JP7207601B2 - マスターバッチ、樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はマスターバッチ、樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法に関する。
繊維製品(布帛)への機能付与として抗菌性を付与する加工は古くから行われてきた。具体的には銀化合物などを添加、塗布することが一般的である。近年、抗菌性だけでなく、季節性インフルエンザ、新型インフルエンザやSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、新型コロナウイルス(COVID-19)など、ウイルス感染対策として抗ウイルス性(ウイルス不活化性あるいは抗ウィルス活性)に対する関心が高まっている。抗ウイルス性の評価法については2015年3月にJTETC(繊維評価技術協議会)に抗ウイルス加工マーク(SEKマーク)の認証が開始され、2015年以降、光触媒工業会やSIAA(抗菌製品技術協議会)などでも認証基準が制定される見通しであり、従来の抗菌加工とは別の新しい高付加価値として抗ウイルス性を有する製品を生み出す動きが現れている。抗ウイルス性を有する材料として、例えば、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する抗ウイルス活性を有する材料(以下、単に「抗ウイルス性材料」とも称する)が知られている(特許文献1参照)。
このような抗ウイルス性材料は、固着樹脂等の接着剤(バインダー)を使用して布帛に固着させる必要があるが、布帛を洗濯した後にも抗ウイルス性材料を維持する(耐洗濯性を高める)ために、多量の固着樹脂が必要である。しかしながら、固着樹脂を使用して前記抗ウイルス性材料を布帛に固着させると、耐洗濯性は向上するものの、固着樹脂が前記抗ウイルス性材料を覆うため、前記材料の有する抗ウイルス活性を阻害することとなり、十分な効果を生み出せないという問題があった。
特開2017-155368号公報
またこのような固着樹脂を使用して布帛表面へ固着させるのではなく、布帛の素材そのものへの練りこみによる方法も各種検討されているものの、その場合、布帛の素材全体、すなわち布帛を構成する繊維の表面方向だけでなく深さ方向にも前記抗ウイルス性材料が分散するため、活性面が埋没してしまうなどし、必要添加量が多くなるといった問題があった。
そして本発明者らがさらに研究を行ったところ、前記抗ウイルス性材料を製造する際に該活性面の露出による二次凝集が発生し、布帛の素材、すなわち、熱可塑性樹脂に練り込みを行う際の分散性を低下させること、そしてその結果、抗ウィルス活性面をより多く成形体表面へ露出させることができず、抗ウィルス活性を低下させるだけでなく、繊度の小さい糸への加工や薄いフィルムへの加工時などに、糸切れ、破断を発生させやすくし加工性を低下させる原因となることも突き止めた。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、前記抗ウイルス性材料、すなわち、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する金属化合物複合体(以下、単に「金属化合物複合体」とも称する)を含有し、抗ウイルス活性に優れた成形品およびそれを加工性よく製造する方法を提供することにある。また本発明が解決しようとする課題は、そのような成形品および製造方法を提供できるマスターバッチ、樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、前記金属化合物複合体を粉砕分級することにより粗大粒子をあらかじめ取り除いてからマスターバッチを製造し、さらに当該マスターバッチに希釈用樹脂で希釈して樹脂組成物、さらには成形品とすることで抗ウイルス活性に優れた成形品およびその製造方法を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、予め熱可塑性樹脂(a)および金属化合物複合体(b)を必須の原料として溶融混練してマスターバッチを製造する工程(1)、前記工程(1)で得られたマスターバッチに、さらに、熱可塑性樹脂(c)を溶融混練する工程(2)を有する樹脂組成物の製造方法であって、
前記金属化合物複合体(b)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む比表面積が3m/g以上の範囲の酸化チタンと、2価銅化合物と、を含有し、かつ、最大粒子径が45μm未満の範囲であることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である、前記樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンである、前記樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、前記工程(1)において、熱可塑性樹脂(a)100質量部に対し、金属化合物複合体(b)を10~300質量部の範囲で溶融混練する、前記樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、前記工程(2)において、マスターバッチ100質量部に対し、熱可塑性樹脂(c)50~5000質量部の範囲で溶融混練する前記樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーおよびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、熱可塑性樹脂(a)100質量部に対し、金属化合物複合体(b)を10~300質量部の範囲で含有するマスターバッチであって、
マスターバッチ中における前記金属化合物複合体(b)が、結晶性ルチル型酸化チタンを含む比表面積が3m/g以上の範囲の酸化チタンと、2価銅化合物と、を含有し、かつ、最大粒子径が45μm未満の範囲であることを特徴とする、マスターバッチに関する。
また、本発明は、前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である、前記マスターバッチに関する。
また、本発明は、前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンである、前記マスターバッチに関する。
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーおよびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記マスターバッチに関する。
また、本発明は、前記マスターバッチに、熱可塑性樹脂(c)を溶融混練して得られることを特徴とする樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記マスターバッチに、熱可塑性樹脂(c)を溶融混練する工程を有することを特徴とする樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、前記樹脂組成物を成形して得られる成形体に関する。
また、本発明は、前記樹脂組成物を溶融成形する成形体の製造方法に関する。
また、本発明は、予め熱可塑性樹脂(a)および金属化合物複合体(b)を必須の原料として溶融混練してマスターバッチを製造する工程(1)、前記工程(1)で得られたマスターバッチに、さらに、熱可塑性樹脂(c)を溶融混練する工程(2)、工程(2)で得られた樹脂組成物を溶融成形する工程(3)を有する成形品の製造方法であって、
前記金属化合物複合体(b)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む比表面積が3m/g以上の範囲の酸化チタンと、2価銅化合物と、を含有し、かつ、最大粒子径が45μm未満の範囲であることを特徴とする、成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である、前記成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンである、前記成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、前記工程(1)において、熱可塑性樹脂(a)100質量部に対し、金属化合物複合体(b)を10~300質量部の範囲で溶融混練する、前記成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、前記工程(2)において、マスターバッチ100質量部に対し、熱可塑性樹脂(c)50~5000質量部の範囲で溶融混練する、前記成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーおよびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂(c)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーおよびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記成形品の製造方法に関する。
また、本発明は、前記工程(3)における溶融成形が、紡糸工程またはフィルムないしシート化工程である、前記成形品の製造方法に関する。
本発明によれば、前記抗ウイルス活性材料、すなわち、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する金属化合物複合体を含有し、抗ウイルス活性に優れた成形品およびそれを加工性良く製造する方法を提供することができる。また本発明によれば、そのような成形品および製造方法を提供できるマスターバッチ、樹脂組成物およびそれらの製造方法を提供することができる。
本発明のマスターバッチは、熱可塑性樹脂(a)100質量部に対し、金属化合物複合体(b)を10~300質量部の範囲で含有するマスターバッチであって、マスターバッチ中における前記金属化合物複合体(b)が、結晶性ルチル型酸化チタンを含む比表面積が3m/g以上の範囲の酸化チタンと、2価銅化合物と、を含有し、かつ、最大粒子径が45μm未満の範囲であることを特徴とする。本発明のマスターバッチは、予め熱可塑性樹脂(a)および金属化合物複合体(b)を必須の原料として溶融混練してマスターバッチを製造する工程(1)を有する。
本発明で用いる熱可塑性樹脂(a)について説明する。
