JP2017178652A - ハイドロタルサイト型粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】滑り性に特に優れ、良好な使用感を奏するハイドロタルサイト型粒子及びこれを含む化粧料を提供すること。また、このようなハイドロタルサイト型粒子を容易かつ簡便に与える製造方法を提供すること。【解決手段】亜鉛元素及び周期表第2族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素と、アルミニウム元素とを含むハイドロタルサイト型粒子であって、該ハイドロタルサイト型粒子は、一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有し、該一次粒子は、平均板面径の長径が150〜800nm、アスペクト比(平均板面径の長径/平均厚み)が4.0〜20.0である板状粒子であるハイドロタルサイト型粒子。【選択図】図2−1

Description

本発明は、ハイドロタルサイト型粒子及びその製造方法に関する。
ハイドロタルサイトは層状粘土鉱物の一種であり、触媒や医薬品、樹脂用添加剤等の多種多様な用途に広く使用されている。化粧料用途でも、余分な皮脂の吸着等の機能付与や、化粧崩れ、テカリの防止を期待して、粒子状のハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト型粒子と称す)が使用されている。従来のハイドロタルサイト型粒子としては、例えば、マグネシウム及びアルミニウムを構成元素とするMg−Al系の棒状粒子を凝集させた球状ハイドロタルサイトが広く知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
ところで、化粧料等の使用感が求められる用途では、使用感を向上させる基材として、球状粒子(例えば、ナイロンビーズ、球状シリカ)や板状粒子(例えば、マイカ、セリサイト)の他、板状化した硫酸バリウムが開発されており、これらの形状に由来して良好な滑り性が発揮されている。
特開2015−182908号公報 WO2011/099378号パンフレット
上述のとおり形状に由来して良好な滑り性を発揮できる粒子が従来開発されてきたが、実際の使用態様では、使用感を更に改善する、すなわち滑り性を更に高めたり、微妙なひっかかり感を低減したりするために、粒子にシリコーンオイル等による表面処理を施すことが一般的である。化粧料にはこのような表面処理剤の他、紫外線吸収材料等の様々な機能性材料を添加する必要があり、化粧料の使用感を向上させる基材の相対量には自ずと限界がある。従って、場合によっては、快適な滑り性を発揮できる最低限量の粒子を化粧料に含めることができないことがあり、よって、基材が有する機能を最大限に発揮できないうえ、表面処理を施すと基材表面に由来する機能が低下することもあることから、これらの点で課題を有していた。
だが、従来の技術では、この課題を解決することはできなかった。例えば、特許文献1、2に記載の球状ハイドロタルサイトでは、棒状の粒子が3μmほどに固く凝集していることから滑り性が充分ではないため、この点に課題があった。
本発明は、上記現状に鑑み、滑り性に特に優れ、良好な使用感を奏するハイドロタルサイト型粒子及びこれを含む化粧料を提供することを目的とする。また、このようなハイドロタルサイト型粒子を容易かつ簡便に与える製造方法を提供することも目的とする。
本発明者は、ハイドロタルサイト型粒子について鋭意検討を進めるうち、所定の元素を構成元素とし、かつ板状一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有するハイドロタルサイト型粒子の製造に成功した。この粒子は、弱いシェア(圧力)をかければ一次粒子にほぐれ、しかも一次粒子は平均板面径の長径が大きく、適度な厚みを有する板状粒子であるため、球状粒子と板状粒子との両方の長所が融合されて極めて良好な使用感を奏することができる。このように本発明者は、上記のハイドロタルサイト型粒子は、表面処理剤の使用を省略又は量を低減しても問題ないほどに良好な使用感を奏し、微妙なひっかかり感も低減されることを見いだした。従って、粒子本来の機能を最大限に発揮できる。また、このハイドロタルサイト型粒子は、アンモニアや酢酸等の臭い吸着性にも優れることも見いだし、消臭機能も併せ持った材料として有用なものとなることを見いだした。このようにして本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、亜鉛元素及び周期表第2族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素と、アルミニウム元素とを含むハイドロタルサイト型粒子であって、該ハイドロタルサイト型粒子は、一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有し、該一次粒子は、平均板面径の長径が150〜800nm、アスペクト比(平均板面径の長径/平均厚み)が4.0〜20.0である板状粒子であるハイドロタルサイト型粒子である。
上記ハイドロタルサイト型粒子は、D50が10〜500μmであることが好ましい。この形態であると、球状と板状との両方の長所がより一層発揮されるため、本発明の作用効果がより充分に発揮される。
上記ハイドロタルサイト型粒子は、下記式(1):
{(R)(Zn)}(Al)(OH)(An−x/n・mHO (1)
(式中、Rは、周期表第2族元素を表す。An−は、n価の層間アニオンを表す。xは、0.20以上、0.40以下の数であり、yは、0.20を超えて0.80以下の数であり、zは、0以上、0.40以下の数であって、かつx+y+z=1、及び、y≧zを満たす。nは、1以上、4以下の整数である。mは、0以上の数である。)で表されることが好ましい。これにより滑り性がより向上され、化粧料等の種々の用途により一層有用なものとなる。
上記式(1)中、Rは、マグネシウム元素又はカルシウム元素であり、xは、0.30以上、0.40以下の数であり、yは、0.25以上、0.70以下の数であり、An−は、炭酸イオン(CO 2−)を表すことが好ましい。これにより、結晶形状がより安定するため、安定して優れた性能を発揮することができる。
上記ハイドロタルサイト型粒子は、表面の一部又は全部が、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を有する化合物で被覆されていることが好ましい。これにより、亜鉛イオンの過剰な溶出を抑制し、皮膚への刺激性を低減して適度な収斂作用を発現できることに加え、樹脂や溶媒との相溶性や分散性が向上する他、撥水性も向上するため、化粧料だけではなく、樹脂への添加剤等、各種用途により有用なものとなる。
本発明はまた、上記ハイドロタルサイト型粒子を製造する方法であって、該製造方法は、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物と、水とを含む原料混合物からスラリーを得る工程(I)と、噴霧乾燥工程(II)と、温度75〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(III)とを含むハイドロタルサイト型粒子の製造方法でもある。
本発明は更に、上記ハイドロタルサイト型粒子を含む化粧料でもある。
本発明はそして、上記ハイドロタルサイト型粒子と、樹脂成分とを含む樹脂組成物でもある。
本発明のハイドロタルサイト型粒子は、滑り性に特に優れ、良好な使用感を奏するため、各種用途、中でも化粧料用途に極めて有用である。その他、アンモニアや酢酸等の臭い吸着性にも優れるため、臭い吸着性が付加された化粧料や、吸着剤、酸中和剤等の用途にも有用である。また、本発明の製造方法は、このように優れた物性を有するハイドロタルサイト型粒子を、圧力容器等の特殊な装置・設備を導入することなく、容易かつ簡便に与えることができるため、工業的に極めて有用な手法である。
