次に、本発明に係る遊技機の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1に示すのは、パチンコ遊技を行える遊技機が備える遊技盤1の正面図で、透明なガラス面を介して前面に臨む部分である。
遊技盤1は、略四角形のベニア材等からなる厚肉板状の遊技盤本体1aの前面(合成樹脂製の化粧シートを付設した面)側に設けた遊技領域区画部材2によって、略円形状の遊技領域3を形成する。この遊技領域3の左側方の周縁に沿って形成された案内誘導路2aを通って、図示を省略した打球発射機構により発射された遊技球が遊技領域3の左上方部分から遊技領域3内へ飛入する。なお、案内誘導路2aを形成するために、該当部分の遊技領域区画部材2は、長尺な金属板を立設した形状の内レールと外レールとが配置される。なお、遊技領域区画部材2は、金属製板材のレールから一体的に形成するものに限らず、部分毎に分割構成したり、遊技領域3の領域境界面に沿って設けられる装飾レンズ部材を遊技領域区画部材2として用いても良い。
前記遊技領域3の中央から右側方にかけては、視覚的な装飾演出を行う演出装置4を配置する。この演出装置4は、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームが可能な中央表示装置41の表示部41aが後方から臨む所要形状の変動表示視認凹室42aを有するセンターケース42を遊技盤本体1aに取り付けることで構成される。なお、本実施形態で示す演出装置4は、遊技領域3の中央部から右側方部にかけて多くの面積を占める大型のものであり、案内誘導路2aより遊技領域3の上方へ飛入した遊技球は、演出装置4の左側方を流下してゆくか、演出装置4におけるセンターケース42の左側部適所に設けたワープ入口42bからワープ通路(図示省略)を介して変動表示視認凹室42a内へ招じ入れられることとなる。
また、遊技領域3には、各種の入賞具や入賞装置など、例えば、遊技球の通過を非接触で検出する普図始動ゲート5、該普図始動ゲート5への球通過により普通図柄変動表示ゲーム(例えば、抽出した乱数値が特定値であるか否かを判定して、判定結果に基づいて数字や図柄等からなる複数種類の識別情報を変動表示した後に停止表示させた識別情報が予め定めた賞態様か否かで当りと外れを演出するゲーム)を行う普通図柄表示器6、該普通図柄表示器6による普通図柄変動表示ゲームでの結果が当りとなることで状態変換(例えば、左右一対の可動部材7a,7aが直立して可動部材7a,7aの間に形成される特図始動口7bへ遊技球が入賞し難い通常状態から、可動部材7a,7aの上端が離隔するように拡張して特図始動口7bへ遊技球が入賞し易い開放状態へ変換)する特図始動入賞装置7、該特図始動入賞装置7の特図始動口7bへ遊技球が入賞することにより特別図柄変動表示ゲーム(例えば、抽出した乱数値が特定値であるか否かを判定して、判定結果に基づいて数字や図柄等からなる複数種類の識別情報を変動表示した後に停止表示させた識別情報が予め定めた賞態様か否かで当りと外れを演出するゲーム)を行う特別図柄表示器8、該特別図柄表示器8による特別図柄変動表示ゲームでの結果が当りとなることで状態変換(例えば、下縁部に設けた回動軸で前傾可能な開閉扉9aが大入賞口9bを遮蔽した閉状態から、開閉扉9aが前傾して遊技球を大入賞口9bへ招じ入れる開状態へ変換)する特別変動入賞装置9を適宜に分散配置してある。
そのほか、遊技領域3には、遊技者に賞球を付与する入賞領域として、例えば、右側入賞口10R、左側第1入賞口10L1、左側第2入賞口10L2、左側第3入賞口10L3を設け、これら入賞口の何れかに遊技球が入賞すると、遊技状態に変化は無いものの、各入賞口毎に定めた所定数の遊技球が賞球として排出される。なお、何れの入賞領域にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域3の最下部に設けたアウト口3aから回収される。
また、遊技領域3には、流下する遊技球の流下方向に変化を与える流下方向変化付与部材として、図示を省略した遊技釘を分散配置し、普図始動ゲート5,特図始動入賞装置7,特別変動入賞装置9等への入賞が適宜な確率で生ずるように調整してある。加えて、遊技領域3における中央左側部に設けた側部装飾体たるサイドランプ3bと前述した演出装置4におけるセンターケース42の左側部との間に風車ユニット11を配設し、この風車ユニット11により構成される風車に絡んだ遊技球は、サイドランプ3b側もしくは演出装置4側に振り分けられて流下して行く。
ここで、本実施形態に示す遊技機における遊技の流れを説明する。打球発射機構により発射された遊技球が案内誘導路2aを経て遊技部3に到達すると、その発射勢に応じて、演出装置4の左側に形成された流下領域を流下してゆき、運良く遊技球が普図始動ゲート5を通過すると、普通図柄表示器6による普通変動表示ゲームが開始される。しかし、既に普通変動表示ゲームが実行されているときには、普図始動ゲート5を通過した遊技球を無効とせずに、所定数(例えは、4個)まで普図始動入賞記憶として記憶保持し、普通図柄変動表示ゲームの終了後には、この普図始動入賞記憶に基づいて普通図柄変動表示ゲームを行う。なお、普図始動入賞記憶値は、普通図柄記憶表示器6aによって遊技者に可視表示する。
上記のように普図始動ゲート5を遊技球が通過すること、或いはこの球通過が記憶された普図始動入賞記憶に基づいて、普通図柄表示器6による普通図柄変動表示ゲームが行われ、ゲーム結果が当りになると、特図始動入賞装置7に設けた左右一対の可動部材7a,7aが起立して特図始動口7bへの入賞が困難な通常状態から、可動部材7a,7aの上端が相反する方向へ傾動して特図始動口7bへの入賞が容易となる開放状態へ変換される。これによって、特図始動入賞装置7の特図始動口7bへ遊技球が入賞する可能性が高くなる。
なお、演出装置4の左側方を遊技球が流下する際に、ワープ入口42bからワープ通路を介してセンターケース42の変動表示視認凹室42a内へ飛入すると、変動表示視認凹室42aを形成する内周壁の下部前面から排出され、再び遊技領域3の下方へ流下して行くこととなり、演出装置4の適宜下方に配置した特図始動入賞装置7の直上方部位で変動表示視認凹室42aを抜け出した遊技球は、特図始動入賞装置7が通常状態であっても高い確率で特図始動口7bへ入賞する。この特図始動口7bへの入賞確率を一層高めるように始動入賞誘導路を演出装置4に設け、変動表示視認凹室42aを形成する内周壁の下部適所に開設した誘導入口から始動入賞誘導路へ遊技球を導き入れ、始動入賞誘導路の最下流部である誘導出口42cを特図始動口7bの直上方に開設する構造としても良い。
