以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図33を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の後面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘や風車(図示せず)の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
球の第1入賞口64、第2入賞口640の通過回数は、それぞれ、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示される。更に、例えば、第1入賞口64の保留球数が多いほど、表示装置での変動表示期間として短い期間が選択されやすい制御とされる。同様に、第2入賞口640も制御される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の上方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に特定入賞口65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う正面視三角形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として右側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を右側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640にも入賞しなかった球は、第1アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。本実施形態においては、風車の内の一つ(可動部材310と称す)が遊技盤13の正面視左側上方に配設され、図2において図示されている。
図3に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には駆動モータ472が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5から図21を参照して、遅延デバイス300について説明する。図5は、遊技盤13の背面分解斜視図である。図5では、遊技領域を流下し第1入賞口64に流入した球が流下する遅延デバイスが、遊技盤13から分解された状態が図示される。
第1入賞口64に流入した球は遅延デバイス300の内部を流下し、その下端に配置される検出口312dから送球され、検出センサ(図示せず)を通過することにより、抽選が行われる。即ち、第1入賞口64に球が入球してから、検出センサを通過するまでの間は、未だ抽選が未実施の状態とされる。
次いで、図6及び図7を参照して、遅延デバイス300について説明する。図6は、遅延デバイス300の正面図であり、図7は、図6のVII−VII線における遅延デバイス300の断面図である。なお、図7では、理解を容易とするために、遊技盤13が部分的に図示される。
図6及び図7に示すように、遅延デバイス300は、内部に溝が形成され、その溝と面あたりする遊技盤13とで第1入賞口64に入球した球が流下する経路を形成する本体部材310と、その本体部材310に対してスライド移動するスライド移動部材321を有する減速装置320と、その減速装置320の復帰動作を調整する第1調整装置330と、本体部材310に対して回転動作し球を異なった流路に振り分ける振り分け装置340と、その振り分け装置340の回転軸と同軸で構成されると共に振り分け装置340の復帰動作を調整する第2調整装置350と、を主に備える。
本体部材310は、遊技盤13と対向配置される側が開放される溝を構成する部材であって、第1入賞口64から入球した球が最初に流下する第1溝311と、その第1通路311の下端から鉛直下方に延設される第2溝312と、第1溝311と第2溝312との連結部分から横方向に延設され第2溝312の延設長さよりも長い経路をたどって検出口312dに連結される第3溝313と、底板部開口311bの手前側から第1溝311の下方へ向けて板状に延設されると共にスライド移動部材321を支持する支持板部314と、を主に備える。
第1溝311は、第1入賞口64から入球した球を斜め下方に一直線に下降させる本通路311aと、その本通路311aの底板の奥行き方向中央部(球の奥行き方向中央部)において球の半径よりも短い幅に形成される開口である底板部開口311bと、天板部分において減速装置320の風車部材322を内部に張出可能な幅であけられる天板部開口311cと、その天板部開口311cを挟んで奥行き方向に一対で配設されると共に風車部材322の軸受けとなる軸受け部311dと、本通路311aから奥側に球を転動可能な大きさで凹設される奥側凹設部311eと、を主に備える。
奥側凹設部311eは、本通路311aの入口付近において連結される凹設部分であって、その入口付近では底面が本通路311aの底面と同じ高さとされ、下流側へ向かうにつれて本通路311aよりも上昇傾斜する態様で構成される。
第2溝312は、第1溝311の下端に到達した球を左右方向に跳ね返す負荷を与える当接壁312aと、背面側(図6奥側)の板部に形成される凹部であって振り分け装置340を配設可能に円弧形状に凹設される凹設部312bと、第3溝313から流入する球を受け止めると共に振り分け装置340の回り止めとして作用する受け壁部312cと、球を送球する検出口312dと、凹設部312bと対面配置される側壁部312eと、を主に備える。
支持板部314は、スライド移動部材321の案内棒部321cが挿通される一対の長孔314aを備える。この長孔314aは、第1調整装置330の長孔331aと向きを同じくして構成される(前後方向で重なる態様で構成される)。
減速装置320は、第1溝311を球が通過することによりスライド移動するスライド移動部材321と、そのスライド移動部材321に歯合されると共に球に当接され回転する風車部材322と、を主に備える。
スライド移動部材321は、本体部材310の長孔314aと、後述する第1調整装置330の長孔331aとに案内されて、直線動作可能とされる。
風車部材322は、軸受け部311dに軸支されると共に奥側の端部にスライド移動部材321と歯合されるギア部を有する本体ギア部322aと、その本体ギア部322aの軸部分から放射状に一対が延設されると共に互いに90°の角度を成す第1延設羽部322bと、第2延設羽部322cと、を主に備える。
図7に示すように、第1延設羽部322bと、第2延設羽部322cとは、天板部開口311cから第1溝311a内部へ向けて張出可能に構成されると共に、第1溝311aを流下する球に当接され、スライド移動部材321が重力で下端位置に維持される初期状態において第1延設羽部322bが球に当接可能な位置に配置される。
第2延設羽部322cは、その延設方向先端部の、図6の状態から第1溝311に近接する方向に先細り形状で凸設される凸設部322c1を備える。凸設部322c1は、球が2球連続で第1溝を流下した場合にそれらの球を切り離す態様で作用する。
第1調整装置330は、本体部材310を遊技盤13との間に挟む板状部材である本体板部材331と、その本体板部材331に軸支されると共に風車部材322の本体ギア部322aと歯合される固定ギア部332aを有する回転付勢装置332と、を主に備える。なお、風車部材322の本体ギア部322aに対する固定ギア部332aのギア比は約2とされる。即ち、風車部材322が90°回転することに伴って、回転付勢装置332は45°回転する。
本体板部材331は、スライド移動部材321を案内する長孔であって一対で構成される長孔331aを備え、同形状の長孔314aが対向配置される支持板部314にも形成される。これら長孔314a,331aに案内されることによりスライド移動部材321が直進方向にスライド移動可能に構成される。
回転付勢装置332は、本体板部材331に軸支される固定ギア部332aと、その固定ギア部332aに軸方向端部において固着され内部に凹設溝を有する機能円盤装置332bと、を主に備える。
振り分け装置340は、本体部材310の第2溝312の右方において本体部材310に中心孔345で軸支される装置であって、図6に示す初期状態において、第2溝312bから流入する球を受け止める第1壁部341と、その第1壁部341の上方に球1個分離間して対向配置される第2壁部342と、その第2壁部342の先端部から振り分け装置340の回転軸を中心とする円弧形状に沿って形成される円弧壁部343と、円盤形状から形成され第2溝312の凹設部312と面位置に配置されると共に第2溝312の奥側の板部の一部を補完する態様で形成される補完板部344と、本体部材310に軸支される貫通孔である中心孔345と、を主に備える。
第2壁部342は、延設先端に径方向に凸設される先端凸部342aを備える。先端凸部342aにより、円弧壁部343に当接して流下する球によって、振り分け装置340に正面視反時計回り(図6において反時計回り)の負荷を与えることができ、球の作用で意図せず振り分け装置340が初期位置側に復帰することを抑制することができる。
振り分け装置340の初期位置は、遊技盤13の後方へ凸設されるストッパ部S1により規定される。即ち、初期位置において、円弧壁部343の先端がストッパ部S1に止められることで、振り分け装置340は停止する。振り分け装置340を正面視時計回り(図6時計回り)に回転させる駆動力は第2調整装置350により生じる。
第2調整装置350は、振り分け装置340の補完板部344に固定される装置であって、内部において重心を変化させる疑似重心球GBが移動可能な流路を有する装置であるが、詳細は図15で後述する。
図8は、図6のVIII−VIII線における遅延デバイス300の部分断面図である。図8に示すように、スライド移動部材321が本通路311aの中心部分に配置される。これにより、スライド移動部材321が本通路311aの内側に張出た際に、第1溝311を流下する球に凸設部321a1を確実に当接させることができる。
本通路311aを流下する球は、その形状関係から奥側凹設部311eに流入し得る。奥側凹設部311eは、下流側(図8左側)へ向かうほど本通路311a側に近接する態様で構成される戻し壁部311e1を有する。これにより、奥側凹設部311eに流入した球を本通路311aに戻すことができず、球詰まりが生じることを抑制することができる。
次いで、図9及び図10を参照してスライド移動部材321について説明する。図9は、スライド移動部材321の正面斜視図であり、図10(a)は、スライド移動部材321の正面図であり、図10(b)は、図10(a)の矢印Xb方向視におけるスライド移動部材321の側面図であり、図10(c)は、図10(a)の矢印Xc方向視におけるスライド移動部材321の上面図であり、図10(d)は、図10(a)のXd−Xd線におけるスライド移動部材321の部分断面図である。
図9及び図10に示すように、スライド移動部材321は、遅延デバイス300の本通路311aの中央部分に本通路と平行な面で張り出す長尺板状の第1張出板部321aと、その第1張出板部321aの一方の端部に連設され第1張出板部321aの延設方向に対して下降傾斜して延設される第2張出板部321bと、各張出板部321a,321bの長尺方向両端部において一対が平行に延設さえる丸棒形状の案内棒部321cと、各張出板部321a,321bに対して奥行き方向(図10(a)紙面垂直方向)にオフセットされた位置において直線上に延設されると共にラックギア歯が形成されるラックギア部321dと、を主に備える。
第1張出板部321aは、組立状態(図6参照)において、本通路311aの延設方向と平行な方向に延設される板部分であって、球の直径間隔で配設されると共に上面から半円形状に凸設される凸設部321a1を備える。凸設部321a1が球に当接することにより、本通路311a(図8参照)を通る球の速度が減速される。
第2張出板部321bは、凸設部321a1と同様の作用を生じる凸設部321b1と、奥側へ向けて下降傾斜する傾斜面321b2(図10(d)参照)と、を備える。第2張出板部321bが本通路311aの内側に張り出している場合、傾斜面321b2により、流下する球が奥側凹設部311eへ向かい易い状態となる(図8参照)。従って、本通路311aを、その延設方向に沿って、球が一直線に流下する場合に比較して、球の通過期間を長くすることができる。
第1張出板部321aと第2張出板部321bは延設方向が異なるので、第1延設板部321aが本通路311aの内側に張り出す一方で第2張出板部321bは本通路311aの外側に配置される状態が形成可能とされる。即ち、スライド移動部材321の配置によって、球の減速の度合いを変更可能に構成されるが、詳細は後述する。
案内棒部321cは、第1調整装置330の長孔331aに挿通される(図6参照)。これにより、長孔331aの延設方向に沿ってスライド移動部材321がスライド移動可能に支持される。