実施例4で得た粉体の粒度分布及び電子顕微鏡写真、並びに、この粉体を指でかるく荷重をかけてつぶしたものの粒度分布及び電子顕微鏡写真である。 実施例1で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。 実施例2で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。 実施例3で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。 実施例4で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。 実施例5で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。 実施例6で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。 実施例7で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。 実施例8で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:500倍、50000倍)。 比較例1で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。 比較例2で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。 比較例3で得たハイドロタルサイト型粒子の電子顕微鏡写真である(倍率:2000倍、50000倍)。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
〔ハイドロタルサイト型粒子〕
本発明のハイドロタルサイト型粒子は、板状の一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有する。粒子がこのような構造を有することは、例えば、走査電子顕微鏡写真(SEMとも称す)等の電子顕微鏡写真により判断することができる。
上記ハイドロタルサイト型粒子は、一次粒子が板状粒子であることにも重要な意義を有する。球状粒子が弱い力で分散して最終的に板状粒子として肌等に展開され、しかも平均板面径の長径が150〜800nm、アスペクト比(平均板面径の長径/平均厚み)が4.0〜20.0であることに由来して、極めて高い滑り性を発揮できるうえ、被覆性や配向性にも優れるものとなる。
上記一次粒子の平均粒子径の長径は、150〜800nmである。この範囲内にあると、化粧料に含めた際の肌への塗布感触や滑り性に優れたものとなる。好ましくは180nm以上、より好ましくは190nm以上、更に好ましくは300nm以上であり、また、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下である。
上記一次粒子のアスペクト比(平均板面径の長径/平均厚み)は、4.0〜20.0である。この範囲内にあると、化粧料に含めた際の肌への塗布感触や滑り性に優れたものとなる。好ましくは4.5〜15.0、より好ましくは5.0〜10.0である。
本明細書中、平均板面径(長径、短径)及び平均厚みは、本発明のハイドロタルサイト型粒子の走査電子顕微鏡写真に基づいて算出される値である。具体的には、後述の実施例に記載の方法に従って求めることができる。
上記ハイドロタルサイト型粒子は、球状(球形とも称す)であるが、本明細書中、球状とは、後述の実施例に記載の方法にて求められる真球度が1.3以下である形状を意味する。好ましくは真球度が1.2以下であり、より好ましくは真球度が1.1以下である。
上記ハイドロタルサイト型粒子(球状粒子)は、D50が10〜500μmであることが好ましい。これにより、球状と板状との両方の長所がより一層発揮され、本発明の作用効果がより充分に発揮される。より好ましくは10〜300μm、更に好ましくは20〜200μmである。
本明細書中、D50とは、体積基準での50%積算粒径(メジアン径とも称す)を意味し、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径をいう。
50は、具体的には、後述の実施例に記載の方法に従って求められる。
上記ハイドロタルサイト型粒子は、亜鉛元素及び周期表第2族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素と、アルミニウム元素とを含む。中でも、亜鉛元素とアルミニウム元素とを少なくとも含む粒子であることが好ましく、より好ましくは下記式(1):
{(R)(Zn)}(Al)(OH)(An−x/n・mHO (1)
(式中、Rは、周期表第2族元素を表す。An−は、n価の層間アニオンを表す。xは、0.20以上、0.40以下の数であり、yは、0.20を超えて0.80以下の数であり、zは、0以上、0.40以下の数であって、かつx+y+z=1、及び、y≧zを満たす。nは、1以上、4以下の整数である。mは、0以上の数である。)で表される粒子である。これにより、滑り性がより向上され、化粧料等の種々の用途により一層有用なものとなる。
上記式(1)中、n価の層間アニオンとしては特に限定されないが、反応性及び環境負荷低減の観点から、水酸化物イオン(OH)、炭酸イオン(CO 2−)及び硫酸イオン(SO 2−)からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。中でも、炭酸イオンが好ましい。
Rは、周期表第2族元素を表す。例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等が挙げられる。中でも、ハイドロタルサイト型粒子を化粧料として用いる場合は、人体への影響を考慮すると、マグネシウム元素又はカルシウム元素であることが好ましく、マグネシウム元素が最も好ましい。
x、y及びzは、0.20≦x≦0.40、0.20<y≦0.80、0≦z≦0.40、x+y+z=1、及び、y≧zを満たす数である。
x、y及びzが上記範囲内にあると、結晶構造が安定する。より安定性を向上させる観点から、〔(z+y)/x〕が1.5/1〜3/1となるようにx等を調整することが好ましい。より好ましくは2/1となるように調整することである。
この観点から、xは、0.25以上であることが好ましく、より好ましくは0.30以上であり、また、0.40以下であることが好ましく、より好ましくは0.35以下であり、特に好ましくはx=1/3(=約0.33)である。
yは、0.24以上であることが好ましく、より好ましくは0.25以上であり、更に好ましくは0.28以上であり、また、0.75以下であることが好ましく、より好ましくは0.70以下である。
zは、0.20以下であることが好ましく、中でも、塩基性低減の観点から、0であることがより好適である。
nは、1以上、4以下の整数であり、層間アニオンの価数によって適宜調整すればよい。好ましくは1〜3の整数、より好ましくは2である。
mは、0以上の数である。このmは、結晶構造を解析することで理論上求めることができるが、実際には、付着水の存在等によって正確に測定することは困難である。理論上は、例えば、0以上、5未満であることが好ましい。
上記ハイドロタルサイト型粒子として最も好ましくは、下記式(2):
(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO 2−0.165・mH
(2)
で表される粒子である。この構造では、結晶構造が極めて安定し、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。この構造はJCPDSカード 00−048−1023から確認できる。
上記ハイドロタルサイト型粒子は、表面処理剤の使用を省略又は量を低減しても問題ないほどに良好な使用感を奏するものの、必要に応じて、該粒子の表面の一部又は全部が、1種又は2種以上の表面被覆剤で被覆されていてもよい。なお、従来の粒子では、表面処理を施すと基材表面に由来する機能(例えば、臭い吸着性や吸油量等)が低下するが、本発明の粒子は、表面処理量が少なくても充分な滑り性を発揮するため、臭い吸着性や吸油量等の機能低下が少ないという点でも従来の粒子に対して優位性を有する。
上記表面被覆剤としては、無機化合物及び有機化合物のいずれも好適に用いることができる。無機化合物としては特に限定されないが、例えば、ケイ素、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、アルミニウム、ジルコニウム、セリウム、亜鉛等の酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩等が挙げられる。有機化合物としては特に限定されないが、例えば、シリコーンオイル、脂肪酸及びその金属塩、ハイドロゲンジメチコン、アルキルシラン、アルコキシシラン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アミノ酸、ナイロン、カルボマー及びその金属塩、ポリアクリル酸、トリメチルプロパノール、トリエチルアミン、高級アルコール等が挙げられる。
