JP2017162635A - 超音波溶接治具、端子付き電線の製造方法及び端子付き電線 - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書によって開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、芯線の損傷を抑えつつ適正に超音波溶接を行えるようにするところにある。
前記芯線は複数の素線を撚り合わせた撚り線からなり、前記滑り止め溝は、前記芯線を構成する前記素線の撚り角度に略等しい角度で交差する姿勢をなしている。
電線の芯線が撚り線である場合、芯線を構成する素線の長い領域が滑り止め溝の溝縁に係止されることで、芯線に対する加圧力を抑えた形態においても高い滑り止め機能が発揮される。
電線の芯線を構成する素線が、長い領域に亘って滑り止め溝に嵌ることになるため、より高い滑り止め機能が発揮される。
補助溝が素線に対して直交姿勢で当てられることで、補助溝がエッジ効果を生み、トータルしてさらに高い滑り止め機能が発揮される。
ローレット溝における互い直交した二方向を向いた溝の溝縁が、それぞれ芯線の外周の長い領域に亘って係止して、滑り止め機能を発揮する。芯線が撚り線である場合には、一方向を向いた溝が素線の長い領域に係止する滑り止め溝として機能し、他方向を向いた溝がエッジ効果を有む溝として機能する。
他の端子付き電線の製造方法は、上記に記載の超音波溶接治具を用いて、電線における撚り線からなる芯線を、端子に設けられた平板状の電線接続部に超音波溶接する。
また、前記芯線は複数の素線を撚り合わせた撚り線からなり、前記突条は、前記芯線を構成する前記素線の撚り角度に略等しい角度で交差する姿勢をなしている構成であってもよい。
実施形態1を図1ないし図15に基づいて説明する。本実施形態に係る端子付き電線10は、図13に示すように、被覆電線11(電線に相当)の端末に、バスバー20(端子に相当)が超音波溶接で接続された構造であって、例えば電気自動車に搭載される電池モジュール等の配線部分に適用されるようになっている。
芯線12は詳細には、図4に示すように、直径aの7本の素線13が、撚り角度bで撚り合わされて形成されている。
バスバー20における長さ方向(長辺に沿った方向)の中央部には、電線接続部21が設定されており、後記するように、被覆電線11における芯線12の端末が、電線接続部21に対してバスバー20の短辺に沿った向きで載せられて、超音波溶接により固着されるようになっている。
アンビル31は固定的に設けられ、その上面が、バスバー20の電線接続部21を受ける受け面32とされている。この受け面32には、滑り止め用にローレット目32Aが形成されている。
また、各嵌合溝43の間隔は、素線13の直径aに略等しい寸法が採られている。
図1ないし図3に示すように、超音波溶接治具30における溶接ホーン40が上方位置に後退している状態から、バスバー20の電線接続部21がアンビル31の受け面32に載せられる。次に、被覆電線11における露出した芯線12の端末が、アンビル31に受けられたバスバー20の電線接続部21上に載せられる。
これに伴い、バスバー20の電線接続部21の下面に対して、アンビル31の受け面32に形成されたローレット目32Aが食い込むように作用し、バスバー20はアンビル31の受け面32上に滑り止めされた形態で受けられる。
一方、被覆電線11の芯線12は、溶接ホーン40の押圧面42の嵌合溝43内に圧潰されつつ嵌合され、併せて、芯線12における嵌合溝43と対向する面に配された素線13のうちの1本置きの計3本の素線13が、嵌合溝43の底面に形成された滑り止め溝45に嵌った状態となる。
この端子付き電線10では、芯線12におけるバスバー20の電線接続部21に超音波溶接された部分(溶接部15)が、溶接ホーン40の押圧面42に形成された嵌合溝43と整合した円弧形断面の棒状をなしているとともに、この溶接部15の外周面に、嵌合溝43の底面に形成された滑り止め溝45と整合した円弧形断面をなす3本の突条16が、溶接部15の軸線に対して素線13の撚り角度bに略等しい角度で交差する斜め姿勢で、かつ溶接部15の軸線方向に間隔を開けて形成された形状となっている。
このため、芯線12を構成する素線13の長い領域が滑り止め溝45に嵌ることとなって、芯線12に対する加圧力を抑えた形態においても高い滑り止め機能が発揮される。すなわち芯線12が損傷を受けることを抑えた上で、適正に超音波溶接を行うことができ、結果、溶接部分において高い固着力を得ることができる。
