JP2020022427A - 亜麻仁ペースト組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期保存しても固形分と油分の分離が起こらない亜麻仁ペースト組成物を提供する。【解決手段】亜麻仁粉砕物、食用油及び粘性糖液からなる亜麻仁ペースト組成物であって、亜麻仁粉砕物と食用油の質量比が3:7〜9:1であり、粘性糖液のB型粘度計で測定した25℃における粘度(dPa・S)と亜麻仁ペースト組成物の全質量に対する粘性糖液含有率の積が9以上である前記亜麻仁ペースト組成物により上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は亜麻仁ペースト組成物及びそれを含む食品に関する。
アマ科植物の亜麻の種子である亜麻仁はα−リノレン酸を豊富に含有しており、品種及び栽培条件等によるが、その含有量は亜麻仁油あたり約30〜60重量%(亜麻仁あたり約10〜20重量%)であり、含有量が高いものでは約75%にも達する。α−リノレン酸が栄養機能及び健康機能を有していることから、亜麻仁及び亜麻仁油はその食としての価値に注目されている。
α−リノレン酸は、n−3系列の多価不飽和脂肪酸であり、分子内に3つの不飽和結合を有している。多価不飽和脂肪酸とは、分子内に2つ以上の不飽和結合を有している不飽和脂肪酸の総称であり、n−3系列にはα−リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が含まれ、n−6系列にはリノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸等が含まれ、n−9系列にはミード酸等が含まれる。
亜麻仁にはα−リノレン酸のほか、リグナン(セコイソラリシレジノールジグルコシド;SDGと略す)や食物繊維等の健康機能成分が含まれており、これらを有効に利用することが望まれている。しかしながら、亜麻仁は穀粒の状態でもその構成成分である多価不飽和脂肪酸(α−リノレン酸)が酸化され易いことから味や臭いが経時的に劣化すること、亜麻仁は硬い殻に覆われているために粉砕加工の歩留が悪く硬い殻を主成分とした副産物が得られること、粉砕加工の歩留が悪いため、前記の様な健康機能成分が十分に得られ難いこと等の問題があった。
このような問題を解決するために、特許文献1では亜麻の種子と油とを微粒化して製造した亜麻仁ペーストが提案されている。このような亜麻仁ペーストは10日程度静置保存しておいても固形成分と油分とに分離することはないが、長期間静置保存しておくと固形分と油分に分離し、使用する前に固形分と油分をほぐす作業が必要となる。特に30日以上静置保存しておくと、固形分は硬い塊状になり、手で揉み解すことが極めて困難になるといった問題点があった。
焙煎された胡麻粒を石臼状又はロール状の磨砕機で磨砕して製造される胡麻ペースト(練りごま)においても同様に長期保存すると固形分と油分が分離することが知られており、約2ヶ月程度で完全に分離して固形分が硬い塊状になる。このような問題を解決するために、特許文献2では練り胡麻にエタノールを添加すること、特許文献3では胡麻をすりつぶしたペースト内に硬化油またはショートニングを添加すること、特許文献4ではねり胡麻に多糖類を添加することが開示されている。また、特許文献5では固形分の50%以上の粒子径が0.01〜20μmになるように微粒化することで、ペースト状黒ごまにおける固形分と油分の分離を抑制できることが開示されている。
亜麻仁は非常に硬い殻に覆われており、それに対して胡麻の殻は比較的柔らかい。そのためか、亜麻仁ペーストの分離した固形分は胡麻ペーストの分離した固形分よりも硬く固結しており、分離した亜麻仁ペーストを揉み解すことは分離した胡麻ペーストよりも極めて困難である。胡麻ペーストにおける上記のような手段が必ずしも亜麻仁ペーストに有効では無かった。
特開2017−184632号公報 特開2006−25658号公報 特開2005−204568号公報 特開平02−31943号公報 特開2008−220276号公報
長期保存しても固形分と油分の分離が起こらない亜麻仁ペースト組成物及びそれを含む食品を提供する。
