JP2017184632A - 亜麻仁ペースト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜麻仁粉砕物と食用油からなる亜麻仁ペーストを提供する。また多価不飽和脂肪酸の酸化防止方法を提供する。【解決手段】亜麻仁と食用油を質量比3:7〜9:1の割合で混合し、ペースト化することで上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は亜麻仁ペーストを製造する方法及びその方法により得られた亜麻仁ペーストに関する。また本発明は、多価不飽和脂肪酸の酸化防止方法に関する。より詳細には、亜麻仁を食用油と所定の割合で混合し、該混合物をペースト化処理することにより亜麻仁ペーストを提供する。
アマ科植物の亜麻の種子である亜麻仁はα−リノレン酸を豊富に含有しており、品種及び栽培条件等によるが、その含有量は亜麻仁油あたり約30〜60質量%(亜麻仁あたり約10〜20質量%)であり、含有量が高いものでは75質量%以上にも達する。α−リノレン酸が栄養機能及び健康機能を有していることから、亜麻仁及び亜麻仁油はその食としての価値に注目されている。
α−リノレン酸は、n−3系列の多価不飽和脂肪酸であり、分子内に3つの不飽和結合を有している。多価不飽和脂肪酸とは、分子内に2つ以上の不飽和結合を有している不飽和脂肪酸の総称であり、n−3系列にはα−リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が含まれ、n−6系列にはリノール酸、γーリノレン酸、アラキドン酸等が含まれ、n−9系列にはミード酸等が含まれる。このような多価不飽和脂肪酸は、酸素と接触すると容易に酸化されて過酸化脂肪酸が生じるため、亜麻仁油のように多価不応和脂肪酸を主要構成成分とする油脂の品質は劣化し易い(非特許文献1)。特にn−3系列多価不飽和脂肪酸は、γ−リノレン酸等の一部を除き、同一炭素数のn−6系列やn−9系列よりも不飽和結合が多いので酸化され易いことが知られている。
油脂の不飽和度はヨウ素価で示すことができる。ヨウ素価とは、油脂100gに付加することができるヨウ素のg数であり、ヨウ素価が大きいほど油脂の不飽和度が高いことを示す。油脂とは、脂肪酸とグリセリンがエステル結合したトリグリセリドであり、その生合成及び/又は食物連鎖による蓄積により油脂のヨウ素価は生物種毎に特徴があり、例えば、イワシ油で163〜195、サンマ油で136〜141、サフラワー油で120〜150、胡麻油で103〜118、菜種油で94〜107、オリーブ油で75〜90、豚脂で46〜70、カカオ脂で29〜38、牛脂で25〜60、ヤシ油で7〜16である。(非特許文献2)。亜麻仁油のヨウ素価は約180であり(非特許文献3の表3)、EPAやDHAを豊富に含有するイワシ油やサンマ油といった魚油と共に非常に酸化され易い油脂の一つである。ヨウ素価が高い油は乾性油として利用するには好適であるが、食品利用するには酸化による品質劣化を抑制する手段を講じる必要があり、その様な油を含有する植物原料及び動物原料においても同様である。その手段として、酸化防止剤の添加(特許文献1〜5)や脱酸素剤と非通気性包装容器とを併用した密封(特許文献6)、不活性化ガス充填(特許文献7)等が上げられるが、酸化防止剤による異味の付与や開封後の保存における酸化劣化、製造コスト高などの問題があった。
亜麻仁にはα−リノレン酸のほか、リグナン(セコイソラリシレジノールジグルコシド;SDGと略す)や食物繊維等の健康機能成分が含まれている。α−リノレン酸には冠動脈疾患の予防効果(非特許文献4)など多くの有用な機能があることが知られている。SDGは、抗酸化作用(特許文献8)及び女性ホルモン様作用(特許文献9)を示す生理活性物質である。食物繊維は体内のコレステロールや脂肪を減少させる効果があると報告されている(非特許文献5)。それ故、これらを有効に利用することが望まれている。しかしながら、亜麻仁は穀粒の状態でもその構成成分である多価不飽和脂肪酸(α−リノレン酸)が酸化され易いことから味や臭いが経時的に劣化すること、亜麻仁は硬い殻に覆われているために粉砕加工の歩留が悪く硬い殻を主成分とした副産物が得られること、粉砕加工の歩留が悪いため、前記の様な健康機能成分が十分に得られ難いこと等の問題があった。
