JP2017188294A - リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末 - Google Patents

リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】 放電容量が高くレート特性とサイクル特性に優れたリチウムイオン電池正極活物質の提供
【解決手段】
組成LiNiCoAl(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子からなる粉末。該粉末の平均粒子径(体積平均径)が、13.5μm以上21μm以下であり、該粉末の窒素吸着によるBET法での比表面積が0.2m/g以上0.65m/g 以下である。
【選択図】なし

Description

本発明はリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末と、これを正極に用いたリチウムイオン電池に関する。
リチウムイオン電池の歴史は古く、その商業生産は1990年代に始まっている。しかしながら、リチウムイオン電池の開発は、2000年以降の携帯端末、スマートフォン、電気自動車などの普及によって本格的に発展したと言ってよい。リチウムイオン電池は、他の電池と同様に正極、負極、電解質、外装体を主な構成部材とするが、中でも正極に用いられる正極活物質はリチウムイオン電池の電池性能を左右する重要な材料である。すでにリチウムイオン電池に用いられる正極活物質として様々なリチウム系金属酸化物が見出されている。
これまで、携帯端末、スマートフォン、電気自動車の低コスト化、長時間使用を達成するために、高出力のリチウムイオン電池のための正極活物質が提案されてきた。その一方で、リチウムイオン電池を搭載する携帯端末、スマートフォン、電気自動車には安全性と耐久性も求められるため、正極活物質には高い耐熱性や電池本体の変形を引き起こさないという性質が要求される。このような要求を満足するために様々なリチウムイオン電池用正極活物質が提案されている。これまでに、コバルト酸リチウムに代表されるコバルト系正極活物質、Li,Ni,Coを含む複合酸化物を用いたニッケル系正極活物質が用いられてきた。
ニッケル系正極活物質の中でもLi,Ni,Co,Alを含む複合酸化物を用いたNCA系正極活物質は、高エネルギー密度の電極を製造できるという利点がある。コバルト系正極活物質に比べてNCA系正極活物質はより高い放電容量を示し、概ねその放電容量は190mAh/gを超える。しかしながら、NCA系正極活物質自体の密度が低く電極密度を増大させることが困難であるため、NCA系正極活物質の単位体積あたりの放電容量は未だ十分に向上されていない。しかもNCA系正極活物質の場合には、十分なレート特性、サイクル特性が得られないという問題点がある。
特許文献1には、NCA系正極活物質のレート特性とサイクル特性を向上する方法として、リチウム元素とジルコニウム元素を含む酸化物で正極活物質粒子を被覆する方法が記載されている。しかしながらこの方法では正極活物質の製造工程にリチウム元素とジルコニウム元素を含む酸化物による被覆工程という新たな工程が追加されることになり、製造コストの面で問題がある。
ところで、ニッケル系正極活物質は、一般的には、前駆体としてのニッケル−コバルト複合水酸化物と必要に応じて使用するアルミニウムなどの微量元素を含む化合物、リチウム化合物とからなる混合物を焼成して得られる。ニッケル系正極活物質の性能は焼成に用いた前駆体の粒度分布などの性状が大きく関与していることが知られている。そこで、より優れた正極活物質の前駆体として有効なニッケル−コバルト複合水酸化物を製造するための様々な方法が提案されている。例えば特許文献2には、傾斜板沈降装置を有する反応器を用いて球状で規則的な粒子形状を有するニッケル−コバルト複合水酸化物複合水酸化物を製造することが記載されている。特許文献2に開示された製造方法はニッケル及びコバルトを含む複合水酸化物を製造するための汎用性の高い手段ではある。しかし、近年特に注目されているNCA系正極活物質の前駆体の製造に特化した最適化はなされていなかった。
特開2014−116149号公報 特許第5227306号公報
本発明は、放電容量が大きく、かつサイクル特性、レート特性共に優れたNCA系正極活物質を得ることを目的とする。
本発明者らは、ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の製造における膨大な条件を再検討した。その結果、該複合酸化物粉末の平均粒子径(体積平均径)が、13.5μm以上21μm以下であり且つ、窒素吸着によるBET法での比表面積が0.2m/g以上0.65m/g以下であるリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末が、高い放電容量を持ち且つサイクル特性、レート特性に優れたNCA系正極活物質が得られることを発見した。すなわち本発明は以下のものである。
