JP2017179433A - 耐熱塑性変形性にすぐれたwc基超硬合金製工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱塑性変形性と靱性にすぐれたWC基超硬合金製工具を提供する。【解決手段】WC基超硬合金から成るWC基超硬合金製工具であって、WC基超硬合金は、WC硬質粒子とCo結合相とからなり、前記WC基超硬合金のWC−WC接着界面長さ(L1)に対するWC−WC接着界面長さ(L1)とWC−Co接着界面長さ(L2)との総和の比率R(WC−WC接着比率)が、R>(0.82−0.086×D)×(10/V)を満足するWC基超硬合金製工具。(Dは、WCの面積率が50%となるときのWCの粒径であるWC面積平均粒径(μm)で、0.6≦D≦1.5;Vは、結合相体積(vol%)で、9≦V≦14)【選択図】図1
Description
本発明は、耐熱塑性変形性にすぐれたWC基超硬合金製工具に関し、詳しくは、重切削加工や耐熱合金切削時に発生する熱に起因する、WC基超硬合金製工具の刃先の軟化を抑制することにより、工具の長寿命化を図るための耐熱塑性変形性にすぐれたWC基超硬合金製工具に関する。
WC基超硬合金は硬さにすぐれ、すぐれた耐摩耗性を発揮することから、従来から、各種金型工具、切削工具、治工具、機械部品(以下、これらを総称して「工具」という)などに広く用いられている。
しかし、近年、加工条件が厳しくなってきていることから、WC基超硬合金を切削加工用工具刃先として用いた、WC基超硬合金製工具においては、重切削のように刃先負担の大きい加工や、耐熱合金切削のように被削材の熱伝導率が低く、刃先への蓄熱が多い加工により、切削中に刃先の軟化が起こるため、工具寿命が著しく短縮するものとなる。
そこで、このような問題を解決するための方策の一つとして、例えば、特許文献1には、
Coを結合相とする超硬合金において、Coの一部をNi及びFeに置き換えて添加することにより、耐熱塑性変形性を向上させた超硬合金が提案されている。
しかし、近年、加工条件が厳しくなってきていることから、WC基超硬合金を切削加工用工具刃先として用いた、WC基超硬合金製工具においては、重切削のように刃先負担の大きい加工や、耐熱合金切削のように被削材の熱伝導率が低く、刃先への蓄熱が多い加工により、切削中に刃先の軟化が起こるため、工具寿命が著しく短縮するものとなる。
そこで、このような問題を解決するための方策の一つとして、例えば、特許文献1には、
Coを結合相とする超硬合金において、Coの一部をNi及びFeに置き換えて添加することにより、耐熱塑性変形性を向上させた超硬合金が提案されている。
しかしながら、前記特許文献1にて提案されている超硬合金では、耐熱塑性変形性は向上するものの、結合相の成分組成を変更したことにより、機械的特性、特に、靱性値の低下は著しく、そのため、欠損が生じ易く、実用化がむずかしいという問題が生じており、耐熱塑性変形性と靱性を両立させたWC基超硬合金製工具が望まれていた。
そこで、本発明者らは、重切削加工や耐熱合金切削加工等に供した場合において、すぐれた耐熱塑性変形性及び靱性を兼ね備えたWC基超硬合金製工具を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得た。
すなわち、WC基超硬合金の焼結組織において、結合相を形成するCo量を減少させることなく、一定量の結合相を確保することにより、靱性の低下を抑制し、また、一定量の結合相が存在する状況においても硬質相を形成するWC間の密着性を高めること、言い換えれば、WC間の接着比率を高め、WC間の連結性を向上させることにより、耐熱塑性変形性を改善し、耐熱塑性変形性及び靱性を兼ね備えた、WC基超硬合金製工具を見出したものである。
そして、本発明に係るWC基超硬合金製工具は、重切削加工や耐熱合金切削加工等において、すぐれた性能を発揮するものである。
そして、本発明に係るWC基超硬合金製工具は、重切削加工や耐熱合金切削加工等において、すぐれた性能を発揮するものである。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1)WC基超硬合金から成るWC基超硬合金製工具であって、
前記WC基超硬合金は、WC硬質粒子とCo結合相とからなり、
前記WC基超硬合金のWC−WC接着界面長さ(L1)に対するWC−WC接着界面長さ(L1)とWC−Co接着界面長さ(L2)との総和の比率R(WC−WC接着比率)が、
R>(0.82−0.086×D)×(10/V) 式(A)
