JP2017186100A - エレベータシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】エレベータの乗客が乗合いが可能な乗客とのみ乗合いし、乗合いを避けるべき乗客とは乗合いしないことによって、エレベータ設置後でもゾーニングを変更することができるエレベータシステムを提供する。
【解決手段】建物の基準階以外の階間のエレベータの交通を担当する第1の群管理制御システム及び前記建物の基準階と基準階以外の階との間のエレベータの交通を担当する第2の群管理制御システムから構成されるエレベータシステムであって、前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの群管理制御装置は、乗客が行先階を登録するために乗場に設置される行先階登録手段と、入居している階床に自テナント以外が入居していないテナントについての他テナント利用者との乗合い可否を含む情報を登録するテナント情報登録手段と、かごに所定の呼びを割り当てる呼び割当手段などを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のテナントが入居する高層ビルの交通を担当するエレベータシステムにかかり、特にエレベータ設置後でもゾーニングを変更することができるエレベータシステムに関する。
一般的に建物が高層化するにつれてエレベータの占有面積が増大すると共に建物の有効スペースが減少し、レンタブル比が低下する傾向にある。このため、建物のレンタブル比を低下させることなく高い輸送能力を確保するために、従来から、サービス階をエレベータの台数に応じて複数のゾーンに分割し、各エレベータが基準階と分担するゾーンをサービスするゾーニング方式の群管理制御が採用されて来た。
そして、群当たりのエレベータの設置台数の上限は、エレベータの乗客の移動時間の制限から8台であるが、高層ビルにおいて各エレベータが全ての階の呼びに応答すると平均一周時間が非常に長くなり、平均待ち時間を許容範囲にすることができない。そのために、通常は10〜15階毎にサービスするゾーンを設けるゾーニングが行われ、ゾーン毎に別々に群管理制御されている。また、通常隣接するゾーン間を移動する利用客のために、共通のサービス階である乗り継ぎ階が設置される。乗り継ぎ階は、上方のゾーンの最下階になり、下方のゾーンの最上階になる。
従って、大企業の本社や中央官庁など20階床を占有するような大規模なテナントが入居する場合は2ゾーンに跨って入居することになり、テナント内で移動する場合でも他のゾーンに属する階に行く時は乗り継ぎ階で乗り換えする必要があり非効率だった。
ゾーンは建物の建設時点で定まっているのが通常であり、その後に入居するテナントが確定して順次必要面積分を占有して入居するため、実際に入居するテナントの組合せに合わせてゾーニングの見直しが必要になったり、フロアプランの見直しが必要になったりすることがあった。このように、建物に入居するテナントの状況が確定するまでゾーニングが確定しないために設計効率が悪かっただけでなく、もし各ゾーンに設置されているエレベータに複数のテナントの関係者が乗合いすることになるような場合は、テナントの機密保持の点から問題となるケースもあった。
また、ゾーニング方式の他にも、各階に停止するローカルエレベータと急行区間を有し主要階間だけを往復運行するシャトルエレベータとを組み合わせたスカイロビー方式、またはこれらを改良したマルチスカイロビー方式なども提案されている。
例えば、昇降路スペースおよび全昇降機の所要スペースを削減するとともに、速度を低減して必要モーター容量を低減し、且つ全ての階間の移動を容易ならしめたマルチスカイロビー方式のエレベータ装置を提供することを目的として、建物内に設けられた昇降路に沿って上下動するエレベータ装置において、地上付近に設けられた建物ロビーと、互いに所定階数隔てて設定された複数のスカイロビーを備えるとともに、前記建物ロビーと該建物ロビーに隣接するスカイロビーとを結ぶ1番目のバンクと、隣接するスカイロビー間を結ぶ2番目〜n番目のバンクとを有し、前記各バンク内の各階に停止するローカルエレベータと、前記ローカルエレベータに並設され、前記建物ロビーおよび複数のスカイロビーに停止するシャトルエレベータとを具備し、前記スカイロビー階は、前記シャトルエレベータとローカルエレベータの乗り継ぎ階兼用として構成されていることを特徴とするマルチスカイロビー方式のエレベータ装置が提供されている(特許文献1を参照)。
特開2003−73043号公報
特許文献1記載の発明は複数のスカイロビーに停止するシャトルエレベータを具備するマルチスカイロビー方式のエレベータに関するものであり、超高層ビルではレンタブル比を確保するためにスカイロビー方式が採用されていることが多い。しかし、スカイロビーでの乗り換えが不便であるし、ローカルエレベータとシャトルエレベータの輸送能力の差に起因してスカイロビーに乗客が溢れるという問題があり、火災時にエレベータを利用して避難するような場合、避難時にスカイロビーで乗り換えないと地上まで避難できないという問題がある。
また、テナントの機密保持の立場から、異なるテナントの社員が同じエレベータに乗り合わせることは好ましくなく、ゾーンの大きさを入居テナントの規模に応じて変化させることができず、また、ビル建築後にテナントの入居状態が変動することもあるにもかかわらず、特許文献1記載の発明ではエレベータ設置後にテナントの入居状態の変動に応じてゾーニングを変更することができないという問題がある。
ゾーンは、そのゾーンに設置されたエレベータに乗合いしている乗客が乗降する基準階以外の階の集合でもある。従って、乗客の乗合いを制御することによってゾーニングを制御することができる。
そこで、本発明の目的は、エレベータの乗客が乗合いが可能な乗客とのみ乗合いし、乗合いを避けるべき乗客とは乗合いしないことによって、エレベータ設置後でもゾーニングを変更することができるエレベータシステムを提供することである。
上記の課題を解決するために請求項1記載の発明は、建物の基準階以外の階間のエレベータの交通を担当する第1の群管理制御システム及び前記建物の基準階と基準階以外の階との間のエレベータの交通を担当する第2の群管理制御システムから構成されるエレベータシステムであって、前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの群管理制御装置は、乗客が行先階を登録するために乗場に設置される行先階登録手段と、入居している階床に自テナント以外が入居していないテナントについての他テナント利用者との乗合い可否を含む情報を登録するテナント情報登録手段と、かごに所定の呼びを割り当てる呼び割当手段を備え、前記呼び割当手段は前記テナント情報登録手段によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を出発階または行先階とする呼びの内、同じテナントの前記入居階及び前記基準階以外を出発階または行先階とする呼びには応答せず、前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの号機制御装置は、前記行先階登録手段によって行先階を登録して乗車待ちの乗客にその行先階毎に前記かごへの乗車を案内する乗車案内手段を備え、空かごへの最初の乗客の出発階または行先階が前記入居階の場合、再び空かごになるまで前記呼び割当手段は該乗客と同じ前記入居階及び前記基準階以外を出発階または行先階とする呼びには応答せず、かつ前記乗車案内手段は該乗客と同じ前記入居階及び前記基準階以外を出発階または行先階とする乗客の乗車は案内しないことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記第1の群管理制御システムの群管理制御装置は、前記基準階以外の階について1または2以上のゾーンを設定するゾーン設定手段と、前記ゾーン設定手段によって設定されたゾーン内を2ないし4のいずれかのセクターに分けて設定する第1のセクター設定手段をさらに備え、前記ゾーン設定手段によるゾーン及び前記第1のセクター設定手段によるセクターの設定をエレベータ設置後でも適宜変更できるようにしたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの各群は、前記号機制御装置が各々設置されている複数の階床間を就役する2台のエレベータと前記群管理制御装置とで構成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記第2の群管理制御システムで用いられるエレベータにはダブルデッキエレベータが含まれていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記第2の群管理制御システムの群管理制御装置は、前記基準階以外の階を複数のセクターに分けて設定する第2のセクター設定手段をさらに備え、前記第2のセクター設定手段は3階ないし6階のいずれかで各セクターを設定し、設定されたセクターの内、偶数の階数のセクター間の交通を担当するエレベータは前記ダブルデッキエレベータであることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの号機制御装置は、前記かごの運転動作を制御する号機制御手段をさらに備え、前記第2の群管理制御システムで用いられるダブルデッキエレベータの前記号機制御手段は、前記ダブルデッキエレベータの下かごを前記基準階に移動させて該下かごの乗客を乗降させた後、前記ダブルデッキエレベータの上かごの乗客が前記基準階で乗降できる位置まで該上かごを移動させるように制御し、該上かごの乗客を前記基準階で乗降させることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記かごには乗客の乗降用の扉が前後に2つ設けられており、前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの号機制御装置は、前記乗客の行先階で前記乗客を乗車した扉とは別の扉から降車させるように案内する降車案内手段をさらに備え、前記号機制御手段は前記乗客の乗車順にその行先階へ前記かごを移動させるように制御することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、前記基準階以外の乗車のための待機場所は周囲を前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムのエレベータを含む部位によって囲まれるように設置され、さらに該部位の周囲を前記建物の廊下が囲むように設置されており、前記待機場所は火災時の一時避難場所として利用できるように防火及び防煙対策が施されていることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、火災時において、前記第1の群管理制御システムの号機制御装置は、前記号機制御手段によって最寄階に前記かごを停止させた後に前記降車案内手段によって前記待機場所側の扉から降車するように案内して該かごに乗車していた乗客を前記待機場所へ降車させ、前記第2の群管理制御システムの号機制御装置は、前記待機場所側の扉から前記乗客を乗車させ、前記号機制御手段によって前記基準階に前記かごを移動させて該かごに乗車していた乗客を避難させることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、前記廊下と前記待機場所の間の出入り口部分が火災時には防火扉または防火シャッターによって閉鎖されることを特徴とする。
