JP2017166004A - 加工性、高温強度および時効後の靱性に優れたオーステナイト系耐熱鋼 - Google Patents

加工性、高温強度および時効後の靱性に優れたオーステナイト系耐熱鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱的安定性、熱間加工性、時効後の靭性を有するオーステナイト系耐熱鋼を提供する。【解決手段】 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.20〜1.00%、Mn:1.00〜2.50%、Ni:9.5〜32.5%、Cr:13.0〜25.0%、Mo:0.01〜2.00%、Al:0.05%以下、Nb:0.10〜0.80、W:5.00〜9.00%、N:0.005〜0.015%、B:0.001〜0.005%を含有し、さらに、Ti:0.500%以下、V:0.20%以下、Ta:1.000%以下のうちの1種以上を有し、{([Mo]+0.5[W])/5}+{(15[C]+13[N])/(3.8[Ti]+1.9[Nb]+3.5[V]+1.1[Ta])}=1.5〜4.0、および、式2:([Cr]+3[Mo]−15.8)/[Ni]≦0.25で、残部Feおよび不可避不純物からなり、加工性、高温強度および時効後の靱性に優れたオーステナイト系耐熱鋼。【選択図】 なし

Description

本発明は、超々臨界圧石炭火力発電すなわち先進の超々臨界圧火力発電や石炭ガス化複合発電などに用いられる高強度ボイラ用鋼に関し、特に加工性、高温強度および時効後の靱性に優れたオーステナイト系耐熱鋼に関する。
近年、地球温暖化対策として二酸化炭素の排出量の削減が求められている。ところで、石炭火力発電システムは、経済性と安定性が高い点から、主要な電力源として世界中で広く採用されている。しかし、二酸化炭素を最も多く排出する発電方式であるので、発電の効率化がより一層に求められている。
そこで、出願人は、コストを考慮したFe基組成にて成分検討して、良好な高温クリープ強度および時効後の靱性(長時間にわたって時効した後の衝撃値を「時効後の靱性」という。)を有するオーステナイト系耐熱鋼が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この鋼では、成分元素としてNが0.07%以上を必須とする高N材であり、熱間加工性と時効後の靱性の点で、なお、改善する必要がある。
他方、長期使用後の加工性に優れた高温用オーステナイト系ステンレス鋼で、ボイラの過熱器管や再熱器管、あるいは化学工業用の反応炉管などとして使用される鋼管、および耐熱耐圧部材として使用される鋼板、棒鋼、鍛鋼品などの素材として好適な長期使用後の加工性に優れた高温用オーステナイト系ステンレス鋼が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。この鋼材は上記の鋼材と類似しているが、この鋼材も高N材であり、同じく熱間加工性と時効後の靭性の点で、なお、改善する必要がある。
さらに、700℃以上の高温環境において優れたクリープ強度および靱性を有するとして、オーステナイト系耐熱鋼が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この提案の鋼も、高温クリープ強度の点で、なお、改善する必要がある。
特許第5661001号公報 特許第4946758号公報 特開2015−183261号公報
火力発電分野において、従来よりも発電効率を高めるためには、700℃かつ10万時間におけるクリープ強度が100MPa以上である耐熱材料が必要である。これまでに、この目標を達成する材料は見出されているが、現在の候補材では、Ni含有量が40質量%以上のNi基合金であるので、合金コストが高く、経済性に乏しい。そこで、これらの観点からFe基合金でも検討がされている。このFe基合金の検討の中で、Ni量を削減して合金コストを抑えることはできるが、Niの減量によって脆化相であるσ相の析出が促されるので、この合金は高温保持した場合に著しく脆化する。さらに、高温強度が求められる材料は、当然ながら高温での変形抵抗が高いため、熱間加工性に乏しいことも課題である。