実施形態2を図16ないし図18によって説明する。実施形態2では、溶接ホーン40Xと被覆電線11の芯線12との間の滑り止め構造に改良を加えている。すなわち、溶接ホーン40Xの押圧面42に設けられた嵌合溝43の底面には、上記実施形態1に示した3本の滑り止め溝45に加えて、滑り止め溝45よりも幅狭の補助溝47が、滑り止め溝45と直交する姿勢をなして複数本(図示15本)形成されている。補助溝47は、図18に示すように、スリット状に形成されている。
すなわち、芯線12を構成する素線13の長い領域が滑り止め溝45に嵌ることに加えて、補助溝47の溝縁が素線13に食い込むいわゆるエッジ効果を生み、トータルしてさらに高い滑り止め機能が発揮される。
実施形態3を図19及び図20によって説明する。実施形態3では、さらに別の滑り止め構造を示しており、溶接ホーン40Yの押圧面42に設けられた嵌合溝43の底面に、ローレット溝50が形成されている。
このローレット溝50は、上記実施形態2に例示した補助溝47と同様の複数本のスリット51を格子状に配して切り込み形成したものである。
本明細書で開示される技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も含まれる。
(1)端子としては上記実施形態に例示したバスバーに限らず、相手の端子等と接続される端子接続部の後方に平板状の電線接続部を設けた構造の端子であってもよい。
(2)上記実施形態では、被覆電線の端末において露出した芯線を超音波溶接する場合を例示したが、被覆電線の長さ方向の途中位置において露出した芯線を超音波溶接する場合にも、同様に適用可能である。
(4)電線には、絶縁被覆を備えない裸撚り線も含まれる。
(5)溶接ホーンの嵌合溝の底面に形成される滑り止め溝の幅は、芯線を構成する素線が略緊密に嵌る幅を最大とし、それよりも狭い任意の幅寸法に設定してもよい。また、滑り止め溝の数や間隔も、芯線を構成する素線の直径等の条件に応じて適宜に設定し得る。
11:被覆電線(電線)
12:芯線
13:素線
15:溶接部
16:突条
20:バスバー(端子)
21:電線接続部
30:超音波溶接治具
31:アンビル
40,40X,40Y:溶接ホーン
42:押圧面(対向面)
43:嵌合溝
45:滑り止め溝
47:補助溝
50:ローレット溝
51:スリット
a:(素線13の)直径
b:(素線13の)撚り角度
A:(滑り止め溝45の)溝幅
B:(滑り止め溝45の)交差角度
Claims (9)
- 芯線を有する電線の前記芯線を、平板状の電線接続部を有する端子の前記電線接続部上に超音波溶接により固着するための超音波溶接治具であって、
前記端子の前記電線接続部を受けるアンビルと、前記アンビルと対向して配され前記電線における前記芯線の横断面の一部が嵌る嵌合溝が対向面に設けられた溶接ホーンとが具備され、
前記溶接ホーンと前記アンビルとの間で前記芯線と前記電線接続部とを挟圧した状態において前記溶接ホーンを前記芯線の軸線方向に沿って高周波振動させることで超音波溶接するものにおいて、
前記溶接ホーンの前記嵌合溝の底面には、前記嵌合溝の軸線に対して交差する斜め姿勢をなす滑り止め溝が、前記嵌合溝の軸線方向に間隔を開けて複数形成されている超音波溶接治具。 - 前記芯線は複数の素線を撚り合わせた撚り線からなり、前記滑り止め溝は、前記芯線を構成する前記素線の撚り角度に略等しい角度で交差する姿勢をなしている請求項1に記載の超音波溶接治具。
- 前記滑り止め溝が、前記芯線の前記素線が嵌合可能な幅を有する幅広に形成されている請求項2に記載の超音波溶接治具。
- 前記溶接ホーンの前記嵌合溝の底面には、前記滑り止め溝に加え、前記滑り止め溝よりも幅狭の補助溝が、前記滑り止め溝と直交する姿勢をなして複数形成されている請求項3に記載の超音波溶接治具。
- 前記溶接ホーンの前記嵌合溝の底面には、ローレット溝が形成されている請求項1に記載の超音波溶接治具。
- 請求項1または請求項5に記載の超音波溶接治具を用いて、電線における芯線を、端子に設けられた平板状の電線接続部に超音波溶接する端子付き電線の製造方法。
- 請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の超音波溶接治具を用いて、電線における撚り線からなる芯線を、端子に設けられた平板状の電線接続部に超音波溶接する端子付き電線の製造方法。
- 芯線を有する電線の前記芯線を、平板状の電線接続部を有する端子の前記電線接続部上に超音波溶接してなる端子付き電線であって、
前記芯線における溶接部の外面には、前記芯線の軸線に対して交差する斜め姿勢をなす突条が、前記溶接部の軸線方向に間隔を開けて複数形成されている端子付き電線。 - 前記芯線は複数の素線を撚り合わせた撚り線からなり、前記突条は、前記芯線を構成する前記素線の撚り角度に略等しい角度で交差する姿勢をなしている請求項8に記載の端子付き電線。
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