(発明1) 組成LiNiCoAl(ここで、a=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子からなる粉末であり、該粉末の平均粒子径(体積平均径)が、13.5μm以上21μm以下であり、該粉末の窒素吸着によるBET法での比表面積が0.2m/g以上0.65m/g 以下である、リチウムイオン電池正極活物質用リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末。
(発明2) 水洗されたものである、発明1のリチウムイオン電池正極活物質用リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末。
(発明3) 発明1または2のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末を正極活物質として用いたリチウムイオン電池。
本発明により高放電容量でレート特性とサイクル特性が優れるNCA系正極活物質とこれを用いたリチウムイオン電池が提供される。
本発明の製造で使用可能な傾斜板沈降装置の例を模式的に表す。 本発明の製造で使用可能な傾斜板沈降装置の例を模式的に表す。 本発明の製造で使用可能な傾斜板沈降装置の機能を理解するための模式図。 本発明の製造で使用可能な反応器とその付属装置を模式的に表す。
本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末は、前駆体であるニッケル−コバルト複合水酸化物にアルミニウム化合物とリチウム化合物とを混合してなる被焼成物を焼成し、焼成物を水洗して得られる。以下、その製造方法を詳述する。
[1 前駆体の製造]
組成LiNiCoAl(ここで、a=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の前駆体であるニッケル・コバルト複合水酸化物を共沈法によって製造する工程である。
(1−1 原料調製) 本発明ではニッケル原料として硫酸ニッケル、コバルト原料として硫酸コバルトを用いる。硫酸ニッケルと硫酸コバルトは予め混合水溶液として準備され、反応器に供給される。混合水溶液液中の硫酸ニッケル濃度は好ましくは15重量%以上30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上25重量%以下に調整される。混合水溶液液中の硫酸コバルト濃度が15重量%以上、25重量%以下、さらに好ましくは18重量%以上23重量%以下に調整される。共沈反応ではこのほかにアルカリ調節剤として苛性ソーダ(NaOH)水溶液と、錯化剤としてアンモニア水を供給する。これらは硝酸ニッケルと硝酸コバルトの混合水溶液とは異なる流路で反応器に供給される。
(1−2 沈殿工程) 硝酸ニッケルと硝酸コバルトの混合水溶液、アルカリ調節剤、錯化剤を反応器に供給し、ニッケル−コバルトの複合水酸化物(以下「複合水酸化物」)を共沈物として製造する。反応器内の水溶液のpHは共沈反応に適当な範囲、一般的には7〜14、好ましくは9〜12の範囲に制御される。反応液の温度は複合水酸化物が生成する温度であれば制限はないが、生成する粒子の求める平均粒径の範囲から40℃以上が一般的である。反応器本体の形状や材質に特に制限はなく、いわゆるタンク形状のステンレス容器が制限なく使用される。反応液の温度が高いと水への金属成分の溶解度が増大し微粒子が消失するため複合水酸化物の粒子成長が進み、比較的大粒径の複合水酸化物が生成する。反応液の温度が低いと比較的小粒径の複合水酸化物が生成する。
反応器内部には撹拌手段が設けられている。撹拌手段に特に制限はない。モーターで回転数を制御される撹拌翼であれば、プロペラ、パドル、フラットパドル、タービン、コーン、スクリュー、リボンなど各種の形状のものを使用することができる。撹拌強度を制御することによって複合水酸化物の粒子の大きさを調節することができる。撹拌強度が大きいと複合水酸化物の平均粒子径が小さくなり、撹拌強度が小さいと複合水酸化物の平均粒子径が大きくなる。
反応器には、生成した複合水酸化物スラリーの抜出口が設けられる。抜出口の位置は、反応器の上部から底部にかけて任意の位置でよい。抜出口にはスラリーを反応器外に導く管と、この管に連結するポンプが連結する。沈殿反応が定常状態に達すると、ポンプによって一定流量でニッケル−コバルト複合水酸化物スラリーが反応器から取り出され、次の乾燥工程に移される。
反応器には、複合水酸化物スラリーを固体画分と液体画分に分離する装置(分離装置)が連結する。分離機構としては、遠心分離装置やフィルターなどが用いられる。ポンプと吸引パイプを用いて一定量の複合水酸化物スラリーが反応器から吸引され、分離機構まで送られる。分離機構で、複合水酸化物スラリーはニッケル−コバルト複合水酸化物の粒子からなる固体画分と、水溶液とニッケル−コバルト複合水酸化物の微粒子からなる液体画分とに分離される。分離された液体画分の一部は反応器の外に排出され、残りの液体画分と固体画分は反応器内に戻される。このように分離機構を介してスラリーが反応器内外を循環する。このようなスラリーの循環によって反応器内の複合水酸化物の濃度を制御することができる。反応器内のスラリーの固体濃度が50g/L以上に制御されれば、生産効率上は問題がない。分離機構で一定範囲の平均粒子径を有する固体粒子を除去することで、得られる複合水酸化物の平均粒子径を制御することができる。