特図始動入賞装置7の特図始動口7bへ遊技球が入賞することを条件として、特別図柄表示器8による特別図柄変動表示ゲームが行われる。なお、本実施形態においては、特別図柄表示器8による特別変動表示ゲームが比較的単純であるので、この特別図柄変動表示ゲームを演出効果の高い表示内容として演出装置4の変動表示視認凹室42aに裏面側から臨む表示部41aに表示する。例えば、特別図柄表示器8は1桁の識別情報表示であるが、中央表示装置41の表示部41aでの特別図柄変動表示ゲームは、横並びの3桁の表示列の夫々において、複数の図柄を変換表示させた後に停止表示させ、各桁に停止表示された図柄の配列が特別態様に該当する場合に大当たりとなるようなゲーム進行とし、そのゲーム進行過程で種々の凝った演出表示を行うことで、遊技者に興趣を与えるものである。但し、特別図柄表示器8による特別図柄変動表示ゲームと演出装置4の表示部41aに表示される特別図柄変動表示ゲームの結果(当りか外れか、及び当りの種別)は一致させる。なお、特別図柄表示器8を廃して、演出装置4でのみ特別図柄変動表示ゲームを行うようにしても構わない。
特別図柄変動表示ゲームの実行中に特図始動口7bへの入賞球を検出した場合、これを無効とせずに、所定数(例えば、4個)まで特図始動記憶として記憶保持し、特別図柄変動表示ゲームが可能となったときには特図始動記憶を用いて特別図柄変動表示ゲームを行う。また、特図始動記憶の記憶値を遊技者が視認できるように、特別図柄記憶表示器8aを特別図柄表示器8の近傍に設けてある。
特別図柄表示器8および演出装置4により行った特別図柄変動表示ゲームの結果態様(停止表示させた停止図柄)が予め定めた特別態様(例えば、3桁の図柄が「333」「777」等のように揃った態様)となる大当りの発生に基づき開始される特別遊技においては、特別変動入賞装置9の開閉扉9aを閉状態から開状態に変換し、大入賞口9bへの入賞球が所定数(例えば、10個)に達する第1条件か、開閉扉9aを開状態に変換した開放時間が所定時間(例えば、30秒)に達する第2条件か、何れか最先の条件が達成されるまでを1サイクルとし、これを所定サイクル回数(例えば、16回)まで継続させる遊技である。
このように、特別遊技が開始されると、遊技領域3を流下してくる遊技球を効率良く大入賞口9b内へ入賞させることができるので、遊技者は比較的短時間で多くの遊技利益(大入賞口1bへの入賞に対して排出される賞球)を獲得できる。なお、特別遊技におけるサイクル回数や各サイクルにおける大入賞口9bへの入賞個数といった遊技進行状況を表示させる遊技状態表示器3cを遊技盤1の適所(例えば、右側下方部)に設けておけば、特別遊技の進行状況を遊技者に分かり易く表示できる。
なお、特別遊技の遊技進行は特に限定されるものではなく、通常遊技よりも遊技者が多くの遊技利益を獲得できる可能性の高いものであれば良い。例えば、大入賞口9b内に一般入賞領域と継続入賞領域とを区画構成しておき、サイクル終了条件が達成されるまでに大入賞口9bに入賞した遊技球が継続入賞領域へ到達することを条件に、サイクル遊技を継続更新させ、サイクル中に継続入賞領域に到達した遊技球がなければ、その回のサイクルを以て特別遊技を終了させるような遊技進行としても良い。
次に、前述した風車ユニット11の概略構造を図2および図3に基づいて説明する。図2は、遊技盤本体1aの前面側に設けられた風車ユニット11の縦断端面図を示し、回転体111の回動中心に配された回動軸112を取付ベース113に回動可能に支承したものである。
上記回転体111の前面側は略円形状の前面装飾盤部111aで、その回転中心から後方に延出する軸挿通孔を形成した軸挿通部111bに回動軸112を挿通させると共に、Dカット処理等の回転止めを回動軸112と軸挿通部111bに施すことで、回転体111に回転トルクを与えると、その回転トルクの向きに応じた方向へ回動軸112が回転する。なお、本構成例で示す回転体111においては、軸挿通部11bの外周に略円筒状の球受け周壁部111cを設けると共に、球受け周壁部111cの外周適所に任意数(例えば、4〜6個)の抵抗突起111dをほぼ等間隔に突設し、この抵抗突起111dに遊技球の流下勢が作用することで、回転体111に回転トルクを生ぜしめるものとしたが、これに限らず、回転中心から放射状に任意数(例えば、3〜4枚)の球受け羽根を設けて、回転体111に回転トルクを生ぜしめるようにしても良い。
上記のように回転体111と一体に回動する回動軸112の後方部分は、取付ベース113の前面当着部113aの前面開口から後方へ窪む軸収容凹室113b内に挿通され、前側軸受部材113cおよび後側軸受部材113dによって回動自在に軸支される。なお、回動軸112の前側は、抜け止め膨出部112aによって回転体111が前方へ抜け落ちないものとし、回動軸112の後側は、抜け止め凹部112bにEリング112cを嵌め込むことで後側軸受部材113dから抜け出すことがないようにした。また、取付ベースの前面開口はレンズ部材114により遮蔽し、回動軸112に遊嵌したブッシュ115を軸挿通部111bと前側軸受部材113cとの間に介挿する。
しかして、本実施形態に係る遊技機に設けた風車ユニット11においては、回動軸112と一体的に回転する略円盤状の遮光板116を備えると共に、この遮光板116を挟んで透光部と受光部が対峙するフォトセンサよりなる風車センサ117を設け、遮光板116の周方向へ放射状に設けた複数の通光部であるスリット116aが風車センサ117の光軸に至ったときには風車センサ117がONとなり、隣接する2つのスリット間である遮光部に風車センサ117の光軸があるときには風車センサ117がOFFとなる。すなわち、遮光板116におけるスリット116aの有無が風車センサ117の検出状態を変化させる検出パターンとなる。なお、検出パターンはスリット116aの有無により形成するものに限らず、例えば、透光性合成樹脂製の円板部材の片面に不透光性の塗料を印刷塗布することで、通光部と遮光部とが交互に生ずる検出パターンを形成しても良い。