エレベータの乗客が乗合いが可能な乗客とのみ乗合いし、乗合いを避けるべき乗客とは乗合いしないことによって、エレベータ設置後でもゾーニングを変更することができるので、利用者の利便性が向上するだけでなく、テナントの機密保持も図ることができる。
また、第1の群管理制御システムの群管理制御装置は、1つのゾーン内を4セクターに分けることもできるので多数の階床を1つのゾーンに設定することができ、20階床を占有するような大規模なテナントが入居する場合でも該テナントを利用するための利用者の移動は同じゾーン内の移動となり、大規模なテナントの利用者に対する利便性の向上も図ることができる。
第1の群管理制御システムにおける各群の群管理制御装置の内部構成を示すブロック図である。 第2の群管理制御システムにおける各群の群管理制御装置の内部構成を示すブロック図である。 各エレベータの号機制御装置の内部構成を示すブロック図である。 実施例1のエレベータシステムにおける処理の例を示すフローチャート(その1)である。 実施例1のエレベータシステムにおける処理の例を示すフローチャート(その2)である。 N=20の場合の1階のフロアプランの例を示す説明図である。 N=20の場合の2〜6階のフロアプランの例を示す説明図である。 N=20の場合の7階のフロアプランの例を示す説明図である。 N=20の場合の8〜11階のフロアプランの例を示す説明図である。 N=20の場合の12〜16階のフロアプランの例を示す説明図である。 N=20の場合の17階のフロアプランの例を示す説明図である。 N=20の場合の18〜21階のフロアプランの例を示す説明図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳しく説明する。
現在、乗用エレベータで一般的なのは、乗場に上昇及び下降用の呼び釦を設置して、上昇運転時には上昇呼び釦を押した乗客を乗合いさせて輸送し、下降運転時には下降呼び釦を押した乗客を乗合いさせて輸送するセレコレと呼ばれる運転操作方式である。
このセレコレ方式は、乗合いする乗客数が多いほど乗客一人当たりに必要なサービス時間が短くなって効率的になるという特長がある。そして、高層ビルでは、サービス階10〜15階を1ゾーンとして、ゾーン毎に呼び釦に応答する4〜8台のエレベータが設置されている。その理由は、多くの乗客が乗合いして高層ビルをサービスすると、平均一周時間が長くなるので、平均待ち時間を短くするために多くのエレベータが必要になるためである。ところで、エレベータの台数が多くなると、乗客は押し釦を押して待っている位置から、自分が乗るべきエレベータが到着した時に、そのエレベータに乗るために移動する距離が長くなる。その移動距離の制限から、一列に設置できるエレベータは4台が限界とされている。そのために、4台ずつ対面設置した8台が呼びに応答する1群のエレベータの台数の上限になっている。
また、押し釦を押すと、どのエレベータが応答するか予報するものもあり、応答予定のエレベータのところまで余裕を持って移動できるようになっている。しかし、エレベータが到着するのは、数10秒先であるため、その間にいくつかの呼びが新規に発生して、予報していたエレベータの到着が想定外に大幅に遅れる場合などに、応答かごの割り当ての変更が少なからず発生するが、その時は新しく予報され直したエレベータまで急いで移動し直す必要がある。このように、従来の群管理システムは、台数が多くなると、車椅子利用者・老人・身体の不自由な人達にとっては実際の利用が困難なものである。また、台数が多くなるとエレベータが対面設置となり、呼びに応答する台数が多い場合はエレベータ乗車時に廊下を横切って自分が乗車するエレベータの前まで移動することになり、エレベータの乗車待ちの乗客ではない通行人と交錯して危険なので、廊下に沿ってエレベータを設置することができないという問題もある。
このセレコレを改良したものとしては、乗場に行先階登録釦を設置し、サービス完了時間の最大値が最小になる経路を選択して応答するものがある。これによれば、運転方向と逆方向の呼びも乗合い可能になって、平均待ち時間が運転方向の呼びだけが乗合いする従来のセレコレの半分にでき、交通量が少ない時は途中階で反転する経路を選択できて平均乗車時間が抑えられる。
しかし、通過された呼びや応答せずに反転された呼びは待ち時間が長くなるため、交通量が増加すると途中階で反転することが困難になる。そのため、昼食時や混雑時のように交通量が増加する時間帯では、行先階の方向とは逆方向の乗車時間が増加して平均乗車時間がセレコレの場合の2倍になってしまい、平均サービス完了時間がセレコレと変わらないという欠点がある。また、呼びの数が増えると組合せ爆発を起こして実時間で制御できないこともあり、交通量が多い場合への適用には問題がある。
この点を改良したものとして、ポストセレコレと呼ばれるものがある。ポストセレコレは乗場に行先階登録釦を設置して、個々の乗客の行先階を予め把握した上で、サービス階床を上方階床と下方階床の2層に分割して逆方向の乗客も乗合いさせることで、平均一周時間がセレコレと等しいとしても、セレコレと比較して、平均待ち時間を短縮し、乗客が乗場に到着してから目的階で降車するまでの時間である平均サービス完了時間も短縮するものである。
その具体的な制御手段は、記憶手段に記憶される未応答の複数の行先階呼びを、出発階と行先階と行先方向とに基づいて、複数のグループに分割する。そして、下方階床内の上昇運転と下降運転、及び上方階床内の上昇運転と下降運転の各場合に関して、予め定める各グループの行先階呼びに関して応答する。一方向に運転中に逆方向の呼びの出発階にも停止して、逆方向の乗客も乗合いさせ、反転後の逆方向の運転時にそれらの行先階呼びの行先階にも停止して、それらの乗客を降車させる。上方階床と下方階床とに基づいて各行先階呼びをグループ毎に分割しているので、逆呼びに応答する場合であっても、反転して走行する時間を短くすることができるものである。
本実施例におけるエレベータシステムもポストセレコレに属するものであり、基準階以外の階間を移動する交通と、基準階と基準階を除くサービス階の間を移動する交通に2分するエレベータシステムである。より具体的には、建物の基準階以外の階間のエレベータの交通を担当する第1の群管理制御システム(Lシステム:ローカルシステム)及び建物の基準階と基準階以外の階との間のエレベータの交通を担当する第2の群管理制御システム(Aシステム:アクセスシステム)から構成されている。
第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの各群は、群管理制御装置と複数の階床間を就役するそれぞれにエレベータ号機を制御する号機制御部を備える号機制御装置が設置されている2台の号機のエレベータで構成されている。そして、エレベータシステムは、建物の基準階と基準階以外の階との間のエレベータの交通を担当する第2の群管理制御システムの群管理制御装置、並びに、建物の基準階以外の階間のエレベータの交通を担当し、建物の基準階以外のサービス階床を2セクターに分割する場合は全ての呼びを2分割して2群に分担させ、3セクターに分割する場合は全ての呼びを3分割して3群に分担させ、4セクターに分割する場合は全ての呼びを4分割して4群に分担させ、それぞれの群が分担する基準階への呼びを含まない呼びに応答しながら運転する2台のエレベータを群管理制御するための第1の群管理制御システムの群管理制御装置が設置されているタイプの異なる群のエレベータを制御するシステムである。第1の群管理制御システムのそれぞれの群が分担する呼びには、基準階への呼びが含まれていない。
そして、建物の基準階以外のサービス階床を2セクターに分割する場合の第1の群管理制御システムはL0、またはL1+L2、3セクターに分割する場合はL3+L4+L5、4セクターに分割する場合はL6+L7+L8+L9の各方式を採用する。
L0の方式では、表1に示すように、基準階(L)を除くサービス階を2セクター(セクター1、セクター2)に分割して、まずセクター1→セクター1、セクター2→セクター2の各呼びをL0の2台の各かごに分担させ、通常状態となる。そして、この通常状態中に異なるセクターへの行先階呼びが発生した時点で、遷移準備状態へと移行し、この遷移準備状態中に異なるセクターへの行先階呼びに応答した時点でさらに遷移状態へと移行するという、ダイナミックな分散待機を行うものである。例えばセクター2を分担するかごが出発階がセクター2内の階床であって行先階がセクター1内の階床である行先階呼びに応答した場合は、分担するセクター内で降車する乗客がなくなり遷移可能状態となった時点、即ちセクター2からセクター1への乗客だけになった時点において、他方のかごが遷移可能状態だった場合は、それまでセクター2を分担していたかごはセクター1に移動してセクター1を分担するかごになる。同時に、それまでセクター1を分担していたかごはセクター2に移動してセクター2を分担するかごになって、各かごは分担するセクター内の上昇運転と下降運転を繰り返す通常状態に戻る。
Figure 2017186100
L1+L2の方式では、表2に示すように、基準階(L)を除くサービス階を2セクター(セクター1、セクター2)に分割して、セクター1→セクター1、セクター2→セクター2の各呼びをL1の2台の群に分担させ、セクター1→セクター2、セクター2→セクター1の各呼びをL2の2台の群に分担させている。
Figure 2017186100
L3+L4+L5の方式では、表3に示すように、基準階(L)を除くサービス階を3セクター(セクター1、セクター2、セクター3)に分割して、セクター1→セクター1、セクター1→セクター2、セクター2→セクター1の各呼びをL3の2台の群に分担させ、セクター2→セクター2、セクター2→セクター3、セクター3→セクター2の各呼びをL4の2台の群に分担させ、セクター1→セクター3、セクター3→セクター1、セクター3→セクター3の各呼びをL5の2台の群に分担させている。
Figure 2017186100
L6+L7+L8+L9の方式では、表4に示すように、基準階(L)を除くサービス階を4セクター(セクター1、セクター2、セクター3、セクター4)に分割して、セクター1→セクター1、セクター2→セクター2、セクター1→セクター2、セクター2→セクター1の各呼びをL6の2台の群に分担させ、セクター3→セクター3、セクター4→セクター4、セクター3→セクター4、セクター4→セクター3の各呼びをL7の2台の群に分担させ、セクター1→セクター3、セクター2→セクター3、セクター3→セクター1、セクター3→セクター2の各呼びをL8の2台の群に分担させ、セクター1→セクター4、セクター2→セクター4、セクター4→セクター1、セクター4→セクター2の各呼びをL9の2台の群に分担させている。
Figure 2017186100
本エレベータシステムの場合、各群が分担する呼びに応答するエレベータは行先階登録釦の左右の2台だけなので、行先階登録釦を押して2台の間で待っている乗客が各群の2台が廊下に沿って設置されていても廊下を横切ることはなく、廊下の通行人と交錯することがなく安全である。