上記表面被覆剤の中でも、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を含む化合物が好ましい。すなわち上記ハイドロタルサイト型粒子は、表面の一部又は全部が、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を有する化合物で被覆されていることが好適である。これにより、亜鉛イオンの過剰な溶出を抑制し、皮膚への刺激性を低減して適度な収斂作用を発現できることに加え、樹脂や溶媒との相溶性や分散性が向上する他、撥水性も向上するため、化粧料だけではなく、樹脂への添加剤等、各種用途により有用なものとなる。上記化合物として特に好ましくは、シリカ、ハイドロゲンジメチコン、アルキルシラン、脂肪酸又はその塩であり、脂肪酸として好ましくはステアリン酸である。
上記表面被覆剤を用いてハイドロタルサイト型粒子の表面を被覆する方法としては特に限定されるものではない。例えば、シリカを用いる場合は、ハイドロタルサイト型粒子を含むスラリーに、ケイ酸ナトリウムと酸を加えて中和する方法等が挙げられる。表面被覆量は特に限定されないが、例えば、ハイドロタルサイト型粒子の総量100質量%に対し、表面被覆剤が占める割合が0.001〜30質量%であることが好ましい。より好ましくは0.1〜25質量%である。
〔製造方法〕
本発明のハイドロタルサイト型粒子を得るには、例えば、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物と、水とを含む原料混合物からスラリーを得る工程(I)と、噴霧乾燥工程(II)と、温度75〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(III)とを含む製造方法を採用することが好ましい。この製造方法を採用することで、水熱合成等で必要になる圧力容器等の特殊な装置・設備を導入することなく、容易かつ簡便に、一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有するハイドロタルサイト型粒子を得ることができる。この製造方法もまた、本発明の1つである。
上記製造方法は、工程(I)〜(III)を含む方法である限り、工程(I)以降の順序は特に限定されない。だが、工程(I)、(II)、(III)の順に行う方法、又は、工程(I)、(III)、(II)の順に行う方法が好適である。なお、各工程を1回又は2回以上行ってもよい。
以下、各工程について更に説明する。
<工程(I)>
工程(I)は、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物と、水(好ましくはイオン交換水)と含む原料混合物から、スラリーを得る工程である。得られるスラリーは、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物とが反応した前駆体Iを含む。具体的には、各原料を混合後又は混合と同時に、中和する工程であることが好ましい。より好ましくは、各原料を混合後に中和することである。
なお、原料混合物やスラリーは、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含んでもよく、各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記亜鉛化合物、周期表第2族元素を含む化合物及びアルミニウム化合物(これらを総称して「原料化合物」とも称する)は、製造を容易にする観点から、水溶性の塩、又は、酸を含む水に可溶の塩を用いることが好ましい。具体的には、亜鉛化合物は、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛及び硫酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、周期表第2族元素を含む化合物は、周期表第2族元素の水酸化物(水酸化マグネシウム等)、酸化物(酸化マグネシウム等)及び塩基性炭酸塩(塩基性炭酸マグネシウム等)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルミニウム化合物は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの原料を用いることでより容易かつ簡便にハイドロタルサイト型粒子を得ることができる。例えば、アルミニウム化合物を溶媒に溶解した溶液と、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種を溶媒に溶解した溶液とをそれぞれ準備した後に混合してもよいし、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物とを溶媒にまとめて溶解してもよい。この際、各化合物は必ずしも完全に溶解している必要はなく、一部が溶け残っていてもよい。
上記周期表第2族元素を含む化合物としては特に限定されず、例えばマグネシウム、カルシウム、バリウム等を含む化合物が挙げられる。中でも、ハイドロタルサイト型粒子を酸中和剤として用いる場合は、マグネシウムを含む化合物(マグネシウム化合物とも称す)が好適である。
本発明では特に、亜鉛化合物とアルミニウム化合物とを少なくとも用いることが好ましい。これによって、マグネシウム等の周期表第2族元素に起因する塩基性が低減されるため、皮膚への刺激性が低減されたハイドロタルサイト型粒子を与えることができる。最も好ましくは、周期表第2族元素を含む化合物を用いないことである。
上記原料化合物の使用量は、得られるハイドロタルサイト型粒子が上記式(1)を満たすものとなるように調整することが好ましい。例えば、アルミニウム化合物のアルミニウム換算量1モルに対し、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の総量が、これらの金属元素換算で1.5〜3モルとなるようにすることが好ましい。これにより、得られるハイドロタルサイト型粒子の結晶構造が安定する。より好ましくは2モルである。
上記原料化合物は、ハンマーミル、ジェットミル、ビーズミル、フリッチェミル等の、公知の乾式又は湿式の粉砕方法で予め粉砕してから、工程(I)に供してもよい。
ここで、原料として炭酸塩を用いない場合、又は、炭酸塩を用いても生成した粒子が上記式(1)を満たさない場合は、別途炭酸ガスを用いてもよい。炭酸ガスは、工程(I)又は(III)の中であればどの操作で用いてもよい。
上記工程(I)では、上述のとおり、各原料を混合後又は混合と同時に、中和することが好ましい。中和にはアルカリ成分を用いることが好適である。その際、原料とアルカリ成分との混合液のpHが7以上になるように、原料とアルカリ成分とを混合することがより好ましい。更に好ましくは、原料とアルカリ成分との混合液のpHが7.5以上になるように中和反応させることである。この際、必要に応じて溶媒の存在下で行ってもよい。例えば、アルカリ成分を水に溶解してから、原料に添加して混合してもよいし、アルカリ成分を粉体のまま混合してもよい。
上記アルカリ成分としては特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。アルカリ金属塩とは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩であり、塩として、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩、アルミン酸塩、有機アミン塩等が挙げられる。中でも、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が好適である。
上記工程(I)では、原料を混合した後及び/又は中和した後、必要に応じて所定の温度を保持し、所定の時間撹拌することが好ましい。保持温度、撹拌時間に制限はないが、例えば、保持温度は20℃〜80℃、撹拌時間は5〜300分とすることが、粒子の大きさ、形状をそろえる観点から好ましい。
上記工程(I)で得られるスラリーは、前駆体Iと水とを少なくとも含む。水の含有量は特に限定されないが、例えば、スラリー総量100重量%に対し、30〜99重量%であることが好ましい。
