JP2017174694A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高電位に起因して正極表面で電解液が酸化分解されるのを抑制すること【解決手段】ここで提案される非水電解質二次電池10は、正極活物質粒子と、導電助剤とを含む正極活物質層53を有している。ここで、導電助剤は、標準生成エンタルピΔHfが−2096(kJ/mol)以下であるリン酸化合物によって、表面の少なくとも一部が覆われた炭素材料である。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
リチウム二次電池の正極は、正極活物質と導電助剤とを混合し、これを結着剤で結着して形成される。また、特開2014−22329号公報には、作動上限電位が高い二次電池について、高電位の影響で電解液が分解されて酸が発生するなどの不具合が生じることが課題として開示されている。
特開2014−22329号公報
ところで、上述のように正極電位が4.3V以上となるような高電位電池では、充電が進むと正極表面の電位が高くなるために、正極表面で電解液が酸化分解される場合がある。かかる電解液が酸化分解されることに起因するガスの発生を少なくしたい。
ここで提案される非水電解質二次電池は、正極活物質粒子と、導電助剤とを含む正極活物質層を有している。ここで、導電助剤は、標準生成エンタルピΔHfが−2096(kJ/mol)以下であるリン酸化合物によって、表面の少なくとも一部が覆われた炭素材料である。本発明者の知見では、かかる非水電解質二次電池によれば、ガス発生量が低く抑えられるとともに、容量維持率の低下が抑制される。
図1は、ここで提案される非水電解質二次電池の構成例を模式的に示す断面図である。
以下、ここで提案される非水電解質二次電池の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される形態に限定されない。
図1は、ここで提案される非水電解質二次電池の構成例を模式的に示す断面図である。ここで提案される非水電解質二次電池10は、図1に示すように、電極体11と、ケース12とを備えている。ケース12は、ケース本体12aと、蓋12bと、電極端子13,14とを備えている。
電極体11は、例えば、正極シート50と、負極シート60と、セパレータ72,74とを有している。図1に示された形態では、正極シート50は、正極集電箔51と、正極活物質層53とを有している。正極集電箔51は、帯状のシート(例えば、アルミニウム箔)である。正極集電箔51には、幅方向片側の縁に沿って露出部52が設定されている。正極集電箔51の両面には、露出部52を除いて正極活物質層53が形成されている。負極シート60は、負極集電箔61と、負極活物質層63とを有している。負極集電箔61は、帯状のシート(例えば、銅箔)である。負極集電箔61には、幅方向片側の縁に沿って露出部62が設定されている。負極集電箔61の両面には、露出部62を除いて負極活物質層63が形成されている。
正極シート50と負極シート60とは、長さ方向の向きを揃え、セパレータ72、74を挟んで正極活物質層53と負極活物質層63とが対向するように重ねられている。この際、セパレータ72、74の幅方向の片側に正極集電箔51の露出部52がはみ出て、セパレータ72、74の幅方向の反対側に負極集電箔61の露出部62がはみ出るように、正極シート50と負極シート60とが重ねられている。正極シート50と負極シート60とセパレータ72、74は、上記のように重ねられた状態で正極シート50の短幅に沿って設定された捲回軸WLの周りに捲回されている。電極体11の捲回軸WLに沿った片側には、セパレータ72、74から正極集電箔51の露出部52がはみ出ている。反対側には、セパレータ72、74から負極集電箔61の露出部62がはみ出ている。
ケース本体12aは、電極体11を収容する部材である。図1に示された形態では、ケース本体12aは、一側面が開口した有底直方体形状を有している。蓋12bは、開口した一側面に取り付けられ、ケース本体12aの開口を塞ぐ部材である。かかる蓋12bは、ケース本体12aの開口周縁に溶接されている。電極端子13,14は、蓋12bの長手方向の両側部に設けられている。正極端子13の端部13aには、正極集電箔51の露出部52が溶接されている。負極端子14の端部14aには、負極集電箔61の露出部62が溶接されている。蓋12bには、安全弁30や注液孔32が設けられており、注液孔32にはキャップ材33が取り付けられている。電解液80は、ケース本体12aに蓋12bを取り付けた後で、注液孔32からケース本体12aに注入される。注液孔32は、電解液80が注入された後で、キャップ材33が取り付けられることによって塞がれる。
