JP2017161027A - プーリ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナットの締結力に対する強度を向上させたプーリ装置を提供する。【解決手段】プーリ装置100は、固定シーブ1、固定ボス2、取付部材3、ドライブプレート101、及びナット部材104を備えている。固定ボス2は、固定シーブ1と一体的に形成される。固定ボス2の内側フランジ部22は、径方向内側に延びる。取付部材3は、固定ボス2に取り外し可能且つ一体回転可能に取り付けられる。取付部材3の取付本体部31は、固定ボス2内から軸方向の第1側に突出し、外周面にネジ部311が形成されている。外側フランジ部32は、取付本体部31から径方向外側に延び、内側フランジ部22と係合している。ナット部材104は、取付本体部31のネジ部311と螺合し、ドライブプレート104を締結する。【選択図】図2

Description

本発明は、プーリ装置に関するものである。
スクータ型の自動二輪車などでは、ベルト式の無段変速機が採用されている。この無段変速機は、駆動プーリ装置と、従動プーリ装置と、ベルトとを備えている。ベルトは、駆動プーリ装置と従動プーリ装置との間に架けられている。
従動プーリ装置は、固定シーブ、可動シーブ、固定ボス、及び可動ボスを有している(特許文献1)。固定シーブと可動シーブとによって、ベルトを挟持している。可動ボスは可動シーブに固定されており、固定ボスは固定シーブに固定されている。一般的に、固定ボス及び固定シーブは鉄製であり、溶接によって互いに固定されている。そして、固定ボスの先端部に形成されたネジ部に螺合されるナットによって、ドライブプレートは固定ボスに締結されている。
プーリ装置の製造コストを低減するため、例えば特許文献2に記載のプーリ装置のように、固定ボスと固定シーブとをアルミダイキャストによって一体的に形成することが提案されている。
特開平8−86342号公報 特許第3412741号公報
しかしながら、固定ボス及び固定シーブをアルミダイキャストによって一体形成すると、鉄製の固定ボスに比べて強度が低下する。このため、ナットの締結力に対する強度が不足するおそれがあった。そこで、本発明では、ナットの締結力に対する強度を向上させたプーリ装置を提供することを課題とする。
本発明のある側面に係るプーリ装置は、固定シーブと、固定ボスと、取付部材と、ドライブプレートと、ナット部材とを備えている。固定ボスは、固定シーブと一体的に形成される。固定ボスは、円筒状のボス本体部、及び内側フランジ部を有する。ボス本体部は、固定シーブから軸方向の第1側に延びる。内側フランジ部は、ボス本体部の軸方向第1側端部から径方向内側に延びる。取付部材は、固定ボスに取り外し可能且つ一体回転可能に取り付けられる。取付部材は円筒状の取付本体部と、外側フランジ部とを有する。取付本体部は、固定ボス内から軸方向の第1側に突出し、外周面にネジ部が形成されている。外側フランジ部は、取付本体部の軸方向第2側端部から径方向外側に延び、内側フランジ部と係合している。ドライブプレートは、固定ボスと一体的に回転する。ナット部材は、取付本体部のネジ部と螺合し、ドライブプレートを締結する。
この構成によれば、ナット部材は、固定ボスに取り付けられるのではなく、固定ボスと一体的に回転する取付部材に螺合する。このため、例えば、固定ボスと固定シーブとは、互いに一体的に形成しやすいアルミニウム合金製とし、ナット部材が取り付けられる取付部材は強度確保のために鉄製とすることができる。このように、本発明は、ナットの締結力に対する強度が向上する。
好ましくは、プーリ装置は、軸受部材をさらに備える。軸受部材は、ボス本体部内に配置され、内側フランジ部との間で外側フランジ部を挟み込む。
好ましくは、軸受部材の外周面は、ボス本体部の内周面と当接する。
好ましくは、プーリ装置は、軸受部材の軸方向の第2側への移動を規制する止め輪をさらに備える。
好ましくは、ドライブプレートは、取付本体部に取り付けられる。
好ましくは、取付本体部は、互いに平行に延びる一対の平坦面を外周面に有する。内側フランジは、一対の平坦面と係合する。
好ましくは、ドライブプレートは、取付本体部の一対の平坦面と係合する。
本発明によれば、ナットの締結力に対する強度を向上させることができる。
