JP2017155368A - 繊維加工用樹脂組成物、それを用いた布帛 - Google Patents

繊維加工用樹脂組成物、それを用いた布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な方法により、良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与することのできる繊維加工用樹脂組成物、それを用いた布帛を提供する。【解決手段】アクリル樹脂(A)、光触媒(B)及び水性媒体(C)を含有し、前記光触媒(B)が、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する光触媒であり、前記アクリル樹脂(A)100質量部に対して、前記光触媒(B)を3〜50質量部含有し、前記アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)の比率が0.5質量%以上かつ1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)の比率が2.8質量%以下であることを特徴とする繊維加工用樹脂組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、簡便な方法により、良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与することのできる繊維加工用樹脂組成物、それを用いた布帛に関する。
繊維製品(布帛)への機能付与として抗菌性を付与する加工は古くから行われてきた。具体的には銀化合物などを添加、塗布することが一般的である。近年、抗菌性だけでなく、新型インフルエンザやSARS(重症急性呼吸器症候群)など、ウイルス感染対策として抗ウイルス性(ウイルス不活化性)に対する関心が高まっている。
抗ウイルス性の評価法については2015年3月にJTETC(繊維評価技術協議会)に抗ウイルス加工マーク(SEKマーク)の認証が開始され、2015年以降、光触媒工業会やSIAA(抗菌製品技術協議会)などでも認証基準が制定される見通しであり、従来の抗菌加工とは別の新しい高付加価値として抗ウイルス性を有する製品を生み出す動きが現れている。
抗ウイルス性を有する材料として、例えば、光触媒が知られている。
光触媒等の抗ウイルス性を有する材料を布帛に固着させる際には、固着樹脂等の接着剤(バインダー)を使用して前記材料を布帛に固着させる。さらに、布帛を洗濯した後にも抗ウイルス性を維持する(耐洗濯性を高める)ために、多量の固着樹脂が必要である。しかしながら、固着樹脂を使用して前記材料を布帛に固着させると、耐洗濯性は向上するものの、固着樹脂が前記材料を覆うため、前記材料の有する抗ウイルス性を阻害することとなり、十分な効果を生み出せないという問題があった。
上記問題に対して、例えば、特許文献1では、シート上に、固着樹脂を含むバインダー層と、光触媒層とをこの順に積層することにより、固着樹脂による光触媒活性の低下を抑制している。しかしながら、多層構造を形成するために複数の処理工程が必要となるため簡便な方法ではなく、また得られるシートの耐洗濯性にも改善の余地がある。
このように、抗ウイルス性等の光触媒活性と耐洗濯性とは二律背反の関係にあるため、良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を布帛に同時に付与することは困難であり、簡便な方法により、良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与することのできる繊維加工用樹脂組成物が求められていた。
特開2005−144383号公報
本発明が解決しようとする課題は、簡便な方法により、良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与することのできる繊維加工用樹脂組成物、それを用いた布帛を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、驚くべきことに、固着樹脂として、特定の重合性単量体組成を有するアクリル樹脂を使用することにより、良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与できることを見出した。更に、当該特定のアクリル樹脂と、特定の光触媒とを組み合わせた場合に、より良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、アクリル樹脂(A)、光触媒(B)及び水性媒体(C)を含有し、上記光触媒(B)が、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有し、上記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu−Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンであり、上記酸化チタン中における上記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である光触媒であり、上記アクリル樹脂(A)100質量部に対して、上記光触媒(B)を3〜50質量部含有し、上記アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)の比率が0.5質量%以上かつ1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)の比率が2.8質量%以下であることを特徴とする繊維加工用樹脂組成物、それを用いた布帛を提供するものである。
本発明の繊維加工用樹脂組成物は、簡便な方法により、すなわち、布帛に印捺、浸漬、噴霧、コーティング等の方法により塗布するだけで、布帛に良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与することができ、耐洗濯性に優れた抗ウイルス性布帛を提供できる。
本発明の繊維加工用樹脂組成物は、アクリル樹脂(A)、光触媒(B)及び水性媒体(C)を含有し、前記光触媒(B)が、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有し、前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu−Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンであり、前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である光触媒であり、前記アクリル樹脂(A)100質量部に対して、前記光触媒(B)を3〜50質量部含有し、前記アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)の比率が0.5質量%以上かつ1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)の比率が2.8質量%以下であるものである。
