JP6660896B2 - 炭化水素油の水素化処理触媒、その製造方法、および水素化処理方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化処理触媒、その製造方法、および水素化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、水素存在下で炭化水素油中の硫黄分を除去するための水素化処理触媒、その製造方法および水素化処理方法に関する。
水素化処理は、触媒を用いて高温高圧下にて反応を進行させるが、反応条件を低温、低圧下することによりプロセスの経済性が高まるため、触媒の活性が高いことが望まれている。モリブデンの還元温度に関する公の知見として以下のようなものがある。
R.L.Corderoによるとモリブデンをアルミナやシリカに担持した触媒の水素気流下のモリブデンの還元温度が担体種や組成によって大きく変化することが記載されている。しかしながら、助触媒であるニッケルやコバルトが添加されておらず、実用的な触媒としての知見とは言い難い。加えて、本性質と脱硫活性との関連性には言及していないため、最適な触媒の還元温度について言及されていない。
J. Escobarらは、アルミナ担体にニッケル、モリブデン、リンを担持した未焼成触媒の水素気流下におけるモリブデンに帰属する還元ピーク温度として384〜403℃、539〜576℃の二つが存在し、後者のピークの方が前者よりも大きくなることを明らかにした。しかしながら、未焼成の触媒の還元ピーク温度に関する知見を記載しているものの、焼成物触媒については言及されていないし、複合酸化物上のモリブデンの還元ピーク温度や還元プロファイルと脱硫活性の関係については記載されていない。
特許文献1には、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン等の周期律表第8〜10族から選ばれる卑金属元素を含む硫化物触媒に、ロジウム、パラジウム、白金等の周期表第8〜10族から選ばれる貴金属を添加することにより、スピルオーバー水素の利用によって高い水素化処理性能を示すことが報告されている。また、反応活性点となる触媒成分の還元を受ける挙動が、水素化処理の触媒活性と密接な関係を有し、水素気流下における触媒の還元ピーク温度が500℃以下であることが望ましいと記載されている。しかしながら、貴金属を使用していることから、卑金属と比べて触媒価格が高価になるとともに地球資源の枯渇という側面からも望ましくない。
上記のようにモリブデンの還元温度について言及した知見は報告されているものの、安価で脱硫性能に優れ、容易に再生が可能な触媒について提案はされていない。
また、省エネ化や経済性の向上だけでなく、環境負荷低減を踏まえ、各製油所では使用済み触媒を再生し使用することが増えている現状がある。このような状況の中で、触媒の高性能化を目指した、アルミナ担体の製造法に関する従来の知見には以下のものがある。 特許文献2では、触媒燃焼用耐熱性アルミナ担体の製造法として、pH調整剤を用いたベーマイトゾルから調製したアルミナ担体の製造法が開示されており、1000℃以上の高温雰囲気下で使用時にも安定に高表面積を維持できる効果が述べられている。この知見は、使用するベーマイトがゾル状で薄いことやpH調整がやや複雑で工業的にはやや不向きであると予想される。
特許文献3には、擬ベーマイト結晶構造を有するアルミナ水和物を用いたアルミナ触媒担体の製造方法が開示されている。アルミナ担体の製造工程において、アルミナ水和物に水を加えて可塑化させその可塑化物を捏和し、任意の擬ベーマイト結晶サイズに調節できるとあり、それによって所望の細孔径を有するアルミナ担体の製造が可能と記述されている。この調製方法は、可塑化物の反応温度と反応時間によって結晶サイズを制御しているものであり、性状の管理に多くの技量が求められ多くの場合品質が安定しないことが予想される。
特許文献4では、擬ベーマイトアルミナ粉体を用いたアルミナ担体の製造方法が開示されており、この製法は、アルミナ原料の粒子形状の調整による高純度かつ高活性なアルミナ触媒担体を製造する方法であると把握される。この製法においては、2種のアルミナ原料粉末の混合比を変更することによって、粒子のアスペクト比を変更する手法が取られており、調整にはアルミナ原料とその混合状態に大きく依存するものと予想される。
特許文献5では、γ―アルミナ担体にコバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン等の活性金属を担持して焼成した触媒にさらに有機添加剤としてポリエチレングリコールを含浸して、該有機添加剤が触媒中に残留するような条件で乾燥することを特徴とする水素化触媒を製造する方法が報告されている。このような触媒の調製法によっては、有機添加剤を残留させることによって水素化脱硫反応を促進させる効果が期待できる。しかし、その一方で有機添加剤由来の炭素質は非常に不安定で使用中の性能の安定性にも影響するばかりか、使用済み触媒を再生品の性能回復率は非常に悪く、再生の際は焼失した有機添加剤を補う必要がある。
特許文献6では、多孔質アルミナの製造方法として、1種以上の水酸化アルミニウムおよび/またはアルミナに、水及び少なくとも一種の一塩基酸またはその塩を加え250℃以下の温度範囲でゾル化反応を行うことによって、水性アルミナゲルおよび/またはアルミナゲルを得、該水性アルミナゲルおよび/またはアルミナゲルを乾燥、焼成することを特徴とする製造法が記載されている。特許文献5では、細孔制御剤として含酸素有機物、無機多塩基酸等をアルミナ調製液へ添加する手法が記載されているが、添加物は1工程でのみ使用されており、触媒性能を大きく左右する担体表面のOH基の調整については触れられていない。また、熟成工程にあたるゾル化反応は密閉容器で100℃を超える温度で行われており、この処理はオートクレーブ(加圧密閉容器)の使用が必須となるため、工業的に調製を行うに当たっては経済的とは言い難い。
特許文献7には、アルミナ水和物微粒子粉末の製造方法として、緩衝材と解膠剤を添加したアルミナ水和物微粒子を熟成する工程が記載されているが、アルミナの結晶性には触れられていない。
特許文献8は、高活性水素化脱硫触媒の製造方法として少なくとも90重量%のベーマイトを含む成型粒子を形成し、加熱処理してγーアルミナに変換する工程が含まれており、本質的にすべての量をγーアルミナにすると記載されている(γーアルミナ以外のアルミナが10重量%未満)。ただし、結晶性の制御因子は焼成温度のみである。
特開2002−210362号公報 特開平07−256100号公報 特開平07−155597号公報 WO97/12670号公報 特開平8−332385号公報 WO2001/056951号公報 特開2014−133687号公報 WO2006/034073号公報
R.L.Cordero et al., Applied Catalysis, 74, 125-136 (1991). J. Escobar et al., Applied Catalysis B: Environmental, 88, 564-575 (2009).