このような問題を解決するために、ビタミンB6と亜鉛イオン存在下華氏160度で亜麻仁を粉砕した亜麻仁組成物及びその組成物を含む飲料(特許文献10)が開示されているが、その粉砕粒度が1/10インチ(約2.5mm)以下と粗いためにざらついた食感になり、添加剤の異味が付与されていることから、食品素材として最適とは言えない。また、亜麻仁を凍結乾燥させた後にべたつき抑制剤の存在下で粉砕する亜麻仁全粒粉の製造方法(特許文献11)が開示されているが、亜麻仁全粒粉の最大粒径は1〜2mmと粗く、多価不飽和脂肪酸の酸化を十分に抑制できているとは言えず、食品として利用するには適しているとは言い難い。また、これら2件の開示が粒径を粗くしている理由は、歩留を向上させるためであり、これにより前記健康機能成分を十分に消化吸収できる形態とは言えない。
特許文献12には、種皮、種実及び食用油を含み、固形分のメジアン径が4〜15.5μmである種皮付き種実微粉砕ペーストが開示されている。特許文献12では、微粉砕ペーストを得る方法として、一般的な方法で予めペースト化された胡麻ペースト又は大豆粒を一般的な方法で粉砕して得たきなこと大豆油の混合物をさらに媒体攪拌ミルで処理することを開示している。特許文献12には亜麻仁についての記載は全くなく、あらかじめペースト化又は粉砕した種実をさらに微粉砕する方法が開示されるのみであって、硬い殻に覆われた亜麻仁等の種子又は穀粒を直接微粉砕化することを想定していない。また、特許文献12にはペースト中に含まれる多価不飽和脂肪酸の酸化抑制を示唆する記載もない。
特開昭61−289835号公報 特開平08−116878号公報 特開昭63−135483号公報 特開2013−159730号公報 特開2007−185138号公報 特開平08−104371号公報 特開2010−126608号公報 WO2003/020254号公報 WO2007/013547号公報 米国特許第4,857,326号 特開2006−94762号公報 特開2004−159606号公報
長坂啓助、山本喜啓、小松原紀子 島根女子短期大学紀要13号(昭和50年)p23−26「殺菌灯照射による脂質の酸化について」 「油脂・脂質の基礎と応用」(社)日本油化学会 3.2化学的性質 p60−61 木田清春ら、消防技術安全所報47号(平成22年)p103−110 Am J Clin Nutr 2012;96:1262-73 Kristensen et al. Nutrition & Metabolism 2012, 9:8
亜麻仁及びその焙煎等による熱処理亜麻仁は、固体物であるため、酸化を抑制する有効な酸化防止剤はなく、もっぱら酸素非透過性の容器又は包装材を用いて脱酸素剤と共に及び又は不活性化ガス置換をして密封保存される。
またα−リノレン酸を豊富に含有する亜麻仁油は、その酸化を抑制するために脂溶性及び/又は乳化性抗酸化剤の添加や不活性化ガス置換容器詰め等の対策が必要である。
さらに亜麻仁は、その硬い殻を有することから微粒化の歩留まりが悪く、硬い殻が副産物として産生し、微粒化装置への負荷が高く破損の恐れが高い。このように、亜麻仁のペースト化は極めて困難であり、亜麻仁ペーストは実用化されていないことから、亜麻仁ペーストの実用化が望まれており、さらには酸化抑制手段を講じなくとも亜麻仁及び食用油に含まれる多価不飽和脂肪酸の酸化が抑制された亜麻仁ペーストの開発が望まれている。
本発明者等は、亜麻仁を食用油と所定の割合で混合し、該混合物をペースト化処理することにより亜麻仁ペーストを提供することが出来ること、また酸化抑制手段を講じなくとも亜麻仁及び食用油に含まれる多価不飽和脂肪酸の酸化が抑制された亜麻仁ペーストを提供することが出来ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)亜麻仁粉砕物と食用油からなる亜麻仁ペーストであって、亜麻仁粉砕物と食用油の質量比が3:7〜9:1である、前記亜麻仁ペースト。