本発明者等は、亜麻仁粉砕物、食用油及び粘性糖液からなる亜麻仁ペースト組成物であって、粘性糖液のB型粘度計で測定した25℃における粘度(dPa・S)と亜麻仁ペースト組成物の全質量に対する粘性糖液含有率の積が9以上である亜麻仁ペースト組成物とすることによって長期保存しても固形分と油分の分離が起こらない亜麻仁ペースト組成物及びそれを含む食品を提供することが出来ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]亜麻仁粉砕物、食用油及び粘性糖液からなる亜麻仁ペースト組成物であって、亜麻仁粉砕物と食用油の質量比が3:7〜9:1であり、粘性糖液のB型粘度計で測定した25℃における粘度(dPa・S)と亜麻仁ペースト組成物の全質量に対する粘性糖液含有率の積が9以上である前記亜麻仁ペースト組成物。
[2]粘性糖液のB型粘度計で測定した25℃における粘度(dPa・S)が150〜5000dPa・Sである、前記[1]に記載の亜麻仁ペースト組成物。
[3]亜麻仁と食用油を質量比3:7〜9:1の割合で含む混合物をペースト化処理する工程を含む、前記[1]又は[2]に記載の亜麻仁ペースト組成物の製造方法。
[4]亜麻仁と食用油を質量比3:7〜9:1の割合で混合する工程及び該混合物をペースト化処理して亜麻仁粉砕物と食用油からなる亜麻仁ペーストを得る工程、及び亜麻仁ペ−ストと粘性糖液を添加混合する工程を含む前記[3]に記載の亜麻仁ペースト組成物の製造方法。
[5]前記[1]又は[2]に記載の亜麻仁ペースト組成物を含む食品。
[6]ドレッシング又はスプレッドである、前記[5]に記載の食品。
[7]前記[1]又は[2]に記載の亜麻仁ペースト組成物を食品原料に添加する工程を含む、食品の製造方法。
本発明によれば、長期間、例えば60日以上静置保存しても、固形分と油分の分離が起こり難い亜麻仁ペースト組成物を提供することができる。また、長期間、例えば30日以上静置保存しても、固形分と油分の分離が起こり難い亜麻仁ペースト組成物含有食品を提供することができる。長期間静置保存して固形分と油分の分離が生じたとしても、手で容易に揉み解して均質化することできる亜麻仁ペースト組成物を提供することができる。これにより、亜麻仁ペーストを使用した食品、特にドレッシング、マヨネーズ、ディップ、ソース、麺類や鍋物用のスープ、ベーカリー製品用のクリーム、フラワーペースト等のフィリング材、スプレッド等の液状又はペースト状の食品を容易に製造することができる。
本発明の亜麻仁ペースト組成物は亜麻仁粉砕物、食用油及び粘性糖液からなる。
アマニ(亜麻仁)は、欧州の地中海地方原産の自生植物である亜麻科植物アマ(亜麻、学名:Linum usitatissimum)の種子(仁)のことであり、英名 Flax Seed (フラックスシード)、学名 Linum Usitatissimumと呼ばれる。
本発明において、亜麻仁は、国内産、外国産などの産地や品種を問わず原料として使用できる。
未処理、乾燥処理、湿熱処理、乾熱処理等、種子形状が維持された亜麻仁を使用することができる。好ましくは焙煎処理亜麻仁である。焙煎処理することで、胡麻等と同様に風味並びに芳香を得ることができるためである。焙煎処理は、例えば30秒〜120分、100〜400℃で加熱することによって行う。
本発明において食用油としては常温で液体の食用油脂であれば何れも使用可能である。食用油は好ましくは多価不和脂肪酸含有油である。多価不飽和脂肪酸含有油は多価不飽和脂肪酸を構成成分として含有する好ましくはヨウ素価60以上の不飽和脂肪酸含有油である。具体的に示すと、好ましくは亜麻仁油、エゴマ油、魚油、サンフラワー油、大豆油、ヒマワリ油、胡麻油、コーン油、米油、シソ油、オリーブ油、菜種油等であり、より好ましくは亜麻仁油、エゴマ油である。エゴマ油の中でも、α−リノレン酸含量が約60質量%で、亜麻仁油と同等のヨウ素価を有するものが好ましい。
本発明において使用する粘性糖液は、グルコース、ガラクトース、フルクトース等の単糖類;スクロース、マルトース、ラクトース等の二糖類;マルトトリオース等の三糖類;デキストリン等の低分子量の水溶性多糖類;キシリトール、マルチトール、ソルビトール等の糖アルコール;転化糖;異性化糖;澱粉を酵素又は酸により糖化して得られる水飴及び水飴を還元して得られる還元水飴;蜂蜜、メープルシロップ等天然から採取される甘味料;及びそれらの2種以上の混合物を主要成分とする糖液であって、その粘度が150〜5000dPa・Sである粘性糖液である。粘度が150〜5000dPa・Sの範囲であれば、亜麻仁ペーストに対する粘性糖液の添加量を多くしても、固形分と油分の分離が起こらず、固形分が固結すること無く、作業性が良い亜麻仁ペースト組成物を得ることができる。
