JP2017171902A - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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一輝 上田
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裕貴 山下
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Yukiko Tanihata
由紀子 谷畑
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貴志 畑中
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Abstract

【課題】ビスフェノール型エポキシ樹脂等のベース樹脂の粘度を低下しながら、機械物性、耐水性、接着性を向上もしくは維持したエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】(A)成分のビフェニル構造を有する単官能エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、(B)成分の硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物からなる硬化物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、(B)成分の硬化剤から成るエポキシ樹脂硬化物より、機械物性、接着性および電気特性が向上し、耐水性にも優れることを見出し、上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成るエポキシ樹脂と硬化剤を配合したエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、耐熱性、接着性、耐水性、機械物性および電気特性に優れていることから、接着剤、塗料、土木建築材料、電気電子部品の絶縁材料、炭素繊維強化複合材料等の様々な分野で使用されている。常温又は熱硬化型のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂が一般的である。
エポキシ樹脂は、様々な化学構造と優れた性能を有する樹脂である。しかし、ビスフェノール型エポキシ樹脂に代表されるエポキシ樹脂は粘度が高いため、作業性に問題を抱えている。一般には、実使用時に作業性を向上させるため、ビスフェノール型エポキシ樹脂にブチルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーテル等の単官能脂肪族エポキシ化合物、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の二官能脂肪族エポキシ化合物、フェニルグリシジルエーテル、o−クレジルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物を併用して粘度を調整する。しかし、これらエポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成る硬化物の耐熱性、接着性、耐水性、機械物性および電気特性は、ビスフェノール型エポキシ樹脂単独の場合より低下する。特に、単官能エポキシ化合物は粘度の調整作用には優れるが、耐熱性、接着性、耐水性、機械物性および電気特性は大幅に低下する。
そこで、特許文献1および特許文献2ではビスフェノール型エポキシ樹脂に1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルを所定量配合する方法が提案されている。しかしながら、このエポキシ樹脂組成物から成る硬化物は、汎用されている様々な単官能や二官能のエポキシ化合物を併用する場合と比較して、物性の低下は抑制されるものの、ビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物と比べて低下する。
このように、ビスフェノール型エポキシ樹脂にエポキシ化合物を併用して、粘度を低下させながら、硬化物の耐熱性、接着性、耐水性、機械物性および電気特性を向上させることが検討されているが、単官能エポキシ化合物を併用する場合、各用途にて十分な機能性を得るのは困難と考えられてきた。
特開1996−12741号公報 特開2012−158730号公報
本発明の目的は、ビスフェノール型エポキシ樹脂等のベース樹脂の粘度を低下しながら、機械物性、耐水性、接着性を向上もしくは維持したエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、複数の液状エポキシ化合物を用いて、硬化物を作製し、機械物性、耐水性、接着性、電気特性の評価を実施した。その結果、(A)成分のビフェニル構造を有する単官能のエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂と、(B)成分の硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物から成る硬化物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、(B)成分の硬化剤から成るエポキシ樹脂硬化物より、機械物性、接着性および電気特性が向上し、耐水性にも優れることを見出し、上記課題を解決するに至った。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、作業性に優れながら、ビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物より機械物性、接着性、電気特性が高く、耐水性にも優れる。そのため、炭素繊維複合材料、接着剤、コーティング剤、シーリング剤、封止剤等の広範な用途で使用できる。
