JP2017179743A - 座屈防止部材及び制震ダンパー - Google Patents
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Abstract
Description
制震ダンパーとフレームに取り付けられる面材との何れか一方に固定される固定部と、フレーム内では他方に当接して制震ダンパーと面材との隙間内に嵌まり込み、制震ダンパーの面外方向への変形を規制する変形規制部とを含んでなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、少なくとも変形規制部が、面外方向で弾性変形する弾性体からなることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、変形規制部における他方との当接面には、フレーム面と平行な平板が取り付けられることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、変形規制部における他方との当接面は、ダンパー部の動作方向に沿って複数の山部が形成される波状であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、制震ダンパー側に固定される固定部は、ダンパー部に係止する係止手段を備えて固定されることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、木造建築物のフレーム内に当該フレーム面と平行に取り付けられ、ダンパー部とその延長上に連結される延長部材とからなる制震ダンパーであって、ダンパー部と延長部材との少なくとも一方に、請求項1乃至5の何れかに記載の座屈防止部材が、固定部を介して固定されてなることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6の構成において、座屈防止部材は、ダンパー部の動作方向に所定間隔をおいて複数固定されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、変形規制部をフレームの面外方向で弾性変形する弾性体としたことで、フレーム内への設置がより簡単となり、長期に亘って面外変形を防止可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、弾性体にフレーム面と平行な平板を取り付けたことで、座屈防止部材を設けてもダンパー部の挙動に影響を及ぼすことがなく、安定した入力が維持できる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、変形規制部の当接面を波状に形成したことで、波状部分も弾性変形して制震ダンパーの面外方向への移動規制作用を生じさせると共に、面材との接触面積が少なくなって摺動時の摩擦抵抗が低減される。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、固定部を係止手段としたことで、現場での座屈防止部材の固定が簡単に行え、取り外しも容易となる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項6の効果に加えて、座屈防止部材を複数固定したことで、面外変形の規制効果が向上すると共に、一つ一つの座屈防止部材をコンパクトに作成でき、コストアップの抑制が期待できる。
[形態1]
図1は、枠組壁工法の木造建築物におけるフレームの一例を示す説明図で、上下の端根太1,1の間には、上枠3と下枠4、左右の縦枠5,5とからなるフレーム2が組み込まれている。図1では一つのフレーム2のみ示している。6は、左右の縦枠5,5の間に設けられる中枠で、フレーム2の厚み方向の前後には、面材(例えば構造用合板)7,7(図2)が張り付けられる。
フレーム2内において、上枠3と右側の縦枠5との仕口部と、左側の縦枠5と下枠4との仕口部との間には、ダンパー部11と、その両端へ同軸で差し込み接合される延長部材としての一対の延長木材12A,12Bとからなる制震ダンパー10が、ブレース状に架設されている。
ここでの外管13は、横断面短手方向に中央から二分割した一対の横断面コ字状の半割金具16,16の開放側を向かい合わせにして、長手方向の全長に亘って延設されたフランジ17,17同士をボルト18及びナット19で接合したもので、各半割金具16における延長木材12Aの接合側の端部には、長手辺部分のみが伸長した連結部20,20が延設されている。この連結部20,20の間に延長木材12Aの端部が差し込まれて木ねじで接合されている。
延長木材12A,12Bは、横断面矩形の長尺材で、ここでは構造用単板積層材が使用されているが、無垢材でも差し支えない。
こうしてダンパー部11の両端へ延長上に接合された延長木材12A,12Bは、仕口部に木ねじで固定されたコ字状のブラケット22,22にそれぞれ端部を差し込んで木ねじで固定することで、中枠6と干渉しないフレーム厚み内の略半分のスペース内で架設される。
平板32は、弾性体31と同形状となる木製の板体で、面材7と平行に弾性体31へ接着されるが、面材7とは接着されておらず、面材7の表面上を摺動可能となっている。
このとき、ダンパー部11は、中枠6と座屈防止部材30との間に挟まれてフレーム2の面外方向への移動が規制されているため、荷重入力軸の偏心が抑えられ、安定した入力で粘弾性体15をせん断変形させることができ、効果的な減衰作用が得られる。弾性体31はダンパー部11と一体に移動し、平板32を面材7に沿って摺動させるため、座屈防止部材30を設けても減衰作用には影響を与えない。
特にここでは、変形規制部を、フレーム2の面外方向で弾性変形する弾性体31としているので、フレーム2内への設置がより簡単となり、長期に亘って面外変形を防止可能となる。
また、弾性体31における面材7との当接面には、フレーム面と平行な平板32が取り付けられているので、座屈防止部材30を設けてもダンパー部11の挙動に影響を及ぼすことがなく、安定した入力が維持できる。
このように係止具36を採用すれば、現場での座屈防止部材30の固定が簡単に行え、取り外しも容易となる。
また、平板は、木製以外に樹脂製や金属製であってもよいし、薄いシート状でもよい。また、板材に代えて、弾性体の平面にシールやテープ等を貼着したり、潤滑剤を塗布したりして面材との間の摩擦抵抗を低減することもできる。弾性体の材質等によっては弾性体を直接面材に当接させることも可能である。
[形態2]
図3(A)に示す座屈防止部材30Aは、鋼板を、平板状の摺接部40と、摺接部40の両端から折曲される一対の側板部41,41とからなる横断面コ字状に折曲して、側板部41の端部に折曲形成した取付片42,42を、ダンパー部11のボルト18を利用して同時に固定したものである。この状態で座屈防止部材30Aは、左右の側板部41,41が外管13の半割金具16を外側から覆い、摺接部40が面材7に当接して面材7との隙間を埋めることになる。ここでは取付片42が固定部、摺接部40及び側板部41が変形規制部となる。なお、側板部41の高さは、ダンパー部11と面材7との間の隙間に合わせて厳密に設定する必要はなく、当該隙間より大きめに作成しておけば、フレーム2内への設置時のたわみによって厚み内に納まる。
このとき、ダンパー部11は、中枠6と座屈防止部材30Aとの間に挟まれてフレーム2の面外方向への移動が規制されているため、荷重入力軸の偏心が抑えられ、安定した入力で粘弾性体15をせん断変形させることができ、効果的な減衰作用が得られる。座屈防止部材30Aは、摺接部40を面材7に摺動させながらダンパー部11と一体に移動するため、減衰作用には影響を与えない。
特にここでは、一枚の鋼板を折曲して、面材7に摺接する摺接部40と、面材7との隙間に合わせて弾性変形する側板部41とを形成しているので、座屈防止部材30Aが低コストで簡単に形成可能となる。
さらに、係止による固定に限らず、図5に示すように、座屈防止部材30Aの幅方向の両端となる取付片42,42に、ゴムバンドや粘着テープ、面ファスナー付テープ等の巻回部材44を1又は軸方向へ所定間隔をおいて複数取り付けて、ダンパー部11に巻回部材44を巻き付けて固定することも可能である。
図6(A)に示す座屈防止部材30Bも、形態2と同様に鋼板を折曲して形成される。但し、ここでは面材7との当接部分が平面状でなく、ダンパー部11の軸方向に沿った複数の山部46と谷部47とが交互に表れる波状部45となっている。取付構造は形態2と同じで、側板部41の端部に折曲形成した取付片42を、ダンパー部11のボルト18を利用して同時に固定したものである。この状態で座屈防止部材30Bは、左右の側板部41,41が外管13の半割金具16を外側から覆い、波状部45は、山部46が面材7に、谷部47が外管13にそれぞれ当接して面材7との隙間を埋めることになる。なお、側板部41の高さは、ダンパー部11と面材7との間の隙間に合わせて厳密に設定する必要はなく、当該隙間より大きめに作成しておけば、フレーム2内への設置時の波状部45の弾性変形によって厚み内に納まる。
このとき、ダンパー部11は、中枠6と座屈防止部材30Bとの間に挟まれてフレーム2の面外方向への移動が規制されているため、荷重入力軸の偏心が抑えられ、安定した入力で粘弾性体15をせん断変形させることができ、効果的な減衰作用が得られる。座屈防止部材30Bは、波状部45を面材7に摺動させながらダンパー部11と一体に移動するため、減衰作用には影響を与えない。
特にここでは、変形規制部(波状部45及び側板部41)における面材7との当接面を、ダンパー部11の動作方向に沿って複数の山部46が形成される波状部45としているので、波状部45も弾性変形してダンパー部11の面外方向への移動規制作用を生じさせると共に、面材7との接触面積が少なくなって摺動時の摩擦抵抗が低減される。
また、ここでも図7に示すように、座屈防止部材30Bの幅方向の両端となる取付片42,42に、ゴムバンドや粘着テープ、面ファスナー付テープ等の巻回部材44を1又は軸方向へ所定間隔をおいて複数取り付けて、ダンパー部11に巻回部材44を巻き付けて固定することも可能である。