プーリ装置の側面断面図。 固定ボスの詳細を示す側面断面図。 固定ボスと取付部材との係合状態を示す背面図。 固定ボスの詳細を示す側面断面図。 可動ボスの詳細を示す側面断面図。 シール部材の側面図。 スプリングシートの平面図。 図7のVIII−VIII線断面図。 カム機構を示す概略図。 ドライブプレートの背面図。 変形例に係るシール部材の断面図。 変形例係るシール部材の正面図。
以下、本発明に係るプーリ装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に係るプーリ装置100は、従動側のプーリ装置100である。この従動側のプーリ装置100には、駆動側のプーリ装置(図示省略)からベルト120を介してトルクが伝達される。ベルト120は、トルクを伝達するための部材である。
図1は、プーリ装置100の側面断面図である。なお、以下の説明において、回転軸Oとは、プーリ装置100の回転軸を意味する。また、軸方向とは、回転軸Oが延びる方向を意味する。軸方向の第1側とは図1の左側を意味し、軸方向の第2側とは、図1の右側を意味する。径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向を意味する。径方向の外側とは、径方向において回転軸Oから離れる側を意味し、径方向の内側とは、径方向において回転軸Oに近付く側を意味する。周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向を意味する。
[プーリ装置]
図1に示すように、プーリ装置100は、固定シーブ1と、固定ボス2と、取付部材3と、可動シーブ4と、可動ボス5と、ナット部材104と、遠心クラッチ10とを備えている。また、プーリ装置100は、第1弾性部材6a、第2弾性部材6b、第1シール部材7a、第2シール部材7b、カム機構8、スプリング90、及びスプリングシート9なども備えている。
[固定シーブ]
固定シーブ1は、回転軸Oを中心に回転するように配置されている。固定シーブ1の中心軸は、回転軸Oと実質的に同軸上に配置されている。固定シーブ1は、軸方向において、可動シーブ4の第2側に配置されている。固定シーブ1は、軸方向に移動しないように固定されている。
固定シーブ1は、円板状である。固定シーブ1の対向面11は、径方向の外側にいくにしたがって、可動シーブ4から離れるように傾斜している。すなわち、対向面11は、径方向の外側に向かって、軸方向の第2側に傾斜している。なお、固定シーブ1の対向面11は、可動シーブ4に対向する面である。すなわち、固定シーブ1の対向面11は、軸方向の第1側を向いている。
[固定ボス]
図2に示すように、固定ボス2は、固定シーブ1と一体的に回転する。固定ボス2は、固定シーブ1と一体的に形成されている。すなわち、固定シーブ1と固定ボス2とは、一つの部材によって形成されている。例えば、固定ボス2は、アルミニウム合金製である。固定ボス2は、円筒状であって、固定シーブ1から軸方向の第1側に延びている。固定ボス2の中心軸は、回転軸Oと実質的に同軸上に配置されている。
固定ボス2は、ボス本体部21と、内側フランジ部22とを有する。ボス本体部21は、軸方向に延びる円筒状である。ボス本体部21は、固定シーブ1から軸方向の第1側に延びている。ボス本体部21の内周面には、嵌合溝211が形成されている。嵌合溝211は、内周面に沿って周方向に延びる環状である。
内側フランジ部22は、ボス本体部21の軸方向第1側端部から径方向内側に延びている。内側フランジ部22は、環状である。
[取付部材]
取付部材3は、固定ボス2に取り外し可能且つ一体回転可能に取り付けられている。取付部材3は、固定ボス2と別部材であって、第1軸受部材110及び止め輪111を取り外した状態において、固定ボス2内を摺動可能である。すなわち、取付部材3と固定ボス2とは接合されていない。取付部材3は、例えば、金属製であり、好ましくは鉄製または鋼製である。
取付部材3は、取付本体部31と外側フランジ部32とを有している。取付本体部31は、固定ボス2内から軸方向の第1側に突出している。詳細には、取付本体部31は、固定ボス2内から内側フランジ部22を越えて軸方向の第1側に突出している。
取付本体部31は、円筒状であって、外周面にネジ部311が形成されている。ネジ部311は、取付本体部31の軸方向第1側端部に形成されている。