以下に本発明を実施するための形態をより詳細に説明するが、本発明の範囲は、この実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で変更等が加えられた形態も本発明に属する。なお、範囲を表す表記の「〜」は、上限と下限を含むものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物の(A)成分におけるビフェニル構造を有する単官能のエポキシ化合物は、フェニルフェノール等とエピクロロヒドリンを反応させることにより得られ、公知の製造方法を用いることにより製造できる。ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物の具体例としては、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル、m−フェニルフェノールグリシジルエーテル、p−フェニルフェノールグリシジルエーテルおよびこれらの誘導体等が挙げられる。特に限定されないが、JIS K7236に準拠し、酢酸と臭化セチルトリメチルアンモニウムの存在下、過塩素酸で滴定して算出したエポキシ当量が226〜260の範囲内のビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物が好ましい。中でも、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルが好ましく、さらにSY−OPG(阪本薬品工業(株)製)が好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF−アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が取り扱い性の面で好ましく、25℃で液状のエポキシ樹脂が特に好ましい。
(A)成分におけるビフェニル構造を有するエポキシ化合物の配合割合は、5〜50重量%であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の粘度や硬化物の物性を考慮すると20〜40重量%であることがより好ましい。
硬化剤は特に限定されず、顕在性硬化剤または潜在性硬化剤の何れを用いても良い。顕在性硬化剤としては、重付加型の酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、触媒型のカチオン重合開始剤などが好ましい。潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド、アミンアダクトなどが好ましい。
本発明における酸無水物系硬化剤の具体例としては、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハ
ク酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート等が挙げられる。これらの中でも、配合樹脂組成物の取り扱いの作業性や硬化後の特性、汎用性等を考慮すると、常温で液状であるメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチル
ナジック酸無水物が好ましい。
酸無水物系硬化剤の含有量はエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、0.5〜1.5当量の範囲であることが好ましく、硬化性や硬化物の物性を考慮すると0.7〜1.1当量の範囲であることがより好ましい。
酸無水物系硬化剤を使用する場合、必要に応じて硬化促進剤を併用してもよい。
硬化促進剤として使用できる化合物としては特に限定されないが、具体的には、トリフェニルベンジルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホロジチオエート、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類とその第四級塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル]エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾリン2,3−ジヒドロ−1−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール等のイミダゾール類、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−(4,3,0)−ノネン−5等の超強塩基性の有機化合物、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の有機カルボン酸金属塩、ベンゾイルアセトン亜鉛キレート、ジベンゾイルメタン亜鉛キレート、アセト酢酸エチル亜鉛キレート等の金属−有機キレート化合物等の公知の化合物が挙げられる。これら促進剤は硬化に要する時間やポットライフなど樹脂組成物に対する要求に対して適切に選択される。
硬化促進剤の配合割合は、(A)成分100重量部に対して0〜1重量部、好ましくは0.3〜0.7重量部である。
本発明におけるポリフェノール系硬化剤の具体例としては、各種フェノールを原料とするフェノールノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、テルペン骨格含有フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。上記で使用される各種フェノールとしてはビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAP、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ナフトール類等が挙げられる。
ポリフェノール系硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、0.5〜1.5当量の範囲であることが好ましく、硬化性や硬化物の物性を考慮すると0.8〜1.2当量の範囲であることがより好ましい。
カチオン重合開始剤としては、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウムなどから選ばれる少なくとも1種のカチオンと、BF4、PF6、SbF6等から選ばれる少なくとも1種のアニオンから構成されるオニウム塩等が挙げられる。このようなカチオン重合開始剤は、1種を単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
芳香族スルホニウム塩系のカチオン重合開始剤の具体例としては、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウムテトラフルオロボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩系のカチオン重合開始剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩系のカチオン重合開始剤の具体例としては、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族アンモニウム塩系のカチオン重合開始剤の具体例としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
