JP2017180075A - 鋼矢板の補修工法および補修構造ならびに同補修工法に用いる充填材漏れ防止部材 - Google Patents

鋼矢板の補修工法および補修構造ならびに同補修工法に用いる充填材漏れ防止部材 Download PDF

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Abstract

【課題】部材点数、作業工程を大幅に減らして作業効率を飛躍的に向上させ、しかも鋼矢板が護岸延長方向に沿って湾曲等している場合にも容易に追従して補修できる、施工性、経済性はもとより、確実性、および品質性(信頼性)に優れた、鋼矢板の補修工法および補修構造ならびに同補修工法に用いる充填材漏れ防止部材を提供する。【解決手段】既設鋼矢板1に被掛止レール2が横方向に設けられている。前記被掛止レール2に相互に噛合可能な掛止レール3又は掛止部材13を備えたパネル材4が、その掛止レール3又は掛止部材13と前記被掛止レール2とが係合された状態で前記既設鋼矢板1に対面配置されている。前記対面配置された既設鋼矢板1とパネル材4との間にコンクリート5等の充填材が充填されてなる。【選択図】図1

Description

この発明は、主に農業水利施設に供される水路の護岸として使用されている既設(既存)の鋼矢板を補修する技術分野に属する。
戦後の灌漑排水事業の一環として、農地周辺の河川へ連なる用水路や排水路(以下、水路という。)が整備された。この農作業のための水路は、施工性と経済性の良さからその両側に鋼矢板を連続的に打設して形成しているものが多いが、未だ、その大部分が適切な補修を行うことなく利用されているのが現実である。
しかし、水路の護岸として用いられる鋼矢板は、建設時から数十年が経過して老朽化が進んでいるものが多く、鋼材の腐食(特には干満帯の腐食)により、鋼矢板、ひいては護岸の強度・剛性の低下が懸念されている。
そこで、近年、この老朽化した既設鋼矢板について、適切な補修を行うことにより確実に腐食を防止し、水路施設等の長寿命化を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
前記特許文献1には、以下の工程を経て鋼矢板を補修する工法が開示されている。
連結プレート(11)を残存型枠(1)のアンカーナット(3)に対してボルト(4)で固定する工程。
既設の鋼矢板(20)から所定の距離を隔てて対向する位置に、前記残存型枠(1)を設置する工程。
螺条(12a)が刻設された接続部材(12)の基端を前記連結プレート(11)の止金具(11b)に螺合させると共に、ねじ込み量を調整して前記接続部材(12)の長さ寸法(M)の調節を行う工程。
前記接続部材(12)の先端を前記鋼矢板(20)に溶着固定する工程。
先に設置した残存型枠(1)の横方向又は高さ方向にて隣接する位置に次の残存型枠(1)を配置すると共に、前記次の残存型枠(1)を移動させ、前記先の残存型枠(1)に固定した連結プレート(11)の切欠き(11d)内に前記次の残存型枠(1)のボルト(4)を挟み込む工程。
挟み込んだボルト(4)を締結して隣接する両残存型枠(1)同士を連結して連結壁(17)を構築する工程。
前記鋼矢板(20)と前記連結壁(17)との間にコンクリート又はモルタル(22)を充填して固化させる工程(以上、特許文献1の請求項9参照)。
この特許文献1に係る補修工法によれば、鋼矢板の前方に配設した残存型枠が外装材の役割を果たすので、鋼矢板の腐食を防止でき、鋼矢板が敷設された水路施設や護岸擁壁の長寿命化を図ることができる旨の記載が認められる(特許文献1の段落[0042]参照)。
特開2014−211068号公報
しかしながら、前記特許文献1に係る補修工法は、施工性、経済性の点で以下の課題があった。
(1)多数の残存型枠を連結プレートを介して縦横方向に連結する作業を現場で逐一行わなければならず、大変煩わしい。
(2)残存型枠の四隅部に配設した接続部材のそれぞれのねじ込み量を調整して長さ寸法調節を行わなければならず、部材点数が多い上に、大変煩わしい。この課題は、残存型枠の数量が多くなればなるほど顕在化する。しかも、この長さ寸法調節作業は、鋼矢板の外面が背面側の地盤の土圧作用により倒れ込み(前傾)等して変形している場合、又は設計上、護岸延長方向に沿って湾曲(カーブ)している場合は特に煩わしく、対応できない(追従不能な)事態も生じる。
(3)前記接続部材の長さ寸法調節後、さらに各接続部材の先端を鋼矢板に溶着固定する作業も加わるので、工期が顕著に長期化し、コストも嵩む。しかもこの溶着固定作業は、通常、既設鋼矢板と残存型枠とのピッチは揃っていないので、補修部位によっては接続部材の先端を不安定な鋼矢板の傾斜ウエブ上に溶着固定する必要もあり、熟練工を要する等、品質のよい補修を行うには更に工期が長期化し、コストが嵩むという問題もあった。
本発明は、上述した背景技術の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、部材点数、作業工程を大幅に減らして作業効率を飛躍的に向上させ、しかも鋼矢板が護岸延長方向に沿って湾曲等している場合にも容易に追従して補修できる、施工性、経済性はもとより、確実性、および品質性(信頼性)に優れた、鋼矢板の補修工法および補修構造ならびに同補修工法に用いる充填材漏れ防止部材を提供することにある。
