JP2017165916A - エチレン系マクロモノマーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献6には、必須成分として次の成分(Ac)、(B)および(C)を含むオレフィン重合用触媒が記載されている:成分(Ac)としてジメチルシリレン(4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドに代表される特定構造のメタロセン化合物;成分(B)として上記成分(Ac)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物、および;成分(C):微粒子担体。当該特許文献6の実施例では、成分(B)としてメチルアルミノキサンを用いた実験結果が示されている。
しかし上記特許文献6の実施例で用いられたオレフィン重合用触媒は、末端ビニル基の生成選択率等のエチレン系重合体の物性の点、および、触媒単位重量当たりの重合活性等の製造プロセスの点で、改善の途中にある。
また特許文献7には、必須成分として次の成分(Ad)、(B)および(C)を含むオレフィン重合用触媒が記載されている:成分(Ad)として特定構造のメタロセン化合物;成分(B)として上記成分(Ad)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物、および;成分(C)として微粒子担体。当該特許文献7の参考例2では、成分(B)の代わりに層状ケイ酸塩であるモンモリロナイトを用い、成分(C)の微粒子担体を用いない実験結果が示されている。
しかし、上記特許文献7の参考例2で用いられたオレフィン重合用触媒を用いて得られたエチレン系重合体は、分子量が大きすぎる
[1]下記条件(イ)〜(ハ)を満たすエチレン系マクロモノマー
(イ)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0以上4.0未満、
(ロ)炭素数1000個当たりのビニル基数(V1)が0.25個〜10個であり、かつ、Z1(=V1×14000/Mn)が0.50〜1.1である、および
(ハ)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が3000〜100000である、
を得るための製造方法であって、
下記必須成分(A)および(B)を含むオレフィン重合用触媒
成分(A):遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物、および
成分(B):層状ケイ酸塩、
を用いて、エチレンを単独重合またはエチレン以外のα−オレフィンと共重合することを特徴とするエチレン系マクロモノマーの製造方法。
(二)示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量3000から100万の間での最低値(gL)が0.75〜1.00である。
(ホ)上記炭素数1000個当たりのビニル基数(V1)と炭素数1000個当たりのビニリデン基数(V2)の比(V1/V2)が22以上である
[重合条件]
(1)重合温度:30℃以上90℃未満
(2)エチレン分圧:0.3MPa以上3MPa未満
(3)重合時間:0.3時間以上30時間未満
本発明のエチレン系マクロモノマーの製造方法は、次の必須成分(A)、(B)を含むオレフィン重合用触媒を用いて実施される。
[触媒成分]
成分(A):遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物
成分(B):層状ケイ酸塩
本発明のエチレン系マクロモノマーを製造するのに使用される触媒成分(A)は、遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物であり、好ましくは、下記の一般式[1]で表されるメタロセン化合物であり、より好ましくは下記の一般式[2]で表されるメタロセン化合物である。
好ましいX1cおよびX2cの具体例としては、塩素原子、臭素原子、メチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、フェニル基、ベンジル基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジi−プロピルアミノ基が挙げられる。これらの具体例の中でも、塩素原子、メチル基、フェニル基、ジメチルアミノ基が更に好ましく、塩素原子、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
さらに、R1cとしては、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。また、R1cがQ1cおよびQ2cと一緒に環を形成している場合として、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロへキシリデン基、シラシクロブチル基、シラシクロペンチル基、シラシクロヘキシル基などが挙げられる。
好ましいR1cの具体例として、Q1cまたは/およびQ2cが炭素原子の場合、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、エチレン基、シクロブチリデン基が挙げられ、また、Q1cまたは/およびQ2cがケイ素原子の場合、メチル基、エチル基、フェニル基、シラシクロブチル基が挙げられる。
R2cとR4cの好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフリル基、トリメチルシリル基が挙げられる。これらの具体例の中でも、水素原子、メチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基がさらに好ましく、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基が特に好ましい。
