JP6670472B2 - 建材用防湿フィルム - Google Patents
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樹脂基材、無機層、バリアコート層、およびプライマー層をこの順に備える建材用防湿フィルムであって、
前記バリアコート層のナノインデンテーション硬さが、0.4GPa以上2.5GPa以下である、建材用防湿フィルムが提供される。
木質系基材と、
前記木質系基材の片面または両面に、上記の建材用防湿フィルムと
を備える、建材が提供される。
上記の建材と、
前記建材の片面または両面に化粧シートと
を備える、化粧板が提供される。
本発明による建材用防湿フィルムは、樹脂基材、無機層、バリアコート層、およびプライマー層をこの順に備え、樹脂基材の無機層と反対側の面に第2のプライマー層をさらに備えることが好ましい。このような建材用防湿フィルムは、防湿性が高く、プライマー層により木質系基材との密着性が高いため、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に好適に使用できる。
防湿フィルムの樹脂基材は、特に制限されず、従来公知の樹脂フィルムまたは樹脂シートを使用することができる。樹脂フィルムまたは樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂6、ポリアミド樹脂66、ポリアミド樹脂610、ポリアミド樹脂612、ポリアミド樹脂11、およびポリアミド樹脂12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのα−オレフィンの重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
防湿フィルムの無機層は、無機物または無機酸化物の蒸着膜であることが好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。防湿フィルムが無機層を有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を向上させることができる。
防湿フィルムのバリアコート層は、ガスバリア性を有する層であり、塗布膜であることが好ましい。バリアコート層のナノインデンテーション硬さは0.4GPa以上2.5GPa以下であり、好ましくは0.5GPa以上2.2GPa以下、より好ましくは0.8GPa以上2.1GPa以下であり、さらに好ましくは0.9GPa以上1.6GPa以下である。バリアコート層のナノインデンテーション硬さが0.4GPa以上であればガスバリア性が十分に発現し、ナノインデンテーション硬さが2.5GPa以下であればバリアコート層のクラックによるバリア性の劣化を抑え、環境耐久性能、及び化粧版加工の際の耐熱プレス性やフィルムの延伸性が向上する。バリアコート層のナノインデンテーション硬さは、バリアコート層(塗布膜)形成時の乾燥温度や乾燥時間を調節することで制御することができる。なお、バリアコート層のナノインデンテーション硬さは、ミクロトームで防湿フィルムの切削断面を作製し、断面(側面)側からナノインデンテーション装置(米国HYSITRON社製、商品名:トライボインデンターTI950 TriboIndenter)を用いて、荷重制御方式(max荷重:15μN)で、ダイヤモンド三角錐形状の圧子を用いた押し込み試験で測定することができる。
建材用防湿フィルムのプライマー層は、前記バリアコート層と木質系ボード等とを、接着剤層を介し貼着する際、十分な接着強度を得るために設けるものである。プライマー層は、例えば、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等を用いて形成することができ、これらの樹脂を1種または2種以上用いることができる。その中でも、主剤としてウレタン樹脂とニトロセルロース系樹脂の混合樹脂と、硬化剤としてイソシアネート化合物とからなる2液硬化型ウレタン樹脂層の形成が特に好ましい。
本発明による建材は、木質系基材の片面または両面に上記建材用防湿フィルムを備えるものであり、建材用防湿フィルムと木質系基材との間に接着剤層を設けてもよい。このような建材は、防湿性が高く、防湿フィルムのプライマー層と木質系基材との密着性が高いため、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に好適に使用できる。また、樹脂基材のバリアコート層と反対の面に設ける裏面側のプライマー層(第2のプライマー層)は、樹脂基材と化粧シートあるいは木質系ボード等とを接着層を介し貼着する際の接着強度を一層上げるものである。
建材の木質系基材は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。木質系基材としては、例えば、合板、パーティクルボード(PB)、中密度繊維板(MDF)、および高密度繊維板(HDF)等が挙げられる。
建材の接着剤層は、特に限定されず、従来公知の建材用の接着剤を用いることができる。接着剤としては、例えば、1液あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のラミネート用接着剤等が挙げられる。上記の接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。その塗布量としては、0.1g/m2〜10g/m2(乾燥状態)位が好ましく、1g/m2〜5g/m2(乾燥状態)位がより好ましい。