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る鋼矢板の補修工法は、既設鋼矢板に横方向に延びる被掛止レールを設け、前記被掛止レールへ相互に噛合可能な掛止レール又は掛止部材を設けたパネル材を、その掛止レール又は掛止部材を前記被掛止レールに掛け止めることにより既設鋼矢板に対面するように配置し、しかる後、前記既設鋼矢板とパネル材とが形成する空間内にコンクリート等の充填材を充填し養生してなることを特徴とする。
請求項2に記載した発明に係る鋼矢板の補修工法は、既設鋼矢板に被掛止部材を設け、前記被掛止部材へ相互に噛合可能な掛止レールを設けたパネル材を、その掛止レールを前記被掛止部材に掛け止めることにより既設鋼矢板に対面するように配置し、しかる後、前記既設鋼矢板とパネル材とが形成する空間内にコンクリート等の充填材を充填し養生してなることを特徴とする。
請求項3に記載した発明に係る鋼矢板の補修工法は、請求項1又は2に記載した鋼矢板の補修工法において、前記充填材の充填作業に先行して、前記パネル材における充填不良を生じ易い部位の対応する位置に充填状態確認用の孔を設けておき、当該孔は充填確認後に閉塞することを特徴とする。
請求項4に記載した発明に係る鋼矢板の補修工法は、請求項1〜3のいずれか1項に記載した鋼矢板の補修工法において、前記既設鋼矢板は、その上部に笠コンクリートブロックを備え、当該笠コンクリートブロックに穿設した充填孔を通じて前記充填材を充填するに際し、当該充填作業に先行して、前記パネル材の上端部に、前記笠コンクリートブロックの下面に当接してパネル材と笠コンクリートブロックとが形成する隙間を塞ぐ閉塞プレートを設けておくことを特徴とする。
請求項5に記載した発明に係る鋼矢板の補修工法は、請求項4に記載した鋼矢板の補修工法において、前記パネル材は、キーストンプレート等の金属製波形軽量パネル材とし、
前記金属製波形軽量パネル材の上端部に設ける閉塞プレートは、当該パネル材の上端に水平に載り同パネル材の波高よりも長いウエブ部と、同ウエブ部の両端から互いに逆方向に延びる上下のフランジ部とからなる横向きのZ形金物とし、前記パネル材の上端に前記Z形金物のウエブ部を載せた状態で、下方向に延びる下フランジ部と前記パネル材の上端部とを接合しておくことを特徴とする。
請求項6に記載した発明に係る鋼矢板の補修工法は、請求項1〜5のいずれか1項に記載した鋼矢板の補修工法において、補修領域における前記既設鋼矢板に既設の水抜き孔が設けられているとき、
前記充填材の充填作業に先行して、前記パネル材における前記水抜き孔に対応する部位に貫通孔を形成し、当該貫通孔に、前記水抜き孔に連通するように接続したパイプ材を貫通させて前記パネル材の外方へ突き出しておくことを特徴とする。
請求項7に記載した発明に係る鋼矢板の補修工法は、請求項6に記載した鋼矢板の補修工法において、前記パネル材は、キーストンプレート等の金属製波形軽量パネル材とし、
パイプ通し孔を備えた平板部と、同平板部からパイプ通し孔を囲むように立ち上がり、前記貫通孔へ嵌挿される前記パネル材の波高よりも高い突出部とからなる充填材漏れ防止部材を、その突出部を前記貫通孔へ嵌挿させた状態で前記平板部を前記パネル材の外側面へ当接させて接合し、しかる後、その平板部のパイプ通し孔に、前記水抜き孔に連通するように接続したパイプ材を貫通させて前記パネル材の外方へ突き出しておくことを特徴とする。
請求項8に記載した発明に係る充填材漏れ防止部材は、金属製波形軽量パネル材を用いた鋼矢板の補修工法に用いる充填材漏れ防止部材であって、パイプ通し孔を備えた平板部と、同平板部からパイプ通し孔を囲むように立ち上がり、前記金属製波形軽量パネル材に形成された貫通孔へ嵌挿される前記金属製波形軽量パネル材の波高よりも高い突出部とからなることを特徴とする。
請求項に記載した発明に係る鋼矢板の補修構造は、既設鋼矢板に被掛止レールが横方向に設けられていること、前記被掛止レールに相互に噛合可能な掛止レール又は掛止部材を備えたパネル材が、その掛止レール又は掛止部材と前記被掛止レールとが係合された状態で前記既設鋼矢板に対面配置されていること、
前記対面配置された既設鋼矢板とパネル材との間にコンクリート等の充填材が充填されていることを特徴とする。
請求項10に記載した発明に係る鋼矢板の補修構造は、既設鋼矢板に被掛止部材が設けられていること、前記被掛止部材に相互に噛合可能な掛止レールを備えたパネル材が、その掛止レールと前記被掛止部材とが係合された状態で前記既設鋼矢板に対面配置されていること、
前記対面配置された既設鋼矢板とパネル材との間にコンクリート等の充填材が充填されていることを特徴とする。
請求項11に記載した発明に係る鋼矢板の補修構造は、請求項9又は10に記載した鋼矢板の補修構造において、補修領域における前記既設鋼矢板には被掛止レールと被掛止部材とが併用され、及び/又は前記パネル材には掛止レールと掛止部材とが併用されてなることを特徴とする。