特許文献1の比較例1から明らかなように、一般的に、固着樹脂と光触媒を共に含有する組成物を基材に塗布すると光触媒活性が大きく損なわれる。これは、固着樹脂により光触媒が覆われるためと推測される。一方、本発明では、原料となる重合性単量体全量中の重合性単量体(a1)の比率が特定量以上かつ重合性単量体(a2)の比率が特定量以下であるアクリル樹脂(A)を固着樹脂として使用することにより、良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与できる。これは、樹脂が造膜した後も洗濯に耐える強度を保持しながら、光触媒が作用する空間も保持されているためと考えられる。
従って、本発明の繊維加工用樹脂組成物は、アクリル樹脂(A)を含有するため、特許文献1のように多層構造とすることなく、簡便な方法により、すなわち、固着樹脂であるアクリル樹脂(A)と光触媒を共に含有する本発明の繊維加工用樹脂組成物を布帛に塗布するだけで、布帛に良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与することができ、耐洗濯性に優れた抗ウイルス性布帛を提供できるという効果を奏する。この本発明の効果は、当業者の予測を超える顕著な効果である。
更に、アクリル樹脂(A)と組み合わせる光触媒として、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有し、前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu−Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンであり、前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である光触媒(B)を使用することにより、より良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与できる。更に、アクリル樹脂(A)に対して、特定量の光触媒(B)を含有させることにより、過剰な樹脂被覆による光触媒の活性の低下、樹脂不足による光触媒の脱落を好適に抑制することができ、より良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与できる。
また、光触媒を布帛に固着した場合、光触媒による酸化分解作用は抗菌、消臭等の原因物質の分解だけでなく、布帛を構成する繊維や固着樹脂をも分解して、繊維材料自身を劣化させたり、繊維材料自身の固着樹脂との結合力を低下させたりして、布帛の耐久性や耐洗濯性が低下したり、分解により臭気が発生したりする場合があるが、本発明で使用する光触媒(B)は、可視光領域で抗ウイルス性等の光触媒活性を有する可視光応答型光触媒であるため、紫外光応答型酸化チタン光触媒に見られるような、強い酸化作用を有しないという理由から、布帛の耐久性や耐洗濯性の低下、分解による臭気の発生を抑制できる。
<アクリル樹脂(A)>
アクリル樹脂(A)は、特定の重合性単量体組成を有する。具体的には、アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)の比率が0.5質量%以上かつ1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)の比率が2.8質量%以下である。すなわち、アクリル樹脂(A)は、2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)を必須原料として共重合して得られるものである。
2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)としては、例えば、不飽和二重結合を有するジカルボン酸等が挙げられる。不飽和二重結合を有するジカルボン酸としては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、2−アリルマロン酸等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、イタコン酸、マレイン酸が好ましく、イタコン酸がより好ましい。なお、これらの2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)としては、例えば、不飽和二重結合を有するモノカルボン酸等が挙げられる。不飽和二重結合を有するモノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、3−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸、2−ヘプテン酸、3−ヘプテン酸、6−ヘプテン酸、3−オクテン酸、7−オクテン酸、2−ノネン酸、3−ノネン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、3−アリルオキシプロピオン酸、アリルオキシ吉草酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート等が挙げられる。重合性単量体(a2)は、使用する際にはできるだけ少量とすることが好ましく、使用する場合には、(メタ)アクリル酸が好ましい。なお、これらの1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
アクリル樹脂(A)の原料としては、重合性単量体(a1)、重合性単量体(a2)の他に、必要に応じてその他の重合性不飽和基を有する単量体(以下においては、重合性単量体(a3)ともいう)を使用することができる。
重合性単量体(a3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート等のシラン系(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキルポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;パーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート等のフッ素系(メタ)アクリレート;スチレン、スチレン誘導体(p−ジメチルシリルスチレン、(p−ビニルフェニル)メチルスルフィド、p−ヘキシニルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルジメチルシロキシスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン等)、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等の芳香族ビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールテトラ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートトリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン、α−シアノエチル(メタ)アクリレート等のシアノ基を有する(メタ)アクリル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル、エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有する(メタ)アクリル単量体;ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン化合物;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ナフチルビニルピリジン等のビニルピリジン化合物;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の共役ジエン等が挙げられる。これらの重合性単量体(a3)は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。なお、本発明において、アルキル(メタ)アクリレートのアルキルは置換基を有さない。
重合性単量体(a3)の中でも、比較的低いガラス転移温度(10℃未満)である重合性単量体(a3−1)は、より良好な柔軟性をアクリル樹脂(A)に付与でき、本発明の効果がより好適に得られる。この重合性単量体(a3−1)としては、例えば、アルキルアクリレート等が挙げられる。なお、重合性単量体(a3−1)のガラス転移温度(Tg)の下限は特に限定されないが、好ましくは−150℃であり、より好ましくは−125℃であり、更に好ましくは−100℃であり、特に好ましくは−70℃である。
アルキルアクリレートの中でも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートが好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するアルキルアクリレートがより好ましい。より具体的には、エチルアクリレート(Tg=−22℃)、n−ブチルアクリレート(Tg=−55℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg=−63℃)が好ましい。
重合性単量体(a3)の中でも、比較的高いガラス転移温度(10℃以上)である重合性単量体(a3−2)は、より良好な耐洗濯性、耐摩擦性をアクリル樹脂(A)に付与でき、本発明の効果がより好適に得られる。この重合性単量体(a3−2)としては、例えば、芳香族ビニル化合物、シアノ基を有するアクリル単量体、ヒドロキシ基を有するメタクリレート等が挙げられる。なお、重合性単量体(a3−2)のガラス転移温度の上限は特に限定されないが、好ましくは200℃であり、より好ましくは185℃であり、更に好ましくは150℃であり、特に好ましくは120℃である。
芳香族ビニル化合物の中でも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スチレン(Tg=100℃)が好ましい。また、シアノ基を有するアクリル単量体の中でも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、アクリロニトリル(Tg=105℃)が好ましい。また、ヒドロキシ基を有するメタクリレートの中でも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(Tg=55℃)が好ましい。
重合性単量体(a3−2)の中でも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、シアノ基を有するアクリル単量体が好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。
本発明において、重合性単量体のガラス転移温度は、該重合性単量体のホモポリマーのガラス転移温度を意味する。なお、重合性単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、文献「ラテックス・エマルジョンの最新応用技術(中日社)」に記載されている値を用いた。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいう。
アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の重合性単量体(a1)の比率は、良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与できるという理由から、0.5質量%以上であり、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。該比率の上限は特に限定されないが、アクリル樹脂(A)の耐水性をより向上して良好な耐洗濯性を付与できるという理由から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の重合性単量体(a2)の比率は、良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与できるという理由から、2.8質量%以下であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
なお、必要に応じて用いる重合性単量体(a3)のアクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の比率は、アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体の合計100質量%から重合性単量体(a1)及び重合性単量体(a2)の比率を除いた残部となる。
アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の重合性単量体(a3−1)の比率は、繊維加工用樹脂組成物を塗布した布帛に適した風合いに調整できるという理由から、好ましくは60〜95質量%である。
アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の重合性単量体(a3−2)の比率は、繊維加工用樹脂組成物を塗布した布帛に良好な耐洗濯性を付与できるという理由から、好ましくは3〜35質量%である。
