JP2017161819A - マゼンタトナーおよびマゼンタトナーの製造方法 - Google Patents

マゼンタトナーおよびマゼンタトナーの製造方法 Download PDF

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伊知朗 菅野
Ichiro Sugano
伊知朗 菅野
橋本 武
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武 橋本
浜 雅之
Masayuki Hama
雅之 浜
小松 望
Nozomi Komatsu
望 小松
小堀 尚邦
Naokuni Kobori
尚邦 小堀
藤川 博之
Hiroyuki Fujikawa
博之 藤川
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Abstract

【課題】高温高湿下で用いた場合や長期間に渡り使用した場合においても、着色力が高く、色再現性、帯電性に優れたマゼンタトナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂、樹脂組成物、着色剤を含有するマゼンタトナーにおいて、着色剤は、化合物(1)を含有し、結着樹脂は、ポリエステルユニットを有する樹脂を含有し、全結着樹脂中のポリエステルユニットを有する樹脂の含有率が50質量%以上100質量%以下で、ポリエステルユニットを有する樹脂の酸価が20mgKOH/g以下であり、樹脂組成物は、ビニル系樹脂成分と脂肪族系炭化水素化合物が反応した構造を有する。
Figure 2017161819

【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式に用いられるマゼンタトナーおよびマゼンタトナーの製造方法に関する。
近年、電子写真方式のカラー画像形成装置が急速に普及されるのに従い、その用途も多種多様に広がり、従来よりも画像品質への要求も高まってきている。例えば、パーソナル・ユーザーを対象としたコンピューター機器の低価格化に伴い、フルカラーによる映像コミュニケーションが幅広く浸透してきている。その出力手段の一つであるプリンターや複写機のごとく画像形成装置においても、微細な部分に至るまで、忠実に再現することが要求されてきている。
それに伴い、色の鮮やかさについての要求も高まってきており、色再現範囲の拡張が求められている。さらに昨今では、印刷分野への進出も著しく、電子写真方式の出力画像においても、印刷速度の向上と同時に、印刷の品質と同等以上の高精彩、高精細、粒状性等の画像品質が要求されるようになってきている。同時にプリントスピードの向上や、ランニングコストの低減、使用環境に依らない画像品質の安定性なども求められ、これら多岐にわたる要求特性を満足するトナーが要望されている。
一般に電子写真方式は、感光体上に電気的な潜像を形成し、次いで該潜像をトナーによって現像し、紙などのメディアにトナー画像を転写した後、定着手段によって加熱および/または加圧によって定着し、カラー画像を得るものである。フルカラー画像の場合、色材の3原色である、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーの3色の有彩色トナー、又はそれにブラックトナーを加えた4色のトナーで色再現を行うものである。
特にマゼンタトナーにおいては、イエロートナーを加えて人間の視覚感度が高い赤色を再現するために重要であるばかりか、例えば、複雑な色調を持つ人物像の肌色を再現する際には優れた現像性も要求される。また、シアントナーを加えてビジネスカラーとして使用頻度の高い青色の2次色再現を達成されなければならない。
マゼンタトナー用顔料としては、様々な提案がされているが、色の鮮明性や耐光性に優れる点で、キナクリドン系の顔料であるジメチルキナクリドンが多く用いられている。ただし、ジメチルキナクリドンは着色力があまり高くないため、トナーの着色力を高めるためにトナーへ多量に添加する、あるいは他の顔料を併用する提案がなされてきた。
従来マゼンタトナーには、キナクリドン系着色剤、チオインジゴ系着色剤、キサンテン系着色剤、モノアゾ系着色剤、ペリレン系着色剤、及びジケトピロロピロール系着色剤等を単独又は混合して用いることが知られている。
着色剤を単独で用いたマゼンタトナーとしては、例えば、特許文献1にはキナクリドン系顔料を用いたトナー、特許文献2にはモノアゾ系顔料を用いたトナー、特許文献3にはジケトピロロピロール系顔料を用いたトナーが提案されている。
しかしながら、これらの着色剤は、マゼンタトナーに要求される全ての条件を満たしているわけではない。特に、マゼンタトナー用の顔料は分散性に劣るものが多いため、分散粒子が光を散乱させてしまい、定着画像の透明性、色再現性を低下させやすいという問題を有していた。加えて、トナーの色調、耐光性、帯電特性、更には画像形成装置とのマッチングに関しても改善の余地を残していた。
着色剤を混合したマゼンタトナーとしては、例えば、特許文献4にはキナクリドン系顔料とナフトール系顔料を併用したトナーが提案されている。
しかしいずれのトナーも、顔料の分散性が十分であるとは言えず、高温高湿下で用いた場合や長期間に渡り使用した場合における、着色力や色再現性、帯電性に改善の余地があった。
特開2013−88482号公報 特開平11−272014号公報 特開平2−210459号公報 特開2012−150163号公報
本発明は、上記の課題を解決したマゼンタトナーを提供することにある。具体的には、高温高湿下で用いた場合や長期間に渡り使用した場合においても、着色力が高く、色再現性、帯電性に優れたマゼンタトナーを提供することにある。
上記の課題は、下記の構成のマゼンタトナーにより解決することができる。
本発明は、結着樹脂、樹脂組成物、着色剤を含有するマゼンタトナーにおいて、
該着色剤は、化合物(1)を含有し、
該結着樹脂は、ポリエステルユニットを有する樹脂を含有し、全結着樹脂中の該ポリエステルユニットを有する樹脂の含有率が50質量%以上100質量%以下であり、
該ポリエステルユニットを有する樹脂の酸価が20mgKOH/g以下であり、