(2)ペーストの固形分の50%積算径が15.5μm〜300μmである、前記(1)に記載の亜麻仁ペースト。
(3)亜麻仁と食用油を質量比3:7〜9:1の割合で混合する工程及び該混合物をペースト化処理する工程を含む亜麻仁ペーストの製造方法。
(4)亜麻仁と食用油を混合する工程及び該混合物をペースト化処理する工程を含む、多価不飽和脂肪酸の酸化防止方法。
亜麻仁は、硬く食物繊維が豊富に含まれる殻のために、湿式及び乾式粉砕機を用いたペースト化または微粉砕化には不適であるが、本発明では、亜麻仁に食用油を適量混合した混合物をペースト化処理することにより容易に亜麻仁ペーストを提供することが出来る。
亜麻仁や多価不飽和脂肪酸含有油を各々単独で空気(酸素)に接触させて1ヶ月以上放置すると過酸化物価(POV)が上昇して酸化臭が発生するのに対し、本発明によれば酸化抑制手段を講じなくとも亜麻仁及び食用油に含まれる多価不飽和脂肪酸の酸化が抑制された亜麻仁ペーストを提供することが出来る。本発明によれば、空気に長期間暴露しても亜麻仁ペーストに含まれる多価不飽和脂肪酸の酸化による劣化が抑制され、亜麻仁中の有用な健康機能成分もそのまま保持される。また、亜麻仁の硬い殻も微粒化されるので、滑らかな食感(口触り)になり、製造損失(残渣)が発生しない。更に、各種食品へ、そのまま栄養補助剤又は調味剤として使用することもできる。
アマニ(亜麻仁)は、欧州の地中海地方原産の自生植物である亜麻科植物アマ(亜麻、学名:Linum usitatissimum)の種子(仁)のことであり、英名 Flax Seed (フラックスシード)、学名 Linum Usitatissimumと呼ばれる。
本発明において、亜麻仁は、国内産、外国産などの産地や品種を問わず原料として使用できる。
未処理、乾燥処理、湿熱処理、乾熱処理等、種子形状が維持された亜麻仁を使用することができる。好ましくは焙煎処理亜麻仁である。焙煎処理することで、胡麻等と同様に風味並びに芳香を得ることができるためである。焙煎処理は、例えば30秒〜120分、100〜400℃に加熱することによって行う。
本発明において食用油としては常温で液体の食用油脂であれば何れも使用可能である。食用油は好ましくは多価不和脂肪酸含有油である。多価不飽和脂肪酸含有油は多価不飽和脂肪酸を構成成分として含有する好ましくはヨウ素価60以上の不飽和脂肪酸含有油である。具体的に示すと、好ましくは亜麻仁油、エゴマ油、魚油、サンフラワー油、大豆油、ヒマワリ油、胡麻油、コーン油、米油、シソ油、オリーブ油、菜種油等であり、より好ましくは亜麻仁油、エゴマ油(α−リノレン酸含量が約60質量%で、亜麻仁油と同等のヨウ素価)である。
本発明において、亜麻仁ペーストは亜麻仁粉砕物と食用油からなる。本発明の亜麻仁ペーストは、亜麻仁粉砕物と食用油を質量比3:7〜9:1、好ましくは2:3〜4:1で含有する。
本発明において、亜麻仁ペーストの固形分(亜麻仁粉砕物)の粒度分布は好ましくは2つのピークに分かれ、小さい粒径のピークの粒径範囲は好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜70μm、最も好ましくは4μm〜50μmであり、大きい粒径のピークの粒径範囲は好ましくは50μm〜2010μm、さらに好ましくは50μm〜1600μm、最も好ましくは60μm〜1200μmである。
本発明において、亜麻仁ペーストの固形分の50%積算径は好ましくは15.5μm〜300μm、さらに好ましくは15.5μm〜50μm、もっとも好ましくは15.5μm〜30μmである。また、亜麻仁ペーストの固形分の90%積算径は好ましくは200μm〜1000μm、さらに好ましくは300μm〜1000μm、もっとも好ましくは300μm〜750μmの範囲である。
本発明において、亜麻仁ペーストの粘度は使用目的によって適宜調節可能である。例えば、ベーカリー製品の場合であれば50〜200dPa・Sの範囲、ドレッシング製品の場合であれば1〜50dPa・Sの範囲であることが好ましいが、所望される各種製品の性状に応じて適当な粘度を選択することができる。