なお、上記説明では、アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の各重合性単量体の比率の好ましい範囲について記載したが、上記各重合性単量体は重合により不飽和結合が開裂し、2個の水素原子が結合するため、アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の各重合性単量体の比率と、アクリル樹脂(A)における重合性単量体に基づく構造単位全量中の各重合性単量体に基づく構造単位の比率はほぼ同一となる。従って、本発明において、例えば、アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の重合性単量体(a1)の比率は、アクリル樹脂(A)における重合性単量体に基づく構造単位全量中の重合性単量体(a1)に基づく構造単位の比率と同義であり、上述した原料中の重合性単量体(a1)の比率の好ましい範囲は、構造単位全量中の重合性単量体(a1)に基づく構造単位の比率の好ましい範囲でもある。
アクリル樹脂(A)のガラス転移温度は、繊維加工用樹脂組成物を塗布した布帛を良好な風合いに調整し、良好な耐洗濯性を付与できるという理由から、好ましくは−50℃〜10℃、より好ましくは−50℃〜−10℃である。
なお、本発明において、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)とは、以下のFOX式を用いて計算されるものをいう。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・+Wn/Tgn
上記FOX式において、Tgは、n種類の重合性単量体からなる重合体のガラス転移温度であり、Tg(1、2、i、n)は、各重合性単量体のホモポリマーのガラス転移温度であり、W(1、2、i、n)は、各重合性単量体の質量分率であり、W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1である。
アクリル樹脂(A)は、例えば、重合性単量体(a1)、必要に応じて重合性単量体(a2)、重合性単量体(a3)を、有機溶剤及び/又は水中で、重合開始剤存在下、40〜140℃の温度で加熱しラジカル重合することによって製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンのような芳香族溶剤;シクロへキサノンのような脂環族溶剤;酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル系溶剤;イソブタノール、ノルマルブタノール、イソプロピルアルコール、ソルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン等を使用することができる。これらの溶剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物等が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。また、重合開始剤は、アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体の合計に対して、0.1〜10質量%の範囲内で使用することが好ましい。
<光触媒(B)>
光触媒(B)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する光触媒であって、前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu−Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンであり、前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である光触媒である。
ルチル型でありかつ結晶性の高い結晶性ルチル型酸化チタンと2価銅化合物とを組み合せて用いることにより、明所及び暗所における抗ウイルス性、明所における有機化合物分解性に優れる光触媒(可視光領域で抗ウイルス性等の光触媒活性を有する可視光応答型光触媒)を得ることができる。また、2価銅化合物は1価銅化合物のように酸化による変色のおそれが少ないため、経時的な変色も抑制することができる。
なお、本発明において、「明所」とは、可視光の存在する箇所のことをいい、「暗所」とは、光の存在しない箇所のことをいう。
ここで、光触媒活性とは、光誘起分解性及び光誘起親水化性から選ばれる少なくとも1種を意味する。光誘起分解性とは、酸化チタンで処理された表面に吸着している有機物を酸化分解する作用であり、光誘起親水化性とは、酸化チタンで処理された表面が水となじみ易い親水性になる作用である。この光誘起親水化性は、光励起によって生成し、拡散してきた正孔により、酸化チタン表面の水酸基が増加することによって起こると考えられる。
また、ウイルスとは、DNAウイルス及びRNAウイルスを意昧するが、細菌に感染するウイルスであるバクテリオファージ(以下、「ファージ」と略記することもある)も包含する。
次に、光触媒(B)の各成分について説明する。
<<酸化チタン>>
光触媒(B)に用いる酸化チタンは、結晶性ルチル型酸化チタンを含むものである。
本発明において、結晶性ルチル型酸化チタンとは、Cu−Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンのことを意味する。
半値全幅が0.65度よりも大きいと、結晶性が悪くなり、暗所における抗ウイルス性が十分に発現しなくなる。この観点から、半値全幅は、好ましくは0.6度以下であり、より好ましくは0.5度以下であり、更に好ましくは0.4度以下であり、より更に好ましくは0.35度である。
酸化チタン中における、結晶性ルチル型酸化チタンの含有量(以下、「ルチル化率」ということがある)は、50モル%以上である。含有量が50モル%以上であると、得られる光触媒の、明所及び暗所における抗ウイルス性が十分なものとなり、また、明所における有機化合物分解性や、特に可視光応答性も十分なものとなる。この観点から、ルチル化率は、好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは94モル%以上である。このルチル化率は、後述するとおり、XRDによって測定した値である。
上記観点から、酸化チタン中におけるアナターゼ型酸化チタンの含有量(以下、「アナターゼ化率」ということがある)は少ないことが好ましく、アナターゼ化率は、50モル%未満であり、好ましくは10モル%未満であり、より好ましくは7モル%未満であり、更に好ましくは0モル%(すなわち、アナターゼ型酸化チタンを含まない)である。このアナターゼ化率もルチル化率と同様に、XRDによって測定した値である。
酸化チタンの比表面積は、好ましくは1〜200m/gである。1m/g以上であると、比表面積が大きいためウイルス、菌及び有機化合物との接触頻度が大きくなり、得られる光触媒の、明所及び暗所における抗ウイルス性や、有機化合物分解性及び抗菌性が優れる。一方、200m/g以下であると、取扱性に優れている。これらの観点から、酸化チタンの比表面積は、より好ましくは3〜100m/gであり、更に好ましくは4〜70m/gであり、特に好ましくは8〜50m/gである。ここで比表面積とは、窒素吸着によるBET法にて測定した値である。
