JP2017196550A - 炭化水素油の水素化処理触媒、その製造方法、および水素化処理方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化処理触媒、その製造方法、および水素化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】工業的に高い生産性を維持しつつ脱硫活性に優れ、高性能な触媒を再生することができる炭化水素油の水素化処理触媒を提供すること。【解決手段】触媒は無機複合酸化物担体上に、活性金属としてモリブデン及びタングステンから選ばれる第1の金属成分とコバルト及びニッケルから選ばれる第2の金属成分とが担持されている。前記担体は前駆体の中で主成分となるアルミナの擬ベーマイトのXRD回折スペクトル(020)ピークの半値幅より求めた結晶子径が15以上40Å以下である。有機酸由来の炭素の含有量は、触媒100質量部に対して、元素基準として2.0質量部以下である。触媒の比表面積は、180〜320m2/g、平均細孔径が50〜110Å、強熱減量が5.0%以下、硫化処理した触媒の一酸化窒素の吸着量が8.0ml/g以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、水素存在下で炭化水素油中の硫黄分を除去するための水素化処理触媒、その製造方法および水素化処理方法に関する。
水素化処理は、触媒を用いて高温高圧下にて反応を進行させるが、反応条件を低温、低圧下することによりプロセスの経済性が高まるため、触媒の活性が高いことが望まれている。モリブデンの還元温度に関する公の知見として以下のようなものがある。
R.L.Corderoによるとモリブデンをアルミナやシリカに担持した触媒の水素気流下のモリブデンの還元温度が担体種や組成によって大きく変化することが記載されている。しかしながら、助触媒であるニッケルやコバルトが添加されておらず、実用的な触媒としての知見とは言い難い。加えて、本性質と脱硫活性との関連性には言及していないため、最適な触媒の還元温度について言及されていない。
J. Escobarらは、アルミナ担体にニッケル、モリブデン、リンを担持した未焼成触媒の水素気流下におけるモリブデンに帰属する還元ピーク温度として384〜403℃、539〜576℃の二つが存在し、後者のピークの方が前者よりも大きくなることを明らかにした。しかしながら、未焼成の触媒の還元ピーク温度に関する知見を記載しているものの、焼成物触媒については言及されていないし、複合酸化物上のモリブデンの還元ピーク温度や還元プロファイルと脱硫活性の関係については記載されていない。
特許文献1には、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン等の周期律表第8〜10族から選ばれる卑金属元素を含む硫化物触媒に、ロジウム、パラジウム、白金等の周期表第8〜10族から選ばれる貴金属を添加することにより、スピルオーバー水素の利用によって高い水素化処理性能を示すことが報告されている。また、反応活性点となる触媒成分の還元を受ける挙動が、水素化処理の触媒活性と密接な関係を有し、水素気流下における触媒の還元ピーク温度が500℃以下であることが望ましいと記載されている。しかしながら、貴金属を使用していることから、卑金属と比べて触媒価格が高価になるとともに地球資源の枯渇という側面からも望ましくない。
上記のようにモリブデンの還元温度について言及した知見は報告されているものの、安価で脱硫性能に優れ、容易に再生が可能な触媒について提案はされていない。
また、省エネ化や経済性の向上だけでなく、環境負荷低減を踏まえ、各製油所では使用済み触媒を再生し使用することが増えている現状がある。このような状況の中で、触媒の高性能化を目指した、無機複合酸化物担体とそれを使用した触媒の製造法に関する従来の知見には以下のものがある。
特許文献2には、無機複合酸化物担体としてリン−シリカーアルミナ担体を用いた触媒の製造方法が開示されている。リン酸イオンを含有するアルミニウム塩憂い溶液と中和剤とをpHが6.5〜9.5になるように混合してリン含有アルミナ水和物を得、該水和物を洗浄して得られたスラリーとシリカゾルを混合し、成形、乾燥、焼成して得られた担体が用いられている。この調製方法は、アルミナの結晶子サイズの調整はなく他元素との混合状態については言及されていない。
特許文献3には、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ゼオライトから選ばれる酸化物からなる直径が2〜7mmの粒状物担体およびこの担体を用いた触媒について記載されている。この粒状物の断面を透過型電子顕微鏡により10,000倍の拡大率で観察して殻状の濃縮層が観察されること点の他、粒状の水素化処理触媒用担体であることや平均細孔直径が比較的大きい150〜300Åであることなどが特徴として挙げられる点が本件と異なる。
特許文献4には、アルミナをベースとしかつ複数の並置される凝集物からなる担体と、合計0.1〜50重量%の活性金属を含む固定床反応器の触媒について開示されている。リン、ホウ素、ケイ素およびハロゲン類よりなる群の中から少なくとも一つの添加剤元素を含む無機複合酸化物担体を用いているが、一部において薄板状物の積み重ね状態や針状物形態の凝集物を含む担体であり、前記針状物は薄板状物の積み重ね状物の周囲と、薄板状物の間とに同時に均一に分散されることを特徴としている。凝集物からなる担体である点が本件と大きく異なる 。
特許文献5には、元素周期律表のIVB族の少なくとも一種の金属酸化物を相当量含有し、シリカを含有する触媒担体の製造方法やその用途について開示されている。IVB族の金属酸化物量と担体の含有するシリカ量との質量比は5と70との間に含まれており、シリカを含んだ上でチタンやジルコニウムを混合した担体に特徴がある。担体組成上本件と異なるものである。
特許文献6は、チタンを含有した担体、その製造方法、炭化水素油の水素化処理触媒及びそれを用いた水素化処理方法を開示している。担体は、耐火性無機酸化物及び/又は活性炭にチタン及び希土類金属の酸化物である塩基性酸化物を含有しており、チタンは耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に均質に担持されていることが特徴である。ただし、チタン含有水溶液を含浸法で耐火性無機酸化物担体に接触させる製法であり、工程が多い上に複雑で工業的にはやや不向きであると予想される。
特許文献7および特許文献8には、アルミナにリン、リンとチタニアを混合した無機複合酸化物担体を用いた高性能な水素化処理触媒の製造方法について記載されている。これらは優れた脱硫性能および脱窒素性能を得るために、触媒基準で有機酸由来の炭素を2質量%以上含むことが特徴となる焼成されていない触媒である点が大きな特徴である。ただし、高性能である一方で触媒の再生が難しいことが想定される。
特開2002−210362号公報 特開2000−135437号公報 特開平11−319554号公報 特開2000−176288号公報 特開2001−17860号公報 特開2004−074148号公報 特開2009−101362号公報 特開2013−027847号公報
R.L.Cordero et al., Applied Catalysis, 74, 125-136 (1991). J. Escobar et al., Applied Catalysis B: Environmental, 88, 564-575 (2009).