沈殿工程では、本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子に近い大きさの固体粒子粒径の固体として複合水酸化物を生成させる必要がある。すなわち、沈殿工程で、反応液の温度、撹拌強度、スラリー濃度を調整して、平均粒子径が10μm以上21μm以下、好ましくは12μm以上17μm以下に制御された複合水酸化物を製造する。
(1−3 反応装置) このような複合水酸化物スラリーの吸引、分離、循環を、特許第5227306号公報に開示された傾斜板沈降装置を用いて行うと効率的である。傾斜板沈降装置は、溶液から固体を沈殿させることにより化合物を製造するための装置及び方法に使用される。傾斜板沈降装置を備える沈殿装置を用いると、沈殿の際に形成される固体の粒子の物理的及び化学的な性質が極めてフレキシブルに及び互いに独立して調節されることができ、テーラーメードの生成物が極めて高い空時収率で製造される。
傾斜板沈降装置は、複合水酸化物が生成する反応器に接続され、反応器内のスラリーから、固体画分と水溶液と微粒子とからなる液体画分を分離し、スラリーの一部を反応器に返送することのできる、反応器・ろ過器系(IRKS)である。傾斜板沈降装置を備えるIRKSの使用によって、化合物の沈殿後に生成物及び母液からなる生成物スラリーが、傾斜板沈降装置を経て母液及び微粒子が除去されるので、スラリーの固体濃度が増大する。
反応器には、開口部が設けられていてよく、これを経て場合によりポンプを用いてあるいはオーバーフローにより、スラリーを取り出すことができ、かつ反応器へポンプ返送することができる。均質な沈殿生成物を得るためには、出発物質の反応器中への投入の際、良好に混合されることが重要である。この反応器は、撹拌反応器としても操作することができる。傾斜板沈降装置が設置されたIRKS中の沈殿プロセスは、目的物に応じて温度を調整することができる。IRKSにおけるプロセス温度は、必要な場合には、熱交換器を介して加熱もしくは冷却により制御される。
傾斜板沈降装置の分離性能を高めるために、1つ又はそれ以上のラメラが取り付けられることができ、それらの上で固体粒子は、これらが沈降によってラメラの表面に達した後に、ラメラの下方へ滑り落ち反応スラリー中に戻る。傾斜板沈降装置に設けられたラメラは図1、図2に模式的に表される。
ラメラ(2、5)は傾斜板沈降装置(1、4)中でその床面に対して平行平面に配置されている。ラメラは、プラスチック、ガラス、木材、金属又はセラミックからなっていてよい長方形のプレートである。ラメラ(2、5)の厚さは、材料及び生成物に依存して10cmまでであってよい。好ましくは、0.5〜5cm、特に好ましくは0.5〜1.5cmの厚さを有するラメラが使用される。ラメラ(2、5)は、傾斜板沈降装置(1、4)中に固定して取り付けられる。これらは、取り外し可能であってもよい。この場合に、これらは、傾斜板沈降装置(1、4)の内側に側面で取り付けられたレールシステム(6)又は溝(3)を介して、傾斜板沈降装置(1、4)中へ入れられる。前記レールシステム(6)の高さが調節可能に設計されていてもよく、それにより傾斜板沈降装置(1、4)にラメラ(2、5)の間隔の選択に関して大きなフレキシビリティーが付与される。傾斜板沈降装置は、丸い断面を有する円筒形に又は四角形の断面を有する平行六面体形に構成されていてよい。粒子の滑り落ちが傾斜板沈降装置の閉塞なく機能するために、傾斜板
沈降装置の角度は水平面に対して20〜85゜、好ましくは40〜70゜及び特に好ましくは50〜60゜である。傾斜板沈降装置は、フレキシブルな結合部を介して反応器に取り付けられていてもよい。この実施態様の場合に、角度はプロセス中に可変に調節することができる。
傾斜板沈降装置によるIRKSの機能様式をよりよく理解するために、以下に、図3に基づいて詳細に説明する。固体粒子(7)は、傾斜板沈降装置中で、それらの形状及びサイズに応じて、一定速度で下の方へ沈降する。例えばストークス摩擦を前提とするならば、有効重力によって引き起こされる球状粒子の沈降速度は、粒子直径の2乗に比例する。この速度は傾斜板沈降装置中の層流の速度の上方成分と重なり合っている。沈降速度が液体流の上方成分よりも小さいか又は同じである全ての固体粒子は、ラメラ(8)の表面又は傾斜板沈降装置の床面までは沈降することはできず、かつ最終的に傾斜板沈降装置の溢流と共に排出される。
粒子の沈降速度が液体流の上方成分よりも大きい場合には、粒子の下方運動は一定の沈降速度で生じる。そのように粒子が流体流と共に傾斜板沈降装置から排出されるかどうかは、液体の一定流量で、傾斜板沈降装置に入る際の粒子とラメラの垂直方向の間隔に、並びに傾斜板沈降装置の長さ及び傾斜角度に依存する。臨界粒子半径r0が存在することが容易にわかるので、r>r0を有する全ての粒子が、傾斜板沈降装置によって完全に保持される。図3中の直線(9)は、限界半径r0を有する粒子の軌跡を示す。半径がより大きい全ての粒子の軌跡は、水平面に対してより小さい角度を有し、故にラメラ又は床板上に確実に衝突する。これは、これらの粒子が保持されることを意味する。傾斜板沈降装置中の比、特に液体の流量を調節することにより、傾斜板沈降装置から溢流で除去される微粒子の粒子径の上限を調節することができる。
