以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1〜図14は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、正面視矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に左右一側のヒンジ3により開閉自在に枢着された前枠4とを備えている。前枠4の前側には、ガラス扉(開閉扉)5と下部扉(開閉扉)6とが上下に配置され、ヒンジ3と同じ側のヒンジ7により前枠4に開閉自在に枢支されている。なお、ガラス扉5と下部扉6とを一体化して一つの開閉扉を構成してもよい。
下部扉6の前上部側には、発射用の遊技球を貯留して前枠4側の発射手段(図示省略)に供給する上皿(球貯留皿)8が配置され、その下側には余剰球を貯留する下皿(余剰球受け皿)9と発射手段を作動させるための発射ハンドル10とが左右に配置されている。上皿8は上皿カバー11により前側から覆われており、また上皿カバー11上には演出用の操作ボタン12,13、球貸し操作部14等が配置されている。
前枠4には、図2に示す遊技盤15がガラス扉5の後側に対応するように着脱自在に装着されている。遊技盤15の前面側には、図2に示すように、発射手段により発射された遊技球を遊技領域17へと案内するガイドレール16が環状に装着され、また遊技領域17には中央表示手段18、普通図柄始動手段19、第1,第2特別図柄始動手段20,21、第1,第2大入賞手段22,23、普通入賞手段24、振り分け手段25等の遊技部品の他、多数の遊技釘(図示省略)が配置されている。
中央表示手段18は図3にも示すように、遊技盤15の前面に装着された表示枠27と、この表示枠27の表示窓28に対応して遊技盤15の裏側に配置された画像表示手段29と、遊技盤15の裏側に装着され且つ画像表示手段29を支持する裏カバー30とを備え、遊技領域17の略左右中央の上部側に配置されている。
表示枠27は画像表示手段29の前外周側を飾るように、遊技盤15の前側に突出して着脱自在に固定されており、この表示枠27の前面には普通図柄表示手段32、普通保留個数表示手段33、第1,第2特別図柄表示手段34,35等が設けられている。画像表示手段29は演出図柄表示手段36、第1特別保留個数表示手段37、第2特別保留個数表示手段38等を構成するものであり、液晶表示手段等により構成されている。
裏カバー30は普通図柄始動手段19、第1,第2特別図柄始動手段20,21、第1,第2大入賞手段22,23、普通入賞手段24、振り分け手段25等の遊技部品を裏側から覆うもので、前側が開口する箱状に構成され、その後壁部39に形成された開口(図示省略)に対応して画像表示手段29が装着されている。なお、裏カバー30は遊技盤15の裏側に配置される裏構造体の一例を示す。
中央表示手段18の左右両側には、表示枠27を挟んで左流下経路40と右流下経路41とが設けられており、遊技領域17の上部に打ち込まれた遊技球は表示枠27の頂部で左右に振り分けられた後、その左流下経路40、右流下経路41の何れかを経て流下するようになっている。
普通図柄表示手段32は普通図柄を変動表示するためのもので、複数種類の普通図柄(例えば2種類の「○」「×」)に対応する2つの発光素子により構成されており、普通図柄始動手段19が遊技球を検出することを条件に2つの発光素子が交互に点灯するように所定時間点滅して、普通図柄始動手段19が遊技球を検出したときに取得した特定遊技判定乱数値が予め定められた特定遊技判定値と一致した場合に特定遊技態様である「○」側の発光素子が、それ以外の場合に非特定遊技態様である「×」側の発光素子が夫々点灯して停止するようになっている。なお、普通図柄が特定遊技態様で停止した場合には、第2特別図柄始動手段21が所定時間開放する特定遊技状態となる。
第1,第2特別図柄表示手段34,35は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示するためのもので、7セグメント式等の表示手段により構成されており、対応する第1,第2特別図柄始動手段20,21に遊技球が入賞することを条件に特別図柄が所定時間変動して、第1,第2特別図柄始動手段20,21に遊技球が入賞したときに取得した特別遊技判定乱数値が予め定められた特別遊技判定値と一致した場合には所定の特別遊技態様で、それ以外の場合には非特別遊技態様で夫々停止するようになっている。