を満足するWC基超硬合金から成るWC基超硬合金製工具。
ここで、R=(L1)/((L1)+(L2))
D:WC面積平均粒径(μm) 0.6≦D≦1.7
ここで、平均面積粒径とは、WCの面積率が50%となるときの
WCの粒径をいう。
V:結合相体積(vol%) 9≦V≦14 」
を特徴とするものである。
「(1)WC基超硬合金から成るWC基超硬合金製工具であって、
前記WC基超硬合金は、WC硬質粒子とCo結合相とからなり、
前記WC基超硬合金のWC−WC接着界面長さ(L1)に対するWC−WC接着界面長さ(L1)とWC−Co接着界面長さ(L2)との総和の比率R(WC−WC接着比率)が、
R>(0.82−0.086×D)×(10/V) 式(A)
を満足するWC基超硬合金から成るWC基超硬合金製工具。
ここで、R=(L1)/((L1)+(L2))
D:WC面積平均粒径(μm) 0.6≦D≦1.7
ここで、平均面積粒径とは、WCの面積率が50%となるときの
WCの粒径をいう。
V:結合相体積(vol%) 9≦V≦14 」
を特徴とするものである。
本発明のWC基超硬合金製工具に係るWC基超硬合金について、さらに、以下にて詳細に説明する。
[1]WC基超硬合金の組成
<Co含有量>
Coは、WC基超硬合金の結合相形成成分として含有させる。Co含有量は、特に限定するものではないが、Co含有量が4質量%以下では十分な靱性を保持することはできず、一方、Co含有量が8質量%を超えると急激に軟化し、切削工具として必要とされる所望の硬さが得られず、変形および摩耗進行が顕著になることから、WC基超硬合金中のCo含有量は靱性と硬さのバランスを考慮し4〜8質量%程度とすることが好ましい。
<Co含有量>
Coは、WC基超硬合金の結合相形成成分として含有させる。Co含有量は、特に限定するものではないが、Co含有量が4質量%以下では十分な靱性を保持することはできず、一方、Co含有量が8質量%を超えると急激に軟化し、切削工具として必要とされる所望の硬さが得られず、変形および摩耗進行が顕著になることから、WC基超硬合金中のCo含有量は靱性と硬さのバランスを考慮し4〜8質量%程度とすることが好ましい。
<Cr3C2含有量>
Cr3C2は、必要に応じ添加することができ、添加した場合、結合相を形成するCo中にCrとして固溶し、硬質相を形成するWC相の成長を抑制して、WC相の粒径を微細化させ、WC基超硬合金を微粒・均粒組織とし、靱性を高める。WC基超硬合金中のCr3C2の含有量は、特に限定するものではないが、0.8質量%までの範囲での添加が好ましい。
Cr3C2は、必要に応じ添加することができ、添加した場合、結合相を形成するCo中にCrとして固溶し、硬質相を形成するWC相の成長を抑制して、WC相の粒径を微細化させ、WC基超硬合金を微粒・均粒組織とし、靱性を高める。WC基超硬合金中のCr3C2の含有量は、特に限定するものではないが、0.8質量%までの範囲での添加が好ましい。
[2]WC基超硬合金の焼結組織
<WC−WC接着比率(R)、WC面積平均粒径(D)>
WC基超硬合金の焼結体組織におけるR値及びD値は、以下の方法により測定、算出することができる。
まず、WC−WC接着比率Rについては、WC−Co焼結体のイオンミリング加工面に対して、EBSD測定を行い、測定されたWC−WC界面長とWC−Co界面長をR=(L1)/((L1)+(L2))の式に導入することにより算出することができる。
WC面積平均粒径Dについては、まず最初に、WC超硬合金の縦断面を観察し、観察領域内における個々のWC粒子の面積を測定し、所定の面積を有するWC粒子とその累積面積の関係を求め、次に、WC粒子の累積面積が50%となるWC粒子の面積をS50として、S50と同じ面積の円の直径をDとする。
ここで、2次元平面上での面積率は3次元方向においても平均的に同じ比率となっているものと考えられるので、WC基超硬合金における結合相の体積率は、2次元平面上での面積率と同値であるとみなすことができる。
そこで、例えば、WC基超硬合金の縦断面について任意の6視野を選択し、各視野についてFE−SEM(電界放出型走査型電子顕微鏡)にて4000倍で観察し、この観察像を撮影し、この観察像を画像処理により2値化し、WC粒子と結合相とを分別する。
そして、各黒色領域の合計面積と撮影視野全体との比率より求めることができる。
図1に、Co含有量が6質量%、Cr3C2含有量が0.45質量%であるWC−Co超硬合金において、後述する製造方法により得られた本発明に係る超硬合金と従来の製造方法により得られた超硬合金について、R(WC−WC接着比率)とD(WC平均粒径)の関係を示す。