カチオン重合開始剤の配合割合は、(A)成分のエポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜15重量部の範囲であることが好ましく、硬化性や硬化物の物性を考慮すると0.3〜7重量部の範囲であることがより好ましい。
本発明におけるアミン系硬化剤は常温型および加熱型硬化剤ともに使用できる。本発明におけるアミン系硬化剤の具体例としては、ポリアミノアミド、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシブチレンジアミン、ポリオキシペンチレンジアミン、ポリオキシエチレントリアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシブチレントリアミン、ポリオキシペンチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ラロミンC−260等の脂肪族アミンや、4,4−ジアミノ−3,3−メチルジフェニルメタン、ジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、N−アミノエチルピペラジン等の芳香族アミンが挙げられる。また、これらの変性物、例えばMXDA変性物、IPDA変性物等を用いても良い。
アミン系硬化剤の配合割合は、(A)成分のエポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、0.5〜1.5当量の範囲であることが好ましく、硬化性や硬化物の物性を考慮すると0.8〜1.2当量の範囲であることがより好ましい。
本発明における潜在性硬化剤としては、加熱により硬化作用を発揮する通常の硬化剤で、一般に80〜250℃の温度範囲で活性化するものが使用できる。潜在性硬化剤を配合するエポキシ樹脂においては、加熱等の外部刺激により反応が開始するために酸無水物系硬化剤やアミン系硬化剤などに比べてポットライフが長く、一液系のエポキシ樹脂組成物として数週間乃至数ケ月間など長期間保存することができる。潜在性硬化剤の具体例としては、ジシアンジアミド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、メラミン誘導体等が挙げられる。
潜在性硬化剤の配合割合は、(A)成分のエポキシ樹脂100重量部に対して、3〜25重量部であることが好ましく、硬化性、硬化物の物性を考慮すると5〜10重量部の範囲であることがより好ましい。
本発明は、(A)成分のエポキシ樹脂と(B)成分の硬化剤に限定されるものではなく、発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、酸化防止剤、レベリング剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、無機充填剤、樹脂粒子、濡れ性改良剤、消泡剤、光安定剤、熱安定剤、添加剤である炭酸カルシウム、タルク、シリカ、硫酸バリウム等の無機フィラー等を併用することができる。
以下に具体的な実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また、実施例中の表の単位は特に断らない限り「重量部」とした。
〔酸無水物系硬化剤〕
(実施例1)
ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物としてo−フェニルフェノールグリシジルエーテル5重量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂95重量部、酸無水物系硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸79重量部、硬化促進剤として1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.5重量部を室温で均一になるまで混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。この組成物を金型に注型し、オーブン中にて100℃で2時間、次いで、150℃で3時間硬化して硬化物を得た。
(実施例2)〜(実施例6)
実施例1に使用したエポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
(比較例1)
エポキシ樹脂にビスフェノールA型エポキシ樹脂を100重量部使用し、酸無水物系硬化剤の配合量を変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
(比較例2)
脂肪族の単官能エポキシ化合物として炭素数が10又は12である高級アルコールグリシジルエーテル30重量部を使用し、酸無水物系硬化剤の配合量を変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
(比較例3)
脂肪族の単官能エポキシ化合物として炭素数が10又は12である高級アルコールグリシジルエーテル15重量部を使用し、酸無水物系硬化剤の配合量を変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
<エポキシ樹脂の粘度>
E型回転粘度計(HBDV−II+Pro Cp、ブルックフィールド社製)を用いて、(A)成分の25℃における粘度を測定した。なお、スピンドルにはCPE−40を用いた。
<機械物性>
上記の様に作製したエポキシ樹脂硬化物の曲げ強度をJIS K7171に準じて測定した。測定機器には、オートグラフAG−IS 20kN 卓上型((株)島津製作所製)を用いた。エポキシ樹脂中においてビスフェノールA型エポキシ樹脂単独を使用した硬化物の曲げ強度に対して、1.00倍以上〜1.05倍未満の値を示したものを「良」、1.05倍以上の値を示したものを「優良」と判断した。
<耐水性>
上記の様に作製したエポキシ樹脂硬化物の煮沸吸水率をJIS K7209に準じて測定した。エポキシ樹脂中においてビスフェノールA型エポキシ樹脂単独を使用した硬化物の煮沸吸水率に対して、1.0倍以上〜1.5倍未満の値を示したものを「良」、1.0倍未満の値を示したものを「優良」と判断した。