このエレベータシステムの特長としては、第1にエレベータシステムのトータルの電動機容量が従来のセレコレの群管理システムと同等になる。第2に平均一周時間(RTT)が従来の半分になるので、交通を輸送するために必要な消費電力量[kWh]が半減できる。第3に第1の群管理制御システムと第2の群管理制御システムが独立しており、必要な輸送能力を第2の群管理制御システムの群数だけを増加することで実現できる。第4に超高層ビルでも、スカイロビー方式の場合よりもレンタブル比を向上でき、スカイロビー方式の問題点(乗り換えの不便さ、スカイロビーでの乗客が溢れる等)を回避できる。第5に超高層ビルでも、乗り換えなしで避難階に直行できる。第6に平均待ち時間が従来のセレコレの群管理システムよりも短くなる。第7に輸送能力が高いので、昼食時においても利便性が向上するなどがあげられる。
第2の群管理制御システムにおいては、セクター毎にセクターと基準階の間を運転する2台のポストセレコレを等間隔制御する群管理システムが設置されている。ポストセレコレは、乗場に行先階登録釦を設置して、個々の乗客の行先階を予め把握した上で、サービス階床を上方階床と下方階床の2層に分割して逆方向の乗客も乗合いさせることで、平均一周時間(RTT)がセレコレと等しいとしても、セレコレと比較して平均待ち時間を短縮し、乗客が乗場に到着してから目的階で降車するまでの時間である平均サービス完了時間を短縮するものである。
図1は、第1の群管理制御システムにおける各群の群管理制御装置の内部構成を示すブロック図である。群管理制御装置は、乗客が行先階を登録するために乗場に設置される行先階登録部11、群管理制御装置が故障などで休止しているかどうかを検出する運転休止検出部12、エレベータホールなどに設けられて情報を文字や音声などにより出力する情報出力部13、他の群管理制御装置や号機制御装置との通信を行う通信部14、エレベータの群管理を制御する群管理制御部15、行先階呼びなどの情報が記憶されている記憶部16、時間を計時する計時部17、各かごに所定の呼びを割り当てる呼び割当部18、入居している階床に自テナント以外が入居していないテナントについての他テナント利用者との乗合い可否を含む情報を登録するテナント情報登録部19、基準階以外の階について1または2以上のゾーンを設定するゾーン設定部20、ゾーン設定部20によって設定されたゾーン内を2ないし4のいずれかのセクターに分けて設定する第1のセクター設定部21などから構成されている。
なお、テナント情報登録部19に登録されるのは、入居している階床に自テナント以外が入居していないテナント、即ち1または複数の階床全体を対象として入居しているテナントについてのものである。例えば、あるテナントが8階、9階及び10階に入居していて、8階及び9階については階床全体に入居しているが、10階については階床の一部にしか入居しておらず、同じ階床に他のテナントも入居している場合、このテナントは対象外となる。一方、11階のみにしか入居していないが、11階全部に入居しており、同じ階床に他のテナントが入居していない場合、このテナントは対象となり、他のテナント利用者との乗合い可否を選択してテナント情報登録部19に登録することができる。なお、入居している同じ階床に他のテナントも入居しているテナントは、他のテナント利用者との乗合い可能なテナントとして処理される。
また、呼び割当部18は、エレベータの移動方向とは逆方向の呼びをかごに割り当てる場合がある。
図2は、第2の群管理制御システムにおける各群の群管理制御装置の内部構成を示すブロック図である。なお、行先階登録部31からテナント情報登録部39までは、第1の群管理制御システムにおける各群の群管理制御装置の内部構成における行先階登録部11からテナント情報登録部19までと同様であるので、説明を省略する。
本群管理制御装置は、行先階登録部31ないしテナント情報登録部39、並びに建物の基準階以外の階を複数のセクターに分けて設定する第2のセクター設定部40などから構成されている。
図3は、各エレベータの号機制御装置の内部構成を示すブロック図である。なお、第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムを問わず、各エレベータの号機制御装置の内部構成は同じである。
号機制御装置は、かごの位置を検出するかご位置検出部51、かごの移動方向である行先方向を検出するかご方向検出部52、かごの移動速度を検出するかご速度検出部53、号機制御装置が故障などで休止しているかどうかを検出する運転休止検出部54、かごへの乗客の乗降車の有無及び乗降人数を検出する乗降車検出部55、かご内の荷重を検出する荷重検出部56、第1の群管理制御システムまたは第2の群管理制御システムの群管理制御装置との通信を行う通信部57、各種の入力信号を元にかごの運転動作を制御したり判断したりする号機制御部58、行先階呼びなどの情報が記憶されている記憶部59、時間を計時する計時部60、エレベータの駆動源であるモーターを駆動する駆動部61、ブレーキを働かせることによってモーターの回転を制動する制動部62、乗場に設置されて行先階登録部11または31によって行先階を登録して乗車待ちの乗客に音声などによりその行先階毎にかごへの乗車を案内する乗車案内部63、音声などにより乗客の行先階でかごから降車させるように案内するためにかご内に設置される降車案内部64、建物内に設置された火災報知器が火災を検出した際に火災報知器から送信されてくる火災情報を通信部57を介して受信する火災情報受信部65、などから構成されている。
なお、本実施例におけるエレベータの号機のかごには、乗客、即ち車椅子乗客や車椅子以外の一般乗客のための乗降用扉が前後に2つ設けられており、乗客は乗車した際の体の向きを変えることなく前進して降車できる。
行先階登録部11及び31は、各階床の乗場に設けられ、より具体的にはかごが停止する階の2台のエレベータの乗降用扉の間に設置される。従って、本実施例において行先階登録部11及び31は、階床にのみ設置され、かご内には設置されない。行先階登録部11及び31は、例えばタッチパネルによって構成され、液晶ディスプレイなどの表示画面に情報を表示することができる表示部と、表示画面に表示された操作ボタンあるいは数字と記号とを含む文字入力キーを乗客が触ることによって、触られた操作ボタンまたは文字入力キーに対応する入力情報を入力することができる入力部とを有する。行先階登録部11及び31の入力部、つまりタッチパネルに表示される操作ボタンは、少なくとも行先階を選択するための行先階選択ボタンを含み、好ましくは、扉が開いている時間を延長するための開延長ボタン、各種設定をする設定画面を選択する画面を表示させるためのメニュー表示ボタン、及びメニューの中の項目を選択するためのメニュー選択ボタンを含む。このように、本実施例では、行先階登録部11及び31を2台のエレベータの出入口となる乗降用扉の間に設置することにより、乗客は行先階を入力した後、そのまま2台のエレベータの間で乗車待ちしていて、左右どちらかの先に到着したエレベータに乗車すれば良いことから、乗車時の移動距離が大きくならずに済むというメリットがある。
記憶部16、36及び59は、記憶手段であって、例えば半導体メモリあるいは磁気ディスク装置などの記憶装置によって構成される。
記憶部16及び36は、行先階登録部11及び31によって登録された行先階呼びを、登録された階床及び登録された時刻と関連付けて記憶する。行先階呼びは、発生時刻順に、発生時刻と、出発階、未応答や応答中などの応答状態、乗客の乗車や降車などの乗降状態、出発階が属するセクター、行先階が属するセクターなどに関する情報と共に、リストとして記憶部16及び36に記憶される。そして、乗客が降車後は、リストから削除される。
また、記憶部16、36または59に記憶される情報には、群管理制御部15もしくは35または号機制御部58によって実行されるプログラム、テナント情報登録部19または39によって登録されている入居している階床に自テナント以外が入居していないテナントについての他テナント利用者との乗合い可否を含む情報、ゾーン設定部20によって設定されたゾーンの情報、第1のセクター設定部21によって設定されたセクターの情報、第2のセクター設定部40によって設定されたセクターの情報、かごが停止している時間が予め定める時間を越えた時にかごを移動させる基準階を表す基準階情報、予め定める時間である復帰時間を表す復帰時間情報、保守のために用いられる保守情報なども含む。基準階は、当該建物の複数の階床のうち基準となる基準階床が予め1つ設定される。このような基準階は、かごの交通パターンに合わせて設定される。
計時部17、37または60は、時間を計時して群管理制御部15もしくは35または号機制御部58からの指令に基づいて、現在時間に基づく情報を群管理制御部15もしくは35または号機制御部58に出力する。
情報出力部13または33によって出力される情報は、例えば、かごの状況に関する情報であり、かご内の乗客数が所定値以上になりそうな場合の警告情報、かごの移動経路情報、かごが到着するまでの予測時間を示す予測時間情報、かごの到着の予告を示す到着予告情報、開いている扉が閉じるまでの時間を表す戸開待機時間情報、移動中のかごが現在位置している階を示す現在階情報、行先の停止予定階を示す行先階情報、かごが停止している階を示す停止階情報、扉が複数ある場合その複数の扉のうちいずれの扉が開いているかを示す戸開方向情報、故障に関する故障情報、保守のために用いられる保守情報などが含まれていても良い。
行先階登録部11または31によって行先階を登録した乗車待ちの乗客にかごへの乗車を案内する乗車案内部63は、行先階毎に乗客を順次乗車させるために、また、乗車人数を制御するために設けられているものである。例えば、5階において6階を行先階とする乗客と7階を行先階とする乗客を乗車させる場合、まず「6階に行くお客様はご乗車下さい。」と案内し、その後「7階に行くお客様はご乗車下さい。」などと案内したりする。そして、乗車案内後に乗降車検出部55によって乗車が確認されると、呼びをリセットし、所定時間後に次の乗客の乗車案内を行う。
乗車案内部63によって案内されて乗車した乗客に行先階での降車を案内する降車案内部64は、かご内の扉の上枠などに設置され、到着した階を行先階にする乗客がある時は、「行先階に到着した」旨の案内と「こちら側から降車して下さい」という降車を促す案内を行う。例えば、案内音声を出力する案内音声出力手段及び各種の情報を表示する案内表示出力手段によって実現される。
本実施例の乗客は行先階を分かっているので、降車案内部64は、例えば5階に到着した場合、「5階に到着しました。降りる方はこちら側の扉から続いて降りて下さい。それ以外の方は、そのままお待ち下さい。」という程度の簡単な案内をする。
もっとも、降車案内部64による案内は、このような簡単な案内をする場合に限られるものではなく、乗客に対してより情報を追加して降車の案内をしても良い。例えば、かごが2階から出発し、出発階が2階で行先階が3階である行先階呼び、出発階が4階で行先階が5階である行先階呼び、出発階が4階で行先階が2階である行先階呼びに応答して、3階、4階、5階、2階の順に停止して走行する場合、2階出発時に案内音声出力手段が出力する音声として、「次は、3階、4階、5階、2階の順に止まります。」と出力し、3階到着時に、「3階に止まります」と出力し、3階出発時に、「次は、4階、5階、2階の順に止まります。」と出力し、4階到着時に、「4階に止まります」と出力し、4階出発時に、「次は、5階、2階の順に止まります。」と出力し、5階到着時に、「5階に止まります」と出力し、5階出発時に、「次は、2階に止まります。」と出力し、2階到着時に、「2階に止まります。」と出力する。このように4階で、出発階が4階で行先階が2階である逆方向の乗客も乗車させた場合でも、到着順序、即ち停止順序などの情報を追加して出力しても良い。
