JP2002242151A - コンクリート成形体の連接方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリートパネル等のコンクリート成形体
の現場設置の際に、その設置及び取り付け作業の能率の
向上をはかり得るコンクリート成形体の連接方法を提供
する。 【解決手段】 コンクリート成形体３を互に隣接して設
置し、取り付けるに際し、それぞれのコンクリート成形
体３を連続したガイド１４に沿って横方向に滑動移動さ
せることにより、コンクリート成形体３を夫々隣接接合
させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば岸壁及び護
岸の鋼管矢板または鋼矢板壁の防食や補強のためのコン
クリートライニング工事に、コンクリート型枠として取
り付けられるコンクリート成形体の連接方法と、切り土
盛土等の補強擁壁や、境界線を仕切る塀や、建築物の外
壁等、型枠であれ単なるパネルのみであれ、連続的に配
するコンクリート成形体の連接方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、港湾や河川等に築造された岸壁及
び護岸は鋼管矢板及び鋼矢板で構築されているが、多く
の岸壁及び護岸等の防食対策がなされないまま放置され
ているケースも多く、その腐蝕被害が深刻である。

【０００３】一方、ビルディングの外壁パネルの設置
は、高層化するほど外壁パネルの設置や取り付け数は膨
大な数になる。また、境界線を仕切る壁などはコンクリ
ート成形体などのパネル化が進み、そのパネルの設置や
取り付け数も膨大な数になる。

【０００４】さらに、切り土や盛土の個所を保持する擁
壁や補強擁壁などもコンクリート成形体などのパネル化
が進み、そのパネルの設置や取り付け数も膨大な数とな
る。

【０００５】このようなコンクリート成形体を並べて多
数設置する場合、従来は対面式であり、図１３に示すご
とく、コンクリート成形体、例えばコンクリート型枠パ
ネル３０を上部工２の適宜場所に分散して夫々多数用意
しておき、クレーン（図示せず）により各コンクリート
型枠パネル３０を吊り上げてそれぞれの位置で一々岸壁
等の鋼管矢板や鋼矢板３１からなる壁面におろして係止
固定する。

【０００６】したがって、一枚のコンクリート型枠パネ
ルを固設すると、次にクレーンを次の位置まで移動させ
て同じく次のコンクリート型枠パネル３０を吊り上げて
同じ動作を繰返さなければならず、それらのコンクリー
ト成形体を一々クレーンを移動させながら吊り降ろし
て、取り付け金物に近接させて取り付ける方法が行なわ
れているが作業能率が悪いという問題がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、コンクリー
ト成形体、例えばプレキャストコンクリート成形体の型
枠やパネル及びブロックの現場設置の際に、その設置及
び取り付け作業の能率の向上をはかり得るコンクリート
成形体の連接方法を提供する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、コンクリート
成形体を互に隣接して取付けるに際し、それぞれのコン
クリート成形体をガイドに沿って横方向に滑動移動させ
て各コンクリート成形体を夫々隣接接合させるコンクリ
ート成形体の連接方法からなり、さらにその場合、コン
クリート成形体の適宜個所又はガイド上に滑走体を配し
てコンクリート成形体をガイドに沿って滑動移動させて
連接するようにしたコンクリート成形体の連接方法から
なる。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明でコンクリート成形体と
は、例えばプレキャストコンクリート型枠パネル、建築
物の外壁パネル、擁壁パネル、切り土・盛土の補強擁壁
築造型枠パネル等、さらにはそれらのブロック状のもの
をも意味する。

【００１０】まず、本発明の概要を知るために図１２に
より簡単に説明する。

【００１１】従来技術を説明した図１３と対比すると明
らかなように、上部工２の一個所付近にコンクリート型
枠パネル（以下コンクリートパネルという）３を必要数
だけ積み上げておき、その一枚ずつをクレーン（図示せ
ず）により吊り上げて吊り降ろし、コンクリートパネル
３を、適宜の高さの位置の壁面（例えば鋼矢板１）まで
吊り降ろし、適宜位置で、壁面に沿って設けた下部軌道
金物（ガイド）１４上に載置し、ガイドに沿って矢印の
方向に移動させさえすればコンクリートパネル３を互い
に隣接接合させることができる。

【００１２】以下図面を参照して本発明のコンクリート
成形体（以下単にコンクリートパネルという）の連接方
法の実施の形態につき説明する。

【００１３】図１は岸壁又は護岸の鋼矢板１の防食や補
強のために板状のコンクリートパネル３を取り付けた状
態の側面図であり、図２は図１のコンクリートパネル３
の正面図である。