なお、工程(I)後、ろ過工程を行うことが好ましい。ろ過物には前記前駆体Iが含まれる。
<工程(II)>
工程(II)は、噴霧乾燥工程である。
例えば、工程(I)に次いで工程(II)を行い、その後に工程(III)を行う場合、工程(II)では、工程(I)で得た前駆体I(又は前駆体Iを含むスラリー)を噴霧乾燥することが好ましい。
工程(I)に次いで工程(III)を行い、その後に工程(II)を行う場合、工程(II)では、工程(III)で得た前駆体IIIに水を加えてスラリーとした後、該スラリーを噴霧乾燥することが好ましい。
なお、上記前駆体IIIと水とを含むスラリー中、水の含有量は特に限定されないが、例えば、当該スラリー総量100重量%に対し、30〜99重量%であることが好ましい。
噴霧乾燥の方式は特に限定されず、例えば、アトマイザー方式やノズル方式等が挙げられる。中でも、球状の粒子構造が得られやすいことから、アトマイザー方式が好ましい。また、乾燥条件は特に限定されないが、例えば、アトマイザー方式であれば、ディスク回転数を5000〜20000rpmとすることが好ましい。より好ましくは7000〜19000rpm、更に好ましくは10000〜18000rpmである。また、出口乾燥温度を60〜160℃とすることが好ましい。より好ましくは70〜150℃、更に好ましくは80〜130℃である。
噴霧乾燥工程(II)では、凝集剤を加えてもよい。凝集剤としては、代表的なものとして、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が例示される。
非イオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリシチリルフェニルエーテル、ポリエーテル化合物、多価アルコール部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、アニリン誘導体、ポリエチレンイミン、芳香族アミン誘導体、ポリアミン、ポリアミンスルホン、ポリアルキレンポリアミン、アミン架橋重縮合物、ポリアマイド、カチオン性ポリアクリルアマイド等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、飽和若しくは不飽和脂肪酸又はそのアルカリ塩(セッケン)、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、ナフタレンスルホン酸塩−ホルマリン縮合物、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド等が挙げられ、好ましくは、飽和若しくは不飽和脂肪酸又はそのアルカリ塩(セッケン)、アルキル硫酸塩である。
両性界面活性剤の具体例としては、例えば、カルボキシベタイン、N,N−ジアルキレンカルボン酸塩、スルホベタイン、N−アルキル−N,N−ビスポリオキシルエチレン硫酸エステル塩、イミダゾリン等が挙げられる。
<工程(III)>
工程(III)は、温度75〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(湿潤雰囲気工程とも称す)である。例えば、工程(I)に次いで工程(III)を行う場合は工程(I)で得た前駆体Iを、工程(II)に次いで工程(III)を行う場合は工程(II)で得た前駆体IIを、当該雰囲気下で保持することが好ましい。上記製造方法では、従来法のような水熱や常圧での反応とは異なり、噴霧乾燥工程と、高温高湿雰囲気下に保持するだけの工程とを行うことで、簡便な手段により本発明のハイドロタルサイト型粒子を得ることができ、圧力容器等の特別な装置を不要にすることができる。すなわち製造設備を簡単にすることができる。
工程(III)では、温度75〜150℃で保持する。板状化を促進させる観点から、温度は76℃以上であることが好ましく、より好ましくは78℃以上、更に好ましくは80℃以上である。また、製造コストや設備仕様の観点から、95℃以下とすることが好ましい。
本明細書中、工程(III)の保持温度は、当該工程での最高到達温度を意味する。
なお、温度の変動は板状粒子の結晶成長に変化をもたらす場合があるため、保持中の温度の上限と下限の差が10℃以下とすることが好ましい。
上記工程(III)はまた、相対湿度が75〜100%RHの雰囲気で行う。板状化を促進させる観点から、相対湿度は76%RH以上であることが好ましく、より好ましくは77%RH以上、更に好ましくは78%RH以上、特に好ましくは79%RH以上、最も好ましくは80%RH以上である。また、製造コストや設備仕様の観点から、95%RH以下とすることが好ましく、より好ましくは90%RH以下である。
本明細書中、工程(III)の相対湿度は、当該工程での最高到達湿度を意味する。
なお、相対湿度の変動は板状粒子の結晶成長に変化をもたらす場合があるため、保持中の湿度の上限と下限の差が10%以下とすることが好ましい。
上記条件下での保持時間は、一次粒子が板状粒子に結晶成長するのに充分な時間であればよい。例えば、1〜300時間であることが好ましい。保持時間がこの範囲内であると、結晶化がより充分に進み、生産性にも優れる。より好ましくは3〜200時間、更に好ましくは6〜180時間である。
<他の工程>
上記製造方法では、上述した工程(I)〜(III)に加え、必要に応じて1又は2以上の粉砕、分級、洗浄、水熱、熟成、焼成、層間イオンの置換、表面被覆等のその他の工程を含んでもよい。その他の工程は特に限定されない。例えば、粒子構造を崩さない範囲で、粗大粒子の粉砕、分級を行うことが好ましい。粉砕、分級の方法及び条件は特に限定されず、例えばボールミル、ライカイ機、フォースミル、ハンマーミル、ジェットミル、気流分級機、振動篩等を用いて行うことができる。
〔用途〕
本発明のハイドロタルサイト型粒子は、滑り性及び化粧料に含めた際の肌への塗布感触に優れ、使用時にひっかかり感がない等、使用感が特に良好なものである。しかもアンモニアや酢酸等の臭い吸着性能やリン化合物の吸着性能にも優れるものである。従って、化粧料、医薬品、医薬部外品、吸着剤、触媒、樹脂用添加剤、酸中和剤等の種々の用途に用いることができる。中でも、化粧料原料として特に有用であり、上記ハイドロタルサイト型粒子を含む化粧料は、本発明の1つである。また、本発明のハイドロタルサイト型粒子を他の無機材料又は有機材料と組み合わせて複合材料としてもよい。例えば、樹脂の強度や耐熱性を向上させる添加剤として又は樹脂の結晶核剤等として、ハイドロタルサイト型粒子を樹脂やプラスチック等の有機材料に任意の割合で混合し、又は埋め込んで樹脂組成物を形成してもよいし、ハイドロタルサイト型粒子を臭い吸着剤等として、フィルムやシート等の成型品を与える樹脂組成物に配合することも好適である。このように上記ハイドロタルサイト型粒子と樹脂成分とを含む樹脂組成物もまた、本発明の1つである。
以下に、上記化粧料及び樹脂組成物について更に説明する。
<化粧料>
上記化粧料は、本発明のハイドロタルサイト型粒子を含むことで、滑りが良く、かつ化粧料に含めた際の肌への塗布感触に優れ、使用時にひっかかり感がない等、使用感が特に良好であるうえ、ソフトフォーカス効果や皮脂吸着効果も期待できるものである。それゆえ、昨今の市場のニーズに特に適したものである。化粧料としては特に限定されず、例えば、ファンデーション、化粧下地、日焼け止め、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、制汗剤、脂取り紙、スクラブ剤等が挙げられる。中でも、ファンデーションが特に好適である。
上記化粧料はまた、必要に応じ、本発明のハイドロタルサイト型粒子に加えて、他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。他の成分は特に限定されないが、例えば、有機溶媒や分散剤の他、化粧料分野で通常使用されている任意の水性成分、油性成分が挙げられる。具体的には、油分;界面活性剤;保湿剤;高級アルコール;金属イオン封鎖剤;各種高分子(天然、半合成、合成若しくは無機の、水溶性又は油溶性高分子);紫外線遮蔽剤;その他薬剤成分;各種抽出液;無機及び有機顔料;無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体;金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料;有機染料等の色剤;防腐剤;酸化防止剤;色素;増粘剤;pH調整剤;香料;冷感剤;収斂剤;殺菌剤;皮膚賦活剤;等が挙げられる。これらの成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