傾斜板沈降装置の溢流が、循環容器を経て撹拌反応器へ返送される限りは、全系では何も変わらない。ポンプを用いて、微粒子を含む希薄なスラリーの一部を循環容器から取り出す場合には、微粒子の設定された一部が排出され、かつ粒度分布を直接制御することができる。それにより粒度並びに粒度分布を、他のプラントパラメーターから独立して制御することができる。
循環容器中へ入る際の固体濃度が、通常は、反応器中の固体濃度に対し0.5〜5%である希薄なスラリーの抜き出しにより、反応器中のスラリーの固体濃度ももちろん同時に高められる。即ち、微粒含分の抜き出し共に、母液が抜き出されるからである。これは通例望ましいが、反応器中の固体濃度が低い水準に保持されるべき場合及び他の物質の流れの調節により固体濃度の増加を十分に打ち消されることができない場合には望ましくはない。量及び仕様に応じて、この微粒含分は引き続き、再び生成物スラリーと混合されることができる。反応器−ろ過器−系中での分離が決定的である。
この場合に、スラリーの固体濃度を高めるために、フィルタエレメントを経て、母液を循環容器から取り出し、かつ反応器へ直接ポンプ返送することが考えられる。同じ量の微粒を排出する際に、母液がより少なく取り除かれる。この際、粒径が粒度分布のD50値の30%を越えない粒子が微粒子と呼ばれる。循環容器中で前記系から母液をフィルタエレメントを介して取り出すことも有利でありうる。これにより、反応器中の固体含量を、第一に化学量論的な固体濃度の数倍に高めることができ、かつ第二に場合により沈殿反応の際に生じる中性塩の濃度と固体濃度との間の切り離しを達成することができる。反応器中の固体対塩の濃度比は、母液の取り出しの可能性により、例えば一定の塩濃度での固体濃度の増加によってだけでなく、一定の固体濃度で反応器に塩不含の溶剤が添加され、かつ同時に等量の母液が、フィルタエレメントを介して前記系から取り出すことによっても、増加することができる。
傾斜板沈降装置によるIRKSのフレキシビリティーの増加と同時に付加的な自由度の達成は、双方のパラメーター塩濃度及び固体含量の例で一般的な反応AX+BY→AY固体+BX溶解についてより詳細に説明される。AX及びBYは、出発物質溶液中の出発物質を表し、かつBXは母液中に溶解した塩を表す。AYは、不溶性固体として生じる生成物を表す。傾斜板沈降装置によるIRKSは、バッチ式に行われる沈殿に使用することができる。しかしながら好ましくは、このIRKSは連続式操作における沈殿プロセスにより好適に使用される。
傾斜板沈降装置は、さらに、沈殿による化合物の製造方法に関するものであり、前記方法において、個々のプロセスパラメーター、例えば(出発物質の濃度、スラリー中の固体含量、母液中の塩濃度)は、沈殿中に互いに独立して調節され、こうして沈殿プロセス中の粒度分布の制御が行われ、かつ最終的に定義された物理的性質を有するテーラーメードの生成物が特に経済的に及び極めて高い空時収率で製造される。
傾斜板沈降装置の対象は故に、次の工程からなる沈殿による化合物の製造方法である:
・少なくとも第一、第二及び第三の出発物質溶液を準備する工程、
・少なくとも第一、第二及び第三の出発物質溶液を反応器中で合一する工程、
・反応器中に均質混合される反応帯域を発生させる工程、
・反応帯域中で化合物を沈殿させ、不溶性生成物及び母液からなる生成物スラリーを製造する工程、
・沈殿した生成物から母液を、傾斜板沈降装置を介して部分的に分離する工程、
・沈殿生成物の濃度が化学量論的な濃度よりも高い沈殿生成物スラリーを製造する工程、
・生成物スラリーを反応器から取り出す工程、
・沈殿生成物をろ過、洗浄及び乾燥する工程。
傾斜板沈降装置による方法における出発物質溶液は、反応器中へ、ポンプ系を用いて導通される。これが撹拌反応器を備えた傾斜板沈降装置によるIRKSである場合には、出発物質は、撹拌機を使用しながら混合される。IRKSが噴流型反応器の形で設計されている場合には、出発物質の混合は、ノズルから出てくるジェットにより行われる。出発物質のさらにより良好な混合を達成するために、付加的に空気又は不活性ガスも、反応器中へ導通されていてよい。出発物質を混合するかもしくは均質化する間に既に、生成物及び母液が発生する沈殿反応が始まる。生成物スラリーは、反応器下部で所望の濃度まで高濃度化される。生成物スラリーの意図的な高濃度化を達成するために、傾斜板沈降装置による方法において、母液は、傾斜板沈降装置を介して、部分的に除去される。好ましくは、傾斜板沈降装置の溢流の取り出しによる母液の部分的な分離は、ポンプを用いて行われる。
傾斜板沈降装置による方法に従って、沈殿生成物の化学量論的に可能な濃度の数倍でありうる沈殿生成物スラリーの濃度が達成される。これは、可能な化学量論値よりも20倍まで高くできる。スラリー中の特に高い生成物濃度を達成するためには、大量の母液を部分的に除去することが必要である。それどころか95%までの母液が部分的に分離されることができる。部分的に分離すべき母液の量は、選択されたプロセスパラメーター、例えば出発物質濃度、母液の塩濃度並びにスラリーの固体濃度に依存する。
本発明の沈殿工程ではこのような傾斜板沈降装置を図4に模式的に示すように反応器に結合して複合水酸化物を製造することができる。