なお、第1,第2特別図柄表示手段34,35の特別図柄が特別遊技態様で停止した場合には、第1,第2大入賞手段22,23が所定の夫々の開閉パターンに従って開放する特別遊技状態が発生する。
普通図柄始動手段19は普通図柄表示手段32による普通図柄の変動表示を開始させるためのもので、中央表示手段18の右流下経路41側の下部に配置され、右流下経路41を流下する遊技球が通過可能となっている。
普通図柄表示手段32は、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成され、中央表示手段18の前側等に配置されている。そして、普通図柄表示手段32は、普通図柄始動手段19が遊技球の通過を検出することを条件に2個の発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段19の遊技球の検出時に取得した特定遊技判定乱数値が予め定められた特定遊技判定値と一致する場合には特定遊技態様に対応する「○」側の発光体が、それ以外の場合には非特定遊技態様に対応する「×」側の発光体が夫々発光した状態で停止するようになっている。
普通保留個数表示手段33は特定遊技判定乱数値等の乱数情報を、所定の上限保留個数(例えば4個)を限度に表示して遊技者に報知するためのものであって、中央表示手段18の前側等に配置されている。この普通保留個数表示手段33は普通図柄表示手段32の変動表示中、又は後述の普通遊技状態中に普通図柄始動手段19が遊技球を検出した場合に、その検出時に取得した特定遊技判定乱数値が上限保留個数の4個を限度として記憶されるため、その保留個数と同数の発光体を発光させて特定遊技判定乱数値の記憶個数(以下、普通保留個数)を表示することにより、その時点での普通保留個数を遊技者に報知するようになっている。
第1,第2特別図柄表示手段34,35は1個又は複数個(例えば1個)の第1,第2特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、中央表示手段18の前側に配置されている。
第1特別図柄表示手段34は第1特別図柄始動手段20に遊技球が入賞することを条件に、また第2特別図柄表示手段35は第2特別図柄始動手段21に遊技球が入賞することを条件に夫々その特別図柄を変動表示して、所定時間の経過後に特別遊技態様、非特別遊技態様で特別図柄を停止させるようになっている。
特別図柄の変動後の停止図柄は、第1,第2特別図柄始動手段20,21への遊技球の入賞時に取得した特別遊技判定乱数値が予め定められた特別遊技判定値と一致した場合に所定の特別遊技態様となり、それ以外の場合に非特別遊技態様となる。
なお、各特別図柄には数字図柄等を用いてもよいが、遊技者が停止図柄の種類を容易に区別できないように、任意の線や点の組み合わせのような特別な意味を持たない図柄を用いることが望ましい。
第1,第2特別保留個数表示手段37,38は特別遊技判定乱数値等の乱数情報を、所定の上限保留個数(例えば4個)を限度に表示して遊技者に報知するためのものであって、中央表示手段18の前側等に配置されている。この第1,第2特別保留個数表示手段37,38は、第1,第2特別図柄表示手段34,35の特別図柄の変動表示中、又は特別利益状態中に第1,第2特別図柄始動手段20,21に遊技球が入賞した場合に、その入賞時に取得した特別遊技判定乱数値等を所定の上限保留個数を限度として記憶するため、その特別遊技判定乱数値の記憶個数を第1,第2特別保留個数として表示するようになっている。
なお、本実施形態では、特別利益状態中には第1,第2特別図柄表示手段34,35が図柄変動を開始しない他、第1,第2特別図柄表示手段34,35の何れか一方の図柄変動中は他方が図柄変動を開始せず、両方が同時に変動中となることはない。第1,第2特別図柄表示手段34,35が共に図柄変動を開始可能な状態となった場合には、第2特別図柄表示手段35が第1特別図柄表示手段34よりも優先して図柄変動を行うようになっている。
中央表示手段18の下側の遊技領域17には、略左右中央に振り分け手段25が上下方向に配置されており、この振り分け手段25の左側に第1特別図柄始動手段20と普通入賞手段24とが配置され、また振り分け手段25の右側に第2特別図柄始動手段21と第1大入賞手段22と第2大入賞手段23とが配置されている。
