JP6774234B2 - 免震用ダンパ - Google Patents

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この発明は、免震用ダンパに関する。
免震装置は、地盤と構造物との間に介装されるボールアイソレータやゴムといった支持装置を備え、構造物を地盤に対して変位可能に支持しており、地震動の構造物への伝達を絶縁するようになっている。免震装置には、上記のような支持装置の他に、地盤と構造物との間に介装されるダンパを備える場合もあり、構造物の振動をダンパが発生する減衰力で減衰させて構造物の振動を抑制するようになっている。
このように免震装置に併用される免震用のダンパは、構造物の振動を抑制できるが、ピストン速度が高速域に達する大きな揺れに対してダンパの減衰力が過大となると構造物に大きな加速度が作用して柱や梁などが変形してしまう可能性がある。
よって、免震用のダンパにあっては、調圧弁とリリーフ弁とを備えており、図6に示すように、ピストン速度が速くなるとリリーフ弁が開弁して減衰係数を小さくして、高速時における減衰力が過多となるのを防止し、構造物の保護を図っている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2005−248520号公報
しかしながら、前述のダンパでは、免震装置の免震効果を阻害してしまう場合がある。前述のダンパの減衰力特性(ピストン速度に対してダンパが発生する減衰力の特性)は、減衰係数が小さく切り換わるまでは、つまり、リリーフ弁が開弁するまでは、調圧弁の減衰係数が大きくピストン速度の増加に対して減衰力の増加量も大きい特性となっている。
すると、ピストン速度が低速域にあってもダンパが発生する減衰力が過多となって、地震動を構造物に伝達してしまい免震装置の免震効果を阻害してしまう場合がある。
そうかと言って、リリーフ弁が開弁するまでは減衰係数を低くして免震効果を得ようとすると、以下の問題が生じる。具体的には、大振幅の地震動が発生した場合に、今度は減衰力不足に陥りダンパが最伸長或いは最収縮するか、或いは、構造物が地盤に対する構造物の変位を抑制するストッパに衝突して、構造物に衝撃的な加速度を作用させてしまう可能性がある。
そこで、本発明は前記問題を解決するために創案されたものであって、その目的は、免震効果を損なわず、かつ、ピストン速度が高速域に達する大振幅の地震動に対しては高い減衰力を発揮可能なダンパの提供である。
上記した目的を達成するために、本発明の免震用ダンパは、シリンダと、シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、ロッドと、伸側室から圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する伸側通路と、圧側室から伸側室へ向かう液体の流れのみを許容する圧側通路と、リザーバと、圧側室からリザーバへ向かう液体の流れのみを許容する排出通路と、伸側通路、圧側通路および排出通路のそれぞれに設けられる絞り弁および低圧リリーフ弁と、絞り弁および低圧リリーフ弁に並列されて低圧リリーフ弁よりも高い開弁圧で開弁する高圧リリーフ弁とを備え、ピストン速度が低速域にあっては低圧リリーフ弁によって低減衰力を出力し、ピストン速度が高速域にあっては前記高圧リリーフ弁によって高減衰力を出力し、ピストン速度が低速域と高速域の間の中速域では、絞り弁によってピストン速度の増加に応じて低減衰力から高減衰力へ減衰力を増加させる減衰力特性を有する。よって、免震用ダンパは、ピストン速度が低い場合には、低い減衰力しか発揮せずに構造物への振動絶縁性を阻害せず、ピストン速度が高速に達する大きな振動が構造物に作用する場面では高い減衰力を発揮できる。
また、請求項2の免震用ダンパでは、ピストン速度における低速域と中速域の境を60cm/sとし、中速域と高速域の境を90cm/sとしている。
よって、本発明の免震用ダンパによれば、免震効果を損なわず、かつ、ピストン速度が高速域に達する大振幅の地震動に対しては高い減衰力を発揮できる。
