JP2017172618A - 振動低減装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力される振動の大小に応じて好適に減衰力を切替えることが可能な振動低減装置を提供する。【解決手段】相対振動する二部材の間の相対振動を低減させるための振動低減装置Aであって、一端を一方の部材に接続して配設されるシリンダー5と、シリンダー5の内部を第1隔室6と第2隔室7に区画するピストン8と、ピストン8に一端を接続してシリンダー5の軸線方向外側に延設され、他端を他方の部材に接続して配設されるピストンロッド9と、第1隔室6及び第2隔室7に充填される作動流体10とを備えるとともに、予め設定した所定の反力を超えると減衰係数を増加させる可変減衰機構20を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば建物に作用した振動エネルギーを吸収して変位を抑えるためのオイルダンパーなどの振動低減装置に関する。
例えば中高層建物が巨大地震を受けると、建物の最弱層に損傷が生じて耐力が低下し始め、この層に地震エネルギー(振動エネルギー)が集中して層崩壊が生じ、他の層は健全性が確保されているにもかかわらず、層崩壊モードによって建物が崩壊に至るという現象が発生する。また、崩壊に至らない場合においても、最弱層の被害が甚大となり、補修による復旧が困難になる。
これに対し、例えばオフィスビルや公共施設や集合住宅などの建物では、建物本体と基礎の間など、上部構造体と下部構造体の間の免震層に積層ゴムなどの免震装置を介設し、地震時に、上部構造体の固有周期を地震動の卓越周期帯域から長周期側にずらし、応答加速度を小さくして揺れを抑えるようにしたものがある。
また、建物の柱と梁で囲まれた架構面内などにオイルダンパー(振動低減装置、制振/制震装置)を設置することにより地震時や強風時の建物の応答を低減させるようにしたものがある。
さらに、建物本体と基礎の間など、上部構造体と下部構造体の間の免震層に免震装置とともに、免震装置と並列にオイルダンパーを設けるようにしたものもある。
ここで、オイルダンパーは、粘性減衰を付与する最も一般的な制振装置であり、通常、装置両端の相対速度に比例した反力/減衰力が生じ、相対速度が過大になった際には(反力がリリーフ荷重に達すると)、装置内部に具備されたリリーフ弁が作動して反力を頭打ちにするように構成されている。
このため、建物本体と基礎の間など、上部構造体と下部構造体の間の免震層に免震装置とともにオイルダンパーを設けた場合、大地震時には、オイルダンパーの減衰力(減衰係数×ダンパー両端の相対速度、ただしリリーフ荷重で頭打ち)が大きいほどエネルギー吸収も大きくなって免震層/上部構造の変位を抑制する効果が得られる。一方で、オイルダンパーの減衰力が大きいと、中小地震時には地盤の振動がオイルダンパーを通じて上部構造に伝達してしまい、振動絶縁性能(免震性能)を低下させることになる。
さらに、オイルダンパーの減衰力が大きく、免震層の変位を小さく抑制し過ぎると、免震装置が十分に応答低減効果を発揮できなくなる。
また、オイルダンパーの減衰力を小さくすると、地盤の振動が免震対象の上部構造に伝達しにくくなり、高い振動絶縁性を確保できる反面、大地震時に大きな振動が入力した際に免震層の変位が大きくなり、場合によっては上部構造が隣接した建築物などに衝突したり、免震装置の限界変位を超えたりするおそれが生じてしまう。
このため、免震装置とともに免震層に設置されるオイルダンパーには、中小地震時に減衰係数を小さくでき、大地震時に減衰係数を大きくできる性能が求められており、例えば、揺れの大きさに応じて自動的に抵抗力を低減衰モードと高減衰モードに切り替え可能な「切替型オイルダンパー」が提案、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−19383号公報
しかしながら、上記従来の切替型オイルダンパーは、変位に応じてバルブが開閉することによって油圧回路が切り替わり、作動油の流量、圧力を変更する複雑な構成であるため、非常に高価であり、広く普及するには至っていない。