正極活物質層53は、図示は省略するが、正極活物質粒子と、導電助剤と、結着剤とを含んでおり、結着剤によって正極集電箔51に保持されている。
ここで、正極活物質粒子は、例えば、金属リチウム基準で4.3V以上を示すような高電位を実現し得る正極活物質粒子が好適例として挙げられる。かかる正極活物質粒子には、例えば、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物やスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物などが挙げられる。かかる正極活物質粒子には、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)などの遷移金属元素が含まれていてもよい。
導電助剤としては、典型的には炭素材料を用いることができる。より具体的には、例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック)、コークス、活性炭、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン等の炭素材料から選択される、一種または二種以上であり得る。ここで提案される非水電解質二次電池では、導電助剤には、標準生成エンタルピΔHfが−2096(kJ/mol)以下であるリン酸化合物によって、表面の少なくとも一部が覆われた炭素材料が用いられている。
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)などを採用することができる。
電解液は、非水溶媒中に支持塩(支持電解質)を溶解または分散させたものが用いられる。上記支持塩としては、一般的な非水電解質二次電池と同様のものを、適宜選択して使用することができる。例えば、リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。このような支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、電解液は、例えば、上記支持塩の濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。さらに、常温(例えば25℃)において液状を呈する電解液を用いることが好ましい。電解液80は、ケース12内に収容されており、正極活物質層53と負極活物質層63との間に介在する。このように、正極と負極との間に有機電解質を介在させた二次電池を非水電解質二次電池と称する。
非水溶媒としては、一般的な非水電解質二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が例示される。なお、上記カーボネート類とは、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを包含する意味であり、上記エーテル類とは、環状エーテルおよび鎖状エーテルを包含する意味である。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また、耐酸化性を向上させるべく、上述した有機溶媒の一部がフッ素に置換されたフッ素化溶媒を使用することもできる。
以上、非水電解質二次電池の構成例を例示したが、ここで提案される非水電解質二次電池はかかる形態に限定されない。例えば、非水電解質二次電池を構成する部材やその材料については、種々の公知文献が存在するため、ここでは詳しい説明を省略するが、特に言及されない限りにおいて種々の材料が用いられる。また、例えば、ケース12は、円筒形状のケースでもよいし、袋状の形態でもよく、いわゆるラミネートタイプの外装体でもよい。また、電極体は、必ずしも捲回された構造でなくてもよい。例えば、正極シートと負極シートとがセパレータを介して積層されたものでもよい。
例えば、金属リチウム基準で4.3V程度あるいはそれ以上(例えば、4.4V以上5.0V以下)の高電位で使用される二次電池では、充電が進むと正極表面の電位が高くなるために、正極表面で電解液が酸化分解される場合がある。本発明者の知見によれば、かかる酸化分解は、活物質の表面の他に、導電助剤の表面でも生じうる。本発明者は、導電助剤の表面で電解液が酸化分解されるのを抑制することについて、導電助剤を無機物で被覆することによって発生するガスを少なくできる、との知見を得た。しかし、導電助剤を無機物で被覆した場合には、容量維持率が低下する場合があった。さらに検討を進め、本発明者は、導電助剤を無機物で被覆した場合において、標準生成エンタルピΔHfが−2096(kJ/mol)以下であるリン酸化合物によって、表面の少なくとも一部が覆われた炭素材料を、正極活物質層の導電助剤として用いた。この場合、正極表面が高電位になることに伴うガス発生量が低く抑えられるとともに、当該被覆がない場合に比べて容量維持率が高く維持されることが見出された。