本発明で用いる熱可塑性樹脂(a)としては、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、例えば、このうち、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂などが挙げられ、このうち、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂が好ましいものとして挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステルを使用することがより好ましい。
ポリアミド樹脂としては、ナイロン6(「ポリ(カプロラクタム)」ともいう)、ナイロン11(「ポリ(11-アミノウンデカン酸)」ともいう)、ナイロン12(「ポリ(ラウリルラクタム)」または「ポリ(12-アミノドデカン酸)」ともいう)、ナイロン6.6(「ポリ(ヘキサメチレン・アジパミド)」ともいう)、ナイロン6.9(「ポリ(ヘキサメチレン・アゼラミド)あるいはポリ(ヘキサメチレン・ノナンジアミド)」ともいう)、ナイロン6.10(「ポリ(ヘキサメチレン・セバカミド)」あるいは「ポリ(ヘキサンメチレン・デカンジアミド)」ともいう)、ナイロン6.12(「ポリ(ヘキサメチレン・ドデカノジアミド)」ともいう)、ナイロン4(「ポリ(δ-ブチロラクタム)」ともいう)、ナイロン7(「ポリ(7-アミノへブタン酸)」あるいは「ポリ(7-アミノカプリル酸)」ともいう)、ナイロン8(「ポリ(8-アミノカプリル酸)」あるいは「ポリ(8-アミノオクタン酸)」ともいう)、ナイロン10,6(「ポリ(デカメチレン・アジパミド)」、部分芳香族ナイロン(PARNS)等が挙げられる。
本発明で用いる金属化合物複合体(b)について説明する。
本発明で用いる金属化合物複合体(b)は結晶性ルチル型酸化チタンを含む比表面積が3m/g以上の範囲である酸化チタンと、2価銅化合物と、を含有し、かつ、最大粒子径が45μm未満の範囲のものである。
金属化合物複合体(b)に用いる酸化チタンは、結晶性ルチル型酸化チタンを含むものである。本発明において、結晶性ルチル型酸化チタンとは、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンのことを意味する。半値全幅が0.65度よりも大きいと、結晶性が悪くなり、暗所における抗ウイルス性が十分に発現しなくなる。この観点から、半値全幅は、好ましくは0.6度以下であり、より好ましくは0.5度以下であり、更に好ましくは0.4度以下であり、より更に好ましくは0.35度である。
酸化チタン中における、結晶性ルチル型酸化チタンの含有量(以下、「ルチル化率」ということがある)は、50モル%以上であることが好ましい。含有量が50モル%以上であると、抗ウイルス活性が十分なものとなる傾向にある。この観点から、ルチル化率は、好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは94モル%以上である。このルチル化率は、後述するとおり、XRDによって測定した値である。
上記観点から、酸化チタン中におけるアナターゼ型酸化チタンの含有量(以下、「アナターゼ化率」ということがある)は少ないことが好ましく、アナターゼ化率は、50モル%未満であることが好ましく、より好ましくは10モル%未満であり、さらに好ましくは7モル%未満であり、特に好ましくは0モル%(すなわち、アナターゼ型酸化チタンを含まない)である。このアナターゼ化率もルチル化率と同様に、XRDによって測定した値である。
結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンの比表面積は3m/g以上の範囲である。3m/g以上であると、比表面積が大きいためウイルス、菌及び有機化合物との接触頻度が大きくなり、抗ウイルス性や抗菌性に優れることとなり、この傾向がさらに大きくなることから、好ましくは5m/g以上、さらに好ましくは8m/g以上の範囲である。一方、当該比表面積の上限値は規定されないが、取扱性に優れる観点から、好ましくは200m/g以下、より好ましくは100m/g以下、より好ましくは70m/g以下までの範囲である。ここで比表面積とは、窒素吸着によるBET法にて測定した一次粒子に関する値である。
酸化チタンには、気相法で製造されたものと液相法で製造されたものがあり、そのいずれを用いることもできるが、気相法で製造された酸化チタンがより好適である。気相法は、四塩化チタンを原料として、酸素との気相反応により酸化チタンを得る工程を有する方法である。気相法で得られた酸化チタンは、粒子径が均一であると同時に、製造時に高温プロセスを経由しているため、結晶性が高いものとなる。その結果、得られる光触媒の、明所及び暗所における抗ウイルス性や、有機化合物分解性及び抗菌性が良好なものとなる。
一方、液相法は、イルメナイト鉱などの原料鉱石を溶解した液から得られる硫酸チタニルを、加水分解又は中和して酸化チタンを得る方法である。
より詳しくは、液相法には、硫酸法と塩素法の2種類あり、本発明では、いずれの製造方法により製造された酸化チタンも好適に使用することができる。ここで、硫酸法は、イルメナイト鉱石やチタンスラグを原料とし、これを濃硫酸に溶解して鉄分を硫酸鉄として分離する工程、分離した溶液を加水分解して水酸化物の沈殿物を得る工程、該沈殿物を焼成してルチル型酸化チタンを取り出す工程を有する。また、塩素法は、合成ルチルや天然ルチルを原料とし、これを950℃以上の高温で塩素ガスと反応させて四塩化チタンを合成する工程、必要に応じて精留処理する工程を経た後、これを酸素で酸化してルチル型酸化チタンを取り出す工程をいう。
なお、気相法および液相法により製造された酸化チタンをそれぞれ区別する方法としては、その不純物を分析することが挙げられる。前記液相法により製造された酸化チタンは、その生成物にイルメナイト鉱石やチタンスラグ中の不純物に由来するジルコニウム、ニオブなどが含まれている。これに対し、気相法では四塩化チタンを精製して、不純物を取り除く工程を有するため、酸化チタン中には、これらの不純物はほとんど含まれない。
本発明に用いる金属化合物複合体(b)は、2価銅化合物を含む。この2価銅化合物は、前述した結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと組み合わせることにより、優れた抗ウイルス性だけでなく抗菌性を十分に発現する。また、この2価銅化合物は、1価銅化合物と比べて酸化等による変色が少ないため、この2価銅化合物を用いた場合、変色が抑制される。
2価銅化合物には、特に限定はなく、2価銅無機化合物及び2価銅有機化合物の1種又は2種が挙げられる。
2価銅無機化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、沃素酸銅、過塩素酸銅、シュウ酸銅、四ホウ酸銅、硫酸アンモニウム銅、アミド硫酸銅及び塩化アンモニウム銅、ピロリン酸銅、炭酸銅からなる2価銅の無機酸塩、塩化銅、フッ化銅及び臭化銅からなる2価銅のハロゲン化物、並びに酸化銅、硫化銅、アズライト、マラカイト及びアジ化銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
2価銅有機化合物としては、2価銅のカルボン酸塩が挙げられる。この2価銅のカルボン酸塩としては、蟻酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、吉草酸銅、カプロン酸銅、エナント酸銅、カプリル酸銅、ペラルゴン酸銅、カプリン酸銅、ミスチン酸銅、パルミチン酸銅、マルガリン酸銅、ステアリン酸銅、オレイン酸銅、乳酸銅、リンゴ酸銅、クエン酸銅、安息香酸銅、フタル酸銅、イソフタル酸銅、テレフタル酸銅、サリチル酸銅、メリト酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、コハク酸銅、グルタル酸銅、アジピン酸銅、フマル酸銅、グリコール酸銅、グリセリン酸銅、グルコン酸銅、酒石酸銅、アセチルアセトン銅、エチルアセト酢酸銅、イソ吉草酸銅、β-レゾルシル酸銅、ジアセト酢酸銅、ホルミルコハク酸銅、サリチルアミン酸銅、ビス(2-エチルヘキサン酸)銅、セバシン酸銅及びナフテン酸銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。その他の2価銅有機化合物としては、オキシン銅、アセチルアセトン銅、エチルアセト酢酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、フタロシアニン銅、銅エトキシド、銅イソプロポキシド、銅メトキシド、及びジメチルジチオカルバミン酸銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
上記2価銅化合物のうち、好ましくは酸化銅、2価銅のハロゲン化物、2価銅の無機酸塩及び2価銅のカルボン酸塩の1種又は2種以上であり、例えば2価銅のハロゲン化物、2価銅の無機酸塩及び2価銅のカルボン酸塩の1種又は2種以上である。
また、2価銅化合物としては、下記一般式(1)で表される2価銅化合物が挙げられる。
Cu(OH)X (1)
一般式(1)において、Xは陰イオンであり、好ましくはCl、Br、I等のハロゲン、CHCOO等のカルボン酸の共役塩基、NO、(SO1/2等の無機酸の共役塩基、又はOHである。
これらの2価銅化合物のうち、より不純物が少なく、経済的な観点から、2価銅無機化合物がより好ましく、酸化銅が更に好ましい。また、上記一般式(1)で表される2価銅化合物も好ましい。2価銅化合物は、無水物であっても水和物であってもよい。
2価銅化合物の銅換算含有量は、前記酸化チタン100質量部に対して、好ましくは0.01~20質量部である。0.01質量部以上であると、抗ウイルス性だけでなく抗菌性も良好なものとなる。また、20質量部以下であると、酸化チタン表面が被覆されてしまうことが防止されて抗ウイルス性が良好に発現すると共に、少量で抗ウイルス性を向上することができて経済的である。この観点から、2価銅化合物の銅換算含有量は、酸化チタン100質量部に対して、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下までの範囲である。
ここで、この酸化チタン100質量部に対する2価銅化合物の銅換算含有量は、2価銅化合物の原料と酸化チタンの原料との仕込み量から算出することができる。
本発明に用いる金属化合物複合体(b)は、前述のとおり、必須成分として、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有するものの、本発明の目的を阻害しない範囲内において、他の任意成分を含有していてもよい。ただし、抗ウイルス性の向上の観点から、金属化合物複合体(b)中における当該必須成分の含有量は、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、更に好ましくは99質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。
