も含めた全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下であり、好ましい実施形態においては1.0 mass ppm以下である。
本発明の実施の形態においては、従来行われていなかった、精製銅(電気銅)の表面近傍、表面から所定の深さまで、及び全体の3領域に含まれる微量の不純物濃度についての解析を詳細に行なった。すなわち、不純物濃度を精密に最適化するため、以下3つの分析技術を駆使して顕現化を図った。特に、銅線導体の基本性能の低下(導電率低下、軟化温度上昇)と密接に関係する不純物として、本発明者らは硫黄と塩素の濃度に注目した。なお、精製銅(電気銅)の表面近傍、表面から所定の深さまで、及び全体の3領域に含まれる硫黄濃度及び塩素濃度、或いは電線用導体の硫黄濃度及び塩素濃度は、以下に示す分析法のいずれでも測定が可能である。
本分析法はSIMS分析とも呼ばれ、Secondary Ion Mass Spectrometryの略称である。本分析法の原理は、固体物質表面に対して数百eVから数十keVのエネルギーを持つCs+やO2 +イオンを照射して、このときのスパッタエッチングによって物質表面から放出されるイオンについて、電場や磁場で個々のイオンに質量分離して、Faraday cupや電子増倍管等の検出器で質量分析を行うことによって、物質表面に存在する元素の特定やその濃度を測定する、というものである。本分析法は、表面近傍や深さ方向の分析において、原理上、検出限界が数百ppb〜0.1ppmレベル以下の極微量元素分析が可能な測定技術である。したがって、後述する実施例では、電気銅の表面近傍(表面から約60〜80nmまでの深さ)において、付着状態、偏析状態、固溶状態、又はこれらの状態のうち少なくとも2つ以上の状態で含有している不純物元素(硫黄(S)や塩素(Cl)等)の濃度を測定した。尚、本実施例におけるSの検出限界は1×1016 atoms/cm3、Clの検出限界は8×1015 atoms/cm3であり、重量濃度換算ではSの検出限界は0.06 mass ppm、Clの検出限界は0.05 mass ppmに相当する。下記の表4に実施例における測定条件を示す。尚、深さについては、測定の際に行われるスパッタエッチング後に、触針式段差計、例えば、Tencor P10、Tencor P20、あるいはAlpha Step 500等で実測を行なった。
本分析法はXRF分析とも呼ばれ、X-ray Fluorescence analysisの略称である。特に本方法は非破壊分析であることから、製品品質のライン管理に優れている。本分析法の原理は、物質表面にX線を照射することによって、同物質に含まれる個々の原子の内殻電子を放出させて、隣接する高準位の電子が放出後の低準位に遷移する際に発生する蛍光X線のエネルギーとその強度を検出器で測定する、というものである。元素毎に蛍光X線のエネルギー(波長)は決まっているため、物質内に存在する元素を特定できるとともに、含有元素の濃度を測定することが可能になる。後述する実施例では、波長分散型蛍光X線分析装置(リガク製 型式 ZSX Primus II)を使用した。ここでは、分析元素が硫黄と塩素であるので、原子番号が隣接することから蛍光X線のエネルギーが近いため、蛍光X線のピークプロファイルの重なりの影響が小さいX線エネルギー分解能が高い波長分散型の装置で分析を採用した。下記の表5に実施例における測定条件を示す。
本分析法は破壊分析であるが、精製銅(電気銅)全体に含まれる不純物元素濃度を、数ppmレベルまで正確に測定できる利点がある。後述する実施例では、LECO製 CSLS600を使用した。具体的な手順は次の通りである。まず、試料を切断し、分析試料2gを採取し、銅製の助燃剤1gとともに、セラミック製のるつぼに入れて燃焼させる。このとき、酸素気流中で測定試料を高周波加熱で燃焼させて銅中のS(硫黄)を酸素と反応させて揮発性物質であるSO2を生成させてSO2を赤外線検出器で測定した。ここでは、少なくとも2回以上の測定を行って測定再現性を確認し、測定誤差が少ないことを検証した上で平均値を分析値とした。
シアン化銅(CuCN)溶液を電解めっきのめっき浴として用いた場合、CuイオンをCu金属として生成する場合、下記(1)の反応式となる。ここでは、1価のCu陽イオンが1個の電子を受け取ることによって、Cu原子(金属)となることを表している。
Cu++ e− → Cu (1)
i=dQ/dt (2)
Cu2++ 2e− → Cu (3)
本発明の実施の形態に係る電線の製造方法は、本発明の実施の形態に係る上記の精製銅の製造方法で製造された精製銅又は本発明の実施の形態に係る上記の精製銅を用いて電線用導体を作製する工程を有する。