請求項12に記載した発明に係る鋼矢板の補修構造は、請求項9〜11のいずれか1項に記載した鋼矢板の補修構造において、前記パネル材は、キーストンプレート等の金属製波形軽量パネル、又は残存型枠であることを特徴とする。
請求項13に記載した発明に係る鋼矢板の補修構造は、請求項に記載した鋼矢板の補修構造において、前記被掛止レールは、既設鋼矢板に設けられた状態で溝部を形成するC形鋼、H形鋼、Z形鋼等の鋼材であることを特徴とする。
請求項14に記載した発明に係る鋼矢板の補修構造は、請求項9又は10に記載した鋼矢板の補修構造において、前記掛止レールは、被掛止レール又は被掛止部材と相互に噛合可能なC形鋼、H形鋼、Z形鋼等の鋼材であることを特徴とする。
請求項15に記載した発明に係る鋼矢板の補修構造は、請求項に記載した鋼矢板の補修構造において、前記掛止部材は、被掛止レールと相互に噛合可能な断面略C字形、断面略H字形、又は断面略Z字形等の鋼材であることを特徴とする。
請求項16に記載した発明に係る鋼矢板の補修構造は、請求項10に記載した鋼矢板の補修構造において、前記被掛止部材は、既設鋼矢板に設けられた状態で溝部を形成する断面略C字形、断面略H字形、又は断面略Z字形等の鋼材であることを特徴とする。
本発明に係る鋼矢板の補修工法および補修構造ならびに同補修工法に用いる充填材漏れ防止部材によれば、以下の効果を奏する。
(1)補修構造の主たる構成部材は、被掛止レール2、掛止レール3、およびパネル材4で足りる等、部材点数が少ない。これに伴い、補修工法は、鋼矢板1に被掛止レール2を設け、これにキーストンプレート4aとユニット化した掛止レール3を順次掛け止め、しかる後、コンクリート5を充填すれば実現できるので、作業工程が少ない上に現場での寸法調節作業等の煩雑な作業もない。よって、経済性、施工性に非常に優れている。
(2)溶接作業は、鋼矢板1に被掛止レール2を設ける最初だけであり、後はリベット6留め等の機械的作業となるので、作業の役割分担を明瞭にできる等、効率的、合理的な施工を行うことができる。
(3)変形等がないフラットな既設鋼矢板1(図1等参照)に適用できることはもとより、前記鋼矢板1の外面が背面側の地盤の土圧作用により倒れ込み等して変形している場合や、鋼矢板11が護岸延長方向に沿って湾曲している場合(図4参照)も、容易かつ確実に対応できるので(詳しくは段落[0038]、[0039]参照)、適用対象となる既設鋼矢板1の形態を問わず、品質性(信頼性)に優れた鋼矢板の補修工法および補修構造を実現することができる。
(4)請求項3に係る発明によれば、充填状態確認用の孔7を設けることで充填材5の充填状態を作業員が目視で確認できるので、より高品質の鋼矢板の補修構造を提供することができる。この孔7は、リベット6留め作業に用いるドリルで穿設でき、また、リベット6で閉塞できるので、簡易かつ効率的に実行できる利点もある。
請求項4、5に係る発明によれば、パネル材4と笠コンクリートブロック14との隙間を閉塞して、看者に対し、洗練され、シンプルですっきりした印象を与え、護岸全体に統一感のあるデザインを実現できるので景観性に優れた鋼矢板の補修構造を提供することができる。
請求項6〜8に係る発明によれば、既設鋼矢板が補修前に有する水抜きの機能を損なうことなく継続して水抜きを行い得るので、機能性に優れた鋼矢板の補修構造を提供することができる。
)まとめると、部材点数、作業工程を大幅に減らして作業効率を飛躍的に向上させ、しかも鋼矢板が護岸延長方向に沿って湾曲等している場合にも容易に追従して補修できる、施工性、経済性はもとより、確実性、品質性(信頼性)、景観性、及び機能性に優れた、鋼矢板の補修工法および補修構造を実現することにより、老朽化した既設鋼矢板について、確実に腐食を防止し、水路施設等の長寿命化を図ることができる。
本発明にかかる鋼矢板の補修構造の要部を示した斜視図である。なお、被掛止レールと掛止レールとの取り合い部は、コンクリートの右側を破断して示している。既設の笠コンクリートブロックや、鋼矢板の背面側の地盤は図示の便宜上省略した。 Aは、鋼矢板とパネル材との掛止状態を示した斜視図であり、Bは、同平面図であり、Cは、同正面図である。なお、図示の便宜上、コンクリートは省略した。また、図1に倣い、既設の笠コンクリートブロックや、鋼矢板の背面側の地盤は図示の便宜上省略した。 Aは、鋼矢板の補修構造に用いる1枚のパネル材(キーストンプレート)に掛止レールを取り付けてユニット化した状態を示した側面図であり、Bは、同正面図であり、Cは、Bの平面図である。 Aは、鋼矢板の補修構造のバリエーションを示した斜視図であり、Bは、同平面図である。 A〜Hは、鋼矢板とパネル材との掛止状態(被掛止レールと掛止レール)のバリエーションを示した正面図である。 鋼矢板の補修構造の更なるバリエーションを示した平面図である。 鋼矢板の補修構造の更なるバリエーションを示した平面図である。 Aは、パネル材のバリエーションを示した斜視図であり、Bは、Aに示すパネル材を用いて構築した鋼矢板の補修構造を示した正面図である。 Aは、金属製波形軽量パネル材専用の充填材漏れ防止部材を示した斜視図であり、Bは、同パネル材に矩形状の貫通孔を示した斜視図であり、Cは、同貫通孔に前記充填材漏れ防止部材を装着した状態を示す斜視図であり、Dは、同背面斜視図である。 A〜Cは、鋼矢板の代表例を示した平面図である。