斯く構成した風車ユニット11の回転体111に遊技球が絡む(遊技球が球受け周壁部111cの抵抗突起111dに接触もしくは衝接して回転体111に回転トルクを与える)ことで、回動軸12が右回転もしくは左回転すると、図3(a)に示すように、遮光板116がA方向もしくはB方向へ回転し、これに伴ってスリット116aが風車センサ117を通過して行く。そして、回転体111がほぼ等速回転しているときは、遮光板116のスリット116aが一定時間毎に風車センサ117を通過するので、一定時間毎に風車センサ117がONからOFFに変化する(図3(b)を参照)。なお、風車センサ117の出力は、通光時にONで遮光時にOFFであるから、このまま遊技機制御部(後に詳述)へ送信しても良いが、本実施形態に係る遊技機においては、これを負論理で遊技機制御部へ送信することとしたので、図3(b)においては、風車センサ117が遮光時にHレベル、通光時にLレベルとなる検出信号波形を示した。
このように、風車ユニット11よりなる風車を備える本実施形態の遊技機においては、回転体111の正逆回転に追随して回転する遮光板116と、この遮光板116の回転に伴うスリット116aの通過を検出する風車センサ117とが協働することで、「風車における回転体の回転変位を検出する回転変位検出手段」として機能するのである。
上記遮光板116に設けるスリット116aの開設位置や開設間隔は特に限定されるものではないが、本構成例においては、12個のスリット116aを30゜毎に放射状に設け、回転体111が基準角度(30゜)宛て回転する毎に風車センサ117の検出出力が得られるものとした。なお、基準角度に満たない範囲で遮光板116が微動したような場合、これを風車センサ117は検出できない可能性もあるが、本構成例の如く30゜の基準角度に満たない角度範囲で回転体111が変位するケースは、遊技機に生じた振動で回転体111が振動しているような状況と考えられるから、このような回転体111の変位までも変位情報として検出してしまうことを防止できる点で有効である。
また、風車センサ117の検出出力で通光回数(HレベルからLレベルへの立ち下がり回数、もしくは、LレベルからHレベルへの立ち上がり回数)が12回に達すると、回転体11が概ね1回転したものと想定できる。ただし、本構成例の風車ユニット11における風車センサ117は、遮光板116の正転と逆転とを判別して検出できないので、正転方向への変位量と逆転方向への変位量との総計としての回転数となるが、それでも、風車に絡む遊技球の流下状況を把握するのには十分な情報として用いることができる。
次に、遊技機における各種制御を行う遊技機制御部の概略構成について、図4に基づき説明する。
遊技機制御部は、主として遊技盤1に設けられた各種遊技装置(特図始動入賞装置7や特別変動入賞装置9等)の制御を行う遊技制御装置21,遊技球を排出する排出装置に対する動作制御を行う排出制御装置22,遊技制御装置21からの指令により中央表示装置41の表示制御を行う表示制御装置23,スピーカからの演出音出力制御を行う音制御装置24,遊技機の各所に設けた装飾用のランプやLED等の点灯制御を行う装飾制御装置25からなる。
上記遊技制御装置21は、遊技用ワンチップマイコン21a、入力インターフェース21b、出力インターフェース21c、外部通信端子21d等を備え、特図始動入賞装置7に設けた始動口スイッチ7cからの検出信号,特別変動入賞装置9の大入賞口9bへ入賞した遊技球を1個宛て検出するカウントスイッチ9cからの検出信号,普図始動ゲート5に設けたゲートスイッチ6aからの検出信号,右側入賞口10Rに設けた右入賞口センサ26R,左側第1〜第3入賞口10L1〜10L3への入賞球を一括して検出する左入賞口センサ26Lからの検出信号が入力インターフェース21bを介して入力されると、これらの検出信号に基づいて遊技用マイクロコンピュータ21aが出力インターフェース21bを介して、特別図柄表示器8,特別図柄記憶表示器8a,普通図柄表示器6,普通図柄記憶表示器6a,遊技状態表示器6aへの表示制御、特図始動入賞装置7の可動部材7a,7aの駆動制御を行う普電開閉ソレノイド7d,特別変動入賞装置9の開閉扉9aの駆動制御を行う大入賞口開閉ソレノイド9dへの駆動制御、を行うことで、種々の条件に応じた遊技が行われる。更に、遊技機1において遊技者に払い出した賞球数や遊技結果(普通図柄変動表示ゲームや特別図柄変動表示ゲームや特別遊技の発生)等の情報は、盤用外部情報出力部27から遊技機外へ出力され、当該遊技店の管理コンピュータ等で収集・管理される。
特別な演出表示動作(例えば、特別図柄変動表示ゲームにおけるリーチ演出など)の指令を遊技制御装置21から通信インターフェース23aを介して受ける表示制御装置23は、CPU,ROM,RAMのほかに高速グラフィックス処理が可能なGDP(Graphics Data Processor)を備え、表示内容に応じた画像データを画像ROMから読み出して表示用データを生成し、出力インターフェース23bを介して中央表示装置41へ出力し、中央表示装置41の表示部41aに変動表示ゲームや種々の装飾演出が表示される。また、遊技制御装置21からの演出指令として、音声出力を伴う演出動作や装飾ランプ・LEDの点灯制御を伴う演出動作が含まれていた場合には、通信インターフェース23aを介して音制御装置24や装飾制御装置25への動作指令を行う。
しかして、本実施形態に係る遊技機の遊技機制御部においては、表示制御装置23が入力インターフェース23cを介して風車センサ117からの検出信号を受信すると共に、この検出信号の解析を行うことで、風車ユニット11で構成した風車に絡んだ遊技球の概要を把握できる情報を取得し、この情報を出力インターフェース23bを介して外部情報出力部28へ出力し、この外部情報出力部28から遊技機外の管理コンピュータ等へ供給する。すなわち、風車ユニット11で構成した風車に絡んだ遊技球の概要を当該遊技店の管理コンピュータ等で収集管理することが可能となるのである。
次に、表示制御装置23が行う解析手法の一例として、風車ユニット11で構成した風車に絡んだと想定される遊技球を検出する遊技球検出処理を図5のフローチャートに基づき説明する。
遊技球検出処理は所定時間毎に繰り返し行うもので、先ず、監視期間として予め定めた風車監視時間(例えば、500ms)をセットした監視タイマがタイムアップしたか否かを判定し(ステップS11)、未だ監視タイマがタイムアップしていなければ、風車センサ117からの検出パルスの立ち上がり(もしくは立ち下がり)を基準としてパルス数を計数更新する(ステップS12)。