本発明の目的は、工業的に高い生産性を維持しつつ脱硫活性に優れ、また高性能な触媒を再生することができる炭化水素油の水素化処理触媒およびその製造方法を提供することにある。また、炭化水素油中の硫黄分を高い除去率で除去できる炭化水素油の水素化処理方法を提供することにある。
本発明の炭化水素油の水素化処理触媒は、
(1)無機複合酸化物担体上に、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である第2の金属成分と、が担持され、
(2)前記無機複合酸化物担体は、無機複合酸化物担体100質量部に対して、アルミニウムをアルミナ換算で80〜98質量部含み、
(3)前記無機複合酸化物担体は、前駆体の中で主成分となるアルミナの擬ベーマイトのXRD回折スペクトル(020)ピークの半値幅より求めた結晶子径が15以上40Å以下であり
(4)前記第1の金属成分の含有量は、触媒100質量部に対して、酸化物換算として15〜27質量部であり、第2の金属成分の含有量は、触媒100質量部に対して、酸化物換算として2〜7質量部であり、
(5)有機酸由来の炭素の含有量は、触媒100質量部に対して、元素基準として2.0質量部未満であり、
(6)触媒の比表面積が180〜320m/g、水銀圧入法で測定した触媒の平均細孔径が50〜110Åであり、
(7)強熱減量が5.0質量%以下であり、硫化処理した触媒の一酸化窒素の吸着量が8.0ml/g以上であることを特徴とする。
本発明の炭化水素油の水素化処理触媒のより具体的な構成について列挙する。
無機複合酸化物担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲に
あるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.20〜0.45の範囲にある。
無機複合酸化物担体は、
a.無機複合酸化物担体100質量部に対して、リンをリン酸換算で5.0質量部以下含むもの、
b.無機複合酸化物担体100質量部に対して、ケイ素をシリカ換算で3.0質量部以下含むもの、
c.無機複合酸化物担体100質量部に対して、チタンをチタニア換算で18.0質量部以下含むもの、
d.無機複合酸化物担体100質量部に対して、ジルコニウムを酸化ジルコニア換算で9.0質量部以下含むもの、
のうちの少なくとも一つに該当する。
無機複合酸化物担体は、XRD回折スペクトルより測定されるベーマイト(020)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積をP1、γ―アルミナ(440)面の結晶構造を示す回折ピーク面積をP2とすると、P1とP2との合計値に対するP2の比率P2/(P1+P2)が0.9以上である。
また本発明の炭化水素油の水素化処理触媒を製造する方法は、
(1)無機複合酸化物担体を準備する工程と
(2)モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルの少なくとも一方である第2の金属成分と、有機酸と、を含む含浸液を調製し、前記第1の金属成分及び第2の金属成分を前記無機複合酸化物担体に担持する工程と、
(3)前記(2)の工程により得られた、前記第1の金属成分及び第2の金属成分が担持された無機複合酸化物担体を100〜600℃の温度で加熱処理して水素化処理触媒を得る工程と、
を含むことを特徴とする。
前記(1)の無機複合酸化物担体を準備する工程の具体例を挙げると、
(1−1)塩基性金属塩水溶液と酸性金属塩の水溶液とを混合して複合金属水和物スラリーを調製するスラリー調製工程と、
(1−2)前記複合金属水和物スラリーを熟成する第一熟成工程と、
(1−3)次いで前記複合金属水和物スラリーを洗浄する工程と、
(1−4)その後、前記複合金属水和物スラリーを前記熟成する第二熟成工程と、
(1−5)しかる後、前記複合金属水和物スラリーを混練、濃縮する混練・濃縮工程と、
(1−6)前記複合金属水和物スラリーを濃縮して得られた濃縮物を成型する工程と、
(1−7)次に成型体を乾燥、焼成する工程と、を含み、
前記(1−4)の第二熟成工程において、第一有機化合物を添加する。
無機複合酸化物担体を準備する工程のさらなる具体例を列挙する。
前記(1−1)のスラリー調製工程における塩基性アルミニウム塩水溶液がカルボン酸塩を含む。第一有機化合物は、無機複合酸化物100質量部に対して0.5〜4.0質量部の範囲で添加する。前記(1−5)の混練・濃縮工程において、第二有機化合物を添加する。第二有機化合物は、無機複合酸化物100質量部に対して0.5〜4.0質量部の範囲で添加する。前記(1−4)の第二熟成工程におけるスラリー中の無機複合酸化物濃度は20%未満であり、前記(1−5)の混練・濃縮工程におけるスラリー中の無機複合酸化物濃度は20%以上である。
前記有機化合物が、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、および糖類(単糖類、多糖類等)から選ばれる少なくとも1種である。
なお、本発明はこの項目で述べた具体例に限定されるものではない。
また本発明の炭化水素油の水素化処理方法は、本発明の水素化処理触媒の存在下において、水素分圧が3〜8MPa、温度が260〜420℃、液空間速度が0.3〜5hr-1条件で炭化水素油の水素化処理を行うことを特徴とする。
本発明の水素化処理触媒は、γ―アルミナを主体としつつ異元素金属の分散性を高めた無機複合酸化物からなる担体を使用しているので、大表面積、高い強度と共に高活性な触媒を得ることが期待出来る。その上、担持する活性金属組成を適切にすることで、活性金属種においても高い分散性が得られ、また活性点量の指標となる一酸化窒素(NO)の吸着量の増量化が図れる。更に担体表面のOH基を制御しているので、この点からも活性金属の高い分散性が得られると共に担体との相互作用を適切になり構造の安定化に繋がる。更にまた、強熱減量、含有炭素量を適切化していることから、触媒再生が容易である。
そして本発明の炭化水素油の水素化処理触媒を用いることで、高い脱硫活性を持つ炭化水素油の水素脱硫方法を実施できる。
担体の透過型フーリエ変換赤外分光光度計測定結果の一例である。 昇温還元法による脱離水のピーク温度の分析結果の一例を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
[炭化水素油の水素化処理触媒について]
本発明の炭化水素油の水素化処理触媒は、γ―アルミナに異元素金属を混合した担体(以下無機複合酸化物担体または単に担体ともいう)と、活性金属成分とからなり、所定の性状を有している。以下に無機複合酸化物担体、活性金属成分及び触媒の性状について詳述する。
<無機複合酸化物担体>
前記水素化処理触媒を構成する無機複合酸化物担体としては、公知のこの種の触媒に使用される担体であって、各種の無機物からなるものを挙げることができる。無機複合酸化物担体は、不純物分を除くものがアルミニウムを主体とした無機複合酸化物でかつアルミナの結晶状態はγ―アルミナに分類できる状態であり、担体を構成するそれ以外の無機物成分としては、例えばリン、シリカ―チタニア、ジルコニア、ボリア、マグネシア等から選ばれる少なくとも一種との複合酸化物からなる各種の複合酸化物を上げることが出来る。言い換えれば、複合酸化物は、アルミニウムとリン、ケイ素、チタニウム、ジルコニウム、ホウ素およびマグネシウムから選ばれる少なくとも1種以上の元素と、を含む。
複合酸化物の具体例としては、例えば、アルミニウム―ケイ素、ゼオライト、アルミニウム―チタニウム、アルミニウム―リン、アルミニウム―ホウ素、アルミニウム―マグネシウム、アルミニウム―ジルコニウム、アルミニウム―チタニウム―リン等を上げることが出来るが、これらに限定されるものではない。無機複合酸化物担体の性状および形状は、担持する金属成分の種類や組成等の種々の条件および触媒の用途に応じて、適宜選択される。
前記活性金属成分を担体に高分散状態に有効に担持して触媒活性を十分に確保するためには、通常、多孔質の担体が使用され、細孔径500Å以下の比較的小さな細孔を有するものが好適に使用される。また、担体あるいは触媒体の機械的強度や耐熱性等の物性を制御するために、担体あるいは触媒体の形成に際して適当なバインダー成分や添加剤を含有させることもできる。
本発明触媒の担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.20〜0.45の範囲にある。比率Sb/Saは、より好ましくは、0.20〜0.40の範囲である。活性金属は、担体表面の特性により分散性が異なることが知られており、Sb/Saが上記範囲にあるとき本担体表面における活性金属の高い分散性が特に顕著に見られる。その結果、高い脱硫性能が得られることになるため、上記範囲に調製することが好ましい。図1に、本発明触媒の担体について、酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲及び塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲を含む光吸収スペクトルの例を示しておく。図1は後述の実施例中の担体に係る光吸収スペクトルを示しており、(1)〜(4)は夫々担体L、A2、F、Aに対応する。
また本発明触媒の担体を調製する際、主体成分であるアルミナは、擬ベーマイト結晶状態を経由してγ―アルミナを調製するために焼成工程を経るが、前駆体であるアルミナ(焼成前)の擬ベーマイトのXRD回折スペクトル(020)ピークの半値幅より求めた結晶子径が15〜40Åであることが特徴である。擬ベーマイトの結晶子サイズの制御は、無機複合酸化物担体の細孔構造の最適化とともにその後の焼成による結晶転移難易、また異元素金属の分散性に影響を及ぼすため重要である。結晶子サイズが40Åを超える場合は、平均細孔径が大きくかつ比表面積が小さくなるため、触媒の性能が低下する恐れがあり好ましくない。また、焼成の際に結晶転移が進みにくくなるために、アルミナ担体の結晶形態にベーマイト構造が残る場合が生じ、触媒性能の安定性が損なわれる懸念も発生するため好ましくない。加えて、無機複合酸化物担体中の異元素金属の分散性も低く、異元素金属の効果が十分に発揮されないために好ましくない。結晶子サイズが15Åを下回る場合、比表面積は大きくかつ異元素金属の分散性が高い一方で、平均細孔径が小さいために活性金属成分の担持が困難になるために好ましくない。