一実施の形態における免震用ダンパの概略断面図である。 調圧弁の圧力流量特性図である。 調圧弁の一例における断面図である。 減衰部の圧力流量特性図である。 免震用ダンパの減衰力特性図である。 既存のダンパの減衰力特性図である。 南海トラフ沿い地震を想定した地震波を入力した場合の建物の地震波に対する応答を示した図である。 上町断層を震源とした地震(レベル3B)を想定した地震波を入力した場合の建物の地震波に対する応答を示した図である。 上町断層を震源とした地震(レベル3C)を想定した地震波を入力した場合の建物の地震波に対する応答を示した図である。 一実施の形態の一変形例における免震用ダンパの概略断面図である。
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態における免震用ダンパDは、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン2と、シリンダ1内に移動自在に挿入されてピストン2に連結されるロッド3と、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側通路4と圧側通路5と、リザーバRと、圧側室R2とリザーバRとを連通する排出通路6と、伸側通路4と圧側通路5と排出通路6のそれぞれに設けた減衰部V1,V2,V3とを備えて構成されている。
また、免震用ダンパDは、図示はしないが、たとえば、地盤と構造物との間にボールアイソレータや積層ゴム等といった弾性体とともに介装されて使用され、免震装置の一部として機能する。
以下、各部について説明する。シリンダ1内には、前述の通り、ピストン2が軸方向へ移動自在に挿入されており、シリンダ1内がピストン2によって伸側室R1と圧側室R2とに仕切られている。シリンダ1の外周側には、このシリンダ1を覆う外筒7が設けられており、シリンダ1と外筒7との間の環状隙間でリザーバRを形成している。外筒7の図1中左端は、内周にロッド3が挿通されてロッド3の軸方向の移動を案内する環状のロッドガイド8によって閉塞されている。ロッド3は、シリンダ1内に挿入されていて、一端がピストン2に連結されるとともに他端がシリンダ1外に突出している。
また、シリンダ1の図1中右端は、ボトム部材9にて閉塞され、外筒7の図1中右端は蓋10によって閉塞されている。シリンダ1は、ボトム部材9とともに、外筒7の両端に固定される前述のロッドガイド8と蓋10で挟持されて外筒7内に収容固定されている。
伸側室R1内と圧側室R2内には、この場合、作動油が充填されており、リザーバR内にも作動油が貯留されている。本例では、免震用ダンパDの作動媒体として作動油を使用しているが、作動油以外の液体を使用してもよく、水、水溶液等の使用も可能である。
ピストン2には、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側通路4と圧側通路5が設けられている。伸側通路4には、減衰部V1が設けられ、圧側通路5には、減衰部V2が設けられている。減衰部V1は、調圧弁PVと調圧弁PVに並列されるリリーフ弁RVとを備えており、伸側通路4を伸側室R1から圧側室R2へ通過する作動油の流れのみを許容しつつこの流れに対して抵抗を与え、伸側通路4を一方通行の通路に設定する。減衰部V2は、減衰部V1と同様に調圧弁PVと調圧弁PVに並列されるリリーフ弁RVとを備えており、圧側通路5を圧側室R2から伸側室R1へ通過する作動油の流れのみを許容しつつこの流れに抵抗を与え、圧側通路5を一方通行の通路に設定している。なお、伸側通路4および圧側通路5は、本例では、ともに、ピストン2に設けられているが、設置箇所はピストン2に限られず、たとえば、シリンダ1外で伸側室R1と圧側室R2を連通するように構成されてもよい。