また、この切替型オイルダンパーは、変位が小さい場合に、シャットオフ弁が開いた状態でバイパス管に作動油が流れ、低減衰弁とピストンにある高減衰弁とが並列された形となることにより、ダンパーの減衰係数が小さい「低減衰モード」となる。
変位が大きい場合は、変位検出ロッドの溝から外れることで、シャットオフ弁が閉じて作動油がバイパス管に流れなくなり、ピストンに組込まれた高減衰弁のみが効いてダンパーの減衰係数が大きい「高減衰モード」となる。また、その後、変位が小さくなってもシャットオフ弁は閉じた状態のままとなり「高減衰モード」が維持されることになる。
これにより、大地震後は手動で元の「低減衰モード」に復帰させなければならないという不都合があった。
上記事情に鑑み、本発明は、入力される振動の大小に応じて好適に減衰力を切替えることが可能で、地震後に元の「低減衰モード」に自動復帰する振動低減装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の振動低減装置は、相対振動する二部材の間の相対振動を低減させるための振動低減装置であって、一端を一方の部材に接続して配設されるシリンダーと、前記シリンダーの内部を第1隔室と第2隔室に区画するピストンと、前記ピストンに一端を接続して前記シリンダーの軸線方向外側に延設され、他端を他方の部材に接続して配設されるピストンロッドと、前記第1隔室及び前記第2隔室に充填される作動流体とを備えるとともに、予め設定した所定の反力を超えると減衰係数を増加させる可変減衰機構を備えることを特徴とする。
また、本発明の振動低減装置においては、前記可変減衰機構が、内部にシリンダー室を備えた可変減衰シリンダーと、前記可変減衰シリンダーの内部を一方の可変減衰シリンダー室と他方の可変減衰シリンダー室に区画する可変減衰ピストンと、前記可変減衰ピストンを前記他方の可変減衰シリンダー室側に付勢するバネ部材と、前記一方の可変減衰シリンダー室と前記第1隔室を連通させる一方の可変減衰バイパスと、前記他方の可変減衰シリンダー室と前記第2隔室を連通させる方の可変減衰バイパスと、前記他方の可変減衰バイパスに設けられ、前記第2可変減衰バイパスを流通する作動流体の量を調整するための減衰弁と、前記第1隔室と前記第2隔室の作動流体の圧力に応じ、前記他方の可変減衰シリンダー室に対して作動流体を給排させるための圧力検知機構とを備えるとともに、前記圧力検知機構が、前記他方の可変減衰シリンダー室に連通する圧力検知室と、前記圧力検知室と前記第1隔室を連通させる第1圧力検知バイパスと、前記圧力検知室と前記第2隔室を連通させる第2圧力検知バイパスと、前記第1隔室及び/又は前記第2隔室と前記圧力検知室内の作動流体の圧力差に応じて前記第1圧力検知バイパス及び/又は前記第2圧力検知バイパスを開閉する弁体とを備え、前記圧力検知室内が前記第1隔室及び前記第2隔室よりも高圧になって前記弁体が前記第1圧力検知バイパス及び前記第2圧力検知バイパスを閉じた状態において前記圧力検知室内の高圧の作動流体が前記第1圧力検知バイパス及び前記第2圧力検知バイパスを通じて前記第1隔室及び前記第2隔室に流れるように構成され、且つ、前記可変減衰ピストンが前記バネ部材に付勢されて前記他方の可変減衰シリンダー室側に配された状態で前記可変減衰ピストンに形成された連通孔を通じて前記第1圧力検知バイパスと前記第2圧力検知バイパスが連通され、前記圧力検知室から前記他方の可変減衰シリンダー室内に作動流体が流入して加圧され、前記可変減衰ピストンが前記一方の可変減衰シリンダー室側に配された状態で前記第1圧力検知バイパスと前記第2圧力検知バイパスが遮断されるように構成されていることが望ましい。
さらに、本発明の振動低減装置においては、前記可変減衰機構が前記バネ部材によって前記可変減衰ピストンに作用させる付勢力を調整するための調整機構を備えていることがより望ましい。
また、本発明の振動低減装置においては、前記可変減衰機構が前記ピストンに内蔵されていることがさらに望ましい。