本発明に関わる炭化水素油の水素化処理触媒に使用される無機複合酸化物担体として、例えばアルミニウムとリン、ケイ素、チタニウムまたはジルコニウムからなる複合酸化物を用いた場合におけるアルミニウム等の含有量について記載する。担体中のアルミニウムの含有量は、アルミニウム酸化物(Al)換算で80%以上(担体100質量部に対してアルミニウム酸化物(Al)換算で80質量部以上)が好ましい。酸化物換算のアルミニウムの含有量が80質量%未満であると、触媒の劣化が早くなる傾向にある。
担体中のリンの含有量は、リン酸化物(P)換算で5.0質量%以下(担体100質量部に対してリン酸化物(P)換算で5.0質量部以下)が好ましい。リン含有量が過度に多いと担体細孔分布がブロードとなるほか、表面OH基の比率Sb/Saが所定の範囲を下回るため脱硫性能が低下する傾向にある。
担体中のケイ素の含有量は、ケイ素酸化物(SiO)換算で3.0質量%以下(担体100質量部に対してケイ素酸化物(SiO)換算で3.0質量部以下)が好ましい。ケイ素の含有量が過度に多いと、シリカが凝集し、担体細孔分布がブロードとなることから脱硫性能が低下する傾向にある。
担体中のチタニウムの含有量は、チタニウム酸化物(TiO)換算で18.0質量%以下(担体100質量部に対してチタニウム酸化物(TiO)換算で18.0質量部以下)が好ましい。酸化物換算のチタニウム含有量が過度に多いと、担体細孔径の不足や細孔分布のブロードになることから脱硫性能が低下する傾向にある。
担体中のジルコニウムの含有量は、ジルコニウム酸化物(ZrO)換算で9.0質量%以下(担体100質量部に対してジルコニウム酸化物(ZrO)換算で9.0質量部以下)が好ましい。ジルコニウム含有量が過度に多いと、担体細孔分布がブロードとなるほか、表面OH基の比率Sb/Saが所定の範囲を上回るため脱硫性能が低下する傾向にある。
<活性金属成分>
無機複合酸化物担体上に、活性金属成分として、第1の金属成分である例えばモリブデンと、第2の金属成分である例えばコバルトが担持される。
第1の金属成分は、モリブデンに代えてタングステンであってもよいし、モリブデン及びタングステンの両方であってもよい。第1の金属成分の含有量(担持量)は、触媒基準で酸化物換算として15〜27質量%(触媒100質量部に対して、酸化物換算として15〜27質量部)であることが必要である。
第1の金属成分の含有量が酸化物換算として15質量%より過度に小さいと、反応に必要な脱硫活性が確保できないおそれがあり、27質量%より過度に大きいと、金属成分が凝集しやすくなり、分散性を阻害するおそれがある。
第2の金属成分は、コバルトに代えてニッケルであってもよいし、コバルト及びニッケルの両方であってもよい。第2の金属成分の含有量(担持量)は、触媒基準で酸化物換算として2〜7質量%(触媒100質量部に対して、酸化物換算として2〜7質量部)であることが必要である。第2の金属成分は、第1の金属成分に対して助触媒として働き、含有量が酸化物換算として2質量%よりも少なくなると活性金属成分である第1の金属成分及び第2の金属成分が適切な構造を保つことが困難になり、含有量が酸化物換算として7質量%を越えると、活性金属成分の凝集が進みやすくなり、触媒性能が低下する。
活性金属成分を含浸法により無機複合酸化物担体に担持させる場合には、通常含浸液中に有機酸が含まれ、このため有機酸がアルミナ担体に担持される炭素の供給源となる。活性金属成分に用いられる有機酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が用いられ、より好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸などが挙げられる。また有機酸に加えて例えば、糖類(単糖類、二糖類、多糖類等)などの有機添加剤を用いる場合には、本明細書においては、有機酸由来の炭素の含有量とは、有機酸及び有機添加剤の両方に由来する炭素の含有量とする。
<触媒の性状>
本発明の触媒は、BET(Brunauer−Emmett−Teller)法で測定した比表面積(SA)が、180〜320m/gの範囲であることが必要である。比表面積(SA)が、180m/gよりも小さいと、金属成分が凝集しやすくなり、脱硫性能が低下するおそれがあるため好ましくない。一方、320m/gより大きいと平均細孔径や細孔容積が小さくなり、脱硫活性が低下する傾向があるので好ましくない。
また平均細孔径が50〜110Åであることが必要である。平均細孔直径は、水銀圧入法(水銀の接触角:130度、表面張力:480dyn/cm)により測定した値であり、全細孔容積の50%に相当する細孔直径を表す。なお、細孔容積は細孔直径41Å以上の細孔直径を有する細孔の容積を表す。平均細孔径が50Åよりも小さいと脱硫性能が低下するおそれがあり、平均細孔径が110Åよりも大きいと、触媒強度が低下するおそれがある。
本発明の触媒は、強熱減量(Ig Loss)が5.0質量%以下である。強熱減量は後述の測定法の項目に記載しているように触媒を高温で加熱することにより算出して得られる。触媒の強熱減量を5.0質量%以下とするためには、無機複合酸化物担体に対して含浸液を噴霧含浸させた後、例えば300℃以上の温度で焼成することが必要である。
触媒の強熱減量を5.0質量%以下とすることにより、触媒再生時の活性が新規な未使用の触媒(フレッシュな触媒)の脱硫性能を100%としたときに85%以上とすることができる。触媒の強熱減量が多くなると。触媒再生時の焼成工程によって活性金属成分が凝集することが懸念される。
触媒中の有機酸由来の炭素の含有量は、触媒基準で元素基準として2.0質量%以下とすることにより、触媒再生時の活性が新規な未使用の触媒(フレッシュな触媒)の脱硫性能を100%としたときに85%以上とすることができる。炭素の含有量が多いと、触媒再生時の焼成工程によって活性金属成分が凝集することが懸念される。
本発明の触媒は、触媒の昇温還元法に基づいた、450℃までの範囲の脱離水のピーク温度(水の脱離スペクトルのピークが現れる温度)が415℃以下である。昇温還元法の具体例については後述する。通常、硫化処理はモリブデンに水素気流下で硫化水素等によって行われ、反応としては、酸化モリブデンから酸素が脱離することが必要になる。水の脱離ピークは、まさにその酸化モリブデンからの酸素の水としての脱離を検出しているものであるため、硫化処理の進行とモリブデンの還元温度には相関関係があると考えられる。従って、脱離水のピーク温度を低温化することにより、モリブデンの硫化処理を十分進行させることができると考えられる。
また還元温度が高すぎた場合、つまり脱離水のピーク温度が高すぎた場合には、水が複合酸化物担体と弱く相互作用をしているため、活性金属の凝集体が存在する可能性が高くなる。そのため、硫化工程が十分に進行しないことが推察される。従って、還元温度を低くし、水と無機複合酸化物担体との相互作用を小さくすることが、活性金属を高分散させるために必要である。
脱離水は、主としてモリブデンの還元工程で生成されたものであり、そのピーク温度は、担体組成、活性金属組成等に応じて変化する。本発明者の知見によれば、水の脱離ピーク温度(脱離水のピーク温度)を415℃以下にするためには無機複合酸化物担体上に、活性金属成分として、モリブデンおよびタングステンのうちの少なくとも一方(一種)を酸化物換算として、15〜27質量%、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方(一種)を酸化物換算として2〜7質量%とすることが必要である。
活性金属成分がこの範囲より少ない場合は触媒性能が不足するため好ましくなく、活性金属成分がこの範囲より多い場合は活性金属の凝集体が生成され分散性が損なわれる可能性が高くなるため好ましくない。
本発明の触媒は、硫化処理した触媒の一酸化窒素の吸着量が8.0ml/g以上である。前記吸着量は、より好ましくは、8.5ml/g以上である。一酸化窒素分子吸着量に基づき、触媒の反応活性点を計測することができる。
一酸化窒素の吸着量が本件の範囲外である8.0ml/g未満である場合は、触媒の反応活性点が少なく触媒性能の向上効果が得られないため好ましくない。
触媒を硫化処理した後の一酸化窒素吸着量は、担体の物理的特性や化学的特性、活性金属組成等に応じて変化する。そして一酸化窒素吸着を行うためには、硫化処理が必要となることから、活性金属の還元温度をある一定温度以下に下げることが必要となる。
本発明者の知見によれば、一酸化窒素の吸着量を8.0ml/g以上とするためには、
a)無機複合酸化物担体の比表面積(SA)が180〜320m/gの範囲であること、
b)前記無機複合酸化物担体中のアルミニウムを、無機複合酸化物担体100質量部に対してアルミナ換算で80〜98質量部含むこと、
c)担体前駆体の中で主成分となるアルミナの擬ベーマイトのXRD回折スペクトル(020)ピークの半値幅より求めた結晶子径が15以上40Å以下であること、
d)無機複合酸化物担体上に活性金属成分として、モリブデン及びタングステンのうちのを少なくとも一方を酸化物換算として15〜27質量%、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方を酸化物換算として2〜7質量%であること、が重要である。
また更にd)透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.20〜0.45の範囲であること、水の脱離ピーク温度を415℃以下にすることがより好ましい。
[炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法]
次に、本発明の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法について説明する。
本発明に係る炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法は、
無機複合酸化物担体を調製(準備)する第1工程と、
モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルの少なくとも一方である第2の金属成分と、有機酸と、を含む含浸液を調製し、前記第1の金属成分及び第2の金属成分を前記無機複合酸化物担体に担持する第2工程と、