上記ステップS11において、風車監視時間が経過したと判定された場合には、その監視時間における検出パルス数を記憶する(ステップS13)。例えば、図6(a)に示すように、監視期間T1が経過したときには検出パルス数“0”が記憶され、監視期間T2が経過したときには検出パルス数“5”が記憶され、監視期間T3が経過したときには検出パルス数“1”が記憶され、監視期間T4が経過したときには検出パルス数“0”が記憶され、監視期間T5が経過したときには検出パルス数“5”が記憶され、監視期間T6が経過したときには検出パルス数“3”が記憶され、監視期間T7が経過したときには検出パルス数“3”が記憶され、監視期間T8が経過したときには検出パルス数“5”が記憶される。
このように、監視期間毎に検出パルス数を順次記憶して行くことで、回転体111が正転或いは逆転することにより生じた回転変位の時系列な変化態様を監視することができる。なお、遊技機に用いられる風車は、遊技球が絡んで回転した後、回転抵抗(回転軸と軸受けの摩擦抵抗、羽根の空気抵抗等)により減勢されて停止し、通常の遊技球の流下勢を受けて回転した回転体は、長くても数秒程度で停止することから、監視期間として500msを設定しておけば、好適な回転変位の検出を行える。なお、監視期間を更に短くすれば、回転変位の増減を一層細かく検出できるものの、回転抵抗による回転体の回転速度低下に伴って検出パルスの間隔が長くなったときに誤判定につながる可能性もあるので、遮光板116におけるスリット116aの開口幅や配設数、配設間隔等を考慮し、検出パルス数の減少を検出可能な時間以上の監視期間を設定することが望ましい。
続いて、今回の監視期間に対応させて記憶した検出パルス数が前回の監視期間に対応させて記憶した検出パルス数よりも大きいか否かを判定する(ステップS14)。例えば、図6(a)においては、監視期間T1と監視期間T2の検出パルス数の差である差分Δd=+5で判定条件を満たし、監視期間T4と監視期間T5の検出パルス数の差である差分Δd=+5で判定条件を満たし、監視期間T7と監視期間T8の検出パルス数の差である差分Δd=+2で判定条件を満たすので、ステップS14で今回の検出パルス数が前回の検出パルス数よりも大と判定され、球検出として遊技球計数カウンタのカウント数を+1更新し(ステップS15)、外部情報出力部28を介して風車に絡んだ遊技球の検出情報を遊技機外へ出力する処理を行い(ステップS16)、次回の監視期間に移行するべく風車監視時間を監視タイマにセットし(ステップS17)、遊技球検出処理を終了する。
すなわち、この遊技球検出処理においては、予め定めた監視時間内に風車センサ117からの検出パルス数を計数記憶しておき、最新の監視時間における検出パルス数と前回の監視時間における検出パルス数との差分Δdを回転変位の時系列な変化態様として求め、差分Δdが正の数であることを遊技球検出条件とし、遊技球が風車に絡むことで回転体111の回転速度が上昇したと想定される状態を遊技球検出と判定するのである。従って、ステップS14で今回の検出パルス数が前回の検出パルス数よりも大(Δd>0)と判定されなければ、回転体111の回転速度が上昇していない、すなわち、遊技球が風車に絡んでないと想定できるので、球検出数の+1更新は行わず、そのまま遊技球検出処理を終了する。
このように、風車センサ117より検出パルスが供給される表示制御装置23によって「回転変位検出手段による回転体の回転変位検出情報を受け、回転変位の時系列な変化態様を監視する変化態様監視手段」および「変化態様監視手段による回転変位の時系列な変化態様が、予め定めた遊技球検出条件を満たすか否かを判定する遊技球検出判定手段」としての機能を実現することにより、風車ユニット11で構成した風車に絡んだ遊技球の検出情報を取得できる。さらに、この遊技球検出情報から風車ユニット11で構成した風車に絡まなかった遊技球の数、すなわち、風車ユニット11へ至る前に演出装置4のワープ入口42bから変動表示視認凹室42aへ招じ入れられた遊技球の数を概算することができるので、風車ユニット11側へ流下させる遊技球と演出装置4のワープ入口42bへ流下させる遊技球の比率で、釘調整の指標とすることもできる。
なお、前述した遊技球検出処理においては、差分Δdが正の数であることを球技球検出条件に設定したが、これに限定されるものではなく、風車の配設位置や風車の回転特性等を考慮して、適宜に設定して構わない。
例えば、図6(b)に示すように、今回の監視期間の検出パルス数と前回の監視期間の検出パルス数との差の絶対値が予め定めた検出基準数(例えば、3個)以上であることを遊技球検出条件(|Δd|≧3)とすれば、監視期間T1と監視期間T2の検出パルス数の差である差分Δd=+5で遊技球検出条件を満たし、監視期間T2と監視期間T3の検出パルス数の差である差分Δd=−4で遊技球検出条件を満たし、監視期間T4と監視期間T5の検出パルス数の差である差分Δd=+5で遊技球検出条件を満たす。すなわち、この遊技球検出条件を採用した場合には、遊技球が風車に絡むことで回転体111の回転速度が瞬時に急上昇したと想定される状態に加えて、遊技球が風車に絡むことで回転体111に逆方向への回転トルクが作用して減速したと想定される状態(監視期間T2から監視期間T3への変化状態)も遊技球検出と判定できる。但し、この遊技球検出条件を採用した場合には、検出パルス数が“3”である監視期間T7から検出パルス数が“5”に増加した監視期間T8へ移行した状態(遊技球が風車に絡んで回転体111の回転速度が上がったと推測される状態)を、遊技球検出と判定できていない。
そこで、図6(c)に示すように、複数の検出条件(例えば、第1判定条件:Δd>0,第2判定条件:Δd≦−3)を定め、これら第1判定条件又は第2判定条件の何れか一方を満たすことを遊技球検出条件と設定すれば、監視期間T1と監視期間T2の検出パルス数の差である差分Δd=+5で遊技球検出条件を満たし、監視期間T2と監視期間T3の検出パルス数の差である差分Δd=−4で遊技球検出条件を満たし、監視期間T4と監視期間T5の検出パルス数の差である差分Δd=+5で遊技球検出条件を満たし、監視期間T7と監視期間T8の検出パルス数の差である差分Δd=+2で遊技球検出条件を満たす。すなわち、この遊技球検出条件を採用した場合には、図6(a),(b)にて遊技球検出と判定された全ての状態を遊技球検出と判定できる。
