JP2017162620A - リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末の製造方法の提供【解決手段】リチウムイオン電池正極活物質用リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末の製造方法における沈殿工程で、ニッケル原料としての硫酸ニッケル水溶液と、コバルト原料としての硫酸コバルト水溶液を、独立した異なる流路で反応器に供給し、アルミニウム原料としてのアルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水をそれぞれ独立した異なる流路で反応器に供給する。【選択図】図4

Description

本発明はリチウムイオン電池用の正極活物質の製造方法に関する。
リチウムイオン電池の歴史は古く、その商業生産は1990年代に始まっている。しかしながら、リチウムイオン電池の開発は、2000年以降の携帯端末、スマートフォン、電気自動車などの普及によって本格的に発展したと言ってよい。リチウムイオン電池は、他の電池と同様に正極、負極、電解質、外装体を主な構成部材とするが、中でも正極に用いられる正極活物質はリチウムイオン電池の電池性能を左右する重要な材料である。すでにリチウムイオン電池に用いられる正極活物質として様々なリチウム系金属酸化物が見出されている。 代表的なリチウム系金属酸化物は、初期の正極活物質であるLiCoOのコバルト原子の一部をNiとさらに他の微量の金属で置換したものであり、前駆体である遷移金属複合水酸化物とリチウム化合物との混合物を焼成することによって粉体として得られる。上記前駆体としては、通常は、pHが制御された水溶液中に遷移金属の塩を投入させて得られる遷移金属複合水酸化物を分離・乾燥して得られるものが使用されている。
リチウム金属複合酸化物粉体の正極活物質としての性能には焼成に用いた前駆体の粒度分布などの性状が大きく関与していることが知られている。そこで、より優れた正極活物質の前駆体として有効なニッケル・コバルト複合水酸化物を製造するための様々な方法が提案されている。
例えば特許文献1(特許第5227306号公報)には、傾斜板沈降装置を有する反応器を用いて球状で規則的な粒子形状を有するいわゆる、NC系前駆体である、ニッケル・コバルト複合水酸化物を製造することが記載されている。特許文献1に開示された製造方法はニッケル及びコバルトを含む複合水酸化物を製造するための汎用性の高い手段ではある。しかし、近年特に注目されているNCA系正極活物質(元素構成:Li(Ni,Co,Al)O)は、NCA系正極活物質へのアルミニウムの導入方法によりその性能が大きく左右されるにもかかわらず、その製造に用いる手段としては十分な最適化がなされていなかった。
NCA系正極活物質には高エネルギー密度の電極を製造できるという利点があり、近年急速に小型化と高容量化が進行する携帯端末やスマートフォン向けのラミネート電池、車載用のリチウムイオン電池の材料として期待されている。 NCA系正極活物質は、LiCoOのコバルト原子の一部をニッケルとさらに微量のアルミニウムで置換したものであり、NC前駆体であるニッケル・コバルト複合水酸化物に、アルミニウム化合物とリチウム化合物を加えた混合物、或いはニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物にリチウム化合物を加えた混合物を焼成することによって得られる。ニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物の製造では、一般的には、ニッケル原料として硫酸ニッケル、コバルト原料として硫酸コバルト、アルミニウム原料として硫酸アルミニウム或いは、アルミン酸ナトリウムが用いられるが、製品への硫酸根の持ち込みが少ないこと、電極密度を大きく出来るという点からアルミン酸ナトリウムが好適に用いられる。
特許文献1に開示された前駆体製造装置及び前駆体製造方法では、専らニッケル・コバルト複合水酸化物の製造のために諸条件が最適化されている。これらの先行技術では前駆体原料として少量のアルミン酸ナトリウムを追加する場合について具体的な考察は行っていない。NCA系正極活物質でも電池性能に影響を与えることが知られている粒度分布などの要件を厳しく制御する必要がある以上、アルミン酸ナトリウムをアルミニウム原料に用いて優れたNCA系正極活物質を製造するためには、ニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物の製造条件を改めて検討し、装置及び工程を再設計する必要がある。
特許文献1は出願人自身が保有する装置に関するものであるが、「自由度を拡張しかつ新しい自由度を作り出す」ものであるだけに、NCA系正極活物質の前駆体の製造に適した設計になっていないことが分かった。
