JP2017199621A - リチウムイオン二次電池の正極作製用導電ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】正極合材中で導電材を均一に分散させ得る分散剤であり、且つ、電池内部抵抗の増大の要因とはならない分散剤を含む、リチウムイオン二次電池の正極作製用導電ペーストを提供する。【解決手段】本発明によって提供される導電ペーストは、導電材と、分散剤と、有機溶媒とを含み、該分散剤が、リチウムイオン二次電池において少なくとも4.2Vの充電電圧まで実質的に電位分解しない性質の1種または2種以上の有機化合物であり、ここで該有機化合物は、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニルおよびポリジメチルアクリルアミドのうちから選択される1種または2種以上である。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の正極を作製するために用いられる導電ペーストに関する。
リチウムイオン二次電池は、既存の二次電池に比べ、小型、軽量かつ高エネルギー密度であって、出力密度に優れる。このため近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源のみならず、ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動用電源として好ましく用いられている。
リチウムイオン二次電池の典型的な一形態では、正負極からなる電極体が非水電解液とともに電池容器に収容され、密閉されることにより構築される。かかるリチウムイオン二次電池の正極は、アルミニウム等の導電体からなる正極集電体の上に、電荷担体となるリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る正極活物質を主体とする電極材料(正極合材)が層状に形成された構成(以下、かかる層状形成物を「正極合材層」という。)を有する。かかる正極合材層には、リチウムと、ニッケル、コバルト、マンガン等の遷移金属元素とを含むリチウム遷移金属複合酸化物等からなる正極活物質に加え、導電性を向上させる目的により、カーボンブラック等の導電性微粒子を導電材として含ませることが一般に行われている。
このような組成の正極合材層は、典型的には、正極活物質と導電材とバインダ(結着材)とを適当な有機溶媒中で混合し、ペースト状(スラリー状、インク状を包含する。以下同じ。)に調製した正極合材層形成用組成物(以下、「正極合材層形成用ペースト」という。)を正極集電体に所定の厚みで塗布し、乾燥することによって形成される。
ところで、カーボンブラック等の導電性微粒子からなる導電材は、一般に凝集しやすい性質を有しており、正極合材層形成用ペーストを調製する際には、導電材をペースト全体に均一に分散させることが重要である。特に、正極活物質を高濃度に含有するように溶媒量を比較的少なく設定する場合には、ペースト自体の粘度も高くなり、よりいっそう導電材の均一な分散は困難となる。そこで、従来、正極合材層形成用ペーストを調製する際に分散剤を配合し、導電材や正極活物質のペースト中における分散性の向上を図っている。例えば、特許文献1,2には、この種の目的に使用する分散剤が記載されている。
特開2012−221568号公報 特開2016−006770号公報
正極合材層形成用ペーストの調製に用いられる分散剤は、基本的にはポリエチレングリコール等の有機化合物であり、非導電性である。このため、正極合材層の導電性を向上させるという観点からは、本来、存在しないほうがよい物質である。但し、その配合量が過剰でない適量であり、分散剤を構成する物質(有機化合物)が、正極合材層中において安定して存在し続けるならば、導電性に関して影響を及ぼすというほどではない。
しかしながら、この種の用途に用いられる従来の分散剤は、リチウムイオン二次電池用の非水電解液に対して溶解性である。このことに関連し、本発明者は、正極合材層に含浸してきた非水電解液に当該分散剤が溶解した際には、当該リチウムイオン二次電池の使用(充放電)に伴う電位分解によって、正極集電体の表面若しくは正極合材層(典型的には正極活物質)の表面に被膜を形成することを見出した。かかる被膜の形成は、正極合材層における抵抗(すなわち、電池の内部抵抗)を増大させる要因となるため、好ましくない。
そこで本発明は、リチウムイオン二次電池に用いられる正極合材層中の分散剤の電位分解に関連する問題を解消するべく創出されたものであり、正極合材中で導電材を均一に分散させる性能に優れ、且つ、リチウムイオン二次電池の使用時において実質的に電位分解しない性質の分散剤と、該分散剤を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池正極作製用材料の提供を目的とする。