また、本発明に用いる金属化合物複合体(b)は、マスターバッチ、樹脂組成物および成形品中での分散性に優れることから、マスターバッチを製造する際の原料として、最大粒子径が45μm未満の範囲、好ましくは20μm以下の範囲、より好ましくは10μm以下の範囲である。
このような最大粒子径を有する金属化合物複合体(b)を必須の原料とすることで分散性に優れしてマスターバッチを製造することができ、例えば、捕捉粒子径が、好ましくは45μm、より好ましくは20μm、さらに好ましくは10μmのフィルターを用いた濾過試験(口径25mmの単軸押出機にて熱可塑性樹脂(a)成分の融点よりも20℃以上高い温度にて700cm/1時間の速度で溶融押出する)において5MPa/1kg以下の割合で通過させることができ、生産性に優れるだけでなく、さらにこのようなマスターバッチを経由して得られた樹脂組成物および成形品も当該金属化合物複合体(b)が分散性良く含有される結果、繊度の小さい糸への加工や薄いフィルムへの加工時などにも、糸切れ、破断が発生しにくくなり加工性を向上させるだけでなく、当該金属化合物複合体(b)の分散性の向上により抗ウィルス活性面をより多く成形体表面へ露出させることができ、抗ウィルス活性や抗菌活性を向上させることができる。
本発明に用いる金属化合物複合体(b)の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の<1>及び<2>の2つの方法が挙げられる。
<1> 本発明に用いる金属化合物複合体(b)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと、2価銅化合物原料とを混合する混合工程の後、得られた混合物を粉砕する粉砕工程、および、粉砕物を分級する分級工程を有する製造工程を経て製造することができる。また、この混合工程によって得られた混合物を熱処理する熱処理工程を更に実施してから粉砕工程および分級工程を行ってもよい。また、前記混合物は、銅化合物の水溶液中に酸化チタンを懸濁させて、吸着させることによって、得ることもできる。具体的には、金属化合物複合体(b)は、特許第5343176号公報に記載の方法により製造できる。
また、<1>において、前記粉砕工程および分級工程は、解砕機などを用いて、例えば、平均粒子径が1〔μm〕以上から50〔μm〕以下の範囲となるように破砕した後、篩を用いて分級することによって得ることができる。篩の種類については、一般的に使用される標準篩を使用し、目開きのサイズとしては、45〔μm〕、25〔μm〕のものを最大粒子径に併せて選択し、使用すればよい。
<2> 本発明に用いる金属化合物複合体(b)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと、2価銅化合物またはその前駆体と、水と、アルカリ性物質を混合する混合工程、混合液を固形分と液相分に分離する分離工程を有する製造工程を経て製造することもできる。さらに、必要に応じて、分離工程を経て得られた固形分を、水洗、解砕、分級する工程と、さらにその後に、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと、2価銅化合物原料とを強固に結合することができる点から、該固形分を熱処理する工程を有する製造工程を経て製造することもできる。
前記2価銅化合物の前駆体としては、下記一般式(2)で示されるものを用いることが好ましい。
CuX (2)
(式(2)において、Xは、ハロゲン原子、CHCOO、NO、又は、(SO1/2を示す。)
前記式(2)におけるXとしては、ハロゲン原子であることがより好ましく、塩素原子が更に好ましい。
<1>において、前記混合工程における前記2価銅化合物またはその前駆体の使用量としては、前記酸化チタン100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下の範囲である。
<1>において前記水は、混合工程における溶媒であり、水単独が好ましいが、必要に応じてその他の溶媒を含んでいてもよい。前記その他の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等のアルコール溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等を用いることができる。これらの溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<1>において、前記混合工程における水の使用量は、前記酸化チタン100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは100質量部以上であり、そして、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは500質量部以下の範囲である。
<1>において、前記アルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン、トリメチルアミン、アンモニア、塩基性界面活性剤等を用いることができ、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
前記アルカリ性物質は、反応を制御しやすい点から、溶液として添加するのが好ましく、添加するアルカリ溶液の濃度としては、好ましくは0.1mol/L以上、より好ましい右派0.3mol/L以上、さらに好ましくは0.5mol/L以上の範囲であり、そして、好ましくは5mol/L以下、より好ましくは4mol/L以下、さらに好ましくは3mol/L以下の範囲である。
<1>において、前記混合工程は、前記酸化チタン、2価銅化合物またはその前駆体、水、及び、アルカリ性物質を混合すればよく、例えば、まず水に前記酸化チタンを混合するとともに必要に応じて撹拌し、次いで、2価銅化合物またはその前駆体を混合し、撹拌し、その後、アルカリ性物質を添加して撹拌する方法が挙げられる。この混合工程により、前記2価銅化合物またはその前駆体由来の2価銅化合物が前記酸化チタンに担持することとなる。
<1>において、前記混合工程における全体の撹拌時間としては、特に限定されないが、例えば、5分間以上が好ましく、10分間以上がより好ましく、そして120分間以下が好ましく、60分間以下がより好ましい範囲である。混合工程時における温度としては、特に限定されないが、例えば、室温以上から70℃以下の範囲が挙げられる。
<1>において、前記酸化チタンへの2価銅化合物の担持が良好である点から、前記酸化チタン、2価銅化合物またはその前駆体、及び、水を混合・撹拌し、その後アルカリ性物質を混合・撹拌した後の混合物のpHとしては、塩基性であれば特に限定されないが、好ましくは8以上、より好ましくは9.0以上であり、そして、好ましくは11以下、より好ましくは10.5以下の範囲である。
<1>において、前記混合工程が終了した後には、混合液を固形分として分離することができる。前記分離を行う方法としては、例えば、濾過、沈降分離、遠心分離、蒸発乾燥等が挙げられるが、濾過が好ましい。分離した固形分は、その後必要に応じて、水洗を行い、さらに、<1>と同様の解砕、分級等を行ってもよい。
<2>において前記固形分を得た後には、前記酸化チタン上に担持された前記2価銅化合物またはその前駆体由来の2価銅化合物を、より強固に結合することができる点から、固形分を熱処理することが好ましい。熱処理温度としては、好ましくは150℃以上、より好ましくは250℃以上であり、そして、好ましくは600℃以下、より好ましくは450℃以下の範囲である。また、熱処理時間は、特に限定されないが、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、そして、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下の範囲である。
以上の<1>または<2>の製造方法によって、金属化合物複合体(b)が得られる。前記酸化チタンに担持された2価銅化合物の担持量としては、前記酸化チタン100質量部に対して、0.01質量部以上から20質量部以下の範囲であることが、抗ウイルス性を含む光触媒活性の点から好ましい。前記2価銅化合物の担持量は、前記混合工程における前記2価銅化合物またはその原料の使用量によって調整することができる。なお、前記2価銅化合物の担持量の測定方法は、後述する実施例にて記載する。
本発明に用いるマスターバッチに含まれる熱可塑性樹脂(a)および金属化合物複合体塩(b)の各組成比は、マスターバッチを経由して得られた成形体に優れた分散性、抗ウィルス性を付与できる観点から熱可塑性樹脂(a)100質量部に対し、金属化合物複合体(b)を、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは25質量部以上から、ブロッキングの抑制と輸送時のコストメリットとを考慮して、好ましくは300質量部以下、より好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下の範囲である。
本発明のマスターバッチには、上記の熱可塑性樹脂(a)および金属化合物複合体(b)の各成分に加え、本発明の効果を損ねない範囲で、公知の各種添加剤を配合することもできる。各種添加剤としては、ハロゲン系難燃剤、窒素系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、金属水酸化物や酸化物などの無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤などの有機リン酸金属塩(b)以外の難燃剤や、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物、ホスファイト系化合物及びこれらの置換体等の酸化防止剤や、レゾルシノール系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の耐候剤や、脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素化合物、ポリエチレンワックス等の離型剤または滑剤や、フタロシアニン、カーボンブラック等の顔料や、ニグロシン、アニリンブラック等の染料や、タルク、シリカ、カオリン、クレー等の結晶核剤や、p-オキシ安息香酸オクチル、N-ブチルベンゼンスルホンアミド等などの可塑剤や、アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等の非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等の帯電防止剤や、グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アンチモン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、亜鉛、鉛、ニッケル、アルミニウム、鉄、ステンレス、ベントナイト、モンモリロナイト、合成雲母等の粒子状、針状、板状の各種充填剤や、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、窒化硼素、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム等の強化材などが挙げられる。