回転数を制御可能な撹拌装置としてパドル翼(10)、熱交換器(11)、傾斜板沈降装置(12)を備えた反応器(13)に、独立したパイプ及びポンプ(23)〜(27)からなる供給経路が接続する。ポンプ(23)〜(26)のそれぞれから連続的に硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液(金属水溶液)、アルカリ調節剤(苛性ソーダ水溶液)、錯化剤(アンモニア水)、純水が一体型反応器−濾過器−(IRKS)の反応帯域中へ搬送される。反応器(13)で生じるスラリーは、ポンプ(14)を用いて液位の調節装置を介して取り出される。大きな粒子が製造される場合に、沈降の危険を予防するために、循環ポンプ(16)を運転することは有利でありうる。
ポンプ(17)は、極めて低い濃度の微粒を有するスラリーを、撹拌機が備えられた循環容器(18)中へ搬送し、かつそこから反応器(13)中へ返送することができる。液体の体積流量及び傾斜板沈降装置の寸法決定に依存した分離サイズを下回る粒子のみが、循環容器(18)中へ搬送される。ポンプ(17)を用いて取り出された全ての濁った流れが、スラリー流れ(19)を経て返送される限りは、反応器(13)について全く何も変わらない。
循環容器(18)から澄明な母液を取り出し、かつこれを第二の循環容器(20)中へ搬送することによって母液及び/又は固体粒子を前記系から取り出すこともできる。 ポンプ(21)は第一の循環容器(18)から澄明な母液を取り出し、かつこれを第二の循環容器(20)中へ搬送する。第二の循環容器(20)内の溶液のpH値などを連続的に分析し、共沈反応器全体で母液の組成を制御することができる。また、第一の循環容器(18)に蓄積された澄明な母液をポンプ(22)によって排出することによって、澄明な母液に含まれるきわめて微粒の沈殿物を沈殿反応器から除去することもできる。
このような傾斜板沈降装置を用いて本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子を与える前駆体を製造する際には、反応液の温度を40℃〜70℃、好ましくは45℃〜65℃に、パドル翼の回転数を450rpm〜1000rpm、好ましくは500rpm〜800rpmに、スラリー濃度を100g/L以上、好ましくは100g/L〜400g/Lに制御する。
(1−4 複合水酸化物の分離・乾燥) 反応器内で目的量の原料が反応し終わった時点で、反応器の排出口からスラリーを取り出し、濾過する。こうして複合水酸化物を含む固体画分が分離される。さらに固体画分を洗浄する。洗浄は常法に従えばよく、アルカリ性水溶液と純水を用いて複合水酸化物に含まれる硫酸塩、アルカリ成分が十分除去されるまで洗浄する。こうして、水分を含む複合水酸化物が分離される。
次に、分離した水分を含む複合水酸化物を乾燥する。乾燥方法は、大気圧下での熱風乾燥、赤外線乾燥、高周波乾燥、真空乾燥などのいずれでもよい。短時間で乾燥することができる真空乾燥が好ましい。複合水酸化物中の水分が1重量%程度になるまで乾燥する。こうして、前駆体としてのニッケル・コバルト複合水酸化物の粉末が得られる。
[2 焼成]
前駆体粉末にリチウム原料を加え、酸素存在下で焼成する。アルミニウム原料としては水酸化アルミニウムが一般的である。リチウム原料としては水酸化リチウム粉末もしくは炭酸リチウム粉末が一般的である。前駆体粉末、アルミニウム原料、リチウム原料を、これら原料に含まれるLi、Ni、Co、Alのそれぞれの元素比が組成LiNiCoAl(ただしa=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)を満たす割合で混合する。混合は各種ミキサーを用いて剪断力をかけて行う。焼成する際に用いる焼成炉に制限はないが、管状炉、マッフル炉、RK(ロータリーキルン)、RHK(ローラーハースキルン)などが好ましい。特に好ましい焼成炉はRHKである。
焼成を複数回行うこともできる。いずれの回の焼成でも最高温度で2時間〜30時間保持して反応を完了させる。本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子を得るためには、焼成温度を700℃〜900℃、好ましくは750℃〜850℃の範囲として、焼成時間の合計を2時間〜20時間、好ましくは3時間〜15時間にして焼成する。
[3 水洗]
焼成後のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物を水洗して不純物を除去する。リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物と、その10重量%〜300重量%、好ましくは50重量%〜100重量%の水を混合して撹拌し、分散液を濾過して固体粒子を分離する。得られた固体粒子を乾燥して、目的のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子からなる粉末が得られる。
本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子の平均粒子径(体積平均径)は13.5μm以上21μm以下であり、好ましくは13.5μm以上17.7μm以下であり、更に好ましくは13.5μm以上15μm以下である。本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子の窒素吸着によるBET法での比表面積は0.2m/g以上0.65m/g以下であり、好ましくは、0.3m/g以上0.65m/g以下であり、更に好ましくは0.35m/g以上0.65m/g以下である。平均粒子径と比表面積が上記範囲にあることで、本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子からなる粉末を正極活物質として用いると、放電容量が高く、レート特性とサイクル特性に優れたリチウムイオン電池が得られる。