図1より、WC面積平均粒径がほぼ1μmである本発明に係る超硬合金は、同様のWC面積平均粒径を有する従来の超硬合金とは同等レベルの靱性を維持しつつ、R値が相対的に高くなっており、WC粒子間の結合が増し、高い耐熱塑性変形性を生じていることが理解できる。
なお、式(A)は、図1の従来の超硬合金例と同様の傾きを有するものとして設定した。また、式(A)は、結合相の体積率が、10vol%の近傍においても適用できるよう結合相の体積率について、補正係数を設けた。すなわち、幾何学的には結合相体積とWC−WC界面比率は負の相関関係があることが明らかであるから、結合相体積10vol%と評価したい合金の結合相体積との比率を補正係数として設けた。ただし、結合相体積が、9vol%未満では、靱性が大幅に低下し、一方、14vol%を超えると、塑性変形性が低下するため、その適用可能範囲は、9vol%以上、14vol%以下と規定した。
また、WCの面積平均粒径は、EBSDを用いて測定するが、合金の粒度が0.6μmを下回ると、高温下で拡散クリープを主体とする変形が起こりやすくなり、また、1.7μmを超えると、合金の硬度低下により塑性変形性が低下するため、面積平均粒径の範囲は、0.6以上、1.7μm以下と規定した。
<WC−WC接着比率(R)、WC面積平均粒径(D)>
WC基超硬合金の焼結体組織におけるR値及びD値は、以下の方法により測定、算出することができる。
まず、WC−WC接着比率Rについては、WC−Co焼結体のイオンミリング加工面に対して、EBSD測定を行い、測定されたWC−WC界面長とWC−Co界面長をR=(L1)/((L1)+(L2))の式に導入することにより算出することができる。
WC面積平均粒径Dについては、まず最初に、WC超硬合金の縦断面を観察し、観察領域内における個々のWC粒子の面積を測定し、所定の面積を有するWC粒子とその累積面積の関係を求め、次に、WC粒子の累積面積が50%となるWC粒子の面積をS50として、S50と同じ面積の円の直径をDとする。
ここで、2次元平面上での面積率は3次元方向においても平均的に同じ比率となっているものと考えられるので、WC基超硬合金における結合相の体積率は、2次元平面上での面積率と同値であるとみなすことができる。
そこで、例えば、WC基超硬合金の縦断面について任意の6視野を選択し、各視野についてFE−SEM(電界放出型走査型電子顕微鏡)にて4000倍で観察し、この観察像を撮影し、この観察像を画像処理により2値化し、WC粒子と結合相とを分別する。
そして、各黒色領域の合計面積と撮影視野全体との比率より求めることができる。
図1に、Co含有量が6質量%、Cr3C2含有量が0.45質量%であるWC−Co超硬合金において、後述する製造方法により得られた本発明に係る超硬合金と従来の製造方法により得られた超硬合金について、R(WC−WC接着比率)とD(WC平均粒径)の関係を示す。
図1より、WC面積平均粒径がほぼ1μmである本発明に係る超硬合金は、同様のWC面積平均粒径を有する従来の超硬合金とは同等レベルの靱性を維持しつつ、R値が相対的に高くなっており、WC粒子間の結合が増し、高い耐熱塑性変形性を生じていることが理解できる。
なお、式(A)は、図1の従来の超硬合金例と同様の傾きを有するものとして設定した。また、式(A)は、結合相の体積率が、10vol%の近傍においても適用できるよう結合相の体積率について、補正係数を設けた。すなわち、幾何学的には結合相体積とWC−WC界面比率は負の相関関係があることが明らかであるから、結合相体積10vol%と評価したい合金の結合相体積との比率を補正係数として設けた。ただし、結合相体積が、9vol%未満では、靱性が大幅に低下し、一方、14vol%を超えると、塑性変形性が低下するため、その適用可能範囲は、9vol%以上、14vol%以下と規定した。
また、WCの面積平均粒径は、EBSDを用いて測定するが、合金の粒度が0.6μmを下回ると、高温下で拡散クリープを主体とする変形が起こりやすくなり、また、1.7μmを超えると、合金の硬度低下により塑性変形性が低下するため、面積平均粒径の範囲は、0.6以上、1.7μm以下と規定した。
[3]WC基超硬合金の製造方法
本発明では、前記Rの値を満足するWC基超硬合金は、例えば、以下の方法で作製することができる。
まず、WC粉末、Co粉末、及び、必要に応じ、Cr3C2粉末を、所定の組成となるように配合し、ついで、圧粉体を成形し、得られた成形体を低温(具体的には、液相出現温度直上から+50℃までの温度範囲)にて、焼結を行う。