本発明の目的は、工業的に高い生産性を維持しつつ脱硫活性に優れ、また高性能な触媒を再生することができる炭化水素油の水素化処理触媒およびその製造方法を提供することにある。また、炭化水素油中の硫黄分を高い除去率で除去できる炭化水素油の水素化処理方法を提供することにある。
本発明の炭化水素油の水素化処理触媒は、
(1)γ―アルミナ担体上に、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である第2の金属成分と、が担持され、
(2)前記γ―アルミナ担体は、γ―アルミナ100%からなり、
(3)前記第1の金属成分の含有量は、触媒100質量部に対して、酸化物換算として15〜28質量部であり、第2の金属成分の含有量は、触媒100質量部に対して、酸化物換算として2〜7質量部であり、
(4)触媒の比表面積が200〜320m/g、水銀圧入法で測定した触媒の平均細孔径が50〜110Åであり、
(5)強熱減量が5.0質量%以下であり、
(6)有機酸由来の炭素は、触媒100質量部に対して、元素基準として2.0質量部以下であり、
(7)硫化処理した触媒の一酸化窒素の吸着量が8.0ml/g以上、
であることを特徴とする。
例えば前記担体は、前駆体であるアルミナの擬ベーマイトのXRD回折スペクトル(020)ピークの半値幅より求めた結晶子径が45Å以下である。
本発明に係る炭化水素油の水素化処理触媒を製造する本発明の方法は、次の通りである。
(1)塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩の水溶液とを混合して得られたアルミナを含むスラリーを熟成する第一熟成段階と、
熟成したスラリーを脱水後、洗浄する段階と、
次いで洗浄された被洗浄物を含むスラリーを熟成する第二熟成段階と、
その後、スラリーを混練、濃縮する段階と、
スラリーを濃縮した濃縮物を成型する段階と、
次いで成型物を乾燥、焼成する段階と、を含む、γ―アルミナ担体を準備する工程と、
(2)モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルの少なくとも一方である第2の金属成分と、有機酸と、を含む含浸液を調製し、前記第1の金属成分及び第2の金属成分を前記γ―アルミナ担体に担持する工程と、
(3)前記(2)の工程により得られた、前記第1の金属成分及び第2の金属成分が担持されたγ―アルミナ担体を加熱処理して水素化処理触媒を得る工程と、
を有することを特徴とする。
本発明の具体的な方法を列挙するが、本発明の範囲を限定するものではない。
前記工程(1)における第二熟成段階にて、前記スラリーに第一有機化合物を添加する。前記第一有機化合物は、例えばアルミナ100質量部に対して0.5〜5.0質量部の範囲で添加する。
前記工程(1)における前記スラリーを混練、濃縮する段階以降、前記濃縮物を成型する段階の前に、第二有機化合物を添加する。前記第二有機化合物は、例えばアルミナ100質量部に対して0.5〜5.0質量部の範囲で添加する。
前記第一有機化合物及び第二有機化合物は、例えば有機酸類、糖類のうち少なくとも1種である。
前記工程(1)における塩基性アルミニウム塩水溶液がカルボン酸塩を含む。
前記工程(1)に含まれる第一熟成段階及び第二熟成段階において、アルミナ濃度は20%未満であり、前記工程(1)における前記スラリーを混練、濃縮する段階において、アルミナ濃度は20%以上である。
前記工程(3)における加熱処理の温度は、100〜600℃の温度である。
また本発明の炭化水素油の水素化処理方法は、本発明の水素化処理触媒の存在下において、水素分圧が3〜8MPa、温度が260〜420℃、液空間速度が0.3〜5hr-1条件で炭化水素油の水素化処理を行うことを特徴とする。
本発明の水素化処理触媒は、γ―アルミナからなる担体を使用しているので、高い強度、高い安定性、大表面積が得られ、また結晶性の制御を行いやすく、高い生産性が期待でる。そして適切な活性金属組成であることから、活性金属の高い分散性が得られ、また活性点量の指標となる一酸化窒素(NO)の吸着量の増量化が図れる。更に担体表面のOH基を制御しているので、この点からも活性金属の高い分散性が得られる。更にまた、強熱減量、含有炭素量を適切化していることから、触媒再生が容易である。
そして本発明の炭化水素油の水素化処理触媒を用いることで、高い脱硫活性を持つ炭化水素油の水素脱硫方法を実施できる。
担体A、Kの透過型フーリエ変換赤外分光光度計測定結果である。 昇温還元法による脱離水のピーク温度の分析結果の一例を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
[炭化水素油の水素化処理触媒について]
本発明の炭化水素油の水素化処理触媒は、γ―アルミナ担体(以下アルミナ担体ともいう)と、活性金属成分とからなり、所定の性状を有している。以下にγ―アルミナ担体、活性金属成分及び触媒の性状について詳述する。
<γ―アルミナ担体>
前記水素化処理触媒を構成するγ―アルミナ担体は、不純物分を除くものがアルミニウムの酸化物でかつその結晶状態がγ―アルミナに分類できる状態であり、γ―アルミナ100%である。γ―アルミナ100%とは、アルミナ担体の製造過程から不可避的に含まれる不純物等は含まれ得るが、それ以外は含まないことを意味し、例えば、アルミナ担体におけるγ―アルミナの含有量が99質量%以上であり、好ましくは99.5質量%以上である。従って、水素化処理触媒として、高い性能だけでなく工業的に高い生産性を保つことが可能となっている。
前記活性金属成分を担体に高分散状態に有効に担持して触媒活性を十分に確保するためには、通常、多孔質の担体が使用され、細孔径500Å以下の比較的小さな細孔を有するものが好適に使用される。また、担体あるいは触媒体の機械的強度や耐熱性等の物性を制御するために、担体あるいは触媒体の形成に際して適当なバインダー成分や添加剤を含有させることもできる。
本発明触媒の担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15〜0.40の範囲にある。比率Sb/Saは、より好ましくは、0.20〜0.40の範囲である。活性金属は、アルミナ担体表面の特性により分散性が異なることが知られており、Sb/Saが上記範囲にあるとき本担体表面における活性金属の高い分散性が特に顕著に見られる。その結果、高い脱硫性能が得られることになるため、上記範囲に調製することが好ましい。図1に、本発明触媒の担体(実施例中に示す担体A,K)について、酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲及び塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲を含む光吸収スペクトルの例を示しておく。
また、本発明触媒の担体を調製する際は、擬ベーマイト結晶状態を経由してγ―アルミナを調製するためには焼成工程を経るが、前駆体であるアルミナ(焼成前)の擬ベーマイトのXRD回折スペクトル(020)ピークの半値幅より求めた結晶子径が45Å以下であることが特徴である。擬ベーマイトの結晶子サイズの制御は、アルミナ担体の細孔構造の最適化とともにその後の焼成による結晶転移難易に影響を及ぼすため重要である。結晶子サイズが45Åを超える場合は、平均細孔径が大きくかつ比表面積が小さくなるため、触媒の性能が低下する恐れがあるため好ましくない。また、焼成の際に結晶転移が進みにくくなるために、アルミナ担体の結晶形態にベーマイト構造が残る場合が生じ、触媒性能の安定性が損なわれる懸念も発生するため好ましくない。
