JP2023081114A - 無機複合酸化物担体、炭化水素油の水素化処理用触媒およびその製造方法、ならびに炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

無機複合酸化物担体、炭化水素油の水素化処理用触媒およびその製造方法、ならびに炭化水素油の水素化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分解活性が高く、生成油中の中間留分(灯軽油)収率を向上させるための炭化水素油の水素化処理触媒用の担体を提供すること。【解決手段】アルミニウム、ケイ素および元素Mの非晶質無機複合酸化物と、ゼオライトとを含み、前記元素Mがリン、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記ケイ素の含有量がシリカ(SiO2)の含有量に換算して2.0~5.0質量%であり、前記ゼオライトの含有量が3~50質量%である、炭化水素油の水素化処理触媒用の無機複合酸化物担体。【選択図】なし

Description

本発明は、無機複合酸化物担体等、より詳細には炭化水素油の水素化処理用触媒用の無機複合酸化物担体、炭化水素油の水素化処理用触媒、その製造方法ならびに炭化水素油の水素化処理方法に関する。
水素化処理では、触媒を用いて高温高圧下にて反応を進行させるが、反応条件を低温、低圧下することによりプロセスの経済性が高まるため、触媒の活性が高いことが望まれている。触媒の高活性化には種々の手法があり、たとえば触媒に含まれる固体酸性を調節することによって活性を制御することが、重要な手法として挙げられる。固体酸性の制御により、難脱硫物質および難脱窒素物質を易脱硫物質および易脱窒素物質に変化させたり、水素化分解反応によって炭化水素油を適度に分解させる機能を触媒に付与したりすることができる。中間留分の調製としてとりわけ重要な水素化分解反応においては従来、担体構成要素である、アモルファス成分やゼオライト素材の特性を活かした固体酸調整が行われてきた。公の知見として以下のようなものがある。
特許文献1には、担体物質および貴金属活性成分からなる、炭化水素供給原料の水素化等のための触媒が開示されており、担体が5~50重量%の分子ふるい物質(ゼオライト等)および50~95重量%のシリカ-アルミナを含むこと、触媒がブレンステッド酸であることなどが記載されている。
特許文献2には、シリカ含有アルミナ担体を適用した固体酸触媒について開示されている。この固体酸触媒において、活性金属成分はモリブデン、ニッケル、コバルトと遷移金属であり、シリカ含有量は30質量%以上と多量であり、固体酸成分はブレンステッド酸である。
特許文献3には、10-70質量%量のシリカを含み、さらにY型ゼオライトを少なくとも1種以上含んでもよい担体について開示されている。固体酸成分は1-40μmol/gのブレンステッド酸を有しており、10質量%以上のシリカを含有し、また場合によってゼオライトをも含む。
特許文献4には、アルミナ表面上にシリカ層を形成した構造を有し、シリカを担体全重量基準で2-40質量%含有するシリカ-アルミナ担体に活性金属成分を担持した、細孔容積分布に大きな特徴がある触媒が開示されている。固体酸性についての言及はあるものの固体酸性の調整はシリカの含有量で行われており、その効果は活性成分の分散性向上と比較的強い酸点による分解活性増大効果とされている。
特許文献5には、アルミナを主成分とするマトリックスと、改質ゼオライトとを含む担体、および前記担体に担持された金属成分を含む炭化水素油の水素化分解触媒が開示され、この触媒によって、分解活性が高い領域においても高い中間留分選択性を実現できることが記載されている。マトリックスの具体例としては、主成分であるアルミナの他にケイ素、リンなどを含むマトリックスが開示されている。
特表2003-531002号公報 特開2000-465号公報 特表2012-532212号公報 特開2004-73912号公報 特開2021-151641号公報
しかしながら、従来技術においては、炭化水素の水素化処理において、高い分解活性で水素化処理を行い、かつ生成油中の中間留分(灯軽油)収率を向上させるという観点から、さらなる改善の余地があった。
本発明の目的は、分解活性が高く、生成油中の中間留分(灯軽油)収率を向上させるための炭化水素油の水素化処理触媒、およびこのような水素化処理触媒に好ましく用いることのできる担体、その製造方法などを提供することにある。
本発明は、たとえば以下の[1]~[15]に関する。
[1]
アルミニウム、ケイ素および元素Mの非晶質無機複合酸化物と、ゼオライトとを含み、
前記元素Mがリン、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記ケイ素の含有量がシリカ(SiO2)の含有量に換算して2.0~5.0質量%であり、
前記ゼオライトの含有量が3~50質量%である、
炭化水素油の水素化処理触媒用の無機複合酸化物担体。
[2]
透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674~3678cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770~3774cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15~0.45の範囲にある前記[1]の無機複合酸化物担体。
[3]
250℃におけるピリジン脱着法により測定されるルイス酸量およびブレンステッド酸量が、それぞれ150μmol/g以上および15μmol/g以下であり、
前記ルイス酸量/前記ブレンステッド酸量が10以上であり、
アンモニアTPDで測定される固体酸総量が0.40mmol/g以上である
前記[1]または[2]の無機複合酸化物担体。
[4]
前記ゼオライトが、FAU型であり、10~300のケイバン比(Al23に対するSiO2のモル比)を有する前記[1]~[3]のいずれかの無機複合酸化物担体。
[5]
以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1つを満たす前記[1]~[4]のいずれかの無機複合酸化物担体。
(a)前記元素Mとしてリンを含み、リンの含有量がリン酸(P25)の含有量に換算して10.0質量%以下である。
(b)前記元素Mとしてチタンを含み、チタンの含有量がチタニア(TiO2)の含有量に換算して18.0質量%以下である。
(c)前記元素Mとしてジルコニウムを含み、ジルコニウムの含有量がジルコニア(ZrO2)の含有量に換算して9.0質量%以下である。
(d)前記元素Mとしてマグネシウムを含み、マグネシウムの含有量が酸化マグネシウム(MgO)の含有量に換算して8.0質量%以下である。
[6]
前記[1]~[5]のいずれかの無機複合酸化物担体と、前記無機複合酸化物担体に担持された活性金属成分とを含む、炭化水素油の水素化処理触媒。
[7]
前記活性金属成分が、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属、およびコバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である第2の金属を含む、前記[6]の水素化処理触媒。
[8]
比表面積が200~380m2/gであり、水銀圧入法で測定した平均細孔径が50~150Åである、前記[6]または[7]の水素化処理触媒。
[9]
強熱減量が5.0質量%以下である前記[6]~[8]のいずれかの水素化処理触媒。
[10]
硫化処理後に測定される一酸化窒素吸着量が7.5ml/g以上である、前記[6]~[9]のいずれかの水素化処理触媒。
[11]
昇温還元法により測定される、450℃以下の範囲において水の脱離スペクトルのピークが現れる温度が、350℃以下である前記[6]~[10]のいずれかの水素化処理触媒。
[12]
前記[1]の無機複合酸化物の製造方法であって、
前記非晶質無機複合酸化物と前記ゼオライトとを混合する工程
を含む無機複合酸化物担体の製造方法。
[13]
前記[1]の無機複合酸化物の製造方法であって、
塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩水溶液(ただし、両水溶液の少なくとも一方はケイ素を含み、両水溶液の少なくとも一方は前記元素Mを含む。)とを混合して、アルミニウム、ケイ素および前記元素Mの複合酸化物の水和物のスラリーを調製する工程(1)、
前記複合酸化物の水和物と前記ゼオライトとを混合して混合物を調製する工程(2)、および
前記混合物を焼成する工程(3)
を含む、無機複合酸化物担体の製造方法。
[14]
前記[12]または[13]の製造方法により無機複合酸化物担体を製造する工程、および
前記無機複合酸化物担体に活性金属成分を担持する工程(4)
を含む、炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
[15]
前記[6]~[11]のいずれかの水素化処理触媒の存在下において、水素分圧が3~15MPa、温度が260~420℃、液空間速度が0.2~5h-1の条件で炭化水素油の水素化処理を行う、炭化水素油の水素化処理方法。
本発明によれば、炭化水素油の水素化処理において、高い分解活性で水素化処理を行い、かつ生成油中の中間留分(灯軽油)の収率を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[無機複合酸化物担体]
本発明に係る無機複合酸化物担体(以下、単に「担体」とも記載する。)は、非晶質無機複合酸化物とゼオライトとを含む。
<非晶質無機複合酸化物>
前記非晶質無機複合酸化物は、非晶質の、アルミニウム、ケイ素および元素Mの複合酸化物である。
前記元素Mは、リン、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種である。