ラックギア部321dは、長孔331aの延設方向と平行に延設され、ラックギア歯が風車部材322の本体ギア部322aに歯合される(図6参照)。これにより、風車部材322が回転することにより、ラックギア部321dが直線方向(長孔331aの延設方向)にスライド動作される。
次いで、図11及び図12を参照して、振り分け装置340及び第2調整装置350について説明する。図11は、振り分け装置340及び第2調整装置350の正面斜視図であり、図12(a)は、振り分け装置340及び第2調整装置350の正面図であり、図12(b)は、図12(a)の矢印XIIb方向視における振り分け装置340及び第2調整装置350の側面図であり、図12(c)は、図12(a)の矢印XIIc方向視における振り分け装置340及び第2調整装置350の上面図であり、図12(d)は、図12(a)のXIId−XIId線における振り分け装置340及び第2調整装置350の部分断面図である。なお、図12(d)では、疑似重心球GBが減速壁部351dに乗った状態が図示される。
図11及び図12に示すように、補完板部344の正面側は各壁部341,342,343の占める部分を除き開放され、球を流下させる通路の側壁として利用される(図6参照)。
第2調整装置350は、補完板部344の背面側に固着されると共に内部に疑似重心球GBを流下させる流路が凹設される重心変化装置351と、その重心変化装置351の凹設部に蓋をする態様で重心変化装置351に固定される蓋部材352と、を主に備える。
重心変化装置351は、浅い凹設部を有する円板形状の本体部材351aと、その本体部材351aに疑似重心球GBが流下可能な幅で凹設される凹設溝部351bと、その凹設溝部を中心で仕切ると共に先端部分のみで疑似重心球GBの通過を許容する仕切り壁351cと、その仕切り壁351cによって仕切られる流路の片側に延設されると共に疑似重心球の流下を減速させる減速機構を有する減速壁部351dと、仕切り壁351cの一方の端部(図12(a)下端部)に揺動可能に軸支されると共に疑似重心球GBの一方向(図12(a)右向き方向)の通過のみを許容する方向弁351eと、を主に備える。
第2調整装置350の疑似重心球GBを除く重心位置は回転中心と同じに設定される。即ち、疑似重心球GBが回転中心に対してどの位置に配置されるかにより、振り分け装置340が安定する姿勢が決定される。
ここで、疑似重心球GBは、球の重量以下の球状物から構成される。例えば、球の重量が5グラムであれば、疑似重心球GBとしては、2〜4グラム程度の球状物を選択することが望ましい。これにより、振り分け装置340に流入した球と疑似重心球GBとで力が釣り合う事態を回避することができ、振り分け装置340を球の重さで回転させることが可能となる。
図12(d)を参照して、減速壁部351dの減速機構について説明する。減速壁部351dは、球の両側を下側から支持し、その状態で球が転動する部分である。図12(d)に示すように、疑似重心球GBは、回転軸からの長さが最大径(半径r1)となる部分(図12(d)左右方向中央部分)で転動するのではなく、回転軸からの長さが最大径よりも短い半径(半径r’1)となる部分で減速壁部351dと当接して転動する。そのため、疑似重心球GBの回転数が同じである場合、疑似重心球GBが仕切り壁351cの上を転動(半径r1で転動)する時の疑似重心球GBの速度に比較して、減速壁部351dの上を転動(半径r’1で転動)する時の疑似重心球GBの速度を遅くすることができる。
即ち、疑似重心球GBの一回転辺りの並進移動距離を短縮することができる。この方法により疑似重心球GBを減速する場合、疑似重心球GBの回転のエネルギーを保持したまま減速を行うことができるので、制動が効き過ぎて、疑似重心球GBが意図しない位置で停止するという事態を回避することができる。
また、減速壁部351dと疑似重心球GBとの当接位置(疑似重心球GBの転動半径)の設定によって疑似重心球GBの減速の度合いを任意に設定できるので、特別な材料(高摩擦の材料等)は不要であると共に、減速壁部351dの形成距離が短い場合にも疑似重心球GBを十分に減速させることができる。
次いで、図13及び図14を参照して、遅延デバイス300の動作について説明する。図13及び図14は、遅延デバイス300の正面図である。図13では、図6に示す初期状態において球が本体部材310を1球流れた直後の状態が図示され、図14では、図13の状態において球が本体部材310を1球流れた直後の状態が図示される。
図13及び図14に示すように、球の通過により、振り分け装置340は初期状態(図6参照)と変化状態(図13参照)とに姿勢変化し、減速装置320は、球の通過する個数によって、初期状態(図6参照)と、中間状態(図13参照)と、上昇状態(図13参照)とで状態(高さ方向の配置)が変化する。
減速装置320の各状態について説明する。減速装置320が中間状態の場合、スライド移動部材321が移動し本通路311aの底面から凸設部321aが張り出す位置に配置される。従って、この状態において本通路311aに流入した球は凸設部321aに当接し、減速されながら流下することとなる。なお、中間状態では、第2張出板部321bが第1溝311の外側に配置される。
減速装置320が上昇状態の場合、スライド移動部材321が本通路311aの内部に更に張り出し、第2張出板部321bが奥側凹設部311eの底面よりも上方に配置される。第2張出板部321bは上面に傾斜面321b(図10参照)を有しているので、この状態において本通路311aに流入した球は傾斜面321bの傾斜に沿って奥側凹設部311eに流入し、奥側凹設部311eの下端部まで流れた後で再度、本通路311aと合流する。
減速装置320が上昇状態の場合、第1張出板部321aが本通路311aの内側に張り出することにより、本通路31aの道幅(高さ方向の幅)が狭まる。また、本実施形態では、スライド移動部材321が本通路311aの延設方向に対して傾斜する方向にスライド移動することにより、第2溝312の当接壁312aと第1張出板部321aの端部との幅が狭まる。従って、球の減速を、本通路311aの道幅を狭めることと、第1溝311と第2溝312との連結部分の道幅を狭めることで流路抵抗を上昇させることにより行うことができる。
振り分け装置340の各状態について説明する。振り分け装置340が初期状態(図6参照)の場合、振り分け装置340へ流入する球は第1壁部341に受け止められる。すると、球の重さで振り分け装置340が変化状態(図13参照)まで回転し、球は検出口312dへ流入する。
ここで、本実施形態では、側壁部312eが第1壁部341よりも上方へ張り出して(球の半径以上の高さで張り出して)構成されるので、球が第3溝313側へ流入することが抑制される。従って、振り分け装置340が初期状態の場合に振り分け装置340に流入した球を高確率で鉛直下方に流下させることができる(最短期間で流下させることができる)。
振り分け装置340が変化状態(図13参照)の場合、振り分け装置340へ流入する球は円弧壁部343に当接し、第3溝313へ流入する。なお、円弧壁部343は振り分け装置340の中心孔345を中心とした円弧形状から形成されるので、球が衝突した場合の負荷が振り分け装置340の回転軸へ向けた方向へかけられることから、振り分け装置340に回転方向の負荷を与えることが抑制される。
従って、変化状態の場合に振り分け装置340に流入する球が振り分け装置340に与える衝撃により、振り分け装置340が意図せず初期状態へ復帰する事態を避けることができ、所定期間、振り分け装置340が変化状態を維持することを確実にすることができる。
次いで、図15を参照して、振り分け装置340の姿勢変化タイミングの調整について説明する。図15(a)から図15(c)は、回転軸に直交する平面における第2調整装置350の断面図である。図15(a)から図15(c)では、重心変化装置351の内部構造が視認可能とされ、図15(a)では、振り分け装置340が初期状態(図6参照)とされた場合が図示され、図15(b)では、振り分け装置340が変化状態(図13参照)とされた場合が図示され、図15(c)では、振り分け装置340が変化状態から初期状態へ戻りきる直前の状態が図示される。
図15に示すように、第2調整装置350では、その姿勢変化に伴って、疑似重心球GBが凹設溝部351bの内部を移動する。それにより、第2調整装置350の重心位置が変動し、第2調整装置350が停止と回転とを繰り返す。
第2調整装置350の動作について説明する。図15(a)に示すように、振り分け装置340が初期状態(図6参照)の場合において、疑似重心球GBは中心孔345の右側に配置されることから、疑似重心球GBの重さによって第2調整装置350を正面視時計回り(図15時計回り)に回転させる方向に負荷が与えられる。これにより、遊技機10(図1参照)が多少振動しても、振り分け装置340が姿勢を初期位置に維持することができる。
図15(b)に示すように、振り分け装置340が変化状態(図13参照)とされると、仕切り壁351cと方向弁351eとの成す傾斜が、左方へ向かうほど下降傾斜する態様とされると共に、減速壁部351dの成す傾斜が、右方へ向かうほど下降傾斜する態様とされる。そのため、疑似重心球GBが、仕切り壁351cの上側を転動し矢印L1に沿って左方へ流れ、端部で減速壁部351dに落下し、減速壁部351dの上側を転動し矢印L2に沿って右方へ流れるという動作を行う。
これにより、疑似重心球GBを中心孔345の左方へ送ることができるので、疑似重心球GBの重さによって第2調整装置350を正面視反時計回り(図15反時計回り)に回転させる方向に負荷が与えられる。これにより、振り分け装置340を一定期間(疑似重心球GBが中心孔345の右方へ通過するまでの期間)変化状態に維持することができる。
その変化状態に維持する期間は、減速壁部351dにより疑似重心球GBを減速させる度合いにより任意に変化させることができる。例えば、減速壁部351dにより疑似重心球GBの流下速度を半分にすれば、振り分け装置340を変化状態に維持する期間を2倍とすることができる。
なお、減速壁部351dの態様としては、様々な態様が例示される。例えば、疑似重心球GBが減速壁部351dと当接する点の回転半径を小さくすることにより疑似重心球GBの並進移動速度を減速させる方法が例示される(図12(d)参照)。即ち、疑似重心球GBの回転を最大径部分(中心部分)で受けるのでは無く、直径が小さくなる部分(端部付近)で受けることにより、疑似重心球GBの一回転辺りの並進移動距離を短縮し、回転数を落とすことなく疑似重心球GBを減速させる方法である。この方法によれば、疑似重心球GBの回転数を低下させる場合に比較して、減速壁部351dを通過した後の疑似重心球GBの並進速度を大きくすることができる。
そのため、減速壁部351dの右端に到達した直後において、疑似重心球GBを大きな速度で右方へ送球することができ、疑似重心球GBが減速壁部351dの右端に到達した直後から、図15(c)に示す状態へ状態変化するまでの期間を短縮することができる。
図15(c)に示すように、振り分け装置340が変化状態から初期状態へ状態変化する前後において、疑似重心球GBが方向弁351eを通過する。方向弁351eは、図15(c)に示すように、疑似重心球GBが右方へ流れることは許容する一方で、疑似重心球GBが左方へ流れることは防止する態様とされる。これにより、疑似重心球GBが跳ね返って中心孔345の左方へ戻ることを防止することができる。
本実施形態では、振り分け装置340が変化状態に変化してから、初期状態へと戻るまでの期間が、入賞口64(図2参照)の保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)よりも長い期間に設定される。
そのため、振り分け装置340が初期状態の時に球が振り分け装置に入球され、その球が検出口312d(図6参照)に入球したことにより入賞口64の保留球数が4個となった場合に、その後で開始される変動が終わる前(入賞口64の保留球数に空きができる前)に振り分け装置340に入球した球はもれなく第3溝313(図13参照)へ振り分けられる。そして、第3溝313を球が通過する間に入賞口64の1の変動が終了し、入賞口64の保留球数に空きができることで、入賞口64でオーバーフロー(保留球数が最大の状態で検出口312dに球が入球することにより、球が入球したにも関わらず、抽選の機会を得られない状態)が生じることを防止することができる。
なお、第3溝313での球の減速の度合いは、様々な方法で設定することができる。例えば、球が転動する底壁に高摩擦のシートを貼ることにより、球を減速させても良い。
ここで、第1の設定例として、第3溝313を球が通過仕切るまでの期間を、例えば、入賞口64の保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)よりも長い期間に設定することにより、球が2個連続で振り分け装置340に入球した場合に、1個目の球が検出口312dに入球してから2個目の球が第3溝313を通過して検出口312dに入球するまでの期間を入賞口64の保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)よりも長くすることができる。これにより、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
