JP2017178652A - ハイドロタルサイト型粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
{(R)z(Zn)y}(Al)x(OH)2(An−)x/n・mH2O (1)
(式中、Rは、周期表第2族元素を表す。An−は、n価の層間アニオンを表す。xは、0.20以上、0.40以下の数であり、yは、0.20を超えて0.80以下の数であり、zは、0以上、0.40以下の数であって、かつx+y+z=1、及び、y≧zを満たす。nは、1以上、4以下の整数である。mは、0以上の数である。)で表されることが好ましい。これにより滑り性がより向上され、化粧料等の種々の用途により一層有用なものとなる。
本発明はそして、上記ハイドロタルサイト型粒子と、樹脂成分とを含む樹脂組成物でもある。
本発明のハイドロタルサイト型粒子は、板状の一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有する。粒子がこのような構造を有することは、例えば、走査電子顕微鏡写真(SEMとも称す)等の電子顕微鏡写真により判断することができる。
D50は、具体的には、後述の実施例に記載の方法に従って求められる。
{(R)z(Zn)y}(Al)x(OH)2(An−)x/n・mH2O (1)
(式中、Rは、周期表第2族元素を表す。An−は、n価の層間アニオンを表す。xは、0.20以上、0.40以下の数であり、yは、0.20を超えて0.80以下の数であり、zは、0以上、0.40以下の数であって、かつx+y+z=1、及び、y≧zを満たす。nは、1以上、4以下の整数である。mは、0以上の数である。)で表される粒子である。これにより、滑り性がより向上され、化粧料等の種々の用途により一層有用なものとなる。
x、y及びzが上記範囲内にあると、結晶構造が安定する。より安定性を向上させる観点から、〔(z+y)/x〕が1.5/1〜3/1となるようにx等を調整することが好ましい。より好ましくは2/1となるように調整することである。
この観点から、xは、0.25以上であることが好ましく、より好ましくは0.30以上であり、また、0.40以下であることが好ましく、より好ましくは0.35以下であり、特に好ましくはx=1/3(=約0.33)である。
yは、0.24以上であることが好ましく、より好ましくは0.25以上であり、更に好ましくは0.28以上であり、また、0.75以下であることが好ましく、より好ましくは0.70以下である。
zは、0.20以下であることが好ましく、中でも、塩基性低減の観点から、0であることがより好適である。
(Zn)0.67(Al)0.33(OH)2(CO3 2−)0.165・mH2O
(2)
で表される粒子である。この構造では、結晶構造が極めて安定し、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。この構造はJCPDSカード 00−048−1023から確認できる。
本発明のハイドロタルサイト型粒子を得るには、例えば、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物と、水とを含む原料混合物からスラリーを得る工程(I)と、噴霧乾燥工程(II)と、温度75〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(III)とを含む製造方法を採用することが好ましい。この製造方法を採用することで、水熱合成等で必要になる圧力容器等の特殊な装置・設備を導入することなく、容易かつ簡便に、一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有するハイドロタルサイト型粒子を得ることができる。この製造方法もまた、本発明の1つである。
以下、各工程について更に説明する。
工程(I)は、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物と、水(好ましくはイオン交換水)と含む原料混合物から、スラリーを得る工程である。得られるスラリーは、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物とが反応した前駆体Iを含む。具体的には、各原料を混合後又は混合と同時に、中和する工程であることが好ましい。より好ましくは、各原料を混合後に中和することである。
なお、原料混合物やスラリーは、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含んでもよく、各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
なお、工程(I)後、ろ過工程を行うことが好ましい。ろ過物には前記前駆体Iが含まれる。
工程(II)は、噴霧乾燥工程である。
例えば、工程(I)に次いで工程(II)を行い、その後に工程(III)を行う場合、工程(II)では、工程(I)で得た前駆体I(又は前駆体Iを含むスラリー)を噴霧乾燥することが好ましい。