このように、降車案内部64は、群管理制御部15及び35並びに号機制御部58によって決定される行先階呼びに対する停止順序に基づく情報を出力しても良い。これによってかごに乗車した乗客は、停止順序を認識することができる。本実施例では、従来のセレコレのような方向に従った停止順序ではなく逆方向の乗客も乗車させる場合もあるので、乗車かごの停止順序を出力することによって、乗客は自分がいつ降車するのかを前もって認識することができる。これによって、ポストセレコレのように停止順序が適宜決定される構成であっても、乗客は安心してエレベータを利用することができる。
案内音声出力手段及び案内表示出力手段が出力する情報として、移動中のかごが現在位置している階を示す現在階情報、行先の停止予定階を示す行先階情報、行先階までの停止順序を示す停止順序情報、行先階までの移動時間を示す移動時間情報、かごが停止している階を示す停止階情報、故障に関する故障情報、または保守のために用いられる保守情報を含んでいても良い。
かごへの乗客の乗降車の有無及び人数を検出する乗降車検出部55は、乗客の乗降を検出するため、両方の扉に設置される各々2本の光電管センサーで乗降方向を検出する。この出力に従って、降車完了と乗車完了を検出し、次の乗車案内の開始タイミングや呼びのリセットや応答フェーズの遷移のタイミングに利用する。
なお、本実施例のエレベータシステムにおいて、第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの各群は、号機制御装置が各々設置されている複数の階床間を就役する2台のエレベータと群管理制御装置とで構成されており、複数の階床間を就役する隣り合う2台のエレベータを1組として、群管理制御部15及び35並びに号機制御部58は前記の1組ないし複数組のエレベータを制御する。このため、第1の群管理制御システムにおいても各ゾーンのエレベータシステムが2台の群の組合せでできているので、入居するテナントの規模に合わせて、原則的には1ゾーン/1テナントとなるように複数のゾーンに分割することができる。
第1の群管理制御システムの群管理制御装置は、基準階以外のサービス階について1または2以上のゾーンを設定するゾーン設定部20と、ゾーン設定部20によって設定されたゾーン内を2ないし4のいずれかの数のセクターに分けて設定する第1のセクター設定部21を備えており、第1の群管理制御システムはゾーン設定部20によるゾーン及び第1のセクター設定部21によるセクターの設定をエレベータ設置後でも適宜変更できるようにしている。
利用者の利便性や機密保持の観点から、同じテナントが複数のゾーンに跨って入居することは好ましくなく、ゾーン設定部20によって設定されるゾーンの大きさは、できるだけ多数の階床の方が良い。しかし、群当たりのエレベータの設置台数の上限は、エレベータの乗客の移動時間の制限から8台であるため、高層ビルにおいて各エレベータが全ての階の呼びに応答すると平均一周時間が非常に長くなり、平均待ち時間を許容範囲にすることができないため、通常は10〜15階毎にサービスするゾーンを設けるゾーニングが行われている。そして、ゾーン毎に別々に群管理制御されて、隣接するゾーン間を移動する利用客のために、共通のサービス階である乗り継ぎ階が設置されているのが通常である。20階床を占有するような大規模なテナントが入居する場合は2ゾーンに跨って入居することになり、テナント内で移動する場合でも他のゾーンに属する階に行く時は乗り継ぎ階で乗り換えする必要があり非効率だった。大規模テナントが複数入居する超高層ビルに適用できるようにするためには、10〜15階よりも多数の階床に拡大できる方が望ましい。
本実施例の第1の群管理制御システムの群管理制御装置は、1つのゾーン内を4つのセクターに分割し、セクター1、セクター2、セクター3、セクター4をそれぞれ5階床としてL6+L7+L8+L9の方式を採用することにより、20階床を1つのゾーンに設定することができ、20階床を占有するような大規模なテナントが入居する場合でも該テナントを利用するための利用者の移動は同じゾーン内の移動となる。
また、本実施例ではエレベータの交通が第2の群管理制御システムが分担する基準階と基準階以外の階との間の交通と第1の群管理制御システムが分担する基準階以外の階間の交通に分割され、第2の群管理制御システムと第1の群管理制御システムは独立してセクターを設定することが可能であり、平均一周時間(RTT)がセクターの設置されている高さに依存する第2の群管理制御システムがサービスするセクターを第2のセクター設定部40により小さく設定できるので、高層ゾーンでもRTTを短くでき、RTTがセクターの設置されている高さに依存しない第1の群管理制御システムは、高層ゾーンでもRTTは短いままなので、ゾーンの大きさを20階床にしても高層ゾーンでも平均待ち時間を短くできる。
また、建設時にゾーンを20階床にしてエレベータシステムを設置しておけば、実際に入居するテナントが大規模テナント(20階床)であれば、分割せずに1ゾーン/1テナントが実現し、テナント以外の乗客の乗合いが防止でき、テナント内の移動は乗り換えなしで可能になる。
このように、本実施例のエレベータシステムを適用すれば、高層ビルのピーク時にも良好な平均待ち時間を維持したまま、1つのゾーンの大きさを20階床にすることが可能であり、大規模なテナントの利用者に対する利便性の向上を図ることができる。なお、最小のゾーンは5階床のゾーンであり、入居テナントは小規模で1階床の場合もありうる。
ゾーンは、基本的には第1の群管理制御システムのセクターの設定によって決定される。入居テナントに合わせてのゾーニングの見直しは1ゾーン内の細分化に限定されるので、入居テナントが確定した後の設計の見直しを小規模に抑えることができ、レイアウトやフロアプランの設計効率が向上する。
次に、第1の群管理制御システムの具体的な構成について、20階床、15階床及び10階床のゾーンのそれぞれの場合について説明する。
20階床のゾーンの場合は、4つのセクターに分割し、セクター1、セクター2、セクター3、セクター4をそれぞれ5階床としてL6+L7+L8+L9の方式を採用し、ゾーン毎に第1の群管理制御システムのシングルデッキエレベータの群を合計4群設置する。
15階床のゾーンの場合は、3つのセクターに分割し、セクター1、セクター2、セクター3をそれぞれ5階床としてL3+L4+L5の方式を採用し、ゾーン毎に第1の群管理制御システムのシングルデッキエレベータの群を合計3群設置する。
10階床のゾーンの場合は、2つのセクターに分割し、セクター1、セクター2をそれぞれ5階床としてL0の方式を採用し、第1の群管理制御システムのシングルデッキエレベータの群を1群設置する。
本エレベータシステムが適用される建物に入居しているテナントが機密を重視する場合は、第2のセクター設定部40によって設定された1つのセクターに属する階床を全て占有すれば、第2の群管理制御システムのエレベータにおいては他のテナントの利用者との乗合いを避けることができる。
もっとも、第2のセクター設定部40による第2の群管理制御システムのセクターの設定と第1のセクター設定部21による第1の群管理制御システムのセクターの設定は独立に行われるので、両方のセクターの設定が一致しなければ、異なるテナントを利用する乗客が乗り合わせする可能性がある。
そこで、1つのセクターを複数のテナントで共用しながら、仮想専用エレベータシステムを適用する。これは、テナント情報登録部19及び39により入居している階床に自テナント以外が入居していないテナントについての他テナント利用者との乗合い可否を含む情報を登録しておき、その情報に基づいて乗合いを避けたい乗客と乗合いしないようにエレベータを制御するものである。そして、テナント情報登録部19及び39に登録された情報に基づいて、呼び割当部18及び38は乗合いが可能でない呼びには応答せず、乗車案内部63は乗合いが可能な乗客に対して乗車を案内する。
第2の群管理制御システムのセクターの設定と第1の群管理制御システムのセクターの設定は独立に行えることが必要であるから、入居テナントの規模に合わせてセクターを設定する限り、予めセクターが固定されている第2の群管理制御システムを含んでいるエレベータシステムにとっては、この仮想専用エレベータシステムは重要な機能になる。
より具体的に説明すると、入居している階床に自テナント以外が入居していないテナントについての他テナント利用者との乗合い可否を含む情報をテナント情報登録部19及び39で登録しておき、例えば、建物にテナントPとQを含むテナントが入居し、Pが3階と4階のフロア全て、Qが2階のフロア全てを占有していて、PQ共に他テナント利用者との乗合い不可の登録をしている場合、テナントPの利用者及びテナントQの利用者は、自分が利用するテナント以外を利用する乗客と同じかごで乗合いすることはない。第2の群管理制御システムにおいて、1階→3階の乗客が乗車しているかごには、1階→2階の乗客や2階→1階の乗客が乗車することはない。また、第2の群管理制御システムの2階〜7階を分担する群にはテナントPとQを利用する乗客が乗車するが、2階のテナントQを利用する乗客が乗車している時は、同じかごに3階及び4階のテナントPを利用する乗客が乗車することがない。
図4は、本実施例のエレベータシステムにおける処理の例を示すフローチャート(その1)である。本フローチャートでは、第1の群管理制御システムまたは第2の群管理制御システムにおいて、エレベータのかごが空かごになった状態で未応答呼びがある場合からの処理を示している。なお、本フローチャートの例では、建物にテナントPとQを含むテナントが入居し、Pが3階と4階のフロア全て、Qが2階のフロア全てを占有していて、PQ共に他テナント利用者との乗合い不可の登録をしており、該建物にはPQ以外に他テナント利用者との乗合い不可の登録をしているテナントはなく、基準階にはテナントが入っていないものとする。
処理の開始後(ステップS101)、エレベータのかごが空かごになった状態で未応答呼びがある場合、呼び割当部18または38により乗車待ち時間が最も長い乗客Aの未応答呼びに応答して、かごが乗客Aの出発階に移動した後、乗車案内部63により案内して乗客Aを乗車させる(ステップS102)。なお、呼び割当部18または38は、テナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を出発階または行先階とする呼びの内、同じテナントの入居階及び基準階以外を出発階または行先階とする呼びには応答しない。例えば、テナントPの入居階(3階・4階)を出発階または行先階とする未応答呼びがあったとしても、その呼びがテナントPの入居階及び基準階以外を出発階または行先階とする場合は応答しない。従って、出発階が3階で行先階が5階である呼びや、出発階が3階で行先階がテナントQの2階である呼びには応答しない。ただし、基準階を出発階または行先階とする呼びが第2の群管理制御システムにおいては発生するが、第1の群管理制御システムは基準階以外の階間のエレベータの交通を担当するので行先階登録部11には基準階を行先階とする登録釦が設けられていないため、第1の群管理制御システムにおいて基準階を出発階または行先階とする呼びは発生しない。