本発明の亜麻仁ペーストの製造方法は亜麻仁と食用油を質量比3:7〜9:1、好ましくは2:3〜4:1で混合する工程及び該混合物をペースト化処理する工程を含む。亜麻仁の量が亜麻仁と食用油の質量比3:7よりも少なくなるとペーストが固液分離する傾向がある。亜麻仁の量が亜麻仁と食用油の質量比9:1よりも多くなるとペースト化の効率が低下する傾向にある。
本発明において、ペースト化処理は湿式微粒化又は湿式粉砕を行うことをいう。なお、ここで湿式微粒化又は湿式粉砕とは対象物を水や油などの液体中で微粒化又は粉砕する方式を意味する。このような処理としては磨石式(砥石式)、切刃式、胴搗式、媒体攪拌式、圧縮式、衝撃式、すり潰式等の湿式微粒化又は湿式粉砕方法及びそれらの組合せを例示することができ、好ましくは磨石式湿式微粒化法又は切り刃式湿式微粒化法、最も好ましくは磨石式湿式微粒化法である。
ペースト化処理の条件は適宜変更することができる。例えば、磨石式湿式微粒化法に用いる磨砕装置(増幸産業社製、スーパーマスコロイダー、型式MKCA6−2JR)であれば、回転速度1000〜3000rpm、と磨石間隔0〜200μmで処理することができる。ペースト化処理は1回のみでも良いが、2回以上複数回繰り返すこともできる。
また切り刃式湿式微粒化法に用いられるカッターミキサー(Stephan food process machinery社製、型式U1500006、切刃No.3D0024−02及びNo.3D0024−1使用)であれば、回転数300〜3000rpm、処理時間2〜20分で処理することが出来る。
この設定は、所望されるペーストの食感や粘度等により適宜変更可能である。
本発明の多価不飽和脂肪酸の酸化防止方法は、亜麻仁と食用油を混合する工程及び該混合物をペースト化処理する工程を含む。亜麻仁と食用油の質量比は好ましくは1:9〜9:1、さらに好ましくは1:4〜4:1である。亜麻仁の量が亜麻仁と食用油の質量比1:9よりも少なくなると抗酸化作用が低くなる傾向にあり、亜麻仁の量が亜麻仁と食用油の質量比9:1よりも多くなるとペースト化処理の効率が低下する傾向にある。
本発明の亜麻仁ペーストは、様々な食品に添加することが可能である。このような食品としてはパン、菓子、麺、ドレッシング、スープ、パスタソース、惣菜などが挙げられるがこれらに限定されない。
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
A−1.亜麻仁ペーストの製造例(マスコロイダーによる製造)
(1)所定の質量比となるように焙煎亜麻仁(日本製粉社製)と亜麻仁油(日本製粉社製)を容器に投入し(合計約1〜5kg)、ヘラを用いて全体が十分に馴染むように混合した。
(2)混合物を磨砕装置(増幸産業社製、スーパーマスコロイダー、型式MKCA6−2JR)に投入し、磨石回転数1500rpm、砥石間隔100μmの条件で亜麻仁ペーストを得た。なおマスコロイダーに投入され砥石間に供給された原料は摩砕された後速やかに排出されるため摩砕時間は設定されない。マスコロイダーに原料を供給して摩砕物が排出されるまでの工程を1回行うことをマスコロイダーによる摩砕処理を1回行ったこととする。
A−2.亜麻仁ペーストの製造例(カッターミキサーによる製造)
(1)亜麻仁を10〜15分、150〜200℃になるように焙煎処理し、焙煎亜麻仁を得た。
(2)所定の質量比となるように焙煎亜麻仁と亜麻仁油(日本製粉社製)を容器に投入し(合計約1〜2kg)、ヘラを用いて全体が十分に馴染むように混合した。
(3)混合物をカッターミキサー(Stephan food process machinery社製、型式U1500006、切刃No.3D0024−02及びNo.3D0024−1使用)に投入し、回転速度3000rpm、3、5、10又は15分間の条件で亜麻仁ペーストを得た。
B.亜麻仁ペーストの評価試験
(i) ペーストの固形分の粒度分布
(1)前記製造例で得られた亜麻仁ペースト2gをエタノール30mLに加え、ボルテックスで20秒間撹拌した。