第2工程により得られた、前記第1の金属成分及び第2の金属成分が担持されたアルミナ担体を100〜600℃の温度で加熱処理して水素化処理触媒を得る第3工程と、を有する。
以下、各工程について説明する。
<第1工程>
≪1−1.無機複合酸化物スラリーを得る工程≫
先ず塩基性金属塩水溶液と酸性金属塩の水溶液を、pHが6.5〜9.5、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは6.8〜8.0になるように混合して無機複合酸化物の水和物を得る。この際、塩基性金属塩水溶液には、カルボン酸塩を含むこともできる。そして無機複合酸化物の水和物のスラリーを所望の手法により熟成した後(第一熟成工程)、洗浄して副生成塩を除き、アルミナを主成分とした複合酸化物スラリーを得る。
ここで用いるカルボン酸塩は、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、およびシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルコン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの塩が挙げられ、複合酸化物100質量部に対して0.5〜4.0質量部の範囲で添加することが好ましい。
アルミニウム以外の元素を含む無機複合酸化物の水和物を得る場合は、用いる金属塩のpHにより、酸性水溶液又は塩基性水溶液のアルミニウム塩の水溶液に予め混合した後、前記pHの範囲になるように混合して、無機複合酸化物の水和物を得る。
また、塩基性アルミニウム塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが好適に使用される。また、酸性アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが好適に使用され、リン酸塩源としては亜リン酸イオンを包含し、リン酸アンモニア、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、亜リン酸などの水中でリン酸イオンを生じるリン酸化合物が使用可能である。また、チタン鉱酸塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、硝酸チタンなどが例示され、特に硫酸チタン、硫酸チタニルは安価であるので好適に使用される。
前記2種の金属塩水溶液を混合する際、通常40〜90℃、好ましくは50〜70℃に加温して保持し、この溶液の温度の±5℃、好ましくは±2℃、より好ましくは±1℃に加温した混合水溶液を、pHが6.5〜9.5、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは6.5〜8.0になるように、通常5〜20分、好ましくは7〜15分の間に連続添加して沈殿を生成させ、水和物のスラリーを得る。
ここで、塩基性金属塩水溶液への混合水溶液の添加に要する時間は、長くなると擬ベーマイトの他にバイヤライトやギブサイト等の好ましくない結晶物が生成することがあるので、15分以下が望ましく、13分以下が更に望ましい。バイヤライトやギブサイトは、加熱処理した時に比表面積が低下するので、好ましくない。
≪1−2.無機複合酸化物の第2熟成工程≫
前記1−1工程で得られた水和物のスラリーに、少なくとも1種の有機化合物(第一有機化合物)を添加し、還流器付の熟成タンク内において、30℃以上、好ましくは80〜100℃で、例えば1〜20時間、好ましくは2〜10時間加熱熟成する(第二熟成工程)。第一熟成段階及び第二熟成段階において、無機複合酸化物濃度は20%(20重量%)未満であることが好ましい。
≪1−3.捏和・成形及び乾燥工程≫
前記1−2工程で得られた熟成物をスチームジャケット付双腕式ニーダーに入れて加熱捏和して成型可能な捏和物とした後、押し出し成型などにより所望の形状に成型する。この時、少なくとも1種の第二の有機添加物を、加温し無機複合酸化物濃度が20%(20重量%)以上となるまで濃縮した後に添加し、その後にさらに過熱捏和してもよい。なお、第二有機化合物の添加のタイミングは、前記熟成物を濃縮している途中であってもよい。
≪1−4.加熱処理(乾燥、焼成)工程≫
前記1−3工程で得られた成型物を、次いで例えば70〜150℃、好ましくは90〜130℃で加熱乾燥し、好ましくは更に例えば400〜800℃、好ましくは400〜600℃で、例えば0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間焼成してアルミナ担体を得る。
また、上記第1工程で用いられる第一有機化合物および第二有機化合物としては、有機酸類または糖類から選ばれる少なくとも1種が好ましい。有機酸類としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が挙げられる。また糖類としては、単糖類、二糖類、多糖類等があげられる。第一有機化合物及び第二有機化合物のいずれについても、添加量は無機複合酸化物100質量部に対して0.5〜5.0質量部の範囲であることが望ましい。添加量がこの範囲より少ない場合は有機化合物の添加による効果が得られにくく、この範囲を超える場合は強すぎる効果によって細孔構造が小さくなりすぎ触媒の物理的性状が最適な範囲にならないばかりか調製の効率が悪くなるために好ましくない。
担体表面のOH基は、活性金属種の分散性など、担持状態を左右する重要な因子である。このOH基の制御は、無機複合酸化物担体の組成、担体アルミナ前駆体の結晶性とともに、担体調製工程の随所で行うことが可能である。ただし、担体の物理的性状を維持しながらOH基を調整することは非常に難しい。これを満たすためには、無機複合酸化物担体の組成を適切に設定することが好ましい。これに加え、結晶性の制御を行った後に別の工程にてOH基の調整を実施することもわずかながら可能である。そのため、第2熟成工程で結晶性を制御後、混練・濃縮する工程にて有機化合物を添加(第二有機化合物)し、OH基の状態を調整することが好適である。
<第2工程>
無機複合酸化物担体に、既述の第1の金属成分と第2の金属成分と炭素成分とを含む含浸液を接触させる。
第1の金属成分の原料としては、例えば、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステンなどが好適に使用される。また第2金属成分の原料としては、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸コバルト、炭酸コバルト等が好適に使用される。
またリンを複合酸化物担体に担持させる場合には、オルトリン酸(以下、単に「リン酸」ともいう)、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、トリメタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸などが用いられる。
含浸液は、有機酸を用いてpHを4以下にして、金属成分を溶解させることが好ましい。pHが4を超えると溶解している金属成分の安定性が低下して析出する傾向にある。有機酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が使用でき、特に、クエン酸、リンゴ酸が好適に用いられる。有機添加剤としては、糖類(単糖類、二糖類、多糖類等)が用いられる。なお有機酸に有機添加剤、例えば、ブドウ糖(グルコース;C12)、果糖(フルクトース;C12)、麦芽糖(マルトース;C122211)、乳糖(ラクトース;C122211)、ショ糖(スクロース;C122211)等を加えてもよい。
<第3工程>
第2工程で含浸液と接触させて得られる金属成分を担持した担体を、100〜600℃、好ましくは110〜600℃、さらに好ましくは400〜600℃で、0.5〜10時間、好ましくは1〜8時間で加熱処理した後、本発明の水素化処理触媒を製造する。ここで焼成温度が100℃より過度に低いと、残存水分による操作性が悪くなり、また金属担持状態が均一になりにくいおそれがあり、600℃を過度に超えると、金属が凝集を起こし、分散維持効果が期待できなくなるおそれがあるので好ましくない。
ここで第1〜第3工程における利点の一つを述べておく。第1工程における無機複合酸化物の第2熟成工程を行う際、水和物のスラリーに、有機化合物(第一有機化合物)を添加し、加熱熟成している。このような処理を行うことにより、無機複合酸化物中の主成分の前駆体であるアルミナの擬ベーマイトの結晶子径を40Å以下にすることができ、担体の細孔構造を適正化しつつ比表面積を大きくすることができる。また焼成時の結晶転移が進みやすくなるので結晶形態にベーマイト構造が残りにくくなり、触媒性能の安定化を図ることが出来る。それに加え、複合酸化物担体中の異元素金属の分散性を高くすることが可能になり、異元素金属の添加効果を十分に発揮することに寄与する。
[炭化水素油の水素化処理方法について]
本発明の水素化処理触媒により脱硫化を図る対象となる炭化水素油は、例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油または直留軽油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油または減圧重質軽油、脱硫重油を接触分解して得られる接触分解灯油または接触分解軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を水素化分解して得られる水素化分解灯油または水素化分解軽油、コーカー等の熱分解装置から得られる熱分解灯油または熱分解軽油等が挙げられ、沸点が180〜390℃の留分を80容量%以上含んだ留分である。該触媒を使用した水素化処理は、固定床反応装置に触媒を充填して水素雰囲気下、高温高圧条件で行なわれる。処理条件の一例としては、水素分圧が3〜8MPa、温度が260〜420℃、液(被処理液である炭化水素油)空間速度が0.3〜5hr-1である。
[測定方法について]
後述のように、本発明の実施例及び比較例の各々における水素化処理触媒について、成分の含有量、比表面積及び性状に関する数値を測定しているが、これらの測定を行う方法について記載しておく。