具体的には、4−トリメチルシリルフェニル基、4−(t−ブチルジメチルシリル)フェニル基、3,5−ビストリメチルシリルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、2−フリル基、2−(5−メチル)フリル基、2−(5−t−ブチル)フリル基、2−(5−トリメチルシリル)フリル基、2−(4,5−ジメチル)フリル基、2−ベンゾフリル基、2−チエニル基、2−(5−メチル)チエニル基、2−(5−t−ブチル)チエニル基、2−(5−トリメチルシリル)チエニル基、2−(4,5−ジメチル)チエニル基、などが挙げられる。
該表1c中の、55c〜72c、81c〜86c、224c〜231、等が挙げられる。
また、上記化合物のジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウムに代えた化合物等が、好ましいものとして挙げられる。
該表1c中の、55c〜66c、81c、82c、224c〜227c等が挙げられる。
また、上記化合物のジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウムに代えた化合物等が、好ましいものとして挙げられる。
本発明のエチレン系マクロモノマーを製造するのに使用される必須の触媒成分(B)は、層状ケイ酸塩である。
より好ましい層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が用いられる。特に好ましい層状ケイ酸塩はスメクタイト族である。
ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状珪酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。化学処理の方法としては、特開2003−82018号公報の[0044]〜[0047]に記載された方法をはじめ、公知の化学処理法を適用することができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)金属塩処理、(ニ)有機物処理等が挙げられ、より好ましい化学処理は、酸処理または金属塩処理であり、具体的には次のとおりである。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
また金属塩処理で用いられる金属塩は、2〜14族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンを含有する化合物であり、好ましくは、2〜14族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸からなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなる化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、Cl、Br、I、F、PO4、SO4、NO3、CO3、C2O4、ClO4、OOCCH4、CH3COCHCOCH3、OCl2 、O(NO3)2、O(ClO4)2、O(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OOCH、OOCCH2CH3、C2H4O4およびC6H5O7からなる群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとからなる化合物である。
脱水処理としては、例えば、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水、および、有機溶媒との共沸脱水等の加熱処理が行われる。
加熱の際の温度は、層間水が残存しないように、100℃以上、好ましくは150℃以上であるが、構造破壊を生じるような高温条件は好ましくない。また、空気流通下での加熱等の架橋構造を形成させるような加熱脱水方法は、触媒の重合活性が低下し、好ましくない。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、脱水処理した後の層状ケイ酸塩の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有量を0重量%としたとき、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、下限は0重量%以上であることが望ましい。本発明においては、脱水されて水分含有率が3重量%以下に調整された層状ケイ酸塩は、成分(A)等の他の触媒成分と接触する際に、同様の水分含有率を保つように取り扱われることが望ましい。
本発明において必要に応じて成分(C)として有機アルミニウム化合物が用いられる。有機アルミニウム化合物の具体例としてはAlRjX3−j(式中、RはC1−20の炭化水素基、Xは水素、ハロゲン、アルコキシ基、jは0<j≦3の数)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムメトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられる。またこの他、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン等も使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
触媒成分(C)である有機アルミニウム化合物の使用量は、触媒成分(B)である層状ケイ酸塩1g当たり、0.01〜10000ミリモル、好ましくは0.1〜100ミリモル、より好ましくは0.2〜20ミリモル、更に好ましくは0.5〜10ミリモルである。
本発明のエチレン系マクロモノマーの製造方法に使用されるオレフィン重合用触媒は、上記必須触媒成分(A)、(B)、必要に応じて任意成分(C)を含んで製造される。本発明の上記触媒成分(A)〜(C)からオレフィン重合用触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下に示す(I)〜(IV)の方法が任意に採用可能である。
(II)触媒成分(A)と触媒成分(C)とを接触させた後、触媒成分(B)を接触させる。
