JP2017169476A - ロールイン用水中油型乳化組成物 - Google Patents

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秀一 宇野
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Abstract

【課題】本発明の課題は、ペストリーに折り込んで使用した際、生地への折り込み作業時の展延性が良好で焼成品は層状膨化構造となっており、油っぽさがなく、歯切れの良い食感となるロールイン用水中油型乳化組成物を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決するために、油脂50〜70質量%、HLB8.0〜16.0の多価アルコール脂肪酸エステル0.3〜10.0質量%、増粘多糖類0.1〜1.0質量%を含み、pHが2.0〜5.5である、ロールイン用水中油型乳化組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ロールイン用水中油型乳化組成物に関する。より詳細には、ペストリー等の多層構造を有するベイカリー製品の作製時に折り生地に使用されるロールイン用水中油型乳化組成物に関する。
ベイカリー製品のうち、パイ、パフ、デニッシュ、クロワッサンに代表されるペストリーは、特有の食感を有するために消費者から広く支持されている。ペストリーは一般に、小麦粉、砂糖、食塩、イースト、水を練込用油脂とともに混合してパン生地を形成させ、この生地を低温で冷やした後に折りたたみ、更に展延、折りたたみを繰り返して多層を形成させ、成型、ホイロの過程を経て焼成せて作製される。このため、一般のパンとは異なり、薄い生地膜から形成される多層構造によってフレーキーでサクサクとした歯切れの良い特有の食感となる。ペストリー作製の際、練込用油脂とは別に、生地の上に乗せて折り込んで使用されるのが、ロールイン用組成物である。ロールイン用組成物の展延性が劣る場合、きれいな多層構造とならないために、焼成後のペストリーにおいては層状膨化構造が形成されずペストリーとは異なるパンとなってしまう。
従来、ペストリーは、ロールイン用組成物としてマーガリン、ファットスプレッドを使用していたため油っぽい食べ口であった。なお、ロールイン組成物の使用は必須であり、これを折り込みに用いない場合には、ペストリーの特長である層状膨化構造が形成されない。一方で近年の消費者の健康意識の高まりから、油っぽさは敬遠されている。また、ペストリーはフレーキーでサクサクとした層状の生地であるため、喫食の際、手でつかんだり歯で噛み切ったりする度に、層状の生地が容易に破砕され、粉々になった破片によって衣服やテーブルを汚すことがあり、このことを敬遠する消費者層も存在する。このように、食感豊かなペストリーであるにも関わらず、市場の持続的な維持・成長が望めない問題が生じつつある。
さらに、消費者のライフスタイルの変化を受けて朝食の内容も多様化しており、食パンをトースターで焼いてバターやジャムをトッピングして食べる従来のスタイルから、短時間の食事時間で済むようにパンをトースターで焼かずにトッピングも利用せずそのまま食べることが志向されている。この観点からも歯切れがよく、油っぽくなく散らかりにくく短時間で喫食できる新たなペストリーの創出が朝食のバラエティー化につながりペストリー市場の維持・成長に繋がることが想定される。
乳化物は油中水型と水中油型に大きく分類されており、水中油型乳化物は油中水型乳化物と比較して油っぽさを感じにくいという特長があるため、近年、水中油型乳化物からなるロールイン組成物が開発されている。
例えば、特許文献1には、乳由来の蛋白質、15℃のときの固体脂指数(SFC)が10%以上である油脂、増粘剤及び水を含む水中油型乳化組成物であって、油脂の含有量が15〜50重量%であるロールイン用フィリング材が開示されている。このロールイン用フィリング材を用いることによって、食感が滑らかで口溶けの良いパンを作製することができる。しかしながら、このロールイン用フィリング材は油脂の含油量が少ないため、パンの層状膨化構造の形成が不十分である。
特許文献2には、特定の脂肪酸鎖長組成を有する油脂を特定量含むことを特徴とするロールイン用油脂組成物が開示されている。しかし、このロールイン用組成物は、口溶けと伸展性を両立させることを目的としており、油脂を含む油相部の口溶けを良好にすることによってペストリーの口溶けを改善するものの、歯切れのよさの付与は達成できない。
