JP2017191899A - 半導体発光装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体発光装置およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光効率が高く、かつ半導体発光素子に生じた熱に対する放熱性が高い半導体発光装置およびその製造方法を提供する。【解決手段】半導体発光装置100によれば、出射端面1Eと、出射端面1Eと接続されており、かつ出射端面1Eと交差する方向に延びる下面1Bとを含む半導体発光素子1と、下面1Bと対向する上面2Aを含むヒートシンクと、下面1Bと上面2Aとを接合している接合層3とを備えている。下面1Bは、出射端面1Eと接続されている前方端1Fを含む第1領域と、交差する方向において第1領域よりも一端から離れている第2領域とを有している。上面2Aは、第1領域と対向する第3領域と、第2領域と対向する第4領域とを有している。接合層3は、第1領域と第3領域とを接合している第1接合領域10と、第2領域と第4領域とを接合している第2接合領域11とを有している。第1接合領域10を構成する材料は、第2接合領域11を構成する材料よりも融点が高い。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光装置およびその製造方法に関し、特にヒートシンクに接合される半導体発光装置およびその製造方法に関する。
半導体発光装置は、例えばレーザダイオードなどの半導体発光素子がアレイ状に配置されたレーザダイオードバーと、レーザダイオードバーを冷却するためのヒートシンク(サブマウント)とが、はんだなどの接合部材を介して接合されたものが知られている。
ヒートシンクは、半導体発光素子の活性領域で生じた熱を効率よく放熱するため、半導体発光素子の当該活性領域の近くに接合されるのが好ましい。
一方、半導体発光素子とヒートシンクとを接合する接合部材が半導体発光素子の出射端面に濡れ広がって出射端面を汚染すると発光効率が低下する。接合部材の出射端面への濡れ広がりを抑制するための技術として、特開昭60‐63981号公報(特許文献1)には、半導体素子の光放出端面をサブマウントとの接着端面より突出させて設けた半導体発光装置が開示されている。
また、半導体発光素子とヒートシンクとを接合する接合部材が出射端面よりも前方に突出した球状突起を形成すると、出射端面から出射されたビームが球状突起により遮る。球状突起によってビームが遮られることを防止するため、特開平4−267577号公報(特許文献2)には、半導体レーザのビーム出射端面側に相当するヒートシンクの端部に凹みが設けられた半導体レーザが開示されている。
特開昭60‐63981号公報 特開平4−267577号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているように、半導体発光素子の出射端面をサブマウントとの接着端面よりも突出させると、半導体発光素子において最も高温となる出射端部がヒートシンクであるサブマウントと接合されていない。そのため、このような放熱構造を有する半導体発光装置は、当該出射端部の熱を十分に放熱することができない。
また、特許文献2に記載されているように、ヒートシンクの端部に凹部を設けると、接合部材が凹部内に流入し、半導体発光素子の出射端部とヒートシンクとの間に接合部材が充填されていない空間が形成され易い。また、出射端部と凹部との位置合わせに高い精度が必要となるが、半導体発光素子間でバラつきが生じやすい。そのため、このような放熱構造を有する半導体発光装置は、当該出射端部の熱を十分に放熱することができず、また放熱性が不均一となりやすい。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、発光効率が高く、かつ半導体発光素子に生じた熱に対する放熱性が高い半導体発光装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明に係る半導体発光装置は、出射端面と、出射端面と接続されており、かつ出射端面と交差する方向に延びる第1面とを含む半導体発光素子と、第1面と対向する第2面を含むヒートシンクと、第1面と第2面とを接合している接合層とを備える。第1面は、出射端面と接続されている一端を含む第1領域と、交差する方向において第1領域よりも一端から離れている第2領域とを有している。第2面は、第1領域と対向する第3領域と、第2領域と対向する第4領域とを有している。接合層は、第1領域と第3領域とを接合している第1接合領域と、第2領域と第4領域とを接合している第2接合領域とを有している。第1接合領域を構成する材料は、第2接合領域を構成する材料よりも融点が高い。