(III)触媒成分(B)と触媒成分(C)とを接触させた後、触媒成分(A)を接触させる。
(IV)触媒成分(A)と触媒成分(C)とを接触させた接触生成物と、触媒成分(B)と触媒成分(C)とを接触させた接触生成物とを接触させる。
(V)成分(A)と成分(B)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で成分(C)と接触させる。
(VI)成分(B)と成分(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で成分(A)と接触させる。
上記(V)、(VI)の接触方法の場合も、成分比、接触条件および溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
本発明により得られるエチレン系マクロモノマーは、下記条件(イ)〜(ハ)を満足する。
(イ)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0以上4.0未満
(ロ)炭素数1000個当たりのビニル基数(V1)が0.25個〜10個であり、かつ、Z1(=V1×14000/Mn)が0.50〜1.1である
(ハ)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が3000〜100000である
本発明により得られるエチレン系マクロモノマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は1.0以上4.0未満であり、好ましくは1.5以上3.5未満であり、より好ましくは1.8以上3.2未満であり、更に好ましくは2.0以上3.0未満である。
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1に例示されるように決める。
本発明により得られるエチレン系マクロモノマーの炭素数1000個当たりのビニル基数(V1)は0.25個〜10個であり、好ましくは0.28個〜7個であり、より好ましくは0.30個〜5個であり、更に好ましくは0.32個〜3個であり、かつ、Z1(=V1×14000/Mn)は0.50〜1.1であり、好ましくは0.55〜1.0である。
1H−NMRの測定条件は試料の温度120℃、パルス角4.5°、パルス間隔2秒、積算回数512回とした。
図2に、上記の手順で実施した2種類のエチレン系マクロモノマーの1H−NMR測定結果を一例として示した。ここで、2aは本発明により得られたエチレン系マクロモノマーであり、2bは一般的なエチレン系マクロモノマーである。
全1000炭素原子あたりのビニル基数(V1)、ビニリデン基数(V2)、ビニレン基数(V3)、三置換不飽和結合数(V4)は、図2の1H−NMRスペクトルに示されるシグナル強度を用い、以下の式から求めた。
ビニル基数(V1)=Ivi×1000/Itotal
ビニリデン基数(V2)=Ivd×1000/Itotal
ビニレン基数(V3)=Ivnl×1000/Itotal
三置換不飽和結合数(V4)=Itri×1000/Itotal
ここで、Ivi、Ivd、Ivnl、Itri、Itotalはそれぞれ、以下の式で示される量である。
Ivi=(I5.08〜4.84+I5.89〜5.69)/3
Ivd=(I4.82〜4.68)/2
Ivnl=(I5.52〜5.30)/2
Itri=I5.30〜5.08
Itotal=(I0.00〜5.85)/2
Iは積分強度を、Iの下つき添字の数値は化学シフトの範囲を示す。
例えばI5.52〜5.30は5.52ppmと5.30ppmの間に検出したプロトンシグナルの積分強度を示す。
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのプロトンシグナルを0.09ppmとして設定し、他のプロトンによるシグナルの化学シフトはこれを基準とした。
本発明により得られるエチレン系マクロモノマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)は3000〜100000、好ましくは、4000〜70000、より好ましくは、5000〜60000、更に好ましくは、10000〜55000である。
本発明により得られるエチレン系マクロモノマーは、示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量3000から100万の間での最低値(gL)が、好ましくは0.75〜1.00であり、より好ましくは0.80〜1.00であり、更に好ましくは0.85〜1.00である。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
1.Developments in polymer characterization,vol.4.Essex:Applied Science;1984.Chapter1.
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。したがって分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。特に本発明では、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量3000から100万における上記g’の最低値を、gLとして算出する。図3に上記GPC−VISによる解析結果の一例を示した。図3の左は、MALLSから得られる分子量(M)とRIから得られる濃度を元に測定された分子量分布曲線を、図3の右は、分子量(M)における分岐指数(g’)を表す。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
本発明により得られるエチレン系マクロモノマーは、好ましくは、上記V1と炭素数1000個当たりのビニリデン基数(V2)の比(V1/V2)が22以上であり、より好ましくは25以上であり、更に好ましくは30以上、特に好ましくは50以上である。上限は2000である。