酸化チタンには、気相法で製造されたものと液相法で製造されたものがあり、そのいずれを用いることもできるが、気相法で製造された酸化チタンがより好適である。
気相法は、四塩化チタンを原料として、酸素との気相反応により酸化チタンを得る方法である。気相法で得られた酸化チタンは、粒子径が均一であると同時に、製造時に高温プロセスを経由しているため、結晶性が高いものとなる。その結果、得られる光触媒の、明所及び暗所における抗ウイルス性や、有機化合物分解性及び抗菌性が良好なものとなる。
一方、液相法は、塩化チタン、硫酸チタニルなどの酸化チタン原料を溶解した液を、加水分解または中和して酸化チタンを得る方法である。液相法で製造された酸化チタンは、ルチルの結晶性が低く比表面積が大きくなる傾向にあり、この場合、焼成等を行って最適な結晶性及び比表面積を有する酸化チタンにすればよいが、手間がかかるため、気相法の方がより好適である。
酸化チタンとしては、市販されている酸化チタンをそのまま使用するほうが、触媒調製の工程を考えると有利である。
<<2価銅化合物>>
光触媒(B)は、2価銅化合物を含む。この2価銅化合物単独では、明所及び暗所における抗ウイルス性、明所における有機化合物分解性、可視光応答性を有しないが、前述した結晶性ルチル型酸化チタンと組み合わせることにより、明所及び暗所における抗ウイルス性、明所における有機化合物分解性、及び可視光応答性が十分に発現する。また、この2価銅化合物は、1価銅化合物と比べて酸化等による変色が少ないため、この2価銅化合物を用いた光触媒は、変色が抑制される。
2価銅化合物には、特に限定はなく、2価銅無機化合物及び2価銅有機化合物の1種又は2種が挙げられる。
2価銅無機化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、沃素酸銅、過塩素酸銅、シュウ酸銅、四ホウ酸銅、硫酸アンモニウム銅、アミド硫酸銅及び塩化アンモニウム銅、ピロリン酸銅、炭酸銅からなる2価銅の無機酸塩、塩化銅、フッ化銅及び臭化銅からなる2価銅のハロゲン化物、並びに酸化銅、硫化銅、アズライト、マラカイト及びアジ化銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
2価銅有機化合物としては、2価銅のカルボン酸塩が挙げられる。この2価銅のカルボン酸塩としては、蟻酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、吉草酸銅、カプロン酸銅、エナント酸銅、カプリル酸銅、ペラルゴン酸銅、カプリン酸銅、ミスチン酸銅、パルミチン酸銅、マルガリン酸銅、ステアリン酸銅、オレイン酸銅、乳酸銅、リンゴ酸銅、クエン酸銅、安息香酸銅、フタル酸銅、イソフタル酸銅、テレフタル酸銅、サリチル酸銅、メリト酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、コハク酸銅、グルタル酸銅、アジピン酸銅、フマル酸銅、グリコール酸銅、グリセリン酸銅、グルコン酸銅、酒石酸銅、アセチルアセトン銅、エチルアセト酢酸銅、イソ吉草酸銅、β‐レゾルシル酸銅、ジアセト酢酸銅、ホルミルコハク酸銅、サリチルアミン酸銅、ビス(2−エチルヘキサン酸)銅、セバシン酸銅及びナフテン酸銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。その他の2価銅有機化合物としては、オキシン銅、アセチルアセトン銅、エチルアセト酢酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、フタロシアニン銅、銅エトキシド、銅イソプロポキシド、銅メトキシド、及びジメチルジチオカルバミン酸銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
上記2価銅化合物のうち、好ましくは酸化銅、2価銅のハロゲン化物、2価銅の無機酸塩及び2価銅のカルボン酸塩の1種又は2種以上であり、例えば2価銅のハロゲン化物、2価銅の無機酸塩及び2価銅のカルボン酸塩の1種又は2種以上である。
また、2価銅化合物としては、下記一般式(1)で表される2価銅化合物が挙げられる。
Cu(OH)X (1)
一般式(1)において、Xは陰イオンであり、好ましくはCl、Br、I等のハロゲン、CHCOO等のカルボン酸の共役塩基、NO、(SO1/2等の無機酸の共役塩基、又はOHである。
これらの2価銅化合物のうち、より不純物が少なく、経済的な観点から、2価銅無機化合物がより好ましく、酸化銅が更に好ましい。また、上記一般式(1)で表される2価銅化合物も好ましい。2価銅化合物は、無水物であっても水和物であってもよい。
2価銅化合物の銅換算含有量は、前記酸化チタン100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部である。0.01質量部以上であると、明所及び暗所における抗ウイルス性、有機化合物分解性及び抗菌性が良好なものとなる。また、20質量部以下であると、酸化チタン表面が被覆されてしまうことが防止されて光触媒としての機能(有機化合物分解性、抗菌性等)が良好に発現すると共に、少量で抗ウイルス性能を向上することができて経済的である。この観点から、2価銅化合物の銅換算含有量は、酸化チタン100質量部に対して、より好ましくは0.1〜20質量部であり、更に好ましくは0.1〜15質量部であり、より更に好ましくは0.3〜10質量部である。
ここで、この酸化チタン100質量部に対する2価銅化合物の銅換算含有量は、2価銅化合物の原料と酸化チタンの原料との仕込み量から算出することができる。また、この銅換算含有量は、後述するICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析により光触媒を測定することで特定することもできる。
光触媒(B)は、前述のとおり、必須成分として、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有するが、本発明の目的を阻害しない範囲内において、他の任意成分を含有していてもよい。ただし、光触媒としての機能及び抗ウイルス性能の向上の観点から、光触媒(B)中における当該必須成分の含有量は、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、更に好ましくは99質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。
光触媒(B)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと、2価銅化合物原料とを混合する混合工程を実施することにより、製造することができる。また、この混合工程によって得られた混合物を熱処理する熱処理工程を更に実施して、光触媒を得てもよい。また、銅化合物の水溶液中に酸化チタンを懸濁させて、吸着させることによって、光触媒を得ることもできる。具体的には、光触媒(B)は、特許第5343176号公報に記載の方法により製造できる。