また例えば、特許文献2(特開2011−181193号公報)には例えばAlなどの添加元素Mを含むニッケルーコバルト複合水酸化物粒子の製造において、反応溶液のpH、温度、アンモニア濃度を制御することによって粒径を増加させ、粒度の均一性を高めることが記載されている。しかしながら、特許文献2にもNCA系正極活物質の前駆体であるニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物の製造例は具体的には記載されていない。特許文献2に開示された技術でも、NCA系正極活物質の前駆体製造の最適化は十分に検討されていない。
特許第5227306号公報 特開2011−181193号公報
本発明は、優れたNCA系正極活物質の前駆体として有用なニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物の製造と、そのような前駆体を用いたNCA系正極活物質の製造を目的とする。本発明は特に、アルミニウム原料としてアルミン酸ナトリウムを用いたNCA系正極活物質の製造を最適化することを目的とする。
本発明者らは、ニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物の製造における膨大な条件を再検討した。その結果、原料であるニッケル化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物の供給方法を限定することにより、優れた正極活物質を与えるニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物が得られることを見出した。本発明では、沈殿工程においてニッケル化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物をそれぞれ独立した異なる流路で反応器に供給して合成された正極活物質の前駆体を用いることによって、初期充放電効率とレート維持率が高く、しかもガス発生が抑制されたNCA系正極活物質を製造することに成功した。
すなわち本発明は以下のものである。
(発明1)撹拌手段を備える反応器を用いてニッケル・コバルト・アルミニウム共沈水酸化物を製造する沈殿工程、ニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物からなる前駆体とリチウム化合物との混合物を焼成する工程とを含み、上記沈殿工程では、ニッケル原料としての硫酸ニッケル水溶液と、コバルト原料としての硫酸コバルト水溶液を、独立した異なる流路で反応器に供給し、アルミニウム原料としてのアルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水をそれぞれ独立した異なる流路で反応器に供給することを特徴とする、組成LiNiCoAl(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)を有するリチウムイオン電池正極活物質用リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末の製造方法。
(発明2)上記沈殿工程で用いる反応器が傾斜板沈降装置を有し、出発物質溶液を前記反応器の反応帯域内への導入時に均質混合するために適合されており、前記傾斜板沈降装置が、前記反応帯域に直接接続されるように前記反応器と一体化され、かつ少なくとも1つのポンプを介して少なくとも1つの循環容器に接続され、前記反応器内の生成物懸濁液から前記少なくとも1つの循環容器まで濁った液体を吸引し、該濁った液体からフィルタエレメントを通して固体の微粒分級物を除去した後の液体を循環容器から取り出し、かつ反応器へ直接ポンプ返送することによって、前記反応器内の生成物懸濁液の粒度分布が、より高いD50値へ変位されることを特徴とする、発明1のリチウムイオン電池正極活物質用リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末の製造方法。
本発明により、初期充放電効率とレート維持率が高く、ガス発生が抑制されたリチウムイオン電池が提供される。
本発明の製造方法で使用可能な傾斜板沈降装置の例を模式的に表す。 本発明の製造方法で使用可能な傾斜板沈降装置の例を模式的に表す。 本発明の製造方法で使用可能な傾斜板沈降装置の機能を理解するための模式図。 本発明の製造方法で用いる反応器とその付属装置を模式的に表す。
[前駆体原料の調整]本発明は、組成LiNiCoAl(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)を有するリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末の製造方法である。本発明の製造方法では、まず上記リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末の前駆体であるニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物を製造する。