複合酸化物の具体例としては、例えば、アルミニウム、ケイ素およびリンの複合酸化物、アルミニウム、ケイ素およびチタニウムの複合酸化物、アルミニウム、ケイ素およびマグネシウムの複合酸化物、アルミニウム、ケイ素およびジルコニウムの複合酸化物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。非晶質無機複合酸化物担体の性状および形状は、担持する金属成分の種類や組成等の種々の条件に応じて、適宜選択される。
担体中の、非晶質無機複合酸化物に含まれるアルミニウムの含有量は、アルミニウム酸化物(Al23)換算で、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。アルミニウムの含有量が前記下限値以上であると、担持される活性金属成分の分散性が良好であり、かつ触媒が劣化し難い。
担体中の、非晶質無機複合酸化物に含まれるケイ素の含有量は、炭化水素油の水素化処理において、生成油中の中間留分収率を向上させる観点から、シリカ(SiO2)換算で2.0~5.0質量%であり、好ましくは2.0~4.5質量%である。
前記非晶質無機複合酸化物が前記元素Mとしてリンを含む場合、担体中のリンの含有量は、リン酸化物(P25)換算で好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。リン含有量が過度に多いと担体細孔分布がブロードとなるほか、後述する比率Sb/Saが所定の過度に小さくなり脱硫性能が低下する傾向にある。
前記非晶質無機複合酸化物が前記元素Mとしてチタニウム含む場合、担体中のチタニウムの含有量は、チタニウム酸化物(TiO2)換算で好ましくは18.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下である。酸化物換算のチタニウム含有量が過度に多いと、担体細孔径の不足や細孔分布のブロードになることから脱硫性能が低下する傾向にある。
前記非晶質無機複合酸化物が前記元素Mとしてジルコニウムを含む場合、担体中のジルコニウムの含有量は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)換算で好ましくは9.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下である。ジルコニウム含有量が過度に多いと、担体細孔分布がブロードとなるほか、後述する比率Sb/Saが過度に大きくなり水素化性能が低下する傾向にある。
前記非晶質無機複合酸化物が前記元素Mとしてマグネシウムを含む場合、担体中のマグネシウムの含有量は、マグネシウム酸化物(MgO)換算で好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下である。マグネシウム含有量が過度に多いと、担体細孔分布がブロードとなるほか、後述する比率Sb/Saが過度に大きくなり水素化性能が低下する傾向にある。
<ゼオライト>
前記ゼオライトとしては、FAU型ゼオライトが好ましい。
FAU型ゼオライトとしては、X型、Y型または超安定Y型(USY)ゼオライトが挙げられ、特に超安定Y型ゼオライト(USYゼオライト)が好ましい。
前記USYゼオライトは、USYゼオライトをさらに金属イオンでイオン交換したものであってもよく、製造が容易であるという観点からは、金属イオンでイオン交換されていないUSYゼオライトが好ましい。
市販品の前記USYゼオライトの具体例としては、ZCP-120LS、ZCP-300N、ZCP-700、ZCP-1200、Mg-USY(商品名、日揮触媒化成(株)製)が挙げられる。
前記担体におけるゼオライトの含有量(前記担体の量を100質量%とする。)は、分解活性をより高める観点から、3質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、高い中間留分選択性を得る観点から、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
前記ゼオライトのケイバン比(Al23に対するSiO2のモル比)は、好ましくは10~300、より好ましくは10~200、さらに好ましくは10~150である。この値は、蛍光X線測定装置(例:RIX-3000((株)リガク製))を用いて、ゼオライトのSiおよびAl、それぞれの含有量を測定し、これらをSiO2およびAl23、それぞれの物質量に換算することによって求められる値である。
ケイバン比が前記下限値以上であると、ゼオライトの固体酸量が多すぎず、高い中間留分選択性を実現することができる。また、ケイバン比が前記上限値以下であると、ゼオライトの固体酸量が少な過ぎず、水素化分解を十分に進行させることができる。
前記ゼオライトは、以下の方法で測定される格子定数(以下「UD」とも記載する。)は、通常、2.425~2.445nmである。前記格子定数がこの範囲にあると、本発明の触媒は高い中間留分選択性を示す。
<担体の物性>
(細孔径)
後述する活性金属成分を前記担体に高分散状態に有効に担持して触媒活性を十分に確保するためには、前記担体として、通常、多孔質の担体が使用され、平均細孔径500Å以下の比較的小さな細孔を有するものが好適に使用される。また、担体あるいは触媒体の機械的強度や耐熱性等の物性を制御するために、担体あるいは触媒体の形成に際して適当なバインダー成分や添加剤を含有させることもできる。
(細孔容積)
本発明に係る担体の、後述する実施例で採用された方法により測定される細孔容積は、好ましくは0.60mL/g以上、より好ましくは0.70mL/g以上である。細孔容積がこの範囲にあると、この担体を含む触媒を用いた炭化水素油の水素化処理において、生成油中の中間留分(灯軽油)の収率を高めることができる。
(吸光度比)
本発明の担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674~3678cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770~3774cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが好ましくは0.15~0.45、より好ましくは0.15~0.40の範囲にある。
活性金属は、担体表面の特性により分散性が異なることが知られており、Sb/Saが上記範囲にあるとき本担体表面における活性金属成分の高い分散性が特に顕著に見られる。その結果、高い水素化性能が得られることになるため、上記範囲に調整することが好ましい。
(酸量)
前記担体の、250℃におけるピリジン脱着法により測定されるルイス酸量およびブレンステッド酸量は、好ましくは、それぞれ150μmol/g以上および15μmol/g以下である。
前記ルイス酸量は、より好ましくは160μmol/g以上であり、さらに好ましくは165μmol/g以上である。
前記ブレンステッド酸量は、より好ましくは13μmol/g以下である。
前記ルイス酸量/前記ブレンステッド酸量は、好ましくは10以上である。
前記担体の、アンモニアTPDで測定される固体酸総量は、好ましくは0.40mmol/g以上であり、より好ましくは0.45mmol/g以上である。
従来、触媒の固体酸特性としてゼオライトや非晶質のシリカアルミナを用いたブレンステッドとその制御が注目されてきた。しかしながら、炭化水素油の水素化処理触媒、とりわけ中間留分の調製として重要な水素化分解反応用触媒に対しては、更なる触媒活性や選択性向上の余地があった。
水素化分解反応における触媒活性や選択性の制御には、ゼオライトやシリカアルミナ等非晶質担体が用いられてきたが、ゼオライトでは分解活性が高い反面に選択性が低く、非晶質担体では選択性が高い反面に分解活性が低い問題があり、双方を組み合わせることや新たなゼオライトやその調製法等で良好な触媒が開発されてきた。一方で、非晶質材による精密制御はほとんどなされていなかった。
本発明に係る担体は、アルミナ、シリカ、および第三成分を所定の割合で含む非晶質無機複合酸化物とゼオライトとから構成されているため、担体のOH基およびブレンステッド酸とルイス酸量等からなる固体酸量とその比を、好ましくは上記の適切な範囲とすることができる。この担体を、水素化処理触媒の担体として使用することにより、炭化水素油の水素化分解能力および中間留分の選択性を向上させられることができる。
[炭化水素の水素化処理触媒]
本発明に係る炭化水素の水素化処理触媒は、上述した本発明に係る無機複合酸化物担体と、前記無機複合酸化物担体に担持された活性金属成分とを含むことを特徴としている。
<活性金属成分>
前記活性金属成分としては、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方の第1の金属を含む第1の金属成分と、コバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方の第2の金属を含む第2の金属成分との組み合わせが好ましい。
第1の金属は、モリブデンであってもよく、タングステンであってもよく、モリブデン及びタングステンの両方であってもよい。本発明の水素化処理触媒中の第1の金属成分の含有量(担持量)は、触媒の量を100質量%として、第1の金属の酸化物(すなわち、MoO3、WO3)換算で、通常15~27質量%、好ましくは18~25質量%である。
第1の金属成分の含有量が前記下限値より過度に小さいと、反応に必要な脱硫活性が確保できないおそれがあり、前記上限値より過度に大きいと、金属成分が凝集しやすくなり、分散性を阻害するおそれがある。
第2の金属は、ニッケルであってもよく、コバルトであってもよく、ニッケル及びコバルトの両方であってもよい。本発明の水素化処理触媒中の第2の金属成分の含有量(担持量)は、触媒の量を100質量%として、第2の金属の酸化物(すなわち、CoO、NiO)換算で、通常2.0~7.0質量%、好ましくは2.5~6.0質量%である。
第2の金属成分は、第1の金属成分に対して助触媒として働き、含有量が前記下限値よりも過度に少なくなると活性金属成分である第1の金属成分及び第2の金属成分が適切な構造を保つことが困難になり、含有量が前記上限値を過度に上回ると、活性金属成分の凝集が進みやすくなり、触媒性能が低下する。