次に、本発明に係る鋼矢板の補修工法および補修構造ならびに同補修工法に用いる充填材漏れ防止部材の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る鋼矢板の補修構造10は、図1、図2に示したように、既設鋼矢板1に被掛止レール2が横方向に設けられている。
前記被掛止レール2に相互に噛合可能な掛止レール3を備えたパネル材4が、その掛止レール3と前記被掛止レール2とが係合された状態で前記既設鋼矢板1に対面配置されている。
前記対面配置された既設鋼矢板1(以下適宜、鋼矢板1と略す。)とパネル材4との間にコンクリート5等の充填材が充填されてなる。
ちなみに、本実施例に係るパネル材4の高さは、図2Cが分かりやすいように、鋼矢板1の高さよりも低く設定されている。これは、鋼矢板1の補修は、通常、腐食が集中する干満帯の上面よりも高ければ足りるからである。
本発明の実施対象とする鋼矢板1の代表的形態を図10A〜Cに示すが、本発明は、図10A〜Cに示すタイプの鋼矢板に限らず、被掛止レール2を固定可能な定着面Xを備えたすべての鋼矢板に対して実施できる。ちなみに一例として、図1に係る補修構造は、図10Aタイプの鋼矢板を実施対象とし、後述する図4に係る補修構造は、図10Bタイプの鋼矢板を実施対象としている。
本実施例に係る被掛止レール2は、チャンネル鋼が用いられ、これを鋼矢板1に対して水平方向(横方向)に位置決めし、当該鋼矢板1と溶接等の接合手段により一体化されている。
この被掛止レール2は、前記チャンネル鋼の開口部を上向きに設定し、要所で継ぎ足して一連の溝形状レールに形成して実施されている。
前記被掛止レール2は、一例として40×20×2.3(mm)のSS400が用いられているが、構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
また、前記被掛止レール2は、鉛直方向に所定の間隔をあけて3段構成で実施しているが、被掛止レール2や掛止レール3の部材剛性、補修面積等に応じて適宜設計変更可能である。ちなみに本実施例では、鋼矢板1の下端から300mmの部位に最下段レール2を固定し、各レール2、2間は700mmの間隔をあけて固定されている。
なお、本実施例において、最下段レール2を鋼矢板1の下端から300mmの部位に設定したのは、仮に400mm程度離すと、コンクリート5の充填要領(打設要領)にもよるが、コンクリート5の充填圧(打設圧)によりパネル材4の下端部が変形する虞があり、これを未然に防止するためである。
一方、本実施例に係る掛止レール3は、前記被掛止レール2と一対をなすチャンネル鋼が用いられ、これをパネル材4に対して水平方向に位置決めし、当該パネル材4とリベット6留めやビス留め等の固定手段により一体化されている。
この掛止レール3は、経済性、合理性を考慮して前記被掛止レール2と同一断面形状の鋼材を用い、前記被掛止レール2と互いに噛み合うように開口部を下向きに設定し、要所で継ぎ足して一連の溝形状レールに形成して実施されている。
前記掛止レール3は、前記被掛止レール2に対応する3段構成で実施しているが、もちろん被掛止レール2の配置、数量に応じて適宜設計変更される。
本実施例に係るパネル材4は、キーストンプレートと称される金属製波形軽量パネル4aが好適に用いられる。このキーストンプレート4aは、大量生産されており部材単価が安く、軽量で作業性がよい利点がある。
本実施例に係るキーストンプレート4aは、一例として、コンクリート5の充填圧に対して変形しない程度の剛性を備えた、高さ2000mm、幅650mm、有効幅630mm、波高25mm、板厚が1.0mmの市販品を採用している。このキーストンプレート4aは、補修部位に応じて護岸延長方向に一部ラップさせてリベット6留めで連結する手法で、所要の大きさのパネル材4を構成することができる。
ちなみに本実施例では、市販された1枚のキーストンプレート4aの上下方向に、予め、使用するキーストンプレート4aの幅寸よりは狭い(短い)幅寸600mmの掛止レール3を、前記被掛止レール2と等間隔で上下に3段構成でリベット6留めにより固定してユニット化したものを必要数量用意し、作業の効率化を図っている(図3参照)。
なお、図3B中の符号7は充填状態確認用の孔を示しているが、当該孔7の作用効果等については段落[0035]で説明する。
本実施例では、市販のキーストンプレート4aを採用しているが、市販のキーストンプレート4aには、高さ1000〜4000mmのバリエーションがあり、鋼矢板1の補修領域に応じて適宜柔軟に対応することができる。例えば、補修部位の高さ(例えば、干満帯の上面)が高い場合等は、高さに応じて種々のサイズを適宜継ぎ足したり、逆に低い場合は高さ1000mmのキーストンプレートを使用したり、或いは切断加工したりして調整する工夫は適宜行われるところである。
また、本実施例では、軽量で断面性能に優れ、作業性がよい理由からキーストンプレート4aを採用しているが、平板状の軽量パネルや、残存型枠でも同様に実施できる(図示省略)。残存型枠の場合は、複数の残存型枠を連結部材を介して縦横方向に連結して例えば畳サイズの大きさに形成し、これに予め掛止レール3を取り付けてユニット化したものを所要数量用意して実施する。