<担体成分(アルミナ、リン、シリカ、チタニア、ジルコニア)および金属成分(モリブデン、コバルト、ニッケル、リン)の含有量の測定方法>
測定試料3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、加熱処理(200℃、20分)させ、焼成(700℃、5分)した後、Na 2gおよびNaOH 1gを加えて15分間溶融した。さらに、HSO 25mlと水200mlを加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて、各成分の含有量を酸化物換算基準(Al、P、SiO,TiO,ZrO,MoO、NiO、CoO)で測定した。
<アルミナ結晶状態の同定と結晶子サイズの測定方法>
X線回折装置(理学電機(株)製:RINT2100)を用い、測定試料は測定用無反射板に圧粉したものを観察試料とし、結晶状態をX線回折によって測定した。担体アルミナ前駆体の結晶子サイズは、ベーマイトに帰属される(020)面からScherrer法にて計算し、焼成した担体の結晶構造はベーマイトとγ−アルミナに帰属される回折ピークを比較し判断した。本件の無機複合酸化物担体は大部分がγ―アルミナであることが望ましい。具体的には、X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピーク面積P1、γ−アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積P2とすると、P1とP2との合計値に対するP2の比率P2/(P1+P2)が0.9以上であることが必要である。なお、P2がP1の9倍以上(9≦(P2/P1))であるという言い方もできる。担体の結晶にベーマイト構造が多くなると、担体物性の制御が難しいだけでなく触媒強度が低下する恐れがあるため好ましくない。
ここで、ベーマイト(020)面および(120)面結晶構造を示す回折ピークはそれぞれ2θ=14°、2θ=28°、で測定したものであり、γ−アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピークは2θ=67°で測定したものである。
それぞれの回折ピーク面積の算出方法は、X線回折装置でX線回折分析によって得られたグラフを最小二乗法によりフィッティングしベースライン補正を行い、最大ピーク値からベースラインまでの高さを求め(ピーク強度W)得られたピーク強度の半分の値(1/2W)のときのピーク幅(半値幅)を求め、この半値幅とピーク強度との積を回折ピーク面積とした。求めた各回折ピーク面積から、「ベーマイト回折ピーク面積/γ−アルミナ回折ピーク面積」を算出した。
<担体表面OH基の測定方法>
透過型フーリエ変換赤外分光計(日本分光(株)製:FT−IR/6100)にて、以下のようにして酸性OH基の極大ピーク波数、その波数における吸光度、塩基性OH基の極大ピーク波数、その波数における吸光度を測定した。
(測定法)
試料20mgを成型容器(内径20mmφ)に充填して4ton/cm(39227N/cm)で加圧圧縮し、薄い円盤状に成型した。この成型体を、真空度が1.0×10−3Pa以下の条件下、500℃で2時間保持した後、室温に冷却して吸光度を測定した。
具体的には、TGS検出器にて、分解能4cm−1、積算回数を200回とし、波数範囲3000〜4000cm−1でベースライン補正した。吸光度は単位質量当たりに換算した。単位質量当たりの吸光度(g−1)=吸光度/成型体質量
なお、後述の各実施例1〜19のいずれのサンプルにおいても、酸性OH基に対応する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3674〜3678cm−1の範囲にあり、塩基性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3770〜3774cm−1の範囲にある。
<比表面積の測定方法>
測定試料を磁製ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、試料の比表面積(m/g)をBET法にて測定した。
<強熱減量の測定方法>
測定試料である触媒を570℃で2時間焼成し、焼成による質量減少量から算出している。
<昇温還元法による脱離水のピーク温度の測定方法>
昇温還元法においては、日本ベル製触媒分析装置(BEL CAT−A)を用いて、250〜710μmに整粒した触媒0.05gを120℃で1時間、ヘリウムガスの流通下で前処理を施した後、水素ガス(99.99%)に切り換え、50℃から900℃まで10℃/分で昇温した。昇温時の水の脱離スペクトルをファイファーバキューム社製四重極質量分析装置(m/z:18.34)にて測定し、得られた、脱離スペクトルから水の脱離ピーク温度を読み取った。
図2に、昇温還元法による脱離水のピーク温度の分析結果の一例であるグラフを示しておく。横軸は温度、縦軸は四重極質量分析装置の検出電流である。実線は後述の実施例3に相当し、点線は後述の比較例5に相当する
<一酸化窒素吸着量の測定方法>
一酸化窒素吸着量の測定は、全自動触媒ガス吸着量測定装置(大倉理研製)を用い、硫化処理した水素化処理触媒に、ヘリウムガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(一酸化窒素濃度10容量%)をパルスで導入し、水素化処理触媒1gあたりの一酸化窒素分子吸着量を測定した。具体的には、60メッシュ以下に粉砕した触媒を約0.02g秤取り、これを石英製のセルに充填し、当該触媒を360℃に加熱して、硫化水素5容量%/水素95容量%のガスを0.2リットル/分の流量で通流させて1時間硫化処理を行い、その後340℃で1時間保持し、物理吸着している硫化水素を系外に排出した。その後にヘリウムガスと一酸化窒素ガスの混合ガスにて一酸化窒素分子を50℃にて吸着させ、一酸化窒素分子吸着量を測定した。
[実施例]
無機複合酸化物担体の調製例と、含浸液の調製例と、各無機複合酸化物担体及び含浸液を用いた本発明の実施例である水素化処理触媒の調製例と、各無機複合酸化物担体及び含浸液を用いた比較例である水素化処理触媒の調製例について以下に記載する。
まず担体の調製例について記載する。
<担体Aの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.23kgを入れ、イオン交換水39.8kgで希釈後、P濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム溶液4.5kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液11.37kgをイオン交換水20.46kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液を60℃に加温した硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて硫酸アルミニウム水溶液を一定速度、10分間で添加し、リン及びアルミナを含有する水和物スラリーAを調製した。この水和物スラリーはその後、攪拌しながら60℃で60分間熟成した。
b)ついで、熟成したアルミナ水和物スラリーを脱水した後、濃度0.3質量%のアンモニア水溶液120Lで洗浄した。
c)洗浄後のケーキ状のスラリーを濃度がAl換算で10質量%になるようにイオン交換水で希釈してスラリー化した後、第一有機化合物としてクエン酸を10質量%溶液で0.50kgを加え、そののちに濃度15質量%のアンモニア水を添加してpH10.3に調整し、攪拌しながら95℃で10時間熟成した。
d)熟成終了後のスラリーは脱水し、スチームジャケット付双腕式ニーダーにて練りながら加温し所定の水分量まで濃縮捏和した。
e)その後、得られた捏和物をスクリュー式押し出し機で直径が1.6mmの円柱状に成型した。
f)ついで、110℃で12時間乾燥した後、500℃で3時間焼成し水素化処理触媒用担体Aを得た。
<担体Bの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.39kgを入れ、イオン交換水41.0kgで希釈後、P濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム溶液2.5kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液11.61kgをイオン交換水20.89kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液を60℃に加温した硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて硫酸アルミニウム塩水溶液を一定速度、10分間で添加し、リン及びアルミナを含有する水和物スラリーBを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Bを得た。
<担体Cの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.23kgを入れ、イオン交換水42.0kgで希釈した。ついで、この溶液に濃度26質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液91.8gとを加え、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液11.37kgをイオン交換水20.46kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、TiO濃度換算で33質量%の硫酸チタン0.34kgをイオン交換水で2.25kgに希釈した硫酸チタン水溶液とを混合し60℃に加温して、酸性混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて酸性混合水溶液を一定速度、10分間で添加し、チタニア及びアルミナを含有する水和物スラリーCを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Cを得た。