本発明者は、ペースト状の材料中における導電材の分散を良好に実現し得ることを前提として、種々の分散剤(有機化合物)を、リチウムイオン二次電池使用時(充放電時)における電位分解性という観点から評価した。そして、いくつかの分散剤がリチウムイオン二次電池使用時において実質的に電位分解しない性質を有することを見出した。
さらに、これら実質的に電位分解しない分散剤(以下、かかる分散剤を「難電位分解性分散剤」ともいう。)は、正極合材層形成用ペーストの調製時に正極活物質その他の材料とダイレクトに混合することと比較して、予め当該分散剤、導電材、その他の成分(バインダ等)を有機溶媒と混合したペースト状材料(以下、正極活物質を混合する前の、かかるペースト状材料を「導電ペースト」という。)を調製し、その後に当該調製した導電ペーストと、正極活物質とを混合して正極合材層形成用ペーストを調製することにより、導電材の分散性に優れる正極合材層を容易に形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を実現すべく、本発明により、正極活物質と、導電材と、分散剤とを少なくとも含む正極合材層が正極集電体上に形成された正極を備えるリチウムイオン二次電池における当該正極を作製するために用いられる導電ペーストが提供される。
すなわち、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極作製用導電ペーストには、正極活物質は含まれておらず、導電材と、分散剤(難電位分解性分散剤)と、有機溶媒とを少なくとも含む。
そして、分散剤は、該導電ペーストを用いて作製された正極を有するリチウムイオン二次電池において少なくとも4.2Vの充電電圧まで実質的に電位分解しない性質の1種または2種以上の有機化合物である。
具体的には、該分散剤は、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニルおよびポリジメチルアクリルアミドのうちから選択される1種または2種以上であることを特徴とする。
ここで、「リチウムイオン二次電池において少なくとも4.2Vの充電電圧まで実質的に電位分解しない」とは、当該リチウムイオン二次電池の充放電時における電位の範囲内であって少なくとも4.2Vの充電電圧まで実質的に電位分解しないことをいい、典型的には、0V以上4.2V以下の範囲で実質的に電位分解しないことをいう。
さらに、ここで「実質的に電位分解しない」とは、以下の試験方法において算出される電流低減率が2%以下であることをいう。すなわち、
(1)評価対象とする分散剤(有機化合物)と、導電材と、有機溶媒とを含む構成の導電ペーストをアルミニウム箔の表面上に塗布し、有機溶媒が完全に除去されるまで乾燥させ、アルミニウム箔の単位面積当たりの分散剤および導電材の合計含有量が5mg/cmで当該分散剤(10質量%)および導電材(90質量%)を含む評価試験用作用極を作製する。
(2)対極としてリチウム箔を使用し、かかるリチウム箔を、セパレータを介して上記作製した作用極と積層して得た電極体を、所定の非水電解液(例えば、後述するカーボネート系混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させた非水電解液)とともにラミネートフィルム製ケースに収容して試験用電池(いわゆる2極式のラミセル)を構築する。
(3)上記構築した試験用電池(ラミセル)を用いて以下の条件でサイクリックボルタンメトリーを測定する。
・電位の掃引範囲:0.02V〜4.2V
・掃引速度:1mV/sec
・測定温度:25℃
(4)上記測定の2サイクル目および3サイクル目それぞれにおける測定CVの比較を行い、対象とする分散剤の電位分解によるピークの有無ならびにそのレベルを、2サイクル目の電流(mA)のピーク:Ep2と、3サイクル目の電流(mA)のピーク:Ep3との比較から、電流低減率(%)を求める。
すなわち、電流低減率(%)=(Ep2−Ep3)/Ep2×100
そして、算出した電流低減率が2%以下であるものを、実質的に電位分解しない分散液すなわち、ここで定義する「難電位分解性分散剤」とする。
上記のとおり、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極作製用導電ペーストには、難電位分解性分散剤として、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニルおよびポリジメチルアクリルアミドのうちから選択される1種または2種以上が用いられる。これにより、導電材の良好な分散と、当該分散剤の電位分解に起因する電池内部抵抗の上昇の防止とを、ともに実現することができる。