本発明に係る半導体発光装置の製造方法は、出射端面と、出射端面と接続されており、かつ出射端面と交差する方向に延びる第1面とを含む半導体発光素子と、第2面を含むヒートシンクとを準備する工程と、ヒートシンクの第2面上に接合層を形成する工程と、第1面と第2面とを接合層を介して接合する工程とを備える。第1面は、出射端面と接続されている一端を含む第1領域と、交差する方向において第1領域よりも一端から離れている第2領域とを有している。第2面は、接合する工程において、第1領域と対向するように配置される第3領域と、第2領域と対向するように配置される第4領域とを有している。接合層を形成する工程では、第3領域上に位置する第3接合領域と第4領域上に位置する第4接合領域とを含む接合層が形成される。第3接合領域を構成する材料は、第4接合領域を構成する材料よりも融点が高い。接合する工程では、第1領域と第3領域とが第3接合領域を挟むとともに、第2領域と第4領域とが第4接合領域を挟むように、半導体発光素子とヒートシンクとが積層された状態で接合層が溶融され、硬化されることにより、第1接合領域および第2接合領域が形成される。
本発明によれば、発光効率が高く、かつ半導体発光素子に生じた熱に対する放熱性が高い半導体発光装置およびその製造方法を提供することができる。
実施の形態1に係る半導体発光装置を示す断面図である。 実施の形態1に係る半導体発光装置の製造方法のフローチャートである。 実施の形態1に係る半導体発光装置の製造方法の接合層を形成する工程において形成された接合層を示す斜視図である。 金(Au)−錫(Sn)合金の状態図である。 Au−Sn合金状態を説明するための図である。 実施の形態1に係る半導体発光装置の接合層において出所端面側に位置する前端部から出射端面から最も離れている後端部までの、接合層中のAu/Sn組成比の分布を示す図である。 実施の形態2に係る半導体発光装置の製造方法の接合層を形成する工程において形成された接合層の構成を示す斜視図である。 実施の形態2に係る半導体発光装置の接合層において出所端面側に位置する前端部から出射端面から最も離れている後端部までの、接合層中のAu/Sn組成比の分布を示す図である。 実施の形態3に係る半導体発光装置の接合層の構成を示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
<半導体発光装置の構成>
図1を参照して、実施の形態1に係る半導体発光装置100について説明する。半導体発光装置100は、半導体発光素子1と、ヒートシンク2と、半導体発光素子1とヒートシンク2とを接合している接合層3とを主に備える。以下において、接合層3に対して半導体発光素子1側を上側、ヒートシンク2側を下側とする。
図1に示されるように、半導体発光素子1は、例えば半導体レーザ素子であり、クラッド層6.7とクラッド層6,7に挟まれている活性層8とを含んでいる。半導体発光素子1は、方向Aに沿ってレーザ光を出射可能である。半導体発光素子1は、出射端面1Eと、出射端面1Eと接続されており、かつ出射端面1Eと交差する方向(光出射方向A)に延びる上面1Aおよび下面1B(第1面)とを有している。クラッド層6は、例えば上面1Aを含み、上面1A上には例えば電極(図示しない)が形成されている。クラッド層7は、例えば下面1Bを含み、下面1B上には例えば電極(図示しない)が形成されている。上面1Aおよび下面1B上に形成されている電極を構成する材料は、例えば金(Au)を含む。電極の厚みは、例えば数十μm以上数百μm以下である。クラッド層6およびクラッド層7を構成する材料と活性層8を構成する材料とは異なっており、活性層8はクラッド層6,7とそれぞれヘテロ接合している。出射端面1Eは、活性層8の端面を有している。出射端面1Eは、下面1Bと接続されている。以下において、光出射方向Aにおいて出射端面1E側を前、出射端面1Eとは反対側を後とよぶ。なお、半導体素子1の下面1Bの寸法は、例えば光照射方向Aにおける寸法が1500μmであり、かつ光照射方向Aと直交する方向(図1の紙面に垂直な方向)における寸法が4000μmである。
図1に示されるように、下面1Bは、出射端面1Eと接続されている前方端1Fを有する第1領域(図示しない)と、第1領域よりも後側に位置し、当該前方端1Fと反対側に位置する後方端1Gを有する第2領域(図示しない)とを有している。第1領域の面積は、第2領域の面積と比べて小さい。第1領域の上記交差する方向における長さは、下面1Bの上記交差する方向における長さの例えば10%以上40%以下であり、好ましくは30%以下である。半導体発光素子1の前方端1Fと後方端1Gとの間の距離が1500μmの場合、第1領域は例えば前方端1Fから300μmまでの領域である。半導体発光素子1を構成する材料は、例えばGaAs、InP、およびGaNからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいる。半導体発光素子1は、出射端面1Eおよび第1領域を有する光出射端部(前端部)1Cと、第2領域を有する後方部1Dとを有している。
