JP2017196773A - 建材用防湿フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に用いても層間剥離を防止し、かつ被着体との密着性に優れた防湿フィルムの提供。【解決手段】本発明によれば、樹脂基材、無機層、前記無機層上に直接形成された第1のプライマー層、および第2のプライマー層をこの順に備える建材用防湿フィルムであって、前記第1のプライマー層が、アクリルポリオールおよびウレタン樹脂の混合樹脂と、エポキシ化合物との硬化物であり、前記第2のプライマー層が、ポリエステルポリオールと、イソシアネート化合物との硬化物である、建材用防湿フィルムが提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、建材用防湿フィルムに関し、より詳細には接着用プライマー層を備える建材用防湿フィルム、該建材用防湿フィルムを備える建材、および該建材を備える化粧板に関する。
従来から、木材合板、中密度繊維板(MDF)、ハードボード、パーティクルボード等の木質系基材の表面に化粧シートを積層した化粧板が、ドア、引き戸、間仕切り、床材等の表面材として用いられている。木質系基材は、その含水率が外気条件下における木質系基材の平衡含水率より小さい場合には、化粧板の化粧シートを積層していない面から吸湿や吸水し、この面を膨張させる。一方、木質系基材の含水率が、外気条件下における木質系基材の平衡含水率より大きい場合には、放湿や放水して収縮させるのに対し、化粧シートを積層した面は吸放湿、吸放水が殆どないために、化粧板の化粧シートを積層した面と木質系基材が表出した面との膨張率または収縮率が異なり、化粧板に反りが発生し、商品価値を落とす結果となる。
このような木質系基材の反りを防止する方法としては、たとえば、化粧板を金属等で反らないように十分に補強する方法、あるいは、表面に化粧シートを積層した化粧板の裏面側に、化粧板の裏面側からの吸放湿による木質系基材の含水率の変化の原因となる水蒸気の透過を防ぐ為に、塗料を塗装する方法、あるいは、表面に化粧シートを積層した化粧板の裏面側に、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製フィルムを積層する方法、あるいは、防湿フィルムを積層する方法等が知られている。
上記した化粧板を補強する方法は、補強することにより反りは防止することができる反面、フラッシュドアのような補強を十分に行うことができない構造の場合には反りを防止することはできないという問題があり、また、塗料を塗装する方法は、木質系基材の表面の塗料の吸い込みが強く、また、表面の平滑度が悪いために均一な防湿、防水層を形成することが難しいという問題があった。そのため、反りをある程度防止することができることなどから、合成樹脂製フィルムあるいは防湿フィルムを積層する方法が採用され、広く使用されている。
しかしながら、防湿シートを貼着する方法を採用した化粧板であっても、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に長期間使用された場合には、木質系基材の水分分布に一方の面側と他方の面側とで差が生じ、その結果、両面に伸張や収縮の度合いが異なり、反りが発生する場合があった。このような技術的課題を解決するために、PETフィルム上に無機酸化物蒸着層を設け、その上にポリビニルアルコールを含む樹脂層を設けてなる防湿シートにおいて、樹脂層の表出面に接着用プライマー層を設け、PETフィルムの無機酸化物蒸着層を設けた面とは反対側の面にプラズマを利用したリアクティブエッチング処理を施した防湿シートが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、このような防湿シートであっても、ポリビニルアルコールを含む樹脂層が存在するため、環境によってはポリビニルアルコールの加水分解が生じて密着劣化が起こり、十分に水蒸気の透過を防ぐことができず、防湿性が足りないことから反りが起こることが考えられた。また、長期間使用された場合にはリアクティブエッチング処理では密着性が十分とはいえず、PETフィルムと接着剤層の界面で剥離して、やはり化粧板の反りが発生する恐れがあった。
さらに、シリカ蒸着層を設けたPETフィルムの蒸着面に2液硬化型ウレタン系接着剤層を介してポリエチレン樹脂層を設けた上で、さらに接着用プライマー層を設けた防湿シートが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、製造工程の削減が検討されている。したがって、依然として、このような防湿シートと化粧板との接着強度についても更なる改善が望まれている。
特開2015−77710号公報 特開2008−105381号公報