好ましい一態様では、上記分散剤は、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニルおよびポリジメチルアクリルアミドをいずれも含むことを特徴とする。
かかる3種類の有機化合物を全て含む難電位分解性分散剤によると、正極合材中における導電材の高い分散性と、好適な難電位分解性による電池内部抵抗の増大防止を高いレベルで実現することができる。また、複数の高分子化合物を混合することにより、より安定した分散性能を維持することができる。
また、好ましい他の一態様では、導電ペースト中の全固形分を100質量%としたときの上記分散剤の含有率が10質量%以下であることを特徴とする。
分散剤の含有率が10質量%以下である場合には、分散剤の配合に伴う抵抗増大を抑えることができ、また、導電材の分散を正極合材層形成用ペーストの調製前段階において(すなわち、ここで開示される導電ペースト中において)良好に行うことができる。
また、好ましい他の一態様では、導電ペースト中の導電材は、導電性の炭素材料であることを特徴とする。
例えば、カーボンブラックやグラファイト微粒子のような導電性の良好な炭素材料から成る微粉末材料は、ペースト中で均一に分散させることが比較的難しい材料であるが、ここで開示される難電位分解性分散剤を配合することにより、良好に分散させることができる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の正極合材層を形成するまでのプロセスを簡潔に示したフローチャートである。 分散剤としてポリジメチルアクリルアミドを含む導電ペーストを用いて作製された試験用ラミセル(実施例)についてのサイクリックボルタンメトリー測定結果を示すグラフ(CV曲線)である。 分散剤としてポリエチレングリコールを含む導電ペーストを用いて作製された試験用ラミセル(比較例)についてのサイクリックボルタンメトリー測定結果を示すグラフ(CV曲線)である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動によって充放電が実現される二次電池をいう。一般にリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ等と称される二次電池は、本明細書におけるリチウムイオン二次電池に包含される典型例である。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極作製用導電ペーストは、正極の作製、具体的には、正極集電体上に正極合材層を形成して正極を作製する工程に用いられる材料である。
典型的には、図1に示すように、リチウムイオン二次電池の正極を作製するにあたって、先ず、ここで開示される導電ペーストを作製する(図1中のS1参照)。導電ペーストは、導電材、分散剤、適当な有機溶媒、ならびにその他の必要な成分(例えばバインダ)を適当な配合比で混合して得られるペースト状材料である。以下、導電ペーストの調製のために準備される材料の典型例を説明する。
導電ペーストの主成分である導電材としては、一般的なリチウムイオン二次電池の正極に使用される導電材と同様のものを適宜採用することができる。
例えば、金属繊維(Al、SUS等)、導電性金属粉末(例えばAg、Ni、Cu等)等を導電材として用いてもよい。しかし、種々のカーボンブラック(アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、等)、或いは、グラファイト粉末のような良好な導電性を有する炭素材料(粉末材料)を用いることが好ましい。これらのうちの一種又は二種以上を併用してもよい。特に好ましい一例として、アセチレンブラック粉末やグラファイト粉末が挙げられる。
導電材の質量割合(含有率)は、導電ペースト中の固形分を100質量%としたとき、70質量%以上が適当であり、80質量%以上が好ましい。
また、使用する導電材は、導電性の観点から、一次粒子がある程度連なり連鎖状または房状等の構造を有していることが好ましい。該一次粒子の連なりは、ストラクチャーとも言われ、かかる構造の程度は、例えば、粒度分布測定(動的光散乱法)や、電子顕微鏡(走査型または透過型のいずれも使用可能である。好ましくは透過型電子顕微鏡)観察により把握することができる。
特に限定するものではないが、使用する導電材の好適例として、粒度分布測定(動的光散乱法を用いた粒度分布測定装置による)に基づく累積10%粒径(D10)が0.05μm以上であり、累積90%粒径(D90)が2μm以下のものが挙げられる。好ましくは、累積50%粒径(D50)が0.1μm以上1μm以下であるカーボンブラック等の導電材が挙げられる。