表1は、導電助剤が異なる評価用電池を用意してガス発生量と容量維持率とを評価した表である。表1では、導電助剤が異なるサンプル1〜11の評価用電池について、導電助剤を被覆する被覆材料(無機物)と、当該被覆材料(無機物)の標準生成エンタルピΔHfと、ガス発生量(mL)と、容量維持率(%)とが示されている。
Figure 2017174694
表1のサンプル1〜11の評価用電池では、正極活物質粒子としてスピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物が用いられている。具体的には、平均粒径D50が5μmである、TiとFeがドープしたLiNi0.5Mn1.5が用いられている。なお、ここで提案される非水電解質二次電池に用いられる正極活物質粒子は、これに限定されない。
導電助剤には、アセチレンブラック(AB)が用いられている。表1では、無機物で被覆されていないアセチレンブラックと、無機物で被覆されたアセチレンブラックを用意した。無機物で被覆されたアセチレンブラックには、被覆する無機物を変えて複数種類を用意した。具体的には、サンプル1では、導電助剤として無機物で被覆されていないアセチレンブラックが用いられている。サンプル2〜11では、導電助剤として、SiO、ZnO、ZrO、Al、Nb、LiPO、Mg(PO、Fe(PO、Ni(POまたはZn(POによって被覆されたアセチレンブラックがそれぞれ用いられている。ここで、SiO、ZnO、ZrO、Al、Nb、LiPO、Mg(PO、Fe(PO、Ni(PO、Zn(POの標準生成エンタルピΔHfは、それぞれ表1に示すとおりである。表1に示した標準生成エンタルピΔHfは、A.La Iglesia, Estudios Geologicos 65(2) (2009) 109、および、無機化学ハンドブック(技法堂出版 第2版)などに掲載された文献値である。
アセチレンブラックの表面に上述した無機物を被覆する方法には、気相法の一種である原子層体積法(ALD法,atomic layer deposition)が用いられている。ALD法は、材料中に含まれる原子層を表面に堆積させて成膜する方法であり、金属酸化物などの金属材料を成膜する方法として用いられている。ALD法を用いて導電助剤を被覆する方法は、次のような工程で行われる。まず、導電助剤の表面に被覆する無機物がガス化された前駆体(プリカーサ)を導入し、導電助剤の表面に吸着させる。その後、過剰の無機物を除去する。これにより、導電助剤の表面に無機物からなる原子層が形成される。表1のサンプル2−11では、かかるALD法によって30回程度繰り返し成膜処理を行ない導電助剤の表面を無機物で被覆した。
なお、ここで提案される非水電解質二次電池において、導電助剤は、アセチレンブラックに限定されず、他の炭素材料が採用されうる。また、導電助剤の表面に無機物を被覆する方法は、ALD法に限定されない。例えば、他の気相法で被覆してもよいし、液相法で被覆してもよい。被覆の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることによって観察しうる。被覆の厚さは、例えば、0.1nm以上10nm以下であるとよい。10nmよりも厚い場合には、抵抗が高くなる傾向があり、0.1nmよりも薄い場合には、ガス発生を抑制する効果が低下する。導電助剤は、少なくとも一部が無機物によって覆われているとよい。
この場合、導電助剤は、例えば、導電助剤の表面の40%以上が無機物に覆われているとよい。また、好ましくは導電助剤の表面の50%以上、より好ましくは85%以上が無機物によって覆われているとよい。なお、導電助剤の表面が無機物によって覆われた割合は、例えば、XPS分析(X線光電子分光分析法による分析)によって測定されうる。例えば、XPS分析によって測定されたところでは、ここで例示された実施例1の導電助剤の表面の大凡45%が、実施例2の導電助剤の表面の大凡60%が、実施例4の導電助剤の表面の大凡70%が、それぞれリン酸化合物によって覆われている。ここで、導電助剤の表面が無機物によって覆われた割合は、「被覆率」とも称されうる。また、例えば、導電助剤の表面の全てが無機物によって被覆されていてもよい。ただし、無機物が導電助剤を被覆する割合が高すぎると、非水電解質二次電池の抵抗が高くなる傾向がある。非水電解質二次電池の抵抗が増加するのを防止するとの観点において、無機物が導電助剤を被覆する割合は好ましくは95%以下であり、より好ましくは90%以下であると考えている。かかる被覆の厚さや、導電助剤の表面を覆う割合は、正極活物質層中に含まれる導電助剤の平均で評価するとよい。この場合、正極活物質層の一部から所定数以上の導電助剤を取得し、その算術平均を得る。かかる算術平均を、正極活物質層中に含まれる導電助剤の平均としてもよい。