本発明の振動低減装置においては、予め設定した所定の反力を超えると減衰係数を変化させる可変減衰機構を備えることにより、入力される振動の大小に応じて好適に減衰力を切替えることが可能になる。
本発明の一実施形態に係る振動低減装置を免震層に免震装置と並列に設けた状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の可変減衰機構を示す断面図である。 図3のX1−X1線矢視図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の特性(荷重と速度の関係)を示す図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の特性(荷重と速度の関係)を示す図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の可変減衰機構の中小地震時の状態を示す図であり、(a)が縦断面図、(b)が(a)のX1−X1線矢視図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の可変減衰機構の大地震時の状態を示す図であり、(a)が縦断面図、(b)が(a)のX1−X1線矢視図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の可変減衰機構の大地震時(トリガー作動時)の状態を示す図であり、(a)が縦断面図、(b)が(a)のX1−X1線矢視図である。 本発明の一実施形態に係る振動低減装置の可変減衰機構の大地震後(中小地震時)の状態を示す図であり、(a)が縦断面図、(b)が(a)のX1−X1線矢視図である。
以下、図1から図10を参照し、本発明の一実施形態に係る振動低減装置について説明する。
本実施形態の振動低減装置Aは、大地震時に減衰係数を大きくするオイルダンパーであり、ダンパー反力により減衰係数(減衰力)を変化させることを可能にしたものである。
また、本実施形態では、図1に示すように、本発明に係る振動低減装置としてのオイルダンパーが、建物本体と基礎の間など、上部構造1と下部構造2の間の免震層3に積層ゴムなどの免震装置4と並列に設けられて、地震時に上部構造1に伝わる地震エネルギーを減衰させるためのものであるとして説明を行う。
具体的に、本実施形態の振動低減装置Aは、図1及び図2に示すように、一端5a側を基礎などの下部構造(一方の部材)2に接続して配設されるシリンダー5と、シリンダー5の内部を一方の油室(第1隔室)6と他方の油室(第2隔室)7に区画するピストン8と、ピストン8に一端を接続してシリンダー5の軸線方向外側に延設され、他端5b側を上部構造(他方の部材)1に接続して配設されるピストンロッド9とを備えて構成されている。また、ピストン8の一方の油室6と他方の油室7には作動油(作動流体)10が充填されている。
また、一方の油室6と他方の油室7をそれぞれ連通させる第1バイパス11、第2バイパス12の2つのバイパス油路が設けられており、本実施形態ではこれらバイパス油路11、12がピストン8を貫通するようにして設けられている。
第1バイパス11には、第1減衰弁13が設けられている。この第1減衰弁13によって第1バイパス11を流通する油量(第1バイパス11の作動油10が流れる流通面積)が調整可能とされている。
第2バイパス12にはリリーフ弁14が設けられている。これにより、ピストン8(装置両端)の相対速度が過大になるとともに(反力がリリーフ荷重に達するとともに)、リリーフ弁14が作動して反力を頭打ちにするように構成されている。
さらに、本実施形態の振動低減装置Aは、振動低減装置Aの減衰係数を可変にする可変減衰機構20を備えている。
本実施形態の可変減衰機構20は、図2、図3及び図4に示すように、ピストン8に内蔵して設けられており、内部にシリンダー室を備えた可変減衰シリンダー21と、可変減衰シリンダー21の内部を一方の可変減衰シリンダー室22と他方の可変減衰シリンダー室23に区画する可変減衰ピストン24と、一方の可変減衰シリンダー室22内に設けられ、可変減衰ピストン24の一端を押圧して可変減衰ピストン24を他方の可変減衰シリンダー室23側に付勢するバネ部材25と、バネ部材25によって可変減衰ピストン24に作用させる付勢力を調整するための調整機構(調整ねじ)26と、一方の油室6と他方の油室7の作動油10の圧力に応じ、他方の可変減衰シリンダー室23に対して作動油10を給排させるための圧力検知機構27とを備えている。