図1に示されるように、ヒートシンク2は、例えば半導体発光素子1の出射端面1Eと接続されている前方端面2Eと、前方端面2Eと接続されており、かつ前方端面2Eと交差する方向に延びる上面2A(第2面)および下面2Bとを有している。前方端面2Eは、出射端面1Eと接合層3を介して連なるように形成されている。上面2Aは、下面1Bと接合層3を挟んで対向している。上面2Aの寸法は、下面1Bの寸法よりも大きい。
上面2Aは、前方端面2Eと接続されている前方端2Fを有する第3領域(図示しない)と、第3領域よりも後側に位置し、当該前方端2Fと反対側に位置する後方端2Gを有する第4領域(図示しない)とを有している。第3領域の面積は、第1領域の面積以上であり、かつ第4領域の面積と比べて小さい。上面2Aの第3領域は、下面1Bの第1領域と後述する接合層3の第1接合領域10を挟んで対向している。前方端2Fは、例えば光出射方向Aに垂直な方向において、下面1Bの前方端1Fと重なる位置に形成されている。上面2Aの第4領域は、下面1Bの第2領域と後述する接合層3の第2接合領域11を挟んで対向している。後方端2Gは、例えば下面1Bの後方端1Gよりも後方に形成されている。ヒートシンク2を構成する材料は、一般的に高い熱伝導率を有する任意の材料であればよいが、例えば銅(Cu)を含む。
図1に示されるように、接合層3は、半導体発光素子1の下面1Bの全面と、ヒートシンク2の上面2Aのうち前方端2Fを有する一部領域とを接合している。接合層3は、例えば半導体発光素子1の出射端面1Eおよびヒートシンク2の前方端面2Eと接続されている前方端面3E(第1端面)を有している。前方端面3Eは、前方端1Fおよび前方端2Fを接続されている。出射端面1E、前方端面2E、および前方端面3Eは、例えば光放出方向に垂直な方向において同一平面を成すように形成されている。
接合層3は、下面1Bの第1領域と上面2Aの第3領域とを接合している第1接合領域10と、下面1Bの第2領域と上面2Aの第4領域とを接合している第2接合領域11とを含む。第1接合領域10は、前方端面3Eを有している。第1接合領域10を構成する材料は、第2接合領域11を構成する材料と比べて融点が高い。第1接合領域10および第2接合領域11を構成する材料は、Auおよび錫(Sn)を有している。第1接合領域10を構成する材料は、第2接合領域11を構成する材料と比べて金の含有率が高い。第1接合領域10を構成する材料は、第2接合領域11を構成する材料と比べて錫の含有率が低い。第1接合領域10は、例えばAuの含有量が85重量%以上、Snの含有量が15重量%以下である。つまり、第1接合領域10を構成する材料のAu/Sn比は、5.6以上である(図6中のC1参照)。第1接合領域10は、例えばAuの含有量が90重量%以上、Snの含有量が10重量%以下である領域を有していてもよい。つまり、第1接合領域10は、第1接合領域10を構成する材料のAu/Sn比が9以上である領域を有していてもよい(図6中のC2参照)。第2接合領域11は、例えばAuの含有量が80重量%以上、Snの含有量が20重量%以下である。図6に示されるように、第1接合領域10と第2接合領域11との境界部は、前方端面3Eから上記交差する方向において前方端面3Eの反対側に位置する後方端面(第2端面)に向かって、Snの含有量に対するAuの含有量の割合(Au/Sn比)が徐々に低くなっている。
第1接合領域10を介した第1領域と第3領域との最短距離は、第2接合領域11を介した第2領域と第4領域との最短距離と等しい。ここで、最短距離が等しいとは、これら2つの最短距離の差が一方の最短距離に対して±5%以内であることを意味する。
ヒートシンク2は、例えば、ステム4に固定されている。具体的には、ヒートシンク2の下面2Bとステム4の上面4Aとがはんだ接合層5を介して接合されている。
<半導体発光装置の製造方法>
次に、図2を参照して、実施の形態1に係る半導体発光装置の製造方法について説明する。図2に示されるように、半導体装置の製造方法は、下面1B(第1面)を含む半導体発光素子1と、上面2A(第2面)を含むヒートシンク2とを準備する工程(S10)と、ヒートシンク2の上面2Aに接合層3bを形成する工程(S20)と、下面1Bと上面2Aとを接合層3bを介して接合する工程(S30)とを備える。