また、第2の設定例として、第3溝313を球が通過仕切るまでの期間を、例えば、入賞口64の保留球数が3個の場合に選択されやすい変動期間と、保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)とを合算した期間よりも長い期間に設定することにより、第3溝313に球が2個連続で入球された場合でも、1個目の球が検出口312dに入球してから2個目の球が第3溝313を通過して検出口312dに入球するまでの期間で2回の変動が消化されるので、その後、球が2個検出口312dに入球したとしても、オーバーフローが生じることを抑制することができる。
次いで、図16を参照して、機能円盤装置332bについて説明する。機能円盤装置332bは、本体板部材331(図7参照)との間に配置される疑似重心球GBが移動する事により、第2調整装置350と同様に重心位置が変化して、機能円盤装置332bに与えられる負荷の方向が変化する装置である。
図16(a)から図16(d)は、機能円盤装置332bを回転軸に垂直な平面で断面視した機能円盤装置332bの断面図である。図16(a)では、減速装置320が初期状態の場合(図6参照)が図示され、図16(b)では、減速装置320が初期状態から中間状態(図13参照)に状態変化した直後が図示され、図16(c)では、減速装置320が中間状態から上昇状態(図14参照)に状態変化した直後が図示され、図16(d)では、減速装置320が中間状態から初期状態に状態変化した直後の状態が図示される。
図16に示すように、機能円盤装置332bは、疑似重心球GBが移動可能な深さで背面側から凹設される凹設溝部332b1と、球の通過可能な箇所を限定する態様で仕切る仕切り壁332b2と、その仕切り壁332b2の下側に球を転動可能な板部分として配設され仕切り壁332b2の端部から所定幅張り出す態様で形成されると共に疑似重心球GBの流下を減速させる第1減速壁部332b3と、その第1減速壁部332b3を挟んで仕切り壁332b2の反対側に配置されると共に疑似重心球GBの流下を減速させる第2減速壁部332b4と、疑似重心球GBの通過を左側から右側への一方向に限る方向弁332b5と、を主に備える。
なお、疑似重心球GBとして、便宜上、第2調整装置350に収容される疑似重心球GBと同一の符号を使用するものであって、疑似重心球GBの形状や重さが同一なものに限る趣旨では無い。
機能円盤装置332bは、疑似重心球GBを第1減速壁部332b3で流下させて方向弁332b5を通過させる事もできるし、第2減速壁部332b4で流下させる方向弁332b5を通過させる事もできる。以下、機能円盤装置332bの動作について詳細に説明する。なお、図6、図13及び図14を適宜参照する。
図16(a)に示すように、減速装置3420が初期状態(図6参照)の場合には、仕切り板332bが右方へ向けて下降傾斜する態様とされ、疑似重心球GBは機能円盤装置332bの右側部に維持される。これにより、回転付勢装置332からスライド移動部材321に対して、スライド移動部材321を下方に維持する負荷がかけられる(図6参照)。従って、遊技機10(図1参照)が振動した場合に、スライド移動部材321が上下動作することを抑制することができる。
図16(b)に示すように、減速装置3420が中間状態(図13参照)の場合には、仕切り板332b2は左方へ下降傾斜する態様とされる一方で、第1減速壁部332b3は右方へ下降傾斜する態様とされる。従って、疑似重心球GBは、矢印L3に沿って仕切り板332b2の上面を左方へ転動した後、矢印L4に沿って第1減速壁部332b3の上面を右方へ転動することにより疑似重心球GBが機能円盤装置332bの回転中心の右側へ送られ、機能円盤装置332bを初期状態へ戻す方向(図16時計回りに回転させる方向)へ負荷がかけられる。
この疑似重心球GBの流下途中において、図16(b)に示すように、疑似重心球GBが回転中心よりも左側に配置される状態では、昨日円盤装置332bを図16(b)において反時計回りに回転させる方向に負荷がかけられるので、重力によるスライド移動部材321の下降を留めることができる。また、球の重量によりスライド移動部材321が下降することを抑制することができる(下降しても、球がどいたら、すぐに上昇するという状態を形成することができる)。
図16(c)に示すように、減速装置3420が上昇状態(図14参照)の場合には、第1減速壁部332b3は左方へ下降傾斜する態様とされる一方で、第2減速壁部332b4は右方へ下降傾斜する態様とされる。従って、疑似重心球GBは、矢印L5に沿って第1減速壁部332b3の上面を左方へ転動した後、矢印L6に沿って第2減速壁部332b4の上面を右方へ転動することにより疑似重心球GBが機能円盤装置332bの回転中心の右側へ送られ、機能円盤装置332bを初期状態へ戻す方向(図16時計回りに回転させる方向)へ負荷がかけられる。
疑似重心球GBが第1減速壁部332b3の上面を転動している際に本通路311aを球が通過して減速装置320が上昇状態まで移動すると共に機能円盤装置332bが図16(c)に示す姿勢となる場合、疑似重心球GBは、その後で第1減速壁部332b3で減速され、更に第2減速壁部332b4で減速されることになるので、減速装置320が中間状態とされる場合(図13参照)に比較して、疑似重心球GBが回転中心よりも右方に配置されるまでの期間が長くされる。従って、中間状態(図13参照)に維持される期間に比較して、減速装置320を上昇状態(図14参照)に長く維持することができる。
図16(d)に示すように、第1減速壁部332b3又は第2減速壁部332b4に配置された疑似重心球GBが機能円装置332bの中心よりも右方に配置されるとスライド移動部材321の重みにより減速装置320が動作し、機能円盤装置332bが初期状態と同じ姿勢とされると共に、疑似重心球GBが第1減速壁部332b3又は第2減速壁部332b4から排出され凹設溝部332b1を転動する。この疑似重心球GBが方向弁332b5を通過することにより、機能円盤装置332bが初期状態(図16(a)参照)に復帰する。
図17及び図18を参照して、遅延デバイス300の内部を流下する球の流下パターンについて説明する。図17(a)、図17(b)、図18(a)及び図18(b)は、遅延デバイス300の部分正面図である。図17(a)、図17(b)、図18(a)及び図18(b)では、入賞口64から球P1〜P3が3個連なって入球された場合が図示され、図18(a)では、球P1〜P3が風車部材322の手前に配置された状態が図示され、図18(b)では、球P1と球P2とが風車部材322の第2延設羽部322cに切り離された状態が図示され、図18(c)では、球P2が第2延設羽部322cを押し進んで振り分け装置340に到達した状態が図示され、図18(d)では、球P3が第2溝312に侵入し始める状態が図示される。
なお、図17(a)、図17(b)、図18(a)及び図18(b)では、構造図面の右下のスペースに、球P1〜P3が入賞口64に入球してからの状況を示すグラフが図示される。また、球P1〜P3が入賞口64に入球するタイミングは実際には僅かに(0.2秒程度)ずれが生じるが、グラフは、理解を容易にするために、球P1〜P3が入賞口64に同時に入球したものとして図示されると共に、横軸を経過時間Tとして構成される。
グラフでは、球P1〜P3が入賞口64に入球するタイミング(「IN」)と、検出口312dに入球するタイミング(「OUT」)とが図示されると共に、球P1〜P3が、いつどの区間を流下するのかが、符号で図示される。また、図17(a)、図17(b)、図18(a)及び図18(b)に示す状態がグラフのどのタイミングを表すかについて、該当する図面において、三角マークで図示される。
図17(a)に示すように、風車部材322に到達するまでは、球P1〜P3は第1溝311を同様の条件で流下し、その速度に差は生じない。
図17(b)に示すように、1球目の球P1が風車部材322の第1延設羽部322bを押し進んで、第2延設羽部322cに2球目の球P2が切り離されると、先行する球P1は凸設部321a1に減速されることなく流下する一方で、球P2の下流側において凸設部321a1が本通路311aの内部へ張り出される。従って、球P2及び球P3は、凸設部321a1と当接する際に、断続的に流下方向とは反対方向の負荷を与えられ、減速する。これにより、球P1と、球P2との間の間隔を空けることができるので、例えば、球が2球同時に振り分け装置340に入球されることにより球が詰まり、動作不良が生じることを予防することができる。
なお、本実施形態では、球P1が第1溝311を通過するのに要する第1溝通過第1期間が2秒とされ(T11=2s)、球P1が通過してから減速装置320が(中間状態から)初期状態へ復帰開始するまでの期間である減速復帰第1開始期間は5秒とされ、復帰開始後1秒で減速装置は初期状態へ復帰するように設定される。
また、球P1が第2溝312へ入球してから検出口312dへ入球するまでの期間である第2期間T2が1.5秒とされる(T2=1.5s)。なお、第2期間T2は、振り分け装置340へ到達する前の1秒間である第2期間前半T2a(T2a=1s)と、振り分け装置340を通過した後の0.5秒間である第2期間後半T2b(T2b=0.5s)とに分けられ、振り分け装置340の状態によらず、第2溝312を球が通過する期間は不変とされる。
図18(a)に示すように、2球目の球P2が風車部材322の第2延設羽部322cを押し進むと、先行する球P2は第2溝へ流入する一方で、球P3は、スライド移動部材321の傾斜面321b2に沿って奥側凹設部311eに流入する。これにより、凸設部321a1によって減速されるのに加え、球P3は奥側凹設部311eを通る分だけ流下経路が延長されるので、球P2と球P3との間隔を空けることができる。
なお、本実施形態では、球P2が第1溝311を通過するのに要する第1溝通過第2期間T12が3秒とされ(T12=3s)、球P3が第1溝311を通過するのに要する第1溝通過第3期間T13が6秒とされる(T13=6s)。また、球P2が通過してから減速装置320が(上昇状態から)初期状態へ復帰開始するまでの期間である減速復帰第2開始期間は7秒とされ、復帰開始後2秒で減速装置は初期状態へ復帰するように設定される。
また、球P2は振り分け装置340の円弧壁部343に当接され、第3溝313に流入されるので、球P1に比較して、検出口312dまでの経路が延長される。従って、球P1と球P2との間の間隔を広げることができる。
なお、本実施形態では、球P2,P3が第3溝313を通過するのに要する第3期間T3が3秒とされる(T3=3s)。また、振り分け装置340が変化状態に状態変化してから初期状態へ復帰開始するまでの期間である振り分け維持期間BT1が4秒となる態様で、第2調整装置350の疑似重心球GBの速度が設定される(BT1=4s)。
図18(b)に示すように、減速装置320が上昇状態の場合には、第1張出板部321aの端部と、当接壁312aとの間の距離が球の直径と同程度とされる。従って、球P2,P3は、第1張出板部321aの端部と、当接壁312aとの間を通過する際に大きな抵抗をかけられ、勢いが落とされる。これにより、球P1と、球P2,P3との間隔を広げることができる。
図18(b)に示すように、球P2が第3溝313を流下して、第1壁部341を受け壁部312cへ押し付けることで、振り分け装置340を変化状態に維持し易くすることができる。
グラフに示すように、球P3が振り分け装置340に流入するタイミングにおいても振り分け装置340が変化状態に維持される(振り分け装置340が変化状態へ状態変化してから振り分け維持期間BT1だけ経過したタイミングで球P3が振り分け装置340へ到達する)。そのため、球P3が第3溝313へ流入される。これにより、球P2と球P3との間隔が縮まることを防止することができる。
グラフに示すように、本実施形態によれば、球P1〜P3が入賞口64に連なって入球した場合、球P1と球P2とは4秒間隔で検出口312dに入球し、球P2と球P3とは3秒間隔で入球する。本実施形態では、入賞口64の保留球数が最大となった後に選択される1の変動期間が3秒に設定されるので、図17及び図18の場合、入賞口64でオーバーフローが生じることを防止することができる。
また、本実施形態では、振り分け装置340が変化状態に維持される期間が、検出口312dに球が流入した際に入賞口64の保留球数が最大となった後に選択される1の変動期間よりも長い期間とされるので、図18(a)に示すように、その変動期間中に球P2が振り分け装置340に入球した場合に、その球P2を確実に第3溝313へ流入させることができる。これにより、球が連続で振り分け装置340に入球した場合に、オーバーフローが生じることを防止することができる。