次に、乗車待ち時間が最も長い乗客Aの出発階または行先階がテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階かどうかを号機制御部58で判断する(ステップS103)。
もし、乗客Aの出発階または行先階がテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階である場合は、判断結果は「YES」となり、図5のステップS201へ進む(ステップS104)。例えば、乗客Aの出発階または行先階がテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階であれば、対応する行先階または出発階がテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階ではなく基準階であったとしても、ステップS103における判断結果は「YES」となる。従って、第2の群管理制御システムにおいて乗客Aの出発階が基準階で行先階が3階だった場合、判断結果は「YES」となる。
一方、乗客Aの出発階も行先階もテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階でなかった場合は、判断結果は「NO」となり、続いてテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階以外を行先階とする他の乗客が乗客Aの出発階にいるかどうかを判断する(ステップS105)。
もし、乗合い不可の登録をされたテナントの入居階以外を行先階とする他の乗客がいない場合は、判断結果は「NO」となり、ステップS107へ進む。例えば、テナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいても、テナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階以外を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいなければ、ステップS105における判断結果は「NO」となる。従って、乗客Aの出発階が基準階で行先階が5階だった場合に、基準階に2階や3階を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいても、2階〜4階以外を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいなければ判断結果は「NO」となる。
一方、乗合い不可の登録をされたテナントの入居階以外を行先階とする他の乗客がいる場合は、判断結果は「YES」となり、該当する乗合い不可の登録をされたテナントの入居階以外を行先階とする乗車待ちしている乗客が乗車案内部63によって案内されて乗車する(ステップS106)。例えば、テナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいても、その乗客は該当しないので乗車案内部63による案内がされず乗車できない。従って、基準階に2階、3階、6階を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいた場合、6階を行先階とする乗客の乗車案内は行うが、2階及び3階を行先階とする乗客に対しては乗車案内を行わない。
そして、かごが乗客Aの行先階に移動し、該階を降車階とする乗客が降車した後(ステップS107)、ステップS108へ進む。
次に、乗客全てがかごから降車して、かごが空かごになったかどうかを乗降車検出部55の情報などから号機制御部58で判断する(ステップS108)。
もし、かごが空かごになっている場合は、判断結果は「YES」となり、終了し(ステップS112)、開始に戻る。
一方、かごが空かごになっていない場合は、判断結果は「NO」となり、テナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階以外を行先階とする乗客がかごが現在停止している階にいるかどうかを号機制御部58で判断する(ステップS109)。
もし、乗合い不可の登録をされた入居階以外を行先階とする乗客がいない場合は、判断結果は「NO」となり、ステップS110へ進む。例えば、テナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいても、テナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階以外を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいなければ、ステップS109における判断結果は「NO」となる。従って、かごが5階に停止している場合に、2階を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいても、2階〜4階以外を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいなければ判断結果は「NO」となる。
一方、乗合い不可の登録をされた入居階以外を行先階とする乗客がいる場合は、判断結果は「YES」となり、該当する乗合い不可の登録をされた入居階以外を行先階とする乗車待ちしている乗客が乗車案内部63によって案内されて乗車する(ステップS111)。例えば、テナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいても、その乗客は該当しないので乗車案内部63による案内がされず乗車できない。従って、かごが5階に停止している場合に、5階に基準階、2階、6階を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいた場合、基準階及び6階を行先階とする乗客の乗車案内は行うが、2階を行先階とする乗客に対しては乗車案内を行わない。
そして、次にかごから降車する乗客の行先階へと移動し、該階を降車階とする乗客が降車し(ステップS110)、ステップS108へ戻る。
図5は、本実施例のエレベータシステムにおける処理の例を示すフローチャート(その2)である。
図4のステップS104に続いて(ステップS201)、乗客Aが利用するテナントが入居している階Dをテナント情報登録部19または39の情報に基づいて記憶部59に記憶する(ステップS202)。例えば、乗客Aの出発階が基準階で行先階が3階だった場合は、3階にはテナントPが入っており、テナントPは3階と4階のフロア全てを占有しているので、入居している階Dとしてテナント情報登録部19の情報に基づいて記憶部59に3階・4階を記憶する。
次に、乗客Aが利用するテナントが入居している階Dまたは基準階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客が、乗客Aの出発階にいるかどうかを判断する(ステップS203)。
もし、乗客Aが利用するテナントが入居している階Dを行先階とする乗車待ちしている乗客も基準階を行先階とする乗車待ちしている乗客もいない場合は、判断結果は「NO」となり、ステップS205へ進む。例えば、D以外のテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいても、Dまたは基準階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいなければ、ステップS203における判断結果は「NO」となる。従って、乗客Aの出発階が基準階で行先階が3階だった場合に、基準階に2階や5階を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいても、3階または4階を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいなければ判断結果は「NO」となる。
一方、乗客Aが利用するテナントが入居している階Dまたは基準階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいる場合は、判断結果は「YES」となり、該当する乗客Aが利用するテナントが入居している階Dまたは基準階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客が乗車案内部63によって案内されて乗車する(ステップS204)。例えば、乗客Aが利用するテナントが入居している階D以外のテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいても、その乗客は該当しないので乗車案内部63による案内がされず乗車できない。従って、基準階に2階、4階、5階を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいた場合、4階を行先階とする乗客の乗車案内は行うが、2階及び5階を行先階とする乗客に対しては乗車案内を行わない。
そして、かごが乗客Aの行先階に移動し、該階を降車階とする乗客が降車した後(ステップS205)、ステップS206へ進む。
次に、乗客全てがかごから降車して、かごが空かごになったかどうかを乗降車検出部55の情報などから号機制御部58で判断する(ステップS206)。
もし、かごが空かごになっている場合は、判断結果は「YES」となり、終了し(ステップS210)、図4の開始に戻る。
一方、かごが空かごになっていない場合は、判断結果は「NO」となり、乗客Aが利用するテナントが入居している階Dまたは基準階を行先階とする乗車待ちの乗客がかごが現在停止している階にいるかどうかを号機制御部58で判断する(ステップS207)。
もし、階Dを行先階とする乗車待ちしている乗客も基準階を行先階とする乗車待ちしている乗客もいない場合は、判断結果は「NO」となり、ステップS208へ進む。例えば、D以外のテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいても、階Dを行先階とする乗車待ちしている乗客も基準階を行先階とする乗車待ちしている乗客もいなければ、ステップS207における判断結果は「NO」となる。従って、かごが3階に停止している場合に、2階を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいても、4階を行先階とする乗車待ちしている乗客も基準階を行先階とする乗車待ちしている乗客もいなければ判断結果は「NO」となる。
一方、階Dまたは基準階を行先階とする乗客がいる場合は、判断結果は「YES」となり、該当する階Dまたは基準階を行先階とする乗車待ちしている乗客が乗車案内部63によって案内されて乗車する(ステップS209)。例えば、D以外のテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を行先階とする乗車待ちしている他の乗客がいても、その乗客は該当しないので乗車案内部63による案内がされず乗車できない。従って、かごが3階に停止している場合に、3階に基準階、2階、4階、5階を行先階とする乗車待ちの他の乗客がいた場合、基準階及び4階を行先階とする乗客の乗車案内は行うが、2階及び5階を行先階とする乗客に対しては乗車案内を行わない。