なお、回転中の回転体111に対して回転速度を急激に低下させたり逆回転させたりするように絡んだ遊技球を検出するための遊技球検出条件としては、自然に減勢されて回転体111の回転速度が減ぜられる場合の減少パルス数を超える減少数を選定すれば良い。本実施形態に係る遊技機が備える風車においては、遊技球が絡んで回転した回転体111が監視期間500msの経過に伴って検出パルス数が2程度減少することから、Δd≦−3を遊技球検出条件として設定することで、遊技球が絡んで風車の回転が減勢された状態を明確に検出できる。
また、本実施形態として示した遊技機においては、風車センサ117からの検出信号を受ける表示制御装置23により、遊技球の検出と判定される毎に、この遊技球の検出数を計数記憶する遊技球計数手段としての機能を実現するものとしたが、このような遊技球計数手段を遊技機には設けず、遊技機から外部情報出力部28を介して遊技球検出の信号を受ける当該遊技店の管理コンピュータ等で計数記憶させるものとしても良い。
また、本実施形態に係る遊技機のように、風車の変位を検出可能な風車センサ117を備えていれば、風車センサ117からの検出信号に基づく回転体111の回転状況を当該遊技機における制御に利用することもできる。図7に、風車センサ117からの検出信号に基づく情報を遊技方法の報知に適用した遊技方法報知処理を示す。
遊技方法報知処理においては、先ず、報知すべき遊技状態として予め定めた遊技状態であるか否かを判定する(ステップS21)。報知すべき遊技状態として、例えば、遊技盤1における遊技領域3の左側へ遊技球を打ち込む遊技から遊技領域3の右側へ遊技球を打ち込む遊技内容へ移行した状態、すなわち、左打ちから右打ちへ弾発手法を変更することで円滑に遊技が進行する状態を設定する。これに加えて、遊技盤1の遊技領域3には、弾発手法が右打ちに変更されることで遊技球が流下する領域適所に風車を設けておく。
上記ステップS21で報知すべき遊技状態であると判定された場合には、当該遊技状態になってから所定時間(例えば、3〜5秒程度)が経過する前に回転体111の回転を検出したか否かを判定し(ステップS22)、風車の回転体111が未だ回転していないと判定された場合には、中央表示装置41による遊技方法報知の設定を行い(ステップS23)、これによって、現在の遊技状態が右打ちの遊技方法に変わったことを遊技者に報知する。すなわち、遊技に不慣れな遊技者が遊技方法の変更に追随できないような場合、この遊技方法報知によって、右打ちへの対応を促すのである。
そして、遊技者が右打ちに変更することで、遊技領域3の右側へ遊技球が打ち込まれるようになり、風車センサ117の検出信号により風車の回転体111が回転したことを検出すると、上記ステップS22で風車回転検出有りと判定されるので、中央表示装置41による遊技方法の報知を解除して、通常の演出表示に復帰させる(ステップS24)。
このように、遊技球が風車に絡んでいない場合に、適正な遊技が行われていないと判断し、遊技に不慣れな遊技者に対して適正な遊技方法を報知すれば、遊技者は混乱することなく安心して遊技を進行することができる。なお、遊技方法の報知は、演出装置4の中央表示装置41による報知に限らず、その他の表示装置を用いて視覚的報知を行うようにしても良いし、スピーカから音声で報知するようにしても良い。
また、遊技方法の報知を行うか解除するかの判断に際して、風車センサ117からの検出信号に基づく風車の回転検出は、必ずしも1回転分の変位(例えば、12パルス分の検出)が回転体111に生じた場合に限らず、1/2回転や1/3回転相当のパルス検出で風車の回転と判定するようにしても良い。しかしながら、上述したように、回転体111の1回転分の変位の有無によって遊技方法の報知・解除を制御すれば、微振動によって遊技球が絡むことなく回転体111に回転変位が生じた場合を誤判定してしまう不具合を回避できるという利点がある。
更に、風車センサ117からの検出信号に基づく情報は、遊技方法の報知に用いるものに限定されず、例えば、変則打法による不正行為の検出に用い、そのような不正行為の蓋然性が高い状態を検出した場合には、遊技店の係員らに報知するようにしても良い。
上述した遊技機においては、風車センサ117からの検出信号を受ける表示制御装置23は、外部情報出力部28を介して遊技球の検出信号を外部へ出力するものとしたが、外部へ出力する情報は、遊技球の検出信号に限定されるものではない。例えば、遊技球が絡むことで風車の回転体111が回転変位した情報からも、遊技球の流下状況を推し量ることができ、これを釘調整等の情報として用いることが可能である。図8は、風車の回転情報を外部出力する風車回転検出処理を示す。
風車回転検出処理においては、先ず、風車センサ117より検出信号の入力(パルスの立ち上がりもしくは立ち下がり)が有るか否かを判定し(ステップS31)、風車センサ117からの検出があると判定されれば、風車の回転体111が検出基準量(例えば、30゜)だけ回転変位したものとして、回転変位検出数を計数する回転変位検出数カウンタのカウント値に1を加算する(ステップS32)。
上記のようにして、回転変位検出数カウンタのカウント値が更新されると、そのカウント値が12で割り切れるか否か、すなわち、上記ステップS32で行ったカウンタ更新により回転体111が1回転したと看做し得る12パルスに達したか否かを判定し(ステップS33)、1回転分のパルス数に達していると判定された場合には、外部情報出力部28を介して当該遊技店の管理コンピュータ等へ出力する(ステップS34)。
以上説明したように、本実施形態に係る遊技機においては、風車ユニット11により構成した風車の風車センサ117から取得できる検出信号により、釘調整や情報報知あるいは不正検出等に利用可能な情報を得ることができる。しかしながら、風車ユニット111で構成した風車はコストアップになるし、また、風車の回転軸の傾きを微調整するような作業を行うことができない。そこで、図9および図10に基づいて、旧来のように合板製の遊技盤の遊技領域に植設される回動ピンに回転体が回動自在に保持されるタイプの風車で回転体の回転変位を検出可能とした第2実施形態の遊技機を説明する。なお、風車の構造以外は、上述した第1実施形態の遊技機と同様であるから、ここでは説明を省略する。