<水性媒体(C)>
水性媒体(C)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム等が挙げられる。なお、これらの有機溶剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみを使用することが特に好ましい。
本発明の繊維加工用樹脂組成物は、アクリル樹脂(A)、光触媒(B)及び水性媒体(C)を含有するものであるが、アクリル樹脂(A)及び光触媒(B)が水性媒体(C)に溶解または分散したものであることが好ましい。
アクリル樹脂(A)及び光触媒(B)を水性媒体(C)に溶解または分散する方法としては、例えば、アクリル樹脂(A)を水性媒体(C)中で重合し、重合後に、光触媒(B)を添加、混合する方法、アクリル樹脂(A)、光触媒(B)、水性媒体(C)とを混合する方法、アクリル樹脂(A)を中和したものと、光触媒(B)、水性媒体(C)とを混合する方法等が挙げられる。
アクリル樹脂(A)を中和する場合は、塩基性化合物を使用することが好ましく、これらの塩基性化合物としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール等の有機アミン;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドの四級アンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。これらの中でも有機アミンおよびアンモニア(アンモニア水でもよい。)を使用することが好ましい。なお、これらの塩基性化合物は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
本発明の繊維加工用樹脂組成物において、光触媒(B)の含有量は、アクリル樹脂(A)100質量部に対して、3〜50質量部であり、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは7〜20質量部である。
本発明の繊維加工用樹脂組成物において、繊維加工用樹脂組成物中の水性媒体(C)の含有量は、前記のアクリル樹脂(A)及び光触媒(B)、後述する増粘剤、添加剤等を除いた残部となる。
本発明の繊維加工用樹脂組成物には、塗布(プリント)方式に応じた粘度等の適性を付与するため、増粘剤等を配合することができる。増粘剤は、繊維加工用樹脂組成物を増粘させ、スクリーン印刷等への印刷適性を付与する材料で、例えば、ウレタン系増粘剤、アクリル系増粘剤、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、プロピオキシセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸エステル、ポリカルボン酸等が挙げられる。
本発明の繊維加工用樹脂組成物には、上記したものの他、顔料、染料、アンモニア水等のpH調整剤、プロピレングリコール等の湿潤剤、ミネラルスピリット等の石油系溶剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、撥水剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤等の添加剤を配合することができる。
本発明の布帛は、本発明の繊維加工用樹脂組成物を用いた加工品であり、具体的には、本発明の繊維加工用樹脂組成物が塗布され、アクリル樹脂(A)により光触媒(B)が固着された布帛であり、本発明の繊維加工用樹脂組成物を布帛に塗布することにより得られる。
布帛を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリアミド等の合成繊維;綿、麻、木材パルプ等のセルロース繊維;レーヨン等の再生セルロース繊維;トリアセテート等の酢酸セルロース繊維;羊毛、絹等のタンパク繊維;又はこれらを混紡、混織した有機質繊維等が挙げられる。更に、これらの有機質繊維に無機繊維等を含むものであってもよい。なかでも、合成繊維が好ましい。
布帛の形態は、例えば、織物、編物、不織布等のいずれの形態であってもよい。また、必要に応じて、布帛は、分散染料、酸性染料、直接染料、反応染料、顔料等により着色されていてもよい。
本発明の布帛は、様々な繊維製品に使用でき、例えば、一般向け、インナー向け、スポーツ向け、メディカル向け等の衣料用品;布団カバー、シーツ等の寝装材;カーテン、カーペット、イス、クッションカバー、壁紙等のインテリア用品;テントシート、旗、幕等の産業資材;自動車、航空機、鉄道車両等の輸送車輌用シート素材;衛生材料;空気処理用の繊維材料;水処理用の繊維材料等に使用できる。
本発明の繊維加工用樹脂組成物を布帛に塗布(印捺)する方法としては、製版して印刷する方法が挙げられる。例えば、ローラー捺染機により印刷する方法や、フラットスクリーン捺染機、ロータリースクリーン捺染機等を用いてゴム、ウレタン樹脂、金属等のスキージまたはバーでスクリーン印刷する方法が挙げられる。また、スクリーン印刷に用いるスクリーンは、通常、60〜300メッシュのものを用いる。また、グラビアコーター(ダイレクト式、リバースダイレクト式、オフセット式、リバースオフセット式)により印刷する方法が挙げられる。印捺後は、100〜180℃で1〜5分の乾燥・熱処理工程を行い、布帛への繊維加工用樹脂組成物の定着を行う。
本発明の繊維加工用樹脂組成物を布帛に塗布する方法として、上記の製版を使用しない印刷方法が挙げられる。例えば、正回転型ロールコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアードクターコーター、カーテン(フロー)コーター、ファウンテンコーター、キスコーター(ロール式、ビード式)等を使用したコーティングによる各種印刷方法も用いることができる。さらに、本発明の繊維加工用樹脂組成物を浸漬(パディング法)方式、噴霧(スプレー)方式、キャスト方式、スピンコート方式、インクジェット方式によって、布帛に塗布することもできる。
本発明の繊維加工用樹脂組成物は、アクリル樹脂(A)を含有するため、特許文献1のように多層構造とすることなく、簡便な方法により、すなわち、固着樹脂であるアクリル樹脂(A)と光触媒を共に含有する本発明の繊維加工用樹脂組成物を布帛に塗布するだけで、布帛に良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与することができ、耐洗濯性に優れた抗ウイルス性布帛を提供できる。
以下、実施例及び比較例により、本発明について具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<アクリル樹脂の合成>
(合成例1:アクリル樹脂(A−1)の合成)