該樹脂組成物は、ビニル系樹脂成分と脂肪族系炭化水素化合物が反応した構造を有することを特徴とするマゼンタトナーに関する。
Figure 2017161819
[化合物(1)中、R1〜R3は、水素原子、若しくはハロゲン原子、又はアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アニリド基、及びスルファモイル基からなる群より選ばれる置換基を示し、
5〜R8は、水素原子、又はハロゲン原子、もしくはアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基からなる群より選ばれる置換基を示す。]
本発明により、高温高湿下で用いた場合や長期間に渡り使用した場合においても、着色力が高く、色再現性に優れたマゼンタトナーを提供することができる。
本発明のトナーは、結着樹脂、樹脂組成物、着色剤を含有するマゼンタトナーにおいて、該着色剤は、化合物(1)を含有し、該結着樹脂は、ポリエステルユニットを有する樹脂を含有し、全結着樹脂中の該ポリエステルユニットを有する樹脂の含有率が50質量%以上100質量%以下であり、該ポリエステルユニットを有する樹脂の酸価が20mgKOH/g以下であり、該樹脂組成物は、ビニル系樹脂成分と脂肪族系炭化水素化合物が反応した構造を有することを特徴とする。
Figure 2017161819
[化合物(1)中、R1〜R3は、水素原子、若しくはハロゲン原子、又はアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アニリド基、及びスルファモイル基からなる群より選ばれる置換基を示し、
5〜R8は、水素原子、又はハロゲン原子、もしくはアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基からなる群より選ばれる置換基を示す。]
本発明者らは、マゼンタ着色剤が、化合物(1)を含有し、かつ結着樹脂として使用するポリエステルユニットを有する樹脂の含有量及び酸価がそれぞれ特定の範囲にあること、さらにビニル系樹脂成分と脂肪族系炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物をトナー中に含有することで、着色力が高く、色再現性、帯電性に優れたトナーとなることを見出した。
このような構成を有する本発明のトナーを用いることによる作用効果について、本発明者らは以下のように考える。
本発明のトナーは、着色剤として化合物(1)、酸価が20mgKOH/g以下のポリエステルユニットを有する樹脂、及びビニル系樹脂成分と脂肪族系炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物を含有する。化合物(1)と該ポリエステルユニットを有する樹脂との相互作用、および化合物(1)と該樹脂組成物との相互作用が発現すると考えている。
本発明のトナーは、これらの相互作用により、トナー中における化合物(1)の分散性が向上することで、着色力が高く、色再現性、帯電性に優れるものと本発明者らは推定している。この理由については明らかではないが、本発明者らは以下のように考える。
化合物(1)は、ナフトール系顔料であり、従来用いられてきたナフトール系顔料と比較して、疎水性の高い官能基を有している。そのため、顔料としての疎水性が比較的高く、同じく疎水性の高い酸価が20mgKOH/g以下のポリエステルユニットを有する樹脂との親和性が高い。
また、本発明に用いられるビニル系樹脂成分と脂肪族系炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物のビニル系樹脂成分の構成単位としては、スチレン系単位、エステル系単位、さらにはアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの如きニトリル基を含んでいる。ニトリル基は比較的極性が高い官能基であるため、同じくハロゲン基など多くの官能基を有した極性の高い化合物(1)との馴染みが良くなっていると考えている。そのため、トナーの製造工程において、化合物(1)を含む顔料が結着樹脂中に微分散し、優れた着色力と色再現性を有するマゼンタトナーを得ることができる。さらに、トナー粒子表面における顔料の偏在も抑制されるため、トナー粒子の摩擦帯電性が向上したと考える。
本発明の着色剤は、化合物(1)を含有することが必要で、化合物(1)は単独で使用しても良いが、他のマゼンタ顔料及び染料を併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
本発明において、C.I.ピグメントレッド238や269のような化合物(1)と組み合わせる他の顔料としては、キナクリドン顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド122が特に好ましい。化合物(1)と併用した場合には、トナー粒子中での分散性が高まり、トナーの着色力、帯電性が高まる。
更に、本発明に係る化合物(1)は、従来公知の方法により、その表面処理剤やロジン化合物で処理されていても良い。特にロジン化合物による処理は顔料の再凝集を防止するので、トナー粒子中での顔料の分散性が向上し、更にはトナーの帯電性を好ましい状態にすることが出来る。
本発明に係る化合物(1)を好ましく処理出来るロジン化合物としては、トール油ロジン、ガムロジン、ロッドロジンの如き天然ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの如き変性ロジン、スチレンアクリルロジンの如き合成ロジン、更には、上記ロジンのアルカリ金属塩やエステル化合物を挙げることが出来る。特に、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、レボピマール酸及びパラストリン酸、及びこれらのアルカリ金属塩やエステル化合物が結着樹脂との相溶性の観点から好ましく、顔料の分散性を改善し、トナーの発色性が向上する。