活性金属成分を含浸法により無機複合酸化物担体に担持させる場合には、通常、含浸液中に有機酸が含まれ、このため有機酸が担体に担持される炭素の供給源となる。
本発明の触媒中の炭素の含有量を、触媒の量を100質量%として、2.0質量%以下とすることにより、触媒性能の劣化が抑えられて触媒を安定的に使用することができる他、触媒再生時の活性が新規な未使用の触媒(フレッシュな触媒)の脱硫性能の低下を抑制することができる。炭素の含有量が前記上限値以下であると、使用時に活性金属成分が凝集することによる触媒劣化の進行、触媒再生時の焼成工程による活性金属成分の凝集などを抑制することができる。
<触媒の性状>
(比表面積)
本発明の触媒のBET(Brunauer-Emmett-Teller)法で測定した比表面積(SA)は、通常200~380m2/g、好ましくは250~350m2/gの範囲にある。比表面積(SA)が、前記下限値以上であると、活性金属成分が凝集し難く、触媒は、水素化性能および分解性能に優れる。一方、比表面積(SA)が前記上限値以下であると、平均細孔径または細孔容積が小さくなることによる水素化性能の低下および分解性能の過度な上昇を抑えることができる。
(平均細孔径)
本発明の触媒の平均細孔径は、通常50~150Å、好ましくは50~120Åの範囲にある。この平均細孔径は、水銀圧入法(水銀の接触角:130度、表面張力:480dyn/cm)により測定した値であり、全細孔容積の50%に相当する細孔直径を表す。なお、細孔容積は細孔直径41Å以上の細孔直径を有する細孔の容積を表す。平均細孔径が前記下限値以上であると、本発明の触媒は、脱硫性能に優れる。平均細孔径が前記上限値以下であると、本発明の触媒は、強度に優れる。
(強熱減量)
本発明の触媒の、後述する実施例で採用された方法により測定される強熱減量(Ig Loss)は、通常、5.0質量%以下、好ましくは3.0質量%以下である。強熱減量は後述の測定法の項目に記載しているように触媒を高温で加熱することにより算出して得られる。触媒の強熱減量を5.0質量%以下とするためには、無機複合酸化物担体に対して含浸液を噴霧含浸させた後、例えば300℃以上の温度で焼成することが必要である。
触媒の強熱減量を5.0質量%以下とすることにより、触媒性能の劣化が抑えられて安定的に使用することができる他、触媒再生時の活性が新規な未使用の触媒(フレッシュな触媒)の脱硫性能の低下を抑制することができる。触媒の強熱減量が少ないと、使用時に活性金属成分が凝集することによる触媒劣化の進行、触媒再生時の焼成工程による活性金属成分の凝集などを抑制することができる。
(水脱離ピーク温度)
本発明の触媒の、後述する実施例で採用された条件下での昇温還元法により測定される、450℃以下の範囲において水の脱離スペクトルのピークが現れる温度(以下「水脱離ピーク温度」と記載する。)は、通常、350℃以下、好ましくは320℃以下である。通常、硫化処理はモリブデン等の第1の金属に対して、水素気流下で硫化水素等によって行われ、反応としては、第1の金属の酸化物から酸素が脱離することが必要になる。水の脱離スペクトルのピークは、第1の金属の酸化物からの酸素の水としての脱離を検出しているものであるため、硫化処理の進行と第1の金属の還元温度には相関関係があると考えられる。従って、水脱離ピーク温度を低温化することにより、第1の金属の硫化処理を十分進行させることができると考えられる。
また還元温度が高すぎた場合、つまり水脱離ピーク温度が高過ぎる場合には、水が無機複合酸化物担体と弱く相互作用をしているため、活性金属の凝集体が存在する可能性が高くなる。そのため、硫化工程が十分に進行しないことが推察される。従って、還元温度を低くすること、すなわち脱離水と無機複合酸化物担体との相互作用を小さくすることが、活性金属成分を高分散させる上で好ましい。
脱離水は、主として第1の金属の還元工程で生成されたものであり、そのピーク温度は、担体組成、活性金属組成等に応じて変化する。本発明者の知見によれば、水の脱離ピーク温度(脱離水のピーク温度)を前記上限値以下にするためには、たとえば無機複合酸化物担体上に、活性金属成分として、前記第1の金属成分の量を、前述の酸化物換算として15~27質量%、前記第2の金属成分の量を、前述の酸化物換算として2.0~7.0質量%とすればよい。
(一酸化窒素吸着量)
本発明の触媒の、後述する実施例で採用された条件下での硫化処理の後の一酸化窒素吸着量は、好ましくは7.5ml/g以上、より好ましくは8.0ml/g以上であり、上限値は、たとえば10.0ml/gであってもよい。この一酸化窒素吸着量に基づき、触媒の反応活性点の量を計測することができる。
一酸化窒素吸着量が前記下限値以上である場合は、触媒の反応活性点が多く触媒の性能が優れる。
触媒を硫化処理した後の一酸化窒素吸着量は、担体の物理的特性や化学的特性、活性金属組成等に応じて変化する。一酸化窒素吸着を行うためには、硫化処理が必要となることから、第1の金属の還元温度をある一定温度以下に下げることが好ましい。
本発明者らの知見によれば、硫化処理された本発明の触媒の一酸化窒素吸着量を前記範囲とするためには、
a)前記無機複合酸化物担体の比表面積(SA)が200~380m2/gであること、
b)前記無機複合酸化物担体中の、非晶質無機複合酸化物に含まれるアルミニウムの量が、無機複合酸化物担体の量を100質量%とすると、アルミナ換算で45~90質量%であること、
c)本発明の触媒が、前記活性金属成分として、前記第1の金属成分を前述の酸化物換算値として15~27質量%、前記第2の金属成分を前述の酸化物換算値として2.0~7.0質量%で含むこと、が重要である。
前記a)~c)に加えてさらにd)前記比率Sb/Saを0.15~0.45とすること、前記水脱離ピーク温度を350℃以下にすることがより好ましい。
本発明の水素化処理触媒は、アルミナとシリカと第三成分とを含む非晶質無機複合酸化物とゼオライトとを含む無機複合酸化物担体を使用しているので、大表面積、高い強度と共に固体酸特性と水素化特性との適切な制御が実現される。特に非晶質部にアルミナとシリカにさらに第三成分を用いた組成の適正化で、上述のとおり担体のブレンステッド酸量とルイス酸量およびそれらの比を制御でき、加えてこの担体を用いた本発明の水素化処理触媒では、アンモニアTPDの固体酸総量を指標とする固体酸特性の最適化を図ることができる。その上、担体のOH基を適切にすることで、担体上の活性金属種を高分散化でき、また活性点量の指標となる一酸化窒素(NO)の吸着量の増量化と共に構造の安定化にも繋がる。
また担体には制御された非晶質材と同時にゼオライトを含むことでブレンステッド酸量を保持させ、高い分解能力を発揮することもできる。
そして本発明の炭化水素油の水素化処理触媒を用いることで、十分な水素化分解能力を保持しつつ高い中間留分の選択性を持つ炭化水素油の水素脱硫方法を実施できる。
[無機複合酸化物担体の製造方法]
本発明の無機酸化物複合担体の製造方法としては、たとえば、
(製造方法A):
前記非晶質無機複合酸化物と前記ゼオライトとを混合する工程
を含む、無機複合酸化物担体の製造方法、および
(製造方法B):
塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩水溶液(ただし、両水溶液の少なくとも一方はケイ素を含み、両水溶液の少なくとも一方は前記元素Mを含む。)とを混合して、アルミニウム、ケイ素および前記元素Mの複合酸化物の水和物のスラリーを調製する工程(1)、
前記複合酸化物の水和物と前記ゼオライトとを混合して混合物を調製する工程(2)、および
前記混合物を焼成する工程(3)
を含む、無機複合酸化物担体の製造方法が挙げられる。
これらの方法において、前記元素Mは、リン、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種である。
これらの方法において、原料中のケイ素の含有量は、製造される前記無機複合酸化物担体において、非晶質無機複合酸化物中のケイ素の含有量がシリカの含有量に換算して2.0~5.0質量%となるように調整される。
また、これらの方法において、原料である前記ゼオライトの量は、製造される前記無機複合酸化物担体中での含有量が3~50質量%となるように調整される。
以下、製造方法Bの各工程について説明する。
≪1.複合酸化物の水和物のスラリーを調製する工程(1)≫
工程(1)では塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩水溶液(ただし、両水溶液の少なくとも一方はケイ素を含み、両水溶液の少なくとも一方は前記元素Mを含む。)とを、通常、pHが6.5~9.5、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは6.8~8.0になるように混合して、アルミニウム、ケイ素および前記元素Mの複合酸化物の水和物のスラリーを得る。
前記塩基性アルミニウム塩水溶液は、カルボン酸塩を含んでいてもよい。
前記カルボン酸塩としては、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルコン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの塩が挙げられ、得られる複合酸化物100質量部に対して0.5~4.0質量部となる範囲で添加することが好ましい。
また、塩基性アルミニウム塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが好適に使用される。また、酸性アルミニウム塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが好適に使用される。
ケイ素としては、塩基性ケイ酸塩または酸性ケイ酸が前記水溶液に供給される。塩基性ケイ酸塩は好ましくは塩基性水溶液に、酸性ケイ酸塩は好ましくは酸性水溶液に供給される。塩基性ケイ酸塩としては、水ガラス、オルトケイ酸塩、メタケイ酸塩などが好適に使用される。また、酸性ケイ酸としては、ケイ酸、オルトケイ酸、メタケイ酸などが好適に使用される。
