JP2017169998A - クッション体 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で柔らかな触感があり蒸れにくく、かつ長期耐久性を有するクッション体、及びそのクッション体を構成要素とする構造体を提供すること。【解決手段】多層構造のクッション体であって、基体層が中空ポリエステル繊維とバインダー繊維Aから構成され、中空ポリエステル繊維の繊度がバインダー繊維Aよりも大きく、表面層が細繊度ポリエステル繊維とバインダー繊維Bから構成され、細繊度ポリエステル繊維の繊度がバインダー繊維Bよりも小さく、バインダー繊維Bが多成分繊維であり熱可塑性エラストマー成分を有し、表面層におけるバインダー繊維Bの含有量が10wt%よりも多く、表面層を構成する繊維の平均繊度が、基体層を構成する繊維の平均繊度よりも小さいクッション体。さらには、中空ポリエステル繊維が多成分繊維であることや、構成繊維のいずれかが垂直方向に配向していることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、クッション体に関し、さらには軽量で柔らかな触感があって蒸れにくいにも関わらず、長期耐久性を有するクッション体およびそれからなる構造体に関する。
従来、電車や自動車などに装備される乗物用座席としては、クッション体として発泡ウレタンや捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿などを用いたものが提案されている。
しかしながら、発泡−架橋型のウレタンでは、クッション体としての耐久性は良好である反面、透湿透水性に劣り蓄熱性があるため蒸れ易く、しかも素材が熱可塑性でないためリサイクルが困難であり、また焼却処分するにしても焼却炉の損傷が著しくかつ有毒ガスの除去に手数と経費を要するという問題があった。
そこで例えば特許文献1では、ポリエステル硬綿を用いたクッション体が提案されている。しかし、この特許文献1記載のポリエステル硬綿を用いたクッション体では、透湿性に優れるものの、熱接着繊維の接着成分として脆弱な非晶性ポリマーを使用しているため接着部分が脆弱であり、使用中に接着部分が簡単に破壊されて短期間のうちに形態や弾力性が劣化するなどの問題があった。また、特許文献2などにより提案されているような、熱可塑性エラストマーが繊維表面に露出し、非弾性ポリエステルをその他の構成成分とする弾性複合繊維のみからなるクッション材は、前記硬綿を用いたクッション材より耐久性は良好であるものの、耐久性を重視すると硬くなる傾向にあり、柔らかな触感と耐久性の両立が困難であった。
またその改善策として、特許文献3などでは、主体繊維と前記エラストマーを接着部分に使用したバインダー繊維を混合して作製した繊維構造体を、厚さ方向の荷重に対し撓み度合いを変えて積層し成型させたクッション体の製法が提案されている。但しこの場合、撓み度が大きい構造体は、圧締・成型を行う際に応力が集中しその部位だけ厚みが低減することで密度が上がり、成型前の柔らかさが維持できず、成型後十分に軟らかいものが得られないという問題があった。
特開平4−245965号公報 特開平5−163654号公報 国際公開特許WO2007/114231号公報
本発明は上記の如き様々の問題点に着目してなされたものであって、その目的は、軽量で柔らかな触感があり蒸れにくく、かつ長期耐久性を有するクッション体、及びそのクッション体を構成要素とする構造体を提供することにある。
本発明のクッション体は、多層構造のクッション体であって、基体層が中空ポリエステル繊維とバインダー繊維Aから構成され、中空ポリエステル繊維の繊度がバインダー繊維Aよりも大きく、表面層が細繊度ポリエステル繊維とバインダー繊維Bから構成され、細繊度ポリエステル繊維の繊度がバインダー繊維Bよりも小さく、バインダー繊維Bが多成分繊維であり熱可塑性エラストマー成分を有し、表面層におけるバインダー繊維Bの含有量が10wt%よりも多く、表面層を構成する繊維の平均繊度が、基体層を構成する繊維の平均繊度よりも小さいことを特徴とする。
さらには、バインダー繊維Aが多成分繊維で、熱可塑性エラストマー成分を有することや、中空ポリエステル繊維が多成分繊維であること、構成繊維のいずれかが垂直方向に配向していること、バインダー繊維A及び/又はバインダー繊維Bが、熱可塑性エラストマー成分と非弾性熱可塑性樹脂成分を含有することが好ましい。
さらにもう一つの本発明は、上記の本発明のクッション体を構成要素とする構造体である。
本発明によれば、軽量で柔らかな触感があり蒸れにくく、かつ長期耐久性を有するクッション体、及びそのクッション体を構成要素とする構造体が提供される。
本発明のクッション体 ウェブ中の繊維方向の模式図 積層方法の模式図 成形型の模式図 成形金型内の模式図 成形機の模式図 本発明のクッション体を用いた座席シート