上記の如きロジン化合物により、顔料組成物を処理する方法としては、(1)ロジン化合物と着色剤を乾式混合した後、必要に応じて溶融混練等の熱処理を施す乾式混合法が挙げられる。また、(2)着色剤製造時の着色剤の合成溶液中にロジンのアルカリ水溶液を加えた後、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、又はマンガンの如きレーキ金属塩を添加し、ロジンを不溶化することで着色剤表面に被覆処理を施す湿式処理法が挙げられる。
顔料組成物に対するロジン化合物の処理量は、顔料組成物中のロジン化合物が1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%となる程度であり、この処理量とすることによって、上記の如き特性を一層良好なものとすることが出来る。
また、本発明で用いる化合物(1)のpHは5.0以上8.0以下であることが好ましく、6.0以上7.0以下がより好ましい。pHが8.0以上であると、顔料と結着樹脂との相溶性が低下してしまうため、トナー中の顔料の分散性が悪化してしまう。また、pHが5.0未満であると、顔料自体の凝集が起こりやすくなり、トナー中の顔料の分散性が悪化してしまう。
なお、該pHは、顔料の精製工程における、上記表面処理剤の種類及び添加量や、表面処理の際の洗浄工程の時間を調整することによって上記の範囲にコントロールすることができる。
本発明のトナーにおける、化合物(1)を含む顔料の含有量は、結着樹脂100質量部に対して2.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。化合物(1)を含む顔料量が2.0質量部未満の場合、彩度・明度に優れる出力画像が得られるが、所望の濃度の出力画像を出すためには、紙上のトナーの載り量が多量に必要となるので実用的ではない。また、20.0質量部を超えた場合、所望の濃度の出力画像を出すために必要な紙上のトナーの載量は少なくなるが、顔料が凝集してしまう結果、色が濁ってしまうため、色再現性の範囲を広げることが困難である。
[結着樹脂]
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、特に限定されず、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
これらの中で、低温定着性、帯電性制御の観点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリエステル樹脂としては、「ポリエステルユニット」を結着樹脂鎖中に有している樹脂であり、該ポリエステルユニットを構成する成分は、長鎖脂肪酸、多価カルボン酸、及びそれらの酸無水物から選ばれる少なくとも1種を含有し、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とが挙げられる。
例えば、該2価以上のアルコールモノマー成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられるアルコールモノマー成分としては、芳香族ジオールであり、ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分において、芳香族ジオールは、80モル%以上の割合で含有することが好ましい。
一方、該2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられる酸モノマー成分としては、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸である。
また、該ポリエステル樹脂の酸価は、20mgKOH/g以下であることが、顔料の分散性及び摩擦帯電量の安定性の観点で好ましい。なお、該酸価は、樹脂に用いるモノマーの種類や配合量を調整することにより、上記範囲とすることができる。具体的には、樹脂製造時のアルコールモノマー成分比/酸モノマー成分比、分子量を調整することにより制御できる。また、エステル縮重合後、末端アルコールを多価酸モノマー(例えば、トリメリット酸)で反応させることに制御できる。
[ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物]
本発明のトナーは、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物をトナー粒子中に含有することが好ましい。
上記ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物としては、ビニル系樹脂成分にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したビニル系樹脂成分を有するグラフト重合体が特に好ましい。
上記ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物は、トナー製造時の混練工程や表面平滑工程において溶融した結着樹脂とワックスに対し界面活性剤的な働きをする。従って、該樹脂組成物は、トナー粒子中のワックスの一次平均分散粒径のコントロールや、必要に応じ熱風により表面処理を行う際のワックスのトナー表面への移行速度のコントロールができるため好ましい。
上記ビニル系樹脂成分にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したビニル系樹脂成分を有するグラフト重合体に関して、ポリオレフィンは二重結合を一つ有する不飽和炭化水素系モノマーの重合体または共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。特にポリエチレン系、ポリプロピレン系が好ましく用いられる。
一方、ビニル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体などのスチレン系モノマー。
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアミノ基含有α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などの窒素原子を含むビニル系モノマー。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物、及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を含むビニル系モノマー。