また、可変減衰機構20は、他方の可変減衰シリンダー室23内に設けられ、可変減衰ピストン24の他端が当接するとともに可変減衰シリンダー21の他方の可変減衰シリンダー室23側へのそれ以上の移動を規制するストッパー28を備えている。さらに、可変減衰シリンダー21には、可変減衰ピストン24がある程度一方の可変減衰シリンダー室22側に移動すると、一端が当接してそれ以上の一方の可変減衰シリンダー室22側への移動を規制する段部29が設けられている。
さらに、可変減衰機構20は、一方の油室6と可変減衰シリンダー21のシリンダー室を連通させる第1可変減衰バイパス30と、他方の油室7と可変減衰シリンダー21のシリンダー室を連通させる第2可変減衰バイパス31とを備えている。また、第2可変減衰バイパス31には第2減衰弁32が設けられており、この第2減衰弁32によって第2可変減衰バイパス31を流通する油量(第2可変減衰バイパス31の作動油10の流通面積)が調整可能とされている。
可変減衰ピストン24には、第1可変減衰バイパス30と第2可変減衰バイパス31を連通させる連通孔35が貫通形成されている。そして、他端がストッパー28に当接し、可変減衰ピストン24がそれ以上他方の可変減衰シリンダー室23側に移動できない状態で、連通孔35を通じて第1可変減衰バイパス30と第2可変減衰バイパス31が最も作動油10の流通面積(連通面積)が大きくなるように連通し、可変減衰ピストン24がバネ部材25の付勢に反して一方の可変減衰シリンダー室22側に移動すると、その移動量に応じ、連通孔35を通じた第1可変減衰バイパス30と第2可変減衰バイパス31の作動油10の流通面積が小さくなるように構成されている。
また、本実施形態では、可変減衰ピストン24の一端が可変減衰シリンダー21の段部29に当接した状態で、第2可変減衰バイパス31が可変減衰ピストン24によって完全に閉塞され、作動油10が流通しないように構成されている。
本実施形態の圧力検知機構27は、ピストン8に内蔵して設けられており、可変減衰シリンダー5の他方の可変減衰シリンダー室23に連通する圧力検知室37と、圧力検知室37と一方の油室6を連通させるようにピストン8に貫通形成された第1圧力検知バイパス38と、圧力検知室37と他方の油室7を連通させるようにピストン8に貫通形成された第2圧力検知バイパス39と、バネ部材40によって圧力検知室37に繋がる第1圧力検知バイパス38の開口部(流入口)を閉塞するように圧力検知室37側から付勢された弁体41を有する第1逆止弁(圧力弁)42と、バネ部材40によって圧力検知室37に繋がる第2圧力検知バイパス39の開口部(流入口)を閉塞するように圧力検知室側から付勢された弁体41を有する第2逆止弁(圧力弁)43とを備えて構成されている。
また、本実施形態では、第1逆止弁42と第2逆止弁43が、第1圧力検知バイパス38の開口部、第2圧力検知バイパス39の開口部を閉塞させるようにそれぞれの弁体41が配された状態で、僅かな隙間Hが残されて各開口部を完全に閉塞させないようにし、圧力検知室37と各圧力検知バイパス38、39の間を僅かに作動油10が流通できるように構成されている。
そして、上記のように構成した本実施形態の振動低減装置Aにおいては、まず、一方の油室6と他方の油室7の圧力が所定値未満の場合、他方の可変減衰シリンダー室23は加圧されないため、可変減衰ピストン24はバネ部材25でストッパー28に当接するように下に押し付けられる。これにより、可変減衰ピストン24の連通孔35を通じて第1可変減衰バイパス30と第2可変減衰バイパス31が連通し、これら第1可変減衰バイパス30と第2可変減衰バイパス31を通じて一方の油室6と他方の油室7の間で作動油10が流れることになる。このとき、図5、図6に示すように、本実施形態の振動低減装置Aは、第1減衰弁13と第2減衰弁32とによって減衰係数がC1(低減衰)となる。