(2)測定前に2500 ×gで5分間遠心し、上清22.5mLを除去した後、よく撹拌してレーザ回析/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製、LA−950V2)にて測定を行った。
(ii)ペーストの粘度
(1)前記製造例で得られた亜麻仁ペーストの粘度をB型粘度計(RION社製、VISCOTESTER VT−04)で測定した。
(iii)酸化物価(POV)
(1)前記製造例で得られた亜麻仁ペーストを樹脂製の詮無し容器に1kg分取し、亜麻仁ペーストが空気(酸素)に暴露される状態で、暗所下で保存した。保存期間中、2日ごとに容器中の亜麻仁ペーストを激しく攪拌し、亜麻仁ペースト全体が空気に接触するようにした。
(2)亜麻仁ペースト製造後0日、10日、30日、60日に亜麻仁ペーストを酸素非透過性包袋に200g採取し、空気が混入しないように密封した。
(3)日本油化学会制定「基準油脂分析試験法(II)参考資料2.4−1996過酸化物価(クロロホルム法)」に従って亜麻仁ペーストの過酸化物価(POV)を測定して評価した。
(iv)官能評価
(1)前記製造例で得られた亜麻仁ペーストについて表1の評価基準で、熟練のパネラー10名により保存した亜麻仁ペーストの官能評価を行った。
表1 官能評価基準
Figure 2017184632
製造した直後の亜麻仁ペーストの臭い、味を5点満点とした。なお、焙煎亜麻仁の配合割合に依存するが、製造直後に凍結保存した亜麻仁ペーストは何れも焙煎亜麻仁の香ばしい味及び香がし、異味及び不快臭は一切なく、亜麻仁及び亜麻仁油に由来する特有の色調をしている。
C.試験1:亜麻仁と食用油の混合割合
多価不飽和脂肪酸含有油として、多価不飽和脂肪酸であるα−リノレン酸を60質量%含有する亜麻仁油を使用した。表2に示した質量部の亜麻仁と亜麻仁油を使用して、製造例に従って亜麻仁ペーストを製造した。また、表3に示したように、磨砕処理していない焙煎亜麻仁(10〜15分、150〜200℃焙煎)、亜麻仁油、焙煎胡麻(5〜40分、170〜230℃焙煎)、胡麻油及び焙煎胡麻と胡麻油とを混合して磨砕処理した胡麻ペーストを評価試験の対象区とした。なお、胡麻の殻は亜麻仁の殻と比べて非常に柔らかいので、容易に微粒化又は粉砕することができる。
表2 亜麻仁と食用油の配合
Figure 2017184632

Figure 2017184632
*1:A−1:製造例A−1(マスコロイダー)、A−2:製造例A−2(カッターミキサー)
*2:ペースト化処理が完了しなかった。
表3 対象区
Figure 2017184632
*3:対象区1〜4では磨砕を行わず、対象区5では製造例A−1に準じて磨砕してペーストを得た。
なお、胡麻油の主要脂肪酸組成は、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸及び二価不飽和脂肪酸であるリノール酸が各々約40質量%である。
実施例1〜8は、何れも亜麻仁の硬い殻も微粒化され、粒感のない滑らかな亜麻仁ペーストが得られた。比較例1は粒感のない滑らかな亜麻仁ペーストが得られたが、長時間静置すると固液分離した。比較例2は、微粒化されない亜麻仁の硬い殻が不揃いで多量に残存し、粒感が極めて強く感じられ、ペーストとして不適であり、磨砕装置に大きな負荷がかかり、製造効率が著しく悪かった。また、対象区5は、粒感のない滑らかな胡麻ペーストが得られたが、油分のベタツキが顕著であった。
得られた亜麻仁ペーストについて固形分の粒度分布を測定した結果を表4に示す。
表4 亜麻仁ペーストの固形分(亜麻仁粉砕物)の粒度分布
Figure 2017184632
マスコロイダー、カッターミキサーで摩砕したいずれの場合も、粒径分布曲線が小さい粒径のピーク(約4μm〜約60μmの粒径範囲)と大きい粒径のピーク(約60μm〜約2000μmの粒径範囲)の2つのピークに分かれ、その傾向は同様であった。カッターミキサーの処理時間5〜10分である実施例5〜6では小さい粒径のピークと比較して大きい粒径のピークが大きかった。カッターミキサーで15分間処理した実施例8では、累積頻度%径及び粒径分布曲線共にマスコロイダーで摩砕した実施例1〜4及び比較例2と近似していた。