図3に示すように、取付本体部31は、互いに平行に延びる一対の第1平坦面312を外周面に有している。各第1平坦面312は、軸方向に平行に延びる。この第1平坦面312と内側フランジ部22とが係合することにより、固定ボス2と取付部材3とが一体的に回転する。詳細には、内側フランジ部22は、互いに平行に延びる一対の第2平坦面221を内周面に有している。この内側フランジ部22の各第2平坦面221は、取付本体部31の各第1平坦面312と当接している。内側フランジ部22の内周面と取付本体部31の外周面とは、軸方向視において同じ形状である。このため、固定ボス2と取付部材3とが係合し、互いに一体的に回転する。
図2に示すように、外側フランジ部32は、取付本体部31の軸方向第2側端部から径方向外側に延びている。外側フランジ部32は、環状である。外側フランジ部32は、内側フランジ部22と係合する。詳細には、外側フランジ部32は、軸方向において、内側フランジ部22の第2側に配置されている。外側フランジ部32の外径は、内側フランジ部22の内径よりも大きい。なお、外側フランジ部32の外径は、ボス本体部21の内径と略同じである。また、内側フランジ部22の内径は、取付本体部31の外径と略同じである。軸方向において、外側フランジ部32は内側フランジ部22と当接する。この結果、取付部材3は、軸方向の第1側に抜けないように係合している。
このように構成された取付部材3は、軸方向の第2側から固定ボス2内に挿入される。そして、取付部材3が固定ボス2内の軸方向第1側端部まで挿入されると、取付本体部31が固定ボス2内から軸方向の第1側に突出する。そして、外側フランジ部32は、固定ボス2内において、内側フランジ部22と係合する。このため、取付部材3は、固定ボス2内から軸方向の第1側に抜けることがない。
[軸受部材]
図4に示すように、固定ボス2のボス本体部21内には、第1軸受部材110(軸受部材の一例)が配置されている。この第1軸受部材110と内側フランジ部22との間で、外側フランジ部32が挟持されている。第1軸受部材110の外周面は、ボス本体部21の内周面と当接する。好ましくは、第1軸受部材110は、ボス本体部21内に圧入されている。これによれば、第1軸受部材110によって、取付部材3が軸方向の第2側へ移動することを規制できる。すなわち、取付部材3は、内側フランジ部22及び第1軸受部材110によって、軸方向における移動を規制される。第1軸受部材110は、固定ボス2内を延びる出力軸(図示省略)を固定ボス2に対して相対回転に支持している。なお、出力軸は、例えば後輪にトルクを伝えるための軸であり、第2軸受部材112(図1参照)にも支持されている。
[止め輪]
止め輪111は、第1軸受部材110の軸方向の第2側への移動を規制する。止め輪111は、嵌合溝211内に嵌合しており、嵌合溝211から軸方向に移動しない。このため、止め輪111は、第1軸受部材110及び取付部材3の軸方向の第2側への移動を確実に規制できる。なお、止め輪111は、第1軸受部材110の外径よりも小さい内径を有する。軸方向の第1側から、内側フランジ部22、外側フランジ部32、第1軸受部材110、止め輪111の順でそれぞれが配置される。
[可動シーブ]
図1に示すように、可動シーブ4は、回転軸Oを中心に回転するように配置されている。可動シーブ4の中心軸は、回転軸Oと実質的に同軸上に配置されている。可動シーブ4は、回転軸Oに沿って移動するように配置されている。すなわち、可動シーブ4は、軸方向に移動するように配置されている。可動シーブ4は、軸方向に移動することによって、固定シーブ1に対して接近及び離間する。可動シーブ4は、軸方向において、固定シーブ1の第1側に配置されている。
可動シーブ4は、円板状である。可動シーブ4の対向面41は、径方向の外側にいくにしたがって、固定シーブ1から離れるように傾斜している。すなわち、対向面41は、径方向の外側に向かって、軸方向の第1側に傾斜している。
可動シーブ4の対向面41は、固定シーブ1に対向する面である。すなわち、可動シーブ4の対向面41は、軸方向の第2側を向いている。固定シーブ1の対向面11と、可動シーブ4の対向面41とは、間隔をあけて対向している。固定シーブ1の対向面11と、可動シーブ4の対向面41とによって、V溝が形成されている。可動シーブ4が軸方向に移動することによって、V溝の溝幅が変わる。このV溝内において、ベルト120が配置されている。なお、固定シーブ1の対向面11と、可動シーブ4の対向面41とによって、ベルト120を挟持している。
可動シーブ4は、軸方向の第1側に突出する環状の支持壁部42を有している。この支持壁部42は、可動ボス5の径方向外側に配置されている。この支持壁部42と可動ボス5との間に、スプリング90の端部が配置される。