前記鋼矢板1とパネル材4とが形成する空間に充填する充填材は、本実施例ではコンクリート5を用いているがモルタル等の固化材でも同様に実施できる。
次に、上記鋼矢板の補修構造を実現するための補修工法について説明する。
先ず、本補修工法に着手する準備段階として、水の切り回し作業、高圧洗浄作業等を必要に応じて行う。
前記準備が整った段階で、既設鋼矢板1に、横方向に延びる被掛止レール2を、前記した所定の部位に溶接(等の接合手段)で接合する位置出し作業を行う。この位置出し作業は、補修領域(補修部位)にわたり、被掛止レール2を適宜継ぎ足して一連に設けると共に、必要な段数(本実施例では3段)を接合するまで繰り返し行う。
前記位置出し作業と相前後して、又は同時期に、前記パネル材4の設置部位に砕石をひき、底版コンクリートを敷き詰める(図示省略)等のレベル出し作業も行う。
次に、前記パネル材4を、その掛止レール3を前記被掛止レール2に噛み合わせて掛け止めることにより既設鋼矢板1に対面するように配置する。本実施例では、前記したように、予め掛止レール3とキーストンプレート4aとを一体化してなるユニットを用い(図3参照)、当該ユニットの掛止レール3を被掛止レール2に掛け止める作業をユニットの数量に応じて横方向に繰り返し行うことにより補修領域の鋼矢板1に対面配置させる。そして、当該掛止状態のまま、隣接するキーストンプレート4a、4a同士を一部ラップさせてリベット6留めにより連結する作業を繰り返し行うことによりパネル材4を形成する。本実施例に適用可能な1枚のキーストンプレート4aの大きさは、幅650×高さ1000〜4000mmと広いので、補修領域における鋼矢板1の全面を単純な掛け止め作業で速やかに覆うことができる。
かくして、前記パネル材4は、前記底版コンクートの上面に鉛直方向に起立する安定した姿勢を保持しつつ、鋼矢板1にパネル材4自体の荷重を負荷させることなく、その掛止レール3を被掛止レール2に単に掛け留めた状態で、護岸延長方向に沿って隙間なく連続する構成を実現する。
しかる後、前記パネル材4の両端部と補修領域の鋼矢板1との間に形成される空隙部を閉塞する型枠(図示省略)を設置することにより、前後左右の側面部は、鋼矢板1とパネル材4と左右の型枠とで閉塞され、底面部は前記底版コンクートで閉塞された空間内に上方からコンクリート5を充填(打設)し、当該空間内をコンクリート5で充填(通常は充満)させた後に養生し、もって、鋼矢板の補修構造を構築する。
なお、前記コンクリート5の充填作業は、パネル材4の下端部が充填圧で変形し、コンクリート5が漏れる防止や未充填部を設けないように充填量、充填速度を適宜調整しながら行う。
前記した未充填部を設けないための工夫として、本実施例では、パネル材4(キーストンプレート4a)の要所に前記充填状態確認用の孔7を穿設している。すなわち、前記充填材5の充填作業に先行して、前記パネル材4における充填不良を生じ易い部位の対応する位置に充填状態確認用の孔7を設けておく。当該孔7から充填材5が漏出されたことを作業員が目視で確認することにより、充填不良を生じ易い部位にも充填材5が確実に充填されていることが分かる。この孔7は、リベット6留めの際に用いるドリル等によって穿設され、充填材5が充填されたことを作業員が目視で確認した後はリベット6等で閉塞される。
なお、前記充填状態確認用の孔7の穿設部位(前記充填不良を生じ易い部位)は、充填口(充填ホース)から距離が離れている区域(の特には上部)、充填材5が回り込みにくいレール材(被掛止レール2、掛止レール3)の直下部、或いはパネル材4で補修する領域の四隅部等を指す。
前記充填状態確認用の孔7の大きさは、コンクリート流出が多くなることを防ぎながら充填状況を確認できる大きさ、具体的には、砂やセメントミルクの漏出(排出)は可能とするが、礫は目詰まりを生じやすい径(φ)3〜10mmに設定されている。本出願人が行った確認試験では、径(φ)が5mmのときに最も良好な結果が得られた。
また、前記充填状態確認用の孔7の穿設時期は、補修領域における鋼矢板1に対しパネル材4を対面配置に設置した後に穿設してもよいし、図3Bに示すように、予めキーストンプレート4aに穿設しておいてもよい。
次に、上述した鋼矢板の補修工法および補修構造のバリエーションについて説明する。
前記キーストンプレート4aに代えて、平板状の軽量パネルで実施する場合も上述した補修工法と同様の工程を経て鋼矢板の補修構造を構築することができる。
残存型枠で実施する場合も、単一部材重量や隣接する残存型枠同士の連結手段は異なるものの、ユニット化したものを横方向に連結してパネル材4を形成する等、上述した補修工法と同様の工程を経て鋼矢板の補修構造を構築することができる。
前記鋼矢板1の外面が背面側の地盤の土圧作用により倒れ込み(前傾)等して変形している場合は、上位側(最上位)に設ける被掛止レール2及び/又は掛止レール3の幅寸(突き出し寸法)を下位側に設けるそれらよりも短く設定することにより容易に対応できる。