そこで、本願発明が解決しようとする課題は、目標のクリープ強度に加えて、合金コストを抑えながら、熱的安定性があり、良好な熱間加工性を有し、かつ、高温保持後も優れた靭性(以下、「時効後の靭性」という。)を有するオーステナイト系耐熱鋼を提供することである。
上記の課題を解決するための手段は、本願の請求項1の手段では、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.20〜1.00%、Mn:1.00〜2.50%、Ni:9.5〜32.5%、Cr:13.0〜25.0%、Mo:0.01〜2.00%、Al:0.05%以下、Nb:0.10〜0.80、W:5.00〜9.00%、N:0.005〜0.015%、B:0.001〜0.005%を含有し、さらに、Ti:0.500%以下、V:0.20%以下、Ta:1.000%以下であるTi、V、Taのうちの1種以上を含有し、さらに不可避不純物として、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Cu:0.10%以下を含有し、残部Feおよび上記以外の不可避不純物からなり、式1:{([Mo]+0.5[W])/5}+{(15[C]+13[N])/(3.8[Ti]+1.9[Nb]+3.5[V]+1.1[Ta])}=1.5〜4.0、および式2:([Cr]+3[Mo]−15.8)/[Ni]≦0.25、の両式を満足し、かつ、熱的安定性の高い微細炭化物、金属間化合物、単金属相のうちの1種以上が700℃のときの面積率で析出している割合が5%以上、熱間加工による絞り値が70%以上、高温破断強度が100MPa以上、時効後のシャルピー衝撃値が30J/cm2以上であることを特徴とする加工性、高温強度および時効後の靱性に優れたオーステナイト系耐熱鋼である。
ただし、上記の式1および式2の[元素記号]は、上記の化学成分中の各元素の100分率中の数値である。
請求項2の手段では、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.20〜1.00%、Mn:1.00〜2.50%、Ni:9.5〜32.5%、Cr:13.0〜25.0%、Mo:0.01〜2.00%、Al:0.05%以下、Nb:0.10〜0.80%、W:5.00〜9.00%、N:0.005〜0.015%、B:0.001〜0.005%を含有し、さらに、Ti:0.500%以下、V:0.20%以下、Ta:1.000%以下であるTi、V、Taのうちの1種以上を含有し、さらに、Ca:0.0001〜0.0200%、Mg:0.0001〜0.0200%、REM:0.0001〜0.0200%下であるCa、Mg、REMのうちの1種以上を含有し、さらに不可避不純物として、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Cu:0.10%以下を含有し、残部Feおよび上記以外の不可避不純物からなり、式1:{([Mo]+0.5[W])/5}+{(15[C]+13[N])/(3.8[Ti]+1.9[Nb]+3.5[V]+1.1[Ta])}=1.5〜4.0、および式2:([Cr]+3[Mo]−15.8)/[Ni]≦0.25、の両式を満足し、かつ、熱的安定性の高い微細炭化物、金属間化合物、単金属相のうちの1種以上が700℃のときの面積率で析出している割合が5%以上、熱間加工による絞り値が70%以上、高温破断強度が100MPa以上、時効後のシャルピー衝撃値が30J/cm2以上であることを特徴とする加工性、高温強度および時効後の靱性に優れたオーステナイト系耐熱鋼である。
ただし、上記の式1および式2の[元素記号]は、上記化学成分中の各元素の100分率中の数値である。