風車12は、回転体121の前面盤部121aの中心から後方へ延出する軸挿通部121bに回動ピン122を遊嵌することで回転体121を回動自在としたもので、回動ピン122の前側端には抜け止め膨出部122aを形成し、後方側の打込先鋭部122bが遊技盤本体1aの前面側から植設されることで、固定された回動ピン122を軸として回転体121が左右両方向へ自在に回転する。
回転体121の前面盤部121aの裏面側には、例えば、第1球受け羽根121c1,第2球受け羽根121c2,第3球受け羽根121c3を等間隔な放射状(120゜毎)に設けてあり、遊技球が流下して第1〜第3球受け羽根121c1〜121c3に接触あるいは衝接して回転トルクが生ずると、回転体121が回転するのである。
また、回転体121の前面盤部121aには、前後に貫通する通光用スリット121dを複数(例えば、図10(a)に示すように、30゜毎に12箇所)設け、更に、前面盤部121aの前面側に装着した前面飾り123の少なくとも裏面側は光反射率を高めておく。これにより、回転体121の前面盤部121aの後方から光が照射されたとき、照射光の光軸が反射部である通光用スリット121dに至ると前面飾り123の裏面に当たって効率良く反射されるが、通光用スリット121dの開設されていない非反射部に照射された光は散乱あるいは吸収されて反射効率は低くなる。
すなわち、本構成例においては、風車12の回転体121の前面側に配した前面盤部121aの裏面側に検出パターンを形成するために、前面盤部121aを前後に貫通するスリット121dを円周方向へ複数設けると共に、装飾用の意匠が表面に施される金属製の前面飾り123を前面盤部121aの前面に配設することで、スリット121dの有るところは金属製の前面飾り123の裏面が露出することで高反射部に、スリット121dの無いところは低反射部に各々対応させることができ、光反射率の高い高反射部と光反射率の低い低反射部とが円周方向へ交互に生ずる検出パターンを、簡易な構造で前面盤部121aの裏面側に生ぜしめることができる。
そこで、風車12の後方適所(例えば、流下する遊技球が通過する可能性の低い中央下部)に反射型フォトセンサよりなる風車センサ124が位置するように、取付ベース125介して遊技盤本体1aに取り付けておき、回転体121における前面盤部121aの裏面側へ風車センサ124の透光部より検出光を照射すると共に、その反射光を風車センサ124の受光部で受光すれば、通光用スリット121dの通過に伴って風車センサ124の出力信号が変化(例えば、図10(b)のパルス波形を参照)し、回転体121の回転変位を風車センサ124の出力(検出レベルの変化)により検出することができる。
斯く構成した風車12によれば、構造が簡単なので、前述した風車ユニット11の如くユニット化して設ける場合よりもコストを削減できると共に、遊技盤本体1aに植設された回動ピン122の傾きを微妙に変化させて流下方向の調整を行うこともできるという利点がある。更に、本構成例の風車12においては、回転体121により影となる部位に風車センサ124を配設したので、反射型フォトセンサを用いた風車センサ124が外乱光によって検出精度が著しく低下することを抑制できるという効果もある。
なお、遊技球が風車センサ124の前を通過したとき、高反射部が光軸を通過したと同様な検出レベルの変化が生じて、検出パターンに基づかない検出パルスがカウントされてしまう可能性があるものの、このような誤検出の発生頻度は極めて低く、遊技球が風車に絡んで生じた適正な検出パルス数に比して十分に小さいので、遊技球の流下状況の概要を把握するに際しては無視できる程度の誤差範囲に止まる。このような遊技球の誤検出を防止するために、風車センサ124を遊技盤面よりも前面側に適宜突出させておき、検出用の光軸を遊技球が遮ることの無いようにしても構わないが、風車センサ124の突出部を避けるような切欠を球受け羽根121cに形成しなければならないので、十分な剛性を維持できるように羽根板を厚くするなどの対策を講ずることが望ましい。
また、上記構成の風車12においては、風車センサ124の検出光が照射される部位を通過する高反射部と低反射部とを交互に配置した検出パターンを、前面盤部121aに開設したスリット121dと前面飾り123の裏面とで構成するものとしたので、前面盤部121aに対するスリットの抜き成型のみで検出パターンを実現でき、一層のコスト低減および工程の簡素化を期せるが、これに限らず、検出パターンは如何様に構成しても構わない。例えば、前面盤部121aの裏面側を高反射部とし、スリット部121dを低反射部としても良いし、通光用スリットを設ける代わりに反射率の異なる塗装を前面盤部121aの裏面側に施しても良い。或いは、前面盤部121aの裏面よりも反射率が高い(もしくは反射率が低い)部材を前面盤部に適宜間隔で設けておくことにより検出パターンを構成しても構わない。
また、風車12で採用した検出パターンを用いた回転変位検出手法では、回転体121の回転方向までは判別できない。そこで、回転体121の回転方向を判別できる第3構成例に係る風車12′を備える第3実施形態の遊技機について、図11に基づき説明する。なお、上述した風車12と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
この風車12′においては、前面盤部121aに設ける通光用スリット121e′として、第1通光領域121e1と第2通光領域121e2を備えるものとし、風車センサ24′は、上記第1通光領域121e1に対応する位置に設けた反射型フォトセンサよりなる第1検出部124aと、上記第2通光領域121e2に対応する位置に設けた反射型フォトセンサよりなる第2検出部124bとを備えるものとした。
上記風車センサ24′は、第1,第2検出部124a,124bを回転体121の回転中心を通る直線上に配置し、尚且つ、第1検出部123aが回転中心に近い側に、第2検出部123bが回転中心から遠い側にある。そして、回転体121の回転に伴って第1検出部121aの前面側を通過する回転軌跡上に第1通光領域121e1を、第2検出部121bの前面側を通過する回転軌跡上に第2通光領域121e2を各々配置すると共に、第1通光領域121e1が第1検出部124aに検出されるタイミングと第2通光領域121e2が第2検出部124bに検出されるタイミングが異なるように、例えば、第2通光領域121e2を第1通光領域121e1よりも右方向(図11(a)においては、回転体121を裏面側から見たものであるから、図中の右方向は遊技機前面から左方向に見え、図中の左方向は遊技機前面から右方向に見える。)にずらしてある。