本発明ではニッケル原料として硫酸ニッケル水溶液(以下「a液」)を用いる。a液の濃度は高いほど好ましいが、気温の変動による硫酸ニッケル結晶の析出を考慮して、好ましくは15重量%以上30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上25重量%以下の濃度に調整される。本発明ではコバルト原料として硫酸コバルト水溶液(以下「b液」)を用いる。b液の濃度も高いほど好ましいが、好ましくは15重量%以上、25重量%以下、さらに好ましくは18重量%以上23重量%以下の濃度に調整される。a液とb液とは別々に準備され、別々の容器に収納される。
アルミニウム原料としてはアルミン酸ナトリウムを用いる。アルミン酸ナトリウムは濃度が1重量%以上50重量%以下、好ましくは1重量%以上20重量%以下の水溶液(以下「c液」)として供給される。
共沈反応ではこのほかにpH調節剤として水酸化ナトリウム水溶液と、錯化剤としてアンモニア水を供給する。これらはa液、b液、c液とは異なる流路で反応器に供給される。
[沈殿工程]前駆体の原料であるa液、b液、c液を反応器に供給し、ニッケル・コバルト・アルミニウムの複合水酸化物(以下「複合水酸化物」)を製造する。反応器内の水溶液のpHは共沈反応に適当な範囲、一般的には7〜14、好ましくは9〜12の範囲に制御される。反応液の温度は複合水酸化物が生成する温度であれば制限はないが、生産効率上は40℃〜60℃の範囲が一般的である。反応器本体の形状や材質に特に制限はなく、いわゆるタンク形状のステンレス容器が制限なく使用される。
反応器には、a液、b液、c液の独立した異なる供給路が接続する。反応器にはさらにpH調節剤(水酸化ナトリウム水溶液)、錯化剤(アンモニア水)、純水の供給路が付属する。各供給路は通常のパイプ、ポンプ、流量センサーから構成されており、供給量が制御される。これらの供給路は一般的には反応器の頂部に連結する。
反応器内部には撹拌手段が設けられている。撹拌手段に特に制限はない。モーターで回転数を制御される撹拌翼であれば、プロペラ、バドル、フラットバドル、タービン、コーン、スクリュー、リボンなど各種の形状のものを使用することができる。撹拌回転数を制御することによって複合水酸化物の粒子形状を調節することができる。撹拌回転数は複合水酸化物が微粒子状に形成される範囲であれば特に制限はないが、一般的にはパドル翼を用いた場合300rpm〜800rpm、好ましくは400rpm〜700rpmの範囲に制御される。
反応器には、生成した複合水酸化物スラリーの抜出口が設けられる。抜出口の位置は、反応器の上部から底部までの任意の位置でよい。抜出口にはスラリーを反応器外に導く管と、この管に連結するポンプが連結する。沈殿反応が定常状態に達すると、ポンプによって一定流量でニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物スラリーが反応器から取り出され、次の乾燥工程に移される。
反応器には、複合水酸化物スラリーを固体画分と液体画分に分離する装置(分離装置)が連結する。分離機構としては、遠心分離装置やフィルターなどが用いられる。ポンプと吸引パイプを用いて一定量の複合水酸化物スラリーが反応器から吸引され、分離機構まで送られる。分離機構で、複合水酸化物スラリーはニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物の粒子からなる固体画分と、水溶液とニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物の微粒子からなる液体画分とに分離される。分離された液体画分の一部は反応器の外に排出され、残りの液体画分と固体画分は反応器内に戻される。このように分離機構を介してスラリーが反応器内外を循環する。このようなスラリーの循環によって反応器内の複合水酸化物の濃度を制御することができる。反応器内のスラリーの固体濃度が50g/L以上に制御されれば、生産効率上は問題がない。
このような複合水酸化物スラリーの吸引、分離、循環を、特許第5227306号公報に開示された傾斜板沈降装置を用いて行うと効率的である。傾斜板沈降装置は、溶液から固体を沈殿させることにより化合物を製造するための装置及び方法に使用される。傾斜板沈降装置を備える沈殿装置を用いると、沈殿の際に形成される固体の粒子の物理的及び化学的な性質が極めてフレキシブルに及び互いに独立して調節されることができ、テーラーメードの生成物が極めて高い空時収率で製造される。
傾斜板沈降装置の対象は、複合水酸化物が生成する反応器に接続され、反応器内のスラリーを分取、その固体画分と水溶液と微粒子とからなる液体画分を分離し、スラリーの一部を反応器に返送することのできる、体型反応器・清澄器系(IRKS)である。