【００１４】この実施形態の概要は、頂部に上部工２を
設けた鋼矢板１の前面に、鋼矢板１からなる壁面に平行
に、かつ垂直にコンクリートパネル３を型枠として取り
付ける。そして鋼矢板１等からなる壁面とコンクリート
パネル３との間には、図２に示すコンクリートパネル３
の下部中央に設けられたコンクリート注入口２０からコ
ンクリート２２を注入し、鋼矢板１の壁面とコンクリー
トパネル３とをコンクリート２２を介して一体化させ
る。

【００１５】ところで、このコンクリートパネル３は多
数個隣接して設置し、取り付けることにより、鋼矢板１
の前面に複数のコンクリートパネル３の連接面を形成す
ることになる。

【００１６】そこで、上記のごとくコンクリートパネル
３を順次並設して連接面を形成する方法の手順につき詳
細に説明する。

【００１７】まず図３に示すごとく、上部工２を基準に
して、上部工２の上面と前面に合わせて位置決め治具１
９を取り付け、位置決め治具１９の位置を基準として、
図７、図８に示すように、上部軌道具５を支持固定する
Ｌ型鋼の上部軌道支持材４を鋼矢板１から前面に向かっ
て取付け、その上部軌道支持材４に直角に、かつ壁面に
平行にＬ型鋼の上部軌道具５を設置固定する。そして、
図４に示すように下方にブラケット支持金物１０を取り
付け、ブラケット接合金物１１をボルトで固定し、さら
にブラケット支持金物１０の上面にＵ字型の下部軌道金
物１４を壁面に平行に固設する。その際、図１に示す底
板９、底板支持材８及び下部軌道金物支持具１５を取り
付ける。

【００１８】次に、図４に示すように、ガイドとして使
用される挿入ガイド１７を鋼矢板１の側面に、そして側
面傾斜ガイド１６をブラケット支持金物１０にそれぞれ
取り付ける。かくして、コンクリートパネル３をクレー
ン等により、図４から図５、そして図６の状態へと下方
に降ろし、下部軌道金物１４上に載置した滑走体１８上
に位置させた後、順次所定の位置に壁面に平行に滑動移
動させて位置決めする。

【００１９】その際、コンクリートパネル３の設置位置
が水中であったり、周囲に障害物がある場合でも上記側
面ガイド１７や、側面傾斜ガイド１６のガイドに沿って
容易にかつ正確にコンクリートパネル３をＵ字型の下部
軌道金物１４まで迅速な吊り降ろし作業が行なわれる。

【００２０】次に、コンクリートパネル３の上部壁面側
には、図７及びそのＡ−Ａ方向の要部背面図の図８に示
すごとく、上部軌道ガイド具６が取り付けられており、
この上部軌道ガイド具６が鋼矢板１に固定された上部軌
道具支持材４の上面に固定したＬ型鋼の上部軌道具５に
横方向に沿って滑動移動できるように係止される。また
コンクリートパネル３の底端面は、ブラケット支持金物
１０上に載置された、図９及び図１０に示すＵ型鋼の下
部軌道金物１４の溝面をガイドとして、その溝面に沿っ
て壁面に平行に、かつ横方向に滑動させる。その場合、
Ｕ型鋼からなる溝面上には、図１０及び図１１に示す滑
走体１８を載置し、その回転滑走する滑走体１８上に載
置したコンクリートパネル３を横方向に滑動移動させう
るようになっている。またこの場合、滑走体１８をコン
クリートパネルの下面に直接取付けてもよい。

【００２１】例えば図１４（ａ）に示すように、コンク
リートパネル３の上方と下方に滑走体１８を夫々取付け
たり、図１４（ｂ）のように滑走体１８をコンクリート
パネル３の上面に取付けてその支持体４０の内側を滑走
させてもよいし、更には図１４（ｃ）のごとく、コンク
リートパネル３の上下に滑走体１８を取付けて軌道具支
持材４上を壁面に平行に滑走させるようにしてもよい。

【００２２】要するに、一般にはコンクリートパネル３
は、その上部は上部に固設した上部軌道ガイド具６が上
部軌道具５に沿って、また底部を下部軌道金物１４内に
沿って滑動する滑走体１８からなるガイドに沿って、さ
らにその側面は側面ガイド１７に沿って滑動移動が容易
に、かつ円滑に行なわれる。

【００２３】このようにして多数の板状のコンクリート
パネル３を夫々側面傾斜ガイド１６によって滑走体１８
上に載置された位置から順次横方向に雨戸を移動させる
ように移動させて隣接接合させることができる。