例えば、回転体121が右回転した場合で説明すると、第1,第2検出部124a,142bの何れも低反射部(隣接する通光用スリット121e′の間)にある状態から右回転してゆくと、最初に第2検出部124bが第2通光領域121e2に到達して通光状態となったことを検知し、更に右方向へ回転してゆくと、続いて第1検出部124aが第1通光領域121e1に到達して通光状態となったことを検知し、更に右方向へ回転して行くと、第2検出部124bが第2通光領域121e2を通過して遮光状態となったことを検知し、更に右方向へ回転して行くと、第1検出部124aが第1通光領域121e1を通過して遮光状態となったことを検知する。すなわち、回転体121が右回転した場合には、図11(c1)に示すような検出パルスが第1,第2検出部124a,124bより得られる。
一方、回転体121が左回転した場合で説明すると、第1,第2検出部124a,142bの何れも低反射部(隣接する通光用スリット121e′の間)にある状態から左回転してゆくと、最初に第1検出部124aが第1通光領域121e1に到達して通光状態となったことを検知し、更に左方向へ回転してゆくと、続いて第2検出部124bが第2通光領域121e2に到達して通光状態となったことを検知し、更に左方向へ回転して行くと、第1検出部124aが第1通光領域121e1を通過して遮光状態となったことを検知し、更に左方向へ回転して行くと、第2検出部124bが第2通光領域121e2を通過して遮光状態となったことを検知する。すなわち、回転体121が左回転した場合には、図11(c2)に示すような検出パルスが第1,第2検出部124a,124bより得られる。
従って、本構成の風車12′と風車センサ24′を用いれば、回転体121が右回転した変位情報と左回転した変位情報とを識別して検知できるので、風車12′に絡んだ遊技球を右方向へ流下した遊技球と左方向へ流下した遊技球とを個別に検出判定したり、風車12′の右方向回転数と左方向回転数とを個別に計数したりできるので、釘調整や情報報知あるいは不正判定に際して、一層有効な情報として活用できる。
上述した風車12,12′においては、回転体121の背面側から風車センサ124,124′によって回転変位を検出するものとしたが、遊技球の流下に影響を与えずに風車の回転変位を検出する他の手法として、風車の側方に風車センサを設けておき、非接触で回転体の回転変位を検出する構成としても良い。
例えば、第4実施形態に係る遊技機は、図12に示す風車13(回転体131の前面装飾盤部131aの中心から後方へ延出する軸挿通部131bに回動ピン122を遊嵌し、前面装飾盤部131aの裏面側に第1〜第3球受け羽根131c1〜131c3を120゜間隔で放射状に設けたもの)を備えるもので、この風車13における回転体131は光反射率の低い合成樹脂等で成型し、第1〜第3球受け羽根131c1〜131c3の外側端部に光反射率の高い反射部材133を配設し、例えば、図1のサイドランプ3b(或いはセンターケース42)に反射型フォトセンサよりなる風車センサ134を設ける。
風車センサ134は、透光部から照射する照射光の光軸が風車13の軸心に向くよう位置調整しておき、第1〜第3球受け羽根131c1〜131c3の側面に風車センサ134の検出光が照射された場合は、風車センサ134が検出する反射光の受光強度は低く(例えば、図12(a)を参照)、アナログ値として得られる受光強度を適宜なしきい値で二値化すると風車センサ134の出力はOFF(Lレベル)である。一方、第1〜第3球受け羽根131c1〜131c3が風車センサ134が風車センサ134に最も近づいて、第1〜第3球受け羽根131c1〜131c3の外側端部に設けた反射部材133が風車センサ134から照射された検出光の光軸上に至ると、風車センサ134が検出する反射光の受光強度は極めて高く(図12(b)を参照)、風車センサ134の出力ON(Hレベル)である。
すなわち、本構成例の風車13に遊技球が絡んで回転体131が回転したとき、風車センサ134の検出信号は、外側端部に反射部材133を設けた第1〜第3球受け羽根131c1〜131c3が通過する毎にHレベルに変化する(図12(c)を参照)ので、これにより回転体131の回転変位の有無を検出できるので、前述したような判定手法によって、絡んだ遊技球の数や回転回数などの有用な情報を得ることができる。なお、遊技球が流下する空間を隔てて風車13の側方に風車センサ134を配置した構成においても、遊技球が風車センサ134の光軸を通過したとき、反射部材133が光軸を通過したと同様な検出レベルの変化が生じて、検出パターンに基づかない検出パルスがカウントされてしまう可能性があるものの、遊技球が風車に絡んで生じた適正な検出パルス数に比して十分に小さいので、遊技球の流下状況の概要を把握するに際しては無視できる程度の誤差範囲に止まる。
なお、上述した風車13の回転変位を側方に設けた風車センサ134によって検出する場合、回転方向を識別して検出できない。そこで、風車の側方に配したセンサによって回転方向を識別して検出できる第5実施形態に係る遊技機を、図13および図14により説明する。
図13に示す風車は回転体を模式的に示したもので、回動軸等の詳細や省いてある。この風車14においては、回転体140に設けた第1〜第3球受け羽根141〜143によって、反射率の異なる3つの反射領域を形成し、側方に配置した反射型フォトセンサよりなる風車センサ144によって、反射領域に応じて変化する反射光の受光強度から回転体140の回転方向を識別するのである。
例えば、図13(a)に示すように、第1球受け羽根141と第3球受け羽根143とが連なって形成される最も反射率の高い高反射領域Aに風車センサ144の検出光が照射されている場合、すなわち、回転体140が左回転していることで、第3球受け羽根143が風車センサ144から照射された光軸を通過して更に第1球受け羽根141が風車センサ144の光軸に至る(図13(b)を参照)までの間に、風車センサは受光強度が最も高いレベルaを超える期間がある。