準備する工程(S10)では、出射端面1Eと、出射端面1Eと接続されており、かつ出射端面1Eと交差する方向に延びる下面1Bとを含む半導体発光素子1が準備される。下面1Bは、出射端面1Eと接続されている前方端1F(一端)を含む第1領域と、上記交差する方向において第1領域よりも前方端1Fから離れている第2領域とを有している。上面1Aおよび下面1B上には、例えば図示しない電極が形成されている。当該電極を構成する材料は、例えばAuを含む。さらに本工程(S10)では、上面2Aを含むヒートシンク2が準備される。上面2Aは、接合する工程(S30)において、第1領域と対向するように配置される第3領域と、第2領域と対向するように配置される第4領域とを有している。
次に、図3に示されるように、接合層3bを形成する工程(S20)では、上面2Aの第3領域上に位置する第3接合領域10bと第4領域上に位置する第4接合領域11bとを含む接合層3bが形成される。第3接合領域10bおよび第4接合領域11bは、任意の方法により形成され得るが、例えばパターンめっき法により形成され得る。第3接合領域10bの上記交差する方向における長さX1および第4接合領域11bの上記交差する方向における長さX2の各々は、半導体発光素子1の当該交差する方向における長さが1500μmの場合、例えば300μmと1200μmである。
第3接合領域10bを構成する材料は、第4接合領域11bを構成する材料よりも融点が高い。第3接合領域10bを構成する材料は、AuおよびSnを有している。第3接合領域10bを構成する材料は、第4接合領域11bを構成する材料と比べて金の含有率が高い。第3接合領域10bを構成する材料は、第4接合領域11bを構成する材料と比べて錫の含有率が低い。第3接合領域10bは、例えばAuの含有量が85重量%、Snの含有量が15重量%である(図4中の破線A参照)。第4接合領域11bは、例えばAuの含有量が80重量%、Snの含有量が20重量%である(図4中の破線B参照)。つまり、図4および図5を参照して、第4接合領域11bはAuSn合金において共晶点を示すAu/Sn比を有している。図4および図5に示すAuSn合金の状態図から、第3接合領域10bを構成する材料の融点は約500℃であり、第4接合領域11bを構成する材料の融点は約278℃である。
接合する工程(S30)では、まず、第1領域と第3領域とが第3接合領域10bを挟むとともに、第2領域と第4領域とが第4接合領域11bを挟むように、半導体発光素子1とヒートシンク2とが積層される。このとき、ヒートシンク2は例えば接合用ステージ上に固定されている。次に、半導体発光素子1とヒートシンク2とが積層された状態において、半導体発光素子1とヒートシンク2との間に接合荷重を印加しながら、接合層3bを加熱する。本工程(S30)は、例えば接合用ステージに固定されたヒートシンク2に対し、半導体発光素子1を加圧および加熱する熱圧着ヘッドを用いて実施され得る。加熱温度は、例えば第4接合領域11bを構成する材料の融点以上であって、第3接合領域10bを構成する材料の融点未満である。すなわち、実施の形態1における加熱温度は、例えば278℃以上500℃未満であり、例えば400℃である。また、半導体発光素子1に印加される荷重は、例えば100gf以上1000gf以下であり、例えば400gfで一定である。これにより、本工程(S30)では、まず先に第4接合領域11bを構成する固相のAuSnが溶融して液相となる。さらに加熱および加圧を続けることにより、第3接合領域10bと第4接合領域11bとの間でAuおよびSnの相互拡散が進行し、本工程(S30)前と比べて接合層3b内の上記交差する方向におけるAu/Sn比の分布が変化する。本工程(S30)中、Au/Sn比は、上記交差する方向において前方端面3E側において最も高く、後方端側に向かうについて低くなる。そして、接合層3bを構成するAuSnの溶融がAu/Sn比に応じて後方端側から前方端面3E側に向かって段階的に進行する。このように、接合層3b内では溶融と拡散とが同時に起こるため、第3接合領域10bは、理論的な溶融温度(例えばAu/Sn比が5.6の場合に500℃)よりも低い温度(例えば400℃)で溶融し得る。
加熱温度(熱圧着ヘッドの温度)が400℃に到達後、加熱および加圧時間は、第3接合領域10bが完全に溶融するまでの時間であり、例えば15秒程度である。その後、加熱が停止され降温が開始されるとともに、荷重が開放される。相対的に融点の高い材料からなる第3接合領域10bが融点が低い材料からなる第4接合領域11bよりも先に硬化されて、第1領域と第3領域とを接合する第1接合領域10が形成される。さらに、降温が進むと第4接合領域11bが硬化されて、第2領域と第4領域とを接合する第2接合領域11が形成される。このようにして、第1接合領域10と第2接合領域11とを含む接合層3を介して半導体発光素子1とヒートシンク2とが接合され、半導体発光装置100が製造される。