前記元素Mがリンの場合、リンとして、たとえばリン酸アンモニア、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、亜リン酸などの水中でリン酸イオンを生じるリン酸化合物が前記水溶液に供給される。
前記元素Mがチタニウムの場合、チタニウムとして、たとえば四塩化チタン、三塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、硝酸チタンなどのチタン鉱酸塩が前記水溶液に供給される。これらの中でも、特に硫酸チタン、硫酸チタニルは安価であるので好適に使用される。
前記元素Mがジルコニウムの場合、ジルコニウムとして、たとえば炭酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウムが前記水溶液に供給される。
前記元素Mがマグネシウムの場合、マグネシウムとして、たとえば炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウムが前記水溶液に供給される。
前記2種のアルミニウム塩水溶液を混合する際、通常、塩基性アルミニウム塩水溶液の温度を、通常40~90℃、好ましくは50~70℃に保持し、この水溶液に、この水溶液の温度の±5℃以内、好ましくは±2℃以内、より好ましくは±1℃以内に温度調整された酸性アルミニウム塩水溶液を、得られるスラリーのpHが通常6.5~9.5、好ましくは6.5~8.5、より好ましくは6.5~8.0になるように、通常5~20分、好ましくは7~15分かけて連続添加して沈殿を生成させ、水和物のスラリーを得る。
塩基性金属塩水溶液への酸性アルミニウム塩水溶液の添加に要する時間は、長くなると擬ベーマイトの他にバイヤライト、ギブサイト等の好ましくない結晶物が生成することがあるので、20分以下が望ましく、15分以下が更に望ましい。バイヤライトおよびギブサイトは、加熱処理した時に比表面積が低下するので、好ましくない。添加時間が5分以上であると、pHを制御し易い。
≪2.複合酸化物の水和物とゼオライトとの混合物を調製する工程(2)≫
工程(2)では、工程(1)で得られた複合酸化物の水和物とゼオライトとを混合して混合物を調製する。
工程(1)で得られた複合酸化物の水和物は、ゼオライトと混合する前に、任意に洗浄し、熟成し、濃縮混和される。
また、工程(1)で得られた複合酸化物の水和物には、少なくとも1種の後述する有機化合物(第一有機化合物)を添加してもよく、添加しなくてもよい。
(第1熟成工程)
たとえば、工程(1)で得られた複合酸化物の水和物のスラリーは、たとえば還流器付の熟成タンク内において、撹拌しながら、たとえば30℃以上、好ましくは50~100℃で、たとえば1~20時間、好ましくは1~10時間保持することにより熟成される。
第1熟成工程において、スラリー中の複合酸化物の水和物の濃度は、Al23換算のアルミニウム濃度として、好ましくは20質量%未満である。
(洗浄工程)
次いで、熟成された水和物のスラリーは、脱水後、たとえばアンモニア水溶液によって洗浄される。
(第2熟成工程)
洗浄後の水和物のスラリーは、たとえば還流器付の熟成タンク内において、好ましくは撹拌しながら、たとえば30℃以上、好ましくは80~100℃で、たとえば1~20時間、好ましくは2~10時間保持することにより熟成される。
第2熟成工程において、スラリー中の複合酸化物の水和物の濃度は、好ましくは20質量%未満である。
第2熟成工程において、スラリー中の複合酸化物の水和物の濃度は、Al23換算のアルミニウム濃度として、好ましくは20質量%未満である。
第2熟成工程において、スラリーのpHは好ましくは9.0~11.5である。スラリーのpHは、たとえばアンモニア水の添加により調整される。
(濃縮捏和工程)
水和物のスラリー、たとえば第2熟成工程を経たスラリーは、脱水され、脱水物は、たとえばスチームジャケット付双腕式ニーダーにて練りながら、たとえば60~95℃に加温し、所定の水分量となるまで濃縮捏和される。
<複合酸化物の水和物とゼオライトとの混合>
工程(1)で得られ、任意に熟成され、洗浄され、濃縮混和された複合酸化物の水和物は、前記ゼオライトと混合される。
たとえば、スチームジャケット付双腕式ニーダー中で、上述した濃縮捏和工程を行った後、得られた濃縮捏和物に前記ゼオライトを所定量加え混合し、その後に必要に応じて成型助剤となる有機物を添加し押し出し成型などにより所望の形状に成型する。この時、少なくとも1種の第二の有機添加物を、加温し無機複合酸化物濃度が20%(20質量%)以上となるまで濃縮した後に添加してもよく、添加した場合はその後にさらに過熱捏和してもよい。なお、第二有機化合物の添加のタイミングは、前記熟成物を濃縮している途中であってもよい。担体のルイス酸は、担持金属の分散性や触媒活性を左右する重要な因子である。このルイス酸の制御は、無機複合酸化物担体の組成、担体アルミナ前駆体の結晶性とともに、担体調製工程の随所で行うことが可能である。ただし、担体の物理的性状を維持しながらルイス酸量を調整することは非常に難しい。これを満たすためには、前述の無機複合酸化物担体の組成を適切に設定することが好ましい。
前記第一有機化合物および第二有機化合物としては、有機酸類または糖類から選ばれる少なくとも1種が好ましい。有機酸類としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が挙げられる。また糖類としては、単糖類、二糖類、多糖類等があげられる。第一有機化合物及び第二有機化合物のいずれについても、添加量は無機複合酸化物100質量部に対して0.5~5.0質量部の範囲であることが望ましい。添加量がこの範囲より少ない場合は有機化合物の添加による効果が得られにくく、この範囲を超える場合は強すぎる効果によって細孔構造が小さくなりすぎ触媒の物理的性状が最適な範囲にならないばかりか調製の効率が悪くなるために好ましくない。
≪3.焼成工程(3)≫
工程(3)では、前記工程(2)で得られた混合物、好ましくは所望の形状に成型された混合物を焼成して、無機複合酸化物担体を得る。
具体的には、前記混合物を、たとえば70~150℃、好ましくは90~130℃で、たとえば0.5~24時間かけて加熱して乾燥させ、次いでたとえば400~800℃、好ましくは400~600℃で、たとえば0.5~10時間、好ましくは2~5時間かけて焼成して無機複合酸化物担体を得る。
担体表面のOH基は、活性金属種の分散性など、担持状態を左右する重要な因子である。このOH基の制御は、無機複合酸化物担体の組成、担体アルミナ前駆体の結晶性とともに、担体調製工程の随所で行うことが可能である。ただし、担体の物理的性状を維持しながらOH基を調整することは非常に難しい。これを満たすためには、非晶質無機複合酸化物担体の組成を適切に設定することが好ましい。これに加え、結晶性の制御を行った後に別の工程にてOH基の調整を実施することもわずかながら可能である。
[水素化処理触媒の製造方法]
本発明の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法は、
上述した本発明の無機複合酸化物担体の製造方法により無機複合酸化物担体を製造する工程、および
前記無機複合酸化物担体に前記活性金属成分を担持する工程(4)
を含む。
≪4-1.金属含浸工程≫
工程(4)では、まず、たとえば、無機複合酸化物担体に、前記活性金属成分の原料を含む含浸液を接触させることにより、前記含浸液を前記無機複合酸化物担体に含浸させる。具体的には、たとえば、前記含浸液を前記無機複合酸化物担体に噴霧することにより含浸させる。
含浸液の溶媒は、通常、イオン交換水等の水である。
前記活性金属成分の原料のうち、第1の金属成分の原料としては、例えば、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステンなどが好適に使用される。
前記活性金属成分の原料のうち、第2金属成分の原料としては、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸コバルト、炭酸コバルト等が好適に使用される。
またリンを複合酸化物担体に担持させる場合には、前記含浸液は、オルトリン酸(以下、単に「リン酸」ともいう)、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、トリメタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸などを含んでいても良い。
金属成分の原料を溶解させ、かつ溶解した成分を安定化させるために、前記含浸液のpHは、好ましくは有機酸を用いて4以下に調整される。有機酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が、好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸が、より好ましくはクエン酸、リンゴ酸が挙げられる。有機添加剤としては、糖類(単糖類、二糖類、多糖類等)が用いられる。なお有機酸に有機添加剤、例えば、ブドウ糖(グルコース;C6126)、果糖(フルクトース;C6126)、麦芽糖(マルトース;C122211)、乳糖(ラクトース;C122211)、ショ糖(スクロース;C122211)等を加えてもよい。
また、含浸液は無機酸を含んでいてもよい。前記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、リン酸が挙げられ、好ましくは、硝酸、リン酸が挙げられる。
≪4-2.加熱工程≫
次に、前記含浸液を接触させた前記無機複合酸化物担体を、たとえば100~300℃、好ましくは110~250℃で、たとえば0.5~24時間、好ましくは1.0~12時間かけて加熱して乾燥させ、次いで300~600℃、好ましくは350~600℃、さらに好ましくは400~600℃で、たとえば0.5~5時間、好ましくは0.5~3時間かけて加熱して、前記無機複合酸化物担体に前記活性金属成分が担持された本発明の水素化処理触媒が得られる。