上記の本願の請求項1の手段および請求項2の手段とすることで、合金コストを抑えながら、良好な熱間加工性を得ることができ、さらに式1の値の限定によってσ相の析出を抑えながら優れた高温クリープ破断強度を図って、熱的安定性の高い析出物を得ることができ、さらに式2の限定によってσ相の析出を抑えながら高温における長時間の時効後の靱性を確保することができるなどの、優れた効果を得ることができる。
本願の発明を実施するための形態の説明に先立って、本願発明の上記の請求項の手段における加工性と高温強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼の化学成分の限定理由、不可避不純物であるP、S、Cuの化学成分の限定理由、並びに式1および式2の限定理由について説明する。なお、これらにおける%は、質量%である。
C:0.01〜0.10%
Cは、固溶強化および微細炭窒化物生成による高温クリープ強度の向上に必要な元素である。このためには、Cは0.01%以上を添加する必要がある。しかし、Cが0.10%を超えると、粗大炭化物の生成を助長して、高温クリープ強度および時効後の靭性が劣化する。そこで、Cは0.01〜0.10%とする。
Si:0.20〜1.00%、好ましくは、Si:0.20〜0.95%
Siは、精錬時の脱酸に必要な元素である。このために、Siは0.20%以上を添加する必要がある。しかし、Siは1.00%を超えて含有しても上記の効果は飽和し、さらに、鋼中にσ相の生成を助長して時効後の靭性を劣化する。そこで、Siは0.20〜1.00%とし、好ましくは、Siは0.20〜0.95%とする。
Mn:1.00〜2.50%、好ましくは、Mn:1.00〜2.45%
Mnは、精錬時の脱酸に必要な元素であり、さらに鋼のオーステナイト安定化のために必要な元素である。そのために、Mnは1.00%以上を添加する必要がある。しかし、Mnは2.50%を超えて含有しても、過剰な添加となってコストを上昇するだけである。そこで、Mnは1.00〜2.50%とし、好ましくは、Mn:1.00〜2.45%とする。
Ni:9.5〜32.5%
Niは、オーステナイト組織を安定化する元素である。そのために、Niは9.5%以上を含有させる必要がある。しかし、Niは高価な元素であるので、Niを32.5%より多く含有すると高コストになる。そこで、Niは9.5〜32.5%とする。
Cr:13.0〜25.0%
Crは、耐高温腐食性と耐水蒸気酸化性を向上させる元素である。そのために、Crは13.0%以上を含有させる必要がある。しかし、Crは24.0%を超えて含有させても、耐高温腐食性と耐水蒸気酸化性を向上させる効果は飽和し、かつσ相の生成を助長して時効後の靭性を劣化する。そこで、Crは13.0〜24.0%とする。
Mo:0.01〜2.00%
Moは、固溶強化および微細析出物生成によって高温クリープ強度を向上させる元素である。そのために、Moは0.01%以上を添加する必要がある。しかし、Moは2.00%を超えて多量に添加しても、固溶強化および高温クリープ強度を向上させる効果は飽和し、かつσ相の生成を助長して、時効後の靭性を劣化し、高コスト化する。そこで、Moは0.01〜2.00%とする。
Al:≦0.05%
Alは、精錬時の脱酸のために添加される元素である。しかし、Alが0.05%を超えて添加されると、AlN生成による時効後の靭性の劣化をもたらす。そこで、Alは0.05%以下とする。
Nb:0.10〜0.80%
Nbは、微細析出物生成により高温クリープ特性を向上させる元素である。そのためには、Nbは0.10%以上を添加する必要がある。しかし、Nbは0.80%を超えて多量に添加しても、高温クリープ特性を向上させる効果は飽和し、σ相生成を助長して、時効後の靭性が劣化する。そこで、Nbは0.10〜0.80%とする。
W:5.00〜9.00%
Wは、固溶強化、および微細析出物の生成により高温クリープ強度を向上させる元素である。そのためには、Wは5.00%以上を添加する必要がある。しかし、Wは9.00%を超えて含有させても、高温クリープ特性を向上させる効果は飽和し、かつσ相生成を助長して、時効後の靭性が劣化し、高コスト化する。そこで、Wは5.00〜9.00%とする。
N:0.005〜0.015%