図4に示すように、設計上、鋼矢板11(図10Bタイプ)が護岸延長方向に沿って湾曲(カーブ)している場合は、被掛止レール2の設置部位、幅寸(変位裕度)、又は長さ、掛止レール3の設置部位、幅寸(変位裕度)、長さ、および隣接するキーストンプレート4a、4a同士の連結位置等をシミュレーション解析等に基づき適宜調整し、容易かつ確実に鋼矢板11の湾曲形状に沿って追従可能な補修構造を実現できる(図4B参照)。
図1〜図4に係る実施例は、被掛止レール2と掛止レール3とを共に同形同大の断面コ字形のチャンネル鋼(C形鋼)を用いて実施しているが、これに限定されず、図5A〜Hに例示したように、例えばリップ付きチャンネル鋼、Z形鋼、異形チャンネル鋼、又はH形鋼を適宜組み合わせて互いに噛合可能な構成で実施することもできる。
図1〜図4に係る実施例は、被掛止レール2と掛止レール3とを共にレール状で実施しているが、これに限定されず、図6には、被掛止レール2の代わりに短尺の被掛止部材12を用いた実施例、図7には、掛止レール3の代わりに差し込み部を有する短尺の掛止部材13を用いた実施例を示したように、少なくとも一方がレール状であればよい(掛止状態は、図6、図7のほか、図2Cを援用して参照)。上述したように、前記パネル材4は、鋼矢板1にパネル材4自体の荷重を負荷させる構造ではなく、単に掛け留める構成で実施されるので、短尺化した被掛止部材12や掛止部材13であっても、強度上何ら問題もなく十分に実施できる。
この短尺化した被掛止部材12や掛止部材13は、図示例のほか、前記被掛止レール2や掛止レール13と併用することにより、前記鋼矢板11が護岸延長方向に沿って湾曲(カーブ)している場合に特に効果的に適用できる利点がある。
また、被掛止部材12、掛止部材13は、断面コ字形のチャンネル鋼に限らず、前記したように、相手材(被掛止レール2、掛止レール3)に対して互いに噛合可能な、断面Z字形、断面H字形等の鋼材でも同様に実施することができる。(図5を援用して参照)。
図8は、本発明に係る鋼矢板の補修工法の異なる実施例を示している。この実施例2に係る鋼矢板の補修工法は、上記実施例1と比し、図8Aに示すように、パネル材4(キーストンプレート4a)の上端部に閉塞プレート(Z形金物)8を接合して設けている点が相違する。
すなわち、この実施例2に係る鋼矢板の補修工法は、前記既設鋼矢板1は、その上部に笠コンクリートブロック14を備え、当該笠コンクリートブロック14に穿設した充填孔15を通じて前記充填材5を充填するに際し、当該充填作業に先行して、前記パネル材4の上端部に、前記笠コンクリートブロック14の下面に当接してパネル材4と笠コンクリートブロック14とが形成する隙間を塞ぐ閉塞プレート8を設けておき、その結果、補修領域における鋼矢板1の全面を覆う補修構造を実現する。
具体的に、前記パネル材4は、キーストンプレート4a(等の金属製波形軽量パネル材)とし、前記プレート4aの上端部に設ける閉塞プレート8は、当該プレート4aの上端に水平に載り同プレート4aの波高(25mm)よりも長い(一例として、30mmの)ウエブ部8aと、同ウエブ部8aの両端から互いに逆方向に延びる上下のフランジ部8b、8cとからなる横向きのZ形金物8とし、前記プレート4aの上端に前記Z形金物8のウエブ部8aを載せた状態で、下方向に延びる下フランジ部8cと前記プレート4aの上端部とを当接(面タッチ)させてリベット6留め等の接合手段で接合しておく。
前記閉塞プレート8をZ形状に形成した意義は、波形のパネル材4を用いていることに因る。すなわち、前記パネル材4が平板状の軽量パネル材を用いる場合の閉塞プレート8は、単なるフラット形でも容易に隙間を閉塞できるが、パネル材4が波形の場合は当該波形のパネル材4の凹部(谷部)の天端から充填材5がパネル材4の外部へ漏れる(溢れる)のでフラット形の閉塞プレート8ではその用をなさない。よって、波形のパネル材4の天端をぴったり塞ぐ波高よりも長いウエブ部8aを備えたZ形金物8を採用するに至った。ちなみに、このZ形金物8の材質および色彩は、一例として景観性を考慮し、使用するパネル材4と同様としている。
このZ形金物8によれば、前記パネル材4の波高よりも長いウエブ部8aがパネル材4の凹部からの充填材5の漏出を遮断し、上フランジ部8bが、笠コンクリートブロック14の下面に届く長さ(本実施例では、50mm)とすることにより、充填材5の漏出防止はもとより鋼矢板1の露出を防止し、下フランジ部8cが、パネル材4との良好な接合状態を実現するのに必要な長さ(本実施例では、60mm)とすることにより強度・剛性に優れた接合を実現し、もって、キーストンプレート4a等の金属製波形軽量パネル材であっても、平板状の軽量パネル材と同様な充填材5が漏出することのない閉塞構造を確実に実現することができる。
また、パネル材4と笠コンクリートブロック14とが形成する隙間を閉塞プレート(Z形金物)8で閉塞することにより、既設鋼矢板1の補修領域全面をパネル材4と閉塞プレート8との同一の材質・色彩で覆い隠すことができるので、看者に対し、洗練され、シンプルですっきりした印象を与え、護岸全体に統一感のある景観性に優れた鋼矢板の補修構造を実現することができる。