第1特別図柄始動手段20は、第1特別図柄表示手段34の特別図柄の図柄変動を開始させるためのもので、非開閉式の入賞手段により構成されている。第2特別図柄始動手段21は第2特別図柄表示手段35の図柄変動を開始させるためのもので、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能(又は開状態よりも入賞困難)な閉状態とに変化可能な左右一対の開閉部材21aを備えており、普通図柄表示手段32の変動後の停止図柄が特定遊技態様となった場合に、開閉部材21aが所定時間開状態に変化するようになっている。
なお、第2特別図柄始動手段21は右流下経路41の下側に配置されており、右流下経路41を流下してきた遊技球が、左流下経路40を流下してきた遊技球よりも高い確率で入賞可能である。
演出図柄表示手段36は第1,第2特別図柄表示手段34,35の特別図柄の変動表示に同期して1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄を変動表示するためのもので、特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って演出図柄が変動を開始し、特別図柄の変動停止と略同時に最終停止すべく演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。
なお、第1,第2特別図柄表示手段34,35の第1,第2特別図柄は同時に変動しないため、演出図柄表示手段36の演出図柄は第1,第2特別図柄の何れか一方と同期して変動するが、演出図柄は第1,第2特別図柄の変動内容とは直接関係のない演出を行うことがあってもよい。
演出図柄には例えば「0」〜「9」の10種類の数字図柄が用いられ、「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが特別演出態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが非特別演出態様となっている。そして、演出図柄の変動後の停止図柄は、第1,第2特別図柄表示手段34,35の第1,第2特別図柄が特別遊技態様で停止する場合には特別演出態様となり、第1,第2特別図柄が非特別遊技態様で停止する場合には非特別演出態様となる。
第1大入賞手段22は、前向き開口状に形成された第1大入賞口42と、この第1大入賞口42に遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに変化可能な開閉部材43とを備え、第2特別図柄始動手段21の下側に配置されている。開閉部材43は下部側を支点として開閉動作可能であり、開状態のときに遊技盤15の前面側に前上がり状に突出して、遊技盤15の前面に沿って流下してきた遊技球を第1大入賞口42内に案内するようになっている。
第2大入賞手段23は図12に示すように、前向き開口状に形成された第2大入賞口44と、この第2大入賞口44に遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに変化可能な開閉部材45と、第2大入賞口44に入賞した遊技球を検出可能な入賞検出手段46とを備え、普通図柄始動手段19と第2特別図柄始動手段21との間に配置されている。
開閉部材45は下部側の枢軸47を支点として開閉動作可能であり、開状態のときには二点鎖線で示すように遊技盤15の前面側に前上がり状に突出して、遊技盤15の前面に沿って流下してきた遊技球を第2大入賞口44内に案内するようになっている。
振り分け手段25は第2大入賞手段23に入賞した遊技球を振り分けて、特別利益状態の終了後に確変状態と時短状態との何れかを選択的に発生させるためのもので、保護カバー66内に収容して遊技盤15の裏側で画像表示手段29の前下側の略左右中央に配置され、遊技盤15に形成された開口部66aを経て振り分け状況を目視により視認できるようになっている。
この振り分け手段25は、図3〜図11に示すように、周方向に特定領域49及び普通領域50が設けられた受け皿51と、特定領域49及び普通領域50に振り分けられた遊技球を検出する特定検出手段52及び普通検出手段53と、受け皿51の中心側に回転自在に配置された回転分散手段54と、回転分散手段54により分散された遊技球を受け皿51上で特定領域49、普通領域50側へと送る回転送り手段55と、回転分散手段54上に上方から遊技球を落下させる漏斗(落下手段)56と、第2大入賞手段23に入賞した遊技球を漏斗56へと案内する案内通路57とを備え、支持板58、取り付け台59を介して裏カバー30に着脱自在に装着されている。