図8に示す座屈防止部材30Cは、金属製の固定部となるベース板48に、三角形状の針50,50・・を複数切り起こし形成した変形規制部としての突刺部49を設けたものである。突刺部49は、ダンパー部11の幅方向へ複数(ここでは5つ)並ぶ針50の列を、ダンパー部11の軸方向へ所定間隔をおいて複数並べてなる。この座屈防止部材30Cは、ベース板48を外管13に接着或いは溶接等によって固定することで、突刺部49の各針50が面材7に刺さった状態となって面材7との隙間を埋めることになる。なお、針50の高さは、ベース板48と面材7との間の隙間に合わせて厳密に設定する必要はなく、当該隙間より大きめに作成しておけば、フレーム2内への設置時の針50の刺さり深さの変動或いは針50のたわみによって厚み内に納まる。
このとき、ダンパー部11は、中枠6と座屈防止部材30Cとの間に挟まれてフレーム2の面外方向への移動が規制されているため、荷重入力軸の偏心が抑えられ、安定した入力で粘弾性体15をせん断変形させることができ、効果的な減衰作用が得られる。座屈防止部材30Cは、突刺部49の針50を傾動させながらダンパー部11と一体に移動するため、減衰作用には影響を与えない。
特にここでは、変形規制部を、複数の針50からなる突刺部49としているので、面材7に対する変形時の抵抗を効果的に生じさせることができる。
また、突刺部の各針を面材に刺して固定する一方、座屈防止部材のベース板を外管に対して非接着としてもよい。この場合、座屈防止部材は、振動入力時にベース板を外管に摺動させるため、減衰作用には影響を与えない。この変更例ではベース板及び突刺部が固定部と変形規制部とを兼用する構成となる。
また、図11に示すように、ダンパー部11でもその軸方向へ所定間隔をおいて複数(ここでは3つ)の座屈防止部材30(又は30A〜30C)を断続的に配置することも可能である。なお、図9〜11では、座屈防止部材30の固定位置を網掛け部分で示し、具体的な形状は省略している。
このように座屈防止部材をダンパー部11の動作方向に所定間隔をおいて複数固定すれば、面外変形の規制効果が向上すると共に、一つ一つの座屈防止部材をコンパクトに(軸方向に短く)作成でき、コストアップの抑制が期待できる。
そして、各形態では、中枠と反対側に生じる隙間に座屈防止部材を設けているが、中枠がないフレーム内では、制震ダンパーの両側に生じる隙間にそれぞれ座屈防止部材を設けてもよい。
また、各形態では制震ダンパー側に座屈防止部材を固定して面材に対して摺動させているが、これに限らず、面材側に座屈防止部材を固定して制震ダンパーに対して摺動させることも可能である。
また、ダンパー部と面材との間に紙粘土等の塑性変形材料を充填することも考えられる。この場合、中枠側の隙間にも充填してダンパー部全体を面材の間で覆うように充填してもよい。
さらに、ダンパー部と面材とに同極同士が対向する磁石を取り付けて、磁石の反発力によってダンパー部の面外変形を規制することも考えられる。
加えて、ボールやローラ、バルーン、クッション等の変形規制部をバンド等の固定部で保持してなる座屈防止部材として、ダンパー部に固定部を巻き付ける等して変形規制部をダンパー部と面材との間に位置させることも可能である。
また、フレームの構造も上記形態に限らず、中枠がないものや、柱と横架材(梁や土台)とで形成される在来工法のフレームであっても本発明の座屈防止材を用いた制震ダンパーの採用は可能である。
Claims (7)
- 木造建築物のフレーム内に当該フレーム面と平行に取り付けられ、ダンパー部とその延長上に連結される延長部材とからなる制震ダンパーに用いられる座屈防止部材であって、
前記制震ダンパーと前記フレームに取り付けられる面材との何れか一方に固定される固定部と、前記フレーム内では他方に当接して前記制震ダンパーと前記面材との隙間内に嵌まり込み、前記制震ダンパーの面外方向への変形を規制する変形規制部とを含んでなることを特徴とする座屈防止部材。 - 少なくとも前記変形規制部が、前記面外方向で弾性変形する弾性体からなることを特徴とする請求項1に記載の座屈防止部材。
- 前記変形規制部における前記他方との当接面には、前記フレーム面と平行な平板が取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の座屈防止部材。
- 前記変形規制部における前記他方との当接面は、前記ダンパー部の動作方向に沿って複数の山部が形成される波状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の座屈防止部材。
- 前記制震ダンパー側に固定される前記固定部は、前記ダンパー部に係止する係止手段を備えて固定されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の座屈防止部材。
- 木造建築物のフレーム内に当該フレーム面と平行に取り付けられ、ダンパー部とその延長上に連結される延長部材とからなる制震ダンパーであって、
前記ダンパー部と前記延長部材との少なくとも一方に、請求項1乃至5の何れかに記載の座屈防止部材が、前記固定部を介して固定されてなる制震ダンパー。 - 前記座屈防止部材は、前記ダンパー部の動作方向に所定間隔をおいて複数固定されていることを特徴とする請求項6に記載の制震ダンパー。
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