油分としては特に限定されず、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、パーム油、牛脂、羊脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化牛脂、硬化ヤシ油、硬化ひまし油等の硬化油、牛脚脂、モクロウ、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤の他、その他の界面活性剤が挙げられる。親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤等が挙げられる。
保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1− ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等が挙げられる。
天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20000、40000、60000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3− カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5− メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤;や、イオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等が挙げられる。
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等が挙げられる。
各種粉体としては、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等が挙げられる。好ましくは、官能特性向上や化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理したものである。
<樹脂組成物>
上記樹脂組成物は、本発明のハイドロタルサイト型粒子と樹脂成分とを含む。樹脂組成物中のハイドロタルサイト型粒子の配合量は、所望の用途や使用する樹脂成分の特性に応じて適宜選択できる。例えば、樹脂成分としてエポキシ樹脂やアクリル樹脂等を使用する場合は、樹脂成分100質量部に対して上記ハイドロタルサイト型粒子を1〜200質量部配合することが好ましく、ポリエチレン樹脂や軟質塩化ビニル樹脂等を使用する場合は、樹脂成分100質量部に対して上記ハイドロタルサイト型粒子を1〜300質量部を配合することが好ましい。配合したものを、例えばコニカルブレンダー、Vブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリミキサー、二本ロール等の混合機、混練機を用いることで、樹脂組成物を作製することができる。
また上記樹脂組成物から成形体(成型体とも称す)を形成することができる。成形体の形状は特に限定されず、例えば、シート状、フィルム状の他、ひも状、板状、棒状、ペレット状等のその他の形状が挙げられる。
シート状の成形体を得る場合、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対し、上記ハイドロタルサイト型粒子を50〜200質量部、カルシウム−亜鉛系安定剤を3〜5質量部、可塑剤であるジオクチルフタレートを0〜100質量部配合し、二本ロールにて100〜180℃で混練することが好ましく、これにより、シート状の成形体を好適に得ることができる。
フィルム状の成形体を得る場合、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して上記ハイドロタルサイト型粒子を1〜50質量部配合し、二軸押し出し機やインフレーション加工機にて250〜300℃で混練・成型することが好ましい。
その他の形状の成形体を得る場合、例えば、ポリプロピレン樹脂100質量部に対してハイドロタルサイト型粒子を1〜100質量部配合し、二軸押し出し機にて170〜200℃で混練・成型することで、ひも状、板状、棒状、ペレット状等の成形体を得ることができる。また、例えば、ペレット状の成形体を射出成形機を用いて170〜200℃で加工成型することで、任意の形状の成形体を得ることもできる。
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」とは「重量%(質量%)」を意味する。
実施例1
−工程(I)−
硫酸亜鉛7水和物96.6gと、354g/Lの硫酸アルミニウム水溶液81.2mL(Al(SOとして28.7g)を混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えた金属塩混合水溶液を得た。別途、720g/Lの水酸化ナトリウム水溶液46.7mLと、炭酸ナトリウム26.7gとを混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えたアルカリ混合水溶液を得た。1Lの丸底フラスコにイオン交換水50mLを入れ、撹拌下において、これら水溶液を加えた。このときのスラリーのpHは9であった。その後、50℃で15分間撹拌することにより、スラリーを得た。
−工程(II)−
上記工程(I)により得られたスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した。得られたケーキに水を加え撹拌して、乾燥粉として110g/Lのスラリーとした後、噴霧乾燥装置(アトマイザー方式、大川原化工機社製、BDP−22型)にて、ディスク回転数16000rpm、出口乾燥温度105℃の条件で乾燥することにより、ハイドロタルサイト前駆体の粉末を得た。
−工程(III)−
上記工程(II)により得られた粉末のうち1gを、口内径27mm、高さ15mmのガラスシャーレに入れて、恒温恒湿器(エスペック社製、LH−113)に入れ、室温から85℃、相対湿度85%RHまで15分間かけて調整し、85℃、相対湿度85%RHにて22時間保持し、その後ヒーターへの通電を中止し室温まで冷却した。なお、この工程は大気中で行った。このようにしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(1)を得た。
実施例2〜3
実施例1において、工程(III)での保持時間を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(2)〜(3)を各々得た。
実施例4
実施例1において、工程(I)での反応時間(すなわち50℃での撹拌時間)及び工程(III)での保持時間を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(4)を得た。
実施例5
実施例4で得たハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(4)7gに、イオン交換水100mLを加えて撹拌し、得られたスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸ナトリウム0.39gを加えて1時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した。得られたケーキを105℃の温度で18時間乾燥し、得られた乾燥粉5gをフォースミル(大阪ケミカル社製、FM−1)にて10秒間粉砕することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(5)を得た。
実施例6
実施例4で得たハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(4)5gをフォースミル(大阪ケミカル社製、FM−1)に入れ、そこにハイドロゲンジメチコン(KF−9901:信越化学工業社製)を0.26g添加し10秒間混合した。得られた粉体を105℃の温度で18時間加熱することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(6)を得た。
実施例7
実施例4において、工程(I)で用いたZn原料を表1に示すZn原料及びMg原料に変更したこと以外は、実施例4と同様にして、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(7)を得た。