従って、球P1〜P3が3個連なって入賞口64に入球した場合でも、それらが検出口312dに入球されるタイミングをずらすことができ、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。これにより、遊技者が特別注意しなくとも、入賞口64に球が入球したのに抽選を受けられないという事態を回避することができ、遊技を快適に行うことができる。
なお、本実施形態では、球P3の後方に連なって、もう一個の球が入賞口64に入球する場合(4球連続で入球する場合)、4個目の球と、球P3とが検出口312dへ入球するタイミングをずらすことはできない。そのため、入賞口64の保留球数が3個の状態で、入賞口64に球を4個も入球させるような遊技をしないように、止め打ちを推奨することが望ましい。
また、グラフに示すように、球P1〜P3が入賞口64へ連続で入球する場合において、例えば、球P3が球P1の入賞口64への入球後1秒以上の間隔を空けて入賞口64へ入球する場合、球P3が振り分け装置340へ到達する頃には、振り分け装置340は初期状態へ復帰されているので、球P3が第2溝312を鉛直方向に流下し検出口312dへ入球する。この場合、球P3の遅延期間が十分ではなく、入賞口64におけるオーバーフローを抑制することができない。
そのため、3球目が入賞口64へ入る場合にオーバーフローが抑制される効果を、限られた状況(球P1及び球P2が連続で入賞口64へ入球した後、球P1が入球してから1秒以内に球P3が入賞口64へ入球する状況)でのみ奏するものとすることができるので、遊技者が止め打ちを行う必要性は残しながら、たまたま止め打ち(入賞口64の保留球数が3の状態で球の打ち出しを停止すること)を忘れてしまった場合に、幸運にも状況が揃えば入賞口64でオーバーフローが生じないという状況をつくることができる。
これにより、止め打ちを行う遊技者と、止め打ちを行わない遊技者との間で、入賞口64への球の入球個数に対する抽選の機会の数に明確な違いを形成可能としながら、入賞口64の保留球数が3の場合に、連続で球が3個も入賞口64に入球するという、まれな状況では、3個目の球P3についても入賞口64でのオーバーフローが生じない条件を厳しくし(入球間隔を限定し)、オーバーフローが生じなかった際の貴重さを演出することができる。
これにより、止め打ちを行う遊技者に対しては、より慎重に止め打ちを行わせることができるので(保留球数に注目させて早い段階で打ち出しを止めさせることができるので)、抽選の機会をより多く獲得するためのハンドル51(図1参照)の操作を熱中して行わせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
次いで、図19及び図20を参照して、遅延デバイス300に球P4,P5が間隔を空けて入球した場合について説明する。図19(a)、図19(b)及び図20は、遅延デバイス300の部分正面図である。図19(a)では、減速装置320が初期状態の場合に球P4が風車部材322に到達した状態が図示され、図19(b)では、減速装置320が中間状態とされ、振り分け装置340が変化状態とされ、球P4が検出口312dに入球した0.5秒後(球P4が入球してから4秒後)に球P5が入賞口64へ入球した場合が図示され、図20では、球P5が振り分け装置340に入球される直前の状態が図示される。なお、図19(a)、図19(b)、図20では、構造図面の右下のスペースに、球P4,P5が入賞口64に入球してからの状況を示すグラフが横軸を経過時間Tとして図示される。
グラフでは、球P4,P5が入賞口64に入球するタイミング(「IN」)と、検出口312dに入球するタイミング(「OUT」)が図示されると共に、球P4,P5が、いつどの区間を流下するのかが、符号で図示される。また、図19(a)、図19(b)、図20に示す状態がグラフのどのタイミングを表すかが、該当する図面において三角マークで図示される。
図20に示す状態では、球P5は第3溝313へは入球されず、第2溝312を鉛直下方へ流下し、検出口312dへ入球する。ここで、球P4が検出口312dへ入球した直後の変動が終了する前に球P5が検出口312dへ入球すると、オーバーフローが生じる恐れがある。
そのため、本実施形態では、球P5が中間状態の減速装置320を通過するのに要する第1溝通過第2期間T12を、入賞口64の保留球数が4個の時の変動の期間(3秒)以上に長く設定する態様としている(第1溝通過第2期間T12を3秒としている)。この場合、球P5が第3溝313へ流入しない(第2溝312を鉛直方向に流下する)場合でも、球P5がスライド移動部材321の上を通過するまでの間に変動が終了するので、入賞口64でオ−バーフローが生じることを防止することができる。この場合、球P5が第3溝313を流下しない分、球P5による抽選のタイミングを早めることができ、遊技者を飽きさせないようにすることができる。
また、振り分け装置340が状態変化してから初期状態へ復帰開始するまでの振り分け維持期間BT1が4秒とされるので、球P4が入賞口64へ入球してから3秒の間(入賞口64の保留球数が4個の時の変動の期間)に入球した球を確実に第3溝313へ入球させることができる。また、その後振り分け装置340が初期状態へ復帰する直前までは、球を第3溝313へ入球させることができるので、球P4が入賞口64へ入球してから4秒未満の間に入球した球を確実に第3溝313へ入球させることができる。これにより、球P4,P5が3秒以内の間隔で入賞口64へ入球した場合であっても、入賞口64でオーバーフローが生じることを防止することができる。
次いで、図21を参照して、振り分け装置340に連続して球が入球した場合について説明する。本実施形態では、例えば、減速装置320が上昇状態(図14参照)の場合に、追加で球が2個連続で入賞口64に入球する場合に発生する状態である(例えば、図17(a)に示す球P1,P2が入球され、球P2が第2溝312へ入球した後で球が2個連続で入賞口64に入球する場合に発生する状態である)。図21(a)から図21(c)は、遅延デバイス300の部分正面図である。図21(a)では、振り分け装置340が初期状態とされ球P6が振り分け装置340に入球した状態が図示され、図21(b)では、球P6の重みで振り分け装置340が回転し、球P7が押し出された状態が図示され、図21(c)では、球P6が第2溝312を流下し、球P7が第3溝313を流下した状態が図示される。
図21(a)に示すように、振り分け装置340は、第1壁部341と第2壁部342との間に球が1球のみ収容可能な空間が設けられている。従って、球が2個連なって振り分け装置340に到達した場合には、1個目の球P6は振り分け装置340に収容されるが、2個目の球P7は収容されずに残留する。従って、球P6のみを単独で検出口312dへ流下させることができる。
振り分け装置340の第2壁部342の先端に配設される先端凸部342aは、球P7を外部に残留させる姿勢において(図21(b)参照)、球P7を第3溝313の入口へ向けて押し出す態様で形成される(先端凸部342aと対向配置する位置に第3溝313の入口が形成される)。従って、球P7を第3溝313の奥側まで押し出すことができ、球P7が第3溝313の入口付近に留まることを抑制することができる。これにより、例えば、振り分け装置340が変化状態からすぐに初期状態に復帰する態様で設定とし場合でも、球P7が(第3溝313へ上手く押し込まれず)振り分け装置340に入球することを防止することができる。
図21(c)に示すように、振り分け装置340を境に、球P6は検出口312dへ入球され、球P7は第3溝313を流下した後で検出口312dへ入球される。ここで、上述したように、第3溝313を球P7が流下する期間である第3期間T3が3秒とされ、その期間が入賞口64の保留球数が最大となった後に選択される1の変動期間(3秒)以上とされるので、入賞口64の保留球数が3個の場合に球P6が検出口312dに入球したとしても、球P7が検出口312dに入球する頃には1変動が終了する。従って、球P7が検出口312dに入球することにより、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
本実施形態では、球P7が検出口312dに入球してから3秒以内に別の球が検出口312dに入球する場合、その球に関しては、入賞口64でのオーバーフローが生じる構成とされる。これにより、短期間に入球する球が2個までであればオーバーフローを抑制できる一方で、短期間に入球する球が3個になるとオーバーフローが生じるという流路を構成することができる。従って、入賞口64での抽選の機会をより多く獲得するための球の発射強度や、球の発射頻度を、遊技者に入念に考えさせることができ、球の発射の態様に関する遊技性を向上させることができる。
なお、振り分け装置340は、球の重みでのみ初期状態から変化状態へ向けて回転するので、球P6や球P7が、側壁部312eと先端凸部342aとの間に配設される状態で、振り分け装置340が動作し球詰まりが起きるといった、振り分け装置340が電動動作する場合にのみ生じる問題を解消することができる。
本実施形態においては、図21(c)の状態において、例えば、到達後1秒以内に振り分け装置340が初期状態へ復帰するタイミングで球が振り分け装置340に到達し、更に次の球が振り分け装置340が初期状態へ復帰した1秒後に振り分け装置340に到達した場合、先に到達した球と、後で到達した球とが第1溝311と第3溝313との合流位置で衝突する恐れがあり、その場合、2個の球が、検出口312dに3秒以下の間隔で入球する。従って、先の球が第3溝313を通過する間に入賞口64(図20参照)の保留球数が3個となっている場合、入賞口64におけるオーバーフローを回避することができない。
これは、振り分け装置340が初期状態の際に2個の球が振り分け装置340へ到達する場合とは、大きく異なる。即ち、振り分け装置340が初期状態の際に2個の球が2秒間隔で振り分け装置340へ到達する場合には、後の球は第3溝313へ案内されるので、検出口312dに入球する間隔は3秒以上を確保することができる(図21参照)。一方で、振り分け装置340が変化状態の場合に、球が2秒間隔で振り分け装置340へ到達すると、先の球が第3溝313へ案内され、後の球が第2溝312を鉛直下方に流下する場合が生じ、検出口312dに入球する間隔が3秒よりも短くなる恐れがある。
これにより、入球口64へ球が2個連続で入球した場合に、毎回オーバーフローを抑制できるとは限らない流路を構成することができる。従って、オーバーフローを抑制可能な機構を備えながら、基本的には、入賞口64の保留球数が3個となったら止め打ちを行う遊技を行うことで最大数の抽選を獲得できるものとし、止め打ちの意義を向上させることができる。
次いで、図22から図33を参照して、遅延床デバイス400について説明する。図22は、遊技盤13の部分正面斜視図である。図22に示すように、遅延床デバイス400は、センターフレーム86の左方を流下する球の一部の球が(所謂「ワープ流路」を通って)流入し、その球が上部を転動可能に構成されると共に、往復動作を繰り返し左右方向の速度が0に収束した球を手前側に落下させる可動デバイスであって、前後一対で形成されると共に傾倒動作可能に構成される扇状部材410と、それら一対の扇状部材410の動作を一致させるリンク部材420(図24参照)と、扇状部材410を傾倒可能に支持すると共に扇状部材410へ流入する前に球が通過する固定された床である固定床430と、を主に備える。
なお、遅延床デバイス400は、初期状態(図22参照)においては、その左右方向中心位置に球を収束させやすい態様で構成され(固定床430の左右周辺部分が中心位置へ向けて下降傾斜する態様で構成され)、扇状部材410の左右方向中心位置と入賞口64の中心位置とが上下で一致する位置関係で配置される。即ち、遅延床デバイス400から入賞口64へ球を入球させやすい配置とされる。
前後一対で配置される扇状部材410の内、前側の扇状部材410が、正面側へ向けて前傾する態様で傾倒動作することにより球が入賞口64へ入りやすくすることができる。
図23を参照して扇状部材410について説明する。なお、一対の扇状部材410は同一部材から構成されるので、一方の扇状部材410の説明を行い、他方の扇状部材410の説明を省略する。
図23(a)は、扇状部材410の上面図であり、図23(b)は、図23(a)の矢印XXIIIb方向視における扇状部材410の側面図であり、図23(c)は、図23(a)のXXIIIc−XXIIIc線における扇状部材410の断面図であり、図23(d)は、図23(b)の矢印XXIIId方向視における扇状部材410の底面図である。
図23に示すように、扇状部材410は、扇状板部材から構成される本体部材411と、その本体部材411かの中間位置から左右方向に同軸直線状に延設される延設腕部412と、本体部材411の底面から一対で凸設されると共に連結棒414が挿通固定される挿通孔を有する凸設固定部413と、その凸設固定部413に挿通固定される連結棒414と、を主に備える。