<活性金属成分>
γ―アルミナ担体上に、活性金属成分として、第1の金属成分である例えばモリブデンと、第2の金属成分である例えばコバルトが担持される。
第1の金属成分は、モリブデンに代えてタングステンであってもよいし、モリブデン及びタングステンの両方であってもよい。第1の金属成分の含有量(担持量)の好ましい範囲は、触媒基準で酸化物換算として15〜27質量%(触媒100質量部に対して、酸化物換算として15〜27質量部)であり、更に好ましい範囲は、15〜20質量%である。
第1の金属成分の含有量が酸化物換算として15質量%より過度に小さいと、反応に必要な脱硫活性が確保できないおそれがあり、27質量%より過度に大きいと、金属成分が凝集しやすくなり、分散性を阻害するおそれがある。
第2の金属成分は、コバルトに代えてニッケルであってもよいし、コバルト及びニッケルの両方であってもよい。第2の金属成分の含有量(担持量)は、触媒基準で酸化物換算として2〜7質量%(触媒100質量部に対して、酸化物換算として2〜7質量部)であることが必要である。第2の金属成分は、第1の金属成分に対して助触媒として働き、含有量が酸化物換算として2質量%よりも少なくなると活性金属成分である第1の金属成分及び第2の金属成分が適切な構造を保つことが困難になり、含有量が酸化物換算として7質量%を越えると、活性金属成分の凝集が進みやすくなり、触媒性能が低下する。
活性金属成分を含浸法によりアルミナ担体に担持させる場合には、通常含浸液中に有機酸が含まれ、このため有機酸がアルミナ担体に担持される炭素の供給源となる。活性金属成分に用いられる有機酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が用いられ、より好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸などが挙げられる。また有機酸に加えて例えば、糖類(単糖類、二糖類、多糖類等)などの有機添加剤を用いる場合には、本明細書においては、有機酸由来の炭素の含有量とは、有機酸及び有機添加剤の両方に由来する炭素の含有量とする。
<触媒の性状>
本発明の触媒は、BET(Brunauer−Emmett−Teller)法で測定した比表面積(SA)が、200〜320m/gの範囲であることが必要である。比表面積(SA)が、200m/gよりも小さいと、金属成分が凝集しやすくなり、脱硫性能が低下するおそれがあるため好ましくない。一方、320m/gより大きいと平均細孔径や細孔容積が小さくなり、脱硫活性が低下する傾向があるので好ましくない。
また平均細孔径が50〜110Åであることが必要である。平均細孔直径は、水銀圧入法(水銀の接触角:130度、表面張力:480dyn/cm)により測定した値であり、全細孔容積の50%に相当する細孔直径を表す。なお、細孔容積は細孔直径41Å以上の細孔直径を有する細孔の容積を表す。平均細孔径が50Åよりも小さいと脱硫性能が低下するおそれがあり、平均細孔径が110Åよりも大きいと、触媒強度が低下するおそれがある。
本発明の触媒は、強熱減量(Ig Loss)が5.0質量%以下である。強熱減量は後述の測定法の項目に記載しているように触媒を高温で加熱することにより算出して得られる。触媒の強熱減量を5.0質量%以下とするためには、γ―アルミナ担体に対して含浸液を噴霧含浸させた後、例えば300℃以上の温度で焼成することが必要である。
触媒の強熱減量を5.0質量%以下とすることにより、触媒再生時の活性が新規な未使用の触媒(フレッシュな触媒)の脱硫性能を100%としたときに80%以上とすることができる。触媒の強熱減量が多くなると。触媒再生時の焼成工程によって活性金属成分が凝集することが懸念される。
触媒中の炭素の含有量は、触媒基準で元素基準として2.0質量%以下とすることにより、触媒再生時の活性が新規な未使用の触媒(フレッシュな触媒)の脱硫性能を100%としたときに80%以上とすることができる。炭素の含有量が多いと、触媒再生時の焼成工程によって活性金属成分が凝集することが懸念される。
本発明の触媒は、触媒の昇温還元法に基づいた、450℃までの範囲の脱離水のピーク温度(水の脱離スペクトルのピークが現れる温度)が415℃以下である。昇温還元法の具体例については後述する。通常、硫化処理はモリブデンに水素気流下で硫化水素等によって行われ、反応としては、酸化モリブデンから酸素が脱離することが必要になる。水の脱離ピークは、まさにその酸化モリブデンからの酸素の水としての脱離を検出しているものであるため、硫化処理の進行とモリブデンの還元温度には相関関係があると考えられる。従って、脱離水のピーク温度を低温化することにより、モリブデンの硫化処理を十分進行させることができると考えられる。
また還元温度が高すぎた場合、つまり脱離水のピーク温度が高すぎた場合には、水がアルミナ担体と弱く相互作用をしているため、活性金属の凝集体が存在する可能性が高くなる。そのため、硫化工程が十分に進行しないことが推察される。従って、還元温度を低くし、水とアルミナ担体との相互作用を小さくすることが、活性金属を高分散させるために必要である。
脱離水は、主としてモリブデンの還元工程で生成されたものであり、そのピーク温度は、担体組成、活性金属組成等に応じて変化する。本発明者の知見によれば、水の脱離ピーク温度(脱離水のピーク温度)を415℃以下にするためにはアルミナ担体上に、活性金属成分として、モリブデンおよびタングステンのうちの少なくとも一方(一種)を酸化物換算として、15〜28質量%、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方(一種)を酸化物換算として2〜7質量%とすることが必要である。
活性金属成分がこの範囲より少ない場合は触媒性能が不足するため好ましくなく、活性金属成分がこの範囲より多い場合は活性金属の凝集体が生成され分散性が損なわれる可能性が高くなるため好ましくない。
本発明の触媒は、硫化処理した触媒の一酸化窒素の吸着量が8.0ml/g以上である。前記吸着量は、より好ましくは、8.3ml/g以上である。一酸化窒素分子吸着量に基づき、触媒の反応活性点を計測することができる。
一酸化窒素の吸着量が本件の範囲外である8.0ml/g未満である場合は、触媒の反応活性点が少なく触媒性能の向上効果が得られないため好ましくない。
触媒を硫化処理した後の一酸化窒素吸着量は、担体の物理的特性や化学的特性、活性金属組成等に応じて変化する。そして一酸化窒素吸着を行うためには、硫化処理が必要となることから、活性金属の還元温度をある一定温度以下に下げることが必要となる。本発明者の知見によれば、一酸化窒素の吸着量を8.0ml/g以上とするためには、
a)アルミナ担体の比表面積(SA)を180〜320m/gの範囲であること、
b)透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15〜0.40の範囲であること、
c)アルミナ担体上に活性金属成分として、モリブデン及びタングステンのうちのを少なくとも一方を酸化物換算として15〜28質量%、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方を酸化物換算として2〜7質量%であること、
d)水の脱離ピーク温度を415℃以下にすることが重要である。
[炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法]
次に、本発明の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法について説明する。
本発明に係る炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法は、
γ―アルミナ担体を調製する第1工程と、
モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルの少なくとも一方である第2の金属成分と、有機酸と、を含む含浸液を調製し、前記第1の金属成分及び第2の金属成分を前記アルミナ担体に担持する第2工程と、
第2工程により得られた、前記第1の金属成分及び第2の金属成分が担持されたアルミナ担体を100〜600℃の温度で加熱処理して水素化処理触媒を得る第3工程と、を有する。
以下、各工程について説明する。
<第1工程>
≪1−1.アルミナスラリーを得る工程≫
先ず塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩の水溶液を、pHが6.5〜9.5、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは6.8〜8.0になるように混合して無機酸化物の水和物を得る。この際、塩基性アルミニウム塩水溶液には、カルボン酸塩を含むことが望ましい。そして無機酸化物の水和物のスラリーを所望の手法により熟成した後(第一熟成工程)、洗浄して副生成塩を除き、アルミナを含むスラリーを得る。
ここで用いるカルボン酸塩は、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、およびシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルコン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの塩が挙げられ、アルミナ100質量部に対して0.5〜5.0質量部の範囲で添加することが好ましい。
≪1−2.アルミナの第2熟成工程≫
前記1−1工程で得られた水和物のスラリーに、少なくとも1種の有機化合物(第一有機化合物)を添加し、還流器付の熟成タンク内において、30℃以上、好ましくは80〜100℃で、例えば1〜20時間、好ましくは2〜10時間加熱熟成する(第二熟成工程)。第一熟成段階及び第二熟成段階において、アルミナ濃度は20%未満であることが好ましい。
≪1−3.捏和・成形及び乾燥工程≫
前記1−2工程で得られた熟成物をスチームジャケット付双腕式ニーダーに入れて加温しアルミナ濃度が20%以上となるまで濃縮した後、少なくとも1種の有機化合物(第二有機化合物)を添加し、その後にさらに加熱捏和して成型可能な捏和物とした後、押し出し成型などにより所望の形状に成型する。なお、第二有機化合物の添加のタイミングは、前記熟成物を濃縮している途中であってもよい。
≪1−4.加熱処理(乾燥、焼成)工程≫
前記1−3工程で得られた成型物を、次いで例えば70〜150℃、好ましくは90〜130℃で加熱乾燥し、好ましくは更に例えば400〜800℃、好ましくは400〜600℃で、例えば0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間焼成してアルミナ担体を得る。
ここで用いる塩基性アルミニウム塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが好適に使用される。また、酸性アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが好適に使用される。
前記2種のアルミニウム塩水溶液を混合する際、通常40〜90℃、好ましくは50〜70℃に加温して保持し、この溶液の温度の±5℃、好ましくは±2℃、より好ましくは±1℃に加温した混合水溶液を、pHが6.5〜9.5、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは6.5〜8.0になるように、通常5〜20分、好ましくは7〜15分の間に連続添加し沈殿を生成させ、水和物のスラリーを得る。
ここで、塩基性アルミニウム塩水溶液への混合水溶液の添加に要する時間は、長くなると擬ベーマイトの他にバイヤライトやギブサイト等の好ましくない結晶物が生成することがあるので、15分以下が望ましく、13分以下が更に望ましい。バイヤライトやギブサイトは、加熱処理した時に比表面積が低下するので、好ましくない。
また、上記第1工程で用いられる第一有機化合物および第二有機化合物としては、有機酸類または糖類から選ばれる少なくとも1種が好ましい。有機酸類としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が挙げられる。また糖類としては、単糖類、二糖類、多糖類等があげられる。この際の添加量はアルミナ100質量部に対して0.5〜5.0質量部の範囲であることが望ましい。添加量がこの範囲より少ない場合は有機化合物の添加による効果が得られにくく、この範囲を超える場合は強すぎる効果によって細孔構造が小さくなりすぎ触媒の物理的性状が最適な範囲にならないばかりか調製の効率が悪くなるために好ましくない。
担体表面のOH基は、活性金属種の分散性など、担持状態を左右する重要な因子である。このOH基の制御は、担体アルミナ前駆体の結晶性とともに、担体調製工程の随所で行うことが可能である。ただし、担体の物理的性状を維持しながらOH基を調整することは非常に難しい。これを満たすためには、結晶性の制御を行った後に別の工程にてOH基の調整を実施することが好ましい。そのため、第2熟成工程で結晶性を制御後、混練・濃縮する工程にて有機化合物を添加(第二有機化合物)し、OH基の状態を調整することが好適である。
<第2工程>
アルミナ担体に、既述の第1の金属成分と第2の金属成分と炭素成分とを含む含浸液を接触させる。
第1の金属成分の原料としては、例えば、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステンなどが好適に使用される。また第2金属成分の原料としては、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸コバルト、炭酸コバルト等が好適に使用される。
またリンをアルミナ担体に担持させる場合には、オルトリン酸(以下、単に「リン酸」ともいう)、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、トリメタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸などが用いられる。
含浸液は、有機酸を用いてpHを4以下にして、金属成分を溶解させることが好ましい。pHが4を超えると溶解している金属成分の安定性が低下して析出する傾向にある。有機酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が使用でき、特に、クエン酸、リンゴ酸が好適に用いられる。有機添加剤としては、糖類(単糖類、二糖類、多糖類等)が用いられる。なお有機酸に有機添加剤、例えば、ブドウ糖(グルコース;C12)、果糖(フルクトース;C12)、麦芽糖(マルトース;C122211)、乳糖(ラクトース;C122211)、ショ糖(スクロース;C122211)等を加えてもよい。