本発明により得られるエチレン系マクロモノマーは、エチレン単独重合体、または、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、好ましくはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。ここでエチレン単独重合体とは、モノマー原料としてエチレンのみを反応器に供給することによって製造された重合体をいう。また、ここで用いられるコモノマーであるα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ペンテン−1、デセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等が挙げられる。更にビニルシクロヘキサンあるいはスチレンおよびその誘導体などのビニル化合物も使用することが出来る。また、これらα−オレフィンは1種のみでもよく、また2種以上が併用されていてもよい。これらのうち、より好ましいα−オレフィンはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数3〜10のものであり、更に好ましいα−オレフィンはブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1であり、特に好ましくはヘキセン−1である。
本発明により得られるエチレン系マクロモノマーは、上述のオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンを単独重合またはα−オレフィンと共重合することにより製造される。ここで、コモノマーであるα−オレフィンとしては、上述したように炭素数3〜20のα−オレフィンが使用可能であり、2種類以上のα−オレフィンをエチレンと共重合させることも可能であり、該α−オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能である。
[重合条件]
(1)重合温度:30℃以上90℃未満
(2)エチレン分圧:0.3MPa以上3MPa未満
(3)重合時間:0.3時間以上30時間未満
本発明によるエチレンの重合温度は、好ましくは、30℃以上90℃未満、より好ましくは、55℃〜88℃、更に好ましくは60℃〜86℃である。重合温度が30℃より低いと重合活性が低かったり、Mwが大きくなり過ぎたりする場合があるので好ましくない。重合温度が90℃以上になるとマクロマーが溶融し易くなって、不定形ポリマーとして回収せざるを得なくなって生産性が低下する場合がある。本発明の必須成分(A)(B)を含むオレフィン重合用触媒はこのような好適な重合温度範囲において優れた特性を有するエチレン系マクロモノマーを製造するのに極めて優れている。
本発明によるエチレンの重合におけるエチレン分圧は、好ましくは、0.3MPa以上3MPa未満、より好ましくは、0.5MPa〜2.5MPa、更に好ましくは0.9MPa〜2MPaである。エチレン分圧が0.3MPaより低いと重合活性が低かったり、Mwが小さくなり過ぎたりする場合があるので好ましくない。エチレン分圧が3MPa以上になるとMwが大きくなり過ぎたり、末端ビニル基数が低下したり、重合反応器や後処理設備に過剰な耐圧が必要になって経済性を悪化させたりする場合があり、好ましくない。本発明の必須成分(A)(B)を含むオレフィン重合用触媒はこのような好適なエチレン分圧範囲において優れた特性を有するエチレン系マクロモノマーを製造するのに極めて優れている。
本発明によるエチレンの重合時間は、好ましくは0.3時間以上30時間未満、より好ましくは、0.6時間〜12時間、更に好ましくは0.8時間〜7時間である。重合時間が0.3時間より短いと触媒当りのマクロマー収率が低かったりして経済的でない。重合時間が30時間以上になると重合反応器体積当たりのマクロマー生産量が低下してやはり経済的ではない。本発明の必須成分(A)(B)を含むオレフィン重合用触媒はこのような好適な重合時間範囲において優れた重合活性を有するので極めて優れている。
なお、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で行い、かつ、使用した溶媒は、モレキュラーシーブ4A、13X等で脱水精製したものを用いた。
(1)MFR:
JIS K6760に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定した。FR(フローレイト比)は、190℃、10kg荷重の条件で同様に測定したMFRであるMFR10kgとMFRとの比(=MFR10kg/MFR)から算出した。
前述した「2.本発明で製造されるエチレン系マクロモノマーの特性」の「2−1.条件(イ)Mw/Mn」の項に記載の方法で測定した。
前述した「2.本発明で製造されるエチレン系マクロモノマーの特性」の「2−2.条件(ロ)ビニル基数V1」の項に記載の方法で測定した。
前述した「2.本発明で製造されるエチレン系マクロモノマーの特性」の「2−4.条件(二)分岐指数(g’)」の項に記載の方法で測定した。
(1)架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物の合成;
ジメチルシリレン(3−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(錯体1)を、特開2013−227271号公報(特許文献6)[0159]〜[0165]記載の方法に従い、以下の手順で合成した。
100mlフラスコに、2−ブロモ安息香酸(5.30g、26.4mmol)と塩化チオニル25mlを加え、2時間還流した。反応後、過剰の塩化チオニルを減圧留去し得られた酸クロリド体5.50gを精製することなく次の反応に用いた。
100mlフラスコに酸クロリド体(5.00g、22.7mmol)とジクロロメタン50mlを加え溶液とした後、さらに塩化アルミニウム(3.02g、22.7mmol)を加え、20℃でエチレンを4時間吹き込んだ。反応を4Nの塩酸でクエンチし、有機相と水相を分離した後、水相をメチル−t−ブチルエーテル50mlで3回洗浄し、有機相を集め水50mlで3回、飽和炭酸水素ナトリウム水100ml、続いて飽和食塩水100mlで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去することで2−ブロモフェニル−2−クロロエチルケトンを4.80g(収率85%)得た。さらなる精製は行なわず次の反応に用いた。