ここで乾燥温度が100℃以上であると、残存水分による操作性を防ぎ、また金属担持状態を均一にすることができる。また加熱温度が600℃以下であると、金属の凝集を防ぎ、これらを担体上で良好に分散することが期待される。
[炭化水素油の水素化処理方法]
本発明の水素化処理触媒により脱硫化を図る対象となる炭化水素油は、例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油または直留軽油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油または残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油または減圧重質軽油、脱硫重油を接触分解して得られる接触分解灯油または接触分解軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を水素化分解して得られる水素化分解灯油または水素化分解軽油、コーカー等の熱分解装置から得られる熱分解灯油または熱分解軽油であり、沸点が180~390℃の留分を80容量%以上含んだ留分である。該触媒を使用した水素化処理は、固定床反応装置に触媒を充填して水素雰囲気下、高温高圧条件で行なわれる。処理条件の一例としては、水素分圧が3~15MPa、温度が260~420℃、液空間速度が0.2~5h-1である。
以下に実施例を示し具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
<担体成分(アルミナ、リン、シリカ、チタニア、ジルコニア)および金属成分(モリブデン、コバルト、ニッケル、リン)の含有量の測定方法>
測定試料3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、加熱処理(200℃、20分)させ、焼成(700℃、5分)した後、2gのNa22および1gのNaOHを加えて15分間溶融した。さらに、25mlのH2SO4および200mlの水を加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS-8100、解析ソフトウェアICPS-8000)を用いて、各成分の含有量を酸化物換算基準(Al23、P25、SiO2,TiO2,ZrO2,MoO3、NiO、CoO)で測定した。
<吸光度比の測定方法>
透過型フーリエ変換赤外分光計(日本分光(株)製:FT-IR/6100)にて、以下のようにして酸性OH基の極大ピーク波数、その波数における吸光度Sa、塩基性OH基の極大ピーク波数、その波数における吸光度Sbを測定した。
(測定法)
試料20mgを成型容器(内径20mmφ)に充填して4ton/cm2(39227N/cm2)で加圧圧縮し、薄い円盤状に成型した。この成型体を、真空度が1.0×10-3Pa以下の条件下、500℃で2時間保持した後、室温に冷却して吸光度を測定した。
具体的には、TGS検出器にて、分解能4cm-1、積算回数を200回とし、波数範囲3000~4000cm-1でベースライン補正した。吸光度は単位質量当たりに換算した。単位質量当たりの吸光度(g-1)=吸光度/成型体質量
なお、後述の実施例および比較例のいずれのサンプルにおいても、酸性OH基に対応する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3674~3678cm-1の範囲にあり、塩基性OH基に起因する吸収スペクトルの極大ピーク位置の波数は3770~3774cm-1の範囲にある。
測定されたSaおよびSbから、吸光度比(Sb/Sa)の値を算出した。
<比表面積の測定方法>
測定試料を磁製ルツボ(B-2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、試料の比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
<強熱減量の測定方法>
測定試料を570℃で2時間焼成し、焼成による質量減少量から強熱減量を算出した。
<昇温還元法による脱離水のピーク温度の測定方法>
昇温還元法においては、日本ベル製触媒分析装置(BEL CAT-A)を用いて、250~710μmに整粒した触媒0.05gを120℃で1時間、ヘリウムガスの流通下で前処理を施した後、水素ガス(99.99%)に切り換え、50℃から900℃まで10℃/分で昇温した。昇温時の水の脱離スペクトルをファイファーバキューム社製四重極質量分析装置(m/z:18.34)にて測定し、得られた、脱離スペクトルから水の脱離ピーク温度を読み取った。
<一酸化窒素吸着量の測定方法>
一酸化窒素吸着量の測定は、全自動触媒ガス吸着量測定装置(大倉理研製)を用い、硫化処理した水素化処理触媒に、ヘリウムガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(一酸化窒素濃度10容量%)をパルスで導入し、水素化処理触媒1gあたりの一酸化窒素分子吸着量を測定した。具体的には、60メッシュ以下に粉砕した触媒を約0.02g秤り取り、これを石英製のセルに充填し、当該触媒を360℃に加熱して、硫化水素5容量%/水素95容量%のガスを0.2リットル/分の流量で通流させて1時間硫化処理を行い、その後340℃で1時間保持し、物理吸着している硫化水素を系外に排出した。その後にヘリウムガスと一酸化窒素ガスの前記混合ガスにて一酸化窒素分子を50℃にて吸着させ、一酸化窒素分子吸着量を測定した。
<ゼオライトのケイバン比(Al23に対するSiO2のモル比)の測定方法>
ケイバン比の値は、蛍光X線測定装置(RIX-3000((株)リガク製))を用いて、試料(ゼオライト)のSiおよびAl、それぞれの含有量を測定し、これらをSiO2およびAl23、それぞれの物質量に換算することによって求められる値である。
<ルイス酸量およびブレンステッド酸量の測定方法>
測定試料33mgを、内径20mmのディスクに充填し、測定装置(日本分光社製、FT-IR4600)内に設置した。測定雰囲気を500℃で1時間真空排気し、その後30℃まで冷却した。その後、再び150℃まで昇温し、ピリジンを試料に吸着させてピリジン吸着スペクトルを取得した。更に250℃で測定雰囲気を真空排気した後、ピリジン脱離後のスペクトルを取得した。そしてピリジン吸着前後の差スペクトルをとり、その1450cm-1付近の吸収バンドのピーク値からルイス酸量を求めた。
また、同様にして1550cm-1付近の吸収バンドのピーク値からブレンステッド酸量を求めた。
各測定を3回行い、その平均値を、各触媒のルイス酸量およびブレンステッド酸量として採用した。
<アンモニアTPDの測定方法>
昇温脱離(TPD)装置(マイクロトラックベル社製 BELCATB)の試料室内に担体試料を0.2g導入し、試料室内を500℃で1時間排気処理した後、100℃まで降温させ、担体試料に100℃で0.5時間かけてアンモニアガスを吸着させた。
次いで、試料室内を100℃で0.5時間排気処理した後、50ml/分の量のヘリウムガスの流通下で、担体試料を100℃から10℃/分の昇温速度で700℃まで加熱し、100℃から700℃までの加熱の間に脱離するアンモニアの量を測定し、この量から固体酸総量を求めた。
<平均細孔径および細孔容積の測定方法>
水銀圧入法(水銀の接触角:150度、表面張力:480dyn/cm)によって測定した。細孔容積は細孔直径40Å以上の細孔の容積とし、平均細孔径は細孔容積の50%に相当する細孔直径とした。
[無機複合酸化物担体等の製造]
<担体の調製>
[実施例1-1:担体Aの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Aを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.64kgを入れ、イオン交換水38.2kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液0.9kgと、リン濃度がP25濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム水溶液1.8kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.29kgをイオン交換水13.84kgで希釈した後、60℃に加温した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、希釈され60℃に加温された硫酸アルミニウム水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、複合酸化物の水和物スラリーAを調製した。水和物スラリーAのpHは7.2であった。この水和物スラリーAを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)ついで、熟成した水和物スラリーAを常法により脱水した後、脱水物を濃度0.3質量%のアンモニア水溶液120Lで洗浄した。
工程c)洗浄により得られたケーキ状のスラリーをアルミニウム濃度がAl23換算で10質量%になるようにイオン交換水で希釈した後、濃度15質量%のアンモニア水を添加してpH10.3に調整し、撹拌しながら95℃で10時間熟成した。
工程d)熟成終了後のスラリーを常法により脱水し、脱水物を、スチームジャケット付双腕式ニーダーにて練りながら85℃に加温し、所定の水分量まで濃縮捏和した。
工程e)その後、得られた濃縮捏和物に日揮触媒化成(株)製ゼオライトZCP-300N(ケイバン比30、以下「USY-30」とも記載する。)を0.2kg加え混合し、水分を調整し、成型可能なゼオライト混合物とした。
工程f)さらにその後、得られたゼオライト混合物をスクリュー式押し出し機で直径が1.6mmの円柱状に成型した。
工程g)ついで、成型物を110℃で12時間乾燥した後、500℃で3時間焼成し無機複合酸化物担体Aを得た。