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどの水酸基を含むビニル系モノマー。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類などのアクリル酸エステルからなるエステル単位。
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類などのメタクリル酸エステルからなるエステル単位。
ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物は、前述したこれらのモノマー同士の反応や、一方の重合体のモノマーと他方の重合体との反応等、公知の方法によって得ることができる。
ビニル系樹脂成分の構成単位として、スチレン系単位、さらにはアクリロニトリル、またはメタアクリロニトリルを含むことが好ましい。
上記樹脂組成物中の炭化水素化合物とビニル系樹脂成分の質量比は1/99〜75/25であることが好ましい。炭化水素化合物とビニル系樹脂成分を上記範囲で用いることが、トナー粒子中へ顔料を分散させるために好ましい。
上記ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する樹脂組成物の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
また、該樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)は、6000以上8000以下であることが好ましく、数平均分子量(Mn)は1500以上5000以下であることが好ましい。
上記樹脂組成物を上記範囲で用いることが、トナー粒子中へ顔料を分散させるために好ましい。
[ワックス]
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐定着巻きつき性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。
該ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。また、トナーの保存性と高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
[荷電制御剤]
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
[外添剤]
本発明では、必要に応じて流動性向上や摩擦帯電量調整のために、更に外添剤が添加されていてもよい。当該外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムの如き無機微粒子が好ましい。該無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
用いられる外添剤の比表面積としては、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粒子が、外添剤の埋め込み抑制の観点で好ましい。
また、該外添剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。
トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
[製造方法]
本発明のトナーの製造方法は、特に限定されることなく、公知の製造方法を用いることができる。ここでは、粉砕法を用いたトナーの製造方法を例に挙げて説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂及びワックス、並びに必要に応じて着色剤、荷電制御剤等の他の成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
その後、必要に応じ選択された無機微粉体や樹脂粒子などの外部添加剤を加えて混合(外添)することにより、例えば流動性付与、帯電安定性を向上させ、トナーを得る。混合装置としては、撹拌部材を有する回転体と、撹拌部材と間隙を有して設けられた本体ケーシングとを有する混合装置によって行われる。
このような混合装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等が挙げられる。特に、均一に混合しシリカ凝集体をほぐすためには、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)が好ましく用いられる。
混合の装置条件としては、処理量、撹拌軸回転数、撹拌時間、撹拌羽根形状、槽内温度などが挙げられるが、所望のトナー性能を達成するために、熱処理トナー粒子の諸物性や添加剤の種類などを鑑みて適宜選定するものであり、とくに限定されるものではない。
さらには、例えば添加剤の粗大凝集物が、得られたトナー中に遊離して存在する場合などには、必要に応じて篩分機などを用いてもよい。
次に、本発明におけるトナー及び原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
<樹脂のピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料(樹脂)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
[樹脂の軟化点の測定方法]
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
[樹脂の酸価の測定方法]
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
[樹脂の水酸基価の測定方法]
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結着樹脂の試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