[可動ボス]
可動ボス5は、可動シーブ4と一体的に回転する。また、可動ボス5は、可動シーブ4と一体的に軸方向に移動する。本実施形態では、可動ボス5と可動シーブ4とは一つの部材で形成されている。なお、可動ボス5と可動シーブ4とは、別部材によってそれぞれ形成されており、互いに固定されることによって、一体的に回転及び軸方向に移動してもよい。例えば、可動シーブ4と可動ボス5とを溶接またはろう付けなどによって固定することができる。
可動ボス5は、円筒状であって、可動シーブ4から軸方向に延びている。詳細には、可動ボス5は、可動シーブ4から軸方向の第1側に延びている。すなわち、可動ボス5は、固定シーブ1から遠ざかる方向に延びている。可動ボス5の中心軸は、回転軸Oと実質的に同軸上に配置されている。可動ボス5は、固定ボス2の径方向外側に配置されている。すなわち、可動ボス5内を固定ボス2が軸方向に延びている。可動ボス5は、固定ボス2上を摺動可能に配置されている。
図5に示すように、可動ボス5は、第1内周面51及び第2内周面52を有している。第1内周面51は、第2内周面52の軸方向第1側に配置されている。第1内周面51における可動ボス5の内径は、第2内周面52における可動ボス5の内径よりも小さい。すなわち、第1内周面51は、第2内周面52よりも径方向内側に配置されている。このため、第1内周面51と第2内周面52との間に段差53が形成される。
可動ボス5は、第1収容溝54及び第2収容溝55を有している。第1収容溝54は、第1内周面51に形成されている。第1収容溝54は、環状であって、周方向に延びている。
第2収容溝55は、第2内周面52に形成されている。第2収容溝55は、環状であって、周方向に延びている。第2収容溝55は、軸方向において、可動ボス5の第2側端部に配置されている。第1収容溝54と第2収容溝55とは、軸方向において間隔をあけて配置されている。この、第1収容溝54と第2収容溝55との間に後述する摺動部材50が配置される。第1収容溝54と第2収容溝55とは、径が略同じである。このため、第1収容溝54の深さは、第2収容溝55の深さよりも大きい。
可動ボス5は、その軸方向の第1側端部に複数のカム部81が形成されている。各カム部81は、周方向において間隔をあけて配置されている。各カム部81は、軸方向の第1側に延びている。
可動ボス5は、例えば、金属製である。具体的には、可動ボス5は、鋼製又はアルミニウム合金製である。より具体的には、可動ボス5は、炭素鋼及び合金鋼よりなる群から選ばれる少なくとも一種によって形成される。
図1に示すように、可動ボス5は、グリスを介さずに、固定ボス2上を摺動可能である。具体的には、可動ボス5の内周面に摺動部材50が取り付けられている。この摺動部材50を介して、可動ボス5は、固定ボス2上を摺動する。摺動部材50は、可動ボス5よりも摩擦係数が低い。
[摺動部材]
摺動部材50は、可動ボス5の内周面に取り付けられている。具体的には、摺動部材50は、可動ボス5の第2内周面52に取り付けられている。摺動部材50は円筒形状である。摺動部材50の外周面は、可動ボス5の第2内周面52と接触している。摺動部材50の内周面は、固定ボス2の外周面と接触している。
摺動部材50は、段差53と当接している。この段差53によって、摺動部材50は、軸方向の第1側への移動が規制される。また、摺動部材50は、止め輪などによって、軸方向の第2側への移動が規制される。例えば、摺動部材50は、軸方向の第2側から可動ボス5内に挿入され、その後、止め輪が取り付けられる。
摺動部材50は、例えば樹脂製である。摺動部材50は、樹脂層を有するとともに、樹脂層の外周面に形成された金属層及び焼結体層などを有していてもよい。摺動部材50の摩擦係数は、可動ボス5の摩擦係数よりも小さい。具体的には、摺動部材50は、ナイロン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、及びポリフェニレンサルファイド系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種によって形成される。このように、摺動部材50は、可動ボス5よりも摩擦係数が小さいため、可動ボス5は、摺動部材50を介して、固定ボス2上をスムーズに摺動することができる。
[弾性部材]