そして、次にかごから降車する乗客の行先階へと移動し、該階を降車階とする乗客が降車し(ステップS208)、ステップS206へ戻る。
なお、空かごへの最初の乗客Aの出発階または行先階がテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階の場合、再び空かごになるまで呼び割当部18または38は乗客Aと同じテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階及び基準階以外を出発階または行先階とする呼びには応答しない。
また、乗車案内部63は、乗客Aと同じテナント情報登録部19または39によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階及び基準階以外を、出発階または行先階とする乗客に対しては乗車を案内しない。
本実施例では、第2の群管理制御システムで用いられるエレベータにはダブルデッキエレベータが含まれており、基準階と基準階以外の階との間の乗客の輸送に利用しても良い。より具体的には、第2のセクター設定部40は3階ないし6階のいずれかの階数で各セクターを設定し、設定されたセクターの内、偶数の階数のセクター間の交通を担当するエレベータにダブルデッキエレベータを用いる。
従来のダブルデッキエレベータでは、下かごは下基準階と奇数階間の乗客を輸送し、上かごは上基準階と偶数階間の乗客を輸送していた。そのために、偶数階で乗降する乗客は、建物から出るために下基準階と上基準階の間を階段またはエスカレータで移動するか、別途設置されたエレベータで移動しなければならず、高齢者や車椅子利用者には不便だった。
本実施例では、第2の群管理制御システムで用いられるダブルデッキエレベータの号機制御部58は、ダブルデッキエレベータの下かごを基準階に移動させて該下かごの乗客を乗降させた後、ダブルデッキエレベータの上かごの乗客が基準階で乗降できる位置まで該上かごを移動させるように制御し、該上かごの乗客を前記基準階で乗降させる。そして、エレベータは乗客の乗降終了後に行先階に向けて移動するので、乗り換えなしで基準階で乗降できるため、高齢者や車椅子利用者にとって便利である。
基準階を除くサービス階数をNとした時、N=20の場合を例に、第2の群管理制御システムにおいてシングルデッキを採用した場合とダブルデッキを採用した場合についてみてみる。
シングルデッキを採用した場合、RTT≦120秒(平均待ち時間≦30秒)とするためには、最下ゾーンで20階床/ゾーン当たり6群が必要であり、上方ゾーンでは7群で構成することになる。
これに対して、ダブルデッキを採用した場合、N=20の場合であれば2階〜7階、8階〜11階、12階〜17階、18階〜21階に分けて、20階床/ゾーン当たり4群で構成できる。
このように、建物が高層化しても輸送性能が同等という条件の下では、シングルデッキの場合と比較するとダブルデッキの場合はRTT当たりの停止回数が半減するので、輸送性能を同等にするために必要な群数を少なくできるため、建物のレンタブル比を向上させることができるという長所がある。
また、本実施例におけるエレベータは、ダブルデッキ、シングルデッキを問わず、貫通二方向型出入口のかごを備えたものである。号機のかごには乗客の乗降用の扉が前後に2つ設けられており、第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの号機制御装置は、乗客の行先階で前記乗客を乗車した扉とは別の扉から降車させるように案内する降車案内部64を備える。乗客のための乗降用扉が前後に2つ設けられているので、乗客はかご内に乗車した後に体の向きを変えることなく、そのまま前進して行先階で降車することができる。
なお、第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの号機制御装置の号機制御部58は乗客の乗車順にその行先階へかごを移動させるように制御する。
さらに、基準階以外の乗車のための待機場所は周囲を第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムのエレベータを含む部位によって囲まれるように設置され、さらに該部位の周囲を建物の廊下が囲むように設置されている。そして、待機場所は火災時の一時避難場所として利用できるように防火及び防煙対策が施されている。エレベータ以外の部位としては、収納、トイレ、柱等がある。
なお、火災時の避難用エレベータとして使用されるのは、避難階である基準階と基準階以外の階との間の交通を担当している第2の群管理制御システムのエレベータだけであり、第1の群管理制御システムのエレベータは火災時には基本的に使用しない。より具体的には、建物内に設置された火災報知器が火災を検出した際に送信する火災情報を通信部57を介して火災情報受信部65により受信した火災時において、第1の群管理制御システムの号機制御装置は、号機制御部58によって最寄階にかごを停止させた後に降車案内部64によって待機場所側の扉から降車するように案内して該かごに乗車していた乗客を火災時の一時避難場所である待機場所へ降車させる。降車した乗客は、待機場所で火災時の避難用エレベータとなる第2の群管理制御システムのエレベータの到着を待つことになる。なお、火災発生時には、第1の群管理制御システムのエレベータの廊下側の扉の前に防火シャッターを降下させて、乗客が乗車できないようにしても良い。
そして、第2の群管理制御システムの号機制御装置は、待機場所側の扉から避難するために待機していた乗客を乗車させ、号機制御部58によって基準階にかごを移動させて該かごに乗車していた乗客を避難させる。
第2の群管理制御システムのエレベータは、火災の際は避難に利用されるので、非常用エレベータに準ずる防火性能があるものとする。そして、廊下と火災時の一時避難場所として利用する待機場所の間の出入り口部分は、火災情報受信部65により火災情報を受信した火災時には防火扉または防火シャッターによって閉鎖される。防火シャッターとしては、火災感知器と連動して降下する耐火スクリーンなどを用いるものとする。そして、耐火スクリーンの材料としては、シリカクロス製など様々なものが使用可能である。
ダブルデッキの場合について更に説明すると、上下かご共に乗客の乗降用の扉が前後に2つ設けられている貫通二方向型出入口のかごを備えた2台のダブルデッキエレベータの群管理制御システムで、2台の扉の間に行先階登録部31である行先階登録釦を設置し、乗車待ちしている乗客に乗車する順番が来ると乗車を案内する乗車案内部63である乗車案内装置を設け、基準階の下にも下かごが下降できるようにピットを構成する。
そして、基準階で下かごからの奇数階→基準階の乗客の降車案内部64の案内による降車と基準階→奇数階の乗客の乗車案内部63の案内による乗車を行先階が下方の乗客から順に行った後、上かごに基準階で乗降できる位置までピット内を一旦下降して、基準階で上かごからの偶数階→基準階の乗客の降車案内部64の案内による降車と基準階→偶数階の乗客の乗車案内部63の案内による乗車を行先階が下方の乗客から順に行い、上かごの乗降終了後に戸閉して基準階以外の階に向けて上昇運転を開始する。
基準階以外の階では下方階から順に、奇数階では基準階→奇数階の乗客の下かごの廊下側の扉からの降車案内部64の案内による降車と奇数階→基準階の乗客の待機場所側の扉からの乗車案内部63の案内による乗車が行われ、偶数階では基準階→偶数階の乗客の上かごの廊下側の扉からの降車案内部64の案内による降車と偶数階→基準階の乗客の上かごの待機場所側の扉からの乗車案内部63の案内による乗車が行われる。そして、基準階以外の階での乗客の乗降が全て終了すると戸閉して基準階に向けて下降運転を開始する。
ここで、奇数階は基準階以外のサービス階の中の最下階及びその2階床ずつ上の階、偶数階はサービス階の中の最下階の1階床上の階及びその2階床ずつ上の階である。
これにより、サービス階の偶数階で乗降する高齢者や身体障害者が建物の出入口階である基準階に行くために、基準階に行くエレベータに乗り換えるために混雑するロビー階で乗り継ぐエレベータを探して急いで移動して衝突したりする危険性がなくなり、安全である。
また、建物の各階の中央部に防火・防煙対策が施された避難時の待機場所を設置するため、第2の群管理制御システムのダブルデッキエレベータを待機場所に横付けして、待機場所に水平避難避してきた避難者を基準階まで安全に垂直避難させることが可能になる。
第2の群管理制御システムは、入居テナントが確定してゾーニングが行われる前に、基準階を除く全ての階をサービス階として、第2のセクター設定部40により基本的には6階床でセクターを設定され、建物の高さに合わせて4階床あるいは2階床でセクターを設定して構成される。
次に、第2の群管理制御システムの具体的なレイアウト構成について説明する。ここで、本実施例のエレベータシステムによる基準階を除くサービス階数をNとし、N=6n+αとする。建物の高さはN+1階床である。
α=0の場合、ダブルデッキエレベータを用いた基準階と6階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群をn群設置する。
α=1の場合、ダブルデッキエレベータを用いた基準階と6階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群を(n−1)群、ダブルデッキエレベータを用いた基準階と4階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群を1群、シングルデッキエレベータを用いた基準階と3階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群を1群設置する。
α=2の場合、ダブルデッキエレベータを用いた基準階と6階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群を(n−1)群、ダブルデッキエレベータを用いた基準階と4階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群を2群設置する。
α=3の場合、ダブルデッキエレベータを用いた基準階と6階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群をn群、シングルデッキエレベータを用いた基準階と3階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群を1群設置する。
α=4の場合、ダブルデッキエレベータを用いた基準階と6階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群をn群、ダブルデッキエレベータを用いた基準階と4階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群を1群設置する。
α=5の場合、最下にシングルデッキエレベータを用いた基準階と5階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群を1群、その上にダブルデッキエレベータを用いた基準階と6階床の基準階以外の階との間の交通を担当する群をn群設置する。
このように、α=0の場合はn群が設置されるが、α=1ないしα=5の場合はn+1群が設置されることになる。
群(バンク)の昇降路内法については、例えば間口方向の昇降路内法は4700mmとし、奥行方向の昇降路内法は1820mmとする。