なお、半導体発光素子1の下面1Bおよびヒートシンク2の上面2A上にAuを含む材料で構成されている電極が形成されているため、第3接合領域10bおよび第4接合領域11bと、当該電極と間でもAuの拡散が進行する。そのため、第1接合領域10は、Au/Sn比が9以上である一部領域を有していてもよい(図5中のC2参照)。
<作用効果>
次に、実施の形態1に係る半導体発光装置100の作用効果について説明する。半導体発光装置100によれば、出射端面1Eと、出射端面1Eと接続されており、かつ出射端面1Eと交差する方向に延びる下面1B(第1面)とを含む半導体発光素子1と、下面1Bと対向する上面2A(第2面)を含むヒートシンクと、下面1Bと上面2Aとを接合している接合層3とを備えている。下面1Bは、出射端面1Eと接続されている前方端1F(一端)を含む第1領域と、交差する方向において第1領域よりも一端から離れている第2領域とを有している。上面2Aは、第1領域と対向する第3領域と、第2領域と対向する第4領域とを有している。接合層3は、第1領域と第3領域とを接合している第1接合領域10と、第2領域と第4領域とを接合している第2接合領域11とを有している。第1接合領域10を構成する材料は、第2接合領域11を構成する材料よりも融点が高い。
このようにすれば、接合層3が第1接合領域10と第2接合領域11とを含み、第1接合領域10を構成する材料は第2接合領域11を構成する材料よりも融点が高い。このような第1接合領域10および第2接合領域11は、半導体発光装置100の製造方法において第3接合領域10bおよび第4接合領域11bが溶融、硬化されることにより形成され得る。第3接合領域10bを構成する材料は第4接合領域11bを構成する材料よりも融点が高い。そのため、第3接合領域10bは第4接合領域11bと比べて溶融しにくく、かつ硬化しやすい。そのため、第3接合領域10bが液相状態にある時間を第4接合領域11bが液相状態にある時間と比べて短くすることができ、第3接合領域10bを構成する材料が出射端面1E上に濡れ広がることを容易に抑制することができる。つまり、半導体発光装置100は、出射端面1E上には接合層3が形成されておらず、出射端面1Eは接合層3により汚染されていない。
このとき、接合層3の前方端面3Eは、出射端面1Eおよびヒートシンク2の前方端面2Eと連なるように形成され得る。半導体発光素子1の下面1Bにおいて前方端1Fを含む第1領域の全体が第1接合領域10を介してヒートシンク2と接続されていることにより、半導体発光素子1において最も高温になる光出射端部1Cに生じた熱をヒートシンク2に効率的に放熱することができる。
その結果、半導体発光装置100は、発光効率が高く、かつ半導体発光素子に生じた熱に対する放熱性が高い。
上記半導体発光装置100は、接合層3を構成する材料は、AuおよびSnを含んでいてもよい。第1接合領域10を構成する材料は、第2接合領域11を構成する材料と比べてAuの含有率が高いのが好ましい。図4に示されるAuSn合金の状態図から、AuSn合金を含む接合層3は、Auの含有率が高い領域ほど融点が高い。そのため、第1接合領域10を構成する材料の融点は、第2接合領域11を構成する材料よりも融点が高くなる。よって、半導体発光装置100は、発光効率が高く、かつ半導体発光素子の出射端部の熱を十分に放熱することができる。さらに、半導体発光素子1の下面1Bおよびヒートシンク2の上面2A上に構成材料にAuを含む電極が形成されている場合には、当該電極と接合層3との接合強度を高めることができる。
上記半導体発光装置100において、第1接合領域10は、出射端面1Eと連なる前方端面3E(第1端面)を有し、第2接合領域11は上記交差する方向において前方端面3Eと反対側に位置する後方端面(第2端面)を有している。第1接合領域10と第2接合領域11との境界部は、前方端面3Eから後方端面に向かって、Snの含有量に対するAuの含有量の割合(Au/Sn比)が徐々に低くなっているのが好ましい。
このような接合層3は、例えばAu/Sn比がステップ状に形成された第3接合領域10bと第4接合領域11bとを含む接合層3bから容易に形成され得る。具体的には、上記接合する工程(S30)において、第4接合領域11bから第3接合領域10bに向かって徐々に溶融していくとともに、第3接合領域10bから第4接合領域11bに向かって徐々に硬化していくが、これらと同時にAuおよびSnの拡散が進行する。これにより、Au/Sn比が前方端面3Eから後側に向かって徐々に低くなっている接合層3が容易に形成され得る。また、このような接合層3は、第1接合領域10と第2接合領域11とがそれぞれ完全に溶融された後硬化されているため、第1接合領域10と下面1Bの第1領域および上面2Aの第3領域との接合性は高い。