本発明による化粧板は、上記建材の片面または両面に化粧シートを備えるものであり、建材と化粧シートとの間に接着剤層を設けてもよい。このような化粧板は、防湿性が高く、防湿フィルムのプライマー層と木質系基材との密着性が高いため、両側の温湿度環境に大きな差があるドア、引き戸、間仕切り、床材等に好適に使用できる。
化粧板の化粧シートは、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。化粧シートとしては、例えば、木目模様からなる絵柄印刷が少なくとも施された紙基材や合成樹脂製基材からなる化粧シートが挙げられる。
樹脂基材である厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ製PET−F)の片面に、真空蒸着により厚み10nmの酸化アルミニウム(アルミナ)膜を形成した。
バリアコート層のナノインデンテーション硬さが0.5GPaとなるように加熱乾燥し、硬化させて、厚さ200nmのバリアコート層を形成した以外は、実施例1と同様にして防湿フィルムを作製した。防湿フィルムをエージング後、実施例1と同様に、バリアコート層のナノインデンテーション硬さを測定したところ、0.5GPaであった。
バリアコート層のナノインデンテーション硬さが2.1GPaとなるように加熱乾燥し、硬化させて、厚さ200nmのバリアコート層を形成した以外は、実施例1と同様にして防湿フィルムを作製した。防湿フィルムをエージング後、実施例1と同様に、バリアコート層のナノインデンテーション硬さを測定したところ、2.1GPaであった。
バリアコート層のナノインデンテーション硬さが0.3GPaとなるように加熱乾燥し、硬化させて、厚さ200nmのバリアコート層を形成した以外は、実施例1と同様にして防湿フィルムを作製した。防湿フィルムをエージング後、実施例1と同様に、バリアコート層のナノインデンテーション硬さを測定したところ、0.3GPaであった。
バリアコート層のナノインデンテーション硬さが2.7GPaとなるように加熱乾燥し、硬化させて、厚さ200nmのバリアコート層を形成した以外は、実施例1と同様にして防湿フィルムを作製した。防湿フィルムをエージング後、実施例1と同様に、バリアコート層のナノインデンテーション硬さを測定したところ、2.7GPaであった。
上記の各実施例および比較例で作製した防湿フィルムを用いて下記のような条件で透湿度を測定した。
(1)水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いて、調湿側がバリアコート層側となるように処理前の防湿フィルムをセットし、温度40℃湿度90%の条件にてJIS K 7126−2に準拠し、透湿度を測定した。
(2)防湿フィルムを引張り試験機(エー・アンド・デー(株)製 テンシロン)にセットし、90℃または110℃の環境下で延伸率2.0%まで防湿フィルムを延伸した後、同様にして透湿度を測定した
(3)防湿フィルムを110℃または130℃で2連式油圧成型機にて圧力70kg/cm2で3秒間プレス処理した後、同様にして透湿度を測定した。
2 樹脂基材
3 無機層
4 バリアコート層
5 プライマー層
10 建材用防湿フィルム
11 木質系基材
12 接着剤層
13 化粧シート
20 建材
30 化粧板
Claims (8)
- 樹脂基材、無機層、バリアコート層、およびプライマー層をこの順に備える建材用防湿フィルムであって、
前記バリアコート層のナノインデンテーション硬さが、0.4GPa以上2.5GPa以下であり、
前記建材用防湿フィルムを110℃で圧力70kg/cm 2 で3秒間プレス処理した後、JISK7126−2に準拠して測定した透湿度が0.5g/m 2 ・day以下である、建材用防湿フィルム。 - 樹脂基材、無機層、バリアコート層、およびプライマー層をこの順に備える建材用防湿フィルムであって、
前記バリアコート層のナノインデンテーション硬さが、0.4GPa以上2.5GPa以下であり、
前記建材用防湿フィルムを90℃の環境下で延伸率2.0%まで延伸した後、JIS K 7126−2に準拠して測定した透湿度が0.5g/m 2 ・day以下である、建材用防湿フィルム。 - 前記バリアコート層が、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子との硬化膜である、請求項1または2に記載の建材用防湿フィルム。
- 前記プライマー層が、2液硬化型ウレタン樹脂層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の建材用防湿フィルム。
- 前記無機層が、無機物または無機酸化物の蒸着膜である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建材用防湿フィルム。
- 前記樹脂基材の前記無機層と反対側の面に、第2のプライマー層をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の建材用防湿フィルム。
- 木質系基材と、
前記木質系基材の片面または両面に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の建材用防湿フィルムと
を備える、建材。 - 請求項7に記載の建材と、
前記建材の片面または両面に化粧シートと
を備える、化粧板。
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