<担体Dの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液6.82kgを入れ、イオン交換水41.2kgで希釈した。ついで、この溶液に濃度26質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液86.5gとを加え、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液10.71kgをイオン交換水19.29kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、TiO濃度換算で33質量%の硫酸チタン0.76kgをイオン交換水で5.00kgに希釈した硫酸チタン水溶液とを混合し60℃に加温して、酸性混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて酸性混合水溶液を一定速度、10分間で添加し、チタニア及びアルミナを含有する水和物スラリーDを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Dを得た。
<担体Eの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液6.14kgを入れ、イオン交換水40.0kgで希釈後、P濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム溶液1.5kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液9.64kgをイオン交換水17.36kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、TiO濃度換算で33質量%の硫酸チタン1.33kgをイオン交換水で8.75kgに希釈した硫酸チタン水溶液とを混合し60℃に加温して、酸性混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて酸性混合水溶液を一定速度、10分間で添加し、リンとチタニア及びアルミナを含有する水和物スラリーEを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Eを得た。
<担体Fの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.35kgを入れ、イオン交換水41.4kgで希釈後、SiO2濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液0.75kgとP2O5濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム溶液1.5kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液11.55kgをイオン交換水20.79kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液を混合し60℃に加温して、硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて硫酸アルミニイウム水溶液を一定速度、10分間で添加し、リンとシリカ及びアルミナを含有する水和物スラリーFを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Fを得た。
<担体Gの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.35kgを入れ、イオン交換水42.2kgで希釈した。ついで、この溶液に濃度26質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液93.3gとSiO2濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液1.50kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液11.55kgをイオン交換水20.79kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液を混合し60℃に加温して、硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて硫酸アルミニイウム水溶液を一定速度、10分間で添加し、シリカ及びアルミナを含有する水和物スラリーGを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Gを得た。
<担体Hの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液6.67kgを入れ、イオン交換水39.3kgで希釈後、P濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム溶液3.0kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液10.48kgをイオン交換水18.86kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、TiO濃度換算で33質量%の硫酸チタン0.76kgをイオン交換水で5.00kgに希釈した硫酸チタン水溶液とを混合し60℃に加温して、酸性混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて酸性混合水溶液を一定速度、10分間で添加し、リンとチタニア及びアルミナを含有する水和物スラリーHを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Hを得た。
<担体Iの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.20kgを入れ、イオン交換水44.5kgで希釈した。ついで、この溶液に濃度26質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液91.3gとを加え、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液11.31kgをイオン交換水20.36kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、ZrO濃度換算で18質量%の硫酸ジルコニウム0.69kgをイオン交換水で2.50kgに希釈した硫酸ジルコニウム水溶液とを混合し60℃に加温して、酸性混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて酸性混合水溶液を一定速度、10分間で添加し、ジルコニア及びアルミナを含有する水和物スラリーIを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Iを得た。
<担体Jの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液6.89kgを入れ、イオン交換水42.6kgで希釈後、P濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム溶液1.0kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液10.83kgをイオン交換水19.50kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、TiO濃度換算で33質量%の硫酸チタン0.38kgをイオン交換水で2.5kgに希釈した硫酸チタン水溶液とZrO濃度換算で18質量%の硫酸ジルコニウム0.42kgをイオン交換水で1.50kgに希釈した硫酸ジルコニウム水溶液とを混合し60℃に加温して、酸性混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて酸性混合水溶液を一定速度、10分間で添加し、リンとチタニアとジルコニア及びアルミナを含有する水和物スラリーJを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Jを得た。
<担体B2の調製>
担体Bの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてクエン酸を10質量%溶液で0.13kgを添加した。その他の工程は担体Bの調製と同様にして、担体B2を得た。
<担体B3の調製>
担体Bの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてグルコン酸を10質量%溶液で0.50kgを添加した。その他の工程は担体Bの調製と同様にして、担体B3を得た。
<担体B4の調製>
担体Bの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.25kgを添加した。その他の工程は担体Bの調製と同様にして、担体B4を得た。
<担体B5の調製>
担体Bの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてスクロースを10質量%溶液で1.00kgを添加した。その他の工程は担体Bの調製と同様にして、担体B5を得た。
<担体B6の調製>
担体Bの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物として酢酸を10質量%溶液で0.50kgを添加した。その他の工程は担体Bの調製と同様にして、担体B6を得た。
<担体C2の調製>
a)担体Cの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてグルコン酸を10質量%溶液で0.50kgを加え、そののちに濃度15質量%のアンモニア水を添加してpH10.3に調整し、攪拌しながら95℃で10時間熟成した。
d)熟成終了後のスラリーは脱水し、スチームジャケット付双腕式ニーダーにて練りながら加温しアルミナ濃度が20%以上となるまで濃縮した後、第二有機化合物としてクエン酸を10質量%溶液で0.25kgを添加し、その後にさらに加温して所定の水分まで濃縮捏和した。その他の工程は担体Cの調製と同様にして、担体C2を得た。
<担体A2の調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物および第二有機化合物を全く加えず、担体A2を得た。