第1弾性部材6aは、環状であって、第1収容溝54内に配置されている。第1弾性部材6aは、例えばOリングである。第2弾性部材6bは、環状であって、第2収容溝55内に配置されている。第2弾性部材6bは、配置箇所を除いて、第1弾性部材6aと同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
[シール部材]
第1シール部材7aは、径方向において、第1弾性部材6aと固定ボス2との間に配置されている。第1シール部材7aは、第1弾性部材6aによって、径方向内側に付勢されている。このため、第1シール部材7aは、固定ボス2と確実に接触し、ダストなどの侵入を防止する。
図6に示すように、第1シール部材7aは、環状である。第1シール部材7aは、周方向において、第1端部71と、第2端部72とを有している。第1端部71と第2端部72とは、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。このように第1シール部材7aはエンドレスの環状ではないため、その径を変化させることができる。
軸方向視において、第1端部71と第2端部72とは、互いに重複している。このため、第1端部71と第2端部72との隙間が、軸方向に直線状に延びていない。すなわち、第1端部71と第2端部72とによって、ラビリンス構造が構成されている。この結果、第1シール部材7aは、ダストの侵入を確実に防ぐことができる。
第1端部71は、周方向に延びる第1突出部711を有している。第2端部72は、周方向に延びる第2突出部721を有している。第1突出部711と第2突出部721とは、軸方向において互いに接触している。この第1突出部711と第2突出部721との境界線73は、周方向に延びている。この境界線73は、第1シール部材7aの軸方向の中心Cに対して、軸方向にずれている。例えば、第1突出部711の方が、第2突出部721よりも、幅が大きい。なお、突出部711、721の幅とは、軸方向の寸法を意味する。
第1弾性部材6aがOリングなどの場合、第1弾性部材6aは、第1シール部材7aの軸方向の中心Cにおいて、第1シール部材7aの外周面と接触する。このため、第1弾性部材6aは、境界線73とは接触しない。この結果、境界線73によって第1弾性部材6aが損傷することを防止できる。
第1シール部材7aは、シール本体部74と、第1壁部75と、第2壁部76と、を有している。シール本体部74は、環状である。シール本体部74の内周面が、固定ボス2の外周面と接触する。
第1壁部75は、環状であって、シール本体部74から径方向外側に延びている。詳細には、第1壁部75は、シール本体部74の軸方向の一方の端部から径方向外側に延びている。この第1壁部75は、第1収容溝54の一方の内壁面と第1弾性部材6aとの間に配置される。
第2壁部76は、環状であって、シール本体部74から径方向外側に延びている。詳細には、第2壁部76は、シール本体部74の軸方向の他方の端部から径方向外側に延びている。第2壁部76は、第1壁部75と軸方向において間隔をあけて配置される。この第2壁部76は、第1収容溝54の他方の内壁面と第1弾性部材6aとの間に配置される。シール本体部74、第1壁部75、及び第2壁部76によって画定される溝部内に第1弾性部材6aが配置される。
第1シール部材7aは、第1弾性部材6aよりも摩擦係数が小さい。第1シール部材7aは、例えば、樹脂製である。より詳細には、第1シール部材7aは、ナイロン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、及びポリフェニレンサルファイド系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種によって形成される。
第2シール部材7bは、配置箇所を除いて、第1シール部材7aと同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
[スプリング]
図1に示すように、スプリング90は、軸方向において可動シーブ4を固定シーブ1に向かって付勢する。すなわち、スプリング90は、可動シーブ4を軸方向の第2側に向かって付勢している。これによって、固定シーブ1と可動シーブ4とが、ベルト120を挟持する。スプリング90は、例えばコイルスプリングとすることができる。スプリング90は、可動ボス5を囲むように、可動ボス5の径方向外側に配置されている。
[スプリングシート]
