JP2017190375A - 透過性ポリオレフィン系樹脂発泡体 - Google Patents
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Abstract
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また、近年、ポリオレフィン系樹脂を用いた発泡体は表示パネルを有し、タッチパネルを搭載した機器(携帯電話、スマートフォン等)や、タッチパネルが組み込まれた製品の緩衝材やシール材として広く使用され、衝撃などの外的要因から保護することや水の浸入による故障や動作不良の発生を防ぐことが求められている。例えば、当該用途では、微細化され貼り付け寸法精度の高度化が求められており透過越しに貼り合わせる位置を確認したいとの要望があった。しかし、発泡体内部には、気泡を多数有していることから発泡体を構成する樹脂と気泡内の空気の光の屈折率が異なる事から透明化することが困難であった。
車輌等の内装材としては、ポリウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、クロロプレンゴム等の合成ゴム又は天然ゴムからなるゴム発泡体や、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等からなる熱可塑性樹脂発泡体等が使用されているが耐熱性が求められことから使用できる部分が規制されていた。また、極端にクリアランスが狭い部分に使用できる耐熱性のある薄い発泡体を有するシール材がなかった。
(2)前記ポリオレフィン系樹脂発泡体が、熱可塑性エラストマー系樹脂を10〜70質量%を含み、示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピークが110℃以上に2つ以上有することを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
(3)一部、または全面に粘着層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、柔軟性や緩衝性、断熱性に優れた透過性を有することから各種シール材や窓(ガラス等)に貼り付けることが出来る遮光シート材として好適に用いることができるポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができる。
本発明の透過性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体は、前記片方のスキン面を取り除かれたポリオレフィン系樹脂発泡体を加熱しながら長さ方向(MD)もしくは、幅方向(TD)、長さ(MD)幅方向(TD)両方に延伸して長尺シート状にして得られる。
本発明の透過性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体は、長尺シート状とすることにより安価に大量に供給することが可能である。
発泡体の独立気泡率は、ASTM−D2856に記載されているエアーピクノメーター法により、東京サイエンス株式会社製 空気比較式比重計1000型により測定を行った。
JIS K7105(1981年)に記載のA法に則り、スガ試験機株式会社製全自動直読ヘーズコンピューターHGM−2DP(C光源用)を用いて測定を行った。発泡体の表面、裏面からそれぞれ光線を入射して測定し、その平均値を測定対象物の全光線透過率とした。
作製したポリオレフィン系樹脂発泡体の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−3000N)を用いて50倍の倍率で観察し、得られた画像について計測ソフトを使用して任意範囲の気泡径(直径)を測定した。なお、撮影した画像の1mm×1mm範囲内にある長手方向(MD)、幅方向(TD)が直交するように気泡径を測定し、平均気泡径を算出した。
ISO 1923(1981)「発泡プラスチック及びゴム−線寸法の測定」に準ずる。具体的には測定面積が約10cm2となるダイヤルゲージを用いて、発泡体の厚みを測定する。
JIS K6767(1999)「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に基づいて測定されたものである。例えば、15cm3以上になるようなサンプルサイズ(例えば、10cm角)に打ち抜き、厚み、質量を測定する。サンプルの面積(10cm角の場合は100cm2)とその厚みから体積を算出し、以下の式により見かけ密度を算出した。
見かけ密度(kg/m3)=サンプル重量(kg)/{サンプル厚み(m)×サンプル面積(m2)}
そして5サンプルの測定により得られた値から上下限値を除いた3点の平均値を、見かけ密度とした。