実施例8
実施例4の工程(I)と同じ操作で得られたスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した。得られたケーキを箱形乾燥装置(エスペック社製、PV−110)にて105℃の温度で18時間乾燥した。この操作を繰り返し、得られた乾燥粉1kgをサンプルミル(スクリーン目開き2mm)にて粉砕した。
得られた粉末を、SUS製トレイに入れて、恒温恒湿器(エスペック社製、LH−113)に入れ、室温から85℃、相対湿度85%RHまで15分間かけて調整し、85℃、相対湿度85%RHにて166時間保持し、その後ヒーターへの通電を中止し室温まで冷却した。なお、この工程は大気中で行った。
その後、得られた粉末に水を加え撹拌して、乾燥粉として110g/Lのスラリーとした後、噴霧乾燥装置(アトマイザー方式、大川原化工機社製、BDP−22型)にて、ディスク回転数16000rpm、出口乾燥温度105℃の条件で乾燥することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(8)を得た。
比較例1
実施例1において、乾燥工程(II)で使用した噴霧乾燥装置を箱形乾燥装置(エスペック社製、PV−110)に変更して静置乾燥を行った。乾燥温度は105℃、乾燥時間は18時間にしたこと、及び、工程(III)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c1)を得た。
粉末(c1)は、後述するようにSEM画像から球状粒子は確認されなかった(図2−9参照)。
比較例2
実施例1において、工程(I)での反応時間(すなわち50℃での撹拌時間)を10分としたこと、及び、工程(III)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c2)を得た。
比較例3
実施例1において、工程(I)での反応時間(すなわち50℃での撹拌時間)を10分としたこと、工程(II)で使用した噴霧乾燥装置を箱形乾燥装置(エスペック社製、PV−110)に変更して静置乾燥を行い、乾燥温度を105℃、乾燥時間を18時間にしたこと、及び、工程(III)での保持時間を168時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c3)を得た。
粉末(c3)は、後述するようにSEM画像から球状粒子は確認されなかった(図2−11参照)。
各実施例及び比較例で得たハイドロタルサイト型粒子(粉体)、並びに、工程(II)で得た前駆体II(但し、比較例1、2では生成物)について、以下の方法に従って、それぞれ物性評価を行った。
1、X線回折の測定
以下の条件により粉末X線回折パターン(単にX線回折パターンともいう)を測定した。実施例で得た全ての粉体のX線回折パターンは、JCPDSカード 00−048−1023と一致した。
−分析条件−
使用機:リガク社製、RINT−UltimaIII
線源:CuKα
電圧:50kV
電流:300mA
試料回転速度:60rpm
発散スリット:1.00mm
発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
走査モード:FT
計数時間:2.0秒
ステップ幅:0.0200°
操作軸:2θ/θ
走査範囲:1.6000〜70.0000°
積算回数:1回
ハイドロタルサイト型粒子の同定に用いたのは以下の資料である。
Zn0.67Al0.33(OH)(CO0.165・xHO:JCPDSカード 00−048−1023
MgAl(OH)12CO・3HO:JCPDSカード 00−051−1525
2、比表面積(SSA)の測定
以下の条件により比表面積(SSA)の測定を行った。結果を表3に示す。
使用機:マウンテック社製、Macsorb Model HM−1220
雰囲気:窒素ガス(N
外部脱気装置の脱気条件:105℃−15分
比表面積測定装置本体の脱気条件:105℃−5分
3、SEM画像及びSEM径
電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)にて粒子の形状を観察した。各粉体の電子顕微鏡写真を図2−1〜2−11に示す。
また図1に、実施例4で得た粉体の粒度分布及びSEM画像、並びに、当該粉体を指で軽く荷重をかけてつぶしたものの粒度分布及びSEM画像を示す。
図1に示すように、当初は粒度分布は約10〜200μmであるが(粒度分布中の「球状粒子」参照)、指で軽く荷重をかけてつぶしたものでは、粒度分布は約0.05〜1μm付近になる(粒度分布中の「板状粒子」参照)。また、粒子の状態は、当初は写真(a)及び(b)のように球状の粒子構造を有するものの、指で軽く荷重をかけてつぶすと、写真(c)のようにつぶれていることが分かる。
4、メジアン径(D50
レーザー回折・散乱式粒度分析計(HORIBA社製、型番:LA−950−V2)により粒度分布測定を行った。
まずサンプル(試料粉体)0.1gに0.025wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液60mLを加え、サンプルの懸濁液を準備した。この後、0.025wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を試料循環器に循環させ、透過率が80〜95%になるように上記懸濁液を滴下して、循環速度5、撹拌速度1にて測定を行った。結果を表2に示す。
なお、撥水性の表面処理を施した実施例5、6のサンプルは、溶媒をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液からエタノールに変更したこと以外は、同様の方法で測定した。
5、真球度
実施例及び比較例で得た粉体(試料)のうち、上記3、の電子顕微鏡写真(SEM画像)により球状粒子構造を有することが確認された粉体について(但し、球状粒子構造を有さないことが確認された粉体については当該粉体につき)、500倍の倍率で10視野撮影した。それぞれの写真1枚に付き、無作為に引いた直線上にある凝集粒子5個の長径及び短径を測定した。
各粒子の「長径/短径」の平均値をその画像の平均真球度とし、10枚全ての平均真球度の平均値を真球度とした。結果を表2に示す。
6、平均板面径、平均厚み及びアスペクト比
実施例及び比較例で得た粉体(試料)につき、電界放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)により、粒子が50〜10000個程度写るように電子顕微鏡写真を撮影した。この電子顕微鏡写真上に無作為に引いた直線上にある粒子20個の板面径の平均値を、各粉体の平均板面径とした。同様の方法で平均厚み(粒子20個の厚みの平均値)を算出し、(平均板面径の長径/平均厚み)によってアスペクト比を求めた。板面径、厚みが測定しにくい場合は、適宜倍率を上げて撮影したものを用いて測定した。実施例、比較例毎に撮影する粉体を換えてこの操作を10回繰り返し、求めたアスペクト比の平均値を算出した。結果を表2に示す。
7、元素分析
各粉体中のMg,Zn,Al含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を用い、以下の方法により測定することができる。
具体的には、以下のように、分光器(SII社製、ICP SPS3100)を使用し、スカンジウム(Sc)を内標準元素とする内標準法により測定する。
まず、試料約0.2gをビーカーに精秤し、塩酸約5mLを加えて溶解させ、100mLメスフラスコに充填し、イオン交換水でメスアップする。これをMg含有量測定では20倍、Zn含有量測定では50倍、Al含有量測定では10倍希釈し、かつSc濃度が10ppmとなるようにSc標準溶液を添加した溶液を試験液とし、下記の測定条件により測定し、得られた生データを下記の計算条件で計算することによりMg,Zn,Al含有量を算出する。結果を表3に示す。
−測定条件−
分光器(SII社製、ICP SPS3100)を使用し、波長279.55nm(Mg)、213.86nm(Zn)、396.15nm(Al)、361.49nm(Sc)にてそれぞれ検量線を作成した後、試料を測定する。
検量線用試料の濃度としては、
Mg(ppm)=50,40,30,20,10、
Zn(ppm)=20,16,12,8,4、
Al(ppm)=50,40,30,20,10
の各5点を使用する。