このような粒径範囲の微粒子状の導電材は、後述する分散剤によって分散されやすく、正極合材層形成用ペースト調製後も正極集電体への塗工性が良好である。したがって、正極合材層を精度よく形成することができ、且つ該正極合材層を備えたリチウムイオン二次電池では電池性能(例えば、内部抵抗の低減)を向上させることができる。
ここで開示される導電ペーストに用いられる分散剤は、上記のとおり、ここで定義される難電位分解性分散剤である。具体的には、上記構成の試験用ラミセルを用いたサイクリックボルタンメトリー測定によって算出した電流低減率が2%以下であることを特徴とする分散剤である。具体的には以下のとおりである。
(1)評価対象とする分散剤(有機化合物)と、導電材と、有機溶媒とを含む構成の導電ペーストをアルミニウム箔の表面上に塗布し、有機溶媒が完全に除去されるまで乾燥させる。このとき、単位面積当たりのアルミニウム箔上に付与される分散剤および導電材の合計含有量は、5mg/cmであり、その内訳は当該分散剤10質量%および導電材90質量%となるように評価試験用作用極を作製する。
(2)対極は、リチウム箔を使用し、かかるリチウム箔を、セパレータを介して上記作製した作用極と積層して得た電極体を、所定の非水電解液(典型的にはカーボネート系溶媒にリチウム塩(例えば1mol/LのLiPF)を溶解させた非水電解液)とともにラミネートフィルム製電池ケースに収容して試験用電池(2極式ラミセル)を構築する。
(3)上記構築した試験用電池を用いて以下の条件でサイクリックボルタンメトリーを測定する。
・電位の掃引範囲:0.02V〜4.2V
・掃引速度:1mV/sec
・測定温度:25℃
(4)上記測定の2サイクル目および3サイクル目それぞれにおける測定CVの比較を行う。なお、測定の1サイクル目は、電解液の分解由来のピークが生じるため、比較対象としない。そして、対象とする分散剤の電位分解によるピークの有無ならびにそのレベルを、2サイクル目の電流(mA)のピーク:Ep2と、3サイクル目の電流(mA)のピーク:Ep3との比較から求める。具体的には、以下の式:
電流低減率(%)=(Ep2−Ep3)/Ep2×100 ;
から電流低減率(%)を求める。
そして、算出した電流低減率が2%以下であるものを、実質的に電位分解しない分散液すなわち、ここで定義する「難電位分解性分散剤」として選定することができる。
上記条件で算出した電流低減率2%以下である具体例として見出された物質が、
(1)ポリカプロラクトン、
(2)ポリ酢酸ビニル、
(3)ポリジメチルアクリルアミド、
である。
なお、ここで「ポリカプロラクトン」は、ε-カプロラクトンの開環重合で得られるポリマーであり、ある特定の分子量のもの、水酸基その他の官能基の数にも限定されない。
「ポリ酢酸ビニル」は、酢酸ビニルのラジカル重合で得られるポリマーであり、ある特定の分子量のものに限定されない。また、本発明の効果を損なわない範囲で、一部をケン化(加水分解)することもでき、酢酸ビニル以外のモノマーを共重合することもできる。そのような形態も、ここでいう「ポリ酢酸ビニル」に包含され得る。
「ポリジメチルアクリルアミド」は、ジメチルアクリルアミドの重合体をいい、ある特定の分子量のものに限定されない。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ジメチルアクリルアミドは任意の置換基を有することができ、ジメチルアクリルアミド以外のモノマーを共重合することもできる。そのような形態も、ここでいう「ポリジメチルアクリルアミド」に包含され得る。
すなわち、ここで開示される導電ペーストの調製に用いられる難電位分解性分散剤は、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニルおよびポリジメチルアクリルアミドのうちのいずれか1種、もしくは2種以上の組合せであり、当該調製された導電ペーストを用いて形成された正極(具体的には正極合材層)を備えるリチウムイオン二次電池で用いられる非水電解液(例えば、後述するカーボネート系溶媒)に応じて、適当な分子量(重合度)のものを使用することができる。また、上記3種のポリマーを所定の配合比で全て使用してもよい。異なる種類のポリマーを混合することによって、より安定した分散性能を維持することができる。
特に限定するものではないが、導電ペースト中の難電位分解性分散剤の含有率は、該ペースト中の全固形分を100質量%としたときの30質量%以下とすることができ、20質量%以下が適当である。かかる含有率は15質量%以下(例えば0.1質量%以上15質量%以下)が好ましく、10質量%以下(例えば1質量%以上10質量%以下)が特に好ましい。分散剤の含有率が高すぎると、当該導電ペーストを加えた後の正極合材層形成用ペーストで作製した正極合材層の抵抗値を高める原因となるため、好ましくない。他方、分散剤の含有率が低すぎると、当該導電ペースト中での導電材の分散性を良好にできないため、やはり好ましくない。