100mlフラスコに塩化アルミニウム(7.40g、55.6mmol)と塩化ナトリウム(2.15g、37.1mmol)を加え、130℃に加熱した後、2−ブロモフェニル−2−クロロエチルケトン(4.60g、18.5mmol)をゆっくりと加え、混合物を160℃で1時間攪拌した。反応後、30℃に冷却し、氷水でクエンチした。濃塩酸でpH=5に調整した後、有機相と水相を分離し、水相をジクロロメタン100mlで3回洗浄し、有機相を集め水100ml、飽和食塩水100mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=30/1)で精製し7−ブロモ−1−インダノン1.60g(収率33%)を得た。
100mlフラスコに2−メチルフラン(0.933g、11.4mmol)とTHF10mlを加え溶液とした後、−30℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M、4.70ml、11.4mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。別に準備した100mlフラスコに塩化亜鉛(1.55g、11.4mmol)とTHF10mlを加え、続いて0℃で上記反応溶液を加え、室温で1時間攪拌した。さらに別に準備した100mlフラスコにヨウ化銅(I)(90mg、0.473mmol)、Pd(dppf)Cl2(177mg、0.236mmol)、7−ブロモ−1−インダノン(2.00g、9.45mmol)とDMA10mlを加えた懸濁液に、上記反応物を加え、還流を15時間行なった。室温まで冷却し、水50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出を行なった。有機相を集め、水50mlで2回、飽和食塩水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=20/1)で精製し7−(2−(5−メチル)−フリル)−1−インダノン0.70g(収率35%)を得た。
100mlフラスコに7−(2−(5−メチル)−フリル)−1−インダノン(1.40g、6.59mmol)とTHF20mlを加え溶液とした後、−78℃でメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液(1.6M、7.5ml、11.9mmol)を加え、室温で10時間攪拌した。反応を飽和塩化アンモニウム水溶液20mlでクエンチし、揮発成分を減圧留去した。残った溶液を酢酸エチル50mlで2回抽出し、有機相を集めて飽和食塩水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらなる精製は行なわず次の反応に用いた。
100mlフラスコに上記粗生成物とトルエン30mlを加え溶液とした後、p−トルエンスルホン酸(62.0mg、0.330mmol)を加え、130℃で2時間攪拌した。攪拌中はディーンスタークトラップを用いて生成する水を除いた。室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30mlを加え、有機相を分離した。水相を酢酸エチル50mlで3回抽出した後、有機相を集め飽和食塩水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し1−メチル−7−(2−(5−メチル)−フリル)−インデン0.850g(収率61%)を得た。
−フリル)−インデニル)シランの合成
100mlフラスコに1−メチル−7−(2−(5−メチル)−フリル)−インデン(4.80g、22.8mmol)とTHF60mlを加え溶液とした後、−78℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M、11.0ml、27.4mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。別に準備した200mlフラスコにジメチルジクロロシラン(5.89g、45.8mmol)とTHF10mlを加え溶液とした後、上記反応物を−78℃で滴下し、室温で12時間攪拌した。揮発成分を減圧留去し、再びTHF20mlを加えて溶液とした後、ソジウムシクロペンタジエニリド/THF溶液(2M、12.0ml、24.0mmol)を−20℃でゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。揮発成分を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル)で精製しジメチル(シクロペンタジエニル)(3−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)シラン4.20g(収率55%)を得た。
200mlフラスコにジメチル(シクロペンタジエニル)(3−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)シラン(2.00g、6.00mmol)とジエチルエーテル40mlを加え溶液とした後、−78℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M、5.1ml、12.6mmol)を加え、室温で2時間、さらに50℃で1時間攪拌した。揮発成分を減圧留去し、続いてジクロロメタン160mlを加え、−78℃で四塩化ジルコニウム(1.53g、6.60mmol)を加えた後、室温で12時間攪拌した。反応混合物をろ過し、得られたろ液を濃縮することでジメチルシリレン(3−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(錯体1)2.1g(収率70%)を得た。