【００２４】次に、上記のごとく多数の板状のコンクリ
ートパネル３を図２のごとく隣接接合させた後、コンク
リート注入口２０からコンクリート２２を図１の鋼矢板
１とコンクリートパネル３との間に注入する。さらに上
部工２の下側とコンクリートパネル３の上面との間にコ
ンクリートを充填する際には、図１に示すごとくコンク
リートパネル３の上部と、上部工２の底面との間に形成
された横方向の隙間をふさぐ開口部型枠１３を取り付
け、コンクリート２２を上部工の下面まで完全に注入後
は、コンクリート注入口２０は適宜蓋でふさぐものとす
る。

【００２５】以上のコンクリート２２の打設が完了後
は、図１のＵ字鋼の下部軌道金物１４を載置のために設
けたＬ型鋼の下部軌道金物支持具１５、ブラケット接合
金物１１、ブラケット支持金物１０、底部支持材８及び
底板９等を除去することにより、コンクリートパネル３
の連接面の施工が完了する。

【００２６】すなわち、本発明によれば、コンクリート
パネル３を複数個隣接する際に、コンクリートパネル３
を適宜な位置に配設した側面傾斜ガイド１６や側面ガイ
ド１７に沿って、クレーン等を使用して正確かつ円滑に
所定位置に降ろした後、上部と下部と中間の適宜の位置
に配設した上部軌道ガイド具６及び上部軌道具５と、滑
走体１８を載置した下部軌道金物１４、および側面ガイ
ド１７等をガイドとして多数のコンクリートパネル３を
雨戸の移動と同様に下部軌道金物１４上に沿って滑動移
動させて設置して、その内側にコンクリート２２を打設
することにより壁面へのコンクリートパネル３の設置及
び取り付けを能率的に、かつ容易に、しかも正確に行な
うことができる。

【００２７】

【発明の効果】以上に説明した本発明のコンクリートパ
ネルの連接方法によれば、コンクリートパネルの上部、
下部、および側面等の適宜な位置に設けたガイドを用い
て雨戸式に滑動移動させることにより、コンクリートパ
ネル等の複数個を隣合って連続的に容易かつ能率的に設
置することができ、クレーンを一々移動させながら施工
する必要がないので、その取り付け作業能率を飛躍的に
向上させることができる。

【００２８】また、コンクリートパネルの側面で、クレ
ーン等でコンクリートパネルを吊り降ろす適宜な位置に
ガイドとなる部材を配設することにより、クレーンの吊
り降ろしは同一動作を同じ位置で繰り返すだけで円滑、
かつ容易に吊り降ろしができ、クレーン運転手及び誘導
員の作業能率も向上する。

【００２９】なお、本発明は、岸壁及び護岸が鋼管矢板
及び鋼矢板からなる壁面にコンクリートパネルを取り付
け施工する作業の他、ビルディングの外壁パネルの設
置、または境界線を仕切るパネル等の設置、さらには切
り土や盛土の個所を保持する擁壁や補強擁壁などにパネ
ルを能率よく、容易かつ正確に設置したり取り付ける際
にも有効に適用可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法によりコンクリートパネルを鋼矢
板の側面に取り付けた一実施形態の側面図である。

【図２】図１のコンクリートパネルを正面から見た正面
図である。

【図３】図１のコンクリートパネル取付前に位置決め治
具を当てた状態を示す側面図である。

【図４】図３の後のコンクリートパネルのクレーン吊り
降ろし時の状況を示す側面図である。

【図５】図４に続くコンクリートパネルの吊り降ろし中
の状況を示す側面図である。

【図６】図５に続くコンクリートパネルの所定位置に吊
り降ろし終了直前の側面図である。

【図７】図１の上部軌道具と上部軌道ガイド具の要部拡
大側面図である。

【図８】図７のＡ−Ａ方向の背面図である。

【図９】図１の下部軌道金物の部分拡大斜視図である。

【図１０】図１の下部軌道金物と滑走体の拡大正面図で
ある。

【図１１】図１０の滑走体の側面図である。

【図１２】本発明のコンクリート成形体の連接方法を示
す概略正面図である。

【図１３】従来のコンクリート成形体の連接方法を示す
概略正面図である。

【図１４】本発明における、コンクリートパネルと滑走
体の位置関係を示す要部側面図であって、（ａ）、
（ｂ）、（ｃ）はそれぞれの実施形態を示す要部側面図
である。

【符号の説明】

３ コンクリートパネル ５，１４，１７ ガイド １８ 滑走体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート成形体を互に隣接して取付
   けるに際し、それぞれのコンクリート成形体をガイドに
   沿って滑動移動させて各コンクリート成形体を夫々隣接
   接合させるコンクリート成形体の連接方法。
2. 【請求項２】 コンクリート成形体の適宜個所又はガイ
   ド上に滑走体を配してコンクリート成形体をガイドに沿
   って滑動移動させるようにした請求項１記載のコンクリ
   ート成形体の連接方法。