<担体A3の調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてクエン酸を10質量%溶液で1.25kgを添加した。その他の工程は担体Aの調製と同様にして、担体A3を得た。
<担体C3の調製>
担体Cの調製と同様にして調製する担体Cにおいて、110℃で乾燥後電気炉での焼成温度を700℃とし、3時間焼成することにより担体C3を得た。
<担体Kの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.83kgを入れ、イオン交換水38.8kgで希釈後、P濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム溶液3.0kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液9.17kgをイオン交換水16.50kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液と、TiO濃度換算で33質量%の硫酸チタン1.52kgをイオン交換水で10.00kgに希釈した硫酸チタン水溶液とを混合し60℃に加温して、酸性混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて酸性混合水溶液を一定速度、10分間で添加し、リンとチタニア及びアルミナを含有する水和物スラリーKを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Kを得た。
<担体Lの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.05kgを入れ、イオン交換水41.0kgで希釈後、SiO2濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液2.75kgとP2O5濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム溶液1.5kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液11.07kgをイオン交換水19.93kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液を混合し60℃に加温して、硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて硫酸アルミニイウム水溶液を一定速度、10分間で添加し、リンとシリカ及びアルミナを含有する水和物スラリーLを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Lを得た。
<担体Mの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液6.97kgを入れ、イオン交換水37.7kgで希釈後、P濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム溶液8.0kgを撹拌しながら添加し、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液10.95kgをイオン交換水19.71kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液を60℃に加温した硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で攪拌しながら、ローラーポンプを用いて硫酸アルミニウム塩水溶液を一定速度、10分間で添加し、リン及びアルミナを含有する水和物スラリーMを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Mを得た。
<担体Nの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.58kgを入れ、イオン交換水で希釈して42.42kgとした。ついで、この溶液に濃度26質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液192.3gとを加え、攪拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩水溶液を作製した。別途、濃度がAl換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液11.90kgをイオン交換水21.43kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液を60℃に加温した硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩溶液をタンク内で撹拌しながら、ローラーポンプを用いて硫酸アルミニウム水溶液を一定速度、10分間で添加しアルミナ水和物スラリーNを調製した。その後の工程は実施例1の担体Aと同様にして、担体Nを得た。
<担体H2の調製>
担体Hの調製と同様にして得られた担体Hにおいて、110℃で乾燥後電気炉での焼成温度を350℃とし、3時間焼成することにより担体H2を得た。
<含浸液の調製>
次に含浸液の調整例について記載する。
<含浸液aの調製>
三酸化モリブデン292gと炭酸コバルト116gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸45gとクエン酸118gを加えて溶解させ、含浸液aを作製した。
<含浸液bの調製>
三酸化モリブデン292gと炭酸ニッケル125gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸56gとクエン酸106gを加えて溶解させ、含浸液bを作製した。
<含浸液cの調製>
三酸化モリブデン253gと炭酸コバルト73gと炭酸ニッケル32gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸32gとクエン酸1021gを加えて溶解させ、含浸液cを作製した。
<含浸液dの調製>
三酸化モリブデン219gと炭酸コバルト86gをイオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸31gとクエン酸88gを加えて溶解させ、含浸液dを作製した。
<含浸液eの調製>
三酸化モリブデン435gと炭酸コバルト158gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸84gとクエン酸161gを加えて溶解させ、含浸液eを作製した。
<含浸液fの調製>
三酸化モリブデン156gと炭酸コバルト40gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸39gとクエン酸41gを加えて溶解させ、含浸液fを作製した。
以下に実施例を示し具体的に本発明を説明するが、これらのものに本発明が限定されるものではない。
<実施例1:水素化処理触媒の調製>
担体A1000gに含浸液aを噴霧含浸させた後、200℃で乾燥し、更に電気炉にて450℃で1時間焼成して水素化処理触媒(以下、単に「触媒」ともいう。以下の実施例についても同様である。)を得た。
<実施例2〜実施例19:水素化処理触媒の調製>
既述のようにした調製した担体の種類(調製例)と含浸液の種類(調製例)とを後述の表1のように組み合わせ、その他は実施例1と同様にして、実施例2〜実施例19の触媒を調製した。
次に比較例について説明する。
<比較例1〜比較例10:水素化処理触媒の調製>
既述のようにした調製した担体の種類(調製例)と含浸液の種類(調製例)とを後述の表1のように組み合わせ、その他は実施例1と同様にして、比較例1〜比較例10の触媒を調製した。
<比較例11:水素化処理触媒の調製>
含浸液として実施例1の含浸液aを用い、実施例2で調製した担体B1000gに噴霧含浸させた後、120℃で乾燥しその後に焼成せずに水素化処理触媒を得た。
以上のよう調製して得られた実施例1〜実施例19及び比較例1〜11における各担体の性状を表1A、表1Bに示し、各触媒の性状を表2A、表2Bに示す。表1A、表1Bにおいて、比表面積は、触媒の比表面積を表している。また表2A、表2Bにおいて、各元素の担持量(質量%)は既に述べたように触媒基準の値である。また炭素量についても触媒基準の値である。
Figure 2017196550
Figure 2017196550
Figure 2017196550
Figure 2017196550
<触媒の評価>
(評価のための確認試験)
実施例1〜実施例19及び比較例1〜11の各触媒について、触媒性能と触媒再生性能とについて評価した。
(1)触媒性能の評価のための確認試験
各触媒を固定床反応装置に充填し、触媒に含まれている酸素原子を脱離させて活性化するために、予備硫化処理した。この処理は、硫黄化合物を含む液体または気体を200℃〜400℃の温度、常圧〜100MPaの水素圧雰囲気下の管理された反応容器中で流通させることによって行われる。
次いで、固定床流通式反応装置内に、直留軽油(15℃における密度0.8468g/cm、硫黄分1.13質量%、窒素分0.083質量%)を150ml/時間の速度で供給して水素化脱硫処理を行い、水素化精製を行なった。その際の反応条件は、水素分圧が4.5MPa、液空間速度が1.0h−1、水素油比が250Nm/klである。そして反応温度を300〜385℃の範囲で変化させ、各温度における精製油中の硫黄分析を行い、精製油中の硫黄分が10ppmになる温度をそれぞれ求めた。
(2)触媒再生性能の評価のための確認試験
触媒の再生は以下の手法を用いて実施した。反応後に抜き出した使用済み触媒100gを、200℃に保持された窒素雰囲気中に配置し、表面に付着した油分を除去した。しかる後、触媒の温度を400〜450℃に制御しながら、炭素量が1重量%以下になるまで空気雰囲気中で焼成を行った。焼成後の触媒は冷却し、再度活性試験に使用した。