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に用いても層間剥離を防止し、かつ被着体との密着性に優れた防湿フィルムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、樹脂基材の無機層と反対側の面に第1のプライマー層を形成し、無機層上に他の層を介さずに特定の組成を有する第2のプライマー層を直接形成した上で、さらに第2のプライマー層上に第3のプライマー層を形成することで、上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様によれば、
樹脂基材、無機層、前記無機層上に直接形成された第1のプライマー層、および第2のプライマー層をこの順に備える建材用防湿フィルムであって、
前記第1のプライマー層が、アクリルポリオールおよびウレタン樹脂の混合樹脂と、エポキシ化合物との硬化物であり、
前記第2のプライマー層が、ポリエステルポリオールと、イソシアネート化合物との硬化物である、建材用防湿フィルムが提供される。
本発明の態様においては、前記樹脂基材の前記無機層と反対側の面に、第3のプライマー層をさらに備えることが好ましい。
本発明の態様においては、前記第3のプライマー層が、2液硬化型ウレタン樹脂層であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記無機層が、無機物または無機酸化物の蒸着膜であることが好ましい。
また、本発明の他の態様によれば、
木質系基材と、
前記木質系基材の片面または両面に、上記の建材用防湿フィルムと
を備える、建材が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、
上記の建材と、
前記建材の片面または両面に化粧シートと
を備える、化粧板が提供される。
本発明においては、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に用いても層間剥離を防止し、かつ木質系基材やコンクリート等の被着体との密着性に優れた防湿フィルムを提供することができる。本発明による防湿フィルムは、無機層側の面(第2のプライマー層)と被着体との層間密着性が高いため、環境耐久性能等を向上させることができる。
本発明による建材用防湿フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明による建材の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明による化粧板の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明による化粧板の一実施形態を示す模式断面図である。
<建材用防湿フィルム>
本発明による建材用防湿フィルムは、樹脂基材、無機層、無機層上に直接形成された第1のプライマー層、および第2のプライマー層をこの順に備える。建材用防湿フィルムは、樹脂基材の無機層と反対側の面に、第3のプライマー層をさらに備えることが好ましい。このような建材用防湿フィルムは、防湿性が高く、第2および第3のプライマー層により被着体との密着性が高いため、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に好適に使用できる。
建材用防湿フィルムは、JIS K 7126−2に準拠して測定した透湿度が1.5g/m以下であることが好ましい。透湿度が1.5g/m以下であれば、十分な防湿性を発揮することができる。なお、透湿度は、水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名:パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いて、調湿側が無機層側となるように防湿フィルムをセットして測定することができる。
本発明による建材用防湿フィルムの模式断面図を図1に示す。図1に示す建材用防湿フィルム10は、樹脂基材2の一方の面に第3のプライマー層1を備え、他方の面に無機層3を備え、さらに無機層3上に第1のプライマー層4を直接備え、さらに第1のプライマー層4上に第2のプライマー層5を備える。以下、建材用防湿フィルムを構成する各層について説明する。
(樹脂基材)
防湿フィルムの樹脂基材は、特に制限されず、従来公知の樹脂フィルムまたは樹脂シートを使用することができる。樹脂フィルムまたは樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂6、ポリアミド樹脂66、ポリアミド樹脂610、ポリアミド樹脂612、ポリアミド樹脂11、およびポリアミド樹脂12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのα−オレフィンの重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
樹脂基材に用いる樹脂フィルムまたは樹脂シートは、例えば、上記の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の樹脂を単独あるいは2種以上の各種樹脂を使用して多層共押し出し、製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により製造することができる。更に、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸したものを使用することができる。