導電ペーストの調製に用いられる有機溶媒は、リチウムイオン二次電池の正極合材層形成用ペーストの溶媒として用いられる物質のうち一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、アミド、アルコール、ケトン、エステル、アミン、エーテル、ニトリル、環状エーテル、芳香族炭化水素等が挙げられる。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、2−プロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、プロペン酸メチル、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、アセトニトリル、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンジメチルスルホキシド(DMSO)、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。特にNMPが好適に用いられる。
また、ここで開示される導電ペーストでは、上記導電材ならびに分散剤に加えて正極合材層に含まれ得る成分の一つであるバインダを含有させることができる。かかるバインダの種類としては、リチウムイオン二次電池の正極合材層に使用され得る一般的なバインダを適宜採用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等のハロゲン化ビニル樹脂や、ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイドを好ましく用いることができる。
なお、バインダは、本来的には、電極合材層中において正極活物質粒子どうし、或いは、正極活物質粒子と正極集電体とを良好に結合するための添加成分である。従って、必ずしも導電ペーストに加える必要はなく、導電ペーストとは別途に正極合材層形成用ペースト調製時に添加してもよい。
而して、上述した材料のそれぞれを混合し、ここで開示される導電ペーストを作製する(図1中のS1参照)。導電ペーストの調製方法に特に限定はなく、この種のペースト状組成物を調製する一般的な方法を適用することができる。
具体的には、導電材および分散剤、ならびに必要に応じてバインダその他の成分(例えば増粘剤)を、適当な溶媒(例えばNMP)中で混練する。かかる混練には、適当な混練用(分散用)装置(プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、ジェットミル、超音波分散機、等)を用いて行うことができる。
上記のようにして得られた導電ペーストに対して、次に、所望の正極活物質粒子を添加し、正極合材層形成用ペーストを調製する(図1中のS2参照)。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料であって、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素を含むリチウム含有化合物(例えばリチウム遷移金属複合酸化物)が挙げられる。例えば、リチウムニッケル系複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト系複合酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン系複合酸化物(例えばLiMn)、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物(例えばLiNi0.5Mn1.5)、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)等が例示される。また、一般式がLiMPO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素)で表記されるポリアニオン系(例えばオリビン系)の化合物(例えばLiFePO、LiMnPO)も好ましく用いることができる。
例えば、累積50%粒径(D50)が凡そ1μm以上25μm以下(好ましくは2μm以上10μm以下)の範囲にある二次粒子によって実質的に構成された正極活物質を好ましく用いることができる。
特に限定されるものではないが、正極合材層形成用ペーストの固形分濃度は45質量%以上90質量%以下程度が適当であり、その固形分の内訳としては、正極活物質が70質量%以上(例えば80質量%以上、さらには90質量%以上でもよい)とすることが好適であり、導電材は、固形分全体の2質量%以上20質量%以下程度が好適である。バインダを含ませる場合には、固形分全体の0.5質量%以上10質量%以下程度とすることができる。分散剤は、固形分全体の0.5質量%以上5質量%以下程度とすることができる。