Nは、固溶強化、および微細炭窒化物生成により高温クリープ強度を向上させる元素である。そのためには、Nは0.005%以上を添加する必要がある。しかし、Nは0.015%を超えて含有させても、高温クリープ強度を向上させる効果は飽和し、かつ窒化物の過剰生成により、熱間加工性および時効後の靱性が劣化する。そこで、Nは0.005〜0.015%とする。
B:0.001〜0.005%
Bは、粒界強化により、高温クリープ強度および熱間加工性を向上させる元素である。そこで、Bは0.001%以上添加する必要がある。しかし、Bは0.005%を超えて含有されても、高温クリープ強度および熱間加工性を向上させる効果は飽和し、かつ過剰添加により熱間加工性を悪化する。そこで、Bは0.001〜0.005%とする。
Ti:0.500%以下、好ましくはTi:0.480%以下
Tiは、0.500%を超えて含有されると、鋼中に粗大炭窒化物の形成を助長し、金属間化合物を過剰に生成して、高温クリープ強度を低下し、時効後の靭性を劣化する。そこで、Tiは0.500%以下、好ましくは、Tiは0.480%以下とする。
V:0.20%以下
Vは、0.20%を超えて含有されると、鋼中に粗大炭窒化物の形成を助長し、金属間化合物を過剰に生成して、高温クリープ強度を低下し、時効後の靭性を劣化する。そこで、Vは0.20%以下とする。
Ta:1.000%以下
Taは、1.000%を超えて含有されると、鋼中に粗大炭窒化物の形成を助長し、金属間化合物を過剰に生成して、高温クリープ強度を低下し、時効後の靭性を劣化する。そこで、Taは1.000%以下とする。
なお、請求項1の手段の発明では、上記のTi、V、Taのうち1種以上を上記した範囲内で含有するものとする。
請求項2の手段において、Ca:0.0200%以下、Mg:0.0200%以下、REM:0.0200%以下のうちの1種以上
請求項2の手段の発明では、Ca、Mg、REMは、これらのいずれか1以上の元素が鋼中のSを固定することにより、熱間加工性を改善するために必要とされる。そのためには、これらのそれぞれの元素のうちの1種以上を0.0200%以下添加する必要がある。
P:0.040%以下
Pは、本願の請求項の手段の発明においては、不可避不純物として含有される元素である。ところで、Pは0.040%を超えて含有されると、鋼の熱間加工性を悪化する。そこで、Pは0.040%以下とする。
S:0.010%以下、好ましくは、S:0.008%以下
Sは、本願の請求項の手段の発明においては、不可避不純物としての元素である。ところで、Sは0.010%を超えて含有されると、鋼の熱間加工性が悪化される。そこで、Sは0.010%以下とし、好ましくは、S:0.008%以下とする。
Cu:0.10%
Cuは、本願の請求項の手段の発明においては、不可避不純物としての元素である。ところで、Cuは0.10%を超えて含有されると、鋼の熱間加工性が悪化される。そこで、Cuは0.10%以下とする。
式1={([Mo]+0.5[W])/5}+{(15[C]+13[N])/(3.8[Ti]+1.9[Nb]+3.5[V]+1.1[Ta])}とするとき、式1:1.5〜4.0
式1の値が、1.5より下回ると、固溶強化する量と熱的安定な析出物の生成量が少なくなり、高温クリープ強度が劣化する。一方、式1の値が4.0を上回ると、σ相の生成が助長され、時効後の靭性が劣化する。そこで、式1は、1.5〜4.0とする。なお、式1に記載の[元素記号]は、上記の化学成分中の各元素の100分率中の数値である。
式2=([Cr]+3[Mo]−15.8)/[Ni]とするとき、式2:0.25以下
式2の値が0.25を上回るとσ相の生成を助長して、時効後の靭性を劣化させる。そこで、式2は0.25以下とする。なお、式2の[元素記号]は、上記の化学成分中の各元素の100分率中の数値である。
熱的安定性の高い微細炭窒化物、金属間化合物、単金属相の1種以上の析出物が700℃で析出している面積率の割合:5%以上
熱的安定性の高い析出物が700℃で析出している面積率の割合が5%以上とする理由は、5%以上であれば、析出物が分散された状態となっているからである。