上記樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
樹脂基材に用いる樹脂フィルムまたは樹脂シートの厚さとしては、特に制限を受けるものではなく、蒸着膜を成膜する際の前処理や成膜処理することができるものであればよく、可撓性、形態保持性、および搬送性等の観点から、6〜400μm、好ましくは、12〜200μmの範囲が望ましい。
(無機層)
防湿フィルムの無機層は、無機物または無機酸化物の蒸着膜であることが好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。防湿フィルムが無機層を有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を向上させることができる。
蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物または無機酸化物の蒸着膜を使用することができる。特に、建材等に適するものとしては、アルミニウム金属の蒸着膜、あるいは、ケイ素酸化物またはアルミニウム金属もしくはアルミニウム酸化物の蒸着膜を用いるのがよい。また、フラッシュドア加工の際に高周波を使用して防湿フィルムと木材の接着を行う場合などは、透明な無機酸化物蒸着層がより好ましい。
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。建材には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機物または無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する無機物または無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。更に具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着膜の場合には、膜厚50〜600Å位、更に、好ましくは、100〜450Å位が望ましく、また、酸化アルミニウムあるいは酸化珪素の蒸着膜の場合には、膜厚50〜500Å位、更に、好ましくは、100〜300Å位が望ましいものである。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
(第1のプライマー層)
防湿フィルムの第1のプライマー層は、バリアコート層等の他の層を介さずに無機層上に直接形成されるため、無機層側の耐水性を向上させることができる。また、他の層を介しないため、一層減らすことでコストダウンにも繋がる。
第1のプライマー層は、主剤としてアクリルポリオールおよびウレタン樹脂の混合樹脂と、硬化剤としてエポキシ化合物との硬化物である。このような硬化物により第1のプライマー層を形成することで、無機層との密着性を向上させ、さらに耐水性および耐溶剤性を付与することができる。硬化剤としてエポキシ化合物を用いることで、副生成物の発生を抑制し、また混合性も良好である。
第1のプライマー層の厚みは、好ましくは0.1μm〜3μmであり、より好ましくは0.2μm〜1μmであり、さらに好ましくは0.3μm〜0.9μmである。プライマー層を設ける方法としてはロールコートやグラビア印刷法等の塗布手段を用いて形成することができる。
(第2のプライマー層)
防湿フィルムの第2のプライマー層は、無機層と被着体とを、接着剤層を介し貼着する際、十分な接着強度を得るために設けるものである。
第2のプライマー層は、主剤としてポリエステルポリオールと、硬化剤としてイソシアネート化合物との硬化物である。このような硬化物により第2のプライマー層を形成することで、接着剤との密着性を向上させることができる。
第2のプライマー層の厚みは、好ましくは0.1μm〜3μmであり、より好ましくは0.2μm〜1μmであり、さらに好ましくは0.3μm〜0.9μmである。プライマー層を設ける方法としてはロールコートやグラビア印刷法等の塗布手段を用いて形成することができる。
(第3のプライマー層)
防湿フィルムの第3のプライマー層は、樹脂基材の無機層と反対側に形成され、樹脂基材と被着体とを、接着剤層を介し貼着する際、十分な接着強度を得るために設けるものである。第3のプライマー層は、例えば、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を用いて形成することができ、これらの樹脂を1種または2種以上用いることができる。その中でも、主剤としてウレタン樹脂とニトロセルロース系樹脂の混合樹脂と、硬化剤としてイソシアネート化合物とからなる2液硬化型ウレタン樹脂層の形成が特に好ましい。
第3のプライマー層の厚みは、好ましくは0.1μm〜3μmであり、より好ましくは0.2μm〜1μmであり、さらに好ましくは0.3μm〜0.9μmである。プライマー層を設ける方法としてはロールコートやグラビア印刷法等の塗布手段を用いて形成することができる。