<第3工程>
第2工程で含浸液と接触させて得られる金属成分を担持した担体を、100〜600℃、好ましくは110〜600℃、さらに好ましくは400〜600℃で、0.5〜10時間、好ましくは1〜8時間で加熱処理した後、本発明の水素化処理触媒を製造する。ここで焼成温度が100℃より過度に低いと、残存水分による操作性が悪くなり、また金属担持状態が均一になりにくいおそれがあり、600℃を過度に超えると、金属が凝集を起こし、分散維持効果が期待できなくなるおそれがあるので好ましくない。
ここで第1〜第3工程における利点の一つを述べておく。第1工程におけるアルミナの第2熟成工程を行う際、水和物のスラリーに、有機化合物(第一有機化合物)を添加し、加熱熟成している。このような処理を行うことにより、前駆体であるアルミナの擬ベーマイトの結晶子径を45Å以下にすることができ、触媒の平均細孔径を小さくかつ比表面積を大きくすることができる。また焼成時の結晶転移が進みやすくなるのでアルミナ担体の結晶形態にベーマイト構造が残りにくくなり、触媒性能の安定化を図ることができる。
水素化処理触媒においては、高表面積と高強度との双方をバランスよく満たす触媒が望まれている。γ―アルミナを調製するためには、擬ベーマイト結晶状態を経由して焼成工程が行われるが、この擬ベーマイトの結晶状態を制御することにより、触媒の性能向上が期待されていた。本実施形態によれば、擬ベーマイトの結晶状態を制御することができ、高性能な水素化処理触媒の製造に寄与する。
[炭化水素油の水素化処理方法について]
本発明の水素化処理触媒により脱硫化を図る対象となる炭化水素油は、例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油または直留軽油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油または減圧重質軽油、脱硫重油を接触分解して得られる接触分解灯油または接触分解軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を水素化分解して得られる水素化分解灯油または水素化分解軽油、コーカー等の熱分解装置から得られる熱分解灯油または熱分解軽油等が挙げられ、沸点が180〜390℃の留分を80容量%以上含んだ留分である。該触媒を使用した水素化処理は、固定床反応装置に触媒を充填して水素雰囲気下、高温高圧条件で行なわれる。
[測定方法について]
後述のように、本発明の実施例及び比較例の各々における水素化処理触媒について、成分の含有量、比表面積及び性状に関する数値を測定しているが、これらの測定を行う方法について記載しておく。
<担体成分(アルミナ)および金属成分(モリブデン、コバルト、ニッケル、リン)の含有量の測定方法>
測定試料3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、加熱処理(200℃、20分)させ、焼成(700℃、5分)した後、Na 2gおよびNaOH 1gを加えて15分間溶融した。さらに、HSO 25mlと水200mlを加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて、各成分の含有量を酸化物換算基準(Al、P、MoO、NiO、CoO)で測定した。
<アルミナ結晶状態の同定と結晶子サイズの測定方法>
X線回折装置(理学電機(株)製:RINT2100)を用い、測定試料は測定用無反射板に圧粉したものを観察試料とし、結晶状態をX線回折によって測定した。担体アルミナ前駆体の結晶子サイズは、ベーマイトに帰属される(020)面からScherrer法にて計算し、焼成した担体の結晶構造はベーマイトとγ−アルミナに帰属される回折ピークを比較し判断した。本件のアルミナ酸化物担体はγ―アルミナであることが望ましく、具体的には、X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面および(120)面それぞれの結晶構造を示す回折ピーク面積が、γ−アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/10未満であることが必要である。即ち、X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピーク面積をP1、(120)面の結晶構造を示す回折ピーク面積をP2、γ−アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積をP3とすると、
(P1/P3)×100(%)の値及び(P2/P3)×100(%)の値のうち、大きい方の値が10%未満である。
担体の結晶にベーマイト構造が多くなると、担体物性の制御が難しいだけでなく触媒強度が低下する恐れがあるため好ましくない。
ここで、ベーマイト(020)面および(120)面結晶構造を示す回折ピークはそれぞれ2θ=14°、2θ=28°、で測定したものであり、γ−アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピークは2θ=67°で測定したものである。
それぞれの回折ピーク面積の算出方法は、X線回折装置でX線回折分析によって得られたグラフを最小二乗法によりフィッティングしベースライン補正を行い、最大ピーク値からベースラインまでの高さを求め(ピーク強度W)得られたピーク強度の半分の値(1/2W)のときのピーク幅(半値幅)を求め、この半値幅とピーク強度との積を回折ピーク面積とした。求めた各回折ピーク面積から、「ベーマイト回折ピーク面積/γ−アルミナ回折ピーク面積」を算出した。
<担体表面OH基の測定方法>
透過型フーリエ変換赤外分光計(日本分光(株)製:FT−IR/6100)にて、以下のようにして酸性OH基の極大ピーク波数、その波数における吸光度、塩基性OH基の極大ピーク波数、その波数における吸光度を測定した。
(測定法)
試料20mgを成型容器(内径20mmφ)に充填して4ton/cm(39227N/cm)で加圧圧縮し、薄い円盤状に成型した。この成型体を、真空度が1.0×10−3Pa以下の条件下、500℃で2時間保持した後、室温に冷却して吸光度を測定した。
具体的には、TGS検出器にて、分解能4cm−1、積算回数を200回とし、波数範囲3000〜4000cm−1でベースライン補正した。吸光度は単位質量当たりに換算した。単位質量当たりの吸光度(g−1)=吸光度/成型体質量
なお、後述の各実施例1〜13のいずれのサンプルにおいても、酸性OH基に対応する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3674〜3678cm−1の範囲にあり、塩基性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3770〜3774cm−1の範囲にある。
<比表面積の測定方法>
測定試料を磁製ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、試料の比表面積(m/g)をBET法にて測定した。
<強熱減量の測定方法>
測定試料である触媒を570℃で2時間焼成し、焼成による質量減少量から算出している。
<昇温還元法による脱離水のピーク温度の測定方法>