上記半導体発光装置100において、第1接合領域10を介した第1領域と第3領域との最短距離は、第2接合領域11を介した第2領域と第4領域との最短距離と等しく形成され得る。異なる観点から言えば、第1接合領域10の厚みは第2接合領域11の厚みと等しく形成され得る。
上記半導体発光装置100によれば、第1接合領域10と第2接合領域11とを含む接合層3によって半導体発光素子1とヒートシンク2とが接合されている。そのため、上述した理由により、出射端面1Eをヒートシンク2の前方端面2Eよりも前方に突出させたり、ヒートシンク2において前方端面2Eに面した部分に凹部を形成したりすることなく、接合層3による出射端面1Eの汚染が防止されている。これにより、出射端面1Eと前方端面2Eとが前方端面3Eと連なるように形成されながらも、出射端部1Cとヒートシンク2との最短距離を後方部1Dとヒートシンク2との最短距離と等しくすることができ、さらに高い放熱性を実現し得る。
実施の形態1に係る半導体発光装置の製造方法は、出射端面1Eと、出射端面1Eと接続されており、かつ出射端面1Eと交差する方向に延びる下面1Bとを含む半導体発光素子1と、上面2Aを含むヒートシンク2とを準備する工程(S10)と、ヒートシンク2の上面2A上に接合層3を形成する工程(S20)と、下面1Bと上面2Aとを接合層3を介して接合する工程(S30)とを備える。下面1Bは、出射端面1Eと接続されている前方端1Fを含む第1領域と、上記交差する方向において第1領域よりも前方端1Fから離れている第2領域とを有している。上面2Aは、上記接合する工程(S20)において、第1領域と対向するように配置される第3領域と、第2領域と対向するように配置される第4領域とを有している。上記接合層を形成する工程(S30)では、第3領域上に位置する第3接合領域10bと第4領域上に位置する第4接合領域11bとを含む接合層3bが形成され、第3接合領域10bを構成する材料は、第4接合領域11bを構成する材料よりも融点が高い。上記接合する工程(S30)では、第1領域と第3領域とが第3接合領域10bを挟むとともに、第2領域と第4領域とが第4接合領域11bを挟むように、半導体発光素子1とヒートシンク2とが積層された状態で接合層3が溶融され、硬化されることにより、第1接合領域10および第2接合領域11が形成される。
このようにすれば、接合する工程(S30)において、下面1Bの前方端1Fを含む第1領域と接続されている第3接合領域10bが液相として存在する時間は、第4接合領域11bが液相として存在する時間よりも短くすることができる。そのため、実施の形態1に係る半導体発光装置の製造方法によれば、第3接合領域10bを構成する材料が前方端1F上を通って出射端面1E上に濡れ広がることを抑制することができる。その結果、当該半導体発光装置の製造方法によれば、発光効率が高く、かつ半導体発光素子1の出射端部1Cの熱を十分に放熱することができる半導体発光装置100を容易に製造することができる。は、出射端面1Eが接合層3により汚染されていないため、発光効率が高い。さらに、下面1Bにおいて出射端面1Eと接続されている上記前方端1Fを含む第1領域が第1接合領域10を介してヒートシンク2と接続されているため、半導体発光素子1の出射端部1Cの熱を十分に放熱することができる。
上記半導体発光装置100の製造方法では、接合する工程(S30)において、接合層3bが加熱される温度は、第3接合領域10bを構成する材料の理論上の融点よりも低いのが好ましい。
上述のように、接合する工程(S30)では、例えば接合用ステージに固定されたヒートシンク2に対し半導体発光素子1が加圧および加熱されることによって、AuSnの溶融と同時にAuおよびSnの拡散が生じることにより、AuSnはそのAu/Sn比から導かれる理論上の融点よりも低い温度で溶融し得る。そのため第3接合領域10bの理論上の融点よりも高い温度まで加熱する場合と比べて、第3接合領域10bを構成するAuSnが液相状態にある時間を短縮することができ、第3接合領域10bを構成するAuSnが溶融して出射端面1E上に濡れ広がることを抑制することができる。
(実施の形態2)
次に、図7および図8を参照して、実施の形態2に係る半導体発光装置を説明する。図7および図8の各々は、実施の形態1における図3および図6に対応するものである。実施の形態2に係る半導体発光装置は、基本的に実施の形態1に係る半導体発光装置と同様の構成を備えるが、接合層がAu/Sn比2.3以上である第2接合領域を含む点で異なっている。つまり、実施の形態2に係る半導体発光装置の製造方法は、基本的に実施の形態1に係る半導体発光装置の製造方法と同様の構成を備えるが、図7に示されるように接合層を形成する工程(S20)においてAu/Sn比2.3以上である第4接合領域12bを含む接合層3bが形成される点で異なる。