[リチウムイオン電池正極活物質]
得られたリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子からなる粉末を単独でリチウムイオン電池の正極活物質として用いることができる。あるいは、他のリチウムイオン電池用正極活物質を混合したものを正極活物質として用いてもよい。また、本発明の製造方法で粒径や組成の異なる複数種のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム酸化物粉末を製造し、これらの混合物を正極活物質として用いてもよい。
[ラミネート電池]
このようにして得られた正極活物質、導電助剤であるカーボンブラック、バインダー、溶媒を混合して正極合剤を調製し、この正極合剤を集電体に塗布、乾燥することによってリチウムイオン電池の正極を製造することができる。集電体としてアルミニウム箔を使用した薄膜状正極を、薄膜状負極と電解液と共に積層・封入して得られるラミネート電池は、小型化の要求に応えるリチウムイオン電池として有用である。
[実施例1] 以下に示す原料溶液及びその他の反応用液体を準備した。
・(金属塩水溶液)ニッケルを濃度8.2重量%で含む硫酸ニッケル水溶液92.5重量部とコバルトを濃度8.2重量%で含む硫酸コバルト水溶液7.5重量部とを混合した混合水溶液。
・(錯化剤)アンモニアを濃度25重量%で含むアンモニア水
・(pH調節剤)水酸化ナトリウムを濃度25重量%で含む水酸化ナトリウム水溶液。
・純水
図4に示す沈殿槽内に濃度16重量%の硫酸ナトリウム水溶液を満たし、傾斜板沈降装置を介して水溶液を循環させながら撹拌回転数を550rpm、反応液の温度を60℃に維持した。上記金属塩水溶液、錯化剤、pH調整剤を各々別々に供給し、共沈反応を開始した。
反応液のpHを11.0以上11.5の範囲内に制御して複合水酸化物の生成反応を進行させた。固体濃度が200g/Lに達しさらに安定するまで、母液の抜き出し及びスラリーの抜き出しを行った。原料の供給開始から72時間沈殿工程設備を連続運転した後、複合水酸化物を含むスラリーの採取を開始した。スラリーの採取は、ポンプ14を介して抜き出しを行った。得られた複合水酸化物スラリーを濾過、洗浄して、平均粒径13.9μmの複合水酸化物を得た。これを大気中80℃で乾燥した。こうして前駆体としてニッケル−コバルト複合水酸化物粉末が得られた。
上記ニッケルーコバルト複合水酸化物1950g当たり水酸化アルミニウム50g、水酸化リチウム513.0gを加えせん断力を加えながら混合することを2回繰り返した。 上記混合物4000gを取り焼成用セラミックス製匣鉢に充填した。匣鉢に充填した混合物を酸素中、775℃で4時間保持した後、室温まで冷却し、更に770℃まで昇温し10時間保持して焼成した。焼成物を解砕し、解砕物200gに対し水100gを加え、3分間混合、吸引濾過を行った後、500℃で5時間、乾燥させた。こうして組成Li1.013Ni0.902Co0.073Al0.025を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末を得た。得られた正極活物質の評価結果及び、ラミネート電池の評価結果を表1に示す。尚、活物質粉末及びラミネート電池は下記に示した方法にて評価した。
(平均粒径) 得られたリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物をJIS Z 8801−1:2006に規定される公称目開き53μmの標準篩を通過させた。ただし、粒子の凝集がない場合はそのまま篩にかけ、粒子の凝集が見られた場合には乳鉢による解砕を行ってから篩にかけた。篩を通過したリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粒子の平均粒子径(D50)を堀場製作所製レーザー散乱型粒度分布測定装置LA−950を用いて測定した。
(比表面積) 得られたリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物約10gを秤量し比表面積測定装置(カンタクローム社製 NOVA4200e)に設置し、200℃で脱気を行った後、液体窒素温度での窒素吸着によるBET法にて比表面積を測定した。
(正極の製造) 得られたリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末100重量部、導電助剤としてのアセチレンブラック1重量部及びグラファイトカーボン5重量部、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン4重量部を、分散媒としてのN−メチルピロリドンと共に混合して正極合剤を得た。この正極合剤を集電体であるアルミニウム箔に50μm厚で塗布、乾燥して、正極を製造した。