昇温還元法においては、日本ベル製触媒分析装置(BEL CAT−A)を用いて、250〜710μmに整粒した触媒0.05gを120℃で1時間、ヘリウムガスの流通下で前処理を施した後、水素ガス(99.99%)に切り換え、50℃から900℃まで10℃/分で昇温した。昇温時の水の脱離スペクトルをファイファーバキューム社製四重極質量分析装置(m/z:18.34)にて測定し、得られた、脱離スペクトルから水の脱離ピーク温度を読み取った。
図2に、昇温還元法による脱離水のピーク温度の分析結果の一例であるグラフを示しておく。図1の横軸は温度、縦軸は四重極質量分析装置の検出電流である。
<一酸化窒素吸着量の測定方法>
一酸化窒素吸着量の測定は、全自動触媒ガス吸着量測定装置(大倉理研製)を用い、硫化処理した水素化処理触媒に、ヘリウムガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(一酸化窒素濃度10容量%)をパルスで導入し、水素化処理触媒1gあたりの一酸化窒素分子吸着量を測定した。具体的には、60メッシュ以下に粉砕した触媒を約0.02g秤取り、これを石英製のセルに充填し、当該触媒を360℃に加熱して、硫化水素5容量%/水素95容量%のガスを0.2リットル/分の流量で通流させて1時間硫化処理を行い、その後340℃で1時間保持し、物理吸着している硫化水素を系外に排出した。その後にヘリウムガスと一酸化窒素ガスの混合ガスにて一酸化窒素分子を50℃にて吸着させ、一酸化窒素分子吸着量を測定した。
[実施例]
γ―アルミナ担体の調製例と、含浸液の調製例と、各アルミナ担体及び含浸液を用いた本発明の実施例である水素化処理触媒の調製例と、各アルミナ担体及び含浸液を用いた比較例である水素化処理触媒の調製例について以下に記載する。
まず担体の調製例について記載する。
<担体Aの調製>
a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9.09kgを入れ、イオン交換水で希釈して40.00kgとした。ついで、この溶液に濃度26質量%のグルコン酸ナトリウム水溶液230.8gとを加え、攪拌しながら60℃に加温した。
別途、濃度がAl換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液14.29kgをイオン交換水25.71kgで希釈した硫酸アルミニウム水溶液を60℃に加温した硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
次に、前記濃度5質量%のアルミン酸ナトリウム・グルコン酸ナトリウム混合溶液を拡販しながら、これに硫酸アルミニウム水溶液を一定速度、10分間で添加して、Alとして濃度が3.8質量%のアルミナ水和物スラリーを調製した。このとき、スラリーのpHは7.2であった。アルミナ水和物スラリーはその後、攪拌しながら60℃で60分間熟成した。
b)ついで、熟成したアルミナ水和物スラリーを脱水した後、濃度0.3質量%のアンモニア水溶液1.5Lで洗浄した。
c)洗浄後のケーキ状のスラリーを濃度がAl換算で10質量%になるようにイオン交換水で希釈してスラリー化した後、第一有機化合物としてクエン酸を10質量%溶液で0.60kgを加え、そののちに濃度15質量%のアンモニア水を添加してpH10.2に調整し、攪拌しながら95℃で10時間熟成した。
d)熟成終了後のスラリーは脱水し、スチームジャケット付双腕式ニーダーにて練りながら加温しアルミナ濃度が20%以上となるまで濃縮した後、第二有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.30kgを添加し、その後にさらに加温して所定の水分まで濃縮捏和した。
e)その後、得られた捏和物をスクリュー式押し出し機で直径が1.6mmの円柱状に成型した。
f)ついで、110℃で12時間乾燥した後、500℃で3時間焼成してγ―アルミナからなる水素化処理触媒用担体Aを得た。
<担体Bの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてグルコン酸を10質量%溶液で0.60kgを、第二有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.30kgを添加し、担体Bを得た。
<担体Cの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてグルコン酸を10質量%溶液で1.20kgを、第二有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.30kgを添加し、担体Cを得た。
<担体Dの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物として酒石酸を10質量%溶液で0.60kgを、第二有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.30kgを添加し、担体Dを得た。
<担体Eの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてスクロースを10質量%溶液で0.60kgを、第二有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.30kgを添加し、担体Eを得た。
<担体Fの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.60kgを、第二有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.30kgを添加し、担体Fを得た。
<担体Gの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてスクロースを10質量%溶液で1.50kgを、第二有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.30kgを添加し、担体Gを得た。
<担体Hの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物として酢酸を10質量%溶液で0.60kgを、第二有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.30kgを添加し、担体Hを得た。
<担体Iの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてグルコン酸を10質量%溶液で0.60kgを、第二有機化合物としてクエン酸を10質量%溶液で0.30kgを添加し、担体Iを得た。
<担体Jの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてグルコン酸を10質量%溶液で0.45kgを、第二有機化合物としてクエン酸を10質量%溶液で0.60kgを添加し、担体Jを得た。
<担体Kの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物および第二有機化合物を全く加えず、担体Kを得た。
<担体Lの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてクエン酸を10質量%溶液で0.60kgを添加し、第二有機化合物は何も加えず、担体Lを得た。
<担体Mの調製>
担体Aの調製と同様にして調製する担体において、第一有機化合物としてスクロースを10質量%溶液で1.80kgを、第二有機化合物としてリンゴ酸を10質量%溶液で0.30kgを添加した。その他の工程は担体Aの調製と同様にして、担体Mを得た。