第1接合領域は、実施の形態1にかける第1接合領域10と同様に、Au/Sn比が5.6以上である。第2接合領域は、例えばAuの含有率が70重量%以上、Snの含有率が30重量%以下である。第1接合領域と第2接合領域との境界部において、Au/Sn比は前方端面3E(図1参照)から後方端に向かって徐々に低くなっている(図8中のD1参照)。なお、第1接合領域は、第1接合領域を構成する材料のAu/Sn比が9以上である領域を有していてもよい(図8中のD2参照)。
接合層を形成する工程(S20)において、第4接合領域12bは、例えばAuの含有率が70重量%、Snの含有率が30重量%である(図4中破線C参照)。つまり、図4に示されるように、第3接合領域10bのAu/Sn比はAuSnの共晶点でのAu/Sn比よりも高く、第4接合領域12bのAu/Sn比とはAuSnの共晶点でのAu/Sn比よりも低い。本工程(S20)における加熱温度は、第4接合領域12bの融点よりも高いが、第3接合領域10bの融点よりも低い。
このようにしても、第3接合領域10bは第4接合領域12bよりも融点が高く、第3接合領域10bが溶融して液相状態にある時間は第4接合領域12bが液相状態にある時間と比べて短い。そのため、実施の形態2に係る半導体発光装置によれば、実施の形態1に係る半導体発光装置100と同様の効果を奏することができる。
なお、第3接合領域10bの上記交差する方向における長さX3および第4接合領域12bの上記交差する方向における長さX4の各々は、半導体発光素子1の当該交差する方向における長さが1500μmの場合、例えば300μmと1200μmである。
(実施の形態3)
次に、図9を参照して、実施の形態3に係る半導体発光装置を説明する。図9は、実施の形態1における図3に対応するものである。実施の形態3に係る半導体発光装置は、基本的に実施の形態1に係る半導体発光装置と同様の構成を備えるが、接合層がAuメッキ層からなる第3接合領域13bからなる第1接合領域を含む点で異なっている。つまり、実施の形態3に係る半導体発光装置の製造方法は、基本的に実施の形態1に係る半導体発光装置の製造方法と同様の構成を備えるが、図9に示されるように接合層を形成する工程(S20)において第3接合領域13bを含む接合層3bが形成される点で異なる。
第1接合領域のAu/Sn比は、実施の形態1にかける第1接合領域10よりも高く、例えば9以上である。第2接合領域は、例えばAuの含有率が80重量%以上、Snの含有率が20重量%以下である。第1接合領域と第2接合領域との境界部において、Au/Sn比は前方端面3E(図1参照)から後方端に向かって徐々に低くなっている。なお、第1接合領域は、第1接合領域を構成する材料のAu/Sn比が9超えである領域を有していてもよい。
接合層を形成する工程(S20)において、第3接合領域13bは、例えばAuメッキ層である。本工程(S20)における加熱温度は、第4接合領域12bの融点よりも高いが、第3接合領域10bの融点よりも低い。第3接合領域10bの上記交差する方向における長さX5は、半導体発光素子の当該交差する方向における長さが1500μmの場合、例えば100μmである。
このようにしても、接合する工程(S30)における接合条件を実施の形態1に係る半導体装置の製造方法と同等とすることにより、接合層3b内では溶融と拡散とが同時に起こるため、第3接合領域10bは、理論的な溶融温度よりも低い温度で溶融し得る。そして、第3接合領域13bは第4接合領域11bよりも融点が高く、第3接合領域13bが溶融して液相状態にある時間は第4接合領域11bが液相状態にある時間と比べて短い。そのため、実施の形態3に係る半導体発光装置によれば、実施の形態1に係る半導体発光装置100と同様の効果を奏することができる。
実施の形態1〜3に係る半導体発光装置において、第3接合領域10bの上記交差する方向における長さX1,X3、X5(図3,7,9参照)は、半導体発光素子1(図1参照)の上記交差する方向における長さの1/30以上1/3以下の範囲内で決定され得る。
実施の形態1〜3に係る半導体発光装置において、第4接合領域11b,12bのAu/Sn比は、5.6以下であるのが好ましい。すなわち、第4接合領域11b,12bは、Au含有率が85重量%以下であり、Sn含有率が15重量%以上であるのが好ましい。このようにすれば、接合する工程(S30)における加熱温度を第4接合領域の融点以上としても、当該第4接合領域の融点が500℃未満であるため、加熱温度を500℃未満とすることが可能となる。加熱温度が500℃以上であると、半導体発光素子1は熱によるダメージを受けやすくなる。つまり、実施の形態1〜3に係る半導体発光装置は、第4接合領域11b,12bのAu/Sn比が、5.6以下であることにより、熱によるダメージを受けていない半導体発光素子を備えることができる。