結着樹脂の試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:結着樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
[着色剤のpHの測定方法]
着色剤のpHは、JIS K5101−26.−1991に規定された方法に従って、以下の手順により、煮沸法により調製した顔料の水性懸濁液を用いて測定した。
試料5.0gを300mLの三角フラスコ中に小数点第1位の桁まで精秤し、次いで、この中に精製水100mLを加えた。該精製水としては、蒸留法またはイオン交換法により精製した水を、さらに約5分間煮沸して、溶存する二酸化炭素を脱気した精製水を用いた。精製水を加えた三角フラスコに栓をすることなく、約5分間加熱して煮沸状態にした後、さらに5分間煮沸を継続した。顔料の分散が困難な場合には、湿潤剤として、JIS K8102−1994で規定された純度95%のエタノール5〜10mLを三角フラスコに加え、試料を良く分散させた後、上記エタノールの量を含めて、加えた液量が100mLとなるように精製水を加えた。
5分間煮沸後、三角フラスコに栓をして常温まで放冷した。次いで、栓を開き煮沸により減少した量に相当する量の精製水を加え、再び栓をして1分間振り混ぜた。その後、三角フラスコを5分間静置して、顔料が分散された水性懸濁液を得た。
このようにして調製した水性懸濁液について、JIS Z8802−1958の7で規定された測定方法により、pHを測定した。測定に当って、電極を洗浄した後、JIS Z8802−1958の7に規定された手法により、pH計(HORIBA社製、商品名「F−51」)の調整を行った。次に、上記方法により調製した水性懸濁液から約20mLを分取し、その液温が±0.1℃以上変化しないようにしながら、上記pH計を用いて測定を行った。引き続いて測定した3回の結果が、±0.02以内の範囲で一致するまで行ったpHの測定値を平均して、着色剤のpH値とした。
[ワックスの最大吸熱ピークの測定]
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックス約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを示す温度を、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度とする。
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例に基づいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。
[結着樹脂1の製造例]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン76.9質量部(0.167モル)、テレフタル酸24.1質量部(0.145モル)、アジピン酸8.0質量部(0.054モル)及びチタンテトラブトキシド0.5質量部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸1.2質量部(0.006モル)を添加し、180℃で1時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂1を得た。
この結着樹脂1の酸価は5mgKOH/gであり、水酸基価は65mgKOH/gであった。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)8,000、数平均分子量(Mn)3,500、ピーク分子量(Mp)5,700、軟化点は90℃であった。
[結着樹脂2の製造例]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン71.3質量部(0.155モル)、テレフタル酸24.1質量部(0.145モル)、及びチタンテトラブトキシド0.6質量部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸5.8質量部(0.030モル%)を添加し、180℃で10時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂2を得た。
この結着樹脂2の酸価は15mgKOH/gであり、水酸基価は7mgKOH/gである。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)200,000、数平均分子量(Mn)5,000、ピーク分子量(Mp)10,000、軟化点は130℃であった。
[結着樹脂3の製造例]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン76.9質量部(0.167モル)、テレフタル酸25.0質量部(0.150モル)、フマル酸6.7質量部(0.058モル)及びチタンテトラブトキシド0.5質量部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸1.2質量部(0.006モル)を添加し、180℃で1時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂3を得た。
この結着樹脂3の酸価は5mgKOH/gであり、水酸基価は65mgKOH/gであった。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)8,000、数平均分子量(Mn)3,500、ピーク分子量(Mp)5,700、軟化点は90℃であった。
[結着樹脂4の製造例]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン76.9質量部(0.167モル)、テレフタル酸20.0質量部(0.120モル)、アクリル酸4.3質量部(0.060モル)及びチタンテトラブトキシド0.5質量部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸1.0質量部(0.005モル)を添加し、180℃で1時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂4を得た。