受け皿51は、図3〜図5に示すように、円形状の周壁部62と、この周壁部62の内周に略同心状に設けられた遊技球用の転動路63とを備え、上部ケース61と下部ケース64とから構成される支持ケース65の内、その上部ケース61に前下り状に傾斜して設けられている。
転動路63はその後部側に左右方向及び前後方向に略水平状に形成された水平部63aと、水平部63aの前側に内周側が低くなる円錐状に形成された傾斜部63bとを有し、水平部63aと傾斜部63bとの間に、水平部63aの前縁に沿って段差部63cが形成されている。
特定領域49と普通領域50は、特定領域49が転動路63の径方向の内側寄りに配置され、普通領域50が転動路63の径方向の外側寄りに配置されている。特定領域49は図8、図9に示すように、普通領域50は図10、図11に示すように、受け皿51の転動路63と下部ケース64の底壁部64aとの間に上下方向に設けられており、その特定領域49の下部側に特定検出手段52が、普通領域50の下部側に普通検出手段60が夫々設けられている。
特定領域49、普通領域50の手前側には、図9、図11に示すように、転動路63の遊技球を各領域49,50へと傾斜状に案内する案内部49a,50aが形成されている。案内部49a,50aは特定領域49、普通領域50の径方向の位置に対応して配置されている。なお、特定領域49、普通領域50は周方向及び径方向の逆の位置に配置してもよい。
回転分散手段54は漏斗56から落下する遊技球を周方向に不規則に分散させるためのものであり、回転送り手段55は回転分散手段54で分散された遊技球を特定領域49、普通領域50へと送るためのものであって、図4〜図6に示すように、回転分散手段54が中心部に、回転送り手段55が回転分散手段54の外周側に略同心状に配置されている。
回転分散手段54は図4〜図6に示すように、前傾状に配置された回転軸68と、回転軸68の上端に固定された分散回転体69と、分散回転体69から上方に突出する分散突起70と、分散回転体69を回転軸68廻りにa矢示方向(図5参照)に回転駆動する分散駆動手段71とを備えている。
回転軸68は上部ケース61の中心部の軸受け部72により前側に傾斜して回転自在に支持され、軸受け部72はその下端側が上部ケース61の軸受け支持部73に固定されている。分散回転体69は円板状であって、回転軸68の上端に直角に固定され、受け皿51と同様に前下り状に前傾して配置されている。
分散突起70は回転中心に対して偏心位置に配置された頂部70aと、この頂部70aの下側外周に傾斜状に配置された複数種類の衝突面70bとを有する非対称角錐状であって、漏斗56から落下する遊技球が衝突するときの衝突面70bの違いによって、その遊技球を不規則に分散させるようになっている。なお、分散突起70はその回転により遊技球を分散できる構造であればよく、非対称角錐状である必要はない。
分散駆動手段71は、回転軸68の下端側のギヤ74と、下部ケース64に固定された駆動モータ75と、駆動モータ75の駆動ギヤ76と、駆動ギヤ76とギヤ74とを連動させる中間ギヤ77とを備え、駆動モータ75により分散回転体69をa矢示方向に回転駆動するようになっている。中間ギヤ77は下部ケース64に支持されている。
回転送り手段55は図4〜図6に示すように、前側に傾斜する円筒状の回転軸78と、回転軸78の上端側に一体又は別体に設けられた送り回転体79と、送り回転体79の外周側に周方向に略等間隔に配置された複数個(例えば6個)の送り突部80と、各送り突部80間に周方向に交互に配置された特定保持部81及び普通保持部82と、送り回転体79を回転軸78廻りにb矢示方向に回転駆動する送り駆動手段83とを備えている。
回転軸78は回転軸68と略同心状であり、上部ケース61の軸受け部84により回転自在に支持されている。送り回転体79は環状円板であって、回転軸78の上端に固定して分散回転体69の外周に略同心状に配置され、受け皿51、分散回転体69と同様に前下り状に前傾して配置されている。