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のクッション体は多層構造のクッション体であって、中空ポリエステル繊維とバインダー繊維Aを含む基体層(以下、第2繊維構造体ということもある)と、細繊度ポリエステル繊維とバインダー繊維Bを含む表面層(以下、第1繊維構造体ということもある)を構成要素として含むものである。そして基体層において中空ポリエステル繊維の繊度がバインダー繊維Aよりも大きく、表面層においては細繊度ポリエステル繊維の繊度がバインダー繊維Bよりも小さく、さらにバインダー繊維Bが多成分繊維であり熱可塑性エラストマー成分を有し、表面層におけるバインダー繊維Bの含有量が10wt%よりも多く、表面層を構成する繊維の平均繊度が、基体層を構成する繊維の平均繊度よりも小さいことを特徴とする。
もちろん本発明の多層構造のクッション体としては、目的に応じて、これらの表面層、基体層の間、又はその外側に、他の繊維構造体をさらに配置することも好ましい態様の一つである。
また表面層である第1繊維構造体と、基体層である第2繊維構造体との構成比率としては、第1構造体が全体の10wt%以上、さらには15〜45wt%の範囲で存在することが好ましい。逆に第2構造体の構成比率としては、第2構造体が全体の90wt%以上、さらには55〜90wt%の範囲で存在することが好ましい。
そして基体層ないし表面層を構成するそれぞれの繊維構造体は、バインダー繊維以外の繊維である中空繊維や細繊度ポリエステル繊維を主体繊維とすることが好ましい。ここで主体繊維とは各繊維構造体において、もっとも含有量が多い繊維のことをいい、さらには50重量%以上含むことが好ましい。さらに主体繊維が捲縮短繊維であって、その捲縮短繊維の集合体からなる主体繊維中に、バインダー繊維AまたはBが、接着成分として分散・混合されたウエブからなるものであることが好ましい。
本発明では、このように異なる特定組成の構造体をクッション体中に積層配置することで、柔らかな触感がありかつ耐久性の高いクッション体を得ることが可能となったのである。特にはクッション体が主体繊維とバインダー繊維(熱接着性繊維)が混合された繊維構造体で構成されており、好ましくは荷重受け面側となる表面層に細繊度主体の第1繊維構造体を、またその下面に前記第1繊維構造体より太繊度主体の第2繊維構造体を配設するものである。
さて本発明のクッション体では、主体繊維として基体層では中空ポリエステル繊維が、表面層では細繊度ポリエステル繊維が用いられている。すなわち主体繊維としてはポリエステル繊維であることが好ましい。さらにはポリエステル系短繊維であることが好ましい。
ここで、ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンまたはこれらの共重合エステルからなる繊維ないしそれら繊維の混綿体、または上記のポリマー成分のうちの2種以上からなる複合繊維等が例示される。これら繊維のうち特に好ましいのはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートの繊維である。さらにはマテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルであってもよく、ポリ乳酸やステレオコンプレックスポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルであることも好ましい。
また、本発明の表層および基体層で用いられているバインダー繊維としては、上記の主体繊維となる中空または細繊度のポリエステル系繊維を構成するポリエステルポリマーの融点よりも、40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーを、バインダー成分として有することが好ましい。さらにはそのようなバインダー成分となる熱可塑性エラストマーとポリエステルとからなる熱接着性複合繊維であることが好ましい。
さらに、クッション体を構成する繊維構造体としては、短繊維であることが、そして捲縮を有することが好ましい。捲縮としては平面的な2次元となる機械捲縮や3次元となる立体捲縮を用いることが好ましい。立体捲縮繊維とするためには、固有粘度において互いに異なる2種のポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、またはその組み合せからなり、熱処理等により捲縮がミクロクリンプする潜在捲縮繊維を用いることが好ましい。
本発明では、表層となる第1繊維構造体には細繊度ポリエステル繊維を含有することが必要であるが、さらにはこの細繊度ポリエステル繊維が主体繊維であることが好ましい。また繊維の断面形状は、円形、偏平、異型または中空のいずれであってもよいが、この繊維の太さ(単繊維繊度)としては、表層に存在する後述のバインダー繊維Bよりも繊度が小さいことが必要である。さらには基体層に存在する中空ポリエステル繊維やバインダー繊維Aよりもさらに細繊度であって、すなわちクッション体を構成する繊維の中で最も細繊度であることが好ましい。具体的には細繊度ポリエステル繊維としては、2〜200dtex、特には4〜20dtexの範囲にあることが、ソフトな触感を得る上でも好ましい。また繊維長としては38〜102mmの範囲であることが好ましい。さらに細繊度ポリエステル繊維の捲縮としては、よりソフトな触感を出す点で2次元となる機械捲縮であることが好ましい。