発泡体の寸法変化率は、JIS K6767(1999年)「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に基づいて測定した値である。具体的には、ポリオレフィン樹脂発泡体を15cm角に正確に切り取り、120℃に設定したオーブンのなかに60分間放置する。60分経過後、オーブンから取り出し約30分〜60分間室温で冷却する。サンプルの寸法を測定し、以下の式に基づいて寸法変化率を百分率で算出した。
加熱寸法変化率(%)=[{オーブンに入れる前のサンプル長−オーブンから取り出した後のサンプル長}/オーブンに入れる前のサンプル長]×100。
発泡体の25%圧縮硬さは、JIS K6767(1999年)「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に基づいて測定した値である。具体的には、発泡体を50mm×50mmに切断し、厚さが20mm以上30mm以下になるように重ね、初期厚さを測定する。平面板にサンプルを置き、初期厚さの25%まで10mm/分の速度で圧縮して停止し、20秒後の荷重を測定し、下記式により25%圧縮硬さ(kPa)を計算した。
・25%圧縮硬さ(kPa)=25%圧縮し20秒後の荷重(N)/25(cm2)/10。
本発明においてポリオレフィン樹脂の融点とは、示差走査熱量分析で得られた縦軸に熱量(mW)、横軸に温度を採ったDSC曲線の吸熱ピークから得られる最大の温度であり、示差走査熱量計(DSC:セイコー電子工業株式会社製RDC220−ロボットDSC)を用いて各サンプルを2mg準備し、窒素環境下において測定した。測定条件は、サンプルを200℃の温度まで昇温し溶融させた後、10℃/分の速度で−50℃の温度まで冷却させ、それから10℃/分の速度で昇温して、単位質量当たりの吸熱ピークを測定し、融点温度とした。
ゲル分率とは以下の手法により算出した値のことである。ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体を、まず長手方向に短冊状に片刃で0.5mm間隔に切り、その後鋏を用いて幅方向に0.5mm間隔で切断したものを約50mg精密に秤量し、130℃のテトラリン200mlに3時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で自然濾過し、アセトンで洗浄し乾燥エアーを15秒間あてた後、金網上の不溶解分を1時間120℃下で熱風オーブンにて乾燥する。次いで、シリカゲルを入れたデシケータ中で10分間冷却し、この不溶解分の質量を精密に秤量し、以下の式に従ってゲル分率を百分率で算出した。
ゲル分率(%)={不溶解分の質量(mg)/秤量したポリオレフィン樹脂発泡体の質量(m g)}×100
そして5サンプルの測定により得られた値から上下限値を除いた3点の平均値を、ゲル分率とした。
JIS K7210(1999)「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト (MFR) 及びメルトボリュームフローレイト (MVR) の試験方法」に準ずる。上記規格の附属書B(参考)「熱可塑性プラスチック材料の規格と指定とその試験条件」に基づきポリプロピレン系樹脂は230℃、荷重2.16kgf(21.7N)、ポリエチレン系樹脂は温度190℃、荷重2.16kgf(21.7N)の条件で行った。株式会社東洋精機製作所製メルトインデックサ型式F−B01を使用し、手動切り取り法を採用し、ダイから10分間にでてきた樹脂の質量によって規定されるものをいう。
熱可塑性エラストマー系樹脂:三井化学製“タフマー”(登録商標)PN−3560(a−1)、密度866kg/m3、MFR(230℃)=6.0g/10分、融点=160℃、結晶化温度=135℃
熱可塑性エラストマー系樹脂:プライムポリマ製“プライムTPO”(登録商標)M142E(a−2)、密度900kg/m3、MFR(230℃)=10.0g/10分、融点=153℃、結晶化温度=115℃
熱可塑性エラストマー系樹脂:Dow Chemical Company製“INFUSE”(登録商標)9507(a−3)、密度:867kg/m3、MFR=5.0g/10分、融点=119℃
ポリプロピレン系樹脂:プライムポリマ製“プライムポリプロ“(登録商標)J452HAP、密度:900kg/m3、MFR(230℃)=3.5g/10分、融点=163℃
ポリエチレン系樹脂:日本ポリエチレン製“ノバテック”(登録商標)LL UJ960、密度:935kg/m3、MFR(190℃)=5g/10分、融点=126℃
ポリエチレン系樹脂:日本ポリエチレン製“ノバテック”(登録商標)LD LE520H、密度=923kg/m3、MFR(190℃)=4g/10分 融点=81℃
発泡剤:アゾジカルボンアミド永和化成工業製“ビニホールAC#R”(登録商標)
架橋助剤:和光純薬工業製55%ジビニルベンゼン
酸化防止剤:BASF社製“IRGANOX”(登録商標)1010。