送り突部80は送り回転体79の外周から受け皿51の転動路63上に突出しており、その回転方向の前側で受け皿51の転動路63上の遊技球を回転方向に押して行くようになっている。特定保持部81は周方向に隣り合う送り突部80の外端側に周方向に連結する外側支持部86を有し、送り回転体79と送り突部80と外側支持部86との間に開口状に設けられ、その内部に入った遊技球を保持して送るようになっている。
外側支持部86は普通領域50の案内部50aの内周側に段差状に形成された内側支持部50bとの間隔が遊技球の直径よりも小であり、特定保持部81が普通領域50を通過する際に、内側支持部50bとの間で遊技球を保持して特定保持部81内の遊技球が普通領域50に入らないようにしている。
普通保持部82は周方向に隣り合う送り突部80間が開放状である。送り回転体79の外周に形成された内側支持部79aと特定領域49の案内部49aの外周側に段差状に形成された外側支持部49bとの間隔は遊技球の直径よりも小であって、普通保持部82が特定領域49を通過する際に、内側支持部79aと外側支持部49bとの間で遊技球を保持して普通保持部81内の遊技球が特定領域49に入らないようにしている。
送り駆動手段83は軸受け部84の下側で回転軸78に固定されたギヤ87と、下部ケース64に固定された駆動モータ88と、駆動モータ88の回転軸78に固定されギヤ87に噛合する駆動ギヤ89とを備え、駆動モータ88の駆動によりb矢示方向に回転駆動するようになっている。
漏斗56は図3、図4、図6に示すように半球面状であり、遊技球を鉛直方向に落下させる落下口56aを下部側の中心部分に備えている。落下口56aは回転分散手段54の分散回転体69の回転中心の略鉛直線上に配置されている。漏斗56は取り付け台59の前面の支持板58に着脱自在に固定されている。案内通路57は支持板58に着脱自在に固定されており、一端側が第2大入賞手段23の排出口90に接続され、また他端側が漏斗56上に開口している。
遊技盤15の裏側には、図2に示すように、遊技盤15の振動を検出する振動検出手段91が振動増幅手段92を介して設けられている。この振動検出手段91は、遊技者が遊技中に前枠4の前面側を不正に殴打した場合等に発生する遊技盤15側の振動を検出するもので、加速度式その他のものが採用され、検出対象部位に振動増幅手段92を介して取り付けられている。
例えば振り分け手段25では、上皿カバー11を不正に殴打したときの振動で遊技球の挙動が微妙に変化する等、回転分散手段54等がその振動の影響を受け易いため、その振動による不正行為を容易且つ確実に検出できるように、振り分け手段25の取り付け台59を検出対象部位として、その取り付け台59に振動増幅手段92を介して振動検出手段91が取り付けられている。
取り付け台59は板状であって、裏カバー30の後壁部39の前面に間隔保持部材93等を介して遊技盤15と略平行に固定され、遊技者が上皿カバー11等を殴打したときの振動を遊技盤15、裏カバー30を介して受ける構造になっている。なお、取り付け台59は裏カバー30の後壁部39を介して前後方向の振動を受け易い構造である。
振動増幅手段92は、図3、図7、図13、図14に示すように、所定の剛性(及び/又は弾性)を有する帯板状の振動増幅部材95により構成されている。振動増幅部材95は取り付け台59の振動に共振して単調和振動できるように、取り付け台59に固定部106で片持ち梁構造により支持され、固定部106と反対の自由端側に振動検出手段91が配置されている。
即ち、振動増幅部材95は板面を前後に向けて縦長状に配置され、上端側(一端側)の固定部106で取り付け台59に片持ち状に固定されている。また振動増幅部材95の下端側(他端側)には振動検出手段91が設けられており、自由端側の質量は振動検出手段91によって大となっている。
振動増幅部材95は左右幅が広く剛性が大の広幅部95a,95bを上下両側に備え、その広幅部95a,95b間に、広幅部95a,95bよりも左右幅が狭く剛性が小さい狭幅部95cが設けられている。振動増幅部材95は上側の広幅部95aの上端側の固定部106が間隔保持部材96を介してネジ等の固定具97により取り付け台59に片持ち状に固定され、下側の広幅部95bの前面に間隔保持部材98を介してネジ等の固定具99により振動検出手段91が固定されている。狭幅部95cは振動検出手段91に近い位置に設けられている。