かかる固形分の各成分の含有率は、上記導電ペーストの配合比や添加量の調整、さらには正極活物質の添加量を適宜調整することにより、所望する固形分濃度の正極合材層形成用ペーストを調製することができる。なお、導電ペーストと正極活物質との混合には、上記したような適当な混練用(分散用)装置を用いて行えばよい。かかる調製プロセス自体は、従来法にすぎず、本発明を特徴付けるものではないので、これ以上の詳細な説明は省略する。
次いで、調製した正極合材層形成用ペーストを使用し、正極集電体上に正極合材層を形成する(図1中のS3参照)。
正極合材層形成用ペーストを正極集電体に塗布する操作は、従来の一般的なリチウムイオン二次電池用正極を作製する場合と異なることなく同様に行うことができる。例えば、適当な塗工装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター等)を使用して、上記正極集電体上の片面または両面に所定量の正極合材層形成用ペーストを均一な厚さにコーティングすることにより形成する。
正極集電体としては、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等のように導電性の良い金属を主体に構成された部材を使用することができる。集電体の形状は、得られた電極を用いて構築される電池の形状等に応じて異なり得るため特に限定されず、棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。正極集電体の厚みは特に限定されないが、電池の容量密度と集電体の強度との兼ね合いから、5μm以上50μm以下程度が好ましい。
その後、適当な乾燥手段で正極合材層を乾燥することにより、正極合材層形成用ペーストに含まれていた有機溶媒を除去する。乾燥は、自然乾燥、熱風、真空乾燥、等で行うことができる。なお、塗布した正極合材層形成用ペーストの乾燥後、適宜プレス処理(例えば、ロールプレス法、平板プレス法等)を施すことによって正極合材層の厚みや密度を調整することができる。
上記のようにして所定の組成の正極合材層が正極集電体上に形成され、リチウムイオン二次電池用の正極が製造される。得られた正極は、リチウムイオン二次電池の構築のために使用される。そして、別途用意されたリチウムイオン二次電池用の非水電解液、負極、電池ケース等の電池構築用材料を使用し、目的とする形態・容量のリチウムイオン二次電池が構築(製造)される。
非水電解液は、適当な有機溶媒に電解質(リチウム塩)を含有させた組成である。ここで開示される難電位分解性分散剤を正極合材層に含む場合、非水電解液を構成する好ましい有機溶媒として、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒が挙げられる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。なかでも上記列挙したようなカーボネート類を主体とする有機溶媒(カーボネート系溶媒)が好ましく用いられる。
リチウムイオン二次電池の構築に用いられる負極は、従来のものと同様でよい。例えば、負極集電体と当該負極集電体上に形成された負極合材層とを備えている。負極合材層は、負極活物質と他の任意成分(例えばバインダや増粘剤等)とを含み得る。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば銅)からなる導電性部材を好適に採用し得る。負極活物質としては、例えば、黒鉛(グラファイト)等の炭素材料を採用し得る。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を採用し得る。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を採用し得る。
なお、上述したような正負極、非水電解液を用いてリチウムイオン二次電池を構築(作製)するプロセス自体は、従来と同様でよく、本発明を特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<試験例1:分散剤の電位分解性の評価>
まず、以下の4種類の樹脂材料を、本試験例に係る分散剤(サンプル1〜4)として用意した。なお、分子量の表示は、X以上Y以下をX〜Yで示している。
1 ポリカプロラクトン(重量平均分子量Mw:1万〜4万)
2 ポリ酢酸ビニル(重量平均分子量Mw:3万〜6万)
3 ポリジメチルアクリルアミド(重量平均分子量Mw:3万〜6万)
4 ポリエチレングリコール(重量平均分子量Mw:2万〜5万)