(ラミネート電池の製造)人造黒鉛(MAG−D)98重量部、バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量部、スチレンブタジエン共重合物(SBR)1重量部を、分散媒としての水と共に混合して負極合剤を得た。この負極合剤を集電体である銅箔に塗布、乾燥し負極を製造した。LiPFを1モル/Lの濃度で溶解したエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニルカーボネート(VC)を、重量比(EC:EMC:VC)が50:50:1となるように混合して電解液を製造した。上述の正極、負極、電解液を積層、封入してラミネート電池を製造した。
(初期放電容量) 4.2Vから3.0Vの間での0.1C放電を行った際の容量を初期放電容量とした。
(レート維持率) 初期充放電容量を確認した後の電池を0.2Cレートで充電した後、0.2Cレートで放電を行った際の放電容量を0.2Cでの放電容量とした。その後更に、0.2Cレートで充電した後、2.0Cレートで放電を行った際の放電容量を2.0Cでの放電容量とした。レート維持率を以下の式で求めた。
レート維持率(%)=(2.0C放電容量÷0.2C放電容量)×100
(サイクル維持率) 初期放電容量を確認した後の電池を充電1.0C、放電0.5Cで50サイクル繰り返した後の50サイクル目の1サイクル目に対する容量を百分率で表したものをサイクル維持率とした。
サイクル維持率(%)=(50サイクル目の放電容量÷1サイクル目の放電容量)×100
[実施例2] 正極活物質製造の際、焼成物の水洗工程で実施例1の水洗条件を変更した。即ち、焼成物を解砕し、解砕物130gに対し水130gを加え、3分間混合、吸引濾過を行った後、乾燥した。それ以外は実施例1に則り、評価を行った。得られた正極活物質の評価結果及び、ラミネート電池の評価結果を表1に示す。
[実施例3] 以下に示す原料溶液及びその他の反応用液体を準備した。
・(金属塩水溶液)ニッケルを濃度8.2重量%で含む硫酸ニッケル水溶液84重量部とコバルトを濃度8.2重量%で含む硫酸コバルト水溶液16重量部とを混合した混合水溶液。
・(錯化剤)アンモニアを濃度25重量%で含むアンモニア水
・(pH調節剤)水酸化ナトリウムを濃度25重量%で含む水酸化ナトリウム水溶液。
・純水
図1に示す沈殿槽内に濃度16重量%の硫酸ナトリウム水溶液を満たし、傾斜板沈降装置を介して水溶液を循環させながら撹拌回転数を400rpm、反応液の温度を65℃に維持した。上記金属塩水溶液、錯化剤、pH調整剤を各々別々に供給し、共沈反応を開始した。
反応液のpHを11.0以上11.5の範囲内に制御して複合水酸化物の生成反応を進行させた。固体濃度が200g/Lに達しさらに安定するまで、母液の抜き出し及びスラリーの抜き出しを行った。原料の供給開始から72時間沈殿工程設備を連続運転した後、複合水酸化物を含むスラリーの採取を開始した。スラリーの採取は、ポンプ5を介して抜き出しを行った。得られた複合水酸化物スラリーを濾過、洗浄して、平均粒径13.9μmの複合水酸化物を得た。これを真空中120℃で乾燥した。こうして前駆体としてニッケル−コバルト複合水酸化物粉末が得られた。
上記ニッケル−コバルト複合水酸化物1960g当たり水酸化アルミニウム40g、水酸化リチウム533.7gを加えせん断力を加えながら混合することを2回繰り返した。 上記混合物4000gを取り焼成用セラミックス製匣鉢に充填した。匣鉢に充填した混合物を酸素中、765℃で5時間保持して焼成した。焼成物を解砕し、解砕物150gに対し水150gを加え、3分間混合、吸引濾過を行った後、乾燥させた。こうして組成Li1.050Ni0.82Co0.16Al0.02を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末を得た。得られた正極活物質の評価結果及び、ラミネート電池の評価結果を表1に示す。
[実施例4] 正極活物質製造の際、焼成工程で実施例3の条件を変更した。即ち、焼成温度を800℃で8時間保持して焼成した。それ以外の条件は実施例3と同じであった。得られた正極活物質の評価結果及び、ラミネート電池の評価結果を表1に示す。
[実施例5] 正極活物質製造の際、原料混合比、焼成工程で実施例3の条件を変更した。即ち、実施例3で得られた、ニッケル−コバルト複合水酸化物(平均粒径13.9μm)1960g当たり水酸化アルミニウム40g、水酸化リチウム508.3gを加えせん断力を加えながら混合することを2回繰り返した。上記混合物4000gを取り焼成用セラミックス製匣鉢に充填した。匣鉢に充填した混合物を酸素中、765℃で8時間保持して焼成した。焼成物を解砕し、解砕物100gに対し水100gを加え、3分間混合、吸引濾過を行った後、乾燥した。こうして組成Li1.00Ni0.82Co0.16Al0.02を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末を得た。得られた正極活物質の評価結果及び、ラミネート電池の評価結果を表1に示す。