ボトム部材9には、圧側室R2とリザーバRとを連通する排出通路6と吸込通路11が設けられている。排出通路6には、減衰部V3が設けられている。減衰部V3は、減衰部V1,V2と同様に、調圧弁PVと調圧弁PVに並列されるリリーフ弁RVとを備えており、排出通路6を圧側室R2からリザーバRへ通過する作動油の流れのみを許容しつつこの流れに対して抵抗を与え、排出通路6を一方通行の通路に設定している。吸込通路11には、リザーバRから圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容するチェック弁12が設けられており、吸込通路11は、このチェック弁12によってリザーバRから圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、排出通路6と吸込通路11は、本例では、ともに、ボトム部材9に設けられているが、設置箇所はボトム部材9に限られない。
上記のように構成された免震用ダンパDは、伸長する場合、ピストン2の図1中左方への移動によって伸側室R1が圧縮されて圧側室R2が拡大されるので、作動油は伸側通路4を介して伸側室R1から圧側室R2へ移動する。また、免震用ダンパDの伸長時には、ロッド3がシリンダ1から退出するため、ロッド3のシリンダ1から退出した体積分の作動油が吸込通路11を介してリザーバRからシリンダ1内に供給される。そして、伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れに対して減衰部V1が抵抗を与えるので、伸側室R1内の圧力が上昇して伸側室R1と圧側室R2の圧力に差が生じ、これにより、免震用ダンパDは、伸長を抑制する伸側減衰力を発揮する。
また、免震用ダンパDは、収縮する場合、ピストン2の図1中右方への移動によって圧側室R2が圧縮されて伸側室R1が拡大されるので、作動油は圧側通路5を介して圧側室R2から伸側室R1へ移動する。また、免震用ダンパDの収縮時には、ロッド3がシリンダ1内に侵入するため、ロッド3のシリンダ1内へ侵入した体積分の作動油が排出通路6を介してシリンダ1内からリザーバRに排出される。そして、圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れに対して減衰部V2が、圧側室R2からリザーバRへ向かう作動油の流れに対して減衰部V3が、それぞれ抵抗を与える。これにより、圧側室R2内の圧力が上昇して圧側室R2と伸側室R1の圧力に差が生じて、免震用ダンパDは、収縮を抑制する圧側減衰力を発揮する。
つづいて、減衰部V1,V2,V3について説明する。減衰部V1,V2,V3は、ともに同一の構成の調圧弁PVと、調圧弁PVに並列配置されるリリーフ弁RVとを備えている。調圧弁PVは、ばねで附勢されて常閉型に設定されており、上流の圧力に応じて開弁度合を変化させて、作動油の流れに抵抗を与えるようになっている。ここで、減衰部V1,V2,V3を通過する流量は、免震用ダンパDが伸縮する際の伸縮速度であるピストン速度に比例する。よって、免震用ダンパDのピストン速度が低速域にある場合には、減衰部V1,V2,V3を通過する流量は少なく、ピストン速度が高速域にある場合には前記流量は多く、ピストン速度が低速域と高速域の中間である中速域にある場合には、前記流量は中程度となる。そして、調圧弁PVの単体の圧力流量特性は、図2に示すように、免震用ダンパDの伸縮速度であるピストン速度が低速域にある場合には、ピストン速度の上昇に対して圧力の増加割合が小さい特性を示す。また、調圧弁PVの単体の圧力流量特性は、他方、ピストン速度が低速域と高速域の中間である中速域に達すると、ピストン速度の上昇に対して圧力が大きく増加する特性を示す。
なお、調圧弁PVは、たとえば、特許第5508883号に開示されている構造を採用すれば実現できる。具体的には、調圧弁PVは、図3に示すように、通路の途中に設けた弁座100と、通路中に移動自在に収容されて弁座100に離着座する弁体101と、弁体101を弁座100へ向けて附勢するばね102と、弁体101が弁座100からの後退量が所定量となると弁体101に衝合して弁体101の弁座100からのそれ以上の後退を規制するストッパ103とを備えればよい。