なお、前記Z形金物(閉塞プレート)8のウエブ部8aの寸法は30mmに限定されず、前記波形のパネル材4の波高や笠コンクリートブロック14の水平方向の突き出し寸法に応じて適宜設計変更可能である。前記上フランジ部8bの寸法も50mmに限定されず、波形のパネル材4の天端と笠コンクリートブロック14とが形成する隙間に応じて適宜設計変更可能である。前記下フランジ部8cの寸法も60mmに限定されず、使用する波形のパネル材4の全長(全高)に応じて適宜設計変更可能である。
また、前記Z形金物(閉塞プレート)8は、補修領域における鋼矢板1に対しパネル材4を対面配置に設置した後に接合して設けてもよいし、予め波形のパネル材4(キーストンプレート4a)の上端部に接合して設けておいてもよい。ちなみに本実施例に係る前記Z形金物8は、予めキーストンプレート4aの上端部に、同プレート4aの有効幅(630mm)にわたって接合して実施している。
図9は、本発明に係る鋼矢板の補修工法の異なる実施例を示している。この実施例3に係る鋼矢板の補修工法は、上記実施例1と比し、パネル材4(キーストンプレート4a)の中間部に貫通孔4a’を形成している点が相違する。
すなわち、この実施例3に係る鋼矢板の補修工法は、補修領域における前記既設鋼矢板1に既設の水抜き孔(図示省略)が設けられているとき、前記充填材5の充填作業に先行して、前記パネル材4における前記水抜き孔に対応する部位に貫通孔4a’を形成し、当該貫通孔4a’に、前記水抜き孔に連通するように接続したパイプ材(図示省略)を貫通させて前記パネル材4の外方へ突き出しておく。このような構成で実施することにより、補修前に有していた既設鋼矢板1の水抜きの機能を損なうことなく継続して水抜きを行うことができる。
前記パネル材4が平板状の軽量パネル材を用いる場合は、前記貫通孔4a’を形成するだけで、特に工夫を施すことなく継続して水抜きを行うことができる。すなわち、前記貫通孔4a’とパイプ材の外周面とが形成する隙間を従来一般の型枠材等の閉塞材を当てがっておき、充填材5が養生した後に閉塞材を撤去すれば、既設鋼矢板1の水抜き孔と連通するパイプ材を通してパネル材4の外方へ水抜きできる構造を実現できる。
しかし、前記パネル材4が波形(金属製波形軽量パネル材)の場合は、前記従来一般の型枠材等の閉塞材を当てがったところで当該波形パネル材4の凹部(谷部)から充填材5が外部へ漏れることを阻止できない。そこで本実施例では、パネル材4が波形の場合は波形パネル材4専用の充填材漏れ防止部材9を用いる。
この充填材漏れ防止部材9は、図9Aに示したように、パイプ通し孔9a’を備えた平板部9a(本実施例では一例として、30×30cm程度)と、同平板部9aからパイプ通し孔9a’を囲むように立ち上がり、前記貫通孔4a’へ隙間なく嵌挿される前記パネル材4の波高(25mm)よりも高い(一例として、30mmの)突出部9bとで構成され、図9C、Dに示したように、その突出部9bを前記貫通孔4a’へ隙間なくきっちり嵌挿させた状態で前記平板部9aを前記パネル材4の外側面へ当接(面タッチ)させてリベット6留め等の接合手段で接合しておく。
この充填材漏れ防止部材9によれば、前記パネル材4の波高よりも高い突出部9bがパネル材4の凹部からの充填材5の漏出を確実に遮断する構成で実施できるので(図9D参照)、前記平板状の軽量パネル材と同様に、補修前に有していた既設鋼矢板1の水抜きの機能を損なうことなく継続して水抜きを行うことができる。すなわち、前記貫通孔4a’にセットした前記充填材漏れ防止部材9のパイプ通し孔9a’とパイプ材の外周面とが形成する隙間を従来一般の型枠材等の閉塞材を当てがっておき、充填材5が養生した後に閉塞材を撤去すれば、前記平板状の軽量パネル材と同様に、既設鋼矢板1の水抜き孔と連通するパイプ材を通してパネル材4の外方へ水抜きできる構造を実現できる。
なお、本実施例では、前記貫通孔4a’、及びこれに嵌挿される突出部9bは矩形状で実施しているがこれに限定されず、円形でも同様に実施できる。前記平板部9aに形成されるパイプ通し孔9a’の形状も円形に限定されず、パイプ材を貫通させることができれば形状は問わない。
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
1 既設鋼矢板
2 被掛止レール
3 掛止レール
4 パネル材
4a キーストンプレート(金属製波形軽量パネル
4a’貫通孔
5 コンクリート
6 リベット
7 充填状態確認用の孔
8 閉塞プレート(Z形金物)
8a ウエブ部
8b 上フランジ部
8c 下フランジ部
9 充填材漏れ防止部材
9a 平板部
9a’パイプ通し孔
9b 突出部
10 鋼矢板の補修構造
11 既設鋼矢板
12 被掛止部材
13 掛止部材
14 笠コンクリートブロック
15 充填孔

Claims (16)

  1. 既設鋼矢板に横方向に延びる被掛止レールを設け、前記被掛止レールへ相互に噛合可能な掛止レール又は掛止部材を設けたパネル材を、その掛止レール又は掛止部材を前記被掛止レールに掛け止めることにより既設鋼矢板に対面するように配置し、しかる後、前記既設鋼矢板とパネル材とが形成する空間内にコンクリート等の充填材を充填し養生してなることを特徴とする、鋼矢板の補修工法。
  2. 既設鋼矢板に被掛止部材を設け、前記被掛止部材へ相互に噛合可能な掛止レールを設けたパネル材を、その掛止レールを前記被掛止部材に掛け止めることにより既設鋼矢板に対面するように配置し、しかる後、前記既設鋼矢板とパネル材とが形成する空間内にコンクリート等の充填材を充填し養生してなることを特徴とする、鋼矢板の補修工法。