<建材>
本発明による建材は、木質系基材の片面または両面に上記建材用防湿フィルムを備えるものであり、建材用防湿フィルムと木質系基材との間に接着剤層を設けてもよい。このような建材は、防湿性が高く、防湿フィルムのプライマー層と、木質系基材やコンクリート等の被着体との密着性が高いため、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に好適に使用できる。
本発明による建材の模式断面図を図2に示す。図2に示す建材20は、建材用防湿フィルム10と木質系基材11とが接着剤層12を介して、積層されたものである。以下、建材を構成する各層について説明する。なお、建材用防湿フィルムは上記で説明した通りである。
(木質系基材)
建材の木質系基材は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。木質系基材としては、例えば、合板、パーティクルボード(PB)、中密度繊維板(MDF)、および高密度繊維板(HDF)等が挙げられる。
(接着剤層)
建材の接着剤層は、特に限定されず、従来公知の建材用の接着剤を用いることができる。接着剤としては、例えば、1液あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のラミネート用接着剤等が挙げられる。上記の接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。その塗布量としては、0.1g/m〜10g/m(乾燥状態)位が好ましく、1g/m〜5g/m(乾燥状態)位がより好ましい。
<化粧板>
本発明による化粧板は、上記建材の片面または両面に化粧シートを備えるものであり、建材と化粧シートとの間に接着剤層を設けてもよい。このような化粧板は、防湿性が高く、防湿フィルムのプライマー層と、木質系基材やコンクリート等の等の被着体との密着性が高いため、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に好適に使用できる。
本発明による化粧板の模式断面図を図3および図4に示す。図3に示す化粧板30は、木質系基材11の一方の面に接着剤層12を介して建材用防湿フィルム10が積層され、木質系基材11の他方の面に化粧シート13が積層されたものである。また、図4に示す化粧板30は、木質系基材11の両方の面に接着剤層12を介して建材用防湿フィルム10が積層され、さらに、片方の建材用防湿フィルム10に化粧シートが積層されたものである。以下、化粧板を構成する各層について説明する。なお、建材および接着剤層は上記で説明した通りである。
(化粧シート)
化粧板の化粧シートは、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。化粧シートとしては、例えば、木目模様からなる絵柄印刷が少なくとも施された紙基材や合成樹脂製基材からなる化粧シートが挙げられる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定解釈されるものではない。
[実施例1]
樹脂基材である厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製PET−F)の片面に、真空蒸着により厚み10nmの酸化アルミニウム(アルミナ)膜を形成した。
続いて、PETフィルムの無機層(アルミナ膜)上に、主剤としてのアクリルポリオールおよびウレタン樹脂の混合樹脂(大日精化工業(株)製、商品名:セイカダインTS241プライマー)に硬化剤としての脂肪族エポキシ化合物(大日精化工業(株)製、商品名:セイカダインTS241硬化剤)を添加した第1のプライマー層用樹脂組成物をグラビア印刷法にて塗布し、厚さ0.3μmの第1のプライマー層を形成した。次に、第1のプライマー層上に、主剤としてのポリエステルポリオール(大日精化工業(株)製、商品名:蒸着プライマー PD−4 PET−2)に硬化剤としてのイソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、商品名:VM−D 硬化剤)を添加した第2のプライマー層用樹脂組成物をグラビア印刷法にて塗布し、厚さ0.3μmの第2のプライマー層を形成した。また、PETフィルムの無機層と反対側の面にコロナ処理放電(放電量20W・分/m)を施した後、主剤としてのウレタン樹脂/ニトロセルロース系樹脂に硬化剤としてのイソシアネート化合物を添加した2液硬化型ウレタン樹脂組成物を塗布し、厚さ0.3μmの第3のプライマー層を形成して、防湿フィルム(層構成:第3のプライマー層/樹脂基材/無機層/第1のプライマー層/第2のプライマー層)を得た。
[比較例1]
PETフィルムの無機層(アルミナ膜)上に、第1のプライマー層を形成せずに、第2のプライマー層を直接形成した以外は、実施例1と同様にして防湿フィルム(層構成:第3のプライマー層/樹脂基材/無機層/第2のプライマー層)を作製した。