次に基体層となる第2構造体には中空ポリエステル繊維を含有することが必要であるが、さらにはこの中空ポリエステル繊維が主体繊維であることが好ましい。さらに中空ポリエステル短繊維としては、クツシヨン材の嵩高性を良くする観点からも、異方冷却によって立体捲縮を発現する中空ポリエステル繊維、特には中空ポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。この繊維の太さ(単繊維繊度)としては、基体層に存在する後述のバインダー繊維Aよりも大きいことが必要である。さらには表層に存在する細繊度ポリエステル繊維やバインダー繊維Bよりもさらに太繊度であって、すなわちクッション体を構成する繊維の中で最も太繊度であることが好ましい。その具体的な繊度としては、要求特性により決定されればよいが、4〜300dtexの範囲であるころが好ましく、特には6〜50dtexの範囲であることが好ましい。このように、表層となる第1繊維構造体の短繊維より太いものであることが、全体の繊維構造体のクッション感や耐久性の向上に寄与している。また繊維長としては38〜102mmの範囲であることが好ましい。
本発明のクッション体では、上記の基体層および表層で用いられている主体繊維以外に、バインダー繊維を含むことが重要である。そして表面層に存在するバインダー繊維Bが多成分繊維であって、熱可塑性エラストマー成分を有し、表面層におけるバインダー繊維の含有量が10wt%よりも多いことが必要である。表面層の主体繊維は細繊度ポリエステル繊維であるが、このようなバインダー繊維を併用することで耐久性等を向上させることが可能となった。また表層に存在するバインダー繊維Bと基体層に存在するバインダー繊維Aとは、異なっていても良いが、経済的な観点からは、同じ繊維であることが効率的である。
さらに基体層において用いられるバインダー繊維Aは中空ポリエステル繊維よりも繊度が小さいことが必要であるが、さらには2〜20dtexの範囲であることが、特には4〜13dtexの範囲であることが好ましい。また繊維長としては38〜102mmの範囲であることが好ましい。
また表面層において用いられるバインダー繊維Bは細繊度ポリエステル繊維の繊度よりも大きいことが必要であるが、さらには4〜40dtexの範囲であることが、特には6〜30dtexの範囲であることが好ましい。また繊維長としては38〜102mmの範囲であることが好ましい。
このような本発明で用いられるバインダー繊維(以下、バインダー繊維A及び/またはバインダー繊維Bを総称して「バインダー繊維」ということがある)としては、基体層に存在するバインダー繊維Aも含めて、多成分繊維であって熱可塑性エラストマー成分を含有する繊維であることが好ましい。さらにはバインダー繊維が熱接着性複合短繊維であって、熱可塑性エラストマーとポリエステルとから構成されるものであることが好ましい。さらには、熱可塑性エラストマーが繊維表面の少なくとも1/2を占めるものが好ましい。重量割合でいえば、熱可塑性エラストマーとポリエステルとが複合比率で30/70〜70/30の範囲にあることが好ましい。このような多成分繊維である場合には、工程での異方冷却等により立体捲縮が発現することがあり、より柔軟なクッション体を得ることが可能となる。
バインダー繊維として用いられる熱接着性複合短繊維の好ましい形態としては、サイド・バイ・サイド型や、シース・コア型であるが、より好ましくはシース・コア型である。当然このシース・コア型においては、ポリエステルがコアとなることが好ましく、このコアは同心円状あるいは偏心状にあってもよい。特に偏心状のものにあっては、コイル状の弾性捲縮が同時に発現するので、より好ましい形態である。
バインダー繊維に使用される熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラストマーやポリエステル系エラストマーなど例示される。特に後者が好ましい。
ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコール、アミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。これらのポリマーのうち、特に好ましいものはポリオールとしてポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクトンあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合、有機ジイソシアネートとしてはp,p’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好適である。また、鎖伸長剤としては、p,p’ビジスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールが好適である。