実施例1〜6、及び比較例1〜3で得られた請求項1に記載の(A)成分に該当するエポキシ樹脂の粘度と実施例1〜6、及び比較例1〜3にて得られるエポキシ樹脂硬化物の曲げ強度、煮沸吸水率を表1に示した。
Figure 2017171902
表1に示したように、実施例1〜5と比較例1の比較から、ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成る硬化物は、エポキシ樹脂中においてビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物より機械物性が向上し、耐水性を維持する効果が示された。また、実施例6は比較例1よりエポキシ樹脂の粘度が10分の1程度にまで低下しているにもかかわらず、曲げ強度は同等であった。実施例1〜6と比較例2、3に示したビスフェノール型エポキシ樹脂と高級アルコールグリシジルエーテルからなるエポキシ樹脂の硬化物との比較から、樹脂の粘度の低下と機械物性、耐水性を両立する効果はビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物を配合することにより発現した効果であると分かった。
<電気特性>
実施例2〜4、6、及び比較例1で作製したエポキシ樹脂硬化物の誘電率、誘電正接をJIS K6911に準じて測定した。測定機器には、低周波インピーダンスアナライザ HP4284A(アジレント・テクノロジー(株)製)を用いた。周波数は1MHzで測定し、試験片には50×50×4mmのものを使用した。エポキシ樹脂中においてビスフェノールA型エポキシ樹脂単独を使用した硬化物の誘電率および誘電正接を下回ったものを「良」と判断した。
実施例2〜4、6、及び比較例1で得られたエポキシ樹脂硬化物の誘電率と誘電正接を表2に示した。
Figure 2017171902
表2に示した様に、実施例2〜4、6と比較例1の比較からビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成る硬化物は、エポキシ樹脂中においてビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物より誘電率と誘電正接が低下し、電気特性が向上したことが示された。
(実施例7)〜(実施例9)
実施例4にて、使用した酸無水物系硬化剤の配合量を変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
実施例4、7〜9および比較例1で得られたエポキシ樹脂硬化物の曲げ強度、煮沸吸水率を測定し、結果を表3に示した。
Figure 2017171902
表3に示した様に、実施例4、7〜9と比較例1の比較から、ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成る硬化物は、エポキシ樹脂中においてビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物より機械物性を向上させ、耐水性を維持する効果が示された。
〔アミン系硬化剤〕
(実施例10)
ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物としてo−フェニルフェノールグリシジルエーテル20重量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂80重量部、脂肪族アミン系硬化剤としてポリアミノアミド49重量部を室温で均一になるまで混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。この組成物をシリコーン製の鋳型に注型し、23℃で24時間、次いで、80℃で3時間硬化して硬化物を得た。
(比較例4)
エポキシ樹脂にビスフェノールA型エポキシ樹脂を100重量部使用し、脂肪族アミン系硬化剤の配合量を変更したこと以外は実施例10と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
(比較例5)
脂肪族の単官能エポキシ化合物として炭素数が10又は12である高級アルコールグリシジルエーテル20重量部を使用し、脂肪族アミン系硬化剤の配合量を変更したこと以外は実施例10と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
(比較例6)
脂肪族の単官能エポキシ化合物として炭素数が10又は12である高級アルコールグリシジルエーテル15重量部を使用し、脂肪族アミン系硬化剤の配合量を変更したこと以外は実施例10と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
<接着性>
試験片の被着体は、アルミ板A1050P(300×25×0.2mm)を用い、アセトンで脱脂した。実施例10および比較例4〜6に記載したエポキシ樹脂組成物を厚みが均一になるように被着体に塗布して貼り合わせ、23℃で24時間、次いで、80℃で3時間硬化した。これを試験片とし、JIS K6854に準じてT型剥離強度を測定した。測定機器には、オートグラフAG−IS 20kN 卓上型((株)島津製作所製)を使用した。エポキシ樹脂中においてビスフェノールA型エポキシ樹脂単独を使用した硬化物のT型剥離強度に対して、1.2倍以上〜1.5倍未満の値を示したものを「良」、1.5倍以上の値を示したものを「優良」と判断した。
実施例10、および比較例4〜6で得られたエポキシ樹脂硬化物の曲げ強度、煮沸吸水率およびT型剥離強度を表4に示した。
Figure 2017171902
表4に示した様に、実施例10と比較例4の比較から、ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成る硬化物は、エポキシ樹脂中においてビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物と同等の機械物性を有しながら、耐水性や接着性が向上する効果が示された。また、比較例5、6に示したビスフェノール型エポキシ樹脂と高級アルコールグリシジルエーテルからなるエポキシ樹脂の硬化物との比較から、樹脂の粘度の低下と機械物性、耐水性および接着性を両立する効果はビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物を配合することにより発現した効果であると分かった。
(実施例11)、(実施例12)
実施例10にて使用した脂肪族アミン系硬化剤の配合量を変更したこと以外は、実施例10と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