本体部材411は、先細りする側(図23(a)下側)が球の直径程度の幅とされる。また、その先細りする側に、下降傾斜する面取り部411aを有すると共に、凸設固定部413の間において穿設される開口部411bを有する。
連結棒414は、本体部材411と別部材として構成される。組立を行う際には、凸設固定部413の間にリンク部材420(図24参照)を配設した上で、連結棒414をリンク部材420の調整長孔422に挿通した状態で、連結棒414を凸設固定部413に固定する。これにより、扇状部材410とリンク部材420とを連結することができる(図25参照)。
次いで、図24を参照して、リンク部材420について説明する。リンク部材420は一対の扇状部材410を連結すると共に、その動作方向を一定に定める役割を有する部材である。
図24(a)は、リンク部材420の側面図であり、図24(b)は、図24(a)の矢印XXIVb方向視におけるリンク部材420の底面図である。図24に示すように、リンク部材420は、断面L字で厚さ一定(図24(b)参照)の板状部材から形成される本体部材421と、その本体部材421の上部において前後一対で厚さ方向に穿設され前後方向に延設される調整長孔422と、本体部材421の下部において厚さ方向に穿設され上下方向に延設される支持長孔423と、を主に備える。
調整長孔422は、扇状部材410の連結棒414(図23参照)が挿通される孔である。即ち、調整長孔422を介して、リンク部材420と一対の扇状部材410とが連結される。支持長孔423は、固定床430の支持凸部434(図26参照)が挿通される長孔であって、リンク部材420の移動方向を一方向(上下方向)に指定する態様で作用する。
図25を参照して、前組状態における扇状部材410とリンク部材420とについて説明する。図25(a)は、扇状部材410及びリンク部材420の上面図であり、図25(b)は、図25(a)のXXVb−XXVb線における扇状部材410及びリンク部材420の断面図である。なお、図25に示す前組状態とは、固定床430に組み付ける前のサブアセンブリ状態のことをさす。製造工程では、この前組状態を構成した後に、扇状部材410及びリンク部材420が固定床430に組み付けられる。
前組状態において、扇状部材410の連結棒414がリンク部材420の調整長孔422に挿通された状態で凸設固定部413に固定されることにより、扇状部材410とリンク部材420とが互いに連結される。
図25に示すように、一対の扇状部材410がリンク部材420で連結されるので、一方の扇状部材410が動作することにより、その動作がリンク部材420を介して、他方の扇状部材410に伝わる態様で構成される。
次いで、図26及び図27を参照して、固定床430について説明する。図26は、固定床430の上面図であり、図27(a)は、図26のXXVIIa−XXVIIa線における固定床430の断面図であり、図27(b)は、図26のXXVIIb−XXVIIb線における固定床430の断面図である。なお、図26及び図27では、扇状部材410及びリンク部材420が取り外された状態が図示される。また、図26では、支持部432が部分的に断面視される。
図26、図27(a)及び図27(b)に示すように、固定床430は、組立状態(図22参照)において扇状部材410が配設され扇状部材410の上面と固定床430とが面位置で形成されるように扇状部材410の回転軸の間の部分が扇状部材410の厚さに対応して凹設されると共にその外側部分が扇状部材410の移動と干渉しない態様で凹設される凹設床431と、その凹設床431に配設する際に扇状部材410の延設腕部412が支持される支持部432と、凹設床431の中央部分において上下方向に空けられる空洞である空洞部433と、その空洞部433を形成する側壁から左右方向へ向けて凸設される支持凸部434と、組立状態において扇状部材410が最接近する位置から左右にずれた位置において球が流入可能な大きさで凹設される流入口435と、その流入口435から連通すると共に球が流下する遅延流路436と、を主に備える。
支持部432は、扇状部材410の延設腕部412を支持する溝形状で構成される支持溝部432aと、その支持溝部432aに上方から被さり蓋をする支持蓋部432bと、を備える。
空洞部433は、リンク部材420が収容される空洞であって、支持凸部434は、リンク部材420の支持長孔423に挿通される突起部である。なお、リンク部材420を組み付ける際には、空洞部433と支持凸部434の先端との間の空隙にリンク部420を挿入した上で、リンク部材420を左右方向にスライド移動することにより支持凸部434を支持長孔423に挿通させることができる。
流入口435は、球の直径よりも若干大きな直径から構成される。そのため、流入口435の上方において、流入口435の一部を塞ぐ態様で部材が被さっている場合、球が流入口435へ流入することが不可能とされる。
遅延流路436は、扇状部材410から入賞口64へ直接入球した球に対して球の入賞口64への入球を遅らせるための流路である。例えば、遅延流路436を球が通過するのにかかる期間を入賞口64に球が入球することを契機として生じる1の変動期間よりも長くすることにより、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
例えば、遅延流路436を球が通過するのにかかる期間を入賞口64の保留球数が4個の場合に選択され易い変動期間よりも長く設定することにより、入賞口64の保留球数が3個の状態において、扇状部材410から落下した1個目の球が直接入賞口64へ入球した直後に流入口435に2個目の球が入球する場合であっても、その2個目の球が入賞口64へ入球するまでに、1の変動が完了するので、2個目の球が入賞口64へ入球することにより入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
扇状部材410とリンク部材420(図25参照)とを固定床430に組み付ける方法について説明する。まず、上述の前組状態とした扇状部材410とリンク部材420との内、リンク部材420を空洞部433に挿通し、上述の方法で支持長孔423(図25参照)を支持凸部434に嵌め込み、その後で、扇状部材410の延設腕部412(図25参照)を支持溝部432aに乗せ、その上から支持蓋部432bを被せ嵌め込むことにより、扇状部材410が固定床430の支持部432に傾倒可能に支持されると共にリンク部材420が(支持長孔423の延設方向に沿って)上下動作可能に支持される。これにより、扇状部材410とリンク部材420とが、固定床430に組み付けられ、遅延床デバイス400が構成される。
図28を参照して、遅延床デバイス400の状態変化について説明する。図28(a)は、遅延床デバイス400の部分上面図であり、図28(b)は、図28(a)のXXVIIIb−XXVIIIb線における遅延床デバイス400の断面図であり、図28(c)は、遅延床デバイス400の部分上面図であり、図28(d)は、図28(c)のXXVIIId−XXVIIId線における遅延床デバイス400の断面図である。
なお、図28(a)及び図28(b)に示す初期状態では、一対の扇状部材410が平行な姿勢とされ、図28(c)及び図28(d)に示す傾倒状態では、扇状部材410が初期状態から約45°傾倒した姿勢とされる。
初期状態と傾倒状態との大きな違いとしては、流入口435に球が入球可能であるか否かと、一対の扇状部材410の中間位置を球が通過可能か否かと、が挙げられる。前者について、初期状態では、流入口435の上部に扇状部材410の一部が被さった態様とされるので、球が流入口435へ入球不能な態様とされる一方、傾倒状態では、上面視において扇状部材410が流入口435の上部から退くので(退く位置まで傾倒されるので)球が流入口435へ入球可能となる。
また、後者について、初期状態では、扇状部材410が平行な姿勢とされ、扇状部材410の間の上部を球が通過可能に構成されるが、傾倒状態では、球が通過する位置に扇状部材410が張り出すので、扇状部材410の間の部分へ流入した球は扇状部材410に衝突し、通過を防止される。なお、傾倒状態において、扇状部材410の間に流入口435が配設されるので、扇状部材410に衝突した球が跳ね返らず(上下方向に振動する場合等)流入口435の上部に滞在する場合、そのまま流入口435に球を落下させることが可能である。
図29を参照して、球が固定床430から正面側へ落下する際の位置の違いによる、遅延床デバイス400の動作態様について説明する。図29(a)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図29(b)は、図29(a)のXXIXb−XXIXb線における遅延床デバイス400の断面図であり、図29(c)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図29(d)は、図29(c)のXXIXd−XXIXd線における遅延床デバイス400の断面図である。
図29(c)及び図29(d)に示すように、遅延床デバイス400は、遅延床デバイス400に先に乗っている球P11が固定床430の正面側に落下する際の球の移動に沿って(球の重さを利用して)、扇状部材410が動作する。従って、遅延床デバイス400を動作させるためのモータ等の駆動源を不要とすることができる。
図29(a)及び図29(b)では、球P11が扇状部材410から離れた位置から落下しかけている状態が図示され、図29(c)及び図29(d)では、球P11が扇状部材410の中心位置から固定床430の正面側に落下しかけている状態が図示される。
ここで、遅延床デバイス400の上を球が通過する度に、遅延床デバイス400が可動する態様で構成することも可能であるが、その場合、球の通過の仕方に寄らず遅延床デバイス400の影響を受けてしまい、入賞口64への入球が不必要に遅れる恐れがある。その場合、入賞口64への入球を契機とした変動の開始が遅れ、遊技者の不満の元となる。
これに対し、本実施形態では、図29に示すように、球P11が入賞口64にそのまま入球し易い位置である扇状部材410に乗った状態から固定床430の正面側に球P11が落下しかける状態において遅延床デバイス400が傾倒状態とされる一方、球P11が落下したとしても入賞口64に入る可能性が低い位置である扇状部材410から離れた位置から球P11が落下した場合には遅延床デバイス400が初期状態を保つ態様で構成される。そのため、落下しかける球P11が入賞口64に入りやすい場合にのみ遅延床デバイス400を動作させることができる。
これにより、必要のない場合にまで遅延床デバイス400が作用し、入賞口64への球の入球が不必要に遅れることを回避することができるので、入賞口64への入球を契機とした変動の開始が遅れることを回避でき、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、図29(d)に示すように、扇状部材410の先端に面取り部411aが形成されることにより、扇状部材410の先端を、初期状態では遊技盤13の前面から張り出す一方で、傾倒状態では遊技盤13の前面よりも後方へ引き込む態様で構成することができる。これにより、球を入賞口64に落下し易い位置(遊技盤13の前面よりも前側)まで転動させた上で、落下させることができるので、図29(d)の状態から落下する球が入賞口64に入球する確率を向上させることができる。
図30を参照して、遅延床デバイス400に先に乗っている球P11と、遅延床デバイス400へ新たに入球された球P12との関係について説明する。図30(a)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図30(b)は、図30(a)のXXXb−XXXb線における遅延床デバイス400の断面図である。
図30(a)及び図30(b)では、球P11が扇状部材410の正面側へ流下し扇状部材410が傾倒状態とされた後で左右方向から球P12が入球された状態が図示される。
入賞口64の上方に配置される床部分の中央まで所定の球が到達し、今にも入賞口64へ落ちそうというタイミングで他の球が左右方向から床部分を転動し、所定の球に衝突し、所定の球が入賞口64から外れることがあり、遊技者の興趣を低下させる元となっていた。
これに対し、本実施形態では、図30に示すように、球P11が扇状部材410の正面側から落下するタイミングに球P21が転動してきた場合、遅延床デバイス400が傾倒状態とすると共に、球P12と扇状部材410とを衝突させることにより、球P11が球P12に衝突されることを防止することができる。
このとき、図30(a)に示すように、一対の扇状部材410の先端部分が構成する間隙が、球P12の進行方向(図30(a)右方)に向けて先細りする態様とされるので、球P12が一対の扇状部材410の中間部分から前後方向に多少ずれた位置を転動して扇状部材410に衝突したとしても、間隙の先細り形状に沿って、球P12の速度方向を一対の扇状部材410の中間位置へ向けた方向へ修正することができる。従って、球P12の転動する経路を限定することができ、球P12と球P11とが衝突することを回避し易くすることができる。