<担体Nの調製>
担体Aの調製と同様にして得られた担体Aにおいて、110℃で乾燥後電気炉での焼成温度を700℃とし、3時間焼成することにより担体Nを得た。
<担体Oの調製>
担体Aの調製と同様にして得られた担体Aにおいて、110℃で乾燥後電気炉での焼成温度を350℃とし、3時間焼成することにより担体Oを得た。
<担体Pの調製>
担体Aの調製と同様にして得られた担体Aにおいて、110℃で乾燥後電気炉での焼成温度を430℃とし、3時間焼成することにより担体Pを得た。
<含浸液の調製>
次に含浸液の調整例について記載する。
<含浸液aの調製>
三酸化モリブデン255gと炭酸コバルト101gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸43gとクエン酸121gを加えて溶解させ、含浸液aを作製した。
<含浸液bの調製>
三酸化モリブデン257gと炭酸ニッケル135gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸44gとクエン酸135gを加えて溶解させ、含浸液bを作製した。
<含浸液cの調製>
三酸化モリブデン255gと炭酸コバルト78gと炭酸ニッケル27gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸43gとクエン酸121gを加えて溶解させ、含浸液cを作製した。
<含浸液dの調製>
三酸化モリブデン201gと炭酸コバルト63gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸30gとクエン酸75gを加えて溶解させ、含浸液dを作製した。
<含浸液eの調製>
三酸化モリブデン462gと炭酸コバルト162gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸99gとクエン酸195gを加えて溶解させ、含浸液eを作製した。
<含浸液fの調製>
三酸化モリブデン157gと炭酸コバルト40gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸39gとクエン酸48gを加えて溶解させ、含浸液fを作製した。
以下に実施例を示し具体的に本発明を説明するが、これらのものに本発明が限定されるものではない。
<実施例1:水素化処理触媒の調製>
担体A1000gに含浸液aを噴霧含浸させた後、200℃で乾燥し、更に電気炉にて450℃で1時間焼成して水素化処理触媒(以下、単に「触媒」ともいう。以下の実施例についても同様である。)を得た。
<実施例2〜実施例16:水素化処理触媒の調製>
既述のようにした調製した担体の種類(調製例)と含浸液の種類(調製例)とを後述の表1のように組み合わせ、その他は実施例1と同様にして、実施例2〜実施例16の触媒を調製した。
次に比較例について説明する。
<比較例1〜比較例7:水素化処理触媒の調製>
既述のようにした調製した担体の種類(調製例)と含浸液の種類(調製例)とを後述の表1のように組み合わせ、その他は実施例1と同様にして、比較例1〜比較例7の触媒を調製した。
<比較例8:水素化処理触媒の調製>
含浸液として実施例1の含浸液aを用い、実施例1で調製した担体A1000gに噴霧含浸させた後、120℃で乾燥しその後に焼成せずに水素化処理触媒を得た。
以上のよう調製して得られた実施例1〜実施例16及び比較例1〜8における各担体の性状を表1A、表1Bに示し、各触媒の性状を表2A、2Bに示す。表1A、表1Bにおいて、比表面積は、触媒の比表面積を表している。また表2A、2Bにおいて、各元素の担持量(質量%)は既に述べたように触媒基準の値である。また炭素量についても触媒基準の値である。
Figure 0006660896
Figure 0006660896
Figure 0006660896
Figure 0006660896
<触媒の評価>
(評価のための確認試験)
実施例1〜実施例16及び比較例1〜8の各触媒について、触媒性能と触媒再生性能とについて評価した。
(1)触媒性能の評価のための確認試験
各触媒を固定床反応装置に充填し、触媒に含まれている酸素原子を脱離させて活性化するために、予備硫化処理した。この処理は、硫黄化合物を含む液体または気体を200℃〜400℃の温度、常圧〜100MPaの水素圧雰囲気下の管理された反応容器中で流通させることによって行われる。
次いで、固定床流通式反応装置内に、直留軽油(15℃における密度0.8468g/cm、硫黄分1.13質量%、窒素分0.083質量%)を150ml/時間の速度で供給して水素化脱硫処理を行い、水素化精製を行なった。その際の反応条件は、水素分圧が4.5MPa、液空間速度が1.0h−1、水素油比が250Nm/klである。そして反応温度を300〜385℃の範囲で変化させ、各温度における精製油中の硫黄分析を行い、精製油中の硫黄分が10ppmになる温度をそれぞれ求めた。
(2)触媒再生性能の評価のための確認試験
触媒の再生は以下の手法を用いて実施した。反応後に抜き出した使用済み触媒100gを、200℃に保持された窒素雰囲気中に配置し、表面に付着した油分を除去した。しかる後、触媒の温度を400〜450℃に制御しながら、炭素量が1重量%以下になるまで空気雰囲気中で焼成を行った。焼成後の触媒は冷却し、再度活性試験に使用した。
再生後の性能算出法は次のとおりである。活性試験における試験結果は、アレニウスプロットより反応速度定数を求め、フレッシュ触媒(未使用触媒)からの再生率を算出した。具体的には、硫化水素を通流させて硫化処理を行った後、上記の(1)にて記載した条件にて水素化脱硫処理を行った。反応器を通過する前後での炭化水素油中の硫黄濃度の変化から、下記の式1に基づいて反応速度定数を求めた。そして、未使用触媒の反応速度定数(Kn0)に対する、再生触媒の反応速度定数(Kn)の比をパーセント表示で表した値((K/Kn0)×100[%])を相対活性とした。
=LHSV×1/(n−1)×(1/Sn−1−1/S n−1) …式1
ここで、
:反応速度定数
n:脱硫反応速度が原料油の硫黄濃度の何乗に比例するか(LGOでは1.5)
S:処理油中の硫黄濃度(%)
:原料油中の硫黄濃度(%)
LHSV:液空間速度(hr−1
以上の確認試験の結果を表3に示す。
Figure 0006660896
(触媒の性状及び確認試験の評価結果)
実施例1〜実施例16は、触媒の性状に関してすべて適切な値になっている。これに対して、比較例1及び4は、担体のOH基の比率が上限である0.40を超えており、触媒表面積が適切値の下限である200m/gを下回っており、また触媒の平均細孔径が好適な範囲内ではない。比較例2についても、担体のOH基の比率が上限である0.40を超えており、平均細孔径が適切値の範囲内に収まっているものの、触媒表面積が適切値の下限である200m/gを下回っている。
また、比較例1では同時に、担体アルミナ前駆体の結晶サイズが適切値の上限である45Åを超えている。比較例3は、触媒表面積は高いものの平均細孔径が適切値の下限を下回っているため、活性金属種の担持については適切でなく一酸化窒素吸着量が適切値の下限である。比較例5は、担体アルミナの結晶形態がγ以外の状態を含んでいるため好ましくない。比較例6及び7は、担持活性金属量が最適な範囲内でない。比較例8は、強熱減量が適切値の上限である5重量%を大幅に超えており、含有している炭素量も適切値の上限である2重量%を超えている。