なお、上記前駆体IIIと水とを含むスラリー中、水の含有量は特に限定されないが、例えば、当該スラリー総量100重量%に対し、30〜99重量%であることが好ましい。
工程(III)は、温度75〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(湿潤雰囲気工程とも称す)である。例えば、工程(I)に次いで工程(III)を行う場合は工程(I)で得た前駆体Iを、工程(II)に次いで工程(III)を行う場合は工程(II)で得た前駆体IIを、当該雰囲気下で保持することが好ましい。上記製造方法では、従来法のような水熱や常圧での反応とは異なり、噴霧乾燥工程と、高温高湿雰囲気下に保持するだけの工程とを行うことで、簡便な手段により本発明のハイドロタルサイト型粒子を得ることができ、圧力容器等の特別な装置を不要にすることができる。すなわち製造設備を簡単にすることができる。
本明細書中、工程(III)の保持温度は、当該工程での最高到達温度を意味する。
なお、温度の変動は板状粒子の結晶成長に変化をもたらす場合があるため、保持中の温度の上限と下限の差が10℃以下とすることが好ましい。
本明細書中、工程(III)の相対湿度は、当該工程での最高到達湿度を意味する。
なお、相対湿度の変動は板状粒子の結晶成長に変化をもたらす場合があるため、保持中の湿度の上限と下限の差が10%以下とすることが好ましい。
上記製造方法では、上述した工程(I)〜(III)に加え、必要に応じて1又は2以上の粉砕、分級、洗浄、水熱、熟成、焼成、層間イオンの置換、表面被覆等のその他の工程を含んでもよい。その他の工程は特に限定されない。例えば、粒子構造を崩さない範囲で、粗大粒子の粉砕、分級を行うことが好ましい。粉砕、分級の方法及び条件は特に限定されず、例えばボールミル、ライカイ機、フォースミル、ハンマーミル、ジェットミル、気流分級機、振動篩等を用いて行うことができる。
本発明のハイドロタルサイト型粒子は、滑り性及び化粧料に含めた際の肌への塗布感触に優れ、使用時にひっかかり感がない等、使用感が特に良好なものである。しかもアンモニアや酢酸等の臭い吸着性能やリン化合物の吸着性能にも優れるものである。従って、化粧料、医薬品、医薬部外品、吸着剤、触媒、樹脂用添加剤、酸中和剤等の種々の用途に用いることができる。中でも、化粧料原料として特に有用であり、上記ハイドロタルサイト型粒子を含む化粧料は、本発明の1つである。また、本発明のハイドロタルサイト型粒子を他の無機材料又は有機材料と組み合わせて複合材料としてもよい。例えば、樹脂の強度や耐熱性を向上させる添加剤として又は樹脂の結晶核剤等として、ハイドロタルサイト型粒子を樹脂やプラスチック等の有機材料に任意の割合で混合し、又は埋め込んで樹脂組成物を形成してもよいし、ハイドロタルサイト型粒子を臭い吸着剤等として、フィルムやシート等の成型品を与える樹脂組成物に配合することも好適である。このように上記ハイドロタルサイト型粒子と樹脂成分とを含む樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
以下に、上記化粧料及び樹脂組成物について更に説明する。
上記化粧料は、本発明のハイドロタルサイト型粒子を含むことで、滑りが良く、かつ化粧料に含めた際の肌への塗布感触に優れ、使用時にひっかかり感がない等、使用感が特に良好であるうえ、ソフトフォーカス効果や皮脂吸着効果も期待できるものである。それゆえ、昨今の市場のニーズに特に適したものである。化粧料としては特に限定されず、例えば、ファンデーション、化粧下地、日焼け止め、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、制汗剤、脂取り紙、スクラブ剤等が挙げられる。中でも、ファンデーションが特に好適である。
上記樹脂組成物は、本発明のハイドロタルサイト型粒子と樹脂成分とを含む。樹脂組成物中のハイドロタルサイト型粒子の配合量は、所望の用途や使用する樹脂成分の特性に応じて適宜選択できる。例えば、樹脂成分としてエポキシ樹脂やアクリル樹脂等を使用する場合は、樹脂成分100質量部に対して上記ハイドロタルサイト型粒子を1〜200質量部配合することが好ましく、ポリエチレン樹脂や軟質塩化ビニル樹脂等を使用する場合は、樹脂成分100質量部に対して上記ハイドロタルサイト型粒子を1〜300質量部を配合することが好ましい。配合したものを、例えばコニカルブレンダー、Vブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリミキサー、二本ロール等の混合機、混練機を用いることで、樹脂組成物を作製することができる。
シート状の成形体を得る場合、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対し、上記ハイドロタルサイト型粒子を50〜200質量部、カルシウム−亜鉛系安定剤を3〜5質量部、可塑剤であるジオクチルフタレートを0〜100質量部配合し、二本ロールにて100〜180℃で混練することが好ましく、これにより、シート状の成形体を好適に得ることができる。