本発明において、亜麻仁ペースト組成物は、亜麻仁粉砕物と食用油を質量比3:7〜9:1、好ましくは4:6〜8:2で含有する。
本発明において、亜麻仁粉砕物の粒度分布は好ましくは2つのピークに分かれ、小さい粒径のピークの粒径範囲は好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜70μm、最も好ましくは4μm〜50μmであり、大きい粒径のピークの粒径範囲は好ましくは50μm〜2010μm、さらに好ましくは50μm〜1600μm、最も好ましくは60μm〜1200μmである。
本発明において、亜麻仁粉砕物の50%積算径は好ましくは15.5μm〜300μm、さらに好ましくは15.5μm〜50μm、もっとも好ましくは15.5μm〜30μmである。また、亜麻仁ペーストの固形分の90%積算径は好ましくは200μm〜1000μm、さらに好ましくは300μm〜1000μm、もっとも好ましくは300μm〜750μmの範囲である。 なお、本明細書において粒度分布及び粒径は体積基準であり、XX%積算径は粒子径積算分布曲線において粒子の小さい方から積算した積算XX%における粒径を表す。体積基準の粒子径の測定は、公知のレーザー回折・散乱法で測定することができ、その様な装置として、具体的には例えば堀場製作所社製のLA−950V2等を使用することができる。
本発明において、粘性糖液の亜麻仁ペースト組成物全量に対する添加割合は、粘性糖液のB型粘度計で測定した25℃における粘度(dPa・S)と粘性糖液含有率の積が9以上になるように決定することができる。粘度(dPa・S)と粘性糖液含有率(質量%)の積とは、例えば100dPa・Sの粘性糖液の含有率が10質量%である場合、100×0.1=10として算出する。その積が9以上であれば、保存した際に固形分と油分の分離が生じたとしても、手で容易に揉み解して均質化することできる。粘性糖液の含有率の上限は特にないが、粘性糖液を構成する糖にもよるものの、10質量%程度の粘性糖液の添加で亜麻仁ペースト組成物が甘くなる為、亜麻仁ペースト組成物を使用した食品等へ甘味の影響の為に調味調整が必要となることから、甘味が強くなり過ぎないよう15質量%を上限の目安にするのが好ましい。
本発明の亜麻仁ペースト組成物の製造方法は、亜麻仁と食用油を含む混合物をペースト化処理する工程を含む。本発明の亜麻仁ペースト組成物は、亜麻仁と食用油を混合し、該混合物をペースト化して得られる亜麻仁粉砕物と食用油からなる亜麻仁ペーストに粘性糖液を添加混合して製造することができる。また本発明の亜麻仁ペースト組成物は、亜麻仁と食用油を含む混合物をペースト化する工程において粘性糖液の一部又は全部を添加混合し、得られたペースト化された混合物に残りの粘性糖液を添加することによっても得ることができる。
本発明において、亜麻仁と食用油を含む混合物のペースト化工程において、亜麻仁と食用油の質量比は3:7〜9:1、好ましくは2:3〜4:1である。亜麻仁の量が亜麻仁と食用油の質量比3:7よりも少なくなるとペースト化処理により得られるペーストが固液分離する傾向がある。亜麻仁の量が亜麻仁と食用油の質量比9:1よりも多くなるとペースト化の効率が低下する傾向にある。
本発明において、ペースト化処理は湿式微粒化又は湿式粉砕を行うことをいう。なお、ここで湿式微粒化又は湿式粉砕とは対象物を水や油などの液体中で微粒化又は粉砕する方式を意味する。このような処理としては磨石式(砥石式)、切刃式、胴搗式、媒体攪拌式、圧縮式、衝撃式、すり潰式等の湿式微粒化又は湿式粉砕方法及びそれらの組合せを例示することができ、好ましくは磨石式湿式微粒化法又は切り刃式湿式微粒化法、最も好ましくは磨石式湿式微粒化法である。
ペースト化処理の条件は適宜変更することができる。例えば、磨石式湿式微粒化法に用いる磨砕装置(増幸産業社製、スーパーマスコロイダー、型式MKCA6−2JR)であれば、回転速度1000〜3000rpm、と磨石間隔0〜200μmで処理することができる。ペースト化処理は1回のみでも良いが、2回以上複数回繰り返すこともできる。
また切り刃式湿式微粒化法に用いられるカッターミキサー(Stephan food process machinery社製、型式U1500006、切刃No.3D0024-02及びNo.3D0024-1使用)であれば、回転数300〜3500rpm、処理時間2〜20分で処理することが出来る。