次に、一方の油室6または他方の油室7の圧力が所定値以上となった場合、圧力検知機構27の第1逆止弁42または第2逆止弁43を通じて圧力検知室37、さらに他方の可変減衰シリンダー室23に作動油10が流入し、可変減衰ピストン24を押し上げ、第2可変減衰バイパス31の開口部を塞ぎ、第1可変減衰バイパス30と第2可変減衰バイパス31の間を遮断する。このとき、図5、図6に示すように、第2減衰弁32を流れる作動油10がなくなり、第1減衰弁13だけが機能して減衰係数がC2(高減衰)となる。
次に、ダンパー反力が小さくなって一方の油室6と他方の油室7の圧力が低下した場合、他方の可変減衰シリンダー室23の圧力は逆止弁42、43があるために保持され、第2可変減衰バイパス31は閉鎖されたままとなる。すなわち、地震によって一旦減衰係数が大きくなると、地震中は高い減衰係数のまま保持されることになる。これにより、本実施形態の振動低減装置Aは、図5、図6に示すように、所定荷重Fで減衰係数がC1→C2へと切替えるトリガー機構付きダンパーとなる。
このように、従来の可変減衰ダンパー(切替型オイルダンパー)は所定の変位を超えると、減衰係数が変化(増大)するのに対し、本実施形態の振動低減装置Aにおいては、変位に関わらず所定の反力を超えると減衰係数が変化(増大)する。
また、可変減衰機構20は、一方の油室6と他方の油室7の圧力差が所定値より大きくなった場合にバイパス31を塞ぎ減衰係数を大きくする。なお、オイルダンパーの反力は一方の油室6と他方の油室7の圧力差にピストン8の受圧面積を乗じたものなので、ダンパーの反力により減衰係数を変化させることと同義である(図5、図6)。
すなわち、中小地震時には、図7(図5、図6)に示すように、圧力検知室37が加圧されず、可変減衰ピストン24がバネ部材25によって他方の可変減衰シリンダー室23側に押し下げられ、一方の油室6と他方の油室7を連結する第1可変減衰バイパス30、連通孔35、第2可変減衰バイパス31に作動油10が流れて、減衰係数がC1(低減衰)となる。
大地震時には、図8(図5、図6)に示すように、逆止弁42(43)が開き、圧力検知室37が加圧され、この圧力検知室37内の圧力に応じ、可変減衰ピストン24がバネ部材25の付勢力に反して一方の可変減衰シリンダー室22側に移動し、一方の油室6と他方の油室7を連結する第1可変減衰バイパス30、連通孔35、第2可変減衰バイパス31が遮断される。このようにトリガー機構のように動作/機能することにより、大地震時には、圧力検知室37内の圧力の上昇に応じ、切替荷重Fが作用するとともに減衰係数がC1(低減衰)からC2(高減衰)となる。
なお、切替荷重Fは、調整機構(調整ねじ)26を操作することにより、リリーフ荷重以下の任意の値に自在に設定することが可能である。
さらに、大地震時に、ダンパー反力(一方の油室6と他方の油室7の圧力差にピストン8の受圧面積を乗じたもの)が低下すると、すなわち、ダンパー反力が小さくなって一方の油室6と他方の油室7の圧力差が小さくなると、図9(図5、図6)に示すように、逆止弁42、43が閉じ、圧力検知室37が加圧状態で保持され、可変減衰ピストン24が一方の可変減衰シリンダー室22側で保持される。これにより、一方の油室6と他方の油室7を連結する第1可変減衰バイパス30、連通孔35、第2可変減衰バイパス31が遮断され続け、減衰係数がC2(高減衰)のままの状態で維持される。
大地震後(及び中小地震時)には、図10(図5、図6)に示すように、圧力検知室37は加圧されず、可変減衰ピストン24がバネ部材25によって他方の可変減衰シリンダー室23側に配される。このため、一方の油室6と他方の油室7を連結する第1可変減衰バイパス30、連通孔35、第2可変減衰バイパス31に作動油10が流れ、減衰係数がC1(低減衰)となる。
また、大地震後には、逆止弁42、43に僅かな隙間Hがあるため、時間が経つと他方の可変減衰シリンダー室23の圧力が低下し、可変減衰ピストン24が下がり、バイパス回路が開通され地震前の状態に自動的に復帰する。これにより、従来の可変減衰ダンパーのように大地震後に手動で元の「低減衰モード」に復帰させる必要がない。