非常用エレベータの仕様を満たして昇降路に収めるためには、号機が1台か2台以下でなければならない。そのため、4台の群などでは仕様を満たさなくなるため、火災時などに用いる非常用エレベータとしては不適当である。しかし、本実施例では非常用エレベータの仕様に準拠させるために、各群は、群管理制御装置と複数の階床間を就役するそれぞれにエレベータ号機を制御する号機制御部58などを備える号機制御装置が設置されている2台の号機のエレベータで構成しているので、一つの昇降路に収めることができる。
次に、Nが20,30、40、50、60、100の各場合のレイアウトについて説明する。
N=20の場合は、第2の群管理制御システムの群が4群、第1の群管理制御システムの群が4群で構成する。この場合の第1の群管理制御システムが適用されるゾーン数は1であり、待機場所となるコア部分が1辺2群の正方形になる。そして、第1の群管理制御システムの群は、1つのゾーンをL6+L7+L8+L9の方式の4群で構成する。
N=30の場合は、第2の群管理制御システムの群が5群、第1の群管理制御システムの群が6群で構成する。この場合の第1の群管理制御システムが適用されるゾーン数は2であり、待機場所となるコア部分が1辺3群の正方形になる。そして、第1の群管理制御システムの群は、2つのゾーンを各々L3+L4+L5の方式の3群の計6群で構成する。
N=40の場合は、第2の群管理制御システムの群が7群、第1の群管理制御システムの群が8群で構成する。この場合の第1の群管理制御システムが適用されるゾーン数は2であり、待機場所となるコア部分が1辺3群の正方形になる。そして、第1の群管理制御システムの群は、2つのゾーンを各々L6+L7+L8+L9の方式の4群の計8群で構成する。
N=50の場合は、第2の群管理制御システムの群が9群、第1の群管理制御システムの群が10群で構成する。この場合の第1の群管理制御システムが適用されるゾーン数は3であり、待機場所となるコア部分が1辺4群の正方形になる。そして、第1の群管理制御システムの群は、3つのゾーンをL3+L4+L5の方式の3群が2つ、L6+L7+L8+L9の方式の4群が1つの計10群で構成する。
N=60の場合は、第2の群管理制御システムの群が10群、第1の群管理制御システムの群が12群で構成する。この場合の第1の群管理制御システムが適用されるゾーン数は3であり、待機場所となるコア部分が1辺4群の正方形になる。そして、第1の群管理制御システムの群は、3つのゾーンを各々L6+L7+L8+L9の方式の4群の計12群で構成する。
N=100の場合は、第2の群管理制御システムの群が17群、第1の群管理制御システムの群が20群で構成する。この場合の第1の群管理制御システムが適用されるゾーン数は5であり、待機場所となるコア部分が1辺6群の正方形になる。そして、第1の群管理制御システムの群は、5つのゾーンを各々L6+L7+L8+L9の方式の4群の計20群で構成する。
さらに、N=20の場合を例に、具体的なフロアプランについて説明する。
第2の群管理制御システムにおける基準階である1階を除くサービス階は、第2のセクター設定部40により、2階〜7階、8階〜11階、12階〜17階、18階〜21階の4つのセクターに分けて設定されている。
第1の群管理制御システムにおける基準階である1階を除くサービス階は、ゾーン設定部20により1のゾーンを設定され、20階床のゾーンの場合は、4つのセクターに分割し、セクター1、セクター2、セクター3、セクター4をそれぞれ5階床としてL6+L7+L8+L9の方式を採用し、ゾーン毎に第1の群管理制御システムのシングルデッキエレベータの群を合計4群設置する。そのため、ゾーン内を第1のセクター設定部21により、2階〜6階がセクター1、7階〜11階がセクター2、12階〜16階がセクター3、17階〜21階がセクター4の4のセクターに分けて設定されている。そして、L6はセクター1→セクター1、セクター2→セクター2、セクター1→セクター2、セクター2→セクター1の各呼びを、L7はセクター3→セクター3、セクター4→セクター4、セクター3→セクター4、セクター4→セクター3の各呼びを、L8はセクター1→セクター3、セクター2→セクター3、セクター3→セクター1、セクター3→セクター2の各呼びを、L9はセクター1→セクター4、セクター2→セクター4、セクター4→セクター1、セクター4→セクター2の各呼びを分担する。
従って、セクター1にはL6、L8及びL9、セクター2にはL6、L8及びL9、セクター3にはL7及びL8、セクター4にはL7及びL9、の各群のエレベータが停止する。なお、L9の群のエレベータはセクター1、セクター2及びセクター4で停止するので、セクター3では停止はしないものの通過はするため、セクター3の対象となる階にはL9の群のエレベータのための乗降用の扉等は設置されないが昇降路は配置される。
よって、1階、2階〜6階、7階、8階〜11階、12階〜16階、17階、18階〜21階でフロアプランが異なってくる。
図6は、N=20の場合の1階のフロアプランの例を示す説明図である。図中のAは第2の群管理制御システム(Aシステム:アクセスシステム)を、Aに続く括弧内は交通を担当する階を示しており、例えばA(2−7F)は基準階と2階ないし7階との間のエレベータの交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータが配置されていることを表している。
基準階(1階)は火災発生時に建物の外へ避難する階である避難階となり、第2の群管理制御システムのエレベータにより1階まで移動して来た乗客は、1階で降車した後にエントランスホールから建物の外へ避難する。第2の群管理制御システムとしては、基準階と2階〜7階の間、基準階と8階〜11階の間、基準階と12階〜17階の間、基準階と18階〜21階の間の交通を担当するエレベータが配置されている。
なお、基準階に第1の群管理制御システムのエレベータは停止しないため、第1の群管理制御システムに用いるエレベータは配置されていない。
図7は、N=20の場合の2〜6階のフロアプランの例を示す説明図である。
第1の群管理制御システムとしては、L6、L8、L9の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、2〜6階はセクター1に該当し、L7の交通を担当する第1の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので、昇降路が不要であるために配置されていない。
そして、第2の群管理制御システムとしては、基準階と2階〜7階の間、基準階と8階〜11階の間、基準階と12階〜17階の間、基準階と18階〜21階の間の交通を担当するエレベータが配置されている。火災時には基準階と2階〜7階の間の交通を担当するエレベータを利用して基準階に避難することになる。基準階と8階〜11階の間、基準階と12階〜17階の間、基準階と18階〜21階の間の交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータは、通過はするが停止はしないので乗降用の扉等は設置されない。
図8は、N=20の場合の7階のフロアプランの例を示す説明図である。
第1の群管理制御システムとしては、L6、L8、L9の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、7階はセクター2に該当しL7の交通を担当する第1の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので、昇降路が不要であるために配置されていない。
そして、第2の群管理制御システムとしては、基準階と2階〜7階の間、基準階と8階〜11階の間、基準階と12階〜17階の間、基準階と18階〜21階の間の交通を担当するエレベータが配置されている。火災時には基準階と2階〜7階の間の交通を担当するエレベータを利用して基準階に避難することになる。基準階と8階〜11階の間、基準階と12階〜17階の間、基準階と18階〜21階の間の交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータは、通過はするが停止はしないので乗降用の扉等は設置されない。
図9は、N=20の場合の8〜11階のフロアプランの例を示す説明図である。
第1の群管理制御システムとしては、L6、L8、L9の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、8〜11階はセクター2に該当しL7の交通を担当する第1の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので、昇降路が不要であるために配置されていない。
そして、第2の群管理制御システムとしては、基準階と8階〜11階の間、基準階と12階〜17階の間、基準階と18階〜21階の間の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、基準階と2階〜7階の間の交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので昇降路が不要であるために、配置されていない。火災時には基準階と8階〜11階の間の交通を担当するエレベータを利用して基準階に避難することになる。基準階と12階〜17階の間、基準階と18階〜21階の間の交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータは、通過はするが停止はしないので乗降用の扉等は設置されない。
図10は、N=20の場合の12〜16階のフロアプランの例を示す説明図である。
第1の群管理制御システムとしては、L7、L8、L9の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、12〜16階はセクター3に該当しL6の交通を担当する第1の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので、昇降路が不要であるために配置されていない。ただし、L9の交通を担当する第1の群管理制御システムのエレベータは、通過はするが停止はしないので乗降用の扉等は設置されない。
そして、第2の群管理制御システムとしては、基準階と12階〜17階の間、基準階と18階〜21階の間の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、基準階と2階〜7階の間、基準階と8階〜11階の間の交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので昇降路が不要であるために、配置されていない。火災時には基準階と12階〜17階の間の交通を担当するエレベータを利用して基準階に避難することになる。基準階と18階〜21階の間の交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータは、通過はするが停止はしないので乗降用の扉等は設置されない。
図11は、N=20の場合の17階のフロアプランの例を示す説明図である。
第1の群管理制御システムとしては、L7、L9の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、17階はセクター4に該当しL6とL8の交通を担当する第1の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので、昇降路が不要であるために配置されていない。