実施例10〜12、および比較例4で得られたエポキシ樹脂硬化物の曲げ強度、煮沸吸水率およびT型剥離強度を表5に示した。
Figure 2017171902
表5に示した様に、実施例10〜12と比較例4の比較から、ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成る硬化物は、エポキシ樹脂中においてビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物と同等の機械物性を有しながら、耐水性や接着性が向上する効果が示された。
(実施例13)
ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物としてo−フェニルフェノールグリシジルエーテル5重量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂95重量部、芳香族アミン系硬化剤としてジエチルジアミノジフェニルメタン34重量部を室温で均一になるまで混合してエポキシ樹脂組成物を得た。
(実施例14)〜(実施例18)
実施例13に使用したエポキシ樹脂、芳香族アミン系硬化剤の配合量を変更したこと以外は、実施例13と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物を得た。
(比較例7〜8)
エポキシ樹脂にビスフェノールA型エポキシ樹脂を100重量部使用し、比較例8においては芳香族アミン系硬化剤の配合量を変更したこと以外は実施例13と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物を得た。
<接着性>
試験片の被着体は、銅箔(厚さ:18μm)とアセトンで脱脂した冷間圧延鋼板SPCC−SB(150×50×0.8mm)を用いた。実施例13〜18および比較例7〜8に記載したエポキシ樹脂組成物を厚みが均一になるようにSPCCに塗布した後、銅箔を貼り合わせ、100℃で2時間、次いで150℃で2時間硬化した。これを試験片とし、JIS C6481に準じて銅箔剥離強度を測定した。測定機器には、オートグラフAG−IS 20kN 卓上型((株)島津製作所製)を使用した。比較例7のビスフェノールA型エポキシ樹脂単独の銅箔剥離強度に対して、1.05倍以上〜1.1倍未満の値を示したものを「良」、1.1倍以上の値を示したものを「優良」と判断した。
<機械物性>
所定の金型に上記組成物を流し込み100℃で2時間、次いで150℃で2時間硬化して作製したエポキシ樹脂硬化物の曲げ強度及び曲げ弾性率をJIS K7171に準じて測定した。測定機器には、オートグラフAG−IS 20kN 卓上型((株)島津製作所製)を用いた。硬化剤の当量数が等しい系でのビスフェノールA型エポキシ樹脂の曲げ強度に対して、1.1倍よりも大きく1.2倍未満の値を示したものを「良」、1.2倍以上の値を示したものを「優良」と判断した。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の曲げ弾性率に対して、1.0倍よりも大きく、1.1倍未満の値を示したものを「良」、1.1倍以上の値を示したものを「最良」と判断した。
実施例13〜18および比較例7〜8で得られたエポキシ樹脂硬化物の曲げ強度、曲げ弾性率、および、銅箔剥離強度を表6に示した。
Figure 2017171902
表6に示した様に、実施例13〜18と比較例7〜8の比較から、ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成る硬化物は、エポキシ樹脂中においてビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物に比べ、接着性、曲げ強度、曲げ弾性率が向上する効果が示された。
〔ポリフェノール系硬化剤〕
(実施例19)
ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物としてo−フェニルフェノールグリシジルエーテル5重量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂95重量部、ポリフェノール系硬化剤としてフェノールノボラック樹脂55重量部を室温で均一になるまで混合してエポキシ樹脂組成物を得た。
(実施例20)〜(実施例25)
実施例19に使用したエポキシ樹脂、ポリフェノール系硬化剤の配合量を変更したこと以外は、実施例19と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物を作製し、それを用いて硬化させた。
(比較例9)〜(比較例11)
エポキシ樹脂にビスフェノールA型エポキシ樹脂を100重量部使用しポリフェノール系硬化剤の配合量を変更したこと以外は実施例19と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
<接着性>
試験片の被着体には、銅箔(厚さ:18μm)とアセトンで脱脂した冷間圧延鋼板SPCC−SB(150×50×0.8mm)を用いた。実施例19〜25および比較例9〜11に記載したエポキシ樹脂組成物を厚みが均一になるようにSPCCに塗布して銅箔を貼り合わせ、150℃で1時間硬化した。これを試験片とし、JIS C6481に準じて銅箔剥離強度を測定した。測定機器には、オートグラフAG−IS 20kN 卓上型((株)島津製作所製)を使用した。エポキシ樹脂に対するポリフェノール系硬化剤の当量数が同一である比較例9〜11のビスフェノールA型エポキシ樹脂単独の銅箔剥離強度に対して、1.00倍より大きく1.05倍未満の値を示したものを「良」、1.05倍以上の値を示したものを「優良」と判断した。
実施例19〜25および比較例9〜11で硬化させたエポキシ樹脂の銅箔剥離強度を表7に示した。
Figure 2017171902
表7に示した様に、実施例19〜25と比較例9〜11の比較から、ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成る硬化物は、エポキシ樹脂に対するポリフェノール系硬化剤の当量数が同一であれば、ビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物に比べ、接着性が向上する効果が示された。
〔潜在性硬化剤〕
(実施例26)
ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物としてo−フェニルフェノールグリシジルエーテル10重量部、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂90重量部、潜在性硬化剤としてジシアンジアミド8重量部を室温で均一になるまで混合してエポキシ樹脂組成物を得た。
(実施例27)〜(実施例29)
実施例26に使用したエポキシ樹脂、潜在性硬化剤の配合量を変更したこと以外は、実施例26と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物を得た。
(比較例12)
エポキシ樹脂にビスフェノールA型エポキシ樹脂を100重量部使用したこと以外は実施例26と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物を得た。
<接着性−T型剥離強度>
試験片の被着体は、アセトンで脱脂した冷間圧延鋼板SPCC−SB(300×25×0.3mm)を用いた。実施例26〜29および比較例12に記載したエポキシ樹脂組成物を厚みが均一になるように被着体に塗布して貼り合わせ、170℃で40分間硬化した。これを試験片とし、JIS K6854に準じて剥離強度を測定した。測定機器には、オートグラフAG−IS 20kN 卓上型((株)島津製作所製)を使用した。比較例12のビスフェノールA型エポキシ樹脂単独を使用した場合の剥離強度に対して、1.0倍よりも大きく2.0倍未満の値を示したものを「良」、2.0倍以上の値を示したものを「優良」と判断した。
<接着性−引張せん断強度>
試験片の被着体は、冷間圧延鋼板SPCC−SB(100×25×1.6mm)を用い、アセトンで脱脂した。実施例26〜29および比較例12に記載したエポキシ樹脂組成物を厚みが均一になるように被着体に塗布して貼り合わせ、170℃で40分間硬化した。これを試験片とし、JIS K6850に準じて引張せん断強度を測定した。測定機器には、オートグラフAG−IS 20kN 卓上型((株)島津製作所製)を使用した。比較例12のビスフェノールA型エポキシ樹脂単独を使用した硬化物の引張せん断強度に対して、1.0倍よりも大きく1.2倍未満の値を示したものを「良」、1.2倍以上の値を示したものを「優良」と判断した。
実施例26〜29および比較例12で硬化させたエポキシ樹脂のT型剥離強度及び引張せん断強度を表8に示した。
Figure 2017171902
表8に示した様に、実施例26〜29と比較例12の比較から、ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂から成る硬化物は、エポキシ樹脂中においてビスフェノール型エポキシ樹脂単独の硬化物に比べ、接着性が向上する効果が示された。

Claims (9)

  1. ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂(A)と、
    酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、カチオン重合開始剤、ポリフェノール系硬化剤、潜在性硬化剤から選ばれる1種以上の硬化剤(B)を備えることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂(A)と、
    酸無水物系硬化剤である硬化剤(B)を備え、
    前記エポキシ樹脂(A)において、前記単官能エポキシ化合物が5〜50重量%配合され、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂よりも粘度を低減し、
    前記硬化剤による硬化物の曲げ強度が、前記エポキシ樹脂(A)中において前記ビスフェノール型エポキシ樹脂のみを含有し前記硬化剤による他の硬化物の曲げ強度に比して向上することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の1当量に対する前記硬化剤の当量数が、0.5〜1.1であることを特徴とする請求項2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂(A)と、
    アミン系硬化剤である硬化剤(B)を備え、
    前記エポキシ樹脂(A)において、前記単官能エポキシ化合物が5〜30重量%配合され、
    前記硬化剤による硬化物の剥離強度が、前記エポキシ樹脂(A)中において前記ビスフェノール型エポキシ樹脂のみを含有しエポキシ基の1当量に対する前記硬化剤の当量数が前記硬化物と同じである他の硬化物の剥離強度に比して向上することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の1当量に対する前記硬化剤の当量数が、0.8〜1.2であることを特徴とする請求項4記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂(A)と、
    ポリフェノール系硬化剤である硬化剤(B)を備え、
    前記エポキシ樹脂(A)において、前記単官能エポキシ化合物が5〜30重量%配合され、
    前記硬化剤による硬化物の剥離強度が、前記エポキシ樹脂(A)中において前記ビスフェノール型エポキシ樹脂のみを含有しエポキシ基の1当量に対する前記硬化剤の当量数が前記硬化物と同じである他の硬化物の剥離強度に比して向上することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  7. 前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の1当量に対する前記硬化剤の当量数が、0.8〜1.2であることを特徴とする請求項6記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. ビフェニル構造を有する単官能エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂(A)と、
    潜在性硬化剤である硬化剤(B)を備え、
    前記エポキシ樹脂(A)において、前記単官能エポキシ化合物が10〜20重量%配合され、
    前記硬化剤による硬化物の剥離強度が、前記エポキシ樹脂(A)中において前記ビスフェノール型エポキシ樹脂のみを含有し前記硬化剤による他の硬化物の剥離強度に比して向上することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物。
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