[実施例1-2:担体Bの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Bを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.53kgを入れ、イオン交換水38.1kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液1.62kgと、リン濃度がP25濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム水溶液1.8kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.11kgをイオン交換水13.52kgで希釈した後、60℃に加温した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、希釈され60℃に加温された硫酸アルミニウム水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーBを調製した。水和物スラリーBのpHは7.3であった。この水和物スラリーBを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーBに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Bを調製した。
[実施例1-3:担体Cの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Cを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.66kgを入れ、イオン交換水38.23kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液0.72kgと、リン濃度がP25濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム水溶液1.8kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.33kgをイオン交換水13.92kgで希釈した後、60℃に加温した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、希釈され60℃に加温された硫酸アルミニウム水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーCを調製した。水和物スラリーCのpHは7.1であった。この水和物スラリーCを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーCに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Cを調製した。
[実施例1-4:担体Dの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Dを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.39kgを入れ、イオン交換水38.85kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液0.9kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液6.90kgをイオン交換水13.11kgで希釈した後、チタン濃度がTiO2濃度換算で5.0質量%の硫酸チタニウム水溶液2.52kgを撹拌しながら添加し、60℃に加温して、酸性アルミニウム塩混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、60℃に加温された酸性アルミニウム塩混合水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーDを調製した。水和物スラリーDのpHは7.1であった。この水和物スラリーDを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーDに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Dを調製した。
[実施例1-5:担体Eの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Eを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.39kgを入れ、イオン交換水37.95kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液0.9kgと、リン濃度がP25濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム水溶液1.8kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液6.90kgをイオン交換水13.11kgで希釈した後、チタン濃度がTiO2濃度換算で5.0質量%の硫酸チタニウム水溶液1.62kgを撹拌しながら添加し、60℃に加温して、酸性アルミニウム塩混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、60℃に加温された酸性アルミニウム塩混合水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーEを調製した。水和物スラリーEのpHは7.2であった。この水和物スラリーEを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーEに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Eを調製した。
[実施例1-6:担体Fの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Fを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.50kgを入れ、イオン交換水38.96kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液0.9kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.07kgをイオン交換水13.44kgで希釈した後、マグネシウム濃度がMgO濃度換算で5質量%の硫酸マグネシウム水溶液1.80kgを撹拌しながら添加し、60℃に加温して、酸性アルミニウム塩混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、60℃に加温された酸性アルミニウム塩混合水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーFを調製した。水和物スラリーFのpHは7.3であった。この水和物スラリーFを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーFに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Fを調製した。
[実施例1-7:担体Gの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Gを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.36kgを入れ、イオン交換水40.98kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液1.44kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液6.86kgをイオン交換水13.03kgで希釈した後、ジルコニウム濃度がZrO2濃度換算で5質量%の硫酸ジルコニウム水溶液2.16kgを撹拌しながら添加し、60℃に加温して、酸性アルミニウム塩混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、60℃に加温された酸性アルミニウム塩混合水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーGを調製した。水和物スラリーGのpHは7.4であった。この水和物スラリーGを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーGに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Gを調製した。
[実施例1-8:担体Hの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Gを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.25kgを入れ、イオン交換水38.70kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液1.08kgと、リン濃度がP25濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム水溶液1.08kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液6.69kgをイオン交換水12.70kgで希釈した後、チタニウム濃度がTiO2濃度換算で5質量%の硫酸チタン水溶液2.16kgと、ジルコニウム濃度がZrO2濃度換算で5質量%の硫酸ジルコニウム水溶液0.54kgを撹拌しながら添加し、60℃に加温して、酸性アルミニウム塩混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、60℃に加温された酸性アルミニウム塩混合水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーHを調製した。水和物スラリーHのpHは7.0であった。この水和物スラリーHを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーHに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Hを調製した。