なお、本実施形態の振動低減装置Aにおいては、ピストン8にリリーフ弁14が設けられているため、ダンパー反力がFr(リリーフ荷重)で頭打ちとなる。すなわち、リリーフ弁14によって過大な反力を生じないフェールセーフ機構が具備されている。
したがって、本実施形態の振動低減装置(可変減衰オイルダンパー)Aにおいては、中小地震時に減衰係数を小さくして応答加速度を抑制し、大地震時に減衰係数を大きくして応答変位を抑制する可変減衰オイルダンパーとすることができる。
さらに、大地震時において、一旦減衰係数が大きくなると地震応答終了まで高い減衰係数を保持するので、応答変位の抑制効果を高くすることができる。また、ダンパー反力が所定の値を超えたときのみ減衰係数を増加させる場合や、ダンパー変位が所定の値を超えたときのみ減衰係数を増加させる場合と比較すると、減衰係数が高いまま維持されるので応答変位を小さくすることが可能になる。
また、ダンパー反力が大きくなるのは大地震時であり、所定の反力(荷重)に達したら減衰係数を増大させ応答変位を抑制する合理的な性能を実現することができる。なお、この場合、減衰係数の増大により応答加速度がやや増加するが、大地震時に居住性より構造安全性を重視することは妥当な判断といえる。
さらに、地震後は時間が経過すると自動的に元の低減衰に復帰させることができる。すなわち、従来の可変減衰オイルダンパーでは「手動で元の「低減衰モード」に復帰させる必要があったが、本実施形態の振動低減装置Aにおいては、地震後にこの復帰作業を不要にできる。
また、本実施形態のように自動復帰を他方の可変減衰シリンダー室の圧力が逆止弁の隙間Hから作動油10が僅かに流出することによって実現させると、複雑なメカニズムを用いずにローコストで自動復帰させることが可能になる。
また、オイルダンパーのピストン8に可変減衰機構20を組込む(内蔵する)ことで、シリンダー5の外部に設けるバイパス管が不要となり、可変減衰機構20を具備しつつシンプルでオイル漏れが生じにくいダンパーをローコストで製作することが可能になる。
さらに、従来のように変位によって減衰係数を変化させるオイルダンパーの場合には変位検出用ロッドが必要になるが、本実施形態の振動低減装置Aのように反力(荷重)によって減衰係数を変化させるようにしたことで、このようなロッド部品が不要になり、周知の弁を用いた油圧回路で構成できる。これにより、信頼性の高い装置を簡易に且つ低コストで実現することができる。従来の可変減衰ダンパーでは「変位が一定値以上になると減衰係数が増大する」ようにしていたが、これだと変位が大きくなり速度が低下してから減衰係数が増大して反力が増すようになる。一方、本提案では「反力が一定値以上になると減衰係数が増大する」ようにしており、変位が小さくても速度が大きい場合は減衰係数が増大するように変化でき、従来型より早くからダンパー反力が増すため変位抑制効果が高くなる。
さらに、減衰係数を変化させる荷重Fをリリーフ荷重以下の任意の荷重に設定できる。なお、再現期間50年程度のレベル1地震動でリリーフ荷重に達する場合には、変化荷重Fをリリーフ荷重近傍に設定することが望ましい。
また、本実施形態の振動低減装置Aは、外観上も接合部も従来のオイルダンパーと全く同じであり、設置方法も変わらないので、施工に当たり特別な技量を要さない。
さらに、パッシブ型なので、電源等の外部エネルギーを要しない。
以上、本発明に係る振動低減装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明に係る作動流体は、作動油に限定しなくてもよく、あらゆる液体、気体を用いることができる。
また、第1バイパス11、第2バイパス12、可変減衰機構20を、ピストン8に内蔵するのではなく、バイバス管等を用いて、適宜、シリンダー5の外部に設けるようにしてもよい。
1 上部構造
2 下部構造
3 免震層
4 免震装置
5 シリンダー
5a 一端
5b 他端
6 一方の油室(第1隔室)