この設定は、所望されるペーストの食感や粘度等により適宜変更可能である。
本発明の亜麻仁ペースト組成物は、様々な食品に添加することが可能である。このような食品としてはドレッシング、マヨネーズ、ディップ、ソース、麺類や鍋物用のスープ、ベーカリー製品用のクリーム、フラワーペーストなどのフィリング材、スプレッド等の液状又はペースト状の食品などが挙げられるがこれらに限定されない。
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
製造例1 亜麻仁ペーストの製造
80質量部の焙煎亜麻仁(日本製粉社製)と20質量部の亜麻仁油(日本製粉社製)を容器に投入し(合計約1〜5kg)、ヘラを用いて全体が十分に馴染むように混合した。混合物を磨砕装置(増幸産業社製、スーパーマスコロイダー、型式MKCA6−2JR)に投入し、磨石回転数1500rpm、砥石間隔100μmの条件で亜麻仁ペーストを得た。
製造例2 亜麻仁ペースト組成物の製造
製造例1で得られた亜麻仁ペースト95質量部と粘度4500dPa・Sの還元水飴(物産フードサイエンス社製(エスイー100)5質量部をミキサー(愛工舎社製AC−25S)に投入し、3000rpmで5分間撹拌し、亜麻仁ペースト組成物を得た。
評価例1 保存した亜麻仁ペースト組成物の分散性評価
亜麻仁ペースト組成物を樹脂製の透明袋に100gずつ分取し、脱気密封した後、25℃で静置保存した。保存開始後、10名のパネラーにより10日、30日、60日にペーストの状態を確認し、固形分と油分とに分離している亜麻仁ペースト組成物については転倒混和して再分散するか確認した。転倒混和で再分散しない場合、手で揉み解して再分散させた。
なお、一度分散性試験に供した試料は、本試験用に再利用しないものとした。
評価基準表
Figure 2020022427
試験例1 粘性糖液添加による亜麻仁ペースト組成物の分離抑制試験
表1記載の粘性糖液を使用した以外は製造例2に従って亜麻仁ペースト組成物を製造し、保存後の分散性を評価した。なお、各粘性糖液を室温25℃でRION社製のVISCOTESTER VT−04(B型粘度計)を使用し、No.1ローター又はNo.2ローターを装着して測定した粘度を示した。なお、粘度が800dPa・S未満ではNo.1ローターを、粘度が800dPa・S以上ではNo.2ローターを使用した。
その結果、還元水あめ1を添加した場合、0.2質量%以上添加することにより60日間保存しても亜麻仁ペーストの固結を抑制することができ、5質量%以上添加することにより固形分と油分の分離が起こらなくなった。粘性糖液の粘度がこれ以上高くなると作業性が悪くなり、製造効率に支障をきたすと考えられた。還元水あめ2を添加した場合、1質量%以上添加し、60日間保存したところ、亜麻仁ペーストの固結を抑制することができなかった。5質量%以上添加することにより固形分と油分の分離が起こらなくなった。
還元水あめ2を添加した場合、1質量%以上添加し、60日間保存したところ、亜麻仁ペーストの固結を抑制することができなかった。5質量%以上添加することにより固形分と油分の分離が起こらなくなった。還元水あめ3は、ほぼサラダ油と同等の粘度で、亜麻仁ペーストと混合すると、亜麻仁ペーストを希釈している状態になり、積が9以上となる20質量%の配合実験においても固形分の固結が起こり、保存30日で評価点は1点となった。ブドウ糖液糖果糖1、ブドウ糖液糖果糖2及びはちみつにおいては、還元水あめ1や還元水あめ2と同様、積が9以上となる添加量において60日間保存しても亜麻仁ペーストの固結を抑制することができた。
表1
Figure 2020022427

*積:粘性糖液のB型粘度計で測定した25℃における粘度(dPa・S)と粘性糖液含有率の積
還元水飴1(4500dPa・S):物産フードサイエンス社製エスイー100
還元水飴2(200dPa・S):物産フードサイエンス社製エスイー600
還元水飴3(80dPa・S):物産フードサイエンス社製エスイー600 40%と水60%を混合
ブドウ糖果糖液糖1(1100dPa・S):群栄化学社製スリーシュガー75GF
ブドウ糖果糖液糖2(460dPa・S):群栄化学社製スリーシュガー75FG
はちみつ(980dPa・S):山田養蜂場社製熟成アカシア蜂蜜
試験例2 亜麻仁と亜麻仁油の配合比率の異なる亜麻仁ペーストにおける分離抑制試験