なお、いずれの検量線用試料も、Sc濃度が10ppmとなるようにSc標準溶液を添加した。計算条件は以下の通りである。
各含有量(%)=生データ×100/試料重量(g)×希釈倍率/10000
また、以上のように求めたMg,Zn,Al含有量(重量%)を用い、下記計算式;
x=(Al含有量/26.982)÷{(Mg含有量/24.305)+(Zn含有量/65.38)+(Al含有量/26.982)}
により、上記式(1)中のxに該当する値を求めた。結果(式(1)中のx)を表3に示す。
8、細孔容積
自動比表面積/細孔分布測定装置(製品名「BEL SORP−miniII」、日本ベル社製)を用いて測定した。試料0.1gを測定セルに充填し、200℃にて脱ガス処理を行った後に測定を行った。
平均細孔直径、全細孔容積及び細孔分布を算出するための解析法は、BJH法を用いる。
平均細孔直径とは、全細孔容積の4倍を表面積で除した値のことを示す。これはサンプル中のすべての細孔を円筒形であると仮定し、その円筒型細孔が体積Vだとする。このとき円筒型細孔の体積は以下の式(i)で表される。
V=πDL/4 (i)
式中、Dは細孔直径、Lは円筒型細孔の長さとする。
次に、円筒型細孔の側面積Aを以下の式(ii)で表す。
A=πDL (ii)
上記式(i)及び(ii)から、次の式(iii)が得られる。
D=4V/A (iii)
上記式(iii)で算出されたDを平均細孔直径とする。
全細孔容積は、BJH法による細孔分布結果から得た全範囲の細孔の積算値である。結果を表3に示す。
9、顔料pH
各試料の顔料pHを、JIS K5101−17−1(2004)の顔料試験方法に準拠した以下の方法により測定した。
栓付ガラス容器に蒸留水50gに試料5gを投入し、栓を外したまま、約5分間加熱して煮沸状態にした後、更に5分間煮沸した。煮沸後、栓をして常温まで放冷した後、栓を開き、減量に相当する蒸留水を加えて、再び栓をして1分間振り混ぜた後、5分間静置した。栓を取り外し、pH測定器にてpHを測定した。結果を表3に示す。
10、吸油量
各試料の吸油量を、JIS K5101−13−1(2004年)に準拠した以下の方法で、ミリスチン酸イソプロピルを用いて測定した。
試料約0.5gを薬包紙に精秤し、ガラス板の中央10cmのスリガラス部分に試料を載せる。ミクロビュレットにミリスチン酸イソプロピル(IPMと称す)を入れ、0.2mLを試料に滴加し、金ベラで練る。その後、IPMを1〜2滴ずつ加え、滴加の都度、全体を金ベラで練る。全体が初めて硬いパテ状の塊になったときを終点とする。
吸油量は次式によって算出した。結果を表3に示す。
吸油量(mL/100g)= {V(mL)÷ 試料重量(g)}× 100
11、安息角
JIS R9301−2−2(1999)アルミナ粉末−第2部:物性測定方法−2:に準拠した以下の方法で測定した。
試料約20gをロートで落下させ、山型に層を形成した時の斜面が水平面となす角を測定した。なお、 安息角は、流動性の良い粉粒体ほど小さく、逆に粉体流動性の良くない粉粒体の場合には大きくなる。結果を表3に示す。
12、嵩密度(嵩比重とも称す)
各試料の嵩比重を、JIS K6721(1977)に準拠した以下の方法で測定した。
充分にかき混ぜた粉体約30mlを、嵩比重測定装置(筒井理化学器械社製)のダンパーを差し込んだ漏斗に入れた後、速やかにダンパーを引き抜き、試料を受器に落とす。受器から盛り上がった試料は、ガラス棒ですり落とした後、試料の入った受器の質量を0.1gまで正確に量り、次の式によって嵩比重を小数点以下2けたまで求める。測定は3回行い、その平均値を取る。結果を表3に示す。
Sa=(C−A)/B
Sa:嵩比重
A:受器の質量(g)
B:受器の内容積(mL)
C:試料の入った受器の質量(g)
なお、試験結果の数値は、規定の数値より1けた下の位まで求め、JIS Z8401(199年)(数値の丸め方)により丸める。
13、滑り性(MIU、MMD)
各試料の滑り性評価は次のような方法で行った。
スライドガラスに両面テープを貼り付け、粘着面に薬さじ半分程度の粉末(試料)を載せ、化粧用スポンジで粉末を展ばし、その上に摩擦子をセットした。スライドガラスを移動させて、摩擦子にかかる負荷から、平均摩擦係数MIUと平均摩擦係数の変動値MMDを測定した。測定は摩擦感テスター(カトーテック製、KES−SE)により行った。結果を表3に示す。
参考までに、市販の板状マイカ、板状セリサイト、球状ナイロンビーズ、球状シリカ(平均粒径5μm)のMIU及びMMDを表4に示す。
なお、MIU、MMDいずれの値も低く差がない場合は、滑らかに滑り微妙なひっかかり感がないといえる。
14、化粧料としての評価(官能評価)
(1)まず、実施例及び比較例で得た粉体20.00重量%、マイカ(製品名:Y−2300X、ヤマグチマイカ社製)24.83重量%、セリサイト(製品名:FSE、三信鉱工社製)29.79重量%、球状シリコーン(製品名:KSP-105、信越化学工業社製)6.44重量%、酸化チタン(製品名:R−3LD、堺化学工業社製)7.36重量%、酸化鉄(黄)(製品名:黄酸化鉄、ピノア社製)1.10重量%、酸化鉄(赤)(製品名:ベンガラ、ピノア社製)0.37重量%、ステアリン酸マグネシウム(製品名:JPM−100、堺化学工業社製)0.92重量%、及び、ジメチルシリコーンオイル(製品名:KF96、信越化学工業社製)9.20重量%を、コーヒーミルを用いて1分30秒間撹拌混合した。
得られた粉体状の混合物を、直径20mmφの金型に0.8g測り採り、プレス機を用いて、200kgf/cmの圧力にて30秒間保持して、ハイドロタルサイト含有ファンデーションを作製した。
(2)比較として、マイカ(製品名:Y−2300X、ヤマグチマイカ社製)31.03重量%、セリサイト(製品名:FSE、三信鉱工社製)37.24重量%、球状シリコーン(製品名:KSP-105、信越化学工業社製)8.05重量%、酸化チタン(製品名:R−3LD、堺化学工業社製)9.20重量%、酸化鉄(黄)(製品名:黄酸化鉄、ピノア社製)1.38重量%、酸化鉄(赤)(製品名:ベンガラ、ピノア社製)0.46重量%、ステアリン酸マグネシウム(製品名:JPM−100、堺化学工業社製)1.15重量%、及び、ジメチルシリコーンオイル(製品名:KF96、信越化学工業社製)11.49重量%を、コーヒーミルを用いて1分30秒間撹拌混合した。
得られた粉体状の混合物を、直径20mmφの金型に0.8g測り採り、プレス機を用いて、200kgf/cmの圧力にて30秒間保持して、ハイドロタルサイト非含有ファンデーションを作製した。
(3)上記(1)及び(2)それぞれで得たファンデーションを10人のパネラーに対して塗布し、化粧料に含めた際の肌への塗布感触について、以下に示す基準で選んでもらい評価した。なお、試験は盲検として行った。評価結果を表3に示す。
(塗布感触の評価基準)
◎:上記(1)のハイドロタルサイト含有ファンデーションを用いる方が、上記(2)のハイドロタルサイト非含有ファンデーションを用いるよりも塗布感触が良好である。
○: どちらも同じ塗布感触である。
×:上記(2)のハイドロタルサイト非含有ファンデーションを用いる方が、上記(1)のハイドロタルサイト含有ファンデーションを用いるよりも塗布感触が良好である。
15、各種化合物の吸着率
(1)アンモニアガス、酢酸ガスの吸着率
試料粉末1.0gを、5Lのサンプリングバック(GLサイエンス社製、PA−A−A−5)に入れ、ブランクとしてサンプルを入れていない5Lのサンプリングバックも用意した。アンモニア又は酢酸を所定濃度含む窒素ガス3Lをサンプリングバック内に注入した後、直ちに密封し、20℃、湿度65%の条件下で1時間静置した。静置後、サンプリングバック内のガス100mLを吸引器で吸入し、ガス濃度をガステック社製検知管で測定した。実施例4で得た粉体を用いた場合のガス吸着率を、表5に示す。
以下の式により、ブランクに対する各種化合物のガス吸着率を算出した。
ガス吸着率(%)=100×(ブランクのガス濃度−評価サンプルのガス濃度)/(ブランクのガス濃度)
なお、ブランクのガス濃度は、評価サンプルを入れずに、各種化合物を所定濃度含む窒素ガス3Lのみを入れたサンプリングバックを密栓し、1時間静置した後に測定したガス濃度である。
−ブランクのガス濃度−
アンモニア:100ppm
酢酸:30ppm
−ガス検知管−
アンモニア:ガステック社製検知管(No.3La)
酢酸:ガステック社製検知管(No.81)
(2)trans−2−ノネナール、インドールの吸着率