この結着樹脂4の酸価は0mgKOH/gであり、水酸基価は82mgKOH/gであった。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)8,000、数平均分子量(Mn)3,500、ピーク分子量(Mp)5,700、軟化点は92℃であった。
[結着樹脂5乃至8の製造例]
結着樹脂製造例4において、得られる結着樹脂の酸価を調整するために、無水トリメリット酸の添加量を、結着樹脂5では1.9質量部、結着樹脂6では3.5質量部、結着樹脂7では4.7質量部、結着樹脂8では5.3質量部に、それぞれ変更した以外は、結着樹脂製造例4と同様にして、結着樹脂5乃至8を得た。
結着樹脂1乃至8のポリエステルユニットのモノマー組成、酸価および水酸基価を表1に示す。
Figure 2017161819
[結着樹脂9の製造例]
・スチレン 80.00質量部
・アクリル酸−n−ブチル 20.00質量部
・2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロへキシル)プロパン
0.8質量部
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し130℃に昇温させた後3時間かけて滴下した。更にキシレン還流後下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去して、結着樹脂9を得た。得られた結着樹脂9の酸価は検出下限未満であった。またTgは56℃であり、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)50,000、数平均分子量(Mn)10,000、ピーク分子量(Mp)18,000、軟化点は108℃であった。
[着色剤マスターバッチ1の製造例]
・結着樹脂1 100.00質量部
・C.I.Pigment Red 122 67.82質量部
・C.I.Pigment Red 269 32.18質量部
・蒸留水 100.00質量部
上記の原料をまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させる。最高温度(ペースト中の溶媒の沸点により必然的に決定される。この場合は90〜100℃程度)に達した時点で水相中の原料が溶融樹脂相に移行するのを確認した後、さらに30分間加熱溶融混練させ、ペースト中の顔料を十分に移行させる。その後、一旦、ミキサーを停止させ、熱水を排出した後、さらに110℃まで昇温させ、約30分間加熱溶融混練を行い、顔料を分散させると供に水分を留去し、該工程を終了した。その後、冷却させ、混練物を取り出し、冷却後にハンマーミルを用いて1〜2mm程度の粒径に粉砕することで着色剤マスターバッチ1を得た。
<着色剤マスターバッチ2乃至8の製造例>
着色剤マスターバッチの製造例1において、表2のように処方を変更して、着色剤マスターバッチ2乃至8を得た。
Figure 2017161819
[樹脂組成物1の製造例]
・低密度ポリエチレン(Mw1400、Mn850、DSCによる最大吸熱ピークが100℃) 18質量部
・スチレン 66質量部
・n−ブチルアクリレート 13.5質量部
・アクリロニトリル 2.5質量部
をオートクレーブに仕込み、系内をN2置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、上記低密度ポリエチレンにビニル樹脂成分が反応した樹脂組成物1を得た。樹脂組成物1の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)7100、数平均分子量(Mn)3000であった。さらに、45体積%メタノール水溶液に分散した分散液における温度25℃で測定した600nmの波長における透過率は69%であった。
[樹脂組成物2の製造例]
・低密度ポリエチレン 20.0質量部
(Mw1300、Mn800、DSCによる最大吸熱ピークが95℃)
・o−メチルスチレン 65.0質量部
・n−ブチルアクリレート 11.0質量部
・メタアクリロニトリル 4.0質量部
をオートクレーブに仕込み、系内をN2置換後、昇温撹拌しながら170℃に保持した。系内に、2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、上記低密度ポリエチレンにビニル樹脂成分が反応した樹脂組成物2を得た。樹脂組成物2の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)6900、数平均分子量(Mn)2900であった。さらに、45体積%メタノール水溶液に分散した分散液における温度25℃で測定した600nmの波長における透過率は63%であった。
[トナー1の製造例]
・結着樹脂1 70.0質量部
・結着樹脂2 30.0質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度76℃)
6.0質量部
・着色剤マスターバッチ1(着色剤の総含有量50質量%) 12.0質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・樹脂組成物1 5.0質量部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s-1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
得られた処理トナー粒子100質量部に、ヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が10nmの疎水性シリカ微粒子0.8質量部と、イソブチルトリメトキシシラン16質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が30nmの酸化チタン微粒子0.2質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で回転数30s-1、回転時間10min混合して、トナー1を得た。
[トナー2乃至18の製造例]
表3に示す通りに、結着樹脂、樹脂組成物、着色剤の種類と、それぞれの添加部数を変更する以外は、トナー1製造例と同様にして、トナー2乃至18を得た。