ここでは、用意された正極活物質粒子と導電助剤と結着剤とを、正極活物質粒子:導電助剤:結着剤=89:8:3(wt%)の割合で、溶媒としてのNMP(N−メチル−2−ピロリドン)と混ぜ合わせて正極活物質粒子を含む合材スラリーを得た。そして、得られたスラリーをAl箔(厚さ15μm)に塗布、乾燥し、正極シートを得た。ここで、結着剤として、ポリフッ化ビニリデンが用いられている。
負極は、負極活物質粒子としてグラファイトと、結着剤1としてカルボキシメチルセルロース(CMC)と、結着剤2としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを、負極活物質粒子:結着剤1:結着剤2=98:1:1(wt%)の割合で、溶媒としての水と混ぜ合わせて負極活物質粒子を含む合材スラリーを得た。そして、得られたスラリーをCu箔(厚さ10μm)に塗布、乾燥し、負極シートを得た。
ここでは、評価用電池として、上述した正極シートと負極シートとをセパレータを介在させた状態で重ねて電極体を構成したラミネート型セルを用意した。ここで、セパレータには、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)とを、PE/PP/PEの順で積層した3層構造の多孔質膜が用いられている。電解液には、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)と、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)を、体積比で50:50となる割合で混合した非水溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの割合で混合した。ここで用意された評価用電池は、導電助剤が異なることを除いて同じ構成であり、同じ条件で作製されている。
組立てられた評価用電池は、所定のコンディショニング処理が行なわれる。次に、アルキメデス法にて、コンディショニング処理後の評価用電池の体積が測定される。次に、所定の耐久試験が行なわれる。そして、アルキメデス法にて、耐久試験後の評価用電池の体積が測定される。ここで、アルキメデス法とは、測定対象物(本例では、評価用電池)を、媒液(例えば、蒸留水やアルコールなど)に浸漬し、測定対象物が受ける浮力を測定することによって、該測定対象物の体積を求める手法である。
ガス発生量は、上記の測定結果を基に、以下の式で算出される。
ガス発生量=(耐久試験後の評価用電池の体積)−(コンディショニング処理後の評価用電池の体積)
コンディショニング処理は、1C/3の電流レートで4.9Vまで充電し、10分間休止した後、1C/3の電流レートで3.5Vまで放電し、10分間休止した。これを1サイクルとして3サイクルの充放電を行なった。ここで1Cは、正極の理論容量から予測した電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流値を意味する。正極の理論容量は、正極活物質層の目付量および正極活物質の質量割合を基に算出される。
かかるコンディショニング処理において、活物質層に所要の被膜が形成される。かかる被膜が形成される反応において、評価用電池内でガスが発生しうる。ここでは、ガス発生量を測定する上で、コンディショニング処理後の評価用電池の体積を基準にしている。コンディショニング処理後は、被膜が十分に形成された状態であり、被膜形成に起因するガスはほとんど発生しない。このため、ここで測定されているガス発生量には、コンディショニング処理において被膜が形成される際に発生するガスは含まれていない。
耐久試験は、恒温容器内に評価用電池を配置し、評価用電池の温度環境を60℃に設定する。耐久試験は、かかる60℃の温度条件下において、2Cの充電レートで電圧4.75Vまで定電流充電を行い、その後2Cの放電レートで電圧3.5Vまで定電流放電を行う充放電を1サイクルとして、200サイクル繰り返した。かかる耐久試験において、1サイクル目の放電時において4.75Vから3.5Vまでに放電された放電容量を初期容量とする。200サイクル目の放電時において4.75Vから3.5Vまでに放電された放電容量を耐久試験後の容量とする。容量維持率(%)は、以下の式で算出される。