なお、図6に示すように、上部ケース61、下部ケース64は間隔保持部材100を介して取り付け台59の取り付け部101に、漏斗56は間隔保持部材102を介して支持板58の取り付け部103に夫々着脱自在に固定されている。支持板58は間隔保持部材104を介して取り付け台59の取り付け部105に着脱自在に固定されている。
遊技中において、例えば第1特別図柄表示手段34の変動後の停止図柄が特別遊技態様となれば、第1特別利益状態が発生して第1大入賞手段22が所定の開閉パターンで開閉し、上方から流下する遊技球が開閉部材43を介して第1大入賞口42へと入賞する。
また第2特別図柄表示手段35の変動後の停止図柄が特別遊技態様となれば、第2特別利益状態が発生して第2大入賞手段23が所定の開閉パターンで開閉し、上方から流下する遊技球が開閉部材45を介して第2大入賞口44へと入賞する。第1,第2大入賞口42,44に遊技球が入賞すると、その入賞個数に対応して所定数の遊技球が賞球として払い出される。
第2大入賞手段23に入賞した遊技球は、入賞検出手段46で検出して計数された後、振り分け手段25の回転分散手段54、回転送り手段55を経て特定領域49と普通領域50との何れかに振り分けられて行く。
回転分散手段54では、分散駆動手段71の駆動により分散回転体69が前傾状態で回転軸68廻りにa矢示方向に回転している。そのため案内通路57から漏斗56に入った遊技球は、分散回転体69上に偏心して配置された非対称形状の分散突起70上に落下して、その分散突起70に対する衝突面70bの違いにより外周方向に不規則に分散させる。
遊技球は回転分散手段54により周方向に不規則に分散された後、回転送り手段55によりb矢示方向に送られて特定領域49と普通領域50との何れかに振り分けられる。回転分散手段54では送り回転体79がb矢示方向に回転しており、回転分散手段54により分散された遊技球は、送り回転体79の回転を受けて転がりながら、送り回転体79の外周側の特定保持部81と普通保持部82との何れかに入った後、その保持部81,82により保持された状態で送り回転体79の回転に伴って転動路63上をb矢示方向に転動しながら送られて行く。
特定保持部81内の遊技球は転動路63上をb矢示方向に転動した後、案内部49aを経て特定領域49へと振り分けられ特定検出手段52により検出される。また普通保持部82内の遊技球は転動路63上をb矢示方向に転動した後、案内部50aを経て普通領域50へと振り分けられ普通検出手段53により検出される。
遊技球が特定領域49に振り分けられると、第2特別利益状態の終了後に確変状態が発生し、また普通領域50に振り分けられると、第2特別利益状態の終了後に時短状態が発生する。
時短状態中は、第1,第2特別図柄に関しては変動時間が通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄に関しては特定遊技態様の確率が通常確率(例えば1/10)から高確率(例えば1/1.3)へ、変動時間が通常変動時間(例えば27秒)から短縮変動時間(例えば2.7秒)へ、第2特別図柄始動手段21の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へと夫々切り換えられる。なお、時短状態は第2特別利益状態の終了後に開始し、その後に第1,第2特別図柄が合わせて所定回数(例えば50回)変動するか、それまでに次の特別利益状態が開始された時点で終了する。
確変状態中は、通常確率状態中よりも特別遊技判定値の数が例えば1個から10個へ増加されることにより、第1,第2特別図柄が特別遊技態様となる確率が通常確率(例えば1/350)よりも高い高確率(例えば1/35)に切り換えられると共に、時短状態と同様の処理も併せて行われるようになっている。
なお、確変状態は例えば第2特別利益状態の終了後に開始し、次の特別利益状態が開始された時点で終了するが、次の特別利益状態が開始されるまでに所定の終了条件が成立(特別図柄が所定回数変動、転落抽選に当選等)した場合にはその時点で終了するようにしてもよい。
遊技中に遊技者が前面側の上皿カバー11その他を殴打して遊技盤15を介して第1,第2大入賞手段22,23、振り分け手段25等の遊技部品を振動させることにより、第1,第2大入賞手段22,23に対して遊技球を入賞し易くしたり、第2大入賞手段23に入賞した遊技球を振り分け手段25により不正に特定領域49へと振り分ける等の不正行為が行われることがある。