  3. 前記充填材の充填作業に先行して、前記パネル材における充填不良を生じ易い部位の対応する位置に充填状態確認用の孔を設けておき、当該孔は充填確認後に閉塞することを特徴とする、請求項1又は2に記載した鋼矢板の補修工法。
  4. 前記既設鋼矢板は、その上部に笠コンクリートブロックを備え、当該笠コンクリートブロックに穿設した充填孔を通じて前記充填材を充填するに際し、当該充填作業に先行して、前記パネル材の上端部に、前記笠コンクリートブロックの下面に当接してパネル材と笠コンクリートブロックとが形成する隙間を塞ぐ閉塞プレートを設けておくことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載した鋼矢板の補修工法。
  5. 前記パネル材は、キーストンプレート等の金属製波形軽量パネル材とし、
    前記金属製波形軽量パネル材の上端部に設ける閉塞プレートは、当該パネル材の上端に水平に載り同パネル材の波高よりも長いウエブ部と、同ウエブ部の両端から互いに逆方向に延びる上下のフランジ部とからなる横向きのZ形金物とし、前記パネル材の上端に前記Z形金物のウエブ部を載せた状態で、下方向に延びる下フランジ部と前記パネル材の上端部とを接合しておくことを特徴とする、請求項4に記載した鋼矢板の補修工法。
  6. 補修領域における前記既設鋼矢板に既設の水抜き孔が設けられているとき、
    前記充填材の充填作業に先行して、前記パネル材における前記水抜き孔に対応する部位に貫通孔を形成し、当該貫通孔に、前記水抜き孔に連通するように接続したパイプ材を貫通させて前記パネル材の外方へ突き出しておくことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載した鋼矢板の補修工法。
  7. 前記パネル材は、キーストンプレート等の金属製波形軽量パネル材とし、
    パイプ通し孔を備えた平板部と、同平板部からパイプ通し孔を囲むように立ち上がり、前記貫通孔へ嵌挿される前記パネル材の波高よりも高い突出部とからなる充填材漏れ防止部材を、その突出部を前記貫通孔へ嵌挿させた状態で前記平板部を前記パネル材の外側面へ当接させて接合し、しかる後、その平板部のパイプ通し孔に、前記水抜き孔に連通するように接続したパイプ材を貫通させて前記パネル材の外方へ突き出しておくことを特徴とする、請求項6に記載した鋼矢板の補修工法。
  8. 金属製波形軽量パネル材を用いた鋼矢板の補修工法に用いる充填材漏れ防止部材であって、
    パイプ通し孔を備えた平板部と、同平板部からパイプ通し孔を囲むように立ち上がり、前記金属製波形軽量パネル材に形成された貫通孔へ嵌挿される前記金属製波形軽量パネル材の波高よりも高い突出部とからなることを特徴とする、充填材漏れ防止部材。
  9. 既設鋼矢板に被掛止レールが横方向に設けられていること、
    前記被掛止レールに相互に噛合可能な掛止レール又は掛止部材を備えたパネル材が、その掛止レール又は掛止部材と前記被掛止レールとが係合された状態で前記既設鋼矢板に対面配置されていること、
    前記対面配置された既設鋼矢板とパネル材との間にコンクリート等の充填材が充填されていることを特徴とする、鋼矢板の補修構造。
  10. 既設鋼矢板に被掛止部材が設けられていること、
    前記被掛止部材に相互に噛合可能な掛止レールを備えたパネル材が、その掛止レールと前記被掛止部材とが係合された状態で前記既設鋼矢板に対面配置されていること、
    前記対面配置された既設鋼矢板とパネル材との間にコンクリート等の充填材が充填されていることを特徴とする、鋼矢板の補修構造。
  11. 補修領域における前記既設鋼矢板には被掛止レールと被掛止部材とが併用され、及び/又は前記パネル材には掛止レールと掛止部材とが併用されてなることを特徴とする、請求項9又は10に記載した鋼矢板の補修構造。
  12. 前記パネル材は、キーストンプレート等の金属製波形軽量パネル、又は残存型枠であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載した鋼矢板の補修構造。
  13. 前記被掛止レールは、既設鋼矢板に設けられた状態で溝部を形成するC形鋼、H形鋼、Z形鋼等の鋼材であることを特徴とする、請求項に記載した鋼矢板の補修構造。
  14. 前記掛止レールは、被掛止レール又は被掛止部材と相互に噛合可能なC形鋼、H形鋼、Z形鋼等の鋼材であることを特徴とする、請求項9又は10に記載した鋼矢板の補修構造。
  15. 前記掛止部材は、被掛止レールと相互に噛合可能な断面略C字形、断面略H字形、又は断面略Z字形等の鋼材であることを特徴とする、請求項に記載した鋼矢板の補修構造。
  16. 前記被掛止部材は、既設鋼矢板に設けられた状態で溝部を形成する断面略C字形、断面略H字形、又は断面略Z字形等の鋼材であることを特徴とする、請求項10に記載した鋼矢板の補修構造。
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