容量維持率(%)=(耐久試験後の容量)/(初期容量)×100(%)
表1に示されているように、無機物で被覆されていないアセチレンブラックが導電助剤として用いられたサンプル1では、ガス発生量は0.95mLであり、容量維持率は71.5%であった。これに対して、SiO、ZnO、ZrO、Al、Nbによって被覆されたアセチレンブラックが用いられたサンプル2−6では、ガス発生量はサンプル1よりも少なくなったものの、容量維持率は何れもサンプル1よりも低く悪くなった。これに対して、標準生成エンタルピΔHfが−2096(kJ/mol)以下のリン酸化合物によって、表面の少なくとも一部が覆われた炭素材料(例えば、サンプル7〜11)では、サンプル1よりもガス発生量が少なくなるとともに容量維持率が高く維持されることが見出された。これによって、金属リチウム基準で4.3V程度の高電位で使用される非水電解質二次電池において、ガス発生量が少なくなるとともに容量維持率が高く維持される。つまり、高電位に起因して正極表面で電解液が酸化分解されるのが抑制されるとともに、容量維持率が高く維持される。
このように、本発明者は、正極活物質層に含まれる導電助剤は、標準生成エンタルピΔHfが−2096(kJ/mol)以下であるリン酸化合物によって、表面の少なくとも一部が覆われた炭素材料であることが好ましいとの知見を得た。また、リン酸化合物は、金属を含んでいるとよい。つまり、本発明者が得た知見によれば、例えば、LiPO、Mg(PO、Fe(PO、Ni(POまたはZn(POによって被覆されたアセチレンブラックを正極活物質層の導電助剤に用いるとよい。
なお、表1では、導電助剤としてアセチレンブラックが例示されているが、本発明者の知見によれば、ここで導電助剤は、アセチレンブラックに限定されない。つまり、導電助剤を被覆するリン酸化合物によって、ガス発生量が低く抑えられているとともに、容量維持率が高く維持されている。また、導電助剤には、アセチレンブラックの他、ケッチェンブラックなどの他の炭素材料が採用されうる。
ところで、標準生成エンタルピΔHfが−1945(kJ/mol)であるNbによって被覆されている場合、ガス発生量が少なくなるとともに、容量維持率は68.9%である。これは、サンプル1よりも悪いが、サンプル2−5よりも容量維持率が高く維持されている。容量維持率を高く維持するとの観点において、導電助剤を被覆する無機物の標準生成エンタルピΔHfは、−2000(kJ/mol)以下であれば、サンプル1と容量維持率を大凡同程度に維持できると考えられる。また、上述した例では、導電助剤を被覆する無機物の例として、リン酸化合物が挙げられている。標準生成エンタルピΔHfが−2000(kJ/mol)以下(より具体的には、−2096(kJ/mol)以下)であれば、リン酸化合物以外の無機物であっても、リン酸化合物と同様の効果が得られる可能性があると推察されうる。つまり、標準生成エンタルピΔHfが−2000(kJ/mol)以下である無機物によって導電助剤の少なくとも一部を覆うことによって、正極表面が高電位になることに伴うガス発生量が低く抑えられるとともに、当該被覆がない場合に比べて容量維持率が高く維持されることが期待されうる。
以上、ここで提案される非水電解質二次電池について、種々説明したが、特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態および実施例は、本発明を限定しない。
ここでは、標準生成エンタルピΔHfによって、導電助剤を被覆する好適な無機物を差別化しているが、かかる無機物は、ギブスエネルギによっても規定されうる。つまり、標準生成エンタルピΔHfとギブスエネルギには、相関関係があるので、標準生成エンタルピΔHfを、ギブスエネルギに置き換えて無機物を規定することができる。
10 非水電解質二次電池
11 電極体
12 ケース
12a ケース本体
12b 蓋
13 正極端子(電極端子)
13a 端部
14 負極端子(電極端子)
14a 端部
30 安全弁
32 注液孔
33 キャップ材
50 正極シート
51 正極集電箔
52 露出部
53 正極活物質層
60 負極シート
61 負極集電箔
62 露出部
63 負極活物質層
72,74 セパレータ
80 電解液
WL 捲回軸

Claims (1)

  1. 正極活物質粒子と、導電助剤とを含む正極活物質層を有し、
    前記導電助剤は、標準生成エンタルピΔHfが−2096(kJ/mol)以下であるリン酸化合物によって、表面の少なくとも一部が覆われた炭素材料である、非水電解質二次電池。
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