スプリングシート9は、スプリング90を支持するように構成されている。図7及び図8に示すように、スプリングシート9は、円筒部91、フランジ部92、及び複数のカム受け部82を有する。スプリングシート9は、例えば樹脂製である。具体的には、スプリングシート9は、ナイロン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、及びポリフェニレンサルファイド系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。円筒部91、フランジ部92、及び各カム受け部82は、1つの部材によって一体的に形成されている。
円筒部91は、可動ボス5の径方向外側に配置されている。また、円筒部91は、スプリング90の径方向内側に配置されている。すなわち、円筒部91は、径方向において、可動ボス5とスプリング90との間に配置されている。円筒部91は、スプリング90を径方向において支持している。
フランジ部92は、円筒部91から径方向外側に延びている。詳細には、フランジ部92は、円筒部91の軸方向第1側の端部から径方向外側に延びている。フランジ部92は、環状である。フランジ部92は、スプリング90の軸方向の第1側の端面を支持している。すなわち、フランジ部92は、スプリング90を軸方向において支持している。
各カム受け部82は、円筒部91の径方向の内側に配置されている。詳細には、各カム受け部82は、円筒部91の内周面に形成されている。各カム受け部82は、周方向に延びている。各カム受け部82は、周方向において、互いに間隔をあけて配置されている。なお、この周方向において隣り合うカム受け部82の間を、カム部81が延びている。各カム受け部82は、可動ボス5の各カム部81と係合する。この各カム受け部82は、カム機構8を構成する。各カム受け部82は、凹部821を有している。凹部821は、径方向に延びている。この凹部821は、後述するドライブプレート101の一部を収容する。
スプリングシート9は、固定シーブ1と一体的に回転する。詳細には、スプリングシート9は、軸方向の第1側に突出する突出部93を有している。この突出部93が、後述するドライブプレート101の貫通孔1011(図10参照)に嵌合する。突出部93は、貫通孔1011の外周縁に沿った形状をしている。このドライブプレート101は、固定ボス2を介して固定シーブ1と一体的に回転する。このため、ドライブプレート101に取り付けられたスプリングシート9は、固定シーブ1と一体的に回転する。
[カム機構]
図1に示すように、カム機構8は、可動ボス5とスプリングシート9とに設けられている。詳細には、カム機構8は、複数のカム部81と複数のカム受け部82とから構成される。カム部81は、上述した可動ボス5に形成されている。また、カム受け部82は、スプリングシート9に形成されている。カム機構8は、固定ボス2に対する可動ボス5の相対回転を、可動ボス5の軸方向推力に変換するように構成されている。すなわち、可動ボス5が固定ボス2よりも速い速度で回転すると、カム機構8は、可動ボス5を固定シーブ1に向かって移動させる。
詳細には、図9に示すように、可動ボス5の各カム部81は、カム面811を有している。カム面811は、回転方向を向き、且つ軸方向の第1側を向くように傾斜している。このカム面811が、スプリングシート9のカム受け部82に当接する。なお、回転方向とは、車両が前進する際に、可動ボス5が回転する方向である。
[遠心クラッチ]
図1に示すように、遠心クラッチ10は、ドライブプレート101、複数のクラッチシュー102、及びクラッチハウジング103を有している。遠心クラッチ10は、固定シーブ1及び可動シーブ4の回転を、出力軸に伝達したり遮断したりするように構成されている。詳細には、遠心クラッチ10は、固定ボス2の回転を、出力軸に伝達したり遮断したりするように構成されている。
ドライブプレート101は、取付部材3に取り付けられている。図10に示すように、ドライブプレート101は、取付本体部31の一対の第1平坦面312と係合するような取付孔1012を有している。軸方向視において、取付孔1012の形状は、取付本体部31の形状と略同じである。すなわち、取付孔1012の内周面は、互いに平行に延びる一対の第3平坦面1013を有している。このため、ドライブプレート101は、固定ボス2と一体的に回転する。ドライブプレート101は円板状である。ドライブプレート101は、実質的に段差部を有していないように構成されているが、ドライブプレート101は段差部を有していてもよい。