このように構成された調圧弁PVは、ピストン速度が低速域では、上流の圧力によってばね102が押し縮められ弁体101が弁座100から離座して開弁し、ピストン速度の上昇に伴って弁体101の弁座100から後退量が増加する。このように、ピストン速度が低速域にある場合、ピストン速度の上昇によって開弁度合が大きくなるので、調圧弁PVの圧力流量特性は、図2に示すように、傾きが小さい特性を示す。他方、ピストン速度が上昇して中速域に達すると、弁体101の後退量が増加し、ピストン速度が中速域に達すると弁体101がストッパ103に衝合して弁体101のそれ以上の弁座100からの後退が規制される。このように、ピストン速度が中速域にある場合、ピストン速度が上昇しても開弁度合が一定のままとなるので、調圧弁PVの圧力流量特性は、図2に示すように、傾きが大きな特性を示す。よって、ピストン速度が低速域から中速域へ上昇すると、調圧弁PVは、傾きが大きくなって圧力上昇が大きくなる特性を示す。なお、ピストン速度が中速域にある場合における調圧弁PVの圧力流量特性は、流量の二乗に比例するオリフィス特性であっても流量に比例するポート特性であってもよい。
また、ストッパ103によって弁体101の後退量を規制する以外にも、弁体101よりも下流に絞り部を設ける構造も採用できる。このような調圧弁PVでは、弁座100と弁体101との間の流路面積が所定値以上となると、弁座100と弁体101とで作動油の流れに与える抵抗よりも絞り部が作動油の流れに与える抵抗の方が大きくなるように設定すればよい。前記所定値は、絞り部の流路面積により設定でき、このように構成される調圧弁PVは、ピストン速度が低速域では、上流の圧力によってばね102が押し縮められ弁体101が弁座100から離座して開弁し、ピストン速度の上昇に伴って弁体101の弁座100から後退量が増加する。このように、ピストン速度が低速域にある場合、ピストン速度の上昇によって開弁度合が大きくなるので、調圧弁PVの圧力流量特性は、図2に示すように、ピストン速度の増加に対して圧力増加の小さい特性を示す。他方、ピストン速度が上昇して中速域に達すると、弁体101の後退量が増加し、流路面積が所定値以上となり、絞り部の特性が表れるようになり、絞り部の流路面積は一定であるので、調圧弁PVは、ピストン速度の増加に対する圧力増加が大きくなる特性を示す。
他方、リリーフ弁RVは、前後の差圧が所定の開弁圧に達すると開弁するが、ピストン速度が高速域に達するまでは開弁しないようにその開弁圧が設定されている。リリーフ弁RVの開弁後の圧力流量特性は、ピストン速度の上昇に対して圧力の増加割合が小さい特性となっている。よって、調圧弁PVとリリーフ弁RVを組み合わせた減衰部V1,V2,V3は、図4に示す圧力流量特性を備える。具体的には、減衰部V1,V2,V3は、ピストン速度が低速域及び中速域にある場合には、調圧弁PVの特性示し、ピストン速度が高速域に達するとリリーフ弁RVが開弁するのでリリーフ弁RVの特性を示す。
免震用ダンパDは、以上のように構成されるが、前述のように、免震用ダンパDが伸長すると、作動油は伸側通路4を介して伸側室R1から圧側室R2へ移動し、ロッド3のシリンダ1から退出した体積分の作動油が吸込通路11を介してリザーバRからシリンダ1内に供給される。そして、伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れに対して減衰部V1が抵抗を与えるので、これにより、免震用ダンパDは、伸長を抑制する伸側減衰力を発揮する。ここで、減衰部V1の圧力流量特性は、図4に示す通りである。免震用ダンパDが伸長する際に、減衰部V1を通過する流量は、伸長速度であるピストン速度に比例する。よって、免震用ダンパDが発揮する減衰力特性は、図5に示すように、減衰部V1の圧力流量特性と同様の特性となる。それゆえ、免震用ダンパDは、ピストン速度が低速域では減衰係数が小さくピストン速度の上昇に対して減衰力の増加割合が小さい低減衰力を発揮する。また、免震用ダンパDは、ピストン速度が低速域から中速域へ増加すると減衰係数が切換わって大きくなり、ピストン速度の上昇に対して減衰力の増加割合が大きな減衰力特性を発揮する。さらに、免震用ダンパDは、ピストン速度が中速域から高速域へ増加するとリリーフ弁RVが開弁するので減衰係数が切換わって小さくなり、ピストン速度の上昇に対して減衰力の増加割合が小さくなるが高減衰力を発揮する。なお、ピストン速度が中速域にある場合、免震用ダンパDは、ピストン速度の増加に応じて、前記低減衰力から前記高減衰力へと変化する減衰力を発揮する。図5に示したところでは、低速域と中速域の境を60cm/sとし、中速域と高速域の境を90cm/sとしているが、これは一例であって、後述するように構造物の仕様等によって最適な値に設定すればよい。