市販の膨潤性モンモリロナイトの造粒分級品(「ベンクレイSL」水澤化学社製、平均粒径27μm)37kgを25%硫酸149kg中に分散させ、90℃で2時間撹拌した。これを脱塩水にて濾過・洗浄した後、得られた固体ケーキを110℃で10時間乾燥した。得られた乾燥モンモリロナイト中の塊状物を目開き75μmの篩によって取り除き、篩を通過した粒子を約20kg得た。こうして得られた流動性のよい硫酸処理モンモリロナイト粒子1kgを、更に、硫酸亜鉛7水和物0.2kgを溶解させた脱塩水3.2kgに分散させ、室温で1時間撹拌処理し、同様にして濾過・洗浄、乾燥、篩分けして流動性のよい金属塩処理モンモリロナイト粒子を得た。
〔実施例1〕
(1)金属塩処理層状ケイ酸塩粒子のトリエチルアルミニウム処理
窒素雰囲気下、300ml二口フラスコに2.使用材料(2)で得た流動性のよい金属塩処理モンモリロナイト粒子3.0gを入れ、200℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで2時間減圧乾燥した。この乾燥済みモンモリロナイトに室温で脱水ヘプタン75mlを加えた。マグネティックスタラーで撹拌しながらトリエチルアルミニウム/ヘプタン溶液(0.61mol/L)9.6mlをゆっくり添加し、室温で1時間撹拌した。スラリーを静置させた後、上澄み液80mlを抜出し、再び脱水ヘプタン75mlを加え室温で3分間撹拌した。スラリーを静置させた後、上澄み液72mlを抜出した。最後に脱水ヘプタン192mlを加えスラリー濃度15mg/mlのトリエチルアルミニウム処理モンモリロナイトのスラリーを調製した。
2.使用材料(1)で得られた錯体1と(3)で得られたトリエチルアルミニウム処理モンモリロナイトを用いてエチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
すなわち、攪拌および温度制御装置を有する内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、充分脱水および脱酸素したヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム57mg、1−ヘキセン10mlを導入した後、撹拌しながら75℃へ昇温した。エチレンを分圧が1.4MPaになるまで導入した。上記トリエチルアルミニウム処理モンモリロナイトのヘプタンスラリー2.30ml(34.5mg)と上記錯体1/トルエン溶液(1μmol/ml)2.70mlを触媒フィーダーに入れ、アルゴンガスで圧入し、エチレン分圧1.4MPa、温度75℃を保って60分間重合を継続した。
その結果、52.3gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは68.6g/10分であった。結果を表2、表3にまとめた。
(1)オレフィン重合用触媒の合成
特開2013−227271号公報(特許文献6)の実施例1に記載されている手順に従い、メタロセン化合物として2.使用材料(1)で得られた錯体1を用いて触媒を合成した。具体的には次の通りである。
窒素雰囲気下、200ml二口フラスコに600℃で5時間焼成したシリカ(市販品;平均粒径45μm)5gを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した100ml二口フラスコに窒素雰囲気下で実施例1(1)で得られた錯体1(62mg)を入れ、脱水トルエン13.4mlで溶解した。この錯体1のトルエン溶液に室温でアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液8.6mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカの入った200ml二口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、錯体1とメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
トリエチルアルミニウム処理モンモリロナイトのヘプタンスラリーと錯体1/トルエン溶液の代わりに、上記(1)で得られた固体触媒100mgを用いた以外は、実施例1(2)と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、16.8gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは1.2g/10分であった。結果を表2、表3にまとめた。
エチレンを分圧が2.0MPaになるまで導入した以外は、実施例1(2)と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、83.5gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは43.3g/10分であった。結果を表2、表3にまとめた。
重合温度を65℃とし、エチレンを分圧が2.0MPaになるまで導入した以外は、実施例1(2)と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、45.0gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。得られた共重合体のMFRは13.7g/10分であった。結果を表2、表3にまとめた。
表2及び表3に示す実験結果を参酌しながら、実験結果を説明する。
実施例1は、触媒の重合活性が良好であり、メルトフローレート(MFR)の点でも生産性の障害にならない良好な流動性を示した。実施例1で得られたエチレン系マクロモノマー(エチレン・1−ヘキセン共重合体)の特性をみると、Mw/Mn値(条件(イ))が2.2であることから狭い分子量分布を有し、炭素数1000個当たりのビニル基数(V1)(条件(ロ−1))が0.51であり、Z1(=V1×14000/Mn)(条件(ロ−2))が0.60であり、かつV1/V2値(条件(ホ))が51超であることから良好な重合反応性を発揮できる高い末端ビニル含有率を有するが成形加工性等を悪化させるほど過剰な量の末端ビニルを含んでおらず、Mw値(条件(ハ))が36200であることから成形加工性等の点で良好な低分子量を有し、分子量3000から100万の間での分岐指数g’の最低値(gL)(条件(ニ))が0.92であることから分岐構造が少なくてマクロモノマーとして好ましく、エチレン以外のα−オレフィン含量も適切であった。