傾斜板沈降装置を備えるIRKSの使用によって、化合物の沈殿後に生成物及び母液からなる生成物懸濁液の形成下に、傾斜板沈降装置を経て母液及び粒子が除去されるので、固体濃度の増加が達成される。
反応器には、開口部が設けられていてよく、これを経て場合によりポンプを用いて、懸濁液が除去されることができ、かつ反応器へポンプ返送されることができる。均質な沈殿生成物を得るために、出発物質が、反応器中への投入の際に良好に混合されることが重要である。この反応器は、撹拌反応器としても操作されることができる。傾斜板沈降装置が設置されたIRKS中の沈殿プロセスは、生成物に依存して温度を調整することができる。IRKSにおけるプロセス温度は、必要な場合には、熱交換器を介して加熱もしくは冷却により制御される。
IRKSは、スラリーからの化合物の分離のために使用される。傾斜板沈降装置中で、母液は、微粒分級物と共に生成物懸濁液から分離される。微量の固体を含有するこの濁った液体は、大部分が反応器へ返送され、生成物懸濁液と再び合一される。この濁った液体の一部を取り出すことにより、生成物懸濁液から微粒分級物が取り除かれ、粒度分布はより高いD50値へ変位される。傾斜板沈降装置のさらなる目的は、スラリーが予め清浄化され、固体含有量が小さな液体を提供することであり、この液体からろ過等の単純な方法で澄明な母液を分離することができる。
傾斜板沈降装置の分離性能を高めるために、1つ又はそれ以上のラメラが取り付けられることができ、それらの上で固体粒子は、これらが沈降によってラメラの表面に達した後に、下の方へ均質に混合された懸濁液中へ滑り落ちる。傾斜板沈降装置に設けられたラメラは図1、図2に模式的に表される。
ラメラ(2、5)は傾斜板沈降装置(1、4)中でその床面に対して平行平面に配置されている。ラメラは、プラスチック、ガラス、木材、金属又はセラミックからなっていてよい長方形のプレートである。ラメラ(2、5)の厚さは、材料及び生成物に依存して10cmまでであってよい。好ましくは、0.5〜5cm、特に好ましくは0.5〜1.5cmの厚さを有するラメラが使用される。ラメラ(2、5)は、傾斜板沈降装置(1、4)中に固定して取り付けられる。これらは、取り外し可能であってもよい。この場合に、これらは、傾斜板沈降装置(1、4)の内側に側面で取り付けられたレールシステム(6)又は溝(3)を介して、傾斜板沈降装置(1、4)中へ入れられる。前記レールシステム(6)の高さが調節可能に設計されていてもよく、それにより傾斜板沈降装置(1、4)にラメラ(2、5)の間隔の選択に関して大きなフレキシビリティーが付与される。傾斜板沈降装置は、丸い断面を有する円筒形に又は四角形の断面を有する平行六面体形に構成されていてよい。粒子の滑り落ちが傾斜板沈降装置の閉塞なく機能するために、傾斜板沈降装置の角度は水平面に対して20〜85゜、好ましくは40〜70゜及び特に好ましくは50〜60゜である。傾斜板沈降装置は、フレキシブルな結合部を介して反応器に取り付けられていてもよい。この実施態様の場合に、角度はプロセス中に可変に調節されることができる。
傾斜板沈降装置によるIRKSの機能様式をよりよく理解するために、以下に、図3に基づいて詳細に説明する。
固体粒子(7)は、傾斜板沈降装置中で、それらの形状及びサイズに応じて、一定速度で下の方へ沈降する。例えばストークス摩擦を前提とするならば、有効重力によって引き起こされる球状粒子の沈降速度は、粒子直径の2乗に比例する。この速度は傾斜板沈降装置中の層流の速度の上方成分と重なり合っている。沈降速度が液体流の上方成分よりも小さいか又は同じである全ての固体粒子は、ラメラ(8)の表面又は傾斜板沈降装置の床面までは沈降することはできず、かつ最終的に傾斜板沈降装置の溢流と共に排出される。
粒子の沈降速度が液体流の上方成分よりも大きい場合には、粒子の下方運動は一定の沈降速度で生じる。そのように粒子が溢流と共に傾斜板沈降装置から排出されるかどうかは、液体の一定流量で、傾斜板沈降装置に入る際の粒子とラメラの垂直方向の間隔に、並びに傾斜板沈降装置の長さ及び傾斜角度に依存する。臨界粒子半径r0が存在することが容易にわかるので、r>r0を有する全ての粒子が、傾斜板沈降装置によって完全に保持される。図3中の直線(9)は、限界半径r0を有する粒子の軌跡を示す。半径がより大きい全ての粒子の軌跡は、水平面に対してより小さい角度を有し、故にラメラ又は床板上に確実に衝突する。これは、これらの粒子が保持されることを意味する。傾斜板沈降装置中の比、特に液体の流量を調節することにより、傾斜板沈降装置を溢流で去る微粒子の粒子直径の上限を調節することができる。
傾斜板沈降装置の溢流が、循環容器を経て撹拌反応器へ返送される限りは、全系では何も変わらない。ポンプを用いて、固体の微細含分により濁った液体量の一部を循環容器から取り出す場合には、微粒の定義された分率が排出され、かつ粒度分布へ直接干渉することができる。それにより粒度並びに粒度分布は、他のプラントパラメーターから独立して影響を与えることができる。