再生後の性能算出法は次のとおりである。活性試験における試験結果は、アレニウスプロットより反応速度定数を求め、フレッシュ触媒(未使用触媒)からの再生率を算出した。具体的には、硫化水素を通流させて硫化処理を行った後、上記の(1)にて記載した条件にて水素化脱硫処理を行った。反応器を通過する前後での炭化水素油中の硫黄濃度の変化から、下記の式1に基づいて反応速度定数を求めた。そして、未使用触媒の反応速度定数(Kn0)に対する、再生触媒の反応速度定数(Kn)の比をパーセント表示で表した値((K/Kn0)×100[%])を相対活性とした。
=LHSV×1/(n−1)×(1/Sn−1−1/S n−1) …式1
ここで、
:反応速度定数
n:脱硫反応速度が原料油の硫黄濃度の何乗に比例するか(LGOでは1.5)
S:処理油中の硫黄濃度(%)
:原料油中の硫黄濃度(%)
LHSV:液空間速度(hr−1
以上の確認試験の結果を表3に示す。なおデータの把握の容易性を考慮して、表3は表3A及び表3Bを含んでいる。
Figure 2017196550
(触媒の性状及び確認試験の評価結果)
実施例1〜実施例19は、担体の組成、有機化合物の添加量、活性金属の組成、処理条件などのパラメータが適切な範囲に設定されており、このため触媒の性状に関してすべて適切な値になっている。
これに対して比較例1は有機化合物を添加しておらず、比較例2は有機化合物が過剰に添加されている。比較例3は、担体の焼成温度が高過ぎ、比較例4〜6は無機物の組成範囲が適切ではなく、比較例7はアルミニウム以外の無機物が添加されていない。比較例8は担体の焼成温度が低過ぎ、比較例9は活性金属が過剰であり、比較例10は活性金属が不足している。比較例11は、担体に含侵液を含侵させた後、焼成を行っていない。
このため、アルミナ前駆体の結晶子径については、比較例1、7は適切値の上限である40Åを越えており、比較例2、4は下限である15Åを下回っている。OH基の比率については、比較例1、6が適切値の下限である0.20を下回っており、比較例4、5が上限である0.45を上回っている。またアルミナの結晶転移については、比較例8は担体の焼成温度が好ましい温度の下限400℃を下回っているので、担体アルミナの結晶形態がベーマイトの形態を多く含んでおり、γアルミナの比率が小さい。触媒の表面積については、比較例3、9は適切値の下限である180m/gを下回っている。平均細孔径については、比較例2が適切値の下限である50Åを下回っており、比較例6が適切値の上限である110Åを上回っている。
また脱離水のピーク温度については、比較例5、6、8、9が適切値の上限である415℃を上回わっており、一酸化窒素吸着量については、比較例2、3、4、6、10が適切値の下限である8.0ml/gを下回っている。強熱減量については、比較例11が適切値の上限である5.0質量%を大幅に超えており、また当該比較例11は、含有している炭素量も適切値の上限である2.0質量%を超えている。
この結果、実施例1〜実施例19は、触媒性能の指標である、精製油中の硫黄分が10ppmになる温度が355℃以下であり、触媒再生性能の指標である上記の相対活性が85%以上である。これに対して比較例1〜10は触媒性能が劣っており、比較例11は触媒再生性能が劣っている。また比較例2、8、9は触媒性能だけでなく、触媒再生性能についても劣っている。
本発明の水素化脱硫触媒は、炭化水素油を高度に水素化脱硫することができるため産業上きわめて有用である。

Claims (13)

  1. (1)無機複合酸化物担体上に、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である第2の金属成分と、が担持され、
    (2)前記無機複合酸化物担体は、無機複合酸化物担体100質量部に対して、アルミニウムをアルミナ換算で80〜98質量部含み、
    (3)前記無機複合酸化物担体は、前駆体の中で主成分となるアルミナの擬ベーマイトのXRD回折スペクトル(020)ピークの半値幅より求めた結晶子径が15以上40Å以下であり
    (4)前記第1の金属成分の含有量は、触媒100質量部に対して、酸化物換算として15〜27質量部であり、第2の金属成分の含有量は、触媒100質量部に対して、酸化物換算として2〜7質量部であり、
    (5)有機酸由来の炭素の含有量は、触媒100質量部に対して、元素基準として2.0質量部未満であり、
    (6)触媒の比表面積が180〜320m/g、水銀圧入法で測定した触媒の平均細孔径が50〜110Åであり、
    (7)強熱減量が5.0質量%以下であり、硫化処理した触媒の一酸化窒素の吸着量が8.0ml/g以上であることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒。
  2. 前記無機複合酸化物担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲に
    あるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.20〜0.45の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  3. 前記無機複合酸化物担体は、
    a.無機複合酸化物担体100質量部に対して、リンをリン酸換算で5.0質量部以下含むもの、
    b.無機複合酸化物担体100質量部に対して、ケイ素をシリカ換算で3.0質量部以下含むもの、
    c.無機複合酸化物担体100質量部に対して、チタンをチタニア換算で18.0質量部以下含むもの、
    d.無機複合酸化物担体100質量部に対して、ジルコニウムを酸化ジルコニア換算で9.0質量部以下含むもの、
    のうちの少なくとも一つに該当することを特徴とする請求項1または2に記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  4. 前記無機複合酸化物担体は、XRD回折スペクトルより測定されるベーマイト(020)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積をP1、γ―アルミナ(440)面の結晶構造を示す回折ピーク面積をP2とすると、P1とP2との合計値に対するP2の比率P2/(P1+P2)が0.9以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載された炭化水素油の水素化処理触媒を製造する方法であって、
    (1)無機複合酸化物担体を準備する工程と
    (2)モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルの少なくとも一方である第2の金属成分と、有機酸と、を含む含浸液を調製し、前記第1の金属成分及び第2の金属成分を前記無機複合酸化物担体に担持する工程と、
    (3)前記(2)の工程により得られた、前記第1の金属成分及び第2の金属成分が担持された無機複合酸化物担体を100〜600℃の温度で加熱処理して水素化処理触媒を得る工程と、
    を含むことを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  6. 前記(1)の無機複合酸化物担体を準備する工程は、
    (1−1)塩基性金属塩水溶液と酸性金属塩の水溶液とを混合して複合金属水和物スラリーを調製するスラリー調製工程と、
    (1−2)前記複合金属水和物スラリーを熟成する第一熟成工程と、
    (1−3)次いで前記複合金属水和物スラリーを洗浄する工程と、
    (1−4)その後、前記複合金属水和物スラリーを前記熟成する第二熟成工程と、
    (1−5)しかる後、前記複合金属水和物スラリーを混練、濃縮する混練・濃縮工程と、
    (1−6)前記複合金属水和物スラリーを濃縮して得られた濃縮物を成型する工程と、
    (1−7)次に成型体を乾燥、焼成する工程と、を含み、
    前記(1−4)の第二熟成工程において、第一有機化合物を添加することを特徴とする請求項5記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  7. 前記(1−1)のスラリー調製工程における塩基性アルミニウム塩水溶液がカルボン酸塩を含むことを特徴とする請求項6記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  8. 前記第一有機化合物は、無機複合酸化物100質量部に対して0.5〜4.0質量部の範囲で添加することを特徴とする請求項6または7記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  9. 前記(1−5)の混練・濃縮工程において、第二有機化合物を添加することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  10. 前記第二有機化合物は、無機複合酸化物100質量部に対して0.5〜4.0質量部の範囲で添加することを特徴とする請求項9記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  11. 前記(1−4)の第二熟成工程におけるスラリー中の無機複合酸化物濃度は20%未満であり、前記(1−5)の混練・濃縮工程におけるスラリー中の無機複合酸化物濃度は20%以上であることを特徴とする請求項6ないし10のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  12. 前記有機化合物が、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、および糖類(単糖類、多糖類等)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6ないし10のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  13. 請求項1ないし4のいずれか一つに記載の水素化処理触媒の存在下において、水素分圧が3〜8MPa、温度が260〜420℃、液空間速度が0.3〜5hr-1条件で炭化水素油の水素化処理を行うことを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
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