特許文献3には、ショ糖脂肪酸モノエステルと重合度5以上のポリグリセリン脂肪酸モノエステルとからなる群より選ばれた少なくとも一種とゼラチンを、各々全組成分中の質量比で0.2〜3.0%、0.01〜0.5%含有する水相10〜30質量%と、油脂又は必要により油溶性乳化剤を溶解した油相70〜90質量%とより得られる水中油型乳化油脂組成物を用いることを特徴とする折り込み用油脂組成物が開示されている。しかしながら、この折り込み用油脂組成物は、油脂の含有量が70〜90重量%と非常に多いため、出来上がったパンは油っぽいことが容易に想像できる。
特許文献4には、油脂50〜65質量%、糖類5〜20質量%、蛋白質1〜5質量%を含むロールイン用水中油型乳化組成物が開示されているが、これは油っぽさの抑制としっとりさを付与する内容であり、歯切れのよさについては達成できていない。また、乳化安定性付与のため蛋白質を必須成分としているため、酸などを添加してpHを低くした配合では蛋白質が変性、凝集してしまうため、十分な乳化力を維持することが難しく、安定した乳化状態が維持できないと考えられる。
特許文献5には、酵素処理卵黄を含有する酸性水中油型乳化油脂組成物が開示されており、この酸性水中油型乳化組成物を用いることにより、ソフトで歯切れのよい層状ベイカリー食品を得ることができる。しかしながら、このロールイン用フィリング材は油脂の含油量が少ないため、パンの層状膨化構造の形成が不十分である。
特許文献6には、低pH成分を油中水型に乳化したロールイン用油中水型油脂組成物が開示されている。このロールイン用油中水型油脂組成物を用いることにより、サクサクとして歯切れのよい食感のベイカリー食品を得ることができる。しかしながら、マーガリン、ファットスプレッドと同じく油中水型の乳化物であり、油っぽさの改善は達成できない。
以上のようにペストリーにおいて層状膨化構造を形成させたまま、油っぽさを改善し、歯切れのよさを付与するロールイン用組成物が過去においてはなく、ペストリーの消費拡大のためには、この課題を解決することが望まれている。
特開2007−209254号公報 特開2002−306065号公報 特開平2−177848号公報 特開2015−204790号公報 特開2014−204687号公報 特開2001−045969号公報
本発明の課題は、ペストリーに折り込んで使用した際、生地への折り込み作業時の展延性が良好で焼成品は層状膨化構造となっており、油っぽさがなく、歯切れの良い食感となるロールイン用水中油型乳化組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、油脂と、特定のHLBを有する多価アルコール脂肪酸エステルと、増粘多糖類とを特定量で含有したロールイン用水中油型乳化組成物であって、特定の酸性域pHに調整することによって、上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕〜〔2〕である。
〔1〕油脂50〜70質量%、HLB8.0〜16.0の多価アルコール脂肪酸エステル0.3〜10.0質量%、増粘多糖類0.1〜1.0質量%を含み、pHが2.0〜5.5である、ロールイン用水中油型乳化組成物。
〔2〕上記〔1〕に記載のロールイン用水中油型乳化組成物を含有する、ペストリー。
本発明のロールイン用水中油型乳化組成物は、ペストリーに折り込んで使用した際に、良好な展延性を有し、かつ良好な層状膨化構造を形成するとともに、油っぽくなく歯切れが良い食感のペストリーを作製できる。
具体的にはペストリー作製時の展延性に問題がなく、かつ焼成品の層状膨化構造、油っぽさ、歯切れのよさの項目における官能評価で53%以上のパネラーが良好であると判定されるペストリーが作製できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のロールイン用水中油型乳化組成物は、油脂、HLB8.0〜16.0の多価アルコール脂肪酸エステル、増粘多糖類を含む。
(油脂)
本発明のロールイン用水中油型乳化組成物に使用する油脂は、ロールイン用水中油型乳化組成物の展延性および層状膨化構造形成のために必須の成分であり、使用できるものとしては、食用に適する油脂が該当し、牛脂、豚脂、魚油、乳脂、パーム油、ナタネ油、大豆油、綿実油、コーン油、ヤシ油、パーム核油、等の天然の動物植物油脂、またはこれら単独あるいは組み合わせの硬化油、極度硬化油、分別油、エステル交換油が挙げられ、2種類以上の油脂の組み合わせが好ましい。
前記油脂の含有量は、ロールイン用水中油型乳化組成物全体中の50〜70質量%である。含有量が50質量%より少ないと焼成中のパンの浮きに悪影響が及び、層状膨化構造が形成されない。含有量が70質量%より多いと乳化破壊による状態変化を起こし製品化できなくなる。また、油脂の融点は、好ましくは25〜45℃であり、より好ましくは30〜40℃である。油脂の融点を25〜45℃とすることにより、優れた層状膨化構造を形成し、更には、ペストリーの食感を向上するという効果を奏する。
(HLB8.0〜16.0の多価アルコール脂肪酸エステル)