[比較例2]
樹脂基材である厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製PET−F)の片面に、真空蒸着により厚み10nmの酸化アルミニウム(アルミナ)膜を形成した。続いて、PETフィルムの無機層(アルミナ膜)上に、ポリビニルアルコール溶液を乾燥後0.2g/mとなるようグラビア印刷法で塗布して、乾燥させて、ポリビニルアルコールを含む樹脂層(バリアコート層)を形成した。続いて、バリアコート層上に、主剤としてのポリエステルポリオール(大日精化工業(株)製、商品名:蒸着プライマー PD−4 PET−2)に硬化剤としてのイソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、商品名:VM−D 硬化剤)を添加した第2のプライマー層用樹脂組成物をグラビア印刷法にて塗布し、厚さ0.3μmの第2のプライマー層を形成して、防湿フィルム(層構成:樹脂基材/無機層/バリアコート層/第2のプライマー層)を得た。
<防湿シートの評価>
上記の各実施例および比較例で作製した防湿シートを用いて、下記の測定および評価を行った。
<透湿度測定>
水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いて、調湿側が無機層側となるように処理前の防湿フィルムをセットし、温度40℃湿度90%の条件にてJIS K 7126−2に準拠し、透湿度を測定した。
<無機層面側密着性評価>
酢酸ビニル系接着剤(中央理科工業(株)製、BA−10/BA−11B)を防湿フィルムの無機層面側に塗工し、耐水PB(パーチクルボード)とラミネート後、1週間養生し、常温水に3日間浸漬したサンプルの剥離常態を評価した。密着性評価として、引張り試験機(エー・アンド・デー(株)製 テンシロン)を使用して剥離速度50mm/minの180度剥離試験を実施し、PB材料破壊、または接着剤の凝集破壊が生じた場合を合格(○)とし、無機層/第1のプライマー層の界面や第2のプライマー層/接着剤の界面、およびバリアコート/第2のプライマーの界面で剥離が生じた場合を不合格(×)とした。
<PET面(第3のプライマー面)側密着性評価>
床施工用接着剤(コニシ製KU−928R−W)を防湿フィルムの無機層と反対面(第1のプライマー面)側に塗工し、パーチクルボード(PB)とラミネートした後、1週間養生し、60℃湿度90%RH環境下1ヶ月後の剥離常態を評価した。密着性評価として、引張り試験機(エー・アンド・デー(株)製 テンシロン)を使用して180度剥離試験を実施し、施工要接着剤の凝集破壊が生じた場合を合格(○)とし、PET/接着剤界面で剥離が生じた場合を不合格(×)とした。
<耐温水性評価>
酢酸ビニル系接着剤(中央理科工業(株)製、BA−10/BA−11B)を防湿フィルムの無機層面側に塗工し、耐水PB(パーチクルボード)とラミネート後、床施工用接着剤(コニシ(株)製、KU−928R−W)を防湿フィルムのPET面側に塗工し、PBとラミネートした後、1週間養生し、70℃温水に2時間浸漬させ、その後60℃で3時間乾燥させた後の2つのPBで挟まれたフィルム界面の剥離状態を評価した。貼り合せ辺の剥離が3分の1以下であった場合を合格(○)とし、貼り合せ辺の剥離が3分の1を超えていた場合を不合格(×)とした。
上記の測定結果および評価結果を表1に示す。
Figure 2017196773
1 第3のプライマー層
2 樹脂基材
3 無機層
4 第1のプライマー層
5 第2のプライマー層
10 防湿フィルム
11 木質系基材
12 接着剤層
13 化粧シート
20 建材
30 化粧板

Claims (6)

  1. 樹脂基材、無機層、前記無機層上に直接形成された第1のプライマー層、および第2のプライマー層をこの順に備える建材用防湿フィルムであって、
    前記第1のプライマー層が、アクリルポリオールおよびウレタン樹脂の混合樹脂と、エポキシ化合物との硬化物であり、
    前記第2のプライマー層が、ポリエステルポリオールと、イソシアネート化合物との硬化物である、建材用防湿フィルム。
  2. 前記樹脂基材の前記無機層と反対側の面に、第3のプライマー層をさらに備える、請求項1に記載の建材用防湿フィルム。
  3. 前記第3のプライマー層が、2液硬化型ウレタン樹脂層である、請求項2に記載の建材用防湿フィルム。
  4. 前記無機層が、無機物または無機酸化物の蒸着膜である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の建材用防湿フィルム。
  5. 木質系基材と、
    前記木質系基材の片面または両面に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建材用防湿フィルムと
    を備える、建材。
  6. 請求項5に記載の建材と、
    前記建材の片面または両面に化粧シートと
    を備える、化粧板。
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