他方、免震用ダンパDが収縮すると、作動油は圧側通路5を介して圧側室R2から伸側室R1へ移動し、ロッド3のシリンダ1内へ侵入した体積分の作動油が排出通路6を介してシリンダ1内からリザーバRに排出される。そして、圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れに対して減衰部V2が、圧側室R2からリザーバRへ向かう作動油の流れに対して減衰部V3が、それぞれ抵抗を与える。ここで、減衰部V2,V3の圧力流量特性も減衰部V1と同様に図4に示す通りである。よって、免震用ダンパDは、図5に示すように、ピストン速度が低速域では減衰係数が小さくピストン速度の上昇に対して減衰力の増加割合が小さい低減衰力を発揮する。また、免震用ダンパDは、ピストン速度が低速域から中速域へ増加すると減衰係数が切換わって大きくなり、ピストン速度の上昇に対して減衰力の増加割合が大きな減衰力特性を発揮する。さらに、免震用ダンパDは、ピストン速度が中速域から高速域へ増加するとリリーフ弁RVが開弁するので減衰係数が切換わって小さくなり、ピストン速度の上昇に対して減衰力の増加割合が小さくなるが高減衰力を発揮する。なお、ピストン速度が中速域にある場合、免震用ダンパDは、ピストン速度の増加に応じて、前記低減衰力から前記高減衰力へと変化する減衰力を発揮する。
つまり、この免震用ダンパDにあっては、ピストン速度が低い場合には、低い減衰力しか発揮せずに構造物への振動絶縁性を阻害せず、ピストン速度が高速に達する大きな振動が構造物に作用する場面では高い減衰力を発揮するので、構造物の振動を高減衰力で抑制できる。よって、本発明の免震用ダンパDによれば、比較的揺れの小さい中小規模の地震動に対しては免震効果を損なわず、かつ、大振幅の地震動に対しては高い減衰力を発して、効果的に振動を抑制できる。また、免震用ダンパDは、大振幅の地震動に対して高減衰力を発揮するので、構造物の免震装置からの脱落を防止できる。
また、免震用ダンパDは、ピストン速度が中速域にある場合には、減衰係数を大きくして低減衰力から高減衰力へ変化する減衰力特性を示すので、低減衰力から高減衰力への切換わりにおいて構造物へ急激な加速度変動を作用させずに済み、構造物の保護と構造物内の人や機器への過剰な負荷をかけずに済む。
さらに、本例の免震用ダンパDにあっては、伸側通路4、圧側通路5と排出通路6のそれぞれに設けた調圧弁PVと調圧弁PVに並列されるリリーフ弁RVとを備え、調圧弁にてピストン速度が低速域から中速域までの減衰力特性を得るとともに、リリーフ弁にて前記ピストン速度が前記高速域の減衰力特性を得る。このように免震用ダンパDが構成されるので、簡単な構成でピストン速度に応じて低減衰力から高減衰力へ変化する減衰力特性を実現できる。
なお、減衰力特性が変化する境界である、ピストン速度の低速域と中速域の境界速度、および、ピストン速度の中速度と高速度の境界速度は、免震用ダンパDに要求される仕様によって、設計者が任意に設定できる。ピストン速度の低速域と中速域の境界速度が決まれば、流量が決まるので、前述の調圧弁PVにおけるストッパ103で規制する弁体101の後退量とばね102のばね定数を決定できる。また、ピストン速度の中速度と高速度の境界速度が決まれば、リリーフ弁RVの開弁圧を決定できる。
弾性支承された建物(構造物)と地盤との間に、ピストン速度が速くなるとリリーフ弁が開弁して減衰係数が小さくなる既存のダンパを組み込んだ場合(ケース1)と、前記既存ダンパの代わりに本発明の免震用ダンパDを組み込んだ場合(ケース2)とで振動解析した比較結果を以下に示す。