これらの添加剤を配合する場合、その配合量は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではないが、前記熱可塑性樹脂(a)および金属化合物複合体(b)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上から300質量部以下の範囲で、これら添加剤の種類と量を調整することにより、目的とする機能を自由に調整することができる。
本発明のマスターバッチは、予め熱可塑性樹脂(a)および金属化合物複合体(b)を必須の原料として溶融混練して製造することができる。
より詳しくは、本発明の抗ウィルス性マスターバッチは、熱可塑性樹脂(a)と、金属化合物複合体(b)とを配合して、溶融混練する工程を有する方法により製造することができる。より具体的には、上記した各成分を熱可塑性樹脂(a)と、金属化合物複合体(b)とが所定の配合量となるよう配合し、必要に応じてV型ブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサーなどの混合機により予備混合したのち、単軸押出型混錬機、オープンロールミキサー、加圧型ニーダー、バンバリーミキサー、二軸押出型混錬機等、既知の混合機を用い、樹脂設定温度を融点以上にして溶融混練する。このなかでも二軸押出型混練機は混練性、生産性の点で好ましい。溶融混練後、常法に従ってペレット等に加工することにより、本発明のマスターバッチが得られる。
本発明の抗ウィルス性マスターバッチの製造方法において、前記金属化合物複合体(b)は、金属化合物複合体(b)を含有する水分散体であってよい。
すなわち、本発明の抗ウィルス性マスターバッチは、さらに、予め、金属化合物複合体(b)と、分散剤と、水を混合して、上記金属化合物複合体(b)を含有する水分散体を準備する工程(I)を有し、前記金属化合物複合体(b)を前記水分散体として熱可塑性樹脂(a)と配合して、溶融混合する工程(II)と、を有する方法により製造するもできる。
前記工程(I)において分散剤としては、例えば、分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。例えばポリエチレンイミンにポリエステル付加させた櫛型構造高分子化合物、あるいはα-オレフィンマレイン酸重合物のアルキルアミン誘導体などが挙げられる。具体的にはソルスパーズシリーズ(LUBRIZOL)、アジスパーシリーズ(味の素)、ホモゲノールシリーズ(花王)などを挙げることができる。またBYKシリーズ(ビックケミー)、EFKAシリーズ(EFKA)なども適宜使用できる。本発明に用いる水分散体は、このような分散剤の存在下で前記金属化合物複合体(b)を水中に分散させることが可能となる。
前記工程(I)において当該分散剤の配合量は、特に限定されないが、分散性に優れる観点から、金属化合物複合体(b)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは50質量%以下の範囲としてよい。
前記工程(I)において当該水の配合量は、特に限定されないが、分散性に優れる観点から、金属化合物複合体(b)、分散剤及び水(すなわち、水分散体)の合計量に対して、金属化合物複合体(b)が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下の範囲となるよう適宜調整すればよい。
前記工程(II)では、工程(I)で調整した水分散体を、熱可塑性樹脂(a)と、金属化合物複合体(b)とが所定の配合量となるよう配合し、樹脂設定温度を熱可塑性樹脂(a)の溶融以上にして溶融混練する。
溶融混合の際には、押出機(単軸押出機、二軸押出機)、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いることができ、なかでも、連続的に混練できる点で、混錬押出機が好ましい。
前記工程(II)の溶融混練後、常法に従ってペレット等に加工することにより、本発明のマスターバッチが得られる。
本発明の樹脂組成物は、上記のマスターバッチに、熱可塑性樹脂(c)を希釈樹脂として加えて溶融混練して得られる。このようにマスターバッチを経由して樹脂組成物を得ることで、抗ウィルス性成分である金属化合物複合体(b)を安定的に均一に分散でき、さらに高濃度添加することもできるため、成形体に優れた抗ウィルス性効果を付与することができる。
ここで本発明に用いる熱可塑性樹脂(c)としては、前記熱可塑性樹脂(a)と同様のものが挙げられる。熱可塑性樹脂(a)を含むマスターバッチと、熱可塑性樹脂(c)とを溶融混練する際、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(c)は、目的に応じて同じ種類の樹脂を用いても、異なる種類の樹脂を用いても良いが、相溶性の点から同じ種類の樹脂を用いることが好ましい。
本発明のマスターバッチから、樹脂組成物を製造するには、例えば、前述した本発明のマスターバッチと、希釈用に、前記熱可塑性樹脂(c)を、マスターバッチ100質量部に対して、熱可塑性樹脂(c)が、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上、さらに好ましくは500質量部以上から、好ましくは5000質量部以下、より好ましくは3000質量部以下、さらに好ましくは2000質量部以下までの範囲となるよう調整し、溶融混練すればよい。溶融混練の方法は、特に制限はなく、例えば、当該マスターバッチの製造方法と同様の方法を採用することができる。溶融混練して得られた樹脂組成物は、次いで、直接、または常法に従ってペレット等に一旦加工したものを、成形機内で混練し、供して押出成形、射出成形、カレンダー成形、中空成形、真空成形、圧空成形等などの公知の各種成形法にて、樹脂成形体を製造する。
本発明の樹脂組成物には、上記の熱可塑性樹脂(a)、金属化合物複合体(b)および熱可塑性樹脂(c)の各成分に加え、本発明の効果を損ねない範囲で、公知の各種添加剤を配合することもできる。各種添加剤としては、前記性マスターバッチに配合可能な各種添加剤と同様のものが挙げられる。
本発明の成形品は、抗ウィルス性や抗菌性に極めて優れており、これらの活性が求められる用途で使用することが可能である。このため、本発明の成形品は、フィルム、シート、繊維、チューブなどの用途に好適に用いられるほか、フィルムないしシートの複数枚を積層して多層フィルムないし多層シートとしたり、繊維を編み込んだ布帛や、さらに射出成形、圧縮成形、押出成形、引抜成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成型品等への適用が可能である。さらに、熱溶解積層法(FDM:Fused Deposition Molding)、光造形法(STL:Stereo Lithography)、粉末焼結法(SLS:Selective Laser Sintering)、インクジェット法、インクジェット粉末積層法などを用いて立体物を造形する事も可能である。例えば、本発明の樹脂組成物をベース材とする造形材料を樹脂の溶融温度以上の高温で溶融し、溶融した造形材料をヘッド部のノズルから押し出して造形し、これを複数層積み上げて立体物を造形することができる。
布帛の形態は、例えば、織物、編物、不織布等のいずれの形態であってもよい。また、必要に応じて、布帛は、分散染料、酸性染料、直接染料、反応染料、顔料等により着色されていてもよい。本発明の布帛は、様々な繊維製品に使用でき、例えば、一般向け、インナー向け、スポーツ向け、メディカル向け等の衣料用品や、布団カバー、シーツ等の寝装材や、カーテン、カーペット、イス、クッションカバー、壁紙等のインテリア用品や、テントシート、旗、幕等の産業資材や、自動車、航空機、鉄道車両等の輸送車輌用シート素材や、衛生材料や、空気処理用の繊維材料や、水処理用の繊維材料等に使用できる。
また、成型品としては食品包装容器、浴槽、建具や、レジスター、パソコン、スマートフォンなどのハウジング用途など、人の手が触れやすいものに加工され、利用されるだけでなく、特に、ステント、コイル塞栓子、カテーテルチューブ、注射器(針、胴体)、シャントチューブ、ドレーンチューブ、インプラント医療用具など医療用途への適用も可能である。
本発明の樹脂組成物を溶融紡糸して得られる繊維の直径(数平均繊維径)は、その用途に応じて異なり、任意の径とすることができるが、より繊維径が小さいほど抗ウィルス活性に優れることから、好ましくは100μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下の範囲であり、そして、下限値は限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは1μm以上の範囲である。このうち、8μm以下の範囲の繊維(本発明ではマイクロファイバーという)といった極細の繊維では、表面積が大きくなり抗ウィルス活性が高くなる傾向にあることから特に好ましい。繊維長さも限定されず、繊維長が長い、いわゆるフィラメント(長繊維)や、繊維長が短い、いわゆるステープル(短繊維)であってよい。
また、本発明の樹脂組成物をシート状ないしフィルム状に成形して得られるシートないしフィルムの厚みは、その用途に応じて異なり、任意の厚さとすることができるが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下の範囲である。本発明におけるシート又はフィルムの用語は特にシートとフィルムを厳密に区別する為のものではなく、いずれをも含むことを明確にするために使用するものであり、本発明の特徴を有する限り、シート、フィルムは最大限広く解釈しうるもので、シートの用語は本発明の特徴を有する限り、プレート又は板と言われているものも含むものとする。それもなお、シートとフィルムを区別する必要がある場合には、前記範囲のうち、シートは通常その厚さが0.5mm程度を超えるものの場合に使用し、フィルムは通常その厚さが500μm程度までのものの場合に使用されうる。
本発明に用いる金属化合物複合体(b)は、金属化合物の粒子であり、熱可塑性樹脂(a)や熱可塑性樹脂(c)との溶融混錬でも基本的に最大粒子径の範囲に変化はなく、マスターバッチを経て製造される樹脂組成物および成形品の中での最大粒子径は上記と同様であるが、最大粒子径が上記の範囲を超える場合には、最大粒子径が上記の範囲となるよう、せん断力やフィルター設置など溶融混錬条件を調整することが好ましい。