ドライブプレート101は、複数の貫通孔1011を有している。各貫通孔1011は、軸方向に貫通している。また、各貫通孔1011は、周方向に延びている。各貫通孔1011は、周方向において、間隔をあけて配置されている。この貫通孔1011に、上述したスプリングシート9の突出部93が嵌合する。また、上述した可動ボス5の各カム部81は、ドライブプレート101と干渉しないよう、貫通孔1011内を延びている。なお、隣り合う貫通孔1011の間に配置されるドライブプレート101の一部が、上述したカム受け部82の凹部821に収容される。
ドライブプレート101は、金属製である。具体的には、ドライブプレート101は、鋼製又はアルミニウム合金製である。より具体的には、ドライブプレート101は、炭素鋼、及び合金鋼よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
図1に示すように、ドライブプレート101は、内側フランジ部22と当接することによって、軸方向の第2側への移動が規制される。また、ドライブプレート101は、ナット部材104によって、締結されている。この結果、ドライブプレート101は、軸方向の第1側への移動が規制される。
各クラッチシュー102は、円周方向の一端部がドライブプレート101に揺動可能に取り付けられている。各クラッチシュー102は、その外周面に摩擦材(図示省略)を有している。各クラッチシュー102の他端部には、各クラッチシュー102を径方向の内側に付勢するようにリターンスプリング(図示省略)が取り付けられている。
クラッチハウジング103は、各クラッチシュー102を径方向の外側から覆うように配置されている。クラッチハウジング103は、固定ボス2に相対回転可能である。詳細には、クラッチハウジング103は、ボス部1031を有している。ボス部1031には、スプライン孔1032が形成されている。このスプライン孔1032に、出力軸がスプライン係合することができる。
遠心クラッチ10が伝達状態になると、各クラッチシュー102の摩擦材は、クラッチハウジング103の内周面と摩擦係合する。また、遠心クラッチ10が遮断状態になると、各クラッチシュー102の摩擦材は、クラッチハウジング103の内周面から離れる。なお、遠心クラッチ10の伝達状態とは、遠心クラッチ10が、固定シーブ1及び可動シーブ4の回転を出力軸に伝達する状態を意味する。また、遠心クラッチ10の遮断状態とは、遠心クラッチ10が、固定シーブ1及び可動シーブ4の回転を出力軸に伝達しない状態を意味する。
[ナット部材]
図2に示すように、ナット部材104は、取付部材3の取付本体部31に形成されたネジ部311と螺合する。そして、ナット部材104は、ドライブプレート101を固定ボス2との間で締結する。すなわち、ドライブプレート101は、固定ボス2とナット部材104との間に挟まれて固定される。
上述したように構成されたプーリ装置は、次のように動作する。
駆動側のプーリ装置において、固定シーブと可動シーブとによって構成される溝の幅が狭くなった場合、ベルト120の巻き付け径が大きくなる。すなわち、ベルト120は、駆動側のプーリ装置において、径方向の外側に移動する。
従動側のプーリ装置100において、固定シーブ1と可動シーブ4とによって構成される溝の幅は、駆動側のプーリ装置における溝幅と逆に動作する。すなわち、駆動側のプーリ装置においてベルト120が径方向の外側に移動すると、従動側のプーリ装置100においてベルト120が径方向の内側へ移動する。
ベルト120が径方向の内側へ移動すると、スプリング90の付勢力に抗して、可動シーブ4が固定シーブ1から離れる方向に移動する。すなわち、可動シーブ4が、軸方向の第1側に移動する。この結果、固定シーブ1と可動シーブ4との間の溝の幅が広がる。
また、駆動側のプーリ装置において、固定シーブと可動シーブとによって構成される溝の幅が広がった場合、ベルト120の巻き付け径が小さくなる。すなわち、ベルト120は、駆動側のプーリ装置において、径方向の内側に移動する。
駆動側のプーリ装置においてベルト120が径方向の内側に移動すると、従動側のプーリ装置100において、ベルト120が径方向の外側へ移動する。そして、スプリング90の付勢力によって、可動シーブ4が固定シーブ1に近付く方向に移動する。この結果、固定シーブ1と可動シーブ4との間の溝の幅が狭くなる。