本発明のロールイン用水中油型乳化組成物には、乳化安定化のために乳化剤として、HLB8.0〜16.0の多価アルコール脂肪酸エステルを用いる。多価アルコール脂肪酸エステルとは、多価アルコールと脂肪酸がエステル結合した構造を有する乳化剤である。
多価アルコールとしては、特に制限されないが、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、ショ糖、ソルビタン、グルコース等が挙げられる。好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数9〜15で、好ましくは価数6〜20、より好ましくは価数8〜10である多価アルコールである。
脂肪酸としては、特に制限されないが、好ましくは、構成脂肪酸として炭素数8〜22の脂肪酸が総脂肪酸量の95質量%以上含有する脂肪酸である。
多価アルコール脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルである。
多価アルコール脂肪酸エステルは、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
多価アルコール脂肪酸エステルのHLBは、8.0〜16.0であり、好ましくは8.4〜15.0である。HLBが8未満であると乳化不良を起こし、製品化することができない。
なお、HLBは、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化物のエステル化度により調整される。本発明におけるHLB値は、下記式で示されるグリフィン法によって求めるHLBである。
HLB値=20×(親水基の分子量/全体の分子量)
多価アルコール脂肪酸エステルの含有量は0.3〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%である。含有量が0.3質量%より少ないと乳化不良を起こし製品化することができず、含有量が10質量%より多いと風味に悪影響を及ぼす。
(増粘多糖類)
増粘多糖類は、ロールイン用水中油型乳化組成物の乳化安定化のために必要な成分であり、使用できる増粘多糖類としては、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、サイリウムシードガム、ゼラチン、ローカストビーンガム、タマリンド種子多糖類、グアガム、キサンタンガム等が挙げられる。増粘多糖類の含有量は0.1〜1質量%であり、含有量が0.1質量%より少ないと乳化不良を起こし、含有量が1質量%より多いと水相部の粘度上昇によって乳化不良を生ずる。
(水)
本発明における水の含有量は15〜49.6質量%であり、含有量が15質量%より少ないと、水中油型乳化を維持できず、乳化破壊による状態不良を起こし、製品化できなくなる。49.6質量%以上では油脂含量が少なくなり、折り込みに必要な硬さを付与するのが難しくなる。
(pH)
本発明のロールイン用水中油型乳化組成物は、pHが2.0〜5.5であり、好ましくは2.2〜5.0であり、より好ましくは2.6〜4.0である。pHが2.0未満では得られるペストリー製品の内層が荒れたものとなる恐れがあり、また、酸味が強すぎる恐れがある。一方、pHが5.5を超えると本発明の効果が得られない。
上記の本発明のロールイン用水中油型乳化組成物のpHは、酸または酸味料を添加することによって設定することができる。本発明で使用する酸または酸味料は焼成ペストリーの浮き、歯切れのよさ付与の目的で必要な成分である。使用できる酸または酸味料としては、乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、食酢(酢酸)、果汁、発酵乳などが挙げられ、これらを単独または二種類以上を組み合わせて用いることができる。食感、特に歯切れが良好であるペストリー製品を得られる点で、食酢(酢酸)を用いることが特に好ましい。
その他、本発明のロールイン用水中油型乳化組成物には、マヨネーズ、タルタルソース、乳化型サラダドレッシングなどの酸性水中油型乳化油脂組成物に使用される公知の副原料を任意に使用することができる。該副原料としては、トマト、チーズ、カレー粉、胡椒などの香辛料や香辛料抽出物といった風味原料、糖類、食塩、アミノ酸などの調味料、着色料などが挙げられる。
本発明のロールイン用水中油型乳化組成物は、油脂、乳化剤等からなる油相部を水、酸または酸味料、乳化剤、増粘多糖類を主たる原料とする水相部中に分散した組成である。この構成により、油脂を直接感じることがなく、油っぽさの低減に効果を発揮する。
また、本発明のロールイン用水中油型乳化組成物を用いて焼成したペストリーにおいては、粘性を有する水相部中に乳化させた油脂の存在によって、焼成したペストリー中で層状膨化構造が形成される。