また実施例1〜実施例16は、触媒性能の指標である、精製油中の硫黄分が10ppmになる温度が360℃以下であり、触媒再生性能の指標である上記の相対活性が80%以上である。これに対して比較例5、8では、触媒再生性能が劣っており、比較例1〜7は触媒性能が劣っており、比較例5は、触媒性能、触媒再生性能のいずれも劣っている。
本発明の水素化脱硫触媒は、炭化水素油を高度に水素化脱硫することができるため産業上きわめて有用である。

Claims (16)

  1. (1)γ―アルミナ担体上に、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である第2の金属成分と、が担持され、
    (2)前記γ―アルミナ担体は、γ―アルミナ100%からなり、
    (3)前記第1の金属成分の含有量は、触媒100質量部に対して、酸化物換算として15〜28質量部であり、第2の金属成分の含有量は、触媒100質量部に対して、酸化物換算として2〜7質量部であり、
    (4)触媒の比表面積が200〜320m/g、水銀圧入法で測定した触媒の平均細孔径が50〜110Åであり、
    (5)強熱減量が5.0質量%以下であり、
    (6)有機酸由来の炭素は、触媒100質量部に対して、元素基準として2.0質量部以下であり、
    (7)硫化処理した触媒の一酸化窒素の吸着量が8.0ml/g以上、
    であることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒。
  2. 触媒の昇温還元法に基づいた、450℃までの範囲の脱離水のピーク温度(水の脱離スペクトルのピークが現れる温度)が415℃以下であることを特徴とする請求項1記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  3. 前記担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15〜0.40の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  4. 前記担体は、X線回折分析により測定されるベーマイト(020)面の結晶構造を示す回折ピーク面積をP1、(120)面の結晶構造を示す回折ピーク面積をP2、γ−アルミナ(440)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積をP3とすると、
    (P1/P3)×100(%)の値及び(P2/P3)×100(%)の値のうち、大きい方の値が10%未満であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  5. 前記担体は、前駆体であるアルミナの擬ベーマイトのXRD回折スペクトル(020)ピークの半値幅より求めた結晶子径が45Å以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載された炭化水素油の水素化処理触媒を製造する方法であって、
    (1)塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩の水溶液とを混合して得られたアルミナを含むスラリーを熟成する第一熟成段階と、
    熟成したスラリーを脱水後、洗浄する段階と、
    次いで洗浄された被洗浄物を含むスラリーを熟成する第二熟成段階と、
    その後、スラリーを混練、濃縮する段階と、
    スラリーを濃縮した濃縮物を成型する段階と、
    次いで成型物を乾燥、焼成する段階と、を含む、γ―アルミナ担体を準備する工程と、
    (2)モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属成分と、コバルト及びニッケルの少なくとも一方である第2の金属成分と、有機酸と、を含む含浸液を調製し、前記第1の金属成分及び第2の金属成分を前記γ―アルミナ担体に担持する工程と、
    (3)前記(2)の工程により得られた、前記第1の金属成分及び第2の金属成分が担持されたγ―アルミナ担体を加熱処理して水素化処理触媒を得る工程と、
    を有することを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  7. 前記工程(1)における第二熟成段階にて、前記スラリーに第一有機化合物を添加することを特徴とする請求項6記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  8. 前記第一有機化合物は、アルミナ100質量部に対して0.5〜5.0質量部の範囲で添加することを特徴とする請求項7記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法
  9. 前記工程(1)における前記スラリーを混練、濃縮する段階以降、前記濃縮物を成型する段階の前に、第二有機化合物を添加することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  10. 前記第二有機化合物は、アルミナ100質量部に対して0.5〜5.0質量部の範囲で添加することを特徴とする請求項9記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法
  11. 前記第一有機化合物は、有機酸類、糖類のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項7または8に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  12. 前記第二有機化合物は、有機酸類、糖類のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項9または10に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  13. 前記工程(1)における塩基性アルミニウム塩水溶液がカルボン酸塩を含むことを特徴とする請求項6ないし12のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  14. 前記工程(1)に含まれる第一熟成段階及び第二熟成段階において、アルミナ濃度は20%未満であり、
    前記工程(1)における前記スラリーを混練、濃縮する段階において、アルミナ濃度は20%以上であることを特徴とする請求項6ないし13のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  15. 前記工程(3)における加熱処理の温度は、100〜600℃の温度であることを特徴とする請求項6ないし14のいずれか一項に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  16. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の水素化処理触媒の存在下において、水素分圧が3〜8MPa、温度が260〜420℃、液空間速度が0.3〜5hr-1条件で炭化水素油の水素化処理を行うことを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
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