更に、回転体140が左回転すると、図13(c)に示すように、第1球受け羽根141と第2球受け羽根142とが連なって形成される反射率が中程度の中反射領域Bに風車センサ144の検出光が照射され、第1球受け羽根141が風車センサ144から照射された光軸を通過して更に第2球受け羽根142が風車センサ144の光軸に至るまでの間に、風車センサは受光強度が中程度のレベルbを超えるがレベルaには満たない期間がある。
更に、回転体140が左回転すると、図13(d)に示すように、第2球受け羽根142と第3球受け羽根143とが連なって形成される反射率が最も低い低反射領域Cに風車センサ144の検出光が照射され、第2球受け羽根142が風車センサ144から照射された光軸を通過して更に第3球受け羽根143が風車センサ144の光軸に至るまでの間中、風車センサは受光強度が中程度のレベルbを超えることはない。
従って、風車14の回転体140が120゜回転する毎に、風車センサ144が検出する受光強度を適宜なしきい値で三値化するように信号処理すると、図14(a)に示すように、レベルa→レベルb→OFF→レベルa…の順に検出レベルが変化するので、回転体140が左回転していると判定できる。また、風車14の回転体140が右回転した場合は、OFF→レベルb→レベルa→OFF…の順に検出レベルが変化するので、左回転の判定ができる。
なお、上述した風車14のように、隣り合う球受け羽根の面によって3つの反射領域を形成し、各反射領域毎に異なる反射率により風車センサ134の検出レベルを異ならせる場合、回転体140がほぼ1回転しないと(変位が約360゜に達しないと)、右回転か左回転かを明確に識別できないという欠点がある。そこで、より小さな回転変位でも回転方向を識別して検出できる第6実施形態に係る遊技機を、図15により説明する。
図15に示す風車15は回転体150を模式的に示したもので、回転体150に設けた第1〜第3球受け羽根151〜153の側方に配置した反射型フォトセンサよりなる風車センサ154によって、第1〜第3球受け羽根151〜153における風車センサ154に臨む面に各々設けた反射部155からの受光強度の変化を検出することで、回転体150の回転方向を識別するものである。
この風車15において、第1〜第3球受け羽根151〜153に各々設ける反射部155は、最も内側に反射率が最も高い高反射領域Aを設け、この高反射領域Bの外側に反射率が中程度の中反射領域Bを設け、その外側に反射率が最も低い低反射領域Cを設けたものである。また、第1〜第3球受け羽根151〜153に設ける反射部155の形成範囲と風車センサ154の配設位置を調整することで、第1〜第3球受け羽根151〜153が風車センサ154から最も遠い位置から最も近接するまでのほぼ全範囲において、風車センサ154から照射される光が反射部155上に照射されるようにしておき、回転体150の回転に伴ってある球受け羽根の反射部に風車センサ154の検出光が照射されなくなると、すぐに次の球受け羽根の反射部155に風車センサ154の検出光が照射されるようにしておくことが望ましい。
そして、第1〜第3球受け羽根151〜153に各々反射部155を設けた風車15においては、回転体150が左回転しているとき、例えば、第3球受け羽根153が風車センサ154から照射される検出光に照射されない位置を通過すると、風車センサ154からの検出光は第1球受け羽根151の反射部155における高反射領域Aに照射され、風車センサ154の受光強度は最も高くなる(図15(b)を参照)。
更に、回転体150が左回転してゆくと、風車センサ154からの検出光が第1球受け羽根151の反射部155に照射される領域は、高反射領域Aから中反射領域Bに移行し、風車センサ154の受光強度は中程度になる(図15(c)を参照)。更に、回転体150が左回転してゆくと、風車センサ154からの検出光が第1球受け羽根151の反射部155に照射される領域は、中反射領域Bから低反射領域Cに移行し、風車センサ154の受光強度は更に低くなる(図15(d)を参照)。
すなわち、斯く構成した風車15の回転変位を風車センサ154で検出する場合には、回転体150が180゜宛て左回転する毎に、図14(a)にて示したようなレベル変化(レベルa→レベルb→OFF→レベルa…の順に変化)が生ずるので、回転体150が360゜変位するのを待つことなく、左回転していると判定できる。また、風車15の回転体150が右回転した場合は、回転体150が180゜宛て右回転する毎に、図14(b)にて示したようなレベル変化(OFF→レベルb→レベルa→OFF…の順に変化)が生ずるので、同様に、検出レベルが変化する回転体150が360゜変位するのを待つことなく、右回転していると判定できる。
なお、この風車15においては、回転体150における第1〜第3球受け羽根151〜153の側面に設ける検出パターンとして、球受け羽根の外側部から回動中心方向へ光反射率の異なる3つの反射領域を設けたが、4つ以上の反射領域を設けておき、回転体150が180゜以上回転する前に、球受け羽根が風車センサ154側に近づいているか(図15においては左回転)、球受け羽根が風車センサ154から遠ざかっているか(図15においては右回転)を判定できるようにしても良い。また、回転方向を検知する必要がなければ、光反射率が異なる2つの反射領域を設けるだけでも良い。更に、第1〜第3球受け羽根151〜153の両側面に検出パターンを形成すると共に風車15の両側方に左側風車センサと右側風車センサとを設けておき、両風車センサからの検出情報を照合しつつ風車の回転変位の変化態様を監視すれば、風車の回転方向を明確に判定できると共に、遊技球の通過に基づく風車センサの検出の有無から、遊技球が風車の左右どちら側へ流下して行ったかを精度良く判定することが可能となる。
以上本発明をいくつかの実施形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態は全て例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、上記の実施形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものではなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。