アクリル酸エチル(エチルアクリレート)53.6質量部、アクリル酸n−ブチル(n−ブチルアクリレート)29.6質量部、アクリロニトリル15.7質量部、イタコン酸1.1質量部、水36.5質量部、及び非イオン性乳化剤(第一工業製薬株式会社製「ノイゲンEA−207D」)41.2質量部を混合した後、ホモジナイザー(特殊機化工業株式会社製「TKホモディスパー」)を用いて乳化して単量体乳化物を調製した。
次いで、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、水38.5質量部を入れ窒素ガス雰囲気下で撹拌混合しながら50℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム(以下、APSと略記する)0.2質量部及びメタ重亜硫酸ナトリウム(以下、SBSと略記する)0.2質量部をフラスコ内に添加して溶解した。その後、上記で調製した単量体乳化物、APS水溶液(5質量%)4.0質量部、及びSBS水溶液(5質量%)4.0質量部を3時間かけてフラスコ内に滴下した。なお、この滴下中のフラスコ内の温度は50〜60℃にコントロールした。滴下終了後、60℃でさらに1時間反応してアクリル系共重合体(A−1)を得た。その後、室温まで冷却した後、アンモニア水(25質量%)0.6質量部を加えて中和し、樹脂分が52質量%となるように水を加えて均一に混合して、アクリル樹脂(A−1)の水性樹脂エマルジョンを得た。
(合成例2〜11:アクリル樹脂(A−2)〜(A−11)の合成)
表1に示した原料を用いた点以外は合成例1と同様に行い、アクリル樹脂(A−2)〜(A−11)の水性樹脂エマルジョンを得た。
Figure 2017155368
表1中のアシッドホスホオキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートは、それぞれ、ユニケミカル株式会社製「ホスマーM」、新中村化学工業株式会社製「NKエステル14G」を使用した。
<光触媒の調製>
まず、使用する酸化チタン原料(昭和電工セラミックス株式会社製)について、次のとおり性状を測定した。
(BET比表面積)
酸化チタン原料のBET比表面積は、株式会社マウンテック製の全自動BET比表面積測定装置「Macsorb,HM model−1208」を用いて測定した。
(酸化チタン原料中のルチル含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅))
酸化チタン原料中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅)は、粉末X線回折法により測定した。
すなわち、乾燥させた酸化チタン原料について、測定装置としてPANalytical社製「X’pertPRO」を用い、銅ターゲットを用い、Cu−Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=20〜100deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度3.3deg/minの条件でX線回折測定を行った。
ルチル型結晶に対応するピーク高さ(Hr)、ブルッカイト型結晶に対応するピーク高さ(Hb)、及びアナターゼ型結晶に対応するピーク高さ(Ha)を求め、以下の計算式により、酸化チタン中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)を求めた。
ルチル化率(モル%)={Hr/(Ha+Hb+Hr)}×100
また、酸化チタン中における、アナターゼ型酸化チタンの含有量(アナターゼ化率)及びブルッカイト型酸化チタンの含有量(ブルッカイト化率)を、それぞれ以下の計算式により求めた。
アナターゼ化率(モル%)={Ha/(Ha+Hb+Hr)}×100
ブルッカイト化率(モル%)={Hb/(Ha+Hb+Hr)}×100
上記X線回折測定によって得られたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークを選択し、半値全幅を測定した。
(一次粒子径)
平均一次粒子径(DBET)(nm)は、BET1点法により、酸化チタンの比表面積S(m/g)を測定し、下式
DBET=6000/(S×ρ)
より算出した。ここでρは酸化チタンの密度(g/cm)を示す。
使用した酸化チタン原料の測定結果を表2に示す。
Figure 2017155368
(製造例1)
蒸留水100mLに6g(100質量部)の酸化チタン原料(昭和電工セラミックス株式会社製)を懸濁させ、0.0805g(銅換算で0.5質量部)のCuCl・2HO(関東化学株式会社製)を添加して、10分攪拌した。pHが10になるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)水溶液を添加し、30分間攪拌混合を行ってスラリーを得た。このスラリーをろ過し、得られた粉体を純水で洗浄し、80℃で乾燥し、ミキサーで解砕し、試料(光触媒)を得た。
得られた試料(光触媒)をフッ酸溶液中で加熱して全溶解し、抽出液をICP発光分光分析により定量した。その結果、酸化チタン100質量部に対して、銅イオンが0.5質量部であった。すなわち、仕込みの銅イオン(CuCl・2HO由来)の全量が酸化チタン表面に担持されていた。
製造例1により得られた試料(光触媒)を以下の方法により分析した。結果を表3に示した。
(ルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅))
製造例1により得られた試料(光触媒)について、酸化チタン中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅)を、粉末X線回折法により測定した。
すなわち、乾燥させた光触媒を、乳鉢で擦り潰した粉末を試料とした。この試料について、測定装置としてPANalytical社製「X’pertPRO」を用い、銅ターゲットを用い、Cu−Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=20〜100deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度3.3deg/minの条件でX線回折測定を行った。
ルチル型結晶に対応するピーク高さ(Hr)、ブルッカイト型結晶に対応するピーク高さ(Hb)、及びアナターゼ型結晶に対応するピーク高さ(Ha)を求め、以下の計算式により、酸化チタン中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)を求めた。
ルチル化率(モル%)={Hr/(Ha+Hb+Hr)}×100
上記X線回折測定によって得られたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークを選択し、半値全幅を測定した。
(2価銅化合物の同定)
製造例1により得られた試料(光触媒)中に存在する2価銅化合物を、上記の測定装置及び測定条件にて、X線回折測定で同定した。