循環容器中へ入る際の固体濃度が典型的には反応器中の固体濃度0.5〜5%である濁った流れの前記の取り出しにより、反応器中の懸濁液の固体濃度ももちろん同時に高められる、それというのも、微粒含分の意図的な取り出しと共に、全系から不釣り合いに多く母液が取り出されるからである。これは通例望ましいが、しかし、反応器中の固体濃度が低い水準に保持されるべき場合及び他の物質の流れの調節により固体濃度の増加を十分に打ち消されることができない場合に望ましくない。量及び仕様に応じて、この微細含分は引き続き、再び生成物懸濁液と混合されることができる。反応器−清澄器−系中での分離が決定的である。
この場合に、混濁物の固体濃度を高めるために、フィルタエレメントを経て、母液を循環容器から取り出し、かつ反応器へ直接ポンプ返送することが考えられる。同じ量の微粒を排出する際に、母液がより少なく取り除かれる。サイズが粒度分布のD50値の30%を越えない粒子が微粒と呼ばれる。循環容器中で前記系から母液をフィルタエレメントを介して取り出すことも有利でありうる。これにより、反応器中の固体含量を、第一に化学量論的な固体濃度の数倍に高めることができ、かつ第二に場合により沈殿反応の際に生じる中性塩の濃度と固体濃度との間の切り離しを達成することができる。反応器中の固体対塩の濃度比は、母液の取り出しの可能性により、例えば一定の塩濃度での固体濃度の増加によってだけでなく、一定の固体濃度で反応器に塩不含の溶剤が添加され、かつ同時に等量の母液が、フィルタエレメントを介して前記系から取り出されることによっても、増加されることができる。
傾斜板沈降装置によるIRKSのフレキシビリティーの増加と同時に付加的な自由度の達成は、双方のパラメーター塩濃度及び固体含量の例で一般的な反応AX+BY→AY固体+BX溶解についてより詳細に説明される。AX及びBYは、出発物質溶液中の出発物質を表し、かつBXは母液中の溶解された塩を表す。AYは、不溶性固体として生じる生成物を表す。
傾斜板沈降装置によるIRKSは、バッチ式に行われる沈殿に使用されることができる。しかしながら好ましくは、このIRKSは連続式操作における沈殿プロセスにより好適に使用される。
傾斜板沈降装置は、さらに、沈殿による化合物の製造方法に関するものであり、前記方法において、個々のプロセスパラメーター、例えば(出発物質の濃度、懸濁液中の固体含量、母液中の塩濃度)は、沈殿中に互いに独立して調節され、こうして沈殿プロセス中の粒度分布の展開への制御された干渉が行われ、かつ最終的に定義された物理的性質を有するオーダーメードの生成物が特に経済的に及び極めて高い空時収率で製造される。
傾斜板沈降装置の対象は故に、次の工程からなる沈殿による化合物の製造方法である:
・少なくとも第一、第二及び第三の出発物質溶液を準備する工程、
・少なくとも第一、第二及び第三の出発物質溶液を請求項1記載の反応器中で合一する工程、
・反応器中に均質混合される反応帯域を発生させる工程、
・反応帯域中で化合物を沈殿させ、不溶性生成物及び母液からなる生成物懸濁液を製造する工程、
・沈殿された生成物から母液を、傾斜板沈降装置を介して部分的に分離する工程、
・沈殿生成物の濃度が化学量論的な濃度よりも高い沈殿生成物懸濁液を製造する工程、
・生成物懸濁液を反応器から取り出す工程、
・沈殿生成物をろ過、洗浄及び乾燥する工程。
傾斜板沈降装置による方法における出発物質溶液は、反応器中へ、ポンプ系を用いて導通される。これが撹拌反応器を備えた傾斜板沈降装置によるIRKSである場合には、出発物質は、撹拌機を使用しながら混合される。IRKSが噴流型反応器の形で設計されている場合には、出発物質の混合は、ノズルから出てくるジェットにより行われる。出発物質のさらにより良好な混合を達成するために、付加的に空気又は不活性ガスも、反応器中へ導通されていてよい。均一な生成物品質を達成するために、出発物質が反応器の反応帯域中で均質に混合されていることが必要である。出発物質を混合するかもしくは均質化する間に既に、生成物及び母液が発生する沈殿反応が始まる。生成物懸濁液は、反応器下部中で所望の濃度まで豊富化される。生成物懸濁液の意図的な豊富化を達成するために、傾斜板沈降装置による方法において、母液は、傾斜板沈降装置を介して、部分的に除去される。好ましくは、傾斜板沈降装置の溢流の取り出しによる母液の部分的な分離は、ポンプを用いて行われる。
傾斜板沈降装置による方法に従って、沈殿生成物の化学量論的に可能な濃度の何倍でありうる沈殿生成物懸濁液の濃度が達成される。これは、可能な化学量論値よりも20倍まで高くなりうる。懸濁液中の特に高い生成物濃度を達成するためには、大量の母液を部分的に除去することが必要である。それどころか95%までの母液が部分的に分離されることができる。部分的に分離すべき母液の量は、選択されたプロセスパラメーター、例えば出発物質濃度、母液の塩濃度並びに懸濁液の固体濃度に依存する。