ここで、本願の発明を実施するための形態について、以下に実施例および比較例を含めて説明する。先ず、表1に示す実施例のNo.1〜16および表2に示す比較例のNo.17〜38の供試材の化学成分の鋼を、それぞれ100kgずつを真空誘導溶解(VIM)炉により溶製して100kgの鋼塊とした。次いで、これらの鋼塊を1200〜1300℃に加熱して均質化した。この均質化した鋼塊を割り出してグリーグル試験を実施した。一方、冷えた均質化した鋼塊を1150〜1200℃に加熱して径20mmの棒鋼に鍛伸し、次いで固溶化熱処理として1200〜1300℃に加熱して10分以上保持した後に水冷して熱処理して、熱間加工性、クリープ破断強度、時効後の靱性の材料特性評価の試験片を作製した。
Figure 2017166004
Figure 2017166004
表1に示す実施例におよび表2に示す比較例における析出物面積率は、上記の径20mmの棒鋼を使用して、固溶化処理した後、700℃で3000時間保持する熱処理を実施し、透過型電子顕微鏡にて析出物を観察することにより、同定した。このために、100μm2視野にて、熱的安定性の低い粒界のM236型炭化物を除く、粒内に析出した炭窒化物、金属間化合物、および単金属相の面積率を測定した。各面積率は表1および表2に「析出物面積率(%)」として、その%を表記した。本願発明の析出物面積率の範囲を満足する値は5%以上である。
表1および表2における熱間加工性の評価は、上記で均質化した鋼塊を、径8mmの棒鋼のグリーブル試験片に割り出し、グリーブル試験の実施で急速加熱して1100℃の加工時の絞り値を熱間加工性の評価として、表1および表2の「熱間加工性」の欄に、絞り値が70%以上を「○」と表記し、絞り値が70%未満を「×」と表記した。
表1および表2における高温クリープ破断強度の評価は、上記で鍛伸した径20mmの棒鋼を使用して固溶化熱処理して、平行部径6mmで評点距離30mmに加工して試験片とし、この試験片を用いて、700℃、750℃、および800℃で最長1万時間の破断試験を行ない、試験結果をラルソン−ミラー法(larson−Miller method)のパラメーターで整理し、700℃で10万時間の時点の推定高温クリープ破断強度を求めた。推定高温クリープ破断強度の評価として、推定値が100MPa以上を、表1および表2の「クリープ破断強度」の欄に「○」と表記し、推定値が100MPa未満を、表1および表2の「クリープ破断強度」の欄に「×」と表記した。
表1および表2における時効後の靱性の評価は、上記で鍛伸した径20mmの棒鋼を使用して、固溶化熱処理後、700℃、750℃、および800℃で、最長1万時間の時効後の処理を施して、幅10mm、2mmVノッチの衝撃試験片に加工した。この試験片を用いて、室温にてシャルピー衝撃試験を実施した。その結果をOrr−Sherby−Dornのパラメーターにて整理し、700℃で10万時間の時点の推定シャルピー衝撃値を求めた。推定シャルピー衝撃値が30J/cm2以上を、時効後の靱性の評価として、表1および表2の「時効靱性」の欄に「○」と表記し、推定シャルピー衝撃値が30J/cm2未満を表1および表2の「時効靱性」の欄に「×」と表記した。
表1および表2における、式1の値は、実施例のNo.1〜16では、いずれも請求項に規定する値の1.5〜4.0の範囲にあるが、比較例のNo.25では、式1の値は4.3で請求項で規定する値の上限の4.0よりも大きく、また、比較例のNo36では、式1の値は1.0で請求項で規定する値の下限の1.5よりも小さい。さらに、表1および表2における、式2の値は、実施例のNo.1〜16では、いずれも請求項に規定する値の上限の0.25以下であるが、比較例のNo.17では、式2の値は0.28で請求項で規定する値の上限の0.25よりも大きく、また、比較例のNo.34では、式2の値は0.51で同じく請求項で規定する値の上限の0.25よりも大きい。
表1および表2における、析出物面積率の%は、実施例のNo.1〜16では、いずれも請求項に規定する値の5%以上であるが、比較例のNo.24では、析出物面積率は3%で請求項で規定する値の下限の5%よりも小さい。