次いで、図31を参照して、遅延床デバイス400に間隔を空けて2個の球P11,P12が入球し、それぞれ往復動作を繰り返し左右方向の速度が0に収束した状態における遅延床デバイス400の作用について説明する。
図31(a)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図31(b)は、図31(a)のXXXIb−XXXIb線における遅延床デバイス400の断面図であり、図31(c)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図31(d)は、図31(c)のXXXId−XXXId線における遅延床デバイス400の断面図である。
なお、図31(a)及び図31(b)では、遅延床デバイス400が初期状態とされ、球P11が手前側の扇状部材410に乗ると共に球P12が奥側の扇状部材410に乗る状態が図示され、図31(c)及び図31(d)では、図31(a)及び図31(b)に示す状態から球P11が正面側に流下し、遅延床デバイス400が傾倒状態とされる。
図31(a)から図31(d)に示すように、奥側の扇状部材410に乗った球P12は、球P11が手前側の扇状部材410から流下し遅延床デバイス400が傾倒状態になることにより、奥側の扇状部材410の傾斜に沿って奥方向(図31(b)右方向)へ押し戻される。
その後、球P11が落下し、遅延床デバイス400が初期状態へ戻ることにより、球P12は再度、遅延床デバイス400の上を通り前側の扇状部材410の上方まで転動することが可能とされる。即ち、図31(a)に示す状態から、球P11と球P12とが連続で入賞口64へ入球する場合に比較して、球P12が押し戻される分、球P11と球P12の入球の間隔を離すことができる。これにより、球P11と球P12とが入賞口64に入球することにより入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
次いで、図32を参照して、遅延床デバイス400に2個の球P11,P12が入球し、それぞれ往復動作を繰り返し左右方向の速度が0に収束した状態において球P11,P12が前後方向に連なって配置される場合の遅延床デバイス400の作用について説明する。
図32(a)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図32(b)は、図32(a)のXXXIIb−XXXIIb線における遅延床デバイス400の断面図であり、図32(c)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図32(d)は、図32(c)の矢印XXXIId方向視における遅延床デバイス400の正面図である。
図32(a)及び図32(b)に示すように、2個の球P11,P12が連なって配置される場合、球P11が前側の扇状部材410の延設腕部412よりも正面側(図32(b)左側)に配置される状態において、球P12は前後一対の扇状部材410の中間位置付近に配置される(図32(b)参照)。
この状態から球P11が遅延床デバイス400の正面側から落下し遅延床デバイス400が傾倒状態となると、球P12は、扇状部材410の先端部分(円弧部分)が上昇する際に、その先端部分に持ち上げられる。本実施形態では、扇状部材410の先端部分が円弧形状とされるので、傾倒状態において、球P12を支持する扇状部材410の先端部分が左右方向外側へ向かうにつれて下方傾斜する(図32(d)参照)。そのため、球P12は、扇状部材410の左右中央に維持され続けるのでは無く、扇状部材410の先端部分の形状に沿って左右外側へ流下する。これにより、球P12は、扇状部材410から流入口435へ流入する。従って、球P12が球P11に連なって入賞口64に入球することを防止することができる。
図33(a)及び図33(b)は、図32(c)のXXXIIIa−XXXIIIa線における遅延床デバイス400の断面図である。なお、図33(a)では、図32(c)に示す状態から球P11,P12が流下する途中の状態が、図33(b)では、図33(a)に示す状態から更に球P11,P12が流下し球P11が入賞口64に入球した状態が、それぞれ図示される。
図33(a)及び図33(b)に示すように、球P11,P12が遅延床デバイス400の上を連なって流下すると、球P11は遊技盤13の正面側を落下し、球P12は遅延流路436を流下する。即ち、2個の球P11,P12の流下経路が分離されると共に、遅延床デバイス400が長い流路で構成されるので、2個の球P11,P12が入賞口64に入賞するタイミングをずらすことができる。
そのため、例えば、入賞口64に入球した直後に情報を取得し、第3図柄表示装置81(図2参照)で変動を開始する態様で構成されたとしても、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
即ち、図33(b)に示す球P12の位置から、遅延流路436の残りの部分を流下して球P12が入賞口64へ流下するまでの期間を、入賞口64の保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)よりも長い期間に設定することにより、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
次いで、図34を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、振り分け装置340が重心の移動のみによって姿勢を変化させる場合を説明したが、第2実施形態における遅延デバイス2300は、本体部材2310に配設される係止装置2315が長孔2316に支持されると共に振り分け装置2340の姿勢を維持する態様で構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図34(a)から図34(c)は、第2実施形態における遅延デバイス2300の部分正面図である。なお、図34(a)では、初期状態の振り分け装置2340に球P21及び球P22が連なって到達した状態が図示され、図34(b)では、球P21の重さで振り分け装置2340が変化状態に状態変化すると共に球P22が第3溝313を流下する状態が図示されると共に、図34(c)では、球P22が係止装置2315による係止を解除し、振り分け装置2340が初期状態へ向けて移動開始した状態が図示される。なお、本実施形態では、振り分け装置2340に第2調整装置350が配設されず、振り分け装置2340がバネ機構(図示せず)により初期状態へ向けて付勢される。
振り分け装置2340は、第1壁部2341が第2壁部342の約半分の長さで構成される。これにより、第3溝313から流下してきた球P22と第1壁部2341とが衝突することを抑制でき、振り分け装置2340の復帰動作を球P22に妨害させないようにすることができる。
図34(a)に示すように、係止装置2315は、側壁部312eの下端部分において本体部材2310の奥側(図34紙面垂直方向奥側)の壁部において左右方向に延設される長孔である長孔2316に左右方向スライド及び回転可能に支持される鉤部材2315aと、その鉤部材2315aを右方向および正面視時計回り方向へ向けて付勢する弾性力を発生するねじりバネ2315bと、を備える。なお、本実施形態では、側壁部312eには、下端部分に空いた空間が形成され、その空間を通して鉤部材2315aが通過可能に構成される。
鉤部材2315aは、上下一対で延設される第3溝313の間に形成される壁部に左右方向に沿って延設される長孔2316に支持される軸部2315a1と、その軸部2315a1と一体で構成されると共に側壁部312eを貫通して軸部2315a1よりも右上方(図34右上方)に張り出して形成される当接部2315a2と、軸部2315a1と一体で構成されると共に下側の第3溝313の内方へ張り出して構成される解除部2315a3と、を主に備える。
当接部2315a2は、振り分け装置2340の先端凸部342aの移動軌跡と干渉する位置に配置される。当接部2315a2の形状が、上面部は右方へ向かうほど急激に下降傾斜し、下面部は左右方向に沿った形状(先端凸部342aと面接触する形状)とされるので、振り分け装置2340が初期状態から変化状態へ状態変化する場合には振り分け装置2340にかけられる抵抗を抑制しその移動速度を向上させることができる一方で、振り分け装置2340が変化状態から初期状態へ状態変化する場合には、振り分け装置2340にかけられる抵抗を大きくし振り分け装置2340を変化状態で係止し易くすることができる。
また、軸部2315a1が長孔2316に沿って左右方向にスライド移動可能に構成されるので、振り分け装置2340が変化状態となる直前(図34(b)の直前)の状態において、鉤部材2315aを左方へ逃がすことができる。これにより、鉤部材2315aが軸支される場合と比較して、振り分け装置2340が係止装置2315と衝突して、かみ合ってしまい、動作不良を起こすことを防止することができる。
ねじりバネ2315bは、ねじり部分が軸部2315a1に巻き付けられ、一方の端部(図34(a)左側の端部)が本体部材2310に係止されると共に、他方の端部(図34(a)右側の端部)が鉤部材2315aに係止される態様で構成される。
図34(b)に示すように、球P21の重さで振り分け装置2340が変化状態とされると、先端凸部342aが当接部2315a2に係止される。これにより、振り分け装置2340が変化状態で維持される。本実施形態では、係止装置2315が姿勢変化しない限り、振り分け装置2340が変化状態を維持する態様とされる。
図34(c)に示すように、第3溝313を流下する球P22が解除部2315aに当接することにより、鉤部材2315aが正面視反時計回りに姿勢変化すると、鉤部材2315aによる振り分け装置2340の係止が解除され(当接部2315a2が振り分け装置2340の移動軌跡の外に配置され)、振り分け装置2340を初期状態へ復帰させることができる。
これによれば、振り分け装置2340に正面視時計回り方向の付勢力が常にかけられる状態において、振り分け装置2340が変化状態に状態変化されてから初期状態へ向けて移動開始するまでの時間遅れを形成することができる。従って、簡素な構成で、球P21,P22を別々の流路に確実に振り分けることができる。
なお、図34では、球P21,P22が連なって流下する場合を説明したが、係止装置2315aの解除が球P22の流下により生じることと照らせば、本実施形態の効果は、球P21,P22の振り分け装置2340への到達間隔に寄らず、発揮される。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記第1実施形態では、スライド移動部材321に凸設部321a1が凸設され、それが第1溝311の内側へ張り出す場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、スライド移動部材321にS字の経路を構成する一対の壁部が配設され、スライド移動部材321が移動することにより、第1溝311の内部に球が流下するS字経路ができあがる態様で構成しても良い。この場合、一対の壁部により、球が流れる経路自体を長くすることができるので、凸設部321a1が摩耗により減速効果を低下させるのに比較して、長期にわたって減速効果をもち続けることができる。また、スライド移動部材321が、凸設部321a1が形成される領域と、S字の経路が構成される領域とが連設する態様で構成されても良い。
上記第1実施形態では、初期状態の振り分け装置340に球P1,P2が連なって入球した場合においても、球P1,P2を振り分け可能に構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、球が振り分け装置340に到達する前に、連なった球の間隔を確実に空ける間隔負荷手段を配置したうえで、球が振り分け装置340に入球してしばらくしてから振り分け装置340の状態が変化する態様で構成しても良い。この場合、振り分け装置340の状態変化のタイミングを厳しく管理する必要がないので、振り分け装置340を緩めに支持することができ、状態変化に必要な負荷を低減することができる。
上記第1実施形態では、振り分け装置340の部分であって球が衝突する部分が円弧形状(円弧壁部343)から構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、円弧壁部343に対応する部分の平面板状の部分から構成しても良い。この場合、振り分け装置340が初期状態へ復帰する途中で球が振り分け装置340に入球すると、その球から与えられる負荷により振り分け装置340が回転され、変化状態に戻される。これにより、振り分け装置340が変化状態に維持される期間を延長させることができる。