本発明の実施の形態に係る電線は、本発明の実施の形態に係る上記の電線の製造方法により得ることができる。
本発明の実施形態で使用するシアン化銅(CuCN)溶液を用いためっき浴においては、従来、よく用いられている硫酸銅(CuSO4)溶液に含まれる硫黄や塩素等の不可避不純物が含有されていない。したがって、工場立地場所に関わる海岸や火山帯からの遠近あるいは使用水源など、外的環境が原因の微量な硫黄や塩素等による汚染の影響を除けば、精製銅(電気銅)に原料起因の硫黄や塩素等が混入することがないため、これを原材料として作製した銅線においては、硫黄や塩素等の含有が原因となる品質低下(導電率低下や軟化温度の上昇)を抑制できる。すなわち、塩素や硫黄等の濃度を極力低減した銅電線を実現でき、高導電率かつ低軟化温度の高性能な銅線を歩留まり製造することができる。
本実施例及び比較例においては、銅めっきを形成するカソードとして種板(圧延銅板)を使用した。使用しためっき浴の組成は下記の表6の通りであり、電解めっき条件は下記の表7の通りである。製造した精製銅について、後述する形態比較及び濃度分析を行なった。
図1の(a)は本発明の実施例に係る精製銅の製造方法(シアン化銅めっき浴を使用)で作製した精製銅(電気銅)の外観写真であり、(b)は比較例である従来の精製銅の製造方法(硫酸銅めっき浴を使用)で作製した精製銅(電気銅)の外観写真であり、(c)は種板(銅板)の外観写真である。図1(c)は、表面洗浄としての脱脂処理前の状態の種板(銅板)である。
本発明の実施例に係る精製銅の製造方法(シアン化銅めっき浴を使用)で作製した精製銅(電気銅)と比較例である従来の精製銅の製造方法(硫酸銅めっき浴を使用)で作製した精製銅(電気銅)について、図4(a)は硫黄濃度及び図4(b)は塩素濃度をSIMSにより深さ方向に分析した結果を示す図である。濃度測定は、前述した二次イオン質量分析法(SIMS分析)で行なった。
次に、本発明の精製銅(電気銅)を原料として電線用導体を製造した後、導体の硫黄濃度の測定並びに導体の品質(導電率及び半軟化温度)評価を行なった。具体的には、以下の通りである。
実施例1〜3では、前述の実施例と同様にして得られた電気銅を溶解し、鋳造させた後、熱間圧延することによって荒引線を作製した。但し、実施例1〜3では、シアン化銅めっき浴の濃度制御に使用される純水中の硫黄や硫酸イオンの量をイオン交換樹脂によって調整し、硫黄濃度を変更した。この荒引線を冷間加工して所望の外径に細径化し、焼鈍することによって電線用導体を作製した。
比較例1〜4では、前述の比較例と同様にして得られた電気銅を溶解し、鋳造させた後、熱間圧延することによって荒引線を作製した。但し、比較例1〜4では、めっき浴中の硫酸銅、及び硫酸の濃度を調整し、硫黄濃度を変更した。この荒引線を冷間加工して所望の外径に細径化し、焼鈍することによって電線用導体を作製した。
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた電線用導体の硫黄濃度と導電率及び半軟化温度との関係を評価した。結果を下記の表12及び図12に示す。図12(a)は硫黄濃度と半軟化温度との関係、図12(b)は硫黄濃度と導電率との関係を評価した結果を示す図である。なお、硫黄濃度の測定は、前述の蛍光X線分析法により行なった。
導電率は、万国標準軟銅(International Anneld Copper Standard)抵抗率1.7241×10−8Ωmを100%とした際の導電率である。
半軟化温度は、銅導体の加熱温度(保持時間1時間)と引張強さとの関係である加熱軟化曲線において、加熱前の引張強さと加熱1時間後の引張強さの平均値に相当する温度であり、加熱によって銅導体の引張強さが約半分に低下するときの温度である。
32:シアン化銅めっき層
33:硫酸銅めっき層
41:実施例の精製銅(電気銅)
42:比較例の精製銅(電気銅)
111:アノード
112:カソード
113:めっき成長防止材
114:めっき成長層
115:めっき浴
116:めっき漕
117:直流電源
Claims (25)
- 電解めっき法又は無電解めっき法によって、“硫黄、塩素及び酸素のいずれの元素も含まず、溶液中における銅イオンの価数が+1となる銅化合物”の溶液を用いたアルカリ性のめっき浴内でカソードに精製銅を析出させる工程を有する精製銅の製造方法。
- 前記銅化合物は、シアン化銅である請求項1に記載の精製銅の製造方法。
- 前記めっき浴中の銅化合物は、前記銅化合物のみである請求項1又は請求項2に記載の精製銅の製造方法。