振動解析の前提として、建物は、15階建ての鉄筋コンクリート造(RC造)として、建物と地盤との間に天然ゴム系積層ゴムと鉛プラグ入り積層ゴムを介装して建物を弾性支承して地震動の伝搬を絶縁する構造を想定する。鉛プラグ入り積層ゴムは、積層ゴムがばねとして機能し、鉛プラグが積層ゴムの弾性変形を減衰する機能を発揮するものである。
また、振動解析は、長周期地震動として南海トラフ沿い地震と、直下型地震として上町断層を震源とした地震(レベル3Bとレベル3C)を想定して建物に振動を入力してその応答を解析した。南海トラフ沿い地震を想定した建物に入力する地震波の最大加速度は545.4cm/s、最大速度は68.6cm/s、継続時間は655.3sとした。上町断層震源(レベル3B)の地震を想定した建物に入力する地震波の最大加速度は387.0cm/s、最大速度は97.4cm/s、継続時間は41.0sとした。上町断層震源(レベル3C)の地震を想定した建物に入力する地震波の最大加速度は625.0cm/s、最大速度は129.4cm/s、継続時間は41.0sとした。
なお、前述の既存のダンパの減衰力特性は、図6に示す通りであり、低速域では減衰係数が大きく、ピストン速度が30cm/sを過ぎたあたりからリリーフ弁が開弁して減衰係数が小さくなる特性としてある。既存のダンパと免震用ダンパDの設置本数は、前述の地震波の入力によって建物の1階層の変位が一致するように設定した。具体的には、免震用ダンパDの設置数は10本、既存のダンパの設置数は8本として解析している。
解析結果として、南海トラフ沿い地震を想定した地震波を入力した場合の建物の地震波に対する応答を図7に示し、上町断層を震源とした地震(レベル3B)を想定した地震波を入力した場合の建物の地震波に対する応答を図8に示し、上町断層を震源とした地震(レベル3C)を想定した地震波を入力した場合の建物の地震波に対する応答を図9に示す。各図では、建物の各層の絶対加速度、変位および層間変形角について応答結果をそれぞれグラフ化したものであり、ケース1とケース2で比較しやすいように同じグラフ中に結果を記載してある。
図7から図9に示すように、全ての地震波に対し、本発明の免震用ダンパDの方が既存のダンパに比較して、絶対加速度、変位および層間変形角がおおむね小さくなり、本発明の免震用ダンパDの利用によって免震効果を損なわず、かつ、建物の振動を効果的に抑制できているのが分かる。また、本発明の免震用ダンパDを免震装置に利用すれば、大振幅地震動に対して建物の損傷を小さくできるのが理解できる。なお、本発明の免震用ダンパDは、新築の建築物の免震装置に組み込んで使用する他、既存の建物の免震装置の既存ダンパの代わりに組み込んでの使用も可能であり、既存の免震装置の性能向上も図れる。
なお、減衰部V1,V2,V3は、図10に示すように、直列に配置されるオリフィス等の絞り弁Oと低圧リリーフ弁LVと、絞り弁Oと低圧リリーフ弁LVに対して並列される高圧リリーフ弁HVとで構成されてもよい。この場合の減衰部V1,V2,V3は、ともに同一の構成の絞り弁Oと低圧リリーフ弁LVと、高圧リリーフ弁HVを備える。低圧リリーフ弁LVは、ばねで附勢されて常閉型に設定されており、上流の圧力に応じて開弁度合を変化させて、作動油の流れに抵抗を与えるようになっている。高圧リリーフ弁HVもばねで附勢されて常閉型に設定されており、上流の圧力に応じて開弁度合を変化させて、作動油の流れに抵抗を与えるが、低圧リリーフ弁LVよりも高い開弁圧で開弁するように設定されている。絞り弁Oの開口面積は、低圧リリーフ弁LVが最大限に開弁した際の流路面積よりも狭くなるよう設定される。