次いで、同じ温度条件(液相出現温度直上から+50℃までの温度範囲)にて一定時間保持後、冷却せずにそのままHIPによる加圧焼結を行うことによって、真空焼結したWC基超硬合金焼結体に形成されている巣に結合相を強制的に回り込ませて緻密化し、前記Rの値を満足するWC基超硬合金焼結体を得ることができる。
本発明では、液相出現温度直上での焼結では液相に十分な流動性がないため、合金全体として緻密化するまでには至らず、1〜20μm程度の巣ができやすいが、次工程のHIP焼結で、この巣があった部分に加圧により結合相を流し込むことにより、1〜20μm程度のサイズの結合相を備えたWC超硬合金焼結体を意図的に作製することができる。
本発明では、前記Rの値を満足するWC基超硬合金は、例えば、以下の方法で作製することができる。
まず、WC粉末、Co粉末、及び、必要に応じ、Cr3C2粉末を、所定の組成となるように配合し、ついで、圧粉体を成形し、得られた成形体を低温(具体的には、液相出現温度直上から+50℃までの温度範囲)にて、焼結を行う。
次いで、同じ温度条件(液相出現温度直上から+50℃までの温度範囲)にて一定時間保持後、冷却せずにそのままHIPによる加圧焼結を行うことによって、真空焼結したWC基超硬合金焼結体に形成されている巣に結合相を強制的に回り込ませて緻密化し、前記Rの値を満足するWC基超硬合金焼結体を得ることができる。
本発明では、液相出現温度直上での焼結では液相に十分な流動性がないため、合金全体として緻密化するまでには至らず、1〜20μm程度の巣ができやすいが、次工程のHIP焼結で、この巣があった部分に加圧により結合相を流し込むことにより、1〜20μm程度のサイズの結合相を備えたWC超硬合金焼結体を意図的に作製することができる。
本発明に係るWC基超硬合金は、合金中WCが隣接するWCと連結しているため、結合相比率が比較的高いにもかかわらず、耐熱塑性変形性が改善された。
また、結合相量を減ずるものではないため、靱性低下はほとんど生じない。このため、従来不可能であった高送り、高切込加工が実現できる。
また、結合相量を減ずるものではないため、靱性低下はほとんど生じない。このため、従来不可能であった高送り、高切込加工が実現できる。
本発明の実施例として、本発明に係るWC基超硬合金を用いた切削加工用インサートに適用した場合について説明する。
まず、焼結用の粉末として、それぞれの平均粒径が1〜2.7μmの範囲内であるWC粉末、Co粉末、及び、必要に応じ、Cr3C2粉末を用意し、これらの粉末を、表1に示す配合組成となるように配合して、原料粉末を作製した。
焼結体において、WC相が結合相によって分断されるのを防ぐために、使用するWC粉末は混合前に加熱処理を施し、粉末表面を1μm以下の酸化物で覆い、このタングステン酸化物によってWCと結合相との濡れ性を低下させておくことが必要である。
混合に際しては、WCを粉砕しない方がよく、粉砕力低下のための混合方法としては、メディアレス混合やメディアの重量を減少させたアトライター混合が望ましい。
焼結体において、WC相が結合相によって分断されるのを防ぐために、使用するWC粉末は混合前に加熱処理を施し、粉末表面を1μm以下の酸化物で覆い、このタングステン酸化物によってWCと結合相との濡れ性を低下させておくことが必要である。
混合に際しては、WCを粉砕しない方がよく、粉砕力低下のための混合方法としては、メディアレス混合やメディアの重量を減少させたアトライター混合が望ましい。
前記の原料粉末を、前記のメディアレス混合等の手段にて湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形して圧粉体1〜7を作製し、この圧粉体を表3に示す焼結温度にて、真空中で、同じく表3に示す保持時間保持して焼結した後、冷却工程を設けず続けて同じく表3に示す温度、時間、圧力でHIP加圧焼結することにより、表5に示す本発明WC基超硬合金焼結体(「本発明超硬合金」という)1〜7を作製した。
比較のために、次の手順により比較例のWC基超硬合金焼結体(以下、「比較例超硬合金」)11〜17を製造した。
まず、本発明に係る圧粉体1〜7の場合と同様に、それぞれの平均粒径が1〜2.7μmの範囲内であるWC粉末、Co粉末、及び、必要に応じ、Cr3C2粉末を表2に示される配合組成になるように原料粉末を作製し、これら原料粉末を、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形して、圧粉体11〜17を作製した。