[トナー19の製造例]
速撹拌装置クレアミックス(エムテクニック社製)を具備した2リットル用4つ口フラスコ中に、イオン交換水470質量部とNa3PO43.3質量部を投入し、高速撹拌装置の回転数を10,000rpmに設定し、65℃に加温せしめた。ここにCaCl2水溶液を添加し、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。
一方、分散質として、
・結着樹脂3 50.0質量部
・スチレン 33.0質量部
・n−ブチルアクリレート 17.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.2質量部
・エステルワックス(最大吸熱ピークのピーク温度74℃) 6.0質量部
・着色剤マスターバッチ1(着色剤の総含有量50質量%) 12.0質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・樹脂組成物2 5.0質量部
からなる混合物をアトライター(三井金属社製)を用い3時間分散させた後、65℃にて2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を添加し、1分間撹拌し、重合性単量体組成物を調製した。重合性単量体組成物調製後、高速撹拌装置の回転数を15,000rpmに高めた前記水系分散媒体中に該重合性単量体組成物を投入し、内温60℃のN2雰囲気下で、3分間撹拌し、該重合性単量体組成物を造粒した。その後、撹拌装置をパドル撹拌羽根を具備したものに換え、200rpmで撹拌しながら同温度に保持し、重合性ビニル系単量体の重合転化率が90%に達したところで第1反応工程を終了した。更に反応温度を80℃に昇温し、重合転化率がほぼ100%になったところで第2反応工程を終了し、重合工程を完了した。重合終了後、冷却した後に希塩酸を添加して難水溶性分散剤を溶解せしめた。更に加圧ろ過器にて水洗浄を数回繰り返した後、乾燥処理を行い、重合体粒子を得た。この重合体粒子は、重量平均粒径が7.2μmであった。
得られた重合体粒子100質量部に、ヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が10nmの疎水性シリカ微粒子0.8質量部と、イソブチルトリメトキシシラン16質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径が30nmの酸化チタン微粒子0.2質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で回転数30s-1、回転時間10min混合して、トナー19を得た。
[トナー20乃至24の製造例]
表3に示す通りに、結着樹脂、樹脂組成物、着色剤の種類と、それぞれの添加部数を変更する以外は、トナー1製造例と同様にして、トナー20乃至24を得た。
Figure 2017161819
[磁性キャリアの製造例]
Fe23;100質量部に水を添加し、ボールミルで15min粉砕し、平均粒径は55μmの磁性コアを作製した。
次に、ストレートシリコーン樹脂(信越化学社製:KR271)1質量部、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン0.5質量部、トルエン98.5質量部の混合液を、上記磁性コア 100質量部に添加し、さらに溶液減圧ニーダーで撹拌混合しながら70℃、5時間減圧乾燥を行ない、溶剤を除去した。その後、140℃で2時間焼き付け処理して、篩振とう機(300MM−2型、筒井理化学機械:75μm開口)で篩い、磁性キャリア1を得た。
[実施例1乃至19、比較例1乃至5]
トナー1と磁性キャリア1で、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤1を得た。また、組み合わせるトナーと磁性キャリアを表4のように変更して、二成分系現像剤2乃至24を得た。そして実施例1乃至19、及び比較例1乃至5の二成分系現像剤として以下に示す評価を行った。実施例1乃至19、及び比較例1乃至5の評価結果を表5に示す。
Figure 2017161819
<トナーの着色力の評価方法>
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5255の改造機を用い、マゼンタステーションの現像器に二成分系現像剤を投入して、評価を行った。
評価環境は、常温常湿環境下(23℃、50%RH)とし、評価紙は、コピー用紙CS−814(A4、坪量81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
まず該評価環境において、紙上のトナー乗り量を変化させて、画像濃度と、紙上のトナー載り量との関係を調べた。次いで、FFH画像(ベタ部)の画像濃度が1.45になるように調整し、画像濃度が1.45になる際の、トナー載り量を求めた。
FFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。
画像濃度は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用して測定した。
該トナー載り量(mg/cm2)から、下記の基準でトナーの着色力を評価した。
(評価基準)
A:0.35未満 (非常に優れている)
B:0.35以上0.50未満 (良好である)
C:0.50以上0.65未満 (本発明では問題ないレベルである)
D:0.65以上 (本発明では許容できない)
<トナーの色再現性の評価方法>
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5255の改造機を用い、マゼンタステーションの現像器に二成分系現像剤を投入し、評価を行った。
評価環境は、常温常湿環境下(23℃、50%RH)とし、評価紙は、コピー用紙CS−814(A4、坪量81.4g/m2 キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