一方、ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アレキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール、あるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族ジオール、またこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度の、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アレキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体である。
本発明ではクッション体の主体繊維としては、表面層、基体層ともに、ポリエステル繊維が用いられている。そのため、バインダー繊維に使用される熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル繊維との接着性や温度特性、強度の面からすると、ポリブチレン系テレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルポリエステル(ポリエステル系エラストマー)であることが好ましい。
ここでハードセグメントを構成するポリエステル部分としては、より具体的には、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。もちろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていてもよく、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されてもよい。
また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってもよい。なお、ポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていてもよい。
さらには、このようなポリエステル系エラストマーを用いる場合、その重合度は、固有粘度で0.8〜1.7dl/g、特に0.9〜1.5dl/gの範囲にあることが好ましい。この固有粘度が低すぎると、マトリックスを構成する主体繊維とで形成される熱固着点が破壊され易くなる。一方、この粘度が高すぎると、熱融着時に紡錘状の節部が形成されにくくなる。
本発明に用いられるバインダー繊維が、熱可塑性エラストマー成分を有する場合、その熱可塑性エラストマー成分は、クッション体の各構造体を構成する主体繊維であるポリエステル系繊維を構成するポリマーよりも低融点であることが好ましい。さらには、主体繊維とバインダー繊維の熱固着点の形成のために融着処理を行うが、その時に主体繊維の捲縮を、熱的にへたらせないものであることが好ましい。そのため、エラストマー成分の融点は、主体繊維を構成するポリマーの融点より40℃以上、特には60℃以上低いことが好ましい。より具体的には、熱可塑性エラストマーの融点としては、例えば120〜220℃の範囲であることが好ましい。
この融点差が小さすぎると、融着加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、主体繊維の捲縮のへたりを惹起し、また捲縮繊維の力学的特性を低下させてしまうおそれがある。なお、熱可塑性エラストマーについて、その融点が明確に観察されないときは、融点に替えて軟化点を用いることができる。
また本発明に用いられるバインダー繊維は、多成分繊維や複合繊維であることが好ましく、上記の熱可塑性エラストマー以外の成分としては、ポリエステル成分であることが好ましい。用いられるポリエステルとしては、既に述べた主体繊維を構成するのと同じポリエステル系ポリマーが好ましい。なかでもバインダー繊維の熱可塑性エラストマー以外の成分としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく採用される。
本発明のクッション体においては、上記のようなバインダー繊維を、基体層を構成するバインダー繊維Aとしてや、表面層を構成するバインダー繊維Bとして、好ましく用いられる。
そして本発明のクッション体は多層構造であって、基体層が中空ポリエステル繊維とバインダー繊維Aから構成され、表面層が細繊度ポリエステル繊維とバインダー繊維Bから構成されるのであるが、基体層における上述のバインダー繊維の存在比は、ウエブの重量を基準として、20〜100%、好ましくは30〜80%の範囲で分散・混入されることが好ましい。そして表面層である第1繊維構造体においては、接着耐久性確保のためにバインダー繊維の含有量が10wt%よりも多いことが必要であるが、風合いや柔軟性の観点からは、ウエブ重量を基準にして、基体層よりもバインダー繊維の混率が低いことが好ましく、具体的な範囲としては20〜50%の範囲で分散・混入することが好ましい。このようにバインダー繊維の含有率を低くおさえ、かつ細繊維のポリエステル繊維を用いることで、本発明のクッション体は、より表面を柔らかくすることが可能となる。
またこの時、表面層の第1繊維構造体の主体繊維である細繊度ポリエステル繊維は、機械捲縮繊維であることが好ましい。2次元捲縮である機械捲縮綿は並列型複合繊維のような綿のへたりが発生しにくく、弾力性、反撥性および耐久性を高いレベルで発揮することが可能となる。通常、バインダー繊維の含有率を低くすると、熱固着点の数が少なくなり、クッション体が変形し易くなったり、弾力性、反撥性および耐久性が低くなったりするおそれが生じるが、機械捲縮したポリエステル繊維を主体繊維とすることで、弾力性、嵩高性、反撥性および耐久性を確保しながら、柔らかい表面とすることができる。