粘度の測定結果を以下の表5に示す。
表5 粘度の測定結果
Figure 2017184632
亜麻仁油に対する亜麻仁の配合割合が増加に伴って、ペーストの粘度は上昇する傾向にあった。亜麻仁:亜麻仁油=4:1の質量比である実施例3〜8についての亜麻仁の配合割合が一定の場合、粘度は粒径分布において粒径が小さいものが多くなるほど低くなる傾向にあり、累積頻度%径累積頻度%径及び粒径分布曲線が同様である実施例3と実施例8は粘度も同程度であった。
評価1:亜麻仁と食用油の混合割合
試験1で製造した亜麻仁ペースト及び対象区を、暗所下保存温度を20℃に設定した以外は亜麻仁ペーストの評価試験に準じて評価した。結果を表6及び表7に示す。
過酸化物価の測定において、実施例及び比較例の亜麻仁ペーストの過酸化物価は、何れも焙煎亜麻仁と亜麻仁油の過酸化物価を基にした計算値よりも低く、保存期間の延長と共に計算値との差は大きくなった。このことは、亜麻仁単独及び亜麻仁油単独よりも、それらを混合してペースト化したほうが空気中の酸素による多価不飽和脂肪酸(α−リノレン酸)の自動酸化が抑制されることを示している。特に実施例3ではその差が顕著である。なお、実施例4において、過酸化物価と官能評価が実施例3よりもわずかに劣るが、これは磨砕2回繰り返しの際にペーストが熱を帯びたことに由来するものであり、2回目の磨砕の前にペーストを放熱することで解決されると考えられる。
対象区5の胡麻では、亜麻仁と同様にペースト化しても不飽和脂肪酸の自動酸化が抑制されているとは言えない。なお、胡麻油は元々自動酸化を受け難く、殻も柔らかいので、本発明のように食用油と混合してペースト化する必然性はない。
官能評価において、対象区1、2の焙煎亜麻仁及び亜麻仁油は経時的に臭い及び味共に評価が低下したが、実施例の亜麻仁ペーストは良好であった。比較例1の亜麻仁ペーストは固液分離するものの、攪拌して均一にしたペーストの評価も良好であった。
実施例4は、実施例3よりやや苦味があったが、磨砕を2回繰り返したことによる熱の影響と考えられる。
表6 過酸化物価
Figure 2017184632
実施例及び比較例において、括弧内に、配合比に基づいて対象区1と対象区2とから算出される過酸化物価の計算値を示した。対象区5についても同様に計算値を示した。比較例2はペーストとして不適であったので、過酸化物価を測定しなかった(ND)。
表7 官能評価
Figure 2017184632
D.試験2:亜麻仁ペーストの保存温度
実施例3と同様に亜麻仁ペーストを製造した。
評価2:亜麻仁ペーストの保存温度
保存温度を5℃、20℃、35℃にした以外は前記同様に評価試験を行い、過酸化物価の測定結果を表9に示す。なお、亜麻仁ペーストの20℃保存は実施例3の、焙煎亜麻仁の20℃保存は対象区1の転記である。
焙煎亜麻仁の過酸化物価は、低温保存することで上昇を抑制できるが、何れの温度でも酸化防止手段を講じて保存する必要があると判断される。亜麻仁ペーストでは、35℃保存で若干過酸化物価が経時的に上昇するが、十分に許容される範囲であり、酸化防止手段を講じなくとも60日以上の保存に十分耐えうると判断される。
表8 過酸化物価
Figure 2017184632

Claims (4)

  1. 亜麻仁粉砕物と食用油からなる亜麻仁ペーストであって、亜麻仁粉砕物と食用油の質量比が3:7〜9:1である、前記亜麻仁ペースト。
  2. ペーストの固形分の50%積算径が15.5μm〜300μmである、請求項1に記載の亜麻仁ペースト。
  3. 亜麻仁と食用油を質量比3:7〜9:1の割合で混合する工程及び該混合物をペースト化処理する工程を含む亜麻仁ペーストの製造方法。
  4. 亜麻仁と食用油を混合する工程及び該混合物をペースト化処理する工程を含む、多価不飽和脂肪酸の酸化防止方法。
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