ついで、圧粉体11〜15については、表4に示される条件で真空焼結して、表6に示す比較例超硬合金11〜15を作製した。
また、圧粉体16〜17については、表4に示される条件で真空焼結してWC基超硬合金焼結体を作製した後、表4に示す条件で冷却し、次いで、同じく表4に示す温度、時間、圧力でHIP加圧焼結して、表6に示す比較例超硬合金16〜17を作製した。
まず、本発明に係る圧粉体1〜7の場合と同様に、それぞれの平均粒径が1〜2.7μmの範囲内であるWC粉末、Co粉末、及び、必要に応じ、Cr3C2粉末を表2に示される配合組成になるように原料粉末を作製し、これら原料粉末を、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形して、圧粉体11〜17を作製した。
ついで、圧粉体11〜15については、表4に示される条件で真空焼結して、表6に示す比較例超硬合金11〜15を作製した。
また、圧粉体16〜17については、表4に示される条件で真空焼結してWC基超硬合金焼結体を作製した後、表4に示す条件で冷却し、次いで、同じく表4に示す温度、時間、圧力でHIP加圧焼結して、表6に示す比較例超硬合金16〜17を作製した。
前記で作製した本発明超硬合金1〜7および比較例超硬合金11〜17について、超硬合金の組成を500倍視野にて加速電圧20kVの条件でのEDS分析により測定した。
表5、表6に、それぞれの組成を示す。
表5、表6に、それぞれの組成を示す。
前記で作製した本発明超硬合金1〜7を研削加工し、PVD法でTiAlNコーティングの膜厚3μmを目標として施したものを、本発明WC基超硬合金製インサート(「本発明インサート」という)1〜7として作製した。
また、同じく、前記で作製した比較例超硬合金11〜17を研削加工し、PVD法でTiAlNコーティングの膜厚3μmを目標として施したものを、比較例WC基超硬合金製インサート(「比較例インサート」という)11〜17として作製した。
また、同じく、前記で作製した比較例超硬合金11〜17を研削加工し、PVD法でTiAlNコーティングの膜厚3μmを目標として施したものを、比較例WC基超硬合金製インサート(「比較例インサート」という)11〜17として作製した。
前記本発明インサート1〜7、比較例インサート11〜17を用いて、以下の条件で、旋削加工試験を行った。
≪高送り旋削試験≫
被削材:インコネル718
切削速度:70m/min
切り込み:0.5mm
送り:0.15mm/rev.
湿式水溶性切削油使用旋削加工試験、
≪高送り旋削試験≫
被削材:インコネル718
切削速度:70m/min
切り込み:0.5mm
送り:0.15mm/rev.
湿式水溶性切削油使用旋削加工試験、
前記旋削加工試験において、逃げ面摩耗量0.25mmを上限として1min毎に先端切れ刃面の摩耗状況等を観察した。
表7に、旋削加工試験の結果を示す。
表7に、旋削加工試験の結果を示す。
表7に示される試験結果によれば、本発明インサートは、耐熱塑性変形性、及び、靱性にすぐれているため、チッピングが発生することもなく、すぐれた耐摩耗性を発揮する。
これに対して、比較例インサートは、加工時の塑性変形に起因する摩耗もしくは欠損により工具寿命が短い。
これに対して、比較例インサートは、加工時の塑性変形に起因する摩耗もしくは欠損により工具寿命が短い。
以上のとおり、本発明WC基超硬合金は、耐熱塑性変形性、及び、靱性にすぐれるものであるから、本発明WC基超硬合金から作製した工具は、チッピング、欠損の発生がなく、すぐれた耐摩耗性を長期の使用にわたって発揮し、工具の長寿命化を図ることが期待される。
Claims (1)
- WC基超硬合金から成るWC基超硬合金製工具であって、
前記WC基超硬合金は、WC硬質粒子とCo結合相とからなり、
前記WC基超硬合金のWC−WC接着界面長さ(L1)に対するWC−WC接着界面長さ(L1)とWC−Co接着界面長さ(L2)との総和の比率R(WC−WC接着比率)が、
R>(0.82−0.086×D)×(10/V) 式(A)
を満足することを特徴とするWC基超硬合金から成るWC基超硬合金製工具。
ここで、R=(L1)/((L1)+(L2))
D:WC面積平均粒径(μm) 0.6≦D≦1.5
ここで、平均面積粒径とは、WCの面積率が50%となるときの
WCの粒径をいう。
V:結合相体積(vol%) 9≦V≦14
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