このような不正行為があった場合には、振動検出手段91によりその振動を的確に検出して、その検出信号をコンピュータ等の管理装置、報知手段等の所要手段へと送信して、その事実を報知し又は警報する等、不正行為に対して迅速に対応することが可能である。
例えば、遊技中に遊技者が上皿カバー11を前後方向に殴打する等の不正行為があれば、その振動が遊技盤15から裏カバー30を介して取り付け台59へと伝達されて取り付け台59が振動するが、そのような場合の取り付け台59の振動を振動検出手段91で確実に検出することができる。
即ち、取り付け台59と振動検出手段91との間には、振動増幅手段92を構成する振動増幅部材95があり、この振動増幅部材95が取り付け台59の振動を増幅するため、取り付け台59が裏カバー30側にあるにも拘わらず、振動検出手段91により取り付け台59の振動を確実に検出することができる。
またスペース的な制約があって遊技盤15自体の裏側に直接振動検出手段91を設けたり、遊技盤15に装着された部材を介して遊技盤15の裏側に振動検出手段91を設けたりすることが困難な場合には、裏カバー30に装着された取り付け台59側に振動検出手段91を設けて、その振動検出手段91により上皿カバー11の殴打等による振動を検出することが十分に可能であり、遊技盤15に近い箇所に振動検出手段91を設ける場合に比較して設計の自由度が大になる利点もある。
更に振動検出手段91による振動の検出に当たっては、上皿カバー11の殴打等により裏カバー30を介して取り付け台59が前後方向に振動すれば、取り付け台59の振動に共振して振動増幅部材95が一端側を支点に前後方向に単調和振動をし、この単調和振動により取り付け台59の振動を増幅する作用がある。そのため振動検出手段91は振動増幅部材95の増幅作用を受けて、振動増幅部材95の下端側で前後方向に振動することとなり、取り付け台59の振動を確実に検出することができる。
特に振動増幅部材95は上下両側の広幅部95a,95bの剛性が大であるが、その広幅部95a,95b間の狭幅部95cの剛性が小さく、しかも振動検出手段91によって下端側の質量が大となっているため、振動増幅部材95の途中に狭幅部95cがあり下端側の質量が大であることから、振動検出手段91側の振幅数が低下して振幅が大きくなり、振動検出手段91により取り付け台59の振動を容易に検出することができる。
振動増幅手段92は検出対象部位に片持ち状に固定された振動増幅部材95を備え、その振動増幅部材95の一端側を検出対象部位に固定し、他端側に振動増幅部材95を固定した簡単な構成であるため、容易且つ安価に実施することができる。
図15、図16は本発明の第2の実施形態を例示する。この実施形態の振動増幅部材95には、第1の実施形態と同様に広幅部95a,95bと狭幅部95cとを有し、一端側の広幅部95aが固定部106で取り付け台59に片持ち状に固定され、他端側(自由端側)の広幅部95bに振動検出手段91と当接部115とが設けられている。
振動検出手段91の検出部116は、金属球等の可動体117と、この可動体117を振動感知方向に相対移動自在に保持する保持部118とを備え、これらの可動体117と保持部118との相対移動により検出部116が振動を検出する加速度式のものが使用されている。
振動検出手段91は振動増幅部材95の一側面に、当接部115は振動増幅部材95とは反対の取り付け台59側の他側面に夫々設けられている。狭幅部95cは振動増幅部材95の振動検出手段91に近い側に設けられている。
当接部115は振動増幅部材95の自由状態から一方側への振動を規制する規制手段を構成するものであって、振動増幅部材95が自由状態のときに取り付け台59の前面に当接するように、狭幅部95cと振動検出手段91の検出部116との近傍で広幅部95bから取り付け台59側に突出して左右方向に長く設けられている。
なお、当接部115は広幅部95bの略全幅の長さでもよいし、広幅部95bの略全幅よりも短くてもよい。また当接部115は広幅部95bの幅方向に1個又は複数個設けてもよいし、振動増幅部材95の広幅部95bと対向して取り付け台59等の固定部側に設けて、振動増幅部材95の広幅部95bの背面に当接するように構成することも可能である。他の構成は第1の実施形態と同様である。また当接部115は前後反対側にも設けることも可能である。