さらに、表1および表2における材料特性評価である、熱間加工性、クリープ破断強度、および時効靱性は、実施例のNo.1〜16では、いずれも「○」で請求項で規定する、絞り値が70%以上で、高温破断強度が100MPa以上で、時効後のシャルピー衝撃値が30J/cm2以上であるが、比較例のNo.17〜38では、熱間加工性、クリープ破断強度、および時効靱性のいずれかが「×」で請求項で規定する、絞り値、高温破断強度の値、および時効後のシャルピー衝撃値のいずれかを満足しないものである。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.20〜1.00%、Mn:1.00〜2.50%、Ni:9.5〜32.5%、Cr:13.0〜25.0%、Mo:0.01〜2.00%、Al:0.05%以下、Nb:0.10〜0.80、W:5.00〜9.00%、N:0.005〜0.015%、B:0.001〜0.005%を含有し、さらに、Ti:0.500%以下、V:0.20%以下、Ta:1.000%以下であるTi、V、Taのうちの1種以上を含有し、さらに不可避不純物として、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Cu:0.10%以下を含有し、残部Feおよび上記以外の不可避不純物からなり、式1:{([Mo]+0.5[W])/5}+{(15[C]+13[N])/(3.8[Ti]+1.9[Nb]+3.5[V]+1.1[Ta])}=1.5〜4.0、および式2:([Cr]+3[Mo]−15.8)/[Ni]≦0.25、の両式を満足し、かつ、熱的安定性の高い微細炭化物、金属間化合物、単金属相のうちの1種以上が700℃のときの面積率で析出している割合が5%以上、熱間加工による絞り値が70%以上、高温破断強度が100MPa以上、時効後のシャルピー衝撃値が30J/cm2以上であることを特徴とする加工性、高温強度および時効後の靱性に優れたオーステナイト系耐熱鋼。
    ただし、上記の式1および式2の[元素記号]は、上記化学成分中の各元素の100分率中の数値である。
  2. 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.20〜1.00%、Mn:1.00〜2.50%、Ni:9.5〜32.5%、Cr:13.0〜25.0%、Mo:0.01〜2.00%、Al:0.05%以下、Nb:0.10〜0.80%、W:5.00〜9.00%、N:0.005〜0.015%、B:0.001〜0.005%を含有し、さらに、Ti:0.500%以下、V:0.20%以下,Ta:1.000%以下であるTi、V、Taのうちの1種以上を含有し、さらに、Ca:0.0001〜0.0200%、Mg:0.0001〜0.0200%、REM:0.0001〜0.0200%であるCa、Mg、REMのうちの1種以上を含有し、さらに不可避不純物として、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Cu:0.10%以下を含有し、残部Feおよび上記以外の不可避不純物からなり、式1:{([Mo]+0.5[W])/5}+{(15[C]+13[N])/(3.8[Ti]+1.9[Nb]+3.5[V]+1.1[Ta])}=1.5〜4.0、および、式2:([Cr]+3[Mo]−15.8)/[Ni]≦0.25、の両式を満足し、かつ、熱的安定性の高い微細炭化物、金属間化合物、単金属相のうちの1種以上が700℃のときの面積率で析出している割合が5%以上、熱間加工による絞り値が70%以上、高温破断強度が100MPa以上、時効後のシャルピー衝撃値が30J/cm2以上であることを特徴とする加工性、高温強度および時効後の靱性に優れたオーステナイト系耐熱鋼。
    ただし、上記の式1および式2の[元素記号]は、上記化学成分中の各元素の100分率中の数値である。
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