本発明の沈殿工程ではこのような傾斜板沈降装置を図4に模式的に示すように反応器に結合して複合水酸化物を製造することができる。
回転数を制御可能な撹拌機(10)、熱交換器(11)、傾斜板沈降装置(12)を備えた反応器(13)に、独立したパイプ及びポンプ(23)〜(27)からなる供給経路が接続する。ポンプ(23)〜(27)のそれぞれから連続的に硫酸ニッケル水溶液(a液)、硫酸コバルト水溶液(b液)、アルミン酸ナトリウム水溶液(c液)、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水が一体型反応器−清澄器−系(IRKS)の反応帯域中へ搬送される。反応器(13)で生じるスラリーは、ポンプ(14)を用いて液位の調節装置を介して取り出される。大きな粒子が製造される場合に、沈降の危険を予防するために、循環ポンプ(16)を運転することは有利でありうる。
ポンプ(17)は、極めて低い濃度の微粒を有するスラリーを、撹拌機が備えられた循環容器(18)中へ搬送し、かつそこから反応器(13)中へ返送することができる。液体の体積流量及び傾斜板沈降装置の寸法決定に依存した分離サイズを下回る粒子のみが、循環容器(18)中へ搬送される。ポンプ(17)を用いて取り出された全ての濁った流れが、スラリー流れ(19)を経て返送される限りは、反応器(13)について全く何も変わらない。
循環容器(18)からから澄明な母液を取り出し、かつこれを第二の循環容器(20)中へ搬送することによって母液及び/又は固体粒子を前記系から取り出すこともできる。ポンプ(21)は第一の循環容器(18)から澄明な母液を取り出し、かつこれを第二の循環容器(20)中へ搬送する。第二の循環容器(20)内の溶液のpH値などを連続的に分析し、共沈反応器全体で母液の組成を制御することができる。
また、第一の循環容器(18)に蓄積された澄明な母液をポンプ(22)によって排出することによって、澄明な母液に含まれるきわめて微粒の沈殿物を沈殿反応器から除去することもできる。
[複合水酸化物の分離・乾燥]反応器内で目的量の原料が反応し終わった時点で、反応器の排出口からスラリーを取り出し、濾過する。こうして複合水酸化物を含む固体画分が分離される。さらに固体画分を洗浄する。洗浄は常法に従えばよく、アルカリ性水溶液と純水を用いて複合水酸化物に含まれる硫酸塩、アルカリ成分が十分除去されるまで洗浄する。こうして、水分を含む複合水酸化物が分離される。
次に、分離した水分を含む複合水酸化物を乾燥する。乾燥方法は、大気圧下での熱風乾燥、赤外線乾燥、高周波乾燥、真空乾燥などのいずれでもよい。短時間で乾燥することができる真空乾燥が好ましい。複合水酸化物中の水分が1重量%程度になるまで乾燥する。こうして、前駆体としてのニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物の粉末が得られる。
[焼成]前駆体粉末にリチウム原料を加え、酸素存在下で450?900℃の温度域で焼成する。リチウム原料としては水酸化リチウム粉末もしくは炭酸リチウム粉末が一般的である。焼成を複数回行うこともできる。いずれの回の焼成でも最高温度で2時間?30時間保持して反応を完了させる。焼成する際に用いる焼成炉に制限はないが、管状炉、マッフル炉、RK(ロータリーキルン)、RHK(ローラーハースキルン)などが好ましい。特に好ましい焼成炉はRHKである。焼成物を適宜水洗、粉砕、乾燥して、目的のリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物粉末が得られる。
[正極活物質]得られたリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末を単独で正極活物質として用いることができる。あるいは、他のリチウムイオン電池用正極活物質を混合したものを正極活物質として用いてもよい。また、本発明の製造方法で粒径や組成の異なる複数種のリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末を製造し、これらの混合物を正極活物質として用いてもよい。
[電池製造]このようにして得られた正極活物質、導電助剤であるカーボンブラック、バインダー、溶媒を混合して正極合剤を調製し、この正極合剤を集電体に塗布、乾燥することによってリチウムイオン電池の正極を製造することができる。集電体としてアルミニウム箔を使用した薄膜状正極を、薄膜状負極と電解液と共に積層・封入して得られるラミネート電池は、小型化の要求に応えるリチウムイオン電池として有用である。
[実施例1]以下に示す原料溶液及びその他の反応用液体を準備した。
・a液:ニッケルを濃度8.2重量%で含む硫酸ニッケル水溶液(硫酸ニッケル濃度:21.6重量%)。
・b液:コバルトを濃度8.2重量%で含む硫酸コバルト水溶液(硫酸コバルト濃度:21.6重量%)。
・c液:アルミニウムを濃度3.3重量%で含むアルミン酸ナトリウム水溶液(アルミン酸ナトリウム濃度:10重量%)。