さらに、上記サンプル1〜4の他に、サンプル5の分散剤として、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニルおよびポリジメチルアクリルアミドを、質量比で40:30:30となるように混合した分散剤もあわせて用意した。
而して、上記サンプル1〜5の分散剤を用いて、それぞれ、導電ペーストを調製し、各導電ペーストを用いて作用極(正極)を作製するとともに、さらに各作用極を用いて評価用のラミセルを構築し、各分散剤の電位分解性をサイクリックボルタンメトリー測定で評価した。具体的には以下のとおりである。
導電材としてアセチレンブラックを使用し、それにサンプル1〜5のいずれかの分散剤との質量比(導電材:分散剤)が80:10となるように秤量し、これらを溶媒NMPに分散させて導電ペーストを調製した。
調製された各導電ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔の表面(両面)に塗布し、乾燥させることによって、アルミニウム箔(3cm×1cm×15μm)上に5mg/cmでの含有量(目付量)で分散剤(約10質量%)および導電材(約90質量%)が付与された試験用作用極を作製した。
対極としてリチウム箔(3cm×1cm×100μm)を採用した。そして、セパレータシート(厚み20μmポリプロピレン/ポリエチレン複合体多孔質膜)を挟んで上記作用極と対向配置させて積層電極体を形成し、非水電解液と共にラミネート型のケース(ラミネートフィルム)に収容することにより、評価試験用のラミセルを構築した。なお、本試験例では、非水電解液として、カーボネート系溶媒であるEC、DMCおよびEMCが体積比1:1:1で混合されたカーボネート系混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させたものを使用した。
そして以下の条件:
・電位の掃引範囲:0.02V〜4.2V
・掃引速度:1mV/sec
・測定温度:25℃
にてサイクリックボルタンメトリーの測定を行い、その2サイクル目および3サイクル目それぞれにおける測定CVの比較により、上記式に基づき電流低減率(%)を求めた。結果を表1の該当欄に示した。また、分散剤としてサンプル3(ポリジメチルアクリルアミド)およびサンプル4(ポリエチレングリコール)を含む導電ペーストを用いて作製された試験用ラミセルについてのサイクリックボルタンメトリー測定結果(CV曲線)を、それぞれ、図2および図3に示す。
なお、本試験例では、2極式のラミセルを用いてサイクリックボルタンメトリー測定を測定したが、さらに上記作用極、対極のほかに参照極(典型的には対極と同様にリチウム箔を用いる。)を加えた3極式の評価セルを用いてサイクリックボルタンメトリー測定を実施してもよい。
Figure 2017199621
表1の該当欄ならびに図2および図3に示すように、サンプル1、サンプル2、サンプル3およびそれらの等量混合物であるサンプル5の分散剤は、リチウムイオン二次電池の通常の使用範囲(充放電範囲)である上記掃引範囲において、電流低減率が1%以下であり、実質的に電位分解しない分散剤(難電位分解性分散剤)であることが確認された。
他方、従来の多用される分散剤であるサンプル4については、3.4V付近で2サイクル目と3サイクル目との間で大きな電流低減(0.1mAから0.05mA)が生じており、この付近で著しく電位分解することが認められた。
<試験例2:分散剤の電池内部抵抗に及ぼす影響の評価>
上記サンプル1〜5の分散剤を用いて、それぞれ、導電ペーストを調製し、各導電ペーストを用いて正極を作製するとともに、さらに各正極を用いて評価用のリチウムイオン二次電池を構築し、分散剤の種類による電池内部抵抗に及ぼす影響を評価した。具体的には以下のとおりである。
導電材としてアセチレンブラック、バインダとしてPVDFを使用し、それにサンプル1〜5のいずれかの分散剤との質量比(導電材:バインダ:分散剤)が80:10:10となるように秤量し、これらを溶媒NMPに分散させて導電ペーストを調製した。
次に、調製した導電ペーストと、粒状正極活物質材料としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3とを混合し、固形分比率が質量比で正極活物質:導電材:バインダ:分散剤=90:8:1:1となるように、正極合材層形成用ペーストを調製した。
なお、特に詳細な結果は示さないが、上記いずれの分散剤(サンプル1〜5)を用いた場合であっても、分散剤を含む正極合材層形成用ペーストの粘度は、分散剤を含まないで調製した比較対照用の正極合材層形成用ペーストの粘度と比較してみると、市販のレオメータを用いて測定した測定値ベースであるが、概ね30%以上の粘度低下が認められ、分散剤添加による粘度低下効果(すなわち、正極活物質および導電材のペースト中における分散性向上の効果)が認められた。