[実施例1-9:担体Iの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Iを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.05kgを入れ、イオン交換水35.24kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液1.79kgと、リン濃度がP25濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム水溶液1.98kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.93kgをイオン交換水14.68kgで希釈した後、60℃に加温した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、希釈され60℃に加温された硫酸アルミニウム水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーIを調製した。水和物スラリーIのpHは7.2であった。この水和物スラリーIを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーIに変更したこと、および0.2kgのUSY-30を0.1kgの日揮触媒化成製ゼオライトZCP-120LS(ケイバン比12、以下「USY-12」とも記載する。)に変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Iを調製した。
[実施例1-10:担体Jの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Jを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液1.4kgを入れ、イオン交換水28.48kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液0.50kgと、リン濃度がP25濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム水溶液0.56kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液2.20kgをイオン交換水5.05kgで希釈した後、60℃に加温した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、希釈され60℃に加温された硫酸アルミニウム水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーJを調製した。水和物スラリーJのpHは7.2であった。この水和物スラリーJを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーJに変更したこと、および0.2kgのUSY-30を1.0kgの日揮触媒化成製ゼオライトZCP-700(ケイバン比80、以下「USY-80」とも記載する。)に変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Jを調製した。
[実施例1-11:担体Kの調製]
0.2kgのUSY-30を0.2kgの日揮触媒化成製ゼオライトMg-USY(ケイバン比40、以下「Mg-USY40」とも記載する。)に変更したこと以外は実施例1-2の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Kを調製した。
[比較例1-1:担体Lの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Nを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.66kgを入れ、イオン交換水39.13kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液1.62kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.33kgをイオン交換水13.92kgで希釈した後、60℃に加温した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、希釈され60℃に加温された硫酸アルミニウム水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーLを調製した。水和物スラリーLのpHは7.3であった。この水和物スラリーLを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーLに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Lを調製した。
[比較例1-2:担体Mの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Mを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液4.91kgを入れ、イオン交換水39.13kgで希釈後、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.71kgをイオン交換水14.66kgで希釈した後、60℃に加温した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、希釈され60℃に加温された硫酸アルミニウム水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーMを調製した。水和物スラリーMのpHは7.2であった。この水和物スラリーMを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーMに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Mを調製した。
[比較例1-3:担体Nの調製]
以下の工程a)~g)に従って無機複合酸化物担体Nを調製した。
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液3.98gを入れ、イオン交換水42.02kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液2.52kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液6.26kgをイオン交換水11.89kgで希釈した後、ジルコニウム濃度がZrO2濃度換算で5質量%の硫酸ジルコニウム水溶液3.60kgを撹拌しながら添加し、60℃に加温して、酸性アルミニウム塩混合水溶液を調製した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、60℃に加温された酸性アルミニウム塩混合水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーNを調製した。水和物スラリーNのpHは7.3であった。この水和物スラリーNを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーNに変更したこと以外は実施例1-1の工程b)~g)に従って無機複合酸化物担体Nを調製した。
[比較例1-4:担体Oの調製]
工程a)容量が100L(リットル)のスチームジャケット付のタンクに、アルミニウム濃度がAl23濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液5.64kgを入れ、イオン交換水32.43kgで希釈後、ケイ素濃度がSiO2濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム水溶液1.80kgと、リン濃度がP25濃度換算で2.5質量%のリン酸ナトリウム水溶液2.00kgを撹拌しながら添加し、撹拌しながら60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩混合水溶液を作製した。また、Al23濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液8.86kgをイオン交換水15.94kgで希釈した後、60℃に加温した。
次に、前記塩基性アルミニウム塩混合水溶液をタンク内で撹拌しながら、そこへローラーポンプを用いて、希釈され60℃に加温された硫酸アルミニウム水溶液を一定速度で、10分間かけて添加し、水和物スラリーOを調製した。水和物スラリーOのpHは7.1であった。この水和物スラリーOを、撹拌しながら60℃で60分間熟成した。
工程b)~g)水和物スラリーAを水和物スラリーOに変更したこと、工程e)を行わなかったこと、および工程f)において、工程e)で得られたゼオライト混合物を工程d)で得られた濃縮混和物に変更したこと以外は実施例1-1と同様にして、無機複合酸化物担体Oを調製した。
<含浸液の調製>
[調製例1:含浸液αの調製]
三酸化モリブデン(モリブデンをMoO3濃度に換算して99.9質量%含む。以下も同様である。)267gおよび炭酸ニッケル(ニッケルをNiO濃度に換算して55.5質量%含む。以下も同様である。)120gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、クエン酸167gを加えて溶解させ、含浸液αを調製した。含浸液αの組成等を表2に示す。
[調製例2:含浸液βの調製]