・(錯化剤)アンモニアを濃度25重量%で含むアンモニア水
・(pH調節剤)水酸化ナトリウムを濃度25重量%で含む水酸化ナトリウム水溶液。
・純水
図4に示す沈殿槽内に濃度16重量%の硫酸ナトリウム水溶液を満たし、傾斜板沈降装置を介して水溶液を循環させながら撹拌回転数を550rpm、反応液の温度を65℃に維持した。ニッケル:コバルト:アルミニウムの原子比が82:16:2となるように上記a液、b液、c液、その他の材料を各々別々に供給し、共沈反応を開始した。
反応液のpHを11.0以上11.5の範囲内に制御して複合水酸化物の生成反応を進行させた。固体濃度が200g/Lに達しさらに安定するまで、母液の抜き出し及びスラリーの抜き出しを行った。原料の供給開始から72時間沈殿工程設備を連続運転した後、複合水酸化物を含むスラリーの採取を開始した。スラリーの採取は、ポンプ14を介して抜き出しを行った。
得られた複合水酸化物スラリーを濾過、洗浄して、複合水酸化物を得た。これを大気中80℃で乾燥した。こうして前駆体としてニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物粉末が得られた。
得られた前駆体132gと水酸化リチウム27.6gからなる混合物をせん断力をかけながら混合し、得られた粉体混合物の60gを取り焼成用アルミナボートに充填した。匣鉢に充填した混合物を酸素中、790℃で5時間保持した後、室温まで冷却し、更に770℃まで昇温し4時間保持して焼成した。焼成物を解砕、水洗した後、乾燥した。こうして組成Li1.02Ni0.82Co0.16Al0.02を有するリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物粉末を得た。
上記リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末を正極活物質として用いて、以下のように正極及びラミネート電池を製造し評価した。結果を表1に示す。
(正極の製造) 得られた正極活物質100重量部、導電助剤としてのアセチレンブラック1重量部及びグラファイトカーボン5重量部、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン4重量部を、分散媒としてのN−メチルピロリドンと共に混合して正極合剤を得た。この正極合剤を集電体であるアルミニウム箔に50μm厚で塗布、乾燥して、正極を製造した。
(ラミネート電池の製造)人造黒鉛(MAG−D)98重量部、バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量部、スチレンブタジエン共重合物(SBR)1重量部を、分散媒としての水と共に混合して負極合剤を得た。この負極合剤を集電体である銅箔に塗布、乾燥し負極を製造した。LiPFを1モル/Lの濃度で溶解したエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニルカーボネート(VC)を、重量比(EC:EMC:VC)が50:50:1となるように混合して電解液を製造した。上述の正極、負極、電解液を積層、封入してラミネート電池を製造した。
(初期放電容量及び初期充放電効率) 3.0から4.2Vの間で0.1Cレートでの充電を行った時の容量を初期充電容量とした。4.2Vから3.0の間での0.1C放電を行った際の容量を初期放電容量とした。初期充放電効率を以下の式で求めた。
初期充放電効率(%)=(初期放電容量÷初期充電容量)×100
(レート維持率) 初期充放電容量を確認した後の電池を0.2Cレートで充電した後、0.2Cレートで放電を行った際の放電容量を0.2Cでの放電容量とした。その後更に、0.2Cレートで充電した後、2.0Cレートで放電を行った際の放電容量を2.0Cでの放電容量とした。レート維持率を以下の式で求めた。
レート維持率(%)=(2.0C放電容量÷0.2C放電容量)×100
(ガス発生量) 0.1Cレートで4.2Vまで充電した後、体積をアルキメデス法(アルファミラージュ社製 MDS300型)にてラミネートセルの体積を測定する。そのラミネートセルを85℃で72時間、恒温槽で保存した後、再度体積をアルキメデス法にて測定し、ラミネートセル体積の増加度合いからガスの発生量を算出した。
ガス発生量(cc/g)=(保存後体積−保存前体積)÷正極活物質重量
[実施例2]ニッケル:コバルト:アルミニウムの原子比が80:15:5となるように原料を各々別々に供給して共沈反応を開始した点以外は実施例1と同様に複合水酸化物を製造した。実施例1と同様の焼成工程を経て、組成Li1.02Ni0.80Co0.15Al0.05を有するリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物粉末を得た。これを実施例1と同様に分析、評価した結果を表1に示す。