また本発明のクッション体では、表面層の第1繊維構造体や、基体層の第2繊維構造体、及びその層間において、バインダー繊維同士間、及びポリエステルからなる主体繊維とバインダー繊維間の、立体的な繊維交差点で、熱固着点が形成されていることが好ましい。
さらに、本発明のクッション体を構成する繊維構造体において構成繊維のいずれかが垂直方向に配向していることが好ましい。垂直方向に配向しているとは、垂直方向に向いている繊維の方が、平面方向に向いている繊維よりも、相対的に割合が多いことをいう。ここで垂直方向に向いている繊維とは、45〜90°の角度の繊維のことをいい、平面方向に向いている繊維とは0〜45°の角度の繊維のことをいう。
さらに本発明のクッション体としては、厚みが20〜200mmの範囲であることが好ましく、特には40〜100mmであることが好ましい。また密度としては15〜50kg/mの範囲であることが、特には20〜40kg/mであることが好ましい。
このように、本発明のクッション体は、各層の繊維構造体を、繊維の方向が厚さ方向に向いた繊維構造体にすることで、例えばクッション体を座席シートとして場合に、座席シートに着座者が着座したときに荷重が加わる方向に繊維が配列されていることになり、応力方向に対して更に柔らかさを確保することができるようになった。また同時に表面層からその下層部である基体層に応力を伝播させ易くなることで、ソフトな触感と耐久性を両立するものとなる。
このような本発明のクッション体は、具体的には例えば次のような方法にて得ることができる。
まず最初に主体繊維となるポリエステル系捲縮短繊維と、バインダー繊維となる熱接着性複合短繊維を準備する。そして、ポリエステル系捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とを混綿し、ローラーカードに通して、ウエブに形成し、そのウエブを積層して、熱風炉で加圧加熱後冷却することで、熱接着性複合短繊維同士間、およびポリエステル系捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維間に立体的な繊維交差点でエラストマー成分が熱融着され、可撓性熱固着点が形成された、密度5〜40kg/mの成型用繊維構造体を得ることができる。
ちなみにこの密度が5kg/m未満の場合、この成型用繊維構造体を金型に複数枚積層させ圧縮した際に均一に圧縮されず高圧スチーム成形機での成形後、仕上密度が不均一になり、そのことがクッション体の耐久性低下の要因につながるおそれがある。また繊維構造体の密度が40kg/mを超える場合は、作製されたクッション体の密度も高くなりすぎ適度な弾性が得られないおそれがあることから、好ましくは成型用繊維構造体の密度は5〜20kg/mである。
なおこの段階では、前記成型用繊維構造体は、長さ方向に向いている繊維の方が、横方向に向いている繊維よりも相対的割合が多くなるように形成されていることが好ましい。
ここでウエブの長さ方向に向いている繊維とは、図2に示すように、ウエブの長さ方向に対する繊維の長さ方向の角度θが、0°≦θ≦45°の条件を満足する繊維であり、横方向(ウエブの幅方向)に向いている繊維とは、θが45°<θ≦90°を満足する繊維である。図中、符号aはウエブを構成する繊維、符号bはウエブの長さ方向(延出方向)、符号cはウエブを構成する繊維方向を表している。
より具体的な製法としては、例えば、主に長さ方向に繊維が沿うように形成されたウエブを、所定の密度と構造体としての所望の厚さになるようにアコーデオンの如く折り畳んでいき、複合繊維同士間、およびポリエステル系捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維間に立体的な繊維交差点を形成せしめた後、ポリエステルポリマーの融点よりも低く、熱可塑性エラストマーの融点(または流動開始点)より高い温度(〜80℃)で熱処理することにより、上記繊維交差点でエラストマー成分が熱融着され、可撓性熱固着点が形成された成型用繊維構造体を得ることができる。
主体繊維として細繊度ポリエステル繊維を用いることで表面層の第1構造体を、主体繊維として中空ポリエステル繊維を用いることで基体層の第2構造体を、それぞれ成型用繊維構造体として得ることができる。
次に得られた成型用繊維構造体とを所定形状に裁断し、図3に示すように、縦方向(厚さ方向)に積層させる。図3では、7枚の成型用繊維構造体をそれぞれ所定形状に裁断し、主体繊維が中空ポリエステルである第2繊維構造体を成型金型に沿え、その後主体繊維が細繊度ポリエステルである第1繊維構造体を積層している。この時、配設される成型用繊維構造体は型面により厚さ方向に押圧されて厚さが((成型前の厚さ)/(成型後の厚さ))1.5〜10倍に圧密化されるような枚数にするのが好ましい。