焙煎亜麻仁と亜麻二油との割合を50:50または40:60とした以外は製造例1に従って亜麻仁ペーストを製造し、表2記載の粘性糖を添加して製造例2に従って亜麻仁ペースト組成物を製造した。評価例1に従って分散性を評価した。
その結果、還元水あめ1を添加した場合、5質量%以上添加することにより60日間保存しても亜麻仁ペーストの固結を抑制することができた。
表2
Figure 2020022427
試験例3 亜麻仁ペーストを用いたスプレッドの加工試験
(1)製造例2に従って製造した後60日間保存した亜麻仁ペースト組成物(80質量部)と50℃に加温して溶解したショートニングEX−LT(20質量部)とをカッターミキサー(Stephan food process machinery社製、型式U1500006、切刃No.3D0024−02及びNo.3D0024−1使用)に投入し、3000rpmで10分間混合してスプレッドを得た。得られたスプレッドを300ml容の蓋付き広口ガラス容器に投入し、室温で30日間保存した。保存後のスプレッドは固形分と油分とに分離しておらず、食パンへ塗布した際の伸展性は極めて良好であった。
(2)製造例2において、亜麻仁ペーストを99質量部、還元水あめ1を1質量部として亜麻仁ペースト組成物を製造した以外は上記(1)と同様にスプレッドの加工試験を行った。亜麻仁ペースト組成物は固形分と油分に分離していたが、手でほぐすことができスプレッド製造時における作業性に難はなかった。室温で30日間保存後のスプレッドに分離は認められず、食パンへ塗布した際の伸展性も同様に極めて良好であった。
試験例4 亜麻仁ペーストを用いたドレッシングの加工試験
(1)製造例2に従って製造した後60日間保存した亜麻仁ペースト組成物(50質量部)、砂糖(100質量部)、しょうゆ(100質量部)、食酢(50質量部)、食塩(20質量部)、全卵(20質量部)、サラダ油(200質量部)及び水(250質量部)をカッターミキサー(Stephan food process machinery社製、型式U1500006、切刃No.3D0024−02及びNo.3D0024−1使用、真空ポンプ使用)に投入し、3000rpmで10分間混合してドレッシング(乳化タイプ)を製造した。得られたドレッシングを200ml容のドレッシングボトルに注入し、室温で30日間保存した。保存後のドレッシングは固形分と油分とに分離しておらず、ボトルを傾けることにより容易に野菜サラダへ注加することができた。
(2)製造例2において、亜麻仁ペーストを99質量部、還元水あめ1を1質量部として亜麻仁ペースト組成物を製造した以外は上記(1)と同様にドレッシングの加工試験を行った。亜麻仁ペースト組成物は固形分と油分に分離していたが、手でほぐすことができドレッシング製造時における作業性に難はなかった。室温で30日間保存後のドレッシングに分離は認められず、サラダへの注加も極めて良好であった。

Claims (7)

  1. 亜麻仁粉砕物、食用油及び粘性糖液からなる亜麻仁ペースト組成物であって、亜麻仁粉砕物と食用油の質量比が3:7〜9:1であり、粘性糖液のB型粘度計で測定した25℃における粘度(dPa・S)と亜麻仁ペースト組成物の全質量に対する粘性糖液含有率の積が9以上である前記亜麻仁ペースト組成物。
  2. 粘性糖液のB型粘度計で測定した25℃における粘度(dPa・S)が150〜5000dPa・Sである、請求項1に記載の亜麻仁ペースト組成物。
  3. 亜麻仁と食用油を質量比3:7〜9:1の割合で含む混合物をペースト化処理する工程を含む、請求項1又は2に記載の亜麻仁ペースト組成物の製造方法。
  4. 亜麻仁と食用油を質量比3:7〜9:1の割合で混合する工程及び該混合物をペースト化処理して亜麻仁粉砕物と食用油からなる亜麻仁ペーストを得る工程、及び亜麻仁ぺ−ストと粘性糖液を添加混合する工程を含む、請求項3に記載の亜麻仁ペースト組成物の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の亜麻仁ペースト組成物を含む食品。
  6. ドレッシング又はスプレッドである、請求項5に記載の食品。
  7. 請求項1又は2に記載の亜麻仁ペースト組成物を食品原料に添加する工程を含む、食品の製造方法。
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