この場合には、取り付け台59が前後方向に振動すれば、振動増幅部材95が固定部106側を支点として前後方向に単調和振動する。この単調和振動により振動増幅部材95が後方へと戻るときに当接部115が取り付け台59に当接して、振動増幅部材95の後方への振動が急激に規制されるため、振動検出手段91の検出部116の可動体117と保持部118との間に急激な相対移動が生じることになる。
従って、当接部115を設けることにより、振動検出手段91の検出部116においてその可動体117と保持部118との間に急激な相対移動を生じさせることが可能であり、これによって振動検出手段91の検出精度を向上させることができる。
図17〜図19は本発明の第3の実施形態を例示する。この実施形態では、遊技盤15に装着された始動入賞手段110に振動増幅部材95を介して振動検出手段91が設けられている。
始動入賞手段110は第1,第2特別図柄表示手段34,35の特別図柄の始動用であって、非開閉式の第1特別図柄始動手段20と開閉式の第2特別図柄始動手段21とを取り付けベース111に上下に備えており、後部側の本体部112が遊技盤15の取り付け孔113に前側から挿入され、取り付けベース111が遊技盤15の前面に着脱自在に固定されている。第1,第2特別図柄始動手段20,21は、入賞した遊技球を本体部112側の球通路を経て遊技盤15の裏側へと誘導するようになっている。
振動検出手段91は始動入賞手段110の本体部112の後端側等の所定箇所を検出対象部位として、その検出対象部位に、振動増幅手段を構成する振動増幅部材95を介して取り付けられている。
振動増幅部材95は左右幅が広く剛性が大の広幅部95a,95bを上部及び下部の両側に備え、その広幅部95a,95b間に、広幅部95a,95bよりも左右幅が狭く剛性が小さい狭幅部95cが設けられている。上側の広幅部95aの上端側が本体部112にネジ等の固定具により固定され、下側の広幅部95bの前面にネジ等の固定具により振動検出手段91が固定されている。なお、振動増幅部材95は後側に屈曲する屈曲部95dを中間に有し、この屈曲部95d内に狭幅部95cが設けられている。他の構成は第1の実施形態と同様である。
このように構成すれば、始動入賞手段110の本体部112側の振動を振動増幅部材95で増幅して振動検出手段91により検出することができる。従って、始動入賞手段110に対して遊技球が入賞し易くなるようにガラス扉5又は上皿カバー11等を殴打する不正行為があっても、その事実を容易且つ確実に検出することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、各実施形態では、パチンコ機について例示しているが、パチンコ機以外の弾球遊技機の全般、スロットマシン等の各種の遊技機においても同様に実施可能である。
またパチンコ機の場合でも、裏カバー30に装着された取り付け台59を、遊技盤15に装着された始動入賞手段110を夫々検出対象部位としているが、検出対象部位は遊技盤15に直接的又は間接的に設けられたか否かに関係なく、振動が問題となる任意の箇所を対象とすることができる。従って、遊技盤15以外のガラス扉5、開閉扉、上皿カバー11等を対象としてもよい。
第1、第2の実施形態では、取り付け台59に取り付けられる遊技盤部品として振り分け手段25を例示しているが、振り分け手段25以外のものでもよい。また振り分け手段25等の遊技球に関わる遊技部品が全て遊技盤15側にあり、裏カバー30側に振り分け手段25等の遊技部品がない場合にも、振動増幅手段92による振動増幅作用が十分であれば、その裏カバー30に振動増幅手段92を介して振動検手段91を取り付けることも可能である。
振動増幅手段92は振動を機械的に増幅できるものであれば良く、板状の振動増幅部材95が適当であるが、板材に限定されるものではなく、線材その他のものを利用することも可能である。振動増幅部材95は広幅部95a,95bと狭幅部95cとを長手方向に複数組備えたものでもよいし、広幅部95a,95bと狭幅部95cとの長短は逆又は同程度でもよい。更に振動増幅部材95は全長が略同幅のものでもよいし、更に板バネ、ピアノ線等の弾性材を使用してもよい。
また振動増幅部材95により振動を増幅する際の振動形式は単調和振動に限定されるものではない。検出対象部位の振動に共振して振動するものであれば十分である。