ここで、成型用繊維構造体の押圧が低すぎると、成形後の繊維構造体の硬さが柔らかくなりすぎクッション体全体の耐久性が低下するおそれがある。一方で押圧が高すぎると、成型後の繊維構造体の硬さが硬くなりすぎ柔らかな触感が得られないだけでなく、耐久性が低下するおそれがある。 その理由は明らかでないが、発泡体の圧縮変形量が大きい状態で加熱成型すると一部位に内部歪が溜まり、その部位が繰り返し耐久試験時に破壊されるためではないかと推定している。
また、予め成型金型の底面積よりも大きな寸法で裁断されていた成型用繊維構造体は、引張り配置することは好ましい方法である。成型用繊維構造体を張力が掛かった状態で四方側面まで配置することで、成型加工後、皺がない平滑な形状のクッション体が得られるだけでなく、長期耐久性の面でもその効果を大きく発揮するためである。
積層した成型用構造体は、図4に示すような成形型内に配設し、圧締する。図4の成形金型は、第1型と第2型からなる。第1型は、クッション体のうち着座面側(すなわち、表面)の形状を形成する型であり、第2型は、クッション体のうちシートフレーム側、すなわち、裏面(非荷重受面)側の形状を形成する型である。第1型と第2型を型締めすると、クッション体の所望の凹凸形状に形成される。また、成形型の金型面には一部または全面に孔が形成されている。成形型は、鉄,鋼,アルミニウム等の金属、ガラス繊維,カーボン繊維を使用し樹脂で形成したもの、または、合成樹脂のいずれで形成されていてもよい。
図5は、成形金型を型締めした状態の断面図である。成型用繊維構造体の撓み度が異なる場合、その型締めした段階で撓み度の大きい構造体は厚みが小さくなり、成形後のクッション体で撓み度の大きい構造体は、密度が高くなりその柔らかさが大幅に低減する。
当発明の第1繊維構造体と第2繊維構造体はその主体繊維の太さの違いに構成差はあるが撓み度差がない状態で作成することが好ましく、その状態にて型締すると均一に圧密化される。
そして成型後のクッション体は、表層と裏層に繊維構成差があるもののほぼ同密度のクッション体が得られ、その柔らかさは繊維構成差に依存することとなる。
次に、図6に示すように、成型用繊維構造体が内部に配設された成形金型を成型機に入れる。成型機は特に限定されないが、公知の熱風循環型の熱処理機や高圧スチームを利用した成型機等を利用し所定温度で所定時間加熱処理した後、冷却し、脱型してクッション体を得ることが好ましい。
ここで、成型温度とは、バインダー繊維としての熱接着性複合短繊維の融点以上、すなわち、熱可塑性エラストマーの融点以上であって、主体繊維の融点よりも低い温度であることが好ましい。
前記成型温度の熱風、蒸気を吹き付けることによって、成型金型の孔から通気性を有する成型用繊維構造体内に入り込み、他の孔から成型金型外部へ抜け出て行く。成型用繊維構造体は、圧縮状態で成形金型内に配設されており、熱によって、熱接着性複合短繊維同士、および熱接着性複合短繊維と捲縮短繊維との交差点が熱融着され、成形金型のキャビティの形状に形成される。また、成型用繊維構造体は、含まれている熱接着性繊維が熱によって溶融することで、成型用繊維構造体間を固着する。
このように、加熱により成型用繊維構造体内の繊維同士が熱融着されることによって、所定形状のクッション体が形成される。なお、必要に応じ表面に布帛を入れてもよいし、成型用繊維構造体間にスチール等のワイヤを入れてもよい。
また、本発明のクッション体は、成型金型によって圧縮した状態で成型されることが好ましく、成型金型のキャビティの形状に合わせて、3次元的な複雑な凹凸形状とすることが可能である。その際、成型金型内での圧縮度に応じて、部分的にクッション感を調整することも可能となる。
図1に離型したクッション体の断面図を示す。図1に示すように、本発明のクッション体は、第1クッション部と、第2クッション部が含まれ、前記第2クッション部は、前記第1クッション部の下方に位置する。両クッション部は、含まれている熱接着性繊維により接着されている。
なお、クッション体の形状保持性を向上させるため、また硬さを部分的に強くするために、成型用繊維構造体を金型内部に配設する際に部分的にその枚数を追加したり、繊維構造体を用いることなくキャビティの形状を土手部や凸部を形成するよう変更し、クッション体の密度を変えてもよい。
なお、図3ではクッション体として、成型用繊維構造体を7枚使用した例について示しているが、それぞれ枚数や密度を変更してもよい。この場合、クッション体に必要とされる触感、耐久性、サイズなどに応じて、積層枚数や密度を調整することが好ましい。
例えば、着座面の柔らかさをさらに向上させたい場合は、第1繊維構造体の積層枚数を大きくするまたはバインダー繊維の混率を小さくする、主体繊維の繊度を更に補足するなどがある。また、クッション体の耐久性をさらに向上させたい場合は、第2繊維構造体の積層枚数を大きくするまたは中空ポリエステル繊維の繊度を太くする方法などがある。
このように、成型用繊維構造体の積層枚数や繊度の増減、バインダー繊維の混率を増減することで、所望の触感や耐久性を有するクッション体を得ることができる。