熱可塑性エラストマー30〜60重量%、ポリプロピレン系樹脂25〜50重量%、ポリエチレン系樹脂15〜25重量%を表1に示す比率で混合した組成物を100重量%としたとき、発泡剤:アゾジカルボンアミド永和化成工業製“ビニホールAC#R”(登録商標)を5〜15質量%、架橋助剤:和光純薬工業製55%ジビニルベンゼン3質量部、酸化防止剤:BASF社製“IRGANOX”(登録商標)1010を0.5質量部、発泡体の色調を黒色にする場合は、カーボンブラックを0.1質量部添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。次に60Φ押出機を用いて170〜185℃の温度で溶融押出し、Tダイを用いて厚さ:0.6mm〜1.2mmのポリオレフィン系樹脂シートを作製した。このようにして得られたポリオレフィン系樹脂シートに、加速電圧650〜950kV、30〜65kGyの電子線を片面から照射して架橋シートを得た後、この架橋シートを温度、200〜220℃の塩浴上に浮かべ、上方から赤外線ヒータで加熱し発泡させた。その発泡体を60℃の温度の水で冷却し、発泡体表面を水洗して乾燥させ、厚さが0.8〜2.0mm、みかけ密度が50〜100kg/m3、ゲル分率が25〜45%の両スキン品のポリオレフィン系樹脂発泡体の長尺ロールを得た。前記ポリオレフィン系樹脂発泡体を株式会社ニッピ機械社製「NP−120RS」を使用して加工速度、5m/minで厚さ方向に気泡層を切断するようにスライスし、製品厚さ0.3mm〜1.5mm、みかけ密度50〜95kg/m3、25%圧縮硬さ30〜100kPaの片スキン品のポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。
前記得られた片スキン品のポリオレフィン系樹脂発泡体を赤外線ヒータで加熱し、長さ方向(MD)に1.5〜2.0倍に延伸して0.08mm〜0.45mmの透過性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。この透過性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体の評価結果を表1に示す。
ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製“ノバテック”(登録商標)LD LE520H)100重量%、発泡剤(アゾジカルボンアミド(永和化成工業製“ビニホールAC#R”(登録商標)10質量部、酸化防止剤(BASF社製IRGANOX 1010):0.5質量部、発泡体の色調を黒色にする場合は、カーボンブラックを0.1質量部添加し、をヘンシェルミキサーにて混合した。40Φ単軸押出機を用いて150℃で溶融押出し、Tダイを用いて厚さ:1.0mmのポリエチレン系樹脂シートを作製した。このシートに加速電圧800kV、30kGyの電子線を照射して架橋シートを得た後、200℃の塩浴上にて浮かべ、上方から赤外線ヒータで加熱し発泡した。その発泡体を60℃の水で冷却、発泡体表面を水洗して乾燥させ、厚さ:1.8mm、みかけ密度:86kg/m3の両スキン品のポリオレフィン系樹脂発泡体の長尺ロールを得た。前記ポリオレフィン系樹脂発泡体を株式会社ニッピ機械社製「NP−120RS」を使用して加工速度、5m/minで厚さ方向に気泡層を切断するようにスライスし、製品厚さ0.3mm〜1.5mm、みかけ密度85〜95kg/m3、25%圧縮硬さ80〜100kPaの片スキン品のポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。
前記得られた片スキン品のポリオレフィン系樹脂発泡体を赤外線ヒータで加熱し、長さ方向(MD)に1.8倍に延伸して0.1mm〜0.35mmのポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。このポリオレフィン系樹脂発泡体の評価結果を表1に示す。
Claims (3)
- 独立気泡構造を有し、全光線透過率が15%以上、120℃、1時間の環境下で長さ方向(MD)、幅方向(TD)の収縮率が−5〜0%であり、長さ方向(MD)の平均気泡径が200μm以上、厚さが80μm〜350μm、見かけ密度が33〜165kg/m3、25%圧縮硬さが10〜100kPaであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体。
- 前記ポリオレフィン系樹脂発泡体が、熱可塑性エラストマー系樹脂を10〜70質量%を含み、示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピークが110℃以上に2つ以上有することを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- 一部、または全面に粘着層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
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