したがって、本発明の樹脂組成物および成形品中の金属化合物複合体(b)の最大粒子径は45μm未満の範囲でありうる。さらに好ましくは、樹脂組成物や成形品をプレパラートでフィルム状にプレスした後、光学顕微鏡観察(倍率200倍)により、粒子像を得て、無作為に選んだ少なくとも1000個の粒子(一次粒子であっても、さらに二次粒子が含まれていてもよい)それぞれについて粒子径(円相当径)を測定した場合に、金属化合物複合体(b)の最大粒子径20μm以上の粒子が5個以下の範囲であり、特に好ましくは1個以下の範囲でありうる。
本発明の樹脂組成物を溶融成形してなる成形体、特にシート状ないしフィルム状又は繊維状に成形してなるフィルムないしシートまたは繊維は、最大粒子径が45〔μm〕未満の範囲である金属化合物複合体(b)を、一旦、熱可塑性樹脂(a)とマスターバッチ化してから、さらに希釈樹脂を配合して、樹脂組成物、その成形体を製造することにより、抗ウィルス活性成分である金属化合物複合体(b)を安定的に高濃度で、かつ均一性良く分散でき、その結果、優れた抗ウィルス活性や抗菌活性を発現するだけでなく、それらの効果を長続きさせることもでき、耐洗濯性の顕著な向上、人体への安全性、耐熱性、耐候性、及び、耐水性にも優れ、さらに粗大粒子の除去し、比表面積を大きくすることにより粒子表面の活性を有効に利用することと粒子の成形品の表面外観性、表面平滑性向上の向上を両立させ、さらにフィルムないしシートでは、フィルムないしシート破れを抑制し、また繊維では糸切れを抑制することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
・金属化合物複合体の製造
蒸留水100mLに6g(100質量部)の酸化チタン原料(昭和電工セラミックス株式会社製、BET比表面積、ルチル化率、アナターゼ化率、ブルッカイト化率、半値全幅及び一次粒子径を表1に示す)を懸濁させ、0.0805g(銅換算で0.5質量部)のCuCl・2HO(関東化学株式会社製)を添加して、10分攪拌した。pHが10になるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)水溶液を添加し、30分間攪拌混合を行ってスラリーを得た。このスラリーをろ過し、得られた粉体を純水で洗浄し、80℃で乾燥し、加熱エアーにより横型ジェット粉砕機(セイシン企業社製「シングルトラックジェットミル」)で解砕し、その後連続旋回気流式ふるい分け装置(セイシン企業社製「スピンエアーシーブ」)により45μm以上の粗粒を除去し、銅およびチタン含有組成物である金属化合物複合体(1)を得た。得られた金属化合物複合体(1)のBET比表面積は10m/gであった。
(BET比表面積)
酸化チタン原料および金属化合物複合体のBET比表面積は、株式会社マウンテック製の全自動BET比表面積測定装置「Macsorb,HM model-1208」を用いて測定した。
(酸化チタン原料中のルチル含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅))
酸化チタン原料中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅)は、粉末X線回折法により測定した。
すなわち、乾燥させた酸化チタン原料について、測定装置としてPANalytical社製「X’pertPRO」を用い、銅ターゲットを用い、Cu-Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=20~100deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度3.3deg/minの条件でX線回折測定を行った。 ルチル型結晶に対応するピーク高さ(Hr)、ブルッカイト型結晶に対応するピーク高さ(Hb)、及びアナターゼ型結晶に対応するピーク高さ(Ha)を求め、以下の計算式により、酸化チタン中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)を求めた。 ルチル化率(モル%)={Hr/(Ha+Hb+Hr)}×100
また、酸化チタン中における、アナターゼ型酸化チタンの含有量(アナターゼ化率)及びブルッカイト型酸化チタンの含有量(ブルッカイト化率)を、それぞれ以下の計算式により求めた。
アナターゼ化率(モル%)={Ha/(Ha+Hb+Hr)}×100
ブルッカイト化率(モル%)={Hb/(Ha+Hb+Hr)}×100
上記X線回折測定によって得られたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークを選択し、半値全幅を測定した。
(一次粒子径)
平均1次粒子径(DBET)(nm)は、BET1点法により、酸化チタンの比表面積S(m/g)を測定し、下式
DBET=6000/(S×ρ)
より算出した。ここでρは酸化チタンの密度(g/cm)を示す。
使用した酸化チタン原料の測定結果を表1に示す。
Figure 0007207601000001
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製「MA-2101M」、極限粘度(IV)0.63)100質量部および金属化合物複合体(1)50質量部を混合し、φ30mmの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径40μmのメッシュフィルター)内で溶融混練した。得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化してマスターバッチ(1)を得た。
・フィラメントの製造
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製「SA-1206」、IV1.06)100質量部にマスターバッチ(1)10質量部を混合し、150℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度290℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(1)を得た。
・編地の製造
フィラメント(1)を、仮撚機にて仮撚り加工を行い、筒編み機を用いて20ゲージの編地(1)を作成した。
(実施例2)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートをポリアミド-6(宇部興産社製「UBE NYLON 1013B」)に、さらに押出加工時の設定温度280℃を260℃に変更した以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(2)を得た。
・フィラメントの製造
ポリアミド-6(宇部興産社製「UBE NYLON 1018」)100質量部にマスターバッチ(2)10質量部を混合し、110℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度260℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(2)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(1)から(2)に変更した以外は実施例1と同様に行い編地(2)を作成した。
(実施例3)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートをポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y-2000GV」)に、さらに押出加工時の設定温度280℃を230℃に変更した以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(3)を得た。
・フィラメントの製造
ポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y-2000GV」)100質量部にマスターバッチ(3)10質量部を混合し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度230℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(3)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(1)から(3)に変更した以外は実施例1と同様に行い編地(3)を作成した。
(実施例4)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートを高密度ポリエチレン(旭化成社製「サンテックHD J320」)に、さらに押出加工時の設定温度280℃を160℃に変更した以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(4)を得た。
・フィラメントの製造
高密度ポリエチレン(旭化成社製「サンテックHD J320」)100質量部にマスターバッチ(4)10質量部を混合し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度160℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(4)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(1)から(4)に変更した以外は実施例1と同様に行い編地(4)を作成した。
(実施例5)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートをポリ-4-メチル-1-ペンテン(三井化学社製「TPX DX818」)に、さらに押出加工時の設定温度280℃を260℃に変更した以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(5)を得た。
・フィラメントの製造
ポリ-4-メチル-1-ペンテン(三井化学社製「TPX DX818」)100質量部にマスターバッチ(5)10質量部を混合し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度260℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(5)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(1)から(5)に変更した以外は実施例1と同様に行い編地(5)を作成した。