以上は着座部クッション体についての説明であるが、図7に示すように、着座部(シートクッション)と背もたれ部(シートバック)で座席シートを構成し、背もたれ部のクッション体についても同様に形成することができる。着座者が着座したときに荷重が掛かる方向がクッション体の厚さ方向である。したがって、応力方向に硬さや応力の分散性、耐久性を確保するために、成型用繊維構造体を応力の掛かる方向に積層して、成形金型内で加熱処理することにより、3次元的な形状とするとよい。そして、このように形成されたクッション体をシートフレームに配設し、表皮で覆うことによって、座席シートが形成される。
なお、クッション体を形成するときに、表皮と成型用繊維構造体とをホットメルトフィルム、ホットメルト不織布、ホットメルト接着剤等を介在させて積層し、これらを成形金型に配設して、成形してもよい。このようにすれば、表皮をクッション体と一体に形成することができる。このように表皮でシート状繊維構造体を覆うようにして、これらを成形金型内に配置して、成形する場合は、成形温度が高すぎると表皮が色落ちしてしまうおそれがある。したがって、この場合は、表皮を染色している染料の溶融温度よりも成形温度を低く設定するとよい。
また、上記実施形態では、着座部および背もたれ部に、成型用繊維構造体を積層して形成したクッション体を用いているが、これに限らず、アームレストやヘッドレスト等の着座者による荷重が掛かる部位に、成型用繊維構造体を積層して高圧スチームで形成したクッション体を用いてもよい。
また、上記実施形態では、水蒸気を成形型に吹き付けていたが、これに限らず、熱風成型機で成型加工を行っても良い。特に厚さが小さいクッション体の場合は、熱風乾燥機や各種熱成型加工機で加工を行うことも可能である。
かくして得られる本発明のクッション体において、表層部のクッション部は柔らかくなっていることが肝要である。その柔らかさは、得られたクッション体において、JIS K6400−2D法により測定した25%圧縮硬さが50〜150Nの範囲内であることが好ましい。さらに50%圧縮硬さが300〜400Nの範囲内であることが好ましい。
本発明のクッション体では、細繊度主体の繊維構成である第1繊維構造体を表面層(上層)に用いて均一に圧密化された状態で成型することで、基体層(下層部)よりも反発や弾性が少ないが柔らかい表層面を形成し、また中空繊維を主体とする第2繊維構造体をその下層に配することで、クッション全体で弾性と強固な骨格を形成することが可能となる。
なお、その積層する枚数比率を変えることで、用途に応じて高荷重を加えた時の沈み込み量を変えることができる。
また先にも述べたように、前記繊維構造体を、繊維の方向が厚さ方向に向いた繊維構造体にすることで、座席シートに着座者が着座したときに荷重が加わる方向に繊維が配列されていることになり、応力方向に対して更に柔らかさを確保することができ、また同時に下層部に応力を伝播させ易くなることで、ソフトな触感と耐久性を両立するものとなる。
本発明の座席シート、ベッドマットは、前記のクッション体を用いており、かつ前記第1繊維構造体が人体側に配されているので、軽量で柔らかな触感があり蒸れにくく、かつ長期耐久性を有するかかるシートは、車(自動車、二輪車)、電車、新幹線、航空機、ベッドマット等に適用することができるものであり、事務椅子、介護椅子等の各種椅子等にも適用可能である。
以下に、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等をあげるが、本発明はこれら実施例に何ら限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。
(1)融点
Du Pont社製 熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とした。
(2)厚さ
JIS L1913により測定した。
(3)目付け
JIS L1913により測定した。
(4)25%、50%圧縮硬さ
JIS K6400−2D法に記載の方法により測定した。
(5)表面硬度
ASKER社製の硬度計F型を用いて成型物の表層部の硬さを測定した。なお、本数値が低い程、同計測器に内蔵されているスプリングにかかる荷重が小さく柔らかいことを指す。
(6)長期耐久性(繰り返し圧縮残留ひずみ試験)
JIS K6400−4A法に記載の方法により、8万回繰り返し試験後の厚さ低下率、応力(硬さ)低下率を測定した。
(7)第一繊維構造体比率
仕上成型品の断面が見える様に裁断し、第1繊維構造体と第2繊維構造体の厚みを計測し、下記式にてその比率を算出した。
第1繊維構造体比率=第1繊維構造体厚み÷全体クッションの厚み
[実施例1]
融点154℃の熱可塑性ポリエーテルエステル系エラストマーを鞘成分に用い、融点230℃ポリブチレンテレフタレートを芯成分に用いた単繊維繊度6.6dtex、繊維長51mmの芯/鞘型熱融着性複合繊維(芯/鞘比=60/40:重量比、機械捲縮短繊維)をバインダー繊維Bとして準備した。なお、この繊維は2成分繊維であって芯鞘異方冷却により若干の立体捲縮も同時に有する繊維であった。一方、機械捲縮を有する短繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維(融点256℃)を細繊度ポリエステル繊維として準備した。