この際、乳化破壊が生じて油脂分離が発生していた場合は、層状膨化構造は形成されるものの、焼成後のペストリーにおいて油っぽさを感じることとなるため、乳化安定性が重要となる。
本発明のロールイン用水中油型乳化組成物は、乳化安定性に優れており、ペストリーに折り込んで使用した際にも、展延作業における物理的な作用で乳化破壊しない機能が必要にして問題なく発現する。
上記のような乳化安定性の確立のために、本発明のロールイン用水中油型乳化組成物においては、分散油脂の平均粒径のコントロールが重要である。連続相である水相部に分散している油脂の平均粒径は通常0.1〜10μmであり、0.5〜5μmが好ましい。油脂の平均粒径を0.1〜10μmとすることにより、乳化安定性に優れ、生地との展延作業時に乳化破壊が生じる恐れを低減することができる。
なお、ロールイン用水中油型乳化組成物における油脂の平均粒径は、後述する均質化工程により調整することができる。また、均質化工程によって油脂を水相部に分散したのち、水相部を冷却すると、増粘多糖類の増粘作用によって乳化を更に安定化することができる。
本発明のロールイン用水中油型乳化組成物の製造方法は、一般的な水中油型乳化物を製造する要領で行うことができる。水相部調整、油相部調整、予備乳化、殺菌または滅菌、均質化、冷却という製造工程であり、殺菌または滅菌の前後あるいはその両方において均質化処理を行うことができる。
均質化に用いる均質化装置としては、ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の高せん断力を有するものが好ましい。一般的にホモジナイザーにおいては均質圧力を高めること、ホモミキサーおよびコロイドミルにおいては回転数を高めることによって粒径を小さくすることが可能である。また、ホモジナイザー、コロイドミル等の連続ラインに設置するものはその流量を低くすることによっても、粒径を小さくすることが可能である。本発明のロールイン用水中油型乳化組成物は、上記の要領で均質化処理の時間またはパス時間の長短と条件の強弱の調整によって、目的の粒径とすることによって得ることができる。プロセス中にサンプリングして、保存された限度見本の粒径と比較しながら確認する等の操作によって、より確実に目的粒径のロールイン用水中油型乳化組成物を得ることも可能である。
本発明のロールイン用水中油型乳化組成物の用途は、ペストリーのような多層構造を有するベイカリー製品の生地に折り込んで使用することができる。ペストリーとしては、例えば、パイ、パフ、デニッシュ、クロワッサン等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。実施例中の配合量と配合割合は質量基準である。
(デニッシュの作製)
表1のデニッシュ配合に従って、パンの作製を行った。ミキサーボールに全ての原料を入れ、低速3分、中高速4分ミキシングした。生地の捏ね上げ温度は25℃とし、−3℃の恒温庫に生地を入れ2時間のリタードを取った。生地に対して22.5%の割合で実施例および比較例で得たロールイン用水中油型乳化組成物を使用し、重ねて3つ折りを2回行い、−3℃の恒温庫で一晩寝かせて中間リタードを取った。中間リタード後、3つ折りを1回行い2.5mmまで圧延した後、一定の大きさに分割、成型し、33℃のホイロに90分間入れた後、200℃のオーブンで10分間焼成してデニッシュを得た。
Figure 2017169476
(粒径測定方法)
油脂粒径の測定には偏光顕微鏡を用いた。スライドグラスにサンプルを少量塗布したプレパラートを作製し、偏光顕微鏡(オリンパス(株)製BX−60)にて100〜250倍の倍率で観察した。食品の場合、蛋白質や澱粉などの油脂以外の固形粒子を含有していることがあるため、偏光機能を持たない光学顕微鏡では油滴のみを見分けることが難しくなる。偏光顕微鏡を使用することで偏光特性を持つ油脂結晶を可視化し、偏光特性を持たない蛋白質や澱粉などは可視化できないため油滴を容易に観察することができる。本発明においては任意の視野の任意の粒子20個について、長軸と短軸との相加平均を粒径とみなした。接眼レンズにマイクロメーターを装着して直接肉眼で測定したが、着色料や呈味成分の影響によって確認しにくい場合には、写真や画像データとして保存してから測定した。結果を表2、3の「油脂粒径(μm)」の欄に示す。
(折り込み作業性評価方法)
上記方法にてデニッシュを作製する際に、3つ折りおよび成型時のロールイン組成物の展延性について次の4段階で評価した。結果を表2、3の「展延性」の欄に示す。
◎: 問題なく作業できる。
○: 展延に抵抗はあるが、支障なく作業ができる。
△: かろうじて作業できる。
×: 展延性に劣り作業できない。
(作製したデニッシュの評価)