(実施例6)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートをポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス製「ユーピロンS-3000」)に変更した以外は実施例1と同様に行い、マスターバッチ(6)を得た。
・フィラメントの製造
ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス製「ユーピロンS-3000」)100質量部にマスターバッチ(6)10質量部を混合し、120℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度280℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(6)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(1)から(6)に変更した以外は実施例1と同様に行い編地(6)を作成した。
(比較例1)
・金属化合物複合体の製造
横型ジェット粉砕機(セイシン企業社製「シングルトラックジェットミル」)および連続旋回気流式ふるい分け装置(セイシン企業社製「スピンエアーシーブ」)による粒度調整に代わりピンミル粉砕機(ホソカワミクロン社製「ファインインパクトミルUPZ」)に変更した以外は、実施例1と同様に行いし、銅およびチタン含有組成物である金属化合物複合体(c1)を得た。得られた金属化合物複合体(c1)を光学顕微鏡観察(倍率200倍)により粒子像を得て、無作為に選んだ少なくとも1000個の粒子(一次粒子であっても、さらに二次粒子が含まれていてもよい)それぞれについて粒子径(円相当径)を測定したところ、最大粒子径82μmのものを含むものであった。
また、得られた金属化合物複合体(c1)のBET比表面積は10m/gであった。
・マスターバッチの製造
金属化合物複合体(1)を金属化合物複合体(c1)に変更した以外は、実施例1と同様に行いマスターバッチ(c1)を得た。
・フィラメントの製造
マスターバッチ(1)をマスターバッチ(c1)に変更した以外は実施例1と同様に行いフィラメント(c1)を得た。
・編地の製造
フィラメント(c1)を実施例1と同様に行い編地(c1)を作成した。
(比較例2)
・マスターバッチの製造
金属化合物複合体(1)を酸化チタン(c2)(石原産業社製光触媒酸化チタン「ST-21」、比表面積50m/g)に変更した以外は、実施例1と同様に行いマスターバッチ(c2)を得た。
・フィラメントの製造
マスターバッチ(1)をマスターバッチ(c2)に変更した以外は実施例1と同様に行いフィラメント(c2)を得た。
・編地の製造
フィラメント(c2)を実施例1と同様に行い編地(c2)を作成した。
(比較例3)
・マスターバッチの製造
金属化合物複合体(1)を酸化チタン(c3)(テイカ社製酸化チタン「JA-1」、比表面積9m/g)に変更した以外は、実施例1と同様に行いマスターバッチ(c3)を得た。
・フィラメントの製造
マスターバッチ(1)をマスターバッチ(c3)に変更した以外は実施例1と同様に行いフィラメント(c3)を得た。
・編地の製造
フィラメント(c3)を実施例1と同様に行い編地(c3)を作成した。
(比較例4)
・フィラメントの製造
マスターバッチを使用せずポリエチレンテレフタレート「SA-1206」100質量部に金属化合物複合体(1)3質量部に変更した以外は実施例1と同様に行いフィラメント(c4)を得た。
すなわち、ポリエチレンテレフタレート「SA-1206」100質量部および金属化合物複合体(1)3質量部を混合し、φ30mmの二軸ベント式押出機(設定温度280℃、補足粒子径40μmのメッシュフィルター)内で溶融混練した。得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化した。続いて、得られたペレットを150℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度290℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48F(48本が束になって144dtex)のフィラメント(c4)を得た。
・編地の製造
フィラメント(c4)を実施例1と同様に行い編地(c4)を作成した。
(測定例1) 濾過圧測定(溶融混練後の凝集粒子の測定)
得られたマスターバッチ(1)~(6)と比較用マスターバッチ(c1)~(c3)について、25mm単軸押出機のスクリュ先端部位に濾過径25μmの焼結フィルターを設置し、マスターバッチを1kg通過させた際の差圧を計測し、以下の基準に基づき評価した。結果を表2に示す。
◎ 差圧が1MPa以下
○ 差圧が1MPaを超えて5MPa以下
△ 差圧が5MPaを超えて10MPa以下
× フィルターを通過せず
Figure 0007207601000002
(測定例2) 繊維の糸切れの評価(紡糸性の評価)
得られたフィラメント(1)~(6)と、比較例用フィラメント(c1)~(c4)の紡糸の際、1kg分の原料を加工時の糸切れ頻度を以下の基準に基づき評価した。これを同一の試料について5 回実施し、平均値とした。結果を表3に示す。
○:3回未満
△:3回以上10回未満
×:10回以上
(測定例3) フィラメント中の凝集粒子の測定(凝集体の測定)
得られたフィラメント(1)~(6)と、比較例用フィラメント(c1)~(c4)を0.1g切り取り、プレパラートでフィルム状にプレスした後、光学顕微鏡観察(倍率200倍)により、粒子像を得て、無作為に選んだ少なくとも1000個の粒子(一次粒子であっても、さらに二次粒子が含まれていてもよい)それぞれについて粒子径(円相当径)を測定し、以下の基準に基づき評価した。結果を表3に示す。
◎:20μm以上の粒子が1個以下
〇:20μm以上の粒子が1個を超えて5個以下
△:20μm以上の粒子が5個を超えて20個以下
×:20μm以上の粒子が20個超 かつ、45μm以上の粒子が1個以上
Figure 0007207601000003
(測定例4)
(明所における抗ウイルス性の評価)
上記で得られた評価用編地について、抗ファージウイルス試験(JIS R1756を参照)を実施した。
1)光照射条件は、白色蛍光灯の光をN113フィルターによって紫外線をカットし、照度1000ルクスとした。
2)5cm×5cmの評価用編地もしくはフィルムに濃度既知の100μLのQβファージ溶液を垂らした後、5cm×5cmのガラス板で挟んだ。
3)4時間光照射したサンプルを、SCDLP液で回収し、適度に希釈したものを大腸菌と感染させ、寒天培地に塗布し、培養後のプラーク数をカウントすることで評価した。抗ウイルス性はQβファージの不活化度(初期ファージ濃度Nと、所定時間後のファージ濃度Nとから、ファージ相対濃度(N/N)を算出した際の対数値)で評価し、不活化度-2~-5を抗ウイルス性有と評価した。結果を表4、5に示す。
不活化度が-1:90%、不活化度が-2:99%、不活化度が-3:99.9%不活化していることになり、抗ウイルス性が高いことを示す。検出限界は不活化度-5である。
◎:不活性度が、-5.0以上から-4.0未満
〇:不活性度が、-4.0以上から-3.0未満
△:不活性度が、-3.0以上から-2.0未満
×:不活性度が、-2.0以上
(測定例5)
(暗所における抗ウイルス性の評価)
測定用セットを暗所に置き、光源から光を照射しなかったこと以外は測定例4の「明所における抗ウイルス性能の評価」と同様の測定を行った。結果を表4、5に示す。
Figure 0007207601000004
(実施例7)
・フィルムの製造
ポリエチレンテレフタレート「SA-1206」100質量部にマスターバッチ(1)10質量部を混合し、次いで、100mm幅のTダイを接続した20mm単軸押出機を用いて製膜温度280℃で溶融製膜を行い、10μmの単層のフィルム(1)を得た。
(比較例5)
・フィルムの製造
ポリエチレンテレフタレート「SA-1206」100質量部にマスターバッチ(c1)10質量部を混合し、次いで、100mm幅のTダイを接続した20mm単軸押出機を用いて製膜温度280℃、で溶融製膜を行い、10μmの単層のフィルム(c1)を得た。
(測定例6) フィルム加工性の評価(製膜性の測定)
製膜時の安定性を評価した。濾過径20μmの焼結フィルタを設置し、原料10kg分を製膜し加工性を評価した。結果を表5に示す。
○:昇圧なく製膜終了
△:昇圧するも製膜終了
×:昇圧により製膜できず
(測定例7) フィルム中の凝集粒子の測定(凝集体の測定)
得られたフィルム(1)、(c1)を0.1g切り取り、プレパラートでフィルム状にプレスした後、光学顕微鏡観察(倍率200倍)により、粒子像を得て、無作為に選んだ少なくとも1000個の粒子(一次粒子であっても、さらに二次粒子が含まれていてもよい)それぞれについて粒子径(円相当径)を測定し、測定例3の基準に基づき評価した。結果を表5に示す。
Figure 0007207601000005
金属化合物複合体を粉砕分級することにより粗大粒子をあらかじめ取り除いた実施例1~7では、当該金属化合物複合体が高分散したマスターバッチを作成することができ、さらに繊度の小さい糸への加工や薄いフィルムへの加工時に、糸切れ、破断が発生しにくく加工性に優れるだけでなく、当該金属化合物複合体の微分散により抗ウィルス活性面をより多く成形体表面へ露出させることが可能となり、少量であっても抗ウィルス活性効果を発揮させることが明らかとなった。これに対し、金属化合物複合体を粉砕分級せず、粗大粒子をあらかじめ取り除かなかった比較例1、5では、当該金属化合物複合体が凝集体を形成した結果、濾過圧の差圧が大きくなり、該金属化合物複合体が高分散したマスターバッチを作成することができなかった。その結果、繊度の小さい糸への加工や薄いフィルムへの加工時に、糸切れ、破断が発生しやすくなり加工性に劣るだけでなく、当該金属化合物複合体の分散性の低下により抗ウィルス活性面をより多く成形体表面へ露出させることができず、抗ウィルス活性効果を十分に発揮できないことが明らかとなった。
(実施例8)
・金属酸化物の製造
酸化チタン原料(結晶性ルチル型、硫酸法で製造、BET比表面積、ルチル化率及び一次粒子径を表6に示す)600質量部、塩化銅(ii)二水和物8質量部、水900質量部をステンレス容器中に混合した。
Figure 0007207601000006




次いで、混合物を撹拌機(特殊機化工業株式会社製「ロボミクス」)で撹拌し、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を混合液のpHが10になるまで滴下した。次いで、得られた混合液を定性濾紙(5C)により減圧濾過をおこない、混合液から固形分を分離し、更にイオン交換水で洗浄を実施した。次いで、洗浄後の固形物を120℃で12時間乾燥し、水分を除去した。乾燥後、ミル(イワタニ産業株式会社製「ミルサー」)で粉状の組成物を得た。次いで、得られた組成物を、精密恒温器(ヤマト科学株式会社製「DH650」)を用いて酸素存在下で450℃、3時間熱処理して粉体を得た。得られた粉体を純水で洗浄し、80℃で乾燥し、加熱エアーにより横型ジェット粉砕機(セイシン企業社製「シングルトラックジェットミル」)で解砕し、その後連続旋回気流式ふるい分け装置(セイシン企業社製「スピンエアーシーブ」)により45μm以上の粗粒を除去し、マイクロメッシュ(目開き10μm)で最大粒径を10μm以下とした銅およびチタン含有組成物である金属化合物複合体(2)を得た。