- 前記精製銅は、最表面から80nmの深さまでに含まれる硫黄濃度が620 mass ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記精製銅は、最表面から60nmの深さまでに含まれる塩素濃度が700 mass ppm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記精製銅は、最表面から2.5μmの深さまでに含まれる硫黄濃度が300 mass ppm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記精製銅は、最表面から2.5μmの深さまでに含まれる塩素濃度が61 mass ppm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記精製銅は、全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記精製銅は、全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記精製銅は、表面の粒子径が0.5μm以上5μm以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記カソードとして銅からなる種板を使用し、前記精製銅は、前記種板を内包し、前記種板も含めた全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記カソードとして銅からなる種板を使用し、前記精製銅は、前記種板を内包し、前記種板も含めた全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記カソードとしてステンレス、遷移金属、又は遷移金属元素を少なくとも1種以上含む合金からなる導電性金属板を使用し、前記精製銅は、前記導電性金属板から剥離して得られる請求項1〜10のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 前記カソードとしてメッシュ形態又は平板形態の金属とカーボンナノチューブとで構成した複合材からなる導電性板を使用し、前記精製銅は、前記導電性板から剥離して得られる請求項1〜10のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法。
- 最表面から80nmの深さまでに含まれる硫黄濃度が620 mass ppm以下である精製銅。
- 最表面から60nmの深さまでに含まれる塩素濃度が700 mass ppm以下である精製銅。
- 最表面から2.5μmの深さまでに含まれる硫黄濃度が300 mass ppm以下である精製銅。
- 最表面から2.5μmの深さまでに含まれる塩素濃度が61 mass ppm以下である精製銅。
- 全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下である精製銅。
- 全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下である精製銅。
- 最表面から80nmの深さまでに含まれる硫黄濃度が620 mass ppm以下、最表面から60nmの深さまでに含まれる塩素濃度が700 mass ppm以下、最表面から2.5μmの深さまでに含まれる硫黄濃度が300 mass ppm以下、最表面から2.5μmの深さまでに含まれる塩素濃度が61 mass ppm以下、全体に含まれる硫黄濃度が3.1 mass ppm以下、及び全体に含まれる塩素濃度が1.1 mass ppm以下である精製銅。
- 表面の粒子径が0.5μm以上5μm以下である精製銅。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の精製銅の製造方法で製造された精製銅又は請求項15〜22のいずれか1項に記載の精製銅を用いて電線用導体を作製する工程を有する電線の製造方法。
- 前記電線用導体は、硫黄濃度が3.1 mass ppm以下であり、導電率が102.5%IACS以上であり、半軟化温度が125℃以上133℃以下である請求項23に記載の電線の製造方法。
- 硫黄濃度が3.1 mass ppm以下であり、塩素濃度が1.1 mass ppm以下であり、チタンを添加元素として含まず、導電率が102.5%IACS以上であり、半軟化温度が125℃以上133℃以下である導体を備えた電線。
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