二成分現像剤1を用いて、マゼンタ単色での画像形成を行った。このとき、00H(ベタ白)からFFH画像(ベタ部)までを、16階調で区切り画像を形成した。
2次色の画像形成において、二成分系現像剤のFFH画像(ベタ部)の載り量を、単色における画像濃度が1.45となる載り量とした。
得られた16階調の画像について、SpectroScan Transmission(GretagMacbeth社製)(測定条件:D50 視野角2°)を用いて各階調の画像のL*、a*、b*を測定し、下記の式から各階調のC*を求めた。
C*={(a*)2+(b*)20.5
各階調のC*を比較し、最も大きいC*(C*max)を求め、色再現性の評価の指標とした。C*maxが大きいほど彩度が高く、色再現性に優れている。下記の基準で評価を行った。
(評価基準)
A:55以上 (非常に優れている)
B:50以上55未満 (良好である)
C:42以上50未満 (本発明では問題ないレベルである)
D:42未満 (本発明では許容できない)
<非画像部(白地部)へのカブリの評価方法>
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5255の改造機を用い、マゼンタステーションの現像器に二成分系現像剤を投入し、評価を行った。
評価環境は、常温常湿環境下(23℃、50%RH)、高温高湿環境下(30℃、80%RH)とし、評価紙は、コピー用紙CS−814(A4、坪量81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
各環境における、耐久前後での白地部のカブリを測定した。
画出し前の評価紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
初期(1枚目)、耐久後(50000枚目)の、00H画像部(白地部)の反射率Ds(%)を測定した。得られたDr及びDs(初期および耐久後)より、下記式を用いてカブリ(%)を算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
(評価基準)
A:0.5%未満 (非常に優れている)
B:0.5%以上1.0%未満 (良好である)
C:1.0%以上2.0%未満 (本発明では問題ないレベルである)
D:2.0%以上 (本発明において許容できない)
<二成分法によるトナーの摩擦帯電量の測定法>
50mlのポリビンに、磁性キャリア1を9.2gを秤量する。その上に、トナー0.8gを秤量し、磁性キャリア1とトナー1を積層させた状態で、常温常湿環境下(23℃、50%RH)に24時間調湿する。調湿後、ポリビンの蓋を閉め、ロールミルで、一秒間に1回転の速度で、15回転させた。続いて、試料をポリ瓶ごと振とう機に取り付け、一分間あたり150回のストロークで振とうし、5分間トナー1と磁性キャリア1を混合し測定用の現像剤1を調製した。また、トナー2乃至24、磁性キャリア1を用いて、現像剤1と同様に、測定用の現像剤2乃至24を調製した。
摩擦帯電量を測定する装置として、吸引分離式帯電量測定器セパソフト STC−1−C1型(三協パイオテク製)を用いた。サンプルフォルダー(ファラデーゲージ)底に目開き20μmのメッシュ(金網)を設置し、その上に、現像剤0.10gを入れフタをする。この時のサンプルフォルダー全体の質量を秤りW1(g)とする。次にサンプルフォルダーを本体に設置し風量調節弁を調整して吸引圧力を2kPaとする。この状態で2分間吸引しトナーを吸引除去する。この時の電流Q(μC)とする。また、吸引後のサンプルフォルダー全体の質量を秤りW2(g)とする。この時求まるQは、キャリアの電荷を計測しているため、トナーの摩擦帯電量としては、その逆極性になる。この現像剤の摩擦帯電量(mC/kg)の絶対値は下式の如く算出される。尚、測定は、常温常湿環境下(23℃、50%RH)で実施した。
摩擦帯電量(mC/kg)=Q/(W1−W2)
Figure 2017161819

Claims (5)

  1. 結着樹脂、樹脂組成物、着色剤を含有するマゼンタトナーにおいて、
    該着色剤は、化合物(1)を含有し、
    該結着樹脂は、ポリエステルユニットを有する樹脂を含有し、全結着樹脂中の該ポリエステルユニットを有する樹脂の含有率が50質量%以上100質量%以下であり、
    該ポリエステルユニットを有する樹脂の酸価が20mgKOH/g以下であり、
    該樹脂組成物は、ビニル系樹脂成分と脂肪族系炭化水素化合物が反応した構造を有することを特徴とするマゼンタトナー。
    Figure 2017161819
    [化合物(1)中、R1〜R3は、水素原子、若しくはハロゲン原子、又はアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アニリド基、及びスルファモイル基からなる群より選ばれる置換基を示し、
    5〜R8は、水素原子、又はハロゲン原子、もしくはアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基からなる群より選ばれる置換基を示す。]
  2. 該化合物(1)は、C.I.ピグメントレッド238または/及びC.I.ピグメントレッド269である請求項1に記載のマゼンタトナー。
  3. 該着色剤のpHが5.0以上8.0以下である請求項1または2に記載のマゼンタトナー。
  4. 該ポリエステルユニットを有する樹脂中に、長鎖脂肪酸、多価カルボン酸、及びそれらの酸無水物から選ばれる少なくとも1種のユニットを含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマゼンタトナー。
  5. 結着樹脂、樹脂組成物、着色剤を含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粉砕手段によって粉体化する工程を有するマゼンタトナーの製造方法であり、該マゼンタトナーは請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマゼンタトナーであることを特徴とするマゼンタトナーの製造方法。
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