実施例2は、触媒成分当りのマクロモノマーの生産性を向上させることを目的として、重合条件のエチレン分圧を大きくしたこと以外は実施例1と同様に重合反応を行ったところ、狙い通り触媒の重合活性が実施例1よりも大きくなった。また、得られたマクロモノマーの物性は実施例1で得られたものと同様に良好であった。
実施例3は、重合体粒子の溶融付着が生じにくい低温重合でもマクロモノマーが高い生産性で製造可能か確認することを目的として、重合条件のエチレン分圧を大きくし、重合温度を低くしたこと以外は実施例1と同様に重合反応を行ったところ、触媒の重合活性が実施例1よりも小さくなったが、重合温度が低いことを考慮すると触媒の重合活性は良好であり、比較例1よりも遙かに高い重合活性であった。また、得られたマクロモノマーの物性は実施例1で得られたものと同様に良好であった。
一方、比較例1は、触媒成分(A)として実施例1と同じ錯体1を用いるが、触媒成分(B)層状ケイ酸塩を用いる代わりにメチルアルミノキサンを用いて固体触媒を合成し、当該固体触媒を用いて実施例1と同じ条件でエチレン系マクロモノマー(エチレン・1−ヘキセン共重合体)を製造した実験例である。比較例1を実施例1と対比すると、触媒の重合活性が低く、メルトフローレート(MFR)の点では明らかに流動性が悪かった。
比較例1で得られたエチレン系マクロモノマーの特性をみると、Mw/Mn値(条件(イ))が4.0であることから実施例1よりも広い分子量分布を有し、炭素数1000個当たりのビニル基数(V1)(条件(ロ−1))が0.42であり、Z1(=V1×14000/Mn)(条件(ロ−2))が0.53であり、かつV1/V2値(条件(ホ))が21であることから実施例1よりも低い末端ビニル含有率を有し、Mw値(条件(ハ))が71500であることから成形加工性等の点で実施例1よりも高い分子量を有し、分子量3000から100万の間での分岐指数g’の最低値(gL)(条件(ニ))が0.54であることから実施例1よりも分岐構造が多かった。
また比較例1で得られたエチレン系マクロモノマーは、炭素数1000個当たりのビニレン基数(V3)、炭素数1000個当たりの三置換不飽和結合数(V4)、これらに対応するマクロモノマー分子一本当たりのビニレン基数の近似値(Z3=V3×14000/Mn)およびマクロモノマー分子一本当たりの三置換不飽和結合数の近似値(Z4=V4×14000/Mn)が、実施例1と比べて低かった。
したがって、このような経済的に有利な本発明のエチレン系マクロモノマーの製造方法の工業的価値は極めて大きい。
Claims (7)
- 下記条件(イ)〜(ハ)を満たすエチレン系マクロモノマー
(イ)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0以上4.0未満、
(ロ)炭素数1000個当たりのビニル基数(V1)が0.25個〜10個であり、かつ、Z1(=V1×14000/Mn)が0.50〜1.1である、および
(ハ)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が3000〜100000である、
を得るための製造方法であって、
下記必須成分(A)および(B)を含むオレフィン重合用触媒
成分(A):遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物、および
成分(B):層状ケイ酸塩、
を用いて、エチレンを単独重合またはエチレン以外のα−オレフィンと共重合することを特徴とするエチレン系マクロモノマーの製造方法。 - 前記必須成分(A)が下記一般式(1c)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン系マクロモノマーの製造方法。
- 前記必須成分(A)が、インデニル環上に五員環構造置換基を有する、遷移金属元素を含む架橋シクロペンタジエニルインデニル化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエチレン系マクロモノマーの製造方法。
- 前記必須成分(B)が、酸または金属塩で処理された層状ケイ酸塩であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のエチレン系マクロモノマーの製造方法。
- 前記エチレン系マクロモノマーが更に下記条件(二)を満足することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のエチレン系マクロモノマーの製造方法。
(二)示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量3000から100万の間での最低値(gL)が0.75〜1.00である。 - 前記エチレン系マクロモノマーが更に下記条件(ホ)を満足することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のエチレン系マクロモノマーの製造方法。
(ホ)上記炭素数1000個当たりのビニル基数(V1)と炭素数1000個当たりのビニリデン基数(V2)の比(V1/V2)が22以上である - 下記条件(1)〜(3)でエチレンを単独重合またはエチレン以外のα−オレフィンと共重合することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のエチレン系マクロモノマーの製造方法。
[重合条件]
(1)重合温度:30℃以上90℃未満
(2)エチレン分圧:0.3MPa以上3MPa未満
(3)重合時間:0.3時間以上30時間未満
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