上記第1実施形態では、振り分け装置340を重心の変化によって復帰動作させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、移動方向によって付勢力が変化する(1の方向にのみ移動抵抗がかけられる)製品や、オリフィスを利用して方向毎に移動抵抗を変化させるシリンダ製品などを利用して振り分け装置340を復帰動作させても良い。この場合、市販の製品を利用することにより、メンテナンス性を向上させることができる。また、振り分け装置340の回転軸の回転抵抗を、正回転では小さく、逆回転では大きい態様で構成することにより、振り分け装置340に一定の付勢力を与えることで、振り分け装置340の復帰動作に時間遅れを生じさせることができる。
上記第1実施形態では、扇状部材410から流入口435へ流入した球は遅延流路436を案内される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、流入口435の下方に別の床面が構成することにより(球が転動可能な床を2段で構成することにより)、扇状部材410から流入口435へ流入した球が再度その床面を転動して入賞口64に入球する態様で構成しても良い。この場合、球が床面を転動する期間を延長することができるので、球の動きに遊技者が注目して、球の打ち出しを停止する期間を延長することができる。そのため、その間に保留していた入賞分の変動を消化することができ、オーバーフローの発生を抑制することができる。
上記第1実施形態では、扇状部材410が回転軸を左右方向に沿わせた状態で傾倒する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転軸を前後方向に沿わせた状態で傾倒するようにしても良い。この場合、扇状部材410の円弧部分の傾斜に沿って入賞口64へ向けて球を落下させることができる(左右方向の位置を補正することができる)。
上記第1実施形態では、扇状部材410が球の重さで動作する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、扇状部材410が一定の繰り返しの動作態様で電動動作する構成としても良い。この場合、一対の扇状部材410の動作の組み合わせを複数種類構成することができる。例えば、正面側の扇状部材410が起き上がった姿勢とされると共に奥側の扇状部材410が寝そべった姿勢とされる状態と、正面側の扇状部材410が起き上がった姿勢とされると共に奥側の扇状部材410が起き上がった姿勢とされる状態と、正面側の扇状部材410が寝そべった姿勢とされると共に奥側の扇状部材410が寝そべった姿勢とされる状態と、正面側の扇状部材410が寝そべった姿勢とされると共に奥側の扇状部材410が起き上がった姿勢とされる状態と、を構成可能となり、一対の扇状部材410の状態の組み合わせを増加させることができる。
上記第1実施形態では、一対の扇状部材410が同一形状から構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、手前側の扇状部材410に比較して、奥側の扇状部材が左右方向の幅が長くされる形状から構成されても良い。この場合、扇状部材410の左右方向中心位置から離間した位置であって奥側の扇状部材の上の位置に配置された球に対しても、扇状部材の傾斜に伴う作用(押し戻しの作用)を生じさせることができる。
上記第1実施形態では、遅延流路436の出口が、入賞口64に対して左右方向に位置ずれする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、左右一対の流入口435の下方の遅延流路436が左右中央で合流し、その出口が入賞口64の真上に配設されても良い。この場合、遅延流路436の出口から遊技領域に排出された球が入賞口64に入球する割合を向上させることができる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<2球目以降を、別ルートへ回して遅延させてオーバーフローを抑制する>
遊技球が入球することにより抽選の機会が付与される第1状態と、その第1状態において遊技球が入球することにより切り替えられる状態であって遊技球が入球しても抽選の機会が付与されない第2状態と、を構成可能とされる検出入球口を備え、前記第2状態に切り替えられた後、所定の復帰期間が経過することにより前記第1状態に復帰する遊技機において、複数の遊技球を入球させた場合に、その複数の遊技球の内の1の遊技球である第1遊技球が入球してから前記検出入球口に送球するまでの期間に比較して、他の遊技球である第2遊技球が入球してから前記検出入球口に送球するまでの期間を遅延させる遅延手段を備え、その遅延手段により遅れる期間が、前記復帰期間以上とされることを特徴とする遊技機A1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、遊技球が入球する入球口と、その入球口に遊技球が入球したことに基づいて情報を取得して、その情報に基づいて表示手段に動的表示する遊技機がある(例えば、特開2011−156058号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、入球口に遊技球が入球したことに基づいて取得される情報を所定数(例えば4個)まで記憶可能とされ、それ以上は記憶が不可能な構成とされるが、入球口に短い間隔で複数の遊技球が連続して入球すると、記憶可能な数の上限に達してしまい(第2状態となり)、所謂オーバーフローが生じる恐れがあるという問題点があった。そのため、遊技者が自己判断で、連続して打ち出す球の球数を減らしたり、常に情報を記憶している数を確認しながら遊技したりする必要があり、遊技者に負担がかかっていた。
これに対し、遊技機A1によれば、遅延手段により、第1遊技球が検出入球口に入球してから第2遊技球が検出入球口に入球するまでの期間が復帰期間より長くされ、第2遊技球が第2状態の検出入球口に入球することが防止されるので、第1遊技球が検出入球口に入球することで検出入球口が第2状態となった場合でも、第2遊技球が検出入球口に入球するまでに記憶可能な数に空きを形成することが可能となり、オーバーフローが生じることを抑制することができる。
なお、遅延手段により遅延される期間は、少なくとも、液晶装置などの動的表示手段により行われる1の動的表示態様の期間よりも長くされ、情報記憶手段の記憶数が上限値の場合における最長の動的表示態様の期間よりも長くされることが望ましい。
遅延手段の構成は、特に限定されるものでは無く、様々な態様が考えられる。例えば、可動部材により遊技球の流下する経路を振り分ける態様でも良いし、流路の形状と球の衝突との関係により遊技球の流下する経路を振り分ける態様でも良い。
遊技機A1において、前記遅延手段は、前記遊技球を複数の経路に振り分けると共に前記遊技球が通過することにより第1姿勢から第2姿勢へ向けて姿勢変化する振り分け手段と、その振り分け手段を前記第2姿勢から前記第1姿勢へ向けて姿勢変化させる付勢力を発生させる付勢手段と、前記振り分け手段が第1姿勢の時に前記振り分け手段を通過した前記第1遊技球を案内し前記検出入球口へ送球する第1案内流路と、前記振り分け手段が前記第2姿勢から第1姿勢に戻る直前までの間に前記振り分け手段を通過した前記第2遊技球を案内し前記検出入球口へ送球する第2案内流路と、を備え、その第2案内流路を前記第2遊技球が通過する期間が、前記第1案内流路を前記第1遊技球が通過する期間に比較して長くされ、前記遅延期間が、それら期間の差として構成されることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、遅延手段が、振り分け手段と、その振り分け手段により遊技球が振り分けられる第1案内流路と、第2案内流路と、振り分け手段の姿勢を復帰させる付勢手段と、を備え、先に振り分け手段を通過し第1案内流路を案内される第1遊技球が検出入球口に到達するまでの期間に比較して、その後で振り分け手段が付勢手段により第1姿勢に戻る直前までに振り分け手段を通過し第2案内流路を案内される第2遊技球が検出入球口に到達するまでの期間を長くすることができ、遅延期間がそれら期間の差として構成されるので、遊技球が釘に衝突する場合のようにランダムに遊技球の流下経路が決定される場合に比較して、遊技球が流下する期間を確実に長くすることができ、遊技球が検出入球口に到達するタイミングを確実にずらすことができる。
また、振り分け手段は付勢手段により姿勢が復帰するので、振り分け手段に遊技球が間隔を空けて到達する場合(後から来た遊技球を遅延させる必要が無い場合)にまで、遊技球が振り分け手段により第2案内流路振り分けられることを防止することができる。
遊技機A2において、前記振り分け手段は、前記第1姿勢とされる場合において前記遊技球に対して流下方向で対面する第1壁部と、その前記第1壁部と当接される遊技球を挟んだ位置に配設される第2壁部とを備え、その第2壁部が、前記遊技球から流下方向に沿った負荷を受けることにより、前記振り分け手段の前記第2姿勢から前記第1姿勢へ向けた方向への姿勢変化が抑制されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、振り分け手段と衝突する遊技球を第1壁部と挟む位置に配設される第2壁部が、遊技球から流下方向に沿った負荷を受けることにより、振り分け手段が第2姿勢から第1姿勢へ向けた方向へ姿勢変化することが抑制されるので、先に振り分け手段を通過した遊技球が、後から振り分け手段を通過する遊技球の作用により、流下が妨げられて、流下が遅れることを抑制することができる。
遊技機A2又はA3において、前記振り分け手段は、連なって流下する遊技球を分割すると共に1球のみを前記第1案内流路へ案内する分割手段を備えると共に、前記遊技球の重みにより姿勢変化する構成とされ、前記振り分け手段が姿勢変化することにより前記分割手段が機能することを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A2又はA3の奏する効果に加え、振り分け手段の分割手段により、連なって流下する球を分割し、第1案内流路に複数の球が案内されることを、駆動源の追加無しで防止することができる。
なお、分割手段としては、流路内方へ向けて張り出すことにより遊技球を第2案内流路へ向けて押し出す手段や、流路内方へ向けて張り出すことにより連なった遊技球同士の間に差し込まれ遊技球同士を切り離す手段等が例示される。
遊技機A4において、前記振り分け手段は、前記第1姿勢とされる場合に前記遊技球に対して流下方向で対面する第1壁部と、その前記第1壁部と当接される遊技球を挟んだ位置に配設される第2壁部とを備え、前記振り分け手段が前記第1姿勢から前記第2姿勢へ姿勢変化する際に前記第2壁部が移動方向で前記第2遊技球に衝突することによりその遊技球を前記第2案内流路へ導入する態様で構成されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A4の奏する効果に加え、振り分け手段が姿勢変化中にその移動方向で第2遊技球と衝突する場合に、振り分け手段と第1案内流路との間で遊技球が挟まって振り分け手段が動作不良を起こすことを防止することができる。
ここで、例えば、振り分け手段が電動で動作する場合、振り分け手段が遊技球の位置によらず動作を行うので、遊技球が第2案内流路の入り口とは外れた位置であると共に振り分け手段と第1案内流路の側壁との間である位置に配置された状態で、振り分け手段と第1案内流路の側壁との間の距離が狭まる方向に振り分け手段が動作すると、振り分け手段と第1案内流路との間に遊技球が挟まり振り分け手段が動作不良を起こす恐れがある。
これに対し、遊技機A5によれば、振り分け装置の動作が電動ではなく、遊技球の重みで生じるので、遊技球の配置に起因して振り分け手段が動作不良を起こす状態において振り分け手段が動作しないように位置関係や形状関係を予め設計することができる。これにより、振り分け手段の動作不良を防止することができる。
遊技機A5において、複数の遊技球が前記振り分け手段に到達し、一方の遊技球が前記第1壁部に当接することにより、他方の遊技球が前記第2壁部の移動方向で当接する位置まで前記振り分け手段が姿勢変化された連結球導入状態において、前記一方の遊技球と、前記第2案内流路の前記第1案内流路からの入口を形成する側面であって前記第1案内流路の下流側の側面との端面同士間の距離であって、前記第1案内流路の延設方向に沿った距離が遊技球の半径以下とされることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A5の奏する効果に加え、連結球導入状態において、他方の遊技球が一方の遊技球に連なって振り分け手段まで到達した場合、他方の遊技球の中心が第2案内流路を延長した場合の第2案内流路の内側の領域に配置されるので、遊技球を第2案内流路の側面に沿って押し込むことができ、遊技球を第2案内流路に導入することができる。
遊技機A4からA6において、前記振り分け手段は、前記復帰期間よりも長い期間をかけて前記第2姿勢から前記第1姿勢まで復帰動作することを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A4からA6の奏する効果に加え、入球検出口が第2状態の期間中に第2遊技球が検出入球口に入球されることを確実に防止することができる。