而して、調製された正極合材層形成用ペーストを厚さ15μmの長尺シート状の正極集電体(アルミニウム箔)の表面(両面)に塗布した。その後、120℃で6時間乾燥させて、さらにロールプレス機を用いて圧延処理を施すことによって、正極集電体上に正極合材層が形成された正極シートを作製した。
負極活物質としての黒鉛と、バインダとしてのSBRと、増粘剤としてのCMCとを質量比で98:1:1となるように混合し、水に分散させて負極合材層形成用ペーストを調製した。かかるペーストを厚さ10μmの長尺シート状の負極集電体(銅箔)の表面(両面)に塗布した。その後、120℃で6時間乾燥させて、されにロールプレス機を用いて圧延処理を施すことによって、負極集電体上に負極合材層が形成された負極シートを作製した。
次いで、上記のとおり作製した正極シート及び負極シートを、別途準備しておいた2枚のセパレータシート(厚み20μmポリプロピレン/ポリエチレン複合体多孔質膜)を挟んで対向配置させて捲回することにより、捲回電極体を形成した。かかる捲回電極体を電解液と共にラミネート型のケース(ラミネートフィルム)に収容することにより、評価試験用のリチウムイオン二次電池(定格容量150mAh)を構築した。なお、非水電解液としては、試験例1で使用したカーボネート系混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させたものを使用した。
こうして使用した分散剤(サンプル1〜5)の種類に応じて構築した評価試験用リチウムイオン二次電池について、以下のようにして、電池内部抵抗(IV抵抗)の増加率を調べた。具体的には、以下のとおりである。
先ず、各サンプル電池について、初期のIV抵抗を測定した。すなわち、各サンプル電池を5Aで3.7Vまで定電流定電圧(CCCV)で予備充電し、各サンプル電池のSOCを60%に調整した。その後、60Aで10秒間の定電流(CC)放電を行い、このときの電流(I)−電圧(V)プロット値の一次近似直線の傾きから初期内部抵抗(IV抵抗)を求めた。
次いで、25℃にて5Cの充電電流で充電を行い、0℃環境下でハイレート放電(放電電流20C)を行い、放電後のIV抵抗を測定した。そして、初期IV抵抗値を基準として、各サンプルのリチウムイオン二次電池において測定したIV抵抗値との差から、抵抗増加率(%)を算出した。結果を表1の該当欄に示した。
表1に示す結果から明らかなように、難電位分解性分散剤を使用して構築されたリチウムイオン二次電池によると、電池の内部抵抗(IV抵抗)の増加率は0%であり、分散剤添加の影響は認められなかった。一方、試験例1で高い電位分解性が認められたサンプル(PEG)を用いたリチウムイオン二次電池では、抵抗増加率が29%以上となり、内部抵抗(IV抵抗)の増大に分散剤添加の影響が大きいことが裏付けられた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
S1 導電ペースト調製プロセス
S2 正極合材層形成用ペースト調製プロセス
S3 正極合材層形成プロセス

Claims (4)

  1. 正極活物質と、導電材と、分散剤とを少なくとも含む正極合材層が、正極集電体上に形成された正極を備えるリチウムイオン二次電池の当該正極を作製するために用いられる導電ペーストであって、
    前記正極活物質は含まれておらず、
    前記導電材と、前記分散剤と、有機溶媒とを少なくとも含み、
    前記分散剤は、前記リチウムイオン二次電池において少なくとも4.2Vの充電電圧まで実質的に電位分解しない性質の1種または2種以上の有機化合物であり、
    ここで前記有機化合物は、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニルおよびポリジメチルアクリルアミドのうちから選択される1種または2種以上であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池の正極作製用導電ペースト。
  2. 前記分散剤は、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニルおよびポリジメチルアクリルアミドをいずれも含む、請求項1に記載の導電ペースト。
  3. 全固形分を100質量%としたときの前記分散剤の含有量は、10質量%以下である、請求項1または2に記載の導電ペースト。
  4. 前記導電材は、導電性の炭素材料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電ペースト。
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