実施の形態1〜3に係る半導体発光装置において、接合層を構成する材料はAuSnを有しているが、これに限られるものでは無い。接合層を構成する材料は、他の合金系はんだ、例えばSnと鉛(Pb)との合金であってもよい。このようにしても、PbSnはAuSnと同様に共晶合金(共晶はんだ)であり、Pbの含有率が38.1重量%、Snの含有率が61.9重量%であるときに共晶点を有している。PbSnは、当該共晶点での融点が182℃であり、かつ共晶点よりもPb/Sn比が高い場合の方が共晶点よりもPb/Sn比が低い場合と比べて融点が高い。
そのため、第1接合領域および第2接合領域のPb/Sn比を適宜選択することにより、第1接合領域の融点を第2接合領域の融点よりも高めることができる。その結果、接合層を構成する材料がPbSnを有している実施の形態1〜3に係る半導体発光装置は、接合層を構成する材料がAuSnを有している実施の形態1〜3に係る半導体発光装置と同様の効果を奏することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 半導体発光素子、1F,2F 前方端、1G,2G 後方端、2 ヒートシンク、3、3b 接合層、4 ステム、5 接合層、6,7 クラッド層、8 活性層、10 第1接合領域、11 第2接合領域、10b,13b 第3接合領域、11b,12b 第4接合領域、100 半導体発光装置。

Claims (6)

  1. 出射端面と、前記出射端面と接続されており、かつ前記出射端面と交差する方向に延びる第1面とを含む半導体発光素子と、
    前記第1面と対向する第2面を含むヒートシンクと、
    前記第1面と前記第2面とを接合している接合層とを備え、
    前記第1面は、前記出射端面と接続されている一端を含む第1領域と、前記交差する方向において前記第1領域よりも前記一端から離れている第2領域とを有し、
    前記第2面は、前記第1領域と対向する第3領域と、前記第2領域と対向する第4領域とを有し、
    前記接合層は、前記第1領域と前記第3領域とを接合している第1接合領域と、前記第2領域と前記第4領域とを接合している第2接合領域とを有し、
    前記第1接合領域を構成する材料は、前記第2接合領域を構成する材料よりも融点が高い、半導体発光装置。
  2. 前記接合層を構成する材料は、金および錫を含み、
    前記第1接合領域を構成する材料は、前記第2接合領域を構成する材料と比べて金の含有率が高い、請求項1に記載の半導体発光装置。
  3. 前記第1接合領域は、前記出射端面と連なる第1端面を有し、前記第2接合領域は前記交差する方向において前記第1端面と反対側に位置する第2端面を有し、
    前記第1接合領域と前記第2接合領域との境界部は、前記第1端面から前記第2端面に向かって、錫の含有量に対する金の含有量の割合が徐々に低くなっている、請求項2に記載の半導体発光装置。
  4. 前記第1接合領域を介した前記第1領域と前記第3領域との最短距離は、前記第2接合領域を介した前記第2領域と前記第4領域との最短距離と等しい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  5. 出射端面と、前記出射端面と接続されており、かつ前記出射端面と交差する方向に延びる第1面とを含む半導体発光素子と、第2面を含むヒートシンクとを準備する工程と、
    前記ヒートシンクの前記第2面上に接合層を形成する工程と、
    前記第1面と前記第2面とを前記接合層を介して接合する工程とを備え、
    前記第1面は、前記出射端面と接続されている一端を含む第1領域と、前記交差する方向において前記第1領域よりも前記一端から離れている第2領域とを有し、
    前記第2面は、前記接合する工程において、前記第1領域と対向するように配置される第3領域と、前記第2領域と対向するように配置される第4領域とを有し、
    前記接合層を形成する工程では、前記第3領域上に位置する第3接合領域と前記第4領域上に位置する第4接合領域とを含む前記接合層が形成され、前記第3接合領域を構成する材料は、前記第4接合領域を構成する材料よりも融点が高く、
    前記接合する工程では、前記第1領域と前記第3領域とが前記第3接合領域を挟むとともに、前記第2領域と前記第4領域とが前記第4接合領域を挟むように、前記半導体発光素子と前記ヒートシンクとが積層された状態で前記接合層が溶融され、硬化されることにより、第1接合領域および第2接合領域が形成される、半導体発光装置の製造方法。
  6. 前記接合する工程において、前記接合層が加熱される温度は、前記第3接合領域を構成する材料の理論上の融点よりも低い、請求項5に記載の半導体発光装置の製造方法。
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