そして、第2の群管理制御システムとしては、基準階と12階〜17階の間、基準階と18階〜21階の間の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、基準階と2階〜7階の間、基準階と8階〜11階の間の交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので昇降路が不要であるために、配置されていない。火災時には基準階と12階〜17階の間の交通を担当するエレベータを利用して基準階に避難することになる。基準階と18階〜21階の間の交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータは、通過はするが停止はしないので乗降用の扉等は設置されない。
図12は、N=20の場合の18〜21階のフロアプランの例を示す説明図である。
第1の群管理制御システムとしては、L7、L9の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、18〜21階はセクター4に該当しL6とL8の交通を担当する第1の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので、昇降路が不要であるために配置されていない。
そして、第2の群管理制御システムとしては、基準階と18階〜21階の間の交通を担当するエレベータが配置されている。なお、基準階と2階〜7階の間、基準階と8階〜11階の間、基準階と12階〜17階の間の交通を担当する第2の群管理制御システムのエレベータは停止も通過もしないので昇降路が不要であるために、配置されていない。火災時には基準階と18階〜21階の間の交通を担当するエレベータを利用して基準階に避難することになる。
本実施例による効果について、説明する。
第1に、エレベータの設置後に建物内のテナントの入居状況が変化しても、テナントへの交通を分担するエレベータの停止階を基準階とテナントが入居する階だけに限定して、テナントが入居する階で乗降する乗客だけを乗合いさせることができるので、利用者の利便性が向上するだけでなく、テナントの機密保持も図ることができる。
第2に、第1の群管理制御システムの群管理制御装置は1つのゾーン内を4セクターに分けることもできるので、多数の階床を1つのゾーンに設定することができ、20階床を占有するような大規模なテナントが入居する場合でも該テナントを利用するための利用者の移動は同じゾーン内の移動となり、大規模なテナントの利用者に対する利便性の向上も図ることができる。
第3に、ゾーンは、そのゾーンに設置されたエレベータに乗合いしている乗客が乗降する基準階以外の階の集合でもあり、乗客の乗合いを制御することによってゾーニングを制御することができる。本実施例のエレベータシステムによれば、エレベータの乗客が乗合いが可能な乗客とのみ乗合いし、乗合いを避けるべき乗客とは乗合いしないことによって、テナントの入居状態の変動に応じて、エレベータ設置後でもゾーニングを変更することができる。
第4に、各ゾーンのエレベータシステムが2台の群の組合せによって出来ているので、入居するテナントの規模に合わせて、原則的には1ゾーン/1テナントとなるように複数のゾーンに分割することができる。
第5に、本実施例のエレベータシステムによるゾーニング方式を適用することで、超高層ビルでは、昼食時にも良好な平均待ち時間が実現できる。より具体的には、交通が第2の群管理制御システムが分担する基準階と基準階以外の階との間の交通と第1の群管理制御システムが分担する基準階以外の階間の交通に分割され、第2の群管理制御システムと第1の群管理制御システムは独立してセクターを設定することが可能であり、平均一周時間(RTT)がセクターの設置されている高さに依存する第2の群管理制御システムのセクターを小さくできるので、高層ゾーンでもRTTを短くでき、RTTがセクターの設置されている高さに依存しない第1の群管理制御システムは高層ゾーンでもRTTは短いままなので、ゾーンの大きさを20階床にしても高層ゾーンでも平均待ち時間を短くできる。
第6に、テナント情報登録部19及び39により入居している階床に自テナント以外が入居していないテナントについての他テナント利用者との乗合い可否を含む情報を登録しておき、その情報に基づいて他のテナントの利用者と乗合いしないようにエレベータを制御することができるので、テナントの機密を保持することができる。
第7に、従来のスカイロビー方式よりも高いレンタブル比を実現できる
第8に、従来の群管理システムを用いるよりも、安価で省エネが可能であり、かつ高層階に大きなテナントが入居可能なエレベータシステムを実現することができる。
11、31 行先階登録部
12、32、54 運転休止検出部
13、33 情報出力部
14、34、57 通信部
15、35 群管理制御部
16、36、59 記憶部
17、37、60 計時部
18、38 呼び割当部
19、39 テナント情報登録部
20 ゾーン設定部
21 第1のセクター設定部
40 第2のセクター設定部
51 かご位置検出部
52 かご方向検出部
53 かご速度検出部
55 乗降車検出部
56 荷重検出部
58 号機制御部
61 駆動部
62 制動部
63 乗車案内部
64 降車案内部
65 火災情報受信部


Claims (10)

  1. 建物の基準階以外の階間のエレベータの交通を担当する第1の群管理制御システム及び前記建物の基準階と基準階以外の階との間のエレベータの交通を担当する第2の群管理制御システムから構成されるエレベータシステムであって、
    前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの群管理制御装置は、
    乗客が行先階を登録するために乗場に設置される行先階登録手段と、
    入居している階床に自テナント以外が入居していないテナントについての他テナント利用者との乗合い可否を含む情報を登録するテナント情報登録手段と、
    かごに所定の呼びを割り当てる呼び割当手段を備え、
    前記呼び割当手段は前記テナント情報登録手段によって他テナント利用者との乗合い不可の登録をされたテナントの入居階を出発階または行先階とする呼びの内、同じテナントの前記入居階及び前記基準階以外を出発階または行先階とする呼びには応答せず、
    前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの号機制御装置は、
    前記行先階登録手段によって行先階を登録して乗車待ちの乗客にその行先階毎に前記かごへの乗車を案内する乗車案内手段を備え、
    空かごへの最初の乗客の出発階または行先階が前記入居階の場合、再び空かごになるまで前記呼び割当手段は該乗客と同じ前記入居階及び前記基準階以外を出発階または行先階とする呼びには応答せず、かつ前記乗車案内手段は該乗客と同じ前記入居階及び前記基準階以外を出発階または行先階とする乗客の乗車は案内しないことを特徴とするエレベータシステム。
  2. 前記第1の群管理制御システムの群管理制御装置は、
    前記基準階以外の階について1または2以上のゾーンを設定するゾーン設定手段と、
    前記ゾーン設定手段によって設定されたゾーン内を2ないし4のいずれかのセクターに分けて設定する第1のセクター設定手段をさらに備え、
    前記ゾーン設定手段によるゾーン及び前記第1のセクター設定手段によるセクターの設定をエレベータ設置後でも適宜変更できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
  3. 前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの各群は、
    前記号機制御装置が各々設置されている複数の階床間を就役する2台のエレベータと前記群管理制御装置とで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータシステム。
  4. 前記第2の群管理制御システムで用いられるエレベータにはダブルデッキエレベータが含まれていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエレベータシステム。
  5. 前記第2の群管理制御システムの群管理制御装置は、
    前記基準階以外の階を複数のセクターに分けて設定する第2のセクター設定手段をさらに備え、
    前記第2のセクター設定手段は3階ないし6階のいずれかで各セクターを設定し、設定されたセクターの内、偶数の階数のセクター間の交通を担当するエレベータは前記ダブルデッキエレベータであることを特徴とする請求項4に記載のエレベータシステム。
  6. 前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの号機制御装置は、
    前記かごの運転動作を制御する号機制御手段をさらに備え、
    前記第2の群管理制御システムで用いられるダブルデッキエレベータの前記号機制御手段は、前記ダブルデッキエレベータの下かごを前記基準階に移動させて該下かごの乗客を乗降させた後、前記ダブルデッキエレベータの上かごの乗客が前記基準階で乗降できる位置まで該上かごを移動させるように制御し、該上かごの乗客を前記基準階で乗降させることを特徴とする請求項4または5に記載のエレベータシステム。
  7. 前記かごには乗客の乗降用の扉が前後に2つ設けられており、
    前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムの号機制御装置は、
    前記乗客の行先階で前記乗客を乗車した扉とは別の扉から降車させるように案内する降車案内手段をさらに備え、
    前記号機制御手段は前記乗客の乗車順にその行先階へ前記かごを移動させるように制御することを特徴とする請求項6に記載のエレベータシステム。
  8. 前記基準階以外の乗車のための待機場所は周囲を前記第1の群管理制御システム及び第2の群管理制御システムのエレベータを含む部位によって囲まれるように設置され、さらに該部位の周囲を前記建物の廊下が囲むように設置されており、前記待機場所は火災時の一時避難場所として利用できるように防火及び防煙対策が施されていることを特徴とする請求項7に記載のエレベータシステム。
  9. 火災時において、前記第1の群管理制御システムの号機制御装置は、前記号機制御手段によって最寄階に前記かごを停止させた後に前記降車案内手段によって前記待機場所側の扉から降車するように案内して該かごに乗車していた乗客を前記待機場所へ降車させ、
    前記第2の群管理制御システムの号機制御装置は、前記待機場所側の扉から前記乗客を乗車させ、前記号機制御手段によって前記基準階に前記かごを移動させて該かごに乗車していた乗客を避難させることを特徴とする請求項8に記載のエレベータシステム。
  10. 前記廊下と前記待機場所の間の出入り口部分が火災時には防火扉または防火シャッターによって閉鎖されることを特徴とする請求項9に記載のエレベータシステム。


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