焼成後1日間、一定条件下で保管したデニッシュを15名のパネラーにて層状膨化構造、油っぽさ、歯切れの良さの3項目について官能評価を行った。結果を表2、3の「層状膨化構造」、「油っぽさ」、「歯切れの良さ」の欄に示す。
◎: 15名中13名以上が良好であると判断
○: 15名中8〜12名が良好であると判断
△: 15名中3〜7名が良好であると判断
×: 15名中2名以下が良好であると判断
(実施例1)
表2の配合に従って、以下のようにしてロールイン用水中油型乳化組成物を得た。水相部の原料が均一になるよう攪拌、混合しながら70℃まで昇温し、同様に70℃まで昇温した油相部を添加し攪拌を続けた。その後、ホモジナイザーを用いて10MPaの圧力で均質化した。得られた乳化液をシート状に充填包装し、品温が7℃になるまで更に冷却しロールイン用水中油型乳化組成物を得た。得られたロールイン用水中油型乳化組成物を折り込んだデニッシュを作製し、展延性、層状膨化構造、油っぽさ、歯切れのよさを評価し、評価結果を表2にまとめた。
(実施例2〜7)
実施例1と同じ方法で、配合の一部を変更してロールイン用水中油型乳化組成物を得た。得られたロールイン用水中油型乳化組成物を折り込んだデニッシュを作成し、性能の評価を行った。評価結果を配合と共に表2に示す。
(比較例1〜6)
実施例1と同じ方法で、配合の一部を変更してロールイン用水中油型乳化組成物を得た。ロールイン用水中油型乳化組成物が得られた場合には、これを折り込んだデニッシュを作成し、性能の評価を行った。評価結果を配合と共に表3に示す。
Figure 2017169476
Figure 2017169476
表中に略記した多価アルコール脂肪酸エステルの詳細は、次の通りである。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB13.0): 太陽化学(株)製「A−181E」、平均グリセリン重合度:5、主要構成脂肪酸;ステアリン酸、エステル化度;1
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB8.4): 坂本薬品工業(株)製「MS−3S」、平均グリセリン重合度:4、主要構成脂肪酸;ステアリン酸、エステル化度;1
ショ糖脂肪酸エステル(HLB15.0): 三菱化学フーズ(株)製「S−1570」、主要構成脂肪酸;ステアリン酸、エステル組成;モノエステル70%、ジ・トリ・ポリエステル30%
ショ糖脂肪酸エステル(HLB11.0): 三菱化学フーズ(株)製「S−1170」、主要構成脂肪酸;ステアリン酸、エステル組成;モノエステル55%、ジ・トリ・ポリエステル45%
ソルビタン脂肪酸エステル(HLB8.0): 理研ビタミン(株)製「L−300」、主要構成脂肪酸;ラウリン酸、エステル化度;1)
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB3.8): 坂本薬品工業(株)製「DAS−7S」平均グリセリン重合度:10、主要構成脂肪酸;ステアリン酸、エステル化度;10
表2から明らかな通り、本発明のロールイン用水中油型乳化組成物においては、展延性、層状膨化構造、油っぽさ、歯切れの良さにおいて、良好な性能が発現する。
これに対して、比較例1のロールイン用水中油型乳化組成物においては、多価アルコール脂肪酸エステルの含有量が本発明の下限を下回る0.1質量%なので、水中油型乳化物を形成することができなかった。また、比較例2においては、増粘多糖類添加量の含有量が本発明の上限値を上回る2%なので、水相部の増粘が著しく乳化物を形成することができなかった。さらに、比較例3においては、本発明に用いる多価アルコール脂肪酸エステルと異なるHLB=3.8であるポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しているため、水中油型乳化物を形成することができなかった。
比較例4においては、油脂の配合率が本発明の上限値を上回る75質量%なので、水中油型乳化物を形成することができなかった。また、比較例5では、油脂の配合率が本発明の下限値を下回る45質量%であるので、乳化状態と展延性は良好であったが、シート物性が柔らかく、パン生地への折り込み工程でパン生地に練りこまれてしまい、層状膨化構造とならなかった。さらに、比較例6ではpHが6.9で本発明のpH値上限を上回るため、乳化状態、展延性は良好であったが、歯切れのよい食感とならなかった。

Claims (2)

  1. 油脂50〜70質量%、HLB8.0〜16.0の多価アルコール脂肪酸エステル0.3〜10.0質量%、増粘多糖類0.1〜1.0質量%を含み、pHが2.0〜5.5である、ロールイン用水中油型乳化組成物。
  2. 請求項1に記載のロールイン用水中油型乳化組成物を含有する、ペストリー。
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