−工程(I)−
硫酸亜鉛7水和物96.6gと、354g/Lの硫酸アルミニウム水溶液81.2mL(Al2(SO4)3として28.7g)を混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えた金属塩混合水溶液を得た。別途、720g/Lの水酸化ナトリウム水溶液46.7mLと、炭酸ナトリウム26.7gとを混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えたアルカリ混合水溶液を得た。1Lの丸底フラスコにイオン交換水50mLを入れ、撹拌下において、これら水溶液を加えた。このときのスラリーのpHは9であった。その後、50℃で15分間撹拌することにより、スラリーを得た。
上記工程(I)により得られたスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した。得られたケーキに水を加え撹拌して、乾燥粉として110g/Lのスラリーとした後、噴霧乾燥装置(アトマイザー方式、大川原化工機社製、BDP−22型)にて、ディスク回転数16000rpm、出口乾燥温度105℃の条件で乾燥することにより、ハイドロタルサイト前駆体の粉末を得た。
上記工程(II)により得られた粉末のうち1gを、口内径27mm、高さ15mmのガラスシャーレに入れて、恒温恒湿器(エスペック社製、LH−113)に入れ、室温から85℃、相対湿度85%RHまで15分間かけて調整し、85℃、相対湿度85%RHにて22時間保持し、その後ヒーターへの通電を中止し室温まで冷却した。なお、この工程は大気中で行った。このようにしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(1)を得た。
実施例1において、工程(III)での保持時間を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(2)〜(3)を各々得た。
実施例1において、工程(I)での反応時間(すなわち50℃での撹拌時間)及び工程(III)での保持時間を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(4)を得た。
実施例4で得たハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(4)7gに、イオン交換水100mLを加えて撹拌し、得られたスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸ナトリウム0.39gを加えて1時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した。得られたケーキを105℃の温度で18時間乾燥し、得られた乾燥粉5gをフォースミル(大阪ケミカル社製、FM−1)にて10秒間粉砕することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(5)を得た。
実施例4で得たハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(4)5gをフォースミル(大阪ケミカル社製、FM−1)に入れ、そこにハイドロゲンジメチコン(KF−9901:信越化学工業社製)を0.26g添加し10秒間混合した。得られた粉体を105℃の温度で18時間加熱することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(6)を得た。
実施例4において、工程(I)で用いたZn原料を表1に示すZn原料及びMg原料に変更したこと以外は、実施例4と同様にして、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(7)を得た。
実施例4の工程(I)と同じ操作で得られたスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した。得られたケーキを箱形乾燥装置(エスペック社製、PV−110)にて105℃の温度で18時間乾燥した。この操作を繰り返し、得られた乾燥粉1kgをサンプルミル(スクリーン目開き2mm)にて粉砕した。
得られた粉末を、SUS製トレイに入れて、恒温恒湿器(エスペック社製、LH−113)に入れ、室温から85℃、相対湿度85%RHまで15分間かけて調整し、85℃、相対湿度85%RHにて166時間保持し、その後ヒーターへの通電を中止し室温まで冷却した。なお、この工程は大気中で行った。
その後、得られた粉末に水を加え撹拌して、乾燥粉として110g/Lのスラリーとした後、噴霧乾燥装置(アトマイザー方式、大川原化工機社製、BDP−22型)にて、ディスク回転数16000rpm、出口乾燥温度105℃の条件で乾燥することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(8)を得た。
実施例1において、乾燥工程(II)で使用した噴霧乾燥装置を箱形乾燥装置(エスペック社製、PV−110)に変更して静置乾燥を行った。乾燥温度は105℃、乾燥時間は18時間にしたこと、及び、工程(III)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c1)を得た。
粉末(c1)は、後述するようにSEM画像から球状粒子は確認されなかった(図2−9参照)。
実施例1において、工程(I)での反応時間(すなわち50℃での撹拌時間)を10分としたこと、及び、工程(III)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c2)を得た。
実施例1において、工程(I)での反応時間(すなわち50℃での撹拌時間)を10分としたこと、工程(II)で使用した噴霧乾燥装置を箱形乾燥装置(エスペック社製、PV−110)に変更して静置乾燥を行い、乾燥温度を105℃、乾燥時間を18時間にしたこと、及び、工程(III)での保持時間を168時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c3)を得た。
粉末(c3)は、後述するようにSEM画像から球状粒子は確認されなかった(図2−11参照)。
以下の条件により粉末X線回折パターン(単にX線回折パターンともいう)を測定した。実施例で得た全ての粉体のX線回折パターンは、JCPDSカード 00−048−1023と一致した。
使用機:リガク社製、RINT−UltimaIII
線源:CuKα
電圧:50kV
電流:300mA
試料回転速度:60rpm
発散スリット:1.00mm
発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
走査モード:FT
計数時間:2.0秒
ステップ幅:0.0200°
操作軸:2θ/θ
走査範囲:1.6000〜70.0000°
積算回数:1回
ハイドロタルサイト型粒子の同定に用いたのは以下の資料である。
Zn0.67Al0.33(OH)2(CO3)0.165・xH2O:JCPDSカード 00−048−1023
Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O:JCPDSカード 00−051−1525
以下の条件により比表面積(SSA)の測定を行った。結果を表3に示す。
使用機:マウンテック社製、Macsorb Model HM−1220
雰囲気:窒素ガス(N2)
外部脱気装置の脱気条件:105℃−15分
比表面積測定装置本体の脱気条件:105℃−5分
電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)にて粒子の形状を観察した。各粉体の電子顕微鏡写真を図2−1〜2−11に示す。
図1に示すように、当初は粒度分布は約10〜200μmであるが(粒度分布中の「球状粒子」参照)、指で軽く荷重をかけてつぶしたものでは、粒度分布は約0.05〜1μm付近になる(粒度分布中の「板状粒子」参照)。また、粒子の状態は、当初は写真(a)及び(b)のように球状の粒子構造を有するものの、指で軽く荷重をかけてつぶすと、写真(c)のようにつぶれていることが分かる。
レーザー回折・散乱式粒度分析計(HORIBA社製、型番:LA−950−V2)により粒度分布測定を行った。
まずサンプル(試料粉体)0.1gに0.025wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液60mLを加え、サンプルの懸濁液を準備した。この後、0.025wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を試料循環器に循環させ、透過率が80〜95%になるように上記懸濁液を滴下して、循環速度5、撹拌速度1にて測定を行った。結果を表2に示す。
なお、撥水性の表面処理を施した実施例5、6のサンプルは、溶媒をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液からエタノールに変更したこと以外は、同様の方法で測定した。
実施例及び比較例で得た粉体(試料)のうち、上記3、の電子顕微鏡写真(SEM画像)により球状粒子構造を有することが確認された粉体について(但し、球状粒子構造を有さないことが確認された粉体については当該粉体につき)、500倍の倍率で10視野撮影した。それぞれの写真1枚に付き、無作為に引いた直線上にある凝集粒子5個の長径及び短径を測定した。
各粒子の「長径/短径」の平均値をその画像の平均真球度とし、10枚全ての平均真球度の平均値を真球度とした。結果を表2に示す。
実施例及び比較例で得た粉体(試料)につき、電界放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)により、粒子が50〜10000個程度写るように電子顕微鏡写真を撮影した。この電子顕微鏡写真上に無作為に引いた直線上にある粒子20個の板面径の平均値を、各粉体の平均板面径とした。同様の方法で平均厚み(粒子20個の厚みの平均値)を算出し、(平均板面径の長径/平均厚み)によってアスペクト比を求めた。板面径、厚みが測定しにくい場合は、適宜倍率を上げて撮影したものを用いて測定した。実施例、比較例毎に撮影する粉体を換えてこの操作を10回繰り返し、求めたアスペクト比の平均値を算出した。結果を表2に示す。
各粉体中のMg,Zn,Al含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を用い、以下の方法により測定することができる。
具体的には、以下のように、分光器(SII社製、ICP SPS3100)を使用し、スカンジウム(Sc)を内標準元素とする内標準法により測定する。
まず、試料約0.2gをビーカーに精秤し、塩酸約5mLを加えて溶解させ、100mLメスフラスコに充填し、イオン交換水でメスアップする。これをMg含有量測定では20倍、Zn含有量測定では50倍、Al含有量測定では10倍希釈し、かつSc濃度が10ppmとなるようにSc標準溶液を添加した溶液を試験液とし、下記の測定条件により測定し、得られた生データを下記の計算条件で計算することによりMg,Zn,Al含有量を算出する。結果を表3に示す。
分光器(SII社製、ICP SPS3100)を使用し、波長279.55nm(Mg)、213.86nm(Zn)、396.15nm(Al)、361.49nm(Sc)にてそれぞれ検量線を作成した後、試料を測定する。
検量線用試料の濃度としては、
Mg(ppm)=50,40,30,20,10、
Zn(ppm)=20,16,12,8,4、
Al(ppm)=50,40,30,20,10
の各5点を使用する。
なお、いずれの検量線用試料も、Sc濃度が10ppmとなるようにSc標準溶液を添加した。計算条件は以下の通りである。
各含有量(%)=生データ×100/試料重量(g)×希釈倍率/10000
x=(Al含有量/26.982)÷{(Mg含有量/24.305)+(Zn含有量/65.38)+(Al含有量/26.982)}
により、上記式(1)中のxに該当する値を求めた。結果(式(1)中のx)を表3に示す。
自動比表面積/細孔分布測定装置(製品名「BEL SORP−miniII」、日本ベル社製)を用いて測定した。試料0.1gを測定セルに充填し、200℃にて脱ガス処理を行った後に測定を行った。
平均細孔直径、全細孔容積及び細孔分布を算出するための解析法は、BJH法を用いる。
平均細孔直径とは、全細孔容積の4倍を表面積で除した値のことを示す。これはサンプル中のすべての細孔を円筒形であると仮定し、その円筒型細孔が体積Vだとする。このとき円筒型細孔の体積は以下の式(i)で表される。
V=πD2L/4 (i)
式中、Dは細孔直径、Lは円筒型細孔の長さとする。
次に、円筒型細孔の側面積Aを以下の式(ii)で表す。
A=πDL (ii)
上記式(i)及び(ii)から、次の式(iii)が得られる。
D=4V/A (iii)
上記式(iii)で算出されたDを平均細孔直径とする。
全細孔容積は、BJH法による細孔分布結果から得た全範囲の細孔の積算値である。結果を表3に示す。
各試料の顔料pHを、JIS K5101−17−1(2004)の顔料試験方法に準拠した以下の方法により測定した。
栓付ガラス容器に蒸留水50gに試料5gを投入し、栓を外したまま、約5分間加熱して煮沸状態にした後、更に5分間煮沸した。煮沸後、栓をして常温まで放冷した後、栓を開き、減量に相当する蒸留水を加えて、再び栓をして1分間振り混ぜた後、5分間静置した。栓を取り外し、pH測定器にてpHを測定した。結果を表3に示す。
各試料の吸油量を、JIS K5101−13−1(2004年)に準拠した以下の方法で、ミリスチン酸イソプロピルを用いて測定した。
試料約0.5gを薬包紙に精秤し、ガラス板の中央10cmのスリガラス部分に試料を載せる。ミクロビュレットにミリスチン酸イソプロピル(IPMと称す)を入れ、0.2mLを試料に滴加し、金ベラで練る。その後、IPMを1〜2滴ずつ加え、滴加の都度、全体を金ベラで練る。全体が初めて硬いパテ状の塊になったときを終点とする。
吸油量は次式によって算出した。結果を表3に示す。
吸油量(mL/100g)= {V(mL)÷ 試料重量(g)}× 100
JIS R9301−2−2(1999)アルミナ粉末−第2部:物性測定方法−2:に準拠した以下の方法で測定した。
試料約20gをロートで落下させ、山型に層を形成した時の斜面が水平面となす角を測定した。なお、 安息角は、流動性の良い粉粒体ほど小さく、逆に粉体流動性の良くない粉粒体の場合には大きくなる。結果を表3に示す。
各試料の嵩比重を、JIS K6721(1977)に準拠した以下の方法で測定した。
充分にかき混ぜた粉体約30mlを、嵩比重測定装置(筒井理化学器械社製)のダンパーを差し込んだ漏斗に入れた後、速やかにダンパーを引き抜き、試料を受器に落とす。受器から盛り上がった試料は、ガラス棒ですり落とした後、試料の入った受器の質量を0.1gまで正確に量り、次の式によって嵩比重を小数点以下2けたまで求める。測定は3回行い、その平均値を取る。結果を表3に示す。
Sa=(C−A)/B
Sa:嵩比重
A:受器の質量(g)
B:受器の内容積(mL)
C:試料の入った受器の質量(g)
なお、試験結果の数値は、規定の数値より1けた下の位まで求め、JIS Z8401(199年)(数値の丸め方)により丸める。
各試料の滑り性評価は次のような方法で行った。
スライドガラスに両面テープを貼り付け、粘着面に薬さじ半分程度の粉末(試料)を載せ、化粧用スポンジで粉末を展ばし、その上に摩擦子をセットした。スライドガラスを移動させて、摩擦子にかかる負荷から、平均摩擦係数MIUと平均摩擦係数の変動値MMDを測定した。測定は摩擦感テスター(カトーテック製、KES−SE)により行った。結果を表3に示す。
参考までに、市販の板状マイカ、板状セリサイト、球状ナイロンビーズ、球状シリカ(平均粒径5μm)のMIU及びMMDを表4に示す。
なお、MIU、MMDいずれの値も低く差がない場合は、滑らかに滑り微妙なひっかかり感がないといえる。
(1)まず、実施例及び比較例で得た粉体20.00重量%、マイカ(製品名:Y−2300X、ヤマグチマイカ社製)24.83重量%、セリサイト(製品名:FSE、三信鉱工社製)29.79重量%、球状シリコーン(製品名:KSP-105、信越化学工業社製)6.44重量%、酸化チタン(製品名:R−3LD、堺化学工業社製)7.36重量%、酸化鉄(黄)(製品名:黄酸化鉄、ピノア社製)1.10重量%、酸化鉄(赤)(製品名:ベンガラ、ピノア社製)0.37重量%、ステアリン酸マグネシウム(製品名:JPM−100、堺化学工業社製)0.92重量%、及び、ジメチルシリコーンオイル(製品名:KF96、信越化学工業社製)9.20重量%を、コーヒーミルを用いて1分30秒間撹拌混合した。
得られた粉体状の混合物を、直径20mmφの金型に0.8g測り採り、プレス機を用いて、200kgf/cm2の圧力にて30秒間保持して、ハイドロタルサイト含有ファンデーションを作製した。
得られた粉体状の混合物を、直径20mmφの金型に0.8g測り採り、プレス機を用いて、200kgf/cm2の圧力にて30秒間保持して、ハイドロタルサイト非含有ファンデーションを作製した。
(塗布感触の評価基準)
◎:上記(1)のハイドロタルサイト含有ファンデーションを用いる方が、上記(2)のハイドロタルサイト非含有ファンデーションを用いるよりも塗布感触が良好である。
○: どちらも同じ塗布感触である。
×:上記(2)のハイドロタルサイト非含有ファンデーションを用いる方が、上記(1)のハイドロタルサイト含有ファンデーションを用いるよりも塗布感触が良好である。
(1)アンモニアガス、酢酸ガスの吸着率
試料粉末1.0gを、5Lのサンプリングバック(GLサイエンス社製、PA−A−A−5)に入れ、ブランクとしてサンプルを入れていない5Lのサンプリングバックも用意した。アンモニア又は酢酸を所定濃度含む窒素ガス3Lをサンプリングバック内に注入した後、直ちに密封し、20℃、湿度65%の条件下で1時間静置した。静置後、サンプリングバック内のガス100mLを吸引器で吸入し、ガス濃度をガステック社製検知管で測定した。実施例4で得た粉体を用いた場合のガス吸着率を、表5に示す。
以下の式により、ブランクに対する各種化合物のガス吸着率を算出した。
ガス吸着率(%)=100×(ブランクのガス濃度−評価サンプルのガス濃度)/(ブランクのガス濃度)
なお、ブランクのガス濃度は、評価サンプルを入れずに、各種化合物を所定濃度含む窒素ガス3Lのみを入れたサンプリングバックを密栓し、1時間静置した後に測定したガス濃度である。
−ブランクのガス濃度−
アンモニア:100ppm
酢酸:30ppm
−ガス検知管−
アンモニア:ガステック社製検知管(No.3La)
酢酸:ガステック社製検知管(No.81)
試料粉末0.5gを、5Lのサンプリングバック(GLサイエンス社製、PA−A−A−5)に入れ、ブランクとしてサンプルを入れていない5Lのサンプリングバックも用意した。各種化合物を所定濃度含む窒素ガス0.5Lをサンプリングバック内に注入した後、直ちに密封し、20℃、湿度65%の条件下で1時間静置した。1時間後に、2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキシド(Tenax−TA)入りカートリッジにより、バッグ内の窒素ガス0.1Lに含まれる臭気物質を捕集し、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析を行った。トータルイオンクロマトグラムにおける臭気物質に該当するピークの面積を、付属解析ソフト(GCMS solution Ver.2.6)により求めた。試験は2回行い、各試験で求めたピーク面積の平均値を臭気物質のピーク面積とした。実施例4で得た粉体を用いた場合のガス吸着率を、表5に示す。
以下の式により、ブランクに対する各種化合物のガス吸着率を算出した。
ガス吸着率(%)=100×(ブランクのピーク面積−評価サンプルのピーク面積)/(ブランクのピーク面積)
−ブランクのガス濃度−
trans−2−ノネナール:14ppm
インドール:33ppm
サンプルの透明性評価は、次のような方法にて行った。
サンプル0.3gとメチルポリシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、Element14*PDMS、1000−JC)2.7gを測り採り、よく混合した後、フーバー式マラーを用いて、100rpmの回転速度で100回転させ、ペーストを調製した。そのようにして調製したペーストを、3MILのアプリケーターを用いてガラス板上に均一に成膜した。このようにして得られた塗膜を、ヘイズメーター(日本電色工業製NDH4000型)でヘイズと全光透過率を測定し、透明性を評価した。表6にその結果を示す。
試料の白色度評価は次のような方法で行った。
直径30mm、深さ15mmの石英容器内に試料を半分ほど充填して表面を平滑にした後、分光色彩計(SE−2000:日本電色工業社製)にてハンター表色系L*、a*、b*を測定し、W値、WB値を計算した。表7にその結果を示す。
実施例1〜8で得た粉体は、電子顕微鏡写真(図2−1〜2−8)からも分かるように、板状一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有しており、また、表2より、一次粒子の平均板面径の長径及びアスペクト比が本発明で規定された範囲内となっている。この場合、滑り性の指標であるMIU及びMMDの両方がともに低く(すなわち、ひっかかり感が無く、滑り性に極めて優れており)、化粧料に含めた際の肌への塗布感触も極めて良好なものであった(表3参照)。なお、滑り性に優れることは、市販品との比較からも明らかである(表3、4参照)。
なお、本発明のハイドロタルサイト型粒子は、上記のとおりそれ自体が滑り性に優れるため、これを用いた場合には表面処理剤等の機能性材料の添加を省略又は添加量を低減できる。それゆえ、粒子自体の化粧料への配合量を多くすることができ、結果としてガス吸着量を高めることが可能になると考えられる。
Claims (8)
- 亜鉛元素及び周期表第2族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素と、アルミニウム元素とを含むハイドロタルサイト型粒子であって、
該ハイドロタルサイト型粒子は、一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有し、
該一次粒子は、平均板面径の長径が150〜800nm、アスペクト比(平均板面径の長径/平均厚み)が4.0〜20.0である板状粒子である
ことを特徴とするハイドロタルサイト型粒子。 - 前記ハイドロタルサイト型粒子は、D50が10〜500μmである
ことを特徴とする請求項1に記載のハイドロタルサイト型粒子。 - 前記ハイドロタルサイト型粒子は、下記式(1):
{(R)z(Zn)y}(Al)x(OH)2(An−)x/n・mH2O (1)
(式中、Rは、周期表第2族元素を表す。An−は、n価の層間アニオンを表す。xは、0.20以上、0.40以下の数であり、yは、0.20を超えて0.80以下の数であり、zは、0以上、0.40以下の数であって、かつx+y+z=1、及び、y≧zを満たす。nは、1以上、4以下の整数である。mは、0以上の数である。)で表される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイドロタルサイト型粒子。 - 前記式(1)中、
Rは、マグネシウム元素又はカルシウム元素であり、
xは、0.30以上、0.40以下の数であり、
yは、0.25以上、0.70以下の数であり、
An−は、炭酸イオン(CO3 2−)を表す
ことを特徴とする請求項3に記載のハイドロタルサイト型粒子。 - 表面の一部又は全部が、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を有する化合物で被覆されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハイドロタルサイト型粒子。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のハイドロタルサイト型粒子を製造する方法であって、
該製造方法は、
亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物と、水とを含む原料混合物からスラリーを得る工程(I)と、
噴霧乾燥工程(II)と、
温度75〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(III)と、を含む
ことを特徴とするハイドロタルサイト型粒子の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のハイドロタルサイト型粒子を含む
ことを特徴とする化粧料。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のハイドロタルサイト型粒子と、樹脂成分とを含む
ことを特徴とする樹脂組成物。
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