なお、表示装置の動的表示態様が、検出入球口の記憶数が多いほど短期間のものが選択され易い態様とされる場合において、所定の動的表示態様の長さは、少なくとも検出入球口の記憶数が上限値である場合の最短の動的表示態様の長さ以上とされることが望ましい。
<ステージを球の重さで動作可能とすることによりオーバーフロー抑制>
遊技球が入球することにより抽選の機会が付与される第1状態と、その第1状態において遊技球が入球することにより切り替えられる状態であって遊技球が入球しても抽選の機会が付与されない第2状態と、を構成可能とされる検出入球口を備え、前記第2状態に切り替えられた後、所定の復帰期間が経過することにより前記第1状態に復帰する遊技機において、遊技球が前記検出入球口へ入球し易い下降開始位置である最適落下部を有すると共に、遊技球が前記最適落下部を通過する態様で上面を転動可能に構成される転動手段を備え、その転動手段は、前記最適落下部から遊技球を前記復帰期間以上の間隔を空けて下降開始させる態様で動作することを特徴とする遊技機B1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、遊技球が検出入球口へ入球し易い下降開始部分として配設される最適落下部を有し、上面に配置された遊技球が最適落下部を通過する態様で転動可能に構成される転動手段(所謂「ステージ」)を備える遊技機がある(例えば、特開2011−156058号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、先に転動手段に乗った第1遊技球が転動手段から下降する前に、転動手段に第2遊技球が乗り、それら第1遊技球と第2遊技球とが最適落下部から短期間の間に下降する場合があり、その場合、検出入球口でオーバーフローが生じる恐れがあるという問題点があった。
これは、遊技球が釘に衝突しながら流下する状態と異なり、遊技球が最適落下部を通り過ぎる態様で左右方向に往復動作する(遊技球が特定の経路を往復動作する)場合において遊技球同士が頻繁に衝突し易くなる転動手段上に特有の課題である。
これに対し、遊技機B1によれば、転動手段が、最適落下部から間隔を空けて遊技球を1球ずつ下降開始させる態様で動作するので、短期間の間に検出入球口に遊技球がまとめて入球することを抑制することができる。従って、転動手段に複数個の遊技球が乗った場合でも、検出入球口でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
遊技機B1において、前記転動手段へ遊技球を導入する導入流路を備え、前記転動手段は、前記導入流路から遊技球が導入されると共に前記最適落下部へ遊技球を案内する第1床部材を備え、その第1床部材は、転動する遊技球の重さにより動作可能に形成され、その動作により後から到達する遊技球の前記第1床部材へ向けた速度を低減する態様で動作することを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、転動手段の第1床部材に遊技球が乗った場合に、遊技球の重さで第1床部材が動作することで、遊技球の第1床部材へ向けた速度を低減することができるので、第1床部材に乗った遊技球と第1床部材へ向けた遊技球との間隔を広げることができる。これにより、検出入球口でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
なお、遊技球の第1床部材へ向けた速度を低減する場合としては、例えば、遊技球の第1床部材へ向けた速さを落とす(制動する)場合や、遊技球を停止させる場合や、遊技球を第1床部材へ向けた方向とは逆方向へ移動させる(逆走させる)場合などが例示される。
また、遊技球の第1床部材へ向けた速度を低減する方法としては、例えば、第1床部材を第1床部材から遠ざかる方向に下降傾斜する姿勢とする方法や、第1床部材の上面に減速突起を張り出させる方法や、第1床部材上の遊技球に磁力が作用可能な位置に磁石を張り出させる方法等が例示される。
遊技機B2において、前記最適落下部が前記第1床部材に配設されると共に、前記第1床部材が、前記最適落下部から遊技球を落下させる際に動作する態様で構成され、前記転動手段は、前記最適落下部から遊技球が落下する前後において前記第1床部材の近傍に載置されると共に、所定期間の内に前記最適落下部へ向かう他の遊技球の、前記最適落下部への到達を防止する防止手段を備えることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、最適落下部から遊技球が落下する際に第1床部材が動作する態様で構成され、転動手段が、最適落下部から遊技球が落下する前後において第1床部材に載置され、所定期間の内に最適落下部へ向かう他の遊技球を防止手段により防止するので、複数の遊技球が連なって最適落下部へ導入された場合でも、最適落下部から最先の遊技球が落下した後、他の遊技球が最適落下部から連続して落下することを抑制することができる。これにより、検出入球口でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
遊技機B3において、前記防止手段が、遊技球を防止可能な防止状態と、遊技球を防止不能な通過状態と、を構成可能とされ、前記最適落下部から遊技球が落下した直後の前記最適落下部の状態として、前記検出入球口に遊技球を入球させ易い態様で遊技球が落下した好適落下状態と、その好適落下状態に比較して前記検出入球口に遊技球を入球させ難い態様で遊技球が落下した普通落下状態と、が構成され、前記好適落下状態とされた場合に前記防止手段が防止状態とされると共に、前記普通落下状態とされた場合に前記防止手段が通過状態とされることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、最適落下部が好適落下状態とされる場合には防止手段が防止状態とされると共に、最適落下部が普通落下状態とされる場合には防止手段が通過状態とされるので、最適落下部から落下する遊技球が検出入球口に入球しない場合にまで遊技球を防止することを抑制し、検出入球口に遊技球が入球するタイミングが無意味に遅れることを抑制することができる。
遊技機B3又はB4において、前記防止手段に防止された遊技球を前記最適落下部から遠ざかる方向へ送球する送球手段を備えることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B3又はB4の奏する効果に加え、送球手段により防止手段に防止された遊技球を最適落下部から遠ざかる方向へ送球することにより、遊技球の動きを激しくすると共に、その遊技球が最適落下部に再度到達するまでの期間を稼ぐことができるので、遊技者の興趣の向上を図りながら、検出入球口でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
遊技機B2からB5のいずれかにおいて、前記第1床部材に遊技球を導入する中間床部材を備え、その中間床部材が動作可能とされ、その動作により前記第1床部材から遠ざかる方向に下降傾斜する状態に前記中間床部材が状態変化することを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B2からB5のいずれかの奏する効果に加え、中間床部材が、第1床部材から遠ざかる方向に下降傾斜するので、中間床部材に到達する遊技球に対して、第1床部材から離反する方向に重力加速度を生じさせることができる。従って、第1床部材上に配置される遊技球と、中間床部材にこれから到達する遊技球との離間幅が縮まることを抑制することができる。
遊技機B6において、前記中間床部材が前記第1床部材の両側に一対で配置され、前記中間床部材の姿勢変化が前記一対の中間床部材で交互に生じることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B6の奏する効果に加え、中間床部材が第1床部材の両側に一対で配置され、中間床部材の姿勢変化が一対の中間床部材で交互に生じるので、一対の中間床部材の両方に遊技球が向かう場合に、それらの遊技球が減速されるタイミングをずらすことができ、それらの遊技球が第1床部材に到達するタイミングをずらすことができる。従って、遊技球が最適落下部付近で渋滞することを抑制することができる。
遊技機B2からB7のいずれかにおいて、前記転動手段において、左右方向の往復動作が収束し終え前記最適落下部に到達した遊技球と、前記導入流路を通過して前記第1床部材へ向けて流下する遊技球との衝突を防止する態様で構成されることを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、遊技機B2からB7のいずれかの奏する効果に加え、転動手段において、左右方向の往復動作が収束し終え最適落下部に到達した遊技球と、導入流路を通過して前記第1床部材へ向けて流下する遊技球との衝突を防止する態様で構成されるので、最適落下部から落下する直前の遊技球が他の遊技球に衝突されて検出入球口から離反する方向に落下することや、衝突した遊技球同士が連なって検出入球口を通過することを防止することができる。
遊技機A1からA9,B1からB8のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機F1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA9,B1からB8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機F2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA9,B1からB8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機F3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
パチンコ機などの遊技機において、遊技球が入球したことに基づいて抽選の機会を獲得可能な入球口へ向けて遊技球を転動させる転動手段を備える遊技機がある(例えば、特許文献1:特開2011−156058号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、転動手段の作用に改良の余地があるという問題点があった。本技術的思想は、上記例示した問題点などを解決するためになされたものであり、転動手段の作用が良好な遊技機を提供することを目的とする。
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1の遊技機は、遊技球が入球することにより抽選の機会が付与される第1状態と、その第1状態において遊技球が入球することにより切り替えられる状態であって遊技球が入球しても抽選の機会が付与されない第2状態と、を構成可能とされる検出入球口を備え、前記第2状態に切り替えられた後、所定の復帰期間が経過することにより前記第1状態に復帰する遊技機において、遊技球が前記検出入球口へ入球し易い下降開始位置である最適落下部を有すると共に、遊技球が前記最適落下部を通過する態様で上面を転動可能に構成される転動手段を備え、その転動手段は、前記最適落下部から遊技球を前記復帰期間以上の間隔を空けて下降開始させる態様で動作する。
技術的思想2の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記転動手段へ遊技球を導入する導入流路を備え、前記転動手段は、前記導入流路から遊技球が導入されると共に前記最適落下部へ遊技球を案内する第1床部材を備え、その第1床部材は、転動する遊技球の重さにより動作可能に形成され、その動作により後から到達する遊技球の前記第1床部材へ向けた速度を低減する態様で動作する。
技術的思想3の遊技機は、技術的思想2記載の遊技機において、前記最適落下部が前記第1床部材に配設されると共に、前記第1床部材が、前記最適落下部から遊技球を落下させる際に動作する態様で構成され、前記転動手段は、前記最適落下部から遊技球が落下する前後において前記第1床部材の近傍に載置されると共に、所定期間の内に前記最適落下部へ向かう他の遊技球の、前記最適落下部への到達を防止する防止手段を備える。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、転動手段の作用を良好にすることができる。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、第1床部材の動作により転動手段の作用をより良好にすることができる。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想2記載の遊技機の奏する効果に加え、第1床部材の動作により転動手段から球が連なって入球口に入球することを防止することで、転動手段の作用を良好とすることができる。