三酸化モリブデン278gおよび炭酸ニッケル125gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、リン酸(リンをP25濃度に換算して61.1質量%含む。)68gおよびクエン酸118gを加えて溶解させ、含浸液βを調製した。含浸液βの組成等を表2に示す。
[調製例3:含浸液γの調製]
タングステン酸アンモニウム(タングステンをWO3濃度に換算して50質量%含む。)533gおよび炭酸ニッケル120gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、クエン酸113gを加えて溶解させ、含浸液γを調製した。含浸液γの組成等を表2に示す。
[調製例4:含浸液δの調製]
三酸化モリブデン267g、炭酸ニッケル96gおよび炭酸コバルト(コバルトをCoO濃度に換算して61.5質量%含む。)22gを、イオン交換水700mlに懸濁させ、この懸濁液を90℃で5時間液容量が減少しないように適当な還流装置を施して加熱した後、クエン酸113gを加えて溶解させ、含浸液δを調製した。含浸液δの組成等を表2に示す。
<水素化処理触媒の調製>
[実施例2-1:水素化処理触媒(1)の調製]
実施例1-1で調製された無機複合酸化物担体A1000gに調製例1で調製された含浸液aを噴霧含浸させた後、200℃で乾燥し、更に電気炉にて500℃で1時間焼成して水素化処理触媒(以下、単に「触媒」ともいう。以下の実施例についても同様である。)(1)を得た。
[実施例2-2~2-14および比較例2-1~2-4:水素化処理触媒(2)~(14)および(c1)~(c8)の調製]
無機複合酸化物担体Aと含浸液αとを組み合わせることに替えて、実施例1-2~1-11および比較例1-1~1-4で調製された無機複合酸化物担体B~Oと調製例1~5で調製された含浸液α~δとを後述の表3に記載のように組み合わせたこと以外は実施例2-1と同様にして、水素化処理触媒(2)~(14)および(c1)~(c4)を調製した。
以上のよう調製して得られた実施例2-1~2-14及び比較例2-1~2-4における各担体の性状を表1に示し、各触媒の性状を表3に示す。表1において、比表面積は、触媒の比表面積を表している。また表3において、各元素の担持量(質量%)は触媒基準の値である。
<触媒の評価>
(評価のための確認試験)
実施例2-1~2-14及び比較例2-1~2-4の各触媒について、各触媒性能を評価した。
<触媒性能の評価のための確認試験>
各触媒を使用して、典型的な中東VGOを処理した。供給原料油を水素化分解反応の前に前処理させるべく、ゼオライトを含まない市販の水素化処理触媒を充填した層に次いで実施例または比較例の水素化分解触媒を充填した層を通過させるよう固定床流通式反応装置内に充填した。
供給原料油の導入前には、触媒に含まれている酸素原子を脱離させて活性化するために、予備硫化処理した。この処理は、硫黄化合物を含む液体または気体を200℃~400℃の温度、常圧~100MPaの水素圧雰囲気下の管理された反応容器中で流通させることによって行われる。
次いで、水素化分解反応を、水素分圧13MPa、液空間速度0.5h-1、水素油比が1000Nm3/kl、そして反応温度を350~420℃の範囲で変化させ、各温度における生成油の分解率が60%となる温度、および得られた生成油中の中間留分(灯油及び軽油)収率を、それぞれ下記式(1)および(2)に基づき求めた。
触媒活性は、分解率及び中間留分収率の値に基づき、評価した。
式(1)分解率(%)=(原料油中の沸点が360℃より高い留分(質量%)-生成油中の沸点が360℃より高い留分(質量%))/(原料油中の沸点が360℃より高い留分(質量%))×100
式(2)中間留分収率(%)=(生成油中の沸点が145~360℃の留分(質量%))/(100-(生成油中のC1~C5ガス分(質量%)))×100
ここで、分解率及び中間留分収率の両者において、「%」は「質量%」を意味する。
以上の確認試験の結果を表2に示す。
(触媒の性状及び確認試験の評価結果)
実施例2-1~2-14は、触媒性能の指標である、分解率が60%以上になる温度が400℃以下であり、反応選択性の指標である中間留分収率が55%以上と、高い分解活性および中間留分収率を示した。これに対して、比較例2-1~2-4は選択性が劣っていた。また比較例2-4は触媒性能も劣っていた。
Figure 2023081114000001
Figure 2023081114000002
Figure 2023081114000003
本発明の担体を用いた炭化水素の水素化処理触媒は、工業的に高い生産性を維持しつつ、炭化水素油中の硫黄分、窒素分を高度に除去させることや、生成油中の中間留分(灯軽油)収率を向上させることができるため産業上極めて有用である。

Claims (15)

  1. アルミニウム、ケイ素および元素Mの非晶質無機複合酸化物と、ゼオライトとを含み、
    前記元素Mがリン、チタン、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記ケイ素の含有量がシリカ(SiO2)の含有量に換算して2.0~5.0質量%であり、
    前記ゼオライトの含有量が3~50質量%である、
    炭化水素油の水素化処理触媒用の無機複合酸化物担体。
  2. 透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674~3678cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770~3774cm-1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15~0.45の範囲にある請求項1に記載の無機複合酸化物担体。
  3. 250℃におけるピリジン脱着法により測定されるルイス酸量およびブレンステッド酸量が、それぞれ150μmol/g以上および15μmol/g以下であり、
    前記ルイス酸量/前記ブレンステッド酸量が10以上であり、
    アンモニアTPDで測定される固体酸総量が0.40mmol/g以上である
    請求項1または2に記載の無機複合酸化物担体。
  4. 前記ゼオライトが、FAU型であり、10~300のケイバン比(Al23に対するSiO2のモル比)を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の無機複合酸化物担体。
  5. 以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1つを満たす請求項1~4のいずれか一項に記載の無機複合酸化物担体。
    (a)前記元素Mとしてリンを含み、リンの含有量がリン酸(P25)の含有量に換算して10.0質量%以下である。
    (b)前記元素Mとしてチタンを含み、チタンの含有量がチタニア(TiO2)の含有量に換算して18.0質量%以下である。
    (c)前記元素Mとしてジルコニウムを含み、ジルコニウムの含有量がジルコニア(ZrO2)の含有量に換算して9.0質量%以下である。
    (d)前記元素Mとしてマグネシウムを含み、マグネシウムの含有量が酸化マグネシウム(MgO)の含有量に換算して8.0質量%以下である。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の無機複合酸化物担体と、前記無機複合酸化物担体に担持された活性金属成分とを含む、炭化水素油の水素化処理触媒。
  7. 前記活性金属成分が、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一方である第1の金属、およびコバルト及びニッケルのうちの少なくとも一方である第2の金属を含む、請求項6に記載の水素化処理触媒。
  8. 比表面積が200~380m2/gであり、水銀圧入法で測定した平均細孔径が50~150Åである、請求項6または7に記載の水素化処理触媒。
  9. 強熱減量が5.0質量%以下である請求項6~8のいずれか一項に記載の水素化処理触媒。
  10. 硫化処理後に測定される一酸化窒素吸着量が7.5ml/g以上である、請求項6~9のいずれか一項に記載の水素化処理触媒。
  11. 昇温還元法により測定される、450℃以下の範囲において水の脱離スペクトルのピークが現れる温度が、350℃以下である請求項6~10のいずれか一項に記載の水素化処理触媒。
  12. 請求項1に記載の無機複合酸化物の製造方法であって、
    前記非晶質無機複合酸化物と前記ゼオライトとを混合する工程
    を含む無機複合酸化物担体の製造方法。
  13. 請求項1に記載の無機複合酸化物の製造方法であって、
    塩基性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩水溶液(ただし、両水溶液の少なくとも一方はケイ素を含み、両水溶液の少なくとも一方は前記元素Mを含む。)とを混合して、アルミニウム、ケイ素および前記元素Mの複合酸化物の水和物のスラリーを調製する工程(1)、
    前記複合酸化物の水和物と前記ゼオライトとを混合して混合物を調製する工程(2)、および
    前記混合物を焼成する工程(3)
    を含む、無機複合酸化物担体の製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の製造方法により無機複合酸化物担体を製造する工程、および
    前記無機複合酸化物担体に活性金属成分を担持する工程(4)
    を含む、炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
  15. 請求項6~11のいずれか一項に記載の水素化処理触媒の存在下において、水素分圧が3~15MPa、温度が260~420℃、液空間速度が0.2~5h-1の条件で炭化水素油の水素化処理を行う、炭化水素油の水素化処理方法。
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