[実施例3]実施例1と同じ条件で複合水酸化物を製造した。得られた複合水酸化物132gと水酸化リチウム28.5gからなる粉体混合物を用いた点以外は実施例1と同じ条件で焼成した。組成Li1.05Ni0.82Co0.16Al0.02を有するリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物粉末を得た。これを実施例1と同様に分析、評価した結果を表1に示す。
[比較例1]実施例1で使用したa液とb液に替えて、ニッケルとコバルトの混合水溶液を用いた。すなわち、ニッケル濃度8.2重量%の硫酸ニッケル水溶液と、コバルト濃度8.2重量%の硫酸コバルト水溶液を重量比84:16の割合で混合し、この混合水溶液を沈殿槽に供給した。その他の条件を実施例1と同じにして、ニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物粉末を得た。これを実施例1と同様に分析、評価した結果を表1に示す。
[比較例2]実施例のc液の供給を変更した。すなわち、c液と水酸化ナトリウム水溶液を予め混合し、この混合水溶液を沈殿槽に供給した。その他の条件を実施例1と同じにしてリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末を得た。これを実施例1と同様に分析、評価した結果を表1に示す。
Figure 2017162620
実施例と比較例の分析、評価結果が示すように、本発明の製造方法で得られたリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物粉末を用いて製造されたリチウムイオン電池は初期放電効率とレート維持率が高く、しかもガス発生が抑制されている。
本発明のリチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末の製造方法は、良好な初期放電効率、レート特性及びガス発生が抑制されたリチウムイオン電池を与えるNCA系正極活物質の製造方法として有用である。本発明によって良好な初期放電効率とレート特性を示し、さらにガス発生が抑制されたリチウムイオン電池を提供することができる。
1 傾斜板沈降装置
2 ラメラ
3 溝
4 傾斜板沈降装置
5 ラメラ
6 レール系
7 固体粒子
8 ラメラ
9 直線
10 撹拌機
11 熱交換器
12 傾斜板沈降装置
13 反応器
14 ポンプ
15 スラリー流れ
16 循環ポンプ
17 ポンプ
18 循環容器
19 スラリー流れ
20 循環容器
21 ポンプ
22 ポンプ
23 硫酸ニッケル水溶液の供給ポンプ
24 硫酸コバルト水溶液の供給ポンプ
25 アルミン酸ナトリウム水溶液の供給ポンプ
26 水酸化ナトリウム水溶液の供給ポンプ
27 アンモニア水の供給ポンプ

Claims (2)

  1. 撹拌手段を備える反応器を用いてニッケル・コバルト・アルミニウム共沈水酸化物を製造する沈殿工程、
    ニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物からなる前駆体とリチウム化合物との混合物を焼成する工程とを含み、
    上記沈殿工程では、
    ニッケル原料としての硫酸ニッケル水溶液と、コバルト原料としての硫酸コバルト水溶液を、独立した異なる流路で反応器に供給し、
    アルミニウム原料としてのアルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水をそれぞれ独立した異なる流路で反応器に供給することを特徴とする、
    組成LiNiCoAl(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)を有するリチウムイオン電池正極活物質用リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末の製造方法。
  2. 上記沈殿工程で用いる反応器が傾斜板沈降装置を有し、出発物質溶液を前記反応器の反応帯域内への導入時に均質混合するために適合されており、
    前記傾斜板沈降装置が、前記反応帯域に直接接続されるように前記反応器と一体化され、かつ少なくとも1つのポンプを介して少なくとも1つの循環容器に接続され、
    前記反応器内の生成物懸濁液から前記少なくとも1つの循環容器まで濁った液体を吸引し、該濁った液体からフィルタエレメントを通して固体の微粒分級物を除去した後の液体を循環容器から取り出し、かつ反応器へ直接ポンプ返送することによって、前記反応器内の生成物懸濁液の粒度分布が、より高いD50値へ変位されることを特徴とする、
    請求項1に記載のリチウムイオン電池正極活物質用リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム酸化物粉末の製造方法。
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