このバインダー繊維Bと細繊度ポリエステル繊維とを20:80の重量比率で混綿し、ローラーカードを通して、クロスラッパーで積層した後、熱風熱処理機にて190℃×1分間処理し、厚さ16.5mm、密度12kg/mの第1繊維構造体を得た。
また第2繊維構造体として、前記のバインダー繊維Bと同じ繊維をバインダー繊維Aとして、芯鞘異方冷却により立体捲縮を有する単繊維繊度13.2dtex、繊維長64mmの中空ポリエチレンテレフタレート繊維(融点256℃)を中空ポリエステル繊維として準備した。
このバインダー繊維Aと中空ポリエステル繊維とを30:70の重量比率で混綿し、ローラーカードを通して、クロスラッパーで積層した後、熱風熱処理機にて190℃×1分間処理し、厚さ16.5mm、密度12kg/mの第2繊維構造体となる成型用繊維構造体を得た。
前記第1繊維構造体を2枚、第2繊維構造体を5枚重ね、本文記載の方法、すなわち図4に示すように成形金型内に配設し圧締した後、190℃で15分加熱しクッション体を得た。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
なお、得られたクッション体において界面を切断し、第1繊維構造体由来の第1クッション部と、第2繊維構造体由来の第2クッション部との厚さを測定し、第1繊維構造体と第2繊維構造体の圧縮変形比は同じであることを確認した。
[実施例2]
実施例1で用いたバインダー繊維Bと細繊度ポリエステル繊維とを用い、実施例1と同じく20:80の重量比率で混綿し、ローラーカードを通して目付20g/mの第1繊維構造体用ウエブを得た。
同様に実施例1と同じバインダー繊維A(バインダー繊維B)と中空ポリエステル繊維とを用い、実施例1と同じく30:70の重量比率で混綿し、ローラーカードを通して目付け20g/mの第2繊維構造体用ウエブを得た。
各々の連続ウエブ中の長さ方向(連続している方向)に向いている繊維Aと横方向(ウエブの幅方向)に向いている繊維Bの総数を調べるとA:B=2:1であった(図2)。
この連続ウエブをローラ表面速度2.5m/分の駆動ローラにより、熱風サクション式熱処理機内へ押し込むことでアコーデオン状に折り畳み、190℃×1分間処理し熱融着された厚さ16.5mm、密度12kg/m、折り畳みピッチ50山/mの第1繊維構造体、第2繊維構造体を得た以外は実施例1と同条件で熱成型しクッション体を得た。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた、熱可塑性ポリエーテルエステル系エラストマーが鞘成分のバインダー繊維A及びBのかわりに、低融点非弾性ポリエステルを鞘成分とする芯/鞘型熱融着性複合繊維を成型用繊維構造体に用いた以外は、全て実例例1と同条件で熱成型した。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で用いた第2繊維構造体のみで実施例1と同条件で熱成型して得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
[比較例3]
実施例1で第1繊維構造体の芯/鞘型熱融着性複合繊維の混率を10%で作成した以外は、全て実施例1と同条件で熱成型した。得られたクッション体の諸性能を表1に示す。
なお、得られたクッション材の断面を観察したところ、第一繊維構造体は層分離しており
そのことが厚み保持率の低下を招いたものと思われた。
本発明によれば、軽量で柔らかな触感があり蒸れにくく、かつ長期耐久性を有するクッション体および座席シートおよびクッション体の製造方法が提供され、その工業的価値は極めて大である。
a ウェブを構成する繊維
b ウェブの長さ方向(延出方向)
c ウェブを構成する繊維方向
2 ウェブ
50 成形機

Claims (6)

  1. 多層構造のクッション体であって、基体層が中空ポリエステル繊維とバインダー繊維Aから構成され、中空ポリエステル繊維の繊度がバインダー繊維Aよりも大きく、表面層が細繊度ポリエステル繊維とバインダー繊維Bから構成され、細繊度ポリエステル繊維の繊度がバインダー繊維Bよりも小さく、バインダー繊維Bが多成分繊維であり熱可塑性エラストマー成分を有し、表面層におけるバインダー繊維Bの含有量が10wt%よりも多く、表面層を構成する繊維の平均繊度が、基体層を構成する繊維の平均繊度よりも小さいことを特徴とするクッション体。
  2. バインダー繊維Aが多成分繊維で、熱可塑性エラストマー成分を有する請求項1記載のクッション体。
  3. 中空ポリエステル繊維が多成分繊維である請求項1または2記載のクッション体。
  4. 構成繊維のいずれかが垂直方向に配向している請求項1〜3のいずれか1項記載のクッション体。
  5. バインダー繊維A及び/又はバインダー繊維Bが、熱可塑性エラストマー成分と非弾性熱可塑性樹脂成分を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載のクッション体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のクッション体を構成要素とする構造体。
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