[実施例6] 正極活物質製造の際、原料混合比、焼成工程で実施例3の条件を変更した。即ち、実施例3で得られた、ニッケル−コバルト複合水酸化物(平均粒径13.9μm)1960g当たり水酸化アルミニウム40g、水酸化リチウム508.3gを加えせん断力を加えながら混合することを2回繰り返した。上記混合物4000gを取り焼成用セラミックス製匣鉢に充填した。匣鉢に充填した混合物を酸素中、800℃で10時間保持して焼成した。焼成物を解砕し、解砕物100gに対し水100gを加え、3分間混合、吸引濾過を行った後、乾燥した。こうして組成Li1.00Ni0.82Co0.16Al0.02を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末を得た。得られた正極活物質の評価結果及び、ラミネート電池の評価結果を表1に示す。
[比較例1] 正極活物質製造の際、原料混合比、焼成工程及び水洗工程で実施例3の条件を変更した。即ち、実施例3で得られた、ニッケル−コバルト複合水酸化物(平均粒径13.9μm)1960g当たり水酸化アルミニウム40g、水酸化リチウム521.0gを加えせん断力を加えながら混合することを2回繰り返した。 上記混合物4000gを取り焼成用セラミックス製匣鉢に充填した。匣鉢に充填した混合物を酸素中、780℃で5時間保持して焼成した。焼成物を解砕し、解砕物100gに対し水400gを加え、3分間混合、吸引濾過を行った後、乾燥した。こうして組成Li1.025Ni0.82Co0.16Al0.02を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末を得た。得られた正極活物質の評価結果及び、ラミネート電池の評価結果を表1に示す。
[比較例2] 正極活物質製造の際、原料混合比、焼成工程で実施例3の条件を変更した。即ち、実施例3で得られた、ニッケル−コバルト複合水酸化物(平均粒径13.9μm)1960g当たり水酸化アルミニウム40g、水酸化リチウム518.4gを加えせん断力を加えながら混合することを2回繰り返した。上記混合物4000gを取り焼成用セラミックス製匣鉢に充填した。匣鉢に充填した混合物を酸素中、780℃で4時間保持した後、室温まで冷却後、770℃で18時間保持して焼成した。焼成物を解砕し、解砕物150gに対し水150gを加え、3分間混合、吸引濾過を行った後、乾燥した。こうして組成Li1.02Ni0.82Co0.16Al0.02を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末を得た。得られた正極活物質の評価結果及び、ラミネート電池の評価結果を表1に示す。
Figure 2017188294
表1が示すように、本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末は、平均粒径と比表面積が制御されており、残留リチウム量が低減されている。このような本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末をリチウムイオン電池の正極活物質として用いたリチウムイオン電池は、大きな放電容量を持ち、且つレート特性とサイクル特性の何れもが優れている。
本発明のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末は、放電容量が大きく、サイクル特性、レート特性共に優れたリチウムイオン電池の正極活物質として有用である。本発明は放電容量が大きく、サイクル特性、レート特性共に優れたリチウムイオン電池の製造に貢献することができる。
1 傾斜板沈降装置
2 ラメラ
3 溝
4 傾斜板沈降装置
5 ラメラ
6 レールシステム
7 固体粒子
8 ラメラ
9 直線
10 パドル翼
11 熱交換器
12 傾斜板沈降装置
13 反応器
14 ポンプ
15 スラリー流れ
16 循環ポンプ
17 ポンプ
18 循環容器
19 スラリー流れ
20 循環容器
21 ポンプ
22 ポンプ
23 金属水溶液の供給ポンプ
24 錯化剤の供給ポンプ
25 pH調整剤の供給ポンプ
26 純水の供給ポンプ

Claims (3)

  1. 組成LiNiCoAl(ここで、a=0.8〜1.2、b=0.7〜0.95、c=0.02〜0.2、d=0.005〜0.1であり、かつ、b+c+d=1である。)を有するリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物の粒子からなる粉末であり、
    該粉末の平均粒子径(体積平均径)が、13.5μm以上21μm以下であり、
    該粉末の窒素吸着によるBET法での比表面積が0.2m/g以上0.65m/g 以下である、
    リチウムイオン電池正極活物質用リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末。
  2. 水洗されたものである、請求項1に記載のリチウムイオン電池正極活物質用リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末。
  3. 請求項1または2に記載のリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物粉末を正極活物質として用いたリチウムイオン電池。
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