Figure 2017155368
(調製例1:酸化チタン水分散液の調製)
製造例1で得られた光触媒2質量部、及び水18質量部を混合し、酸化チタン水分散液を得た。
(実施例1:繊維加工用樹脂組成物(1)の調製)
水18.8質量部、合成例1で得られたアクリル樹脂(A−1)の水性樹脂エマルジョン(樹脂分52質量%)38.5質量部(樹脂として20質量部)、調製例1で得られた酸化チタン水分散液20質量部(酸化チタンとして2質量部)、消泡剤(サンノプコ株式会社製「ノプコ8034」)0.2質量部、プロピレングリコール2質量部、非イオン系界面活性剤(第一工業製薬株式会社製「ノイゲン EA−157」)2質量部、ウレタン系増粘剤(株式会社ADEKA製「アデカノールUH−420」)2質量部、アクリル系増粘剤(DIC株式会社製「ボンコートV−E」)16質量部、及び25質量%アンモニア水0.5質量部(合計100質量部)を分散攪拌機(特殊機化工業株式会社製 TKホモディスパー)を用いて均一に混合して繊維加工用樹脂組成物(1)を得た。
(実施例2〜19:繊維加工用樹脂組成物(2)〜(19)の調製)
表4に示す組成に従った点以外は実施例1と同様に行い、繊維加工用樹脂組成物(2)〜(19)を得た。
(比較例1〜4:繊維加工用樹脂組成物(R1)〜(R4)の調製)
表5に示す組成に従った点以外は実施例1と同様に行い、繊維加工用樹脂組成物(R1)〜(R4)を得た。
実施例2〜19、比較例1〜4における繊維加工用樹脂組成物の調製の際には、原料の合計が100質量部となるように、水の量を調整した。なお、必要に応じて、合成例2〜11におけるアクリル樹脂の水性樹脂エマルジョンを調製する際に加水する水の量、調製例1における酸化チタン水分散液を調製する際に使用する水の量も調整した。
(評価用プリント布の作製)
実施例1〜19、比較例1〜4で得られた各繊維加工用樹脂組成物を、それぞれポリエステル生地(100g/m)上にオートスクリーン捺染機(辻井染機工業株式会社製)を用いて乾燥前塗布量100g/mとなるようにプリントを実施し、熱風循環式乾燥機にて150℃、2分間乾燥させ、評価用プリント布を得た。
(抗ウイルス性の評価)
上記で得られた評価用プリント布について、抗ファージウイルス試験(JIS R1756を参照)を実施した。結果を表4、5に示した。
1)光照射条件は、白色蛍光灯の光をN113フィルターによって紫外線をカットし、照度1000ルクスとした。
2)5cm×5cmの評価用プリント布に濃度既知の100μLのQβファージ溶液を垂らした後、5cm×5cmのガラス板で挟んだ。
3)2時間光照射したサンプルを、SCDLP液で回収し、適度に希釈したものを大腸菌と感染させ、寒天培地に塗布し、培養後のコロニー数をカウントすることで評価した。抗ウイルス性はQβファージの不活化度で評価し、不活化度−2〜−5を抗ウイルス性有と評価した。
不活化度が−1が90%、不活化度が−2が99%、不活化度が−3が99.9%不活化していることになり、抗ウイルス性が高いことを示す。検出限界は不活化度−5である。
(耐洗濯性の評価)
JIS L 0844:2005のA−4法に準拠して、評価用プリント布を用いて試験を繰り返し30回行った後、抗ウイルス性を評価し、洗濯試験前後の抗ウイルス性を比較評価した。結果を表4、5に示した。
Figure 2017155368
Figure 2017155368
表4の実施例1〜8は、アクリル樹脂の原料である重合性単量体において2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)の比率が0.5質量%以上、1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)の比率が2.8質量%以下である、アクリル樹脂(A−1)〜(A−8)(アクリル樹脂(A)に該当)を使用した例である。
表4の実施例9〜19は、アクリル樹脂(A)100質量部に対する光触媒(B)の質量部数を3〜50質量部とした例である。
表4より、いずれの実施例も洗濯試験前後のプリント布で良好な抗ウイルス性を示し、優れた洗濯堅牢度を示すことが確認できた。
表5の比較例1は、アクリル樹脂の原料である重合性単量体において2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)の比率が0.5質量%以上であるが、重合性単量体全量中の1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)の比率が2.8質量%を超える、アクリル樹脂(A−9)を使用した例である。
また、表5の比較例2、3及び4は、アクリル樹脂の原料である重合性単量体において2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)の比率が0.5質量%未満で、重合性単量体全量中の1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)の比率が2.8質量%を超える、アクリル樹脂(A−10)、(A−11)を使用した例である。
表5より、アクリル樹脂(A)に該当しないアクリル樹脂(A−9)〜(A−11)を使用した比較例では、洗濯後の抗ウイルス性が不十分であることが確認できた。
表4、5より、本発明の繊維加工用樹脂組成物は、簡便な方法により、すなわち、布帛に塗布するだけで、布帛に良好な抗ウイルス性及び耐洗濯性を同時に付与することができ、耐洗濯性に優れた抗ウイルス性布帛を提供できることが明らかとなった。

Claims (2)

  1. アクリル樹脂(A)、光触媒(B)及び水性媒体(C)を含有し、
    前記光触媒(B)が、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有し、
    前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu−Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンであり、
    前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である光触媒であり、
    前記アクリル樹脂(A)100質量部に対して、前記光触媒(B)を3〜50質量部含有し、
    前記アクリル樹脂(A)の原料となる重合性単量体全量中の2個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a1)の比率が0.5質量%以上かつ1個のカルボキシル基を有する重合性単量体(a2)の比率が2.8質量%以下であることを特徴とする繊維加工用樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の繊維加工用樹脂組成物を用いた加工品であることを特徴とする布帛。
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