このように構成される減衰部V1,V2,V3の圧力流量特性は、図4に示すが如くとなり、ピストン速度が低速域にある場合には、低圧リリーフ弁LVが開弁してピストン速度の上昇に対して圧力の増加割合が小さい特性を示す。また、減衰部V1,V2,V3の圧力流量特性は、ピストン速度が低速域と高速域の中間である中速域に達すると、低圧リリーフ弁LVの流路面積が絞り弁Oの開口面積よりも大きくなるため、絞り弁Oの特性が表れ、減衰係数が大きくなってピストン速度の上昇に対して圧力が大きく増加する特性を示す。さらに、減衰部V1,V2,V3の圧力流量特性は、ピストン速度が高速域に達すると、高圧リリーフ弁HVが開弁して絞り弁Oの特性から高圧リリーフ弁HVの特性が表れるようになり、ピストン速度の上昇に対して圧力の増加割合が小さい特性を示すようになる。
このように減衰部V1,V2,V3を構成しても、免震用ダンパDは、調圧弁PVとリリーフ弁RVを組み合わせた減衰部V1,V2,V3と略同じ減衰力特性を発揮する。よって、このように図10に示した減衰部V1,V2,V3を用いても免震用ダンパDは、図5に示すように、ピストン速度が低速域にある場合には低減衰力を発揮し、ピストン速度が中速域にある場合には、ピストン速度の増加に応じて低減衰力から高減衰力へと変化する減衰力を発揮し、ピストン速度が高速域にある場合には高減衰力を発揮する。このように構成される免震用ダンパDにあっても、ピストン速度が低い場合には、低い減衰力しか発揮せずに構造物への振動絶縁性を阻害せず、ピストン速度が高速に達する大きな振動が構造物に作用する場面では高い減衰力を発揮するので、構造物の振動を高減衰力で抑制できる。よって、本発明の免震用ダンパDによれば、比較的揺れの小さい中小規模の地震動に対しては免震効果を損なわず、かつ、大振幅の地震動に対しては高い減衰力を発して、効果的に振動を抑制できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形及び変更が可能である。
1・・・シリンダ、2・・・ピストン、3・・・ロッド、4・・・伸側通路、5・・・圧側通路、6・・・排出通路、7・・・外筒、8・・・ロッドガイド、9・・・ボトム部材、10・・・蓋、11・・・吸込通路、12・・・チェック弁、100・・・弁座、101・・・弁体、102・・・ばね、103・・・ストッパ、D・・・免震用ダンパ、HV・・・高圧リリーフ弁、LV・・・低圧リリーフ弁、O・・・絞り弁、PV・・・調圧弁、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室、RV・・・リリーフ弁

Claims (2)

  1. シリンダと、
    前記シリンダ内に摺動自在に挿入されて前記シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、
    前記シリンダに挿入されるとともに前記ピストンに連結されるロッドと
    前記伸側室から前記圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する伸側通路と、
    前記圧側室から前記伸側室へ向かう液体の流れのみを許容する圧側通路と、
    リザーバと、
    前記圧側室から前記リザーバへ向かう液体の流れのみを許容する排出通路と、
    前記伸側通路、前記圧側通路および前記排出通路のそれぞれに設けられる絞り弁および低圧リリーフ弁と、
    前記絞り弁および前記低圧リリーフ弁に並列されて前記低圧リリーフ弁よりも高い開弁圧で開弁する高圧リリーフ弁とを備え、
    前記シリンダに対する前記ピストンの速度であるピストン速度が低速域にあっては前記低圧リリーフ弁によって低減衰力を出力し、前記ピストン速度が高速域にあっては前記高圧リリーフ弁によって高減衰力を出力し、前記ピストン速度が前記低速域と前記高速域の間の中速域では、前記絞り弁によって前記低速域および前記高速域よりも大きな減衰係数で前記ピストン速度の増加に応じて低減衰力から高減衰力へ減衰力を増加させる減衰力特性を有する
    ことを特徴とする免震用ダンパ。
  2. 前記ピストン速度における前記低速域と前記中速域の境を60cm/sとし、前記中速域と前記高速域の境を90cm/sとする
    ことを特徴とする請求項1に記載の免震用ダンパ。
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