・水分散体の製造
分散媒として水を280質量部に金属化合物複合体(2)100質量部、湿潤分散剤(ビックケミー社製「DISPERBYK 190」)20質量部を混合した液を、同体積のジルコニアビーズを入れたビーズミル(アイメックス社製TSG型)で1000回転、4時間分散処理を行い、ビーズを濾過して分離した後、さらに、フィルター(目開き1μm)を通過させて水分散体(1)を得た。得られた水分散体における金属酸化物複合体の最大粒径は1μm以下であった。
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製「MA-2101M」、極限粘度(IV)0.63)100質量部と水分散体(1)50質量部を予め混合して混合物とし、φ30mmの二軸ベント式押出機(設定温度280℃)で溶融混練し、水分をベント口から蒸発させながら溶融混練した。得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化してマスターバッチ(7)を得た。
・フィラメントの製造
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製「SA-1206」、IV1.06)100質量部にマスターバッチ(7)10質量部を混合し、150℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度290℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(7)を得た。
・編地の製造
フィラメント(7)を、仮撚機にて仮撚り加工を行い、筒編み機を用いて20ゲージの編地(7)を作成した。
(実施例9)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートをポリアミド-6(宇部興産社製「UBE NYLON 1013B」)に、さらに押出加工温度を260℃に変更した以外は実施例8と同様に行い、マスターバッチ(8)を得た。
・フィラメントの製造
ポリエチレンテレフタレートから変更したポリアミド-6(宇部興産社製「UBE NYLON 1018」)100質量部にマスターバッチ(8)10質量部を混合し、110℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度260℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(8)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(7)から(8)に変更した以外は実施例8と同様に行い編地(8)を作成した。
(実施例10)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートをポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y-2000GV」)に、さらに押出加工温度を230℃に変更した以外は実施例8と同様に行い、マスターバッチ(9)を得た。
・フィラメントの製造
ポリエチレンテレフタレートから変更したポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y-2000GV」)100質量部にマスターバッチ(9)10質量部を混合し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度230℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(9)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(7)から(9)に変更した以外は実施例8と同様に行い編地(9)を作成した。
(実施例11)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートを高密度ポリエチレン(旭化成社製「サンテックHD J320」)に、さらに押出加工温度を160℃に変更した以外は実施例8と同様に行い、マスターバッチ(10)を得た。
・フィラメントの製造
ポリエチレンテレフタレートから変更した高密度ポリエチレン(旭化成社製「サンテックHD J320」)100質量部にマスターバッチ(10)10質量部を混合し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度160℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(10)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(7)から(10)に変更した以外は実施例8と同様に行い編地(10)を作成した。
(実施例12)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートをポリ-4-メチル-1-ペンテン(三井化学社製「TPX DX818」)に、さらに押出加工温度を260℃に変更した以外は実施例8と同様に行い、マスターバッチ(11)を得た。
・フィラメントの製造
ポリエチレンテレフタレートから変更したポリ-4-メチル-1-ペンテン(三井化学社製「TPX DX818」)100質量部にマスターバッチ(11)10質量部を混合し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度260℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(11)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(1)から(11)に変更した以外は実施例8と同様に行い編地(11)を作成した。
(実施例13)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートをポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス製「ユーピロンS-3000」)にし、120℃で12時間、真空乾燥に変更した以外は実施例8と同様に行い、マスターバッチ(12)を得た。
・フィラメントの製造
ポリエチレンテレフタレートから変更したポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス製「ユーピロンS-3000」)100質量部にマスターバッチ(12)10質量部を混合し、120℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度280℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(12)を得た。
・編地の製造
フィラメントを(7)から(12)に変更した以外は実施例8と同様に行い編地(12)を作成した。
(実施例14)
・水分散体の製造
分散媒として水を280質量部に金属化合物複合体(2)100質量部、湿潤分散剤(ビックケミー社製「DISPERBYK 194N」)40質量部を混合した液を、同体積のジルコニアビーズを入れたビーズミル(アイメックス社製TSG型)で1000回転、4時間分散処理を行い、ビーズを濾過して分離した後、水分散体(2)を得た。
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製「MA-2101M」、極限粘度(IV)0.63)100質量部と水分散体(2)50質量部を予め混合して混合物とし、φ30mmの二軸ベント式押出機(設定温度280℃)で溶融混練し、水分をベント口から蒸発させながら溶融混練した。得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化してマスターバッチ(13)を得た。
・フィラメントの製造
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製「SA-1206」、IV1.06)100質量部にマスターバッチ(13)10質量部を混合し、150℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度290℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(13)を得た。
・編地の製造
フィラメント(13)を、仮撚機にて仮撚り加工を行い、筒編み機を用いて20ゲージの編地(13)を作成した。
(実施例15)
・水分散体の製造
分散媒として水を280質量部に金属化合物複合体(2)100質量部、湿潤分散剤(ビックケミー社製「DISPERBYK 2010」)40質量部を混合した液を、同体積のジルコニアビーズを入れたビーズミル(アイメックス社製TSG型)で1000回転、4時間分散処理を行い、ビーズを濾過して分離した後、水分散体(3)を得た。
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製「MA-2101M」、極限粘度(IV)0.63)100質量部と水分散体(3)50質量部を予め混合して混合物とし、φ30mmの二軸ベント式押出機(設定温度280℃)で溶融混練し、水分をベント口から蒸発させながら溶融混練した。得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化してマスターバッチ(14)を得た。
・フィラメントの製造
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製「SA-1206」、IV1.06)100質量部にマスターバッチ(14)10質量部を混合し、150℃で12時間、真空乾燥し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度290℃、で溶融紡糸を行い、3倍延伸により144d/48Fのフィラメント(14)を得た。
・編地の製造
フィラメント(14)を、仮撚機にて仮撚り加工を行い、筒編み機を用いて20ゲージの編地(14)を作成した。
(実施例16)
・マスターバッチの製造
ポリエチレンテレフタレートを低密度ポリエチレン(東ソー社製「ペトロセン250R」)に、さらに押出加工温度を140℃に変更した以外は実施例8と同様に行い、マスターバッチ(15)を得た。