7 他方の油室(第2隔室)
8 ピストン
9 ピストンロッド
10 作動油(作動流体)
11 第1バイパス
12 第2バイパス
13 第1減衰弁
14 リリーフ弁
20 可変減衰機構
21 可変減衰シリンダー
22 一方の可変減衰シリンダー室
23 他方の可変減衰シリンダー室
24 可変減衰ピストン
25 バネ部材
26 調整機構(調整ねじ)
27 圧力検知機構
28 ストッパー
29 段部
30 第1可変減衰バイパス
31 第2可変減衰バイパス
35 連通孔
37 圧力検知室
38 第1圧力検知バイパス
39 第2圧力検知バイパス
40 バネ部材
41 弁体
42 第1逆止弁(圧力弁)
43 第2逆止弁(圧力弁)
A 振動低減装置
H 隙間

Claims (4)

  1. 相対振動する二部材の間の相対振動を低減させるための振動低減装置であって、
    一端を一方の部材に接続して配設されるシリンダーと、前記シリンダーの内部を第1隔室と第2隔室に区画するピストンと、前記ピストンに一端を接続して前記シリンダーの軸線方向外側に延設され、他端を他方の部材に接続して配設されるピストンロッドと、前記第1隔室及び前記第2隔室に充填される作動流体とを備えるとともに、
    予め設定した所定の反力を超えると減衰係数を増加させる可変減衰機構を備えることを特徴とする振動低減装置。
  2. 請求項1記載の振動低減装置において、
    前記可変減衰機構が、内部にシリンダー室を備えた可変減衰シリンダーと、前記可変減衰シリンダーの内部を一方の可変減衰シリンダー室と他方の可変減衰シリンダー室に区画する可変減衰ピストンと、前記可変減衰ピストンを前記他方の可変減衰シリンダー室側に付勢するバネ部材と、前記一方の可変減衰シリンダー室と前記第1隔室を連通させる一方の可変減衰バイパスと、前記他方の可変減衰シリンダー室と前記第2隔室を連通させる方の可変減衰バイパスと、前記他方の可変減衰バイパスに設けられ、前記第2可変減衰バイパスを流通する作動流体の量を調整するための減衰弁と、前記第1隔室と前記第2隔室の作動流体の圧力に応じ、前記他方の可変減衰シリンダー室に対して作動流体を給排させるための圧力検知機構とを備えるとともに、
    前記圧力検知機構が、前記他方の可変減衰シリンダー室に連通する圧力検知室と、前記圧力検知室と前記第1隔室を連通させる第1圧力検知バイパスと、前記圧力検知室と前記第2隔室を連通させる第2圧力検知バイパスと、前記第1隔室及び/又は前記第2隔室と前記圧力検知室内の作動流体の圧力差に応じて前記第1圧力検知バイパス及び/又は前記第2圧力検知バイパスを開閉する弁体とを備え、
    前記圧力検知室内が前記第1隔室及び前記第2隔室よりも高圧になって前記弁体が前記第1圧力検知バイパス及び前記第2圧力検知バイパスを閉じた状態において前記圧力検知室内の高圧の作動流体が前記第1圧力検知バイパス及び前記第2圧力検知バイパスを通じて前記第1隔室及び前記第2隔室に流れるように構成され、
    且つ、前記可変減衰ピストンが前記バネ部材に付勢されて前記他方の可変減衰シリンダー室側に配された状態で前記可変減衰ピストンに形成された連通孔を通じて前記第1圧力検知バイパスと前記第2圧力検知バイパスが連通され、前記圧力検知室から前記他方の可変減衰シリンダー室内に作動流体が流入して加圧され、前記可変減衰ピストンが前記一方の可変減衰シリンダー室側に配された状態で前記第1圧力検知バイパスと前記第2圧力検知バイパスが遮断されるように構成されていることを特徴とする振動低減装置。
  3. 請求項2記載の振動低減装置において、
    前記可変減衰機構が前記バネ部材によって前記可変減衰ピストンに作用させる付勢力を調整するための調整機構を備えていることを特徴とする振動低減装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の振動低減装置において、
    前記可変減衰機構が前記ピストンに内蔵されていることを特徴とする振動低減装置。
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