次に、カム機構8の動作について説明する。発進時のように急加速したとき、可動シーブ4が固定シーブ1よりも速い速度で回転する。すると、可動ボス5がスプリングシート9よりも速い速度で回転する。すなわち、可動ボス5は、スプリングシート9に対して回転方向に相対的に回転する。すると、カム機構8は可動ボス5に軸方向の推力を付与し、可動ボス5は軸方向の第2側に移動する。詳細には、カム面811がカム受け部82から軸方向の第2側への反力を受け、可動ボス5が軸方向の第2側に移動する。この結果、可動シーブ4は固定シーブ1側へ移動し、ベルト120を強固に挟持する。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
変形例1
図11に示すように、第1シール部材7aは、凹部77を有していてもよい。この凹部77は、環状であって、第1シール部材7aの内周面を周方向に延びている。凹部77は、第1シール部材7aの軸方向の中央部に形成されていることが好ましい。同様に第2シール部材7bも凹部を有していてもよい。
変形例2
図12に示すように、第1シール部材7aにおいて、第1端部71と第2端部72との隙間は、径方向外側に行くほど大きくなるように構成されていてもよい。すなわち、第1端部71または第2端部72の端面が径方向外側に向かって互いに離れる方向に傾斜していてもよい。第1シール部材7aは、例えば、縮めた状態で可動ボス5内の第1収容溝54まで挿入される。そして、第1シール部材7aは、第1収容溝54に到達すると、縮まった状態から元の状態に戻って第1収容溝54内に配置される。この第1シール部材7aが縮まった状態から元の状態に戻る際に、第1端部71と第2端部72とが引っ掛かりにくくなる。なお、第2シール部材7bも同様の構成とすることができる。
変形例3
第1及び第2シール部材7a、7bは、第1端部71及び第2端部72を有していなくてもよい。すなわち、第1及び第2シール部材7a、7bは、エンドレスの環状であってもよい。
変形例4
上記実施形態に係るプーリ装置100はカム機構8を備えているが、プーリ装置100はカム機構8を備えていなくてもよい。
変形例5
固定ボス2は、摩擦係数の低い材料によって形成された摺動層を外周面に有していてもよい。
変形例6
上記実施形態では、第1シール部材7aと第2シール部材7bとを同じ構成としたが、どちらか一方のシール部材のみが上述した構成であってもよい。
1 :固定シーブ
2 :固定ボス
21 :ボス本体部
22 :内側フランジ部
3 :取付部材
31 :取付本体部
311 :ネジ部
32 :外側フランジ部
92 :フランジ部
100 :プーリ装置
101 :ドライブプレート
104 :ナット部材
110 :第1軸受部材
111 :止め輪

Claims (7)

  1. 固定シーブと、
    前記固定シーブから軸方向の第1側に延びる円筒状のボス本体部、及び前記ボス本体部の軸方向第1側端部から径方向内側に延びる内側フランジ部を有し、前記固定シーブと一体的に形成される固定ボスと、
    前記固定ボス内から軸方向の第1側に突出し外周面にネジ部が形成された円筒状の取付本体部、及び前記取付本体部の軸方向第2側端部から径方向外側に延び前記内側フランジ部と係合する外側フランジ部、を有し、前記固定ボスに取り外し可能且つ一体回転可能に取り付けられる取付部材と、
    前記固定ボスと一体的に回転するドライブプレートと、
    前記取付本体部のネジ部と螺合し、前記ドライブプレートを締結するナット部材と、
    を備える、プーリ装置。
  2. 前記ボス本体部内に配置され、前記内側フランジ部との間で前記外側フランジ部を挟み込む軸受部材をさらに備える、
    請求項1に記載のプーリ装置。
  3. 前記軸受部材の外周面は、前記ボス本体部の内周面と当接する、
    請求項2に記載のプーリ装置。
  4. 前記軸受部材の軸方向の第2側への移動を規制する止め輪をさらに備える、
    請求項2又は3に記載のプーリ装置。
  5. 前記ドライブプレートは、前記取付本体部に取り付けられる、
    請求項1から4のいずれかに記載のプーリ装置。
  6. 前記取付本体部は、互いに平行に延びる一対の平坦面を外周面に有し、
    前記内側フランジは、前記一対の平坦面と係合する、
    請求項1から5のいずれかに記載のプーリ装置。
  7. 前記ドライブプレートは、前記一対の平坦面と係合する、
    請求項6に記載のプーリ装置。
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