・フィルムの製造
低密度ポリエチレン(東ソー社製「ペトロセン250R」)100質量部にマスターバッチ(15)10質量部を混合し、100mm幅のTダイを接続した20mm単軸押出機を用いて製膜温度140℃、で溶融製膜を行い、10μmの単層のフィルム(2)を得た。
(実施例17)
・マイクロファイバーおよび不織布の製造
低密度ポリエチレン(東ソー社製「ペトロセン250R」)42質量部と、105℃で12時間、真空乾燥したマスターバッチ(8)16質量部および6-ナイロン(宇部興産株式会社製「UBE NYLON 1013B」)42質量部を混合し、次いで、紡糸機を用いて紡糸温度280℃で溶融紡糸を行い、3倍延伸により220d/48Fのフィラメント(15)を得た。得られたフィラメントサンプルを用いて切断、カード、クロスラッパー、およびニードルパンチの各工程を通して、絡合不織布を製造した。得られた絡合不織布からトルエンを用いポリエチレンを溶出させ平均繊維径1μmのマイクロファイバーからなる絡合不織布(1)を得た。
(実施例18)
・多層フィルムの製造
2種3層のフィルムとして表層に低密度ポリエチレン(東ソー社製「ペトロセン250R」)100質量部にマスターバッチ(15)10質量部を、中間層に低密度ポリエチレン(東ソー社製「ペトロセン250R」)100質量部を、300mm幅のTダイを接続し、主押出機30mm単軸押出機、副押出機25mm単軸押出機を用いて製膜温度140℃、で溶融製膜を行い、30μm(表層/中間層/表層=2μm/20μm/2μm)の多層のフィルム(3)を得た。
(測定例8) 濾過圧測定(溶融混練後の凝集粒子の測定)
得られたマスターバッチ(7)~(15)について、測定例1と同様に行い、評価した。結果を表7に示す。
Figure 0007207601000007




(測定例9) 繊維の糸切れの評価(紡糸性の評価)
得られたフィラメント(7)~(14)について測定例2と同様に行い、評価した。結果を表8に示す。
(測定例10) フィラメント中の凝集粒子の測定(凝集体の測定)
得られたフィラメント(7)~(14)について、測定例3と同様に行い、評価した。結果を表8に示す。
Figure 0007207601000008




(測定例11)
(明所における抗ウイルス性の評価)
上記で得られた評価用編地(7)~(15)について、測定例4と同様に行い、評価した。結果を表9、10に示す。
(測定例12)
(暗所における抗ウイルス性の評価)
上記で得られた評価用編地(7)~(15)について、測定例5と同様に行い、評価した。結果を表9、10に示す。
Figure 0007207601000009




(測定例13) フィルム加工性の評価(製膜性の測定)
製膜時の安定性を、測定例6と同様に行い、評価した。結果を表9に示す。
(測定例14) フィルム中の凝集粒子の測定(凝集体の測定)
得られたフィルム(2)、フィルム(3)について、測定例7と同様に行い、評価した。結果を表9に示す。
Figure 0007207601000010




(測定例15) 不織布の評価(紡糸性の測定)
得られたフィラメント(15)について測定例2と同様に行い、評価した。結果を表11に示す。
(測定例16) 不織布中の凝集粒子の測定(凝集体の測定)
得られたフィラメント(15)について、測定例3と同様に行い、評価した。結果を表11に示す。
(測定例17)
(明所における抗ウイルス性の評価)
上記で得られた評価用不織布(1)について、測定例4と同様に行い、評価した。結果を表11に示す。
(測定例18)
(暗所における抗ウイルス性の評価)
上記で得られた評価用不織布(1)について、測定例5と同様に行い、評価した。結果を表11に示す。
Figure 0007207601000011




液相法で製造した酸化チタンを使用した金属化合物複合体、さらに金属化合物複合体(b)を含有する水分散体を用いて製造したマスターバッチを用いた実施例8~16において当該金属化合物複合体が高分散したマスターバッチを作成することができ、さらに実施例7~18において、繊度の小さい糸への加工や薄いフィルムへの加工時に、糸切れ、破断が発生しにくく加工性に優れるだけでなく、当該金属化合物複合体の微分散により抗ウィルス活性面をより多く成形体表面へ露出させることが可能となり、少量であっても抗ウィルス活性効果を発揮させることが明らかとなった。

Claims (24)

  1. 予め、熱可塑性樹脂(a)、および、金属化合物複合体(b)を含有する水分散体、を必須の原料として溶融混練してマスターバッチを製造する工程(1)、前記工程(1)で得られたマスターバッチに、さらに、熱可塑性樹脂(c)を溶融混練する工程(2)を有する樹脂組成物の製造方法であって、
    前記金属化合物複合体(b)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む比表面積が3m/g以上の範囲の酸化チタンと、2価銅化合物と、を含有し、かつ、最大粒子径が45μm未満の範囲であることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記金属化合物複合体(b)を含有する水分散体が、さらに分散剤を含む請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記分散剤がアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または両イオン性界面活性剤である、請求項2記載の樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である、請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンである、請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記工程(1)において、熱可塑性樹脂(a)100質量部に対し、金属化合物複合体(b)を10~300質量部の範囲で溶融混練する、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記工程(2)において、マスターバッチ100質量部に対し、熱可塑性樹脂(c)50~5000質量部の範囲で溶融混練する、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーおよびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  9. 熱可塑性樹脂(a)と金属化合物複合体(b)と分散剤を含み、熱可塑性樹脂(a)100質量部に対し、金属化合物複合体(b)を10~300質量部の範囲で、かつ、金属化合物複合体(b)100質量部に対し、分散剤を1質量部以上100質量部以下の範囲で含有するマスターバッチであって、
    マスターバッチ中における前記金属化合物複合体(b)が、結晶性ルチル型酸化チタンを含む比表面積が3m/g以上の範囲の酸化チタンと、2価銅化合物と、を含有し、かつ、最大粒子径が45μm未満の範囲であることを特徴とする、マスターバッチ。
  10. 前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である、請求項9記載のマスターバッチ。
  11. 前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンである、請求項9に記載のマスターバッチ。
  12. 前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーおよびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項9に記載のマスターバッチ。
  13. 請求項9に記載のマスターバッチに、熱可塑性樹脂(c)を溶融混練して得られることを特徴とする樹脂組成物。
  14. 請求項9に記載のマスターバッチに、熱可塑性樹脂(c)を溶融混練する工程を有することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  15. 請求項13記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
  16. 請求項13記載の樹脂組成物を溶融成形する成形体の製造方法。
  17. 予め、熱可塑性樹脂(a)、および、金属化合物複合体(b)を含有する水分散体、を必須の原料として溶融混練してマスターバッチを製造する工程(1)、前記工程(1)で得られたマスターバッチに、さらに、熱可塑性樹脂(c)を溶融混練する工程(2)、工程(2)で得られた樹脂組成物を溶融成形する工程(3)を有する成形品の製造方法であって、
    前記金属化合物複合体(b)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む比表面積が3m/g以上の範囲の酸化チタンと、2価銅化合物と、を含有し、かつ、最大粒子径が45μm未満の範囲であることを特徴とする、成形品の製造方法。
  18. 前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である、請求項17記載の成形品の製造方法。
  19. 前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンである、請求項17に記載の成形品の製造方法。
  20. 前記工程(1)において、熱可塑性樹脂(a)100質量部に対し、金属化合物複合体(b)を10~300質量部の範囲で溶融混練する、請求項17に記載の成形品の製造方法。
  21. 前記工程(2)において、マスターバッチ100質量部に対し、熱可塑性樹脂(c)50~5000質量部の範囲で溶融混練する、請求項17に記載の成形品の製造方法。
  22. 前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーおよびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項17に記載の成形品の製造方法。
  23. 前記熱可塑性樹脂(c)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマーおよびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項17に記載の成形品の製造方法。
  24. 前記工程(3)における溶融成形が、紡糸工程またはフィルムないしシート化工程である、請求項17に記載の成形品の製造方法。
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