試料粉末0.5gを、5Lのサンプリングバック(GLサイエンス社製、PA−A−A−5)に入れ、ブランクとしてサンプルを入れていない5Lのサンプリングバックも用意した。各種化合物を所定濃度含む窒素ガス0.5Lをサンプリングバック内に注入した後、直ちに密封し、20℃、湿度65%の条件下で1時間静置した。1時間後に、2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキシド(Tenax−TA)入りカートリッジにより、バッグ内の窒素ガス0.1Lに含まれる臭気物質を捕集し、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて分析を行った。トータルイオンクロマトグラムにおける臭気物質に該当するピークの面積を、付属解析ソフト(GCMS solution Ver.2.6)により求めた。試験は2回行い、各試験で求めたピーク面積の平均値を臭気物質のピーク面積とした。実施例4で得た粉体を用いた場合のガス吸着率を、表5に示す。
以下の式により、ブランクに対する各種化合物のガス吸着率を算出した。
ガス吸着率(%)=100×(ブランクのピーク面積−評価サンプルのピーク面積)/(ブランクのピーク面積)
−ブランクのガス濃度−
trans−2−ノネナール:14ppm
インドール:33ppm
16、透明性評価
サンプルの透明性評価は、次のような方法にて行った。
サンプル0.3gとメチルポリシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、Element14*PDMS、1000−JC)2.7gを測り採り、よく混合した後、フーバー式マラーを用いて、100rpmの回転速度で100回転させ、ペーストを調製した。そのようにして調製したペーストを、3MILのアプリケーターを用いてガラス板上に均一に成膜した。このようにして得られた塗膜を、ヘイズメーター(日本電色工業製NDH4000型)でヘイズと全光透過率を測定し、透明性を評価した。表6にその結果を示す。
17、白色度評価
試料の白色度評価は次のような方法で行った。
直径30mm、深さ15mmの石英容器内に試料を半分ほど充填して表面を平滑にした後、分光色彩計(SE−2000:日本電色工業社製)にてハンター表色系L、a、bを測定し、W値、WB値を計算した。表7にその結果を示す。
以上の実施例及び比較例より、以下のことを確認した。
実施例1〜8で得た粉体は、電子顕微鏡写真(図2−1〜2−8)からも分かるように、板状一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有しており、また、表2より、一次粒子の平均板面径の長径及びアスペクト比が本発明で規定された範囲内となっている。この場合、滑り性の指標であるMIU及びMMDの両方がともに低く(すなわち、ひっかかり感が無く、滑り性に極めて優れており)、化粧料に含めた際の肌への塗布感触も極めて良好なものであった(表3参照)。なお、滑り性に優れることは、市販品との比較からも明らかである(表3、4参照)。
ここで、実施例1〜8で得た粉体は、厳密には、板状一次粒子が凝集した二次粒子を含む球状の三次粒子構造を有していると視認できる(図2−1〜2−8参照)。例えば実施例4で得た粉体について、該粒子に周波数20kHz、出力90Wの超音波を2分間照射した後、D50を測定すると、6.4μmとなったが、この値は、超音波照射前の粒子のD50(表2参照)や、一次粒子の平均板面径(表2参照)から推測される粒径とも大きく相違するため、このことからも二次粒子が存在すると考えられる。しかも実施例1〜8で得た粉体は、一次粒子の平均板面径の長径及びアスペクト比が比較的大きい。これらのことから正確にはわからないものの、化粧料用途に使用した場合には、肌塗布時には肌上で大きな球状粒子(三次粒子)のころころ感による自然なファーストタッチを奏し、軽く手で延ばすと小さな球状粒子(二次粒子)にほぐれてつるつるとしたノビ感を奏し、更に延ばすと板状粒子(一次粒子)にほぐれてすべすべ感を奏する(図1(c)参照)というように、連続的に形状が変化し、各形状に起因する効果を発揮することが予想される。
一方、比較例1、3で得た粉体は、球状の粒子構造を有していない(図2−9、2−11及び表2の真球度参照)。比較例2で得た粉体は、一見、球状の粒子構造を有しているように見えるものの(図2−10及び表2の真球度参照)、表2より、一次粒子の平均板面径の長径及びアスペクト比が本発明で規定された範囲外となっている。これらの比較例1〜3では、実施例1〜8に比較して滑り性が著しく劣っている。
また表5、6より、本発明のハイドロタルサイト型粒子は、アンモニア、酢酸、ノネナール、インドールのガス吸着能も有し、かつ透過性が高く、ヘイズの小さい塗膜を与えることができることも分かった。また、白色度に優れることも分かった(表7参照)。
なお、本発明のハイドロタルサイト型粒子は、上記のとおりそれ自体が滑り性に優れるため、これを用いた場合には表面処理剤等の機能性材料の添加を省略又は添加量を低減できる。それゆえ、粒子自体の化粧料への配合量を多くすることができ、結果としてガス吸着量を高めることが可能になると考えられる。

Claims (8)

  1. 亜鉛元素及び周期表第2族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素と、アルミニウム元素とを含むハイドロタルサイト型粒子であって、
    該ハイドロタルサイト型粒子は、一次粒子が凝集した球状の粒子構造を有し、
    該一次粒子は、平均板面径の長径が150〜800nm、アスペクト比(平均板面径の長径/平均厚み)が4.0〜20.0である板状粒子である
    ことを特徴とするハイドロタルサイト型粒子。
  2. 前記ハイドロタルサイト型粒子は、D50が10〜500μmである
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイドロタルサイト型粒子。
  3. 前記ハイドロタルサイト型粒子は、下記式(1):
    {(R)(Zn)}(Al)(OH)(An−x/n・mHO (1)
    (式中、Rは、周期表第2族元素を表す。An−は、n価の層間アニオンを表す。xは、0.20以上、0.40以下の数であり、yは、0.20を超えて0.80以下の数であり、zは、0以上、0.40以下の数であって、かつx+y+z=1、及び、y≧zを満たす。nは、1以上、4以下の整数である。mは、0以上の数である。)で表される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイドロタルサイト型粒子。
  4. 前記式(1)中、
    Rは、マグネシウム元素又はカルシウム元素であり、
    xは、0.30以上、0.40以下の数であり、
    yは、0.25以上、0.70以下の数であり、
    n−は、炭酸イオン(CO 2−)を表す
    ことを特徴とする請求項3に記載のハイドロタルサイト型粒子。
  5. 表面の一部又は全部が、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を有する化合物で被覆されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハイドロタルサイト型粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のハイドロタルサイト型粒子を製造する方法であって、
    該製造方法は、
    亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物と、水とを含む原料混合物からスラリーを得る工程(I)と、
    噴霧乾燥工程(II)と、
    温度75〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(III)と、を含む
    ことを特徴とするハイドロタルサイト型粒子の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のハイドロタルサイト型粒子を含む
    ことを特徴とする化粧料。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のハイドロタルサイト